驚いた。やっぱ、現米国きってのジャズ・セレブ。そして、それに見合う、実力と品格をこれでもかと示す実演であったな。新宿文化センター・大ホール。

 ウィントン・マルサリス(2000年3月9日) 、テナー・サックスを主に吹くウォルター・ブランディング、ピアノのダン・ニマー(2014年4月24日)、ベースのカルロス・エンリケス(2014年4月24日) 、弟であるドラムのジェイソン・マルサリス(2009年11月2日) という陣容のクインテットが定時に出てくると、ものすごい歓声。18年ぶりの来日となるが、この湧き上がりの様は破格。ずっと来日していなかった当人、私はこの国で待たれていたんだと思ったに違いない。面々はネクタイの色やスーツの色はバラバラなものの、皆ビジネス・スーツをしっかり着用。ファンキーな物腰を取る卓エンジニアもネクタイとジャケット着用しており、それは御大の指示か。 
 
 広いステージ中央にこじんまりと面々の楽器が置かれ、それを照明が凝らずにクリアーに照らす。その様に往年のホールでのジャズ・コンサートのありようを思い出し、甘酸っぱい思いを得た人もいたに違いない。ようは、かつてのジャズ公演、ひいてはジャズが米国の秀でた黒人芸術/文化として崇められていた頃の“ライヴ・イン・ジャパン”の誉れのようなものも、そこにはあった。こういう場合、この1800人規模の会場の基本的な設計の古さもマイナスにはならない(かも。やっぱり座席配置は狭い)。

 冒頭、ウィントンが楽器音を出すや否や、これは激うまいと思わせる。フレイジングといい音色といい、第一線のジャズ・アーティストの凄さを瞬時に了解。即、聞く者を持っていく。その瞬時に分かる肌触りを体験できただけでも、これはこの公演に来た価値があったと思わせた。そして、腕の立ち様は他の奏者も同様。たとえば、テナー・サックスの音は深めでスモーキー。今、テナーなのにアルト・サックスのような軽さを出す御仁も散見されるなか、これには膝を打つ。かようなことに触れ、マルサリス・バンドに起用されたという事実は、一流という証明書をもらうようなものなのかもしれないナとも思った。マルサリスというと今はコンボよりいろんなテーマにあたるリンカーン・ジャズ・センター・オーケストラのほうがよく知られるかもしれないが、今回はカルテット編成で本当に良かった。オーケストラだと、個人の能力ははどうしても埋もれてしまう。

 1部45分、休憩をはさみ2部45分。尺としては休憩を入れなくてもいいのにとも思う〜事実、当初の予定では休憩なしだったよう〜が、2部に入るとその設定にも納得。1部はニューオーリンズの語彙とかなりつながったことをやり、2部は普通に王道にあるジャズをやったから。一度、区切りをつけたというのは分かる。

 そして、より頭を垂れたのは1部の方。だって、レトロな語彙を巧みに料理し、機知に富みまくるプログ・ジャズというものになっていたから。リズムの転換をふくめた凝ったアレンジにせよ、そこから浮き上がるソロにせよ、これはすごい。過去の巨人の名場面や雰囲気を適材適所で抜き出してモザイクのように組み込むウィントン・マルサリスの手法はまっくもってサンプリング的であり、温故知新派のウィントンのやり方はヒップホップの手法につながると昔から書いてきたが、1部を見ながら、そういう回路を経て今アトラクティヴな創造をしているという感を強く持った。それ、旧来のニューオーリンズ・ジャズ愛好者が聞いたら、否定したくなるものかもしれないが。

 2部はもうすこし素直なモダン・ジャズ表現を開く。とはいえ、2管でテーマを提示し、その後にソロ回しみたいな常識にして平板な作法を取ることはあまりせず。で、ソロは随所で披露されるものの、曲はそれほど長い尺にはなっておらず、きっちり行き方や器楽ソロが吟味されていたのは間違いない。そういうところも、何気に今様(だらだらと手癖のソロを垂れ流すのは、昔のやり方なり)。ベース演奏から始まったアンコール曲は、少し娯楽度の高いラテン調ビートによるブルース・コード進行曲だった。楽器構成や音質などは基本オールド・ウェイヴであり、変わらなくてもいい王道。だが、その奥には今がしっかりある。久しぶりのウィントンに唸りました。

▶過去の、ウィントン・マルサリス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-3.htm
▶︎過去の、ダン・ニマー
https://43142.diarynote.jp/201404260901127573/
▶︎過去の、カルロス・エンリケス
https://43142.diarynote.jp/201404260901127573/
▶︎過去の、ジェイソン・マルサリス
https://43142.diarynote.jp/?day=20091102

<今日の、説>
 昼間はかなり暑い日が続いている。そういうなか、知人との話で題材に上がるのは、今夏も暑いのかなあということ。その場合、その見解はおおまかに2パターンに分かれる。タイプA:「今でこれだけ暑いんだから、とうぜん猛暑でしょう」。タイプB:「今暑いと、逆に冷夏になるかもネ」。タイプAの方が多数派。でも。ぼくはタイプB。素直な人や常識的な人は前者で、ひねくれもので定石外しを好む人が後者であると、即分析した人もいた。なるほど。まあ、ぼくは暑くなって欲しくない願望があるだけかもしれません。
 在NYのジャズ・ピアニストであるヴィジェイ・アイヤー(2014年6月17日、2014年6月19日、2014年6月20日)の公演は、丸の内・コットンクラブ。ファースト・ショウとセカンド・ショウを、続けて見る。

 ファースト・ショウの冒頭、アイヤーは「やっと戻ってこれた。5年もかかったよ」と言う。おお、前回公演時のMCの動き(http://43142.diarynote.jp/201406210910441716/ 欄外参照)を思わず思い出してしまい、感無量。本当に、ぼくも待っていたよ!

 1時間のミュージカル・ジャーニーを聞かせるよと言ったファーストはまじ1時間強を、自作曲やスタンダードやマイケル・ジャクソン曲などを思うまま繋いで切れ目なしに続ける(+アンコール的に5分強の曲〜これも曲を繋いでいた)。20年来の付き合いで多くのアイヤーのプロジェクトに関わるベースのステファン・クランプ( 2014年6月19日、2014年6月20日)、そしてまだ20代半ばのヒューストン出身ザ・ニュー・スクール大卒のジェレミー・ダットン(ドラム)がそれに何なくついていく。アイヤーが講師として関わったカナダの音楽サマー・キャンプで出会ったときダットンは18歳だったそうで、彼がよく使うマーカス・ギルモア(2007年11月21日、2010年7月24日、2010年8月22日、2014年5月15日、2014年6月19日、2014年6月20日、2015年4月7日、2016年9月16日、2017年4月18日)やタイショーン・ソウリーが売れっ子になってしまい、ダットンを使う機会がごんごん増えているんだそう(今まで200回は、一緒にやっているそう)。なんにせよ、ドラマーは皆アフリカ系ですね。

 一部の冒頭、ダットンはずっとマレットで叩いていた。キックは終始連打していて、今様のジャズ・ドラマー。もちろん、美味しいズレも続々送り出す。ファースト・ショウはレギュラー・グリップで叩くことが多く、セカンド・ショウはマッチド・グリップで叩く時間が増えていた。1部では、クランプは最初と最後は弓弾きをする。また、彼はファーストにせよセカンドにせよ、ソロを取る際を中心にスキャットをかます。前回は気づかなかったが?

 セカンド・ショウも曲をやはり繋げるのだが、30分強のを1つと、あともっと短い尺のものを二つか三つ。そうしたトリオ演奏が孕むものは、前回公演時に感じたものと大きく変わらず。確かな知見とがった意識を自在に開き、そこからある種の美しさや今の機微を彼はつくり出す。アイヤーはここのところ5作続けてECMからアルバム発表しているが、弦ユニット使用、トリオ、トランペッターのリオ・スミスとの双頭作、3管を擁するセクステット、クレイグ・テイボーンとのピアノ・デュオとすべて異なる設定のアルバムを出している。さて、次はどんな内容になるか。とともに、別の設定によるライヴも見てみたいなー。

▶過去の、ヴィジェイ・アイヤー
http://43142.diarynote.jp/201406180853065508/
http://43142.diarynote.jp/201406201008164250/
http://43142.diarynote.jp/201406210910441716/
▶︎過去の、ステファン・クランプ
http://43142.diarynote.jp/201406201008164250/
http://43142.diarynote.jp/201406210910441716/

<今日の、懺悔>
 1985年以降現役で唯一の絶対服従のバンドと言い続けてきたのに、そちらフィッシュボーン(2000年7月28日、2007年4月5日、2007年4月6日、2009年11月25日、2010年7月31日、2011年8月8日、2013年6月3日)のコンサートを反故にして、アイヤー公演を選ぶ。フィッシュボーンの皆んな、ごめんよう。だって、アイヤーには翌日インタヴューすることになっちゃったから。アイヤーはトップ級にインタヴューしたいジャズ・マンなのだからしょうがない。やはり、可能な場合は取材の前に実演を見ておくのは礼儀。それによって、本人の人間的なノリがなんとなく掴めるし、取材のときに前日のライヴ見ましたと言って、一言コメントをつけると、それでよりフレンドリーになる人もいるし。

追記)翌日の公演前にコットンクラブの楽屋でアイヤーの取材をしたのだが、彼はすでに一人で来ていて、1時間じっくりピアノの練習をしていたのだそう。そういう、努力もするのか。ものすごーく、せっかちじゃなくゆったり喋る人。スティーヴ・コールマンはといろいろな経緯があって(例えば、面識をちゃんと得る前にあるハコで、彼からギタリストのファリード・ハークに間違えられて声をかけられたことがあったそう。コールマンとハークはともに、スティング〜2000年10月16日〜の悪名高い個人レーベル“パンジア”所属だったことがある)。コールマン(彼からブループ入りを誘われなかったら、理科系の学者の道を歩んでいた可能性大)やA.E.O.C.のロスコー・ミッチェルは最たるメンターであるよう。
 最新作で一緒にやっているテイボーンはミッチェルのグループに一緒に入っていた間柄で、そのECM盤がアイヤーの初同社レコーディング参加であったという。アイヤーは何気にエリントン他の先達表現とのつながりを重視しているが、自らをジャズ・マンとは思っていない。いや、ジャズというジャンルは売るための括りであると考え、ジャズという今の枠組みを否定している。実は、昨日のファースト・セットはまだこの会場での機微が掴みきれず、いろんな部分を確認しながらやるために、本編一発にしたのだそう。そして、その奥ではドラマーとの目に見えぬリズムに対する戦いがあったとのこと。ほうっ。
 親しんだECMのアルバムは、クラシック好きであるにも関わらずまずアート・アンサンブル、ドン・チェリー、ジャック・ディジョネット(2001年4月30日、2003年8月23日、2007年5月8日、2014年5月22日、2015年9月5日)らいろいろ黒人ミュージシャン奏者の名前を出した。そしてその後に、キース・ジャレット(2001年4月30日、2007年5月8日)の名も出す。同社耽美系の作品は出さなかった。あ、話の仕方や例え方が、アヌーナ(2007年12月15日、2009年12月12日、2011年12月7日、2011年12月10日、2014年12月4日、2014年12月6日)のマイケル・マクグリンとすこし重なるかもしれない。

▶過去の、フィッシュボーン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-7.htm フジ・ロック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-10.htm
http://43142.diarynote.jp/200704112101130000/ 豪バイロン・ベイ
http://43142.diarynote.jp/200806121400260000/ 豪ベイロン・ベイ
http://43142.diarynote.jp/200911281704335025/ アンジェロ単独
http://43142.diarynote.jp/?day=20100731 フジ・ロック
http://43142.diarynote.jp/201108101638376353/
http://43142.diarynote.jp/201306060729285922/
http://43142.diarynote.jp/201412310727087161/  NY実演のライヴ配信。
▶︎過去の、スティング
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-10.htm
▶過去の、ジャック・ディジョネット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-4.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm
http://43142.diarynote.jp/200705181807060000/
http://43142.diarynote.jp/201405231458349566/
http://43142.diarynote.jp/201509211331298145/
▶過去の、キース・ジャレット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-4.htm
http://43142.diarynote.jp/200705181807060000/
▶過去の、アヌーナ
http://43142.diarynote.jp/200712161423560000/
http://43142.diarynote.jp/201001051620426983/ マイケル・マクグリンのインタヴューも
http://43142.diarynote.jp/201112171633334584/
http://43142.diarynote.jp/?day=20111210
http://43142.diarynote.jp/201412151250144917/
http://43142.diarynote.jp/201412221527313725/
 六本木ヒルズ・アリーナで、スペインのバスクの伝統打楽器奏者二人のユニットであるオレカTX(2013年10月13日)のパフォーマンスを見る。同所でこの週末持たれている、“六本木アートナイト”という催しの一環での出演だったのだが、何気におおがかりでこれは見応えがあった。「巨人のオモチャの音楽会」という名前が付けられた出し物だそう。

 バスク人って妙な、でも夢のあること考えるなー。ステージ美術アイテム一式を持ってくるの、大変だったろうなー。と、まずは、接した者は思わずにはいられないのではないか。写真を見てもらえば一目瞭然なのだが(いかにもインスタ映しそうな出し物であったので、あちこちにその模様の写真はアップされていると思うが)、さて簡潔な文章でどのぐらい、その実演を書きとめられるか。

 オレカ TXはチャラパルタという素朴な音のする鍵数の少ない鍵盤打楽器を扱うが、その3倍の人たちとともに、みんなコスプレしつつショウは繰り広げられる。まず中央でチャパラルタを叩く二人を操り人形として扱う設定の巨人の人形二体が置かれていてわおと目を引く。3メートル以上高さがあるよな。その中には1体に一人入っていて、主役たちの演奏に連動して、二人と糸で繋がる手を動かす。また、向かってステージ左側の島には巨大な透明バルーンがありその中にはブズーキ奏者(だったかな?)が入っている。白い紙片のようなものが舞いスノウ・ドームみたいな感じにもなる、その装置もかなり目を引く。一方、逆側の島には巨大な西洋風起き上がり小法師てな人形のなかに入ったリード/笛奏者が、ゆらりゆらり揺れながら演奏。うわあ転げないのかな、よく演奏できるナといった思いを受け手に抱かせるそれも相当にアトラクティヴ。面々は昔のおとぎ話のような格好のもと、かなりいろんな部分で興味を喚起するストーリーを作り出す。また、要所で女性日本人パフォーマーがステージ前に出てきて狂言回し的な動きを見せて、ショウに変化をつける。

 ……といった表記で、どれほどそのパフォーマンスが分かってもらえるか。すこし薄暗くなってくるとライティングがもっとショウを引き立てるような気もするし、おそらく別の人が作ったであろう強大な果実群が置かれたカラフルなステージ美術ともあっていたし、その見え具合はほんとファンタジー性がたっぷり。人間の発想の美味しさや、行動力の素敵が山ほど。ぼく、コドモだったら口をぽか〜んと開けて見入り、鬼のように感化されちゃうんじゃないかと思った。

 まあ、そんな枠超えの豊かな見せ方/設定は、伝統音楽ユニットであるオレカTXが吹っ切れつつも抱えざるを得ない音楽性の幅の狭さが導くものである。彼らが扱うチャラパルタ自体は鍵数がすくないため、どうしてもコード変化のないシンプルなシークエンスだけしか出せない。その鍵盤を叩くのはマレットではなく、無骨なバチといったデカい棒だ。彼らは原音主義をとるためエフェクターを介することもせず、他のメロディ楽器の奏者が入ってもその狭い音楽性からは逃れられなく、いやだからこそ娯楽性豊かな見せ方がそこから逆転の発想的に出てくるわけだ。プログラムは数曲、全30分。山あり谷ありの見せ方もあり十分に楽しめ、いい尺ではないか。最後、すぐに平服になった面々が前に出てきて、素の演奏をちょい披露するのも良かった。

▶︎過去の、オレカTX
https://43142.diarynote.jp/201310150810408921/

 続いて、南青山・ブルーノート東京でベースを弾きながら歌う在NYのカリビアン・ルーツを持つフランス人女性の実演を見る。セカンド・ショウ。同行者は、キーボードのモーガン・ワイリー(昔、LCDサウンドシステムのメンバーだったことあり)ギターのジャリール・バントン(TVオン・ザ・レイディオ〜2005年8月13日〜のメンバー)、ドラムのジム・オルソー。

 初来日だそうだが、初々しい。とともに、性格の良さもごんごん伝わってきて、彼女から頼まれたらみんな笑顔で応えちゃうよなーと妙に納得する。歌声は事前の感触では昔のダイアナ・ロスみたいな軽い透明感を持つと感じていたら、場合によってはけっこう質感が太い。ベース演奏(2フィンガー主体、スラッピングをする場合は親指の返しや人差し指の引っ掛けも使う)もエフェクターのかけかたもあって太い。楽器を弾かずに歌う曲もあったが、その際はキーボード奏者が鍵盤でベース音を担う。アンコールではギタリストがベースを弾いた。

 基本的には、今様なR&B。ライヴではそれほどエレクトロニクな方面は出さず。とはいえ、しなやかに広がる感じはあり、ぼくはエンディア・ダヴェンポート(2010年2月22日、2015年8月18日、2017年3月29日、2019年4月26日、2019年4月27日、2019年4月28日)在籍時のザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズ(1999年8月2日、2010年2月22日、2013年9月18日、2014年10月23日、2017年2月9日、2018年4月11日)の曲のノリを思い出したりもした。Youtubeにはスライ・ストーーン(2008年8月31日、2008年9月2日、2010年1月20日)の「イフ・ユー・ウィント・ミー・トゥ・ステイ」をエレクトリック・ギター奏者を従え弾き語りする映像があげられていたが、最後にディスコよっとやった曲は誰の曲なんだろう。

▶︎過去の、TVオン・ザ・レイディオ
https://43142.diarynote.jp/200508152007550000/
▶過去の、エンディア・ダヴェンポート
http://43142.diarynote.jp/201002280939559070/
http://43142.diarynote.jp/?day=20150818
http://43142.diarynote.jp/201704031056083140/
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/
https://43142.diarynote.jp/201904281151232549/
https://43142.diarynote.jp/201904291825347224/
▶過去の、ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/augustlive.htm
http://43142.diarynote.jp/201002280939559070/
http://43142.diarynote.jp/201309201841355632/
http://43142.diarynote.jp/201410251056112035/
http://43142.diarynote.jp/201702100924466798/
https://43142.diarynote.jp/201804121236407352/
▶過去の、スライ・ストーン
http://43142.diarynote.jp/200809011923060000/
http://43142.diarynote.jp/200809071428140000/
http://43142.diarynote.jp/201001211346277187/
http://43142.diarynote.jp/201505201630381899/ 映画

<今日の、早朝にやったこと>
 週末に来ていた、返事を出す必要のないメールをゆっくり見てあらら。ビート・レコードからの新譜案内で(ビートの様々な案内メールは本当にまめ。受けとっている人は全員がそう感じているだろう)、スティーヴ・レイシーという名前。違う人と分かってもドキっ。あのジャズ界孤高のあっち側を見続けた白人リード奏者のことを思い出してしまい……。こちらは、1989年LAコンプトン生まれで、21歳になってまもないアフリカ系マルチ型クリエイター。ケンドリック・ラマー、ソランジュ(2009年8月9日)、ブラッド・オレンジ、ザ・ダーティ・プロジェクターズ(2010年3月16日、2012年10月9日)、ヴァンパイア・ウィークエンドらのプロダクツにも関わっている御仁で、基本一人で作ったんだろうその2019年初ソロ作『Apoll XXI』(AWAL)はなるほどのしなやかポップな、抜けた(スカスカ感が良い)仕上がり。ぼくは彼がメンバーとして所属するジ・インターネット(2019年2月26日)の作品群より好きかも。スーツを着たジャケット・カヴァーは若い時分のレイ・パーカーJr.(2005年3月8日、2011年5月17日、2012年9月8日、2018年3月28日)にけっこう似ている。
 また、オリンピックのチケット購入希望をインターネットでさくっと出す。適当に15種30枚を申し込んだが、なにか当たらないかなあ。しかし、日韓ワールドカップのときの申し込み方から比べると時代は動いているなあと頷く。でも、あれ、もう15年以上前なんだよなあ。それを考えると、思うほどいいやり方には変わっていない? しかし、老人とかネットをやらない人の今回購入はどうなっているのか? アナログな申し込みかたも残されているのだろうか。
▶︎過去の、ソランジュ
https://43142.diarynote.jp/200908181436378859/
▶︎過去の、ザ・ダーティ・プロジェクターズ
https://43142.diarynote.jp/201003201058191760/
https://43142.diarynote.jp/201210111837011749/
▶︎過去の、ジ・インターネット
https://43142.diarynote.jp/201902271105245162/
▶︎過去の、レイ・パーカーJr.
http://43142.diarynote.jp/200503120546520000/
http://43142.diarynote.jp/201105181052427410/
http://43142.diarynote.jp/201209191209186663/ ジョー・サンプル&ザ・クリオール・ジョー・バンド
https://43142.diarynote.jp/201803290839504415/
▶︎2002年の、ワールドカップ。イタリア、日本、韓国3カ国にわたがり、1日から26日にまでのぼせ上がりっぱなし。
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-6.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-5.htm 本当は前月の27日から、ロンドンであがっている(笑い)
 午前中の打ち合わせ後、ランチで入った寿司屋が美味しく、気分があがる。日中は30度を越えた晴天の日の午後、まずは映画の試写を2本はしご。そして、日が暮れ後は、キーボード奏者がベース音を出すライヴを二つ続けた。ずっと外出しっ放しだとやはり困憊、帰宅後に外出中に入っていたメールの数に生理的に失神する。クラクラ、ばたっ。ぼく、外ではPCメールを見ることができない。別にいばることでもないが、ネットも一切ひきません。携帯は通話とショート・メールさえできればOK。シンプルなのが、ぼくには合っている。
 
 渋谷・映画美学校試写室で、サミュエル・コラコデという1975年生まれのフランス人が監督する2017年仏映画を見る。舞台は、グリーンランド。監督はグリーランドに魅せられ、2年間北極圏にあるこの国を周り、80人しか住んでいないチニツキラークという村にたどり着き、ここを舞台とする映画を1年間にわたる6回の撮影セッションのもと完成させたという。チニツキラークの小学校に新たに赴任するデンマーク語を教える青年教師と地元の人たちの絡みを題材に置き、デンマーク語とグリーンランド語が用いられる。原題は「Une année polaire」で、英題は「A Polar Year」。

 いかにも寒そうな風景に満ちる海沿いのチニツキラークは電気も使われ携帯もつながるが、上下水道はない。生徒はたぶん8人。それ、人口比率から見ると多い? うち、親と一緒にくらしているのは2人で、残りは祖父母に育てられているという。アザラシやシロクマの狩猟を生業にしている人が多いのかな。長い距離の交通手段は犬ぞりで、犬がたくさん映される。
 
 “ドキュフィクション”という言葉があるというのは、初めて知った。ようは、ドキュメンタリーとフィクションをくっつけた造語。現実と作り事が入り組むドキュメンタリー調のフィクションのことを指すようで、実はサミュエル・コラコデ監督はドキュフィクションを得意としており、過去の4作品も同様の仕立てであるという。彼はここで、実際に赴任することになった教師とそこに暮らす地元の子供や大人をそのまま役者として起用し、映画を撮影した。エンドロールのクレジット、役名と演技者が同じ記載が多く出てくる。

 北極圏の流儀と西欧圏の流儀の軋轢はとうぜん映画の主題となるが、映画を見ながらどこまでが作られたものなのかと、ぼくは考えてしまったりも。ドキュフィクションということを知らずに、異なる文化を継承する辺境の地と人々の生活を扱った映画として触れた方が楽に見れたような気がするが、多くのことが現実に根ざしているからこそのリアリティもあるだろう。とにかく風景はまったく我々の日常と異なるもので、ぼくだったらもっとそれを大胆に強調しながら見せると思ったが、監督は人間のつながりや所作を前に出そうとしてか、過剰にそうすることはしない。赴任当初は困惑しきりだった教師のアンダース・ヴィーデゴーは、今もその小さな村で子供たちに教えているという。公開は7月からされる。

▶︎過去の、ナヌークなどグリーンランドの担い手
http://43142.diarynote.jp/201503271611494171/ デンマークとグリーンランドの関係の記載も。
http://43142.diarynote.jp/?day=20161106
https://43142.diarynote.jp/201702110915407607/

 次は、アップリンク渋谷で、2018年日本映画「メランコリック」を見る。監督・脚本・編集は、これが長編第一作となる田中征爾。彼に加え、主役とプロデュースをしている皆川暢二、準主役とアクション演出をしている磯崎義知は3人とも32歳。彼らは“One Goose”という映画製作チームを組み、クラウド・ファンウンデーションも介し、この自主製作映画を作ったよう。あの「カメラを止めるな!」(2018年10月19日)に新人監督賞を与えたウディネファースト映画祭の次回受賞作ということで、今話題を呼びつつあるよう。

 銭湯“松の湯”(エンドロールの協力かなんかの項目にその名前が出てくるので、実在する施設かもしれない)に関わる人たちの荒唐無稽なストーリーと人間模様を描く。殺人/死体遺棄というダークな題材を持つが、妙なペーソスを持つ。随所に飄々とした笑い〜諧謔がうめこまれていて、技あり。最終的に安らぎのようなものも与えるか。いろんな部分でよくできてると思った。こちらは、8月からの公開。

 上映後、“One Goose”のタッグ3人が出てきて、素朴に挨拶をする。監督は職場が渋谷でちょっと抜けてきて戻ってまた仕事です、みたいなことを言っていたな。土日に、撮ることが多かったよう。金髪での演技が印象的だった磯崎は黒い短髪/筋肉質で映画とは別人。今、医療系だかの学校に通っていると言っていた。小心者(?)のぼくは面々の苦労を垣間見て、少しドギマギ。でも、考えてみたら、スターでない人のライヴ(その担い手たちは少なからず、副業をせざるをえないだろう)でそういう境遇にあるミュージシャンたちには触れているのだよなー。ただ、映画は手間もお金も時間もかかるのでより苦労は多くなるだろうけど。

▶︎過去の、「カメラを止めるな!」
https://43142.diarynote.jp/201810210703189263/

 その後は、南青山・ブルーノート東京。2作連続でグラミー賞のベスト・コンテンポラリー・ブルース・アルバム賞を獲得している、ファンタスティック・ネグリート(2017年4月7日)を見る。ファースト・ショウ。

 個性的にして派手な格好をしたファンタスティック・ネグリート(ヴォーカル。ときにギター、一部鍵盤)に加え、25年来の友達であるギターのマサ小浜(2017年4月7日、2019年2月2日)、白人ギタリストのポール・マーティン、キーボードのブライアン・シモンズ、ドラムのダリアン・グレイがステージに立つ。前回の来日公演と比べると、小浜以外はバンド員を入れ替え。普通のベース奏者を入れなくなったのは、彼の変テコさを強調するには効果的かもしれない。今回のほうが、小浜の演奏も目立っていた。

 新作『プリーズ・ドント・ビー・デッド』(ライナー・ノーツを書いたので聞き込みました)はレッド・ツェッペリンみたいな曲もあるなど剛性感を増しブラック・ロック色を増したと言える内容だったが、バンド編成を変えた今回のショウのほうがブルーズ度は高いとどこか思わせられる。強いブルースの感覚を顕すのに“モーン(moan)”という言葉があるが、ファンタスティック・ネグリートの歌や所作においてモーン度が今回は高いと思わせたのが、その理由。そして、それは当人のアメリカでの、音楽シーンでの自ら望む位置の表出を導く。なお、ベイ・エリアを根城にしていることにはやはり誇りをもっているのね。ちなみに、彼が生まれたは白人だけの小ぎれいな東海岸の街であるマサチューセッツ州のグレート・バーリントン(2000年8月11日、12日、13日)。彼が生まれたとき、看護婦さんがお母さんに「わあ、黒人の赤ちゃんよ」と言ったんだそう。

▶︎過去の、ファンタスティック・ネグリート
https://43142.diarynote.jp/201704130837359192/
▶︎過去の、マサ小浜
https://43142.diarynote.jp/201704130837359192/
https://43142.diarynote.jp/201902030943337762/
▶︎過去の、グレート・バーリントン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-8.htm  (バーク・フェス。11日、12日、13日)

 そしてもうひとつ、渋谷・チェルシー・ホテルで、仏ブルターニュ出身のロック派シンガー・ソングタイターのクリストフ・ミオセックを見る。ソングライターや俳優としても活動する、1964年生まれの渋めのおじさん。フランス人公演の常で、多くの客がフランス人。なるほど本国では人気者なのねと感じずにはいられず。とともに、子供づれが少なくなかったのが印象的。それ、10歳以下無料の公演であったためもあるか。そんな客層であることもあり、あまり喋る訳ではないが、MCは歌詞と同様にフランス語。

 エレクトリック・ギターを弾きながら歌う本人を、キーボード、エレクトリック・ギター、パーカッション(ドラム的なセットを置き、足を使わずスティックで叩くという感じ)の3人がサポート。多くの曲ではプリセット音が下敷きされていたかな。人間的だなあと思わせる、ぶっきらぼうなしわがれ気味の歌声で、地に足つけた思いを語っていく、てな風情がミオセックにはあり。やっぱりキャリアを積み重ねてきた説得力が、フランス人らしいもやもやとともにそこにはあった。

 本編が終わると、観客はお〜お〜お〜とサッカーのチャントのような歓声をあげて、再登場を促す。結局、彼らは2度アンコールにこたえ、さらに5曲ぐらいはやった。ミオセックさん、2017年大統領の選挙では社会党候補を支持していた。

<今日の、どう取るべきか>
 ライヴ会場の移動に際し、合理的にタクシーを使った。ここのところ、急いでいて目的地までの道をちゃんとイメージできる場合は、運転手のプライドを損ねない言い方で、通る道を指定するようにしている。だって、近年道を知らない運転手が増えていて、イラっときたりするから。それ、カーナヴィの普及も関係あるのか? 道に詳しくないくせに、カーナヴィに頼らないドライヴァーが一番始末が悪い。到着地を入れるのに時間がかかる(確かに、急いでいる今回の場合、悠長にカーナヴィ扱われていたらやだよなあ)、面倒っちいとか、あるんだろうけど。ブルーノート前で乗ったタクシー運転手に道順指定をしたら「すみませんねえ。お勤めしていたので、まだ勘が戻っていないのでありがたいです」みたいなことを、運転手が丁寧に言う。え、お勤めって? それ、刑務所に入っていたということ? それとも別な職種についていたということ? どちらとも取れて、少しどぎまぎ。そんなことを思ってしまったのは、20年は前のイヤな記憶が残っているからだ。女の子二人と一緒に深夜にタクシーに乗ったら、ぞんざいな口調で、「お客さん、いいねえ。女の子連れて。私、刑務所から出てきたばかりなんですよ。だから、そういうの離れていて」みたいなことをしれっと言われたことがあった。店をかえるために乗ったが、自宅に向かっていたら怖いよねーと、後から話し合った記憶がある。

 マーク・ライリー率いる結成35年という長寿英国洒脱ユニット(2001年2月5日、2013年8月24日、2016年4月19日、2017年8月27日)の公演を、南青山・ブルーノートで見る。ファースト・ショウ。

 大ジャジー路線を取る近作『グラヴィティ』の行き方/サウンドに合わせ何気に難しい歌のライン取りもするマーク・ライリーに加え、サイド・ヴォーカルのエリザベス・トロイ(スタイルの良いジャマイカ系かアフリカ系)、ピアノと電気ピアノのロビン・アスプランド、テナー・サックスのデイヴ・オ・ヒギンズ、トランペットとフリューゲルホーンのマーティン・ショウ、スタンダップ電気ベースのジェフ・ガスコイン、ドラムのセバスティアン・デ・クロムという陣容による。鍵盤奏者以外は前回来日時と同じで、内容もほぼ同様。いや、よりこなれている感じをえるか。なんにせよ、そのアコースティックなジャズ路線は“鉄板”で技あり、楽しくてしょうがない。新曲もやったようで、ライリーはどうやら次作もこの路線で行くのかな? イエイ、ゴー・ゴー!

▶過去の、マット・ビアンコ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-2.htm
http://43142.diarynote.jp/201308281519499994/
http://43142.diarynote.jp/201605140738083056/
https://43142.diarynote.jp/201708280822189916/

<今日の、明らかな変化>
 表参道駅から会場に向かう間に、複数の警察官を認める。???? と、違和感を覚えたら、近く米国大統領が来るからであるよう。けっこう、地方から公務員の方々がかりだされているのだろうか? そういえば、ぼくの周りには長い人生において職質を受けた経験を持つ者が何人もいるが、なぜかぼくは今までその経験はなし。それを言うと、驚かれたりもする。日本の警官は優秀、ということ?

 歌とギターの佐藤タイジ(2000年7月29日、2001年12月9日、2001年12月22日、2002年7月21日、2002年11月15日、2003年6月22日、2004年1月16日、2004年1月30日、2005年2月15日、2010年2月25日、2011年5月18日、2011年8月15日、2015年10月3日)率いる長寿バンドを、モーションブルー・ヨコハマで見る。代表曲「ありったけの愛」の7インチ・リリースに際してのもの。

 佐藤にプラスして、ベースの中條卓(2000年7月29日、2001年12月9日、2001年12月22日、2003年6月22日、2007年1月26日,2010年1月12日、2012年10月10日、2014年9月2日、2015年10月3日、2016年11月18日)、 キーボードのエマーソン北村(2003年3月11日、2005年2月15日、2006年8月24日、2010年9月19日、2015年7月27日、2015年10月3日、2016年12月29日)、ドラマーの沼澤尚(1999年8月11日、2000年2月14日、2000年7月29日、2001年2月18日、2001年6月29日、2001年12月9日、2001年12月22日、2002年7月21日、2002年11月15日、2003年2月11日、2003年3月13日、2003年6月22日、2004年1月16日、2004年1月30日、2004年2月21日、2005年2月15日、2005年4月11日、2005年7月30日、2005年9月14日、2005年10月30日、2006年4月17日、2006年5月30日、2006年8月11日、2006年8月24日、2006年12月28日、2007年1月26日,2007年6月3日、2008年1月30日、2008年1月31日、2010年1月12日、2011年10月8日、2012年10月10日、2013年1月6、2013年1月7日、2014年9月2日、2015年10月3日、2016年9月27日、2016年11月18日、2017年7月14日、2017年9月22日)という面々。

 オープナーは、ブルージーな曲ですこしレゲエ調。こんな曲があったんだ。2曲目は90年代中期の最たるイケてる曲である「ドレッドライダー」。このころから数年間、彼らを何度もインタヴューしたんだよなあ。最初は彼らの存在を知らずに、メジャーに移籍した彼らのインタヴューを打診してきた媒体(オリコンだったっけ?  WHAT’s IN?やCDデータではなかったよな? FMステーションは洋楽しかやってなかったしなー)があって、聞いてみたらあまりの内容の良さに一発でファンになってしまった。最初の取材のとき、ドレッドではなかったがかなりちりちりの髪型をぼくはしていて、佐藤タイジから「ドレッド・ライター」ですねと言われたんだよなー。この曲が披露された際、お客はバンドに向かいVサインを掲げ、ある箇所で奇声をあげる。へえ、そういうライヴでの作法があったのか? 多くは年季の入ったファンと見た。

 カヴァーは「ソング・フォー・ユー」/リオン・ラッセル(2005年11月24日)と「パープル・レイン」/プリンス(2002年11月19日)。前者のラッセルのピアノ演奏をギターに置き換えたような行き方をとるカヴァーでは、佐藤タイジのヴォーカルの素晴らしさをイヤになるほど知る。日本人がやるこの曲のカヴァーとしては最良のものになるのではないか。シンプルなコード進行曲である後者では佐藤のプリンス好きがギター・ソロで出るとともに、中条のベース・ラインの技ありを再確認。レギュラー・スケールの4弦をどっしり弾く(フレットレスを弾いていたような。前からそうだっけ?)彼は素敵です。

 1曲、ザ・アイズリー・ブラザーズ(2001月12月6日、2004年3月1日)の「ハーヴェスト・フォー・ザ・ワールド」を下敷きにしたような曲があったが、佐藤のギター・ソロって、アーニー・アイズレーを想起させるような部分ももつのだな。インスト曲も一つあった。なんにしても、やはり佐藤タイジは歌もうまいが、ギターもごっついイケる。いろんな部分で、ナチュラル・ボーン・ロッカーだと思った。彼も50代に入っているようだが、見た感じはずっと変わらないなー。

▶過去の、佐藤タイジ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-7.htm シアターブルック(7月29日)
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm マルコス・スザーノ+沼澤セッション(12月9日、12月22日)
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-7.htm パウリーニョ・モスカ+スザーノ+沼澤 セッション(7月21日)
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm シアターブルック(6月22日)
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm サンパウロ(11月15日)
http://43142.diarynote.jp/200401160000000000/ 勝井、鬼怒、佐藤、沼澤セッション
http://43142.diarynote.jp/200402051858240000/ サンパウロ
http://43142.diarynote.jp/200502161844550000/ マルコス・スザーノ+沼澤 セッション
http://43142.diarynote.jp/?day=20100225 マイア・バルー
http://43142.diarynote.jp/201105191057129864/ ソロ
http://43142.diarynote.jp/?day=20110815 佐藤、高野、うつみ
https://43142.diarynote.jp/201510051403147675/
▶︎過去の、中条卓
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-7.htm シアターブルック 7.29フジ・ロック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm シアターブルック+マルコス・スザーノ12/22
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm シアターブルック
http://43142.diarynote.jp/?day=20070126 OKI DUB AINU BAND
http://43142.diarynote.jp/201001131101085950/ blues.the-butcher-590213
http://43142.diarynote.jp/201210111837516874/ OKI DUB AINU BAND
http://43142.diarynote.jp/?day=20140902 blues.the-butcher-590213
http://43142.diarynote.jp/201510051403147675/ シアターブルック
http://43142.diarynote.jp/?day=20161118
▶過去の、エマーソン北村
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm
http://43142.diarynote.jp/200502161844550000/
http://43142.diarynote.jp/200608271342350000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100919
http://43142.diarynote.jp/?day=20150727
http://43142.diarynote.jp/201510051403147675/
https://43142.diarynote.jp/201612310826453297/
▶︎過去の、沼澤尚
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/augustlive.htm wマルコス・スザーノ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-2.htm ナッシン・バット・ザ・ファンク
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-7.htm シアターブルック 7.29フジ・ロック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-2.htm スガシカオ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-6.htm ナッシン・バット・ザ・ファンク
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm wマルコス・スザーノ 12/9
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm シアターブルック+マルコス・スザーノ12/22
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-7.htm W.パウリーニョ・モスカ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm サンパウロ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-2.htm ナッシン・バット・ザ・ファンク
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm  バーナード・ファウラー、ブロンディ・チャップリン、リサ・フィッシャー、ダリル・ジョーンズ、奥田民生、小原礼
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm シアターブルック
http://43142.diarynote.jp/200401160000000000/ w.勝井、怒怒、佐藤
http://43142.diarynote.jp/200402051858240000/ サンパウロ
http://43142.diarynote.jp/200402211239510000/ アズ・ウィー・スピーク
http://43142.diarynote.jp/?day=20050215 wマルコス・スザーノ
http://43142.diarynote.jp/200504151004040000/ w勝井
http://43142.diarynote.jp/?day=20050730 ザ・ブルース・パワー
http://43142.diarynote.jp/200509161722260000/ 大貫妙子
http://43142.diarynote.jp/200511130013450000/ wマルコス・スザーノ
http://43142.diarynote.jp/?day=20060417 ビッグ・ホーンズ・ビー
http://43142.diarynote.jp/200606071931300000/ w.勝井
http://43142.diarynote.jp/?day=20060811 wマルコス・スザーノ
http://43142.diarynote.jp/200608271342350000/ wマルコス・スザーノ
http://43142.diarynote.jp/200612291257400000/ wマルコス・スザーノ
http://43142.diarynote.jp/?day=20070126 OKI DUB AINU BAND
http://43142.diarynote.jp/200706061351450000/ ナスノ、不破、他
http://43142.diarynote.jp/200802051634040000/ w.勝井
http://43142.diarynote.jp/200802051630130000/ TOYONO
http://43142.diarynote.jp/201001131101085950/ blues.the-butcher-590213
http://43142.diarynote.jp/201110091300039780/ ナッシン・バット・ザ・ファンク
http://43142.diarynote.jp/201210111837516874/ OKI DUB AINU BAND
http://43142.diarynote.jp/201301151731112021/ ナッシン・バット・ザ・ファンク
http://43142.diarynote.jp/201301151819527787/ w.マルコス・スザーノ
http://43142.diarynote.jp/?day=20140902 blues.the-butcher-590213
http://43142.diarynote.jp/201510051403147675/ シアターブルック
http://43142.diarynote.jp/?day=20160927 大貫妙子
http://43142.diarynote.jp/?day=20161118 OKI AINU DUB BAND
http://43142.diarynote.jp/201707151654245284/ After School Hangout
https://43142.diarynote.jp/201709240955007593/ ナッシン・バット・ザ・ファンク
▶過去の、リオン・ラッセル
http://43142.diarynote.jp/200511281322500000/
▶過去の、プリンス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm
▶過去の、アイズリーズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm
http://43142.diarynote.jp/200403011119270000/

<今日の、最寄駅>
 馬車道駅を降りると、おそらく日本人女性が歌うボサノヴァ曲が小さくはない音量で構内に流されていて、いささか驚く。帰りの23時すぎの同駅構内には、海鳥の鳴き声が流されていた。東横線の終点が桜木町だった時代が懐かしい。なにげに、桜木町駅から赤レンガ倉庫までの旧線路道の遊歩道は悪くなかったよなー。
 わ、びっくりするぐらい力があったナ。英国ポスト・ニュー・ウェイヴ期の皮切りにあるような兄弟主体のギター・バンドを新木場・スタジオコーストで見る。再結成後の3年前だかの来日公演は見ていないので、スコッドランド出身の彼らを見るのは四半世紀ぶりぐらいになるのではないだろうか。

 開演にすこし遅れて会場に入ると、スモークで場内が霞んでいる。しかも、この時期のUKバンドにありがちな、全体に暗めのトーンのもと前からはライトを当てませんよという照明作法を取っていて、一体何人でやっているのかとか、全貌を掴みにくい。結局、ヴォーカル、2ギター、ベース、ドラムという陣容であった。でも、エフェクターをかけつつ絡むギター音はときにキーボードで出しているのかと思わせる部分があったり、公演を通してベースはベタぁっとした音程のしっかりした低音を出し(なにげに技ありとも思った)、まるで鍵盤ベースで出していても不思議はないような音だった。とはいえ、正々堂々、生音勝負。それ、いい意味での年季を感じさせますね。暗くて、ちゃんとメンバーの表情が見えず、おっさぽくなったとか、そういうのもまったく分からなかった。

 ぐいぐいと進んでいくパフォーマンスは、ルー・リードの983年盤『ライヴ・イン・イタリー』のアップ曲群をなぜか思い出させるところもあり。それをもっと太く、ノイジーにしたというか……。独特の抑揚を持つぶっきらぼうでもある歌は力を持つし、サウンドは太くかなりの剛性感を持つ。今やオールド・スクールなんだけど、そこここに今でも光る種をいろいろ抱え、聞き手をがっつり引っ張る。しっかり、くっきり、歌心あり。あと、曲が終わった後の、ちょっとした響き〜佇まいが良い。マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(2013年2月7日)の同じ会場で持たれたショウを一瞬思い出したが、皆さん敏腕と思わせるとともに疲弊していないな。

 本編は定時きっかりに始まっていたら、70分弱。だが、アンコールは4曲だかじっくりやり、全体の尺の長さを整える作法は、先日のボズ・スキャッグス(2019年5月7日)公演と同じ。客の反応に気持ちをよくして予定した以外の曲もやった感じがあるのも同様。面々、ぶっきらぼうなようでいて、かなりキブン良さそうにやっていたのは間違いない。

 アンコールが終わり、本編と同じくギターのフィードバック音が残響音として場内に流れる。が、しばらくすると、それがザ・ビートルズの「グッド・ナイト」(レノン/マッカートニーの曲中、もっともスタンダード・ソング的滋味を持つララバイ曲)の女性によるカヴァー・ヴァージョンが流される。いい感じだったけど、それ誰が歌っているものだろう?

▶︎過去の、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン
https://43142.diarynote.jp/201302091333126442/
▶︎過去の、ボズ・スキャッグス
https://43142.diarynote.jp/201905080904334080/

<今日は、寝起きがいまさん>
 昨日、根を詰めて母親孝行して疲れ切って寝たというのは関係ないと思うが、あけて朝にコツコツと原稿を打っている夢を見ながら起きる。自在しないバンドだが、そのディテールやプロダクツは明確に頭にあって、現況と絡めながら、けっこう丁寧に書き進めつつ、あーこう書いたほうが効果的だよなあ、そういえば来日もするはずだけどちゃんと日程チェックしなきゃなあとか思いつつ、目が覚めちゃった。その音がアタマに残っていたりして、なかななかにリアル。というか、起床してからも一瞬実際のバンドのような気がして、来日情報をチェックしかかる。仕事に対する生真面目さのあらわれと見て取ることもできるかもしれない。だが、起きてかなりな消耗を覚えて、内心機嫌が悪くなった。

 1978年デンマーク生まれのジャズ・ギタリスト(2017年3月2日)の公演を、丸の内・コットンクラブで見る。彼のリーダー作5作品はECMから。そのディールは、ECM社主マンフレート・アイヒャーに直言できる米国人ドラマーだった故ポール・モーシャンのグループにブロが参画したことが端緒となったのではないか。

 ファースト・ショウ。ベーシストのトーマス・モーガン(2012年6月24日、25日、2013年9月7日、2017年3月2日、2017年6月19日 )とドラマーのジョーイ・バロン(1999年9月24日、2011年1月30日、2017年3月2日)という辣腕米国人奏者とのトリオは前回来日時と同じで、5枚のリーダー・アルバム中3作品がその3人によりレコーディングされている。モーガンは晩年の菊地雅章(1999年11月3日、2002年9月22日、2003年6月10日、2004年11月3日、2012年6月24日、2012年6月25日、2012年10月26日)のトリオの一角を支えた人物であるが、菊地はモーシャンの紹介でモーガンとやるようになった。ブロの場合もまた同様かもしれぬ。なお、ブロのリーダー作群は、皆んな彼のオリジナル曲が取り上げられている。

 日本語を勉強しているそうなブロは冒頭、長めに実直な日本語MCをする。そんな彼は、テレキャスター型のギターを弾くが、ジュリアン・ラージ(2005年8月21日、2009年6月24日、2011年7月20日、2017年2月1日)、2017年11月13日、2018年12月11日)の印象もあり、現代ジャズ・ギタリストにはテレキャスターが似合うと思ってしまう? 

 ブロはピックを使わず、訥々とギターを弾いていくわけだが、エフェクター使用効果もあり、なかなか一筋縄では行かない。ジャズの流儀をちゃんと知ったうえで思うまま動こうとする達者なリズム・セクション音にのり、もう一つの隙間や溝を埋めていく様は興味深いし、面白い。パっと見た目はぜんぜん我の張ったタイプには見えないのだが、大好きなギターに関しては周りの目なんか気にせず頑固一徹にギターを抱き続けてきたんじゃないかと、ぼくは妄想。とにかく、いわゆる旧来のよく歌い、流麗でもあるギター奏法と比べると、エフェクターを使いつつも(アンコールのとき、入れてあった音断片が不用意に出てしまい、やり直しした。そこに、いろんな音マテリアルを仕込んでもいるのだろう。ギター音のループに生のギター音を重ねる曲もあった。とかあったが、前回と比べるなら今回公演はエフェクター依存率は低めだった)、生理的にはプリミティヴと思わせる部分がなんかあると感じた。それは技巧第一主義から逃れていることが、そう思わせるのか。

 ところで、ブロはNYの人たちとやっていて同地在住かと思っていたら、本国コペンハーゲンに住んでいるそう。モーガンはNY在住(奥さんは日本人らしい)だが、かつてNYのダウン・タウン界隈でよく叩いていたバロンは住所不定気味で、今は彼女が住むベルリン在住が多いよう。いいなあ、そういう軽さ。相変わらず、彼は実に見事な演奏を聞かせていました。

▶︎過去の、ヤコブ・ブロ
https://43142.diarynote.jp/201703081443314613/
▶過去の、菊地雅章
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/movember1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20041103
http://43142.diarynote.jp/201207031322126509/
http://43142.diarynote.jp/201207031323242844/
http://43142.diarynote.jp/201210271744294415/
http://43142.diarynote.jp/201507091044561526/ インタヴュー
http://43142.diarynote.jp/?day=20160611 遺作について
▶︎過去の、トーマス・モーガン
https://43142.diarynote.jp/201207031322126509/ 菊地雅章
http://43142.diarynote.jp/201207031323242844/ 菊地雅章
http://43142.diarynote.jp/201210271744294415/ 菊地雅章
http://43142.diarynote.jp/?day=20130907 リー・コニッツ
https://43142.diarynote.jp/201703081443314613/
https://43142.diarynote.jp/?day=20170619
▶︎過去の、ジョーイ・バロン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/september1999live.htm マサダ
http://43142.diarynote.jp/201102091715522875/ ロン・カーター ビル・フリゼール
https://43142.diarynote.jp/201703081443314613/
▶過去の、ジュリアン・ラージ
http://43142.diarynote.jp/200508230545510000/
http://43142.diarynote.jp/200906300951327850/
http://43142.diarynote.jp/201107230819362417/
http://43142.diarynote.jp/201702021523283237/
https://43142.diarynote.jp/201711141337544172/
https://43142.diarynote.jp/201812121252088734/

<︎今日の、考察>
 ブロの創意に富む演奏に触れながら、ビル・フリゼール〜彼もECM育ちですね〜(2000年7月21日、2006年5月14日、2009年5月8日、2011年1月30日、2017年1月12日、2017年1月13日、2017年6月19日)もそうだが、ポール・モーシャンはギター奏者を自己バンドに好んで入れもしたのだなとふと思う。だが、それも考えてみればあまりに当然。だって、ビル・エヴァンス、キース・ジャレット(2001年4月30日、2007年5月8日)、菊地雅章といったとてつもないピアニストとやったら、何かと不備に感じてしまい安易にピアニストを雇うのを憚られちゃうのは容易に想像できるではないか。
 ところで、長年ジャズのメインストリームにおいてギターは傍系の楽器であった。積極的にギタリストを使ったソニー・ロリンズ(2005年11月13日)とかオスカー・ピーターソンとかは、例外になりますね。なぜ、そうであったか、ぼくは音楽の物書きの中でそれについては一番明快な見解を出してきている人間だと思うが(ここにそれを長々と書く余裕はないが、ようは王道にいたエリートのジャズ・マンはより直接的に男性器の感覚を持つ楽器であるギター〜それはより直にブルースとつながるものでもある〜を採用するのを生理的に避けた。そいう生々しくもプリミティヴな楽器をつかわずに、いかに発情や勃起の感覚〜原初的なブラック感覚を出すかが往年の名ジャズ・マンにとっては誉であり粋であったのである……)、そんな状況変化の発端にあったのがギター奏者をバンドに入れたマイルズ・デイヴィスやオーネット・コールマン(2006年3月27日)のエレクトリック・バンドの編成(それは、ソウルやロックの台頭に、ある意味リアル・ジャズが敗北/追従したことも意味した)だった。その後紆余曲折を経て、現代ジャズ表現においてギターは重要な楽器となっているのは間違いない。それはギターがメインの楽器となるのが当然のロックやソウルの先にあるものとしてジャズをやろうとしている人が多いことや、ギターという楽器がもともとエフェクトをかけやすい=かけても違和感の少なくない楽器であり(オレ、管楽器にそれをやられると基本イヤな心持ちを得る)、それが現代ジャズの表情を出すのにとても強みとなるということが大きい。一方、ECMは多大なジャズ美意識を出した突出した欧州ジャズ・レーベルであったが、当初からテリエ・リピダルをはじめギター奏者を優遇する傾向になぜかあった。それは、それまでギターが主役となり得なかったジャズの世界において、この身体と直接的に繋がった感覚を持つ弦楽器はおおいにコンテンポラリーなジャズを形作る際の武器になるというアイヒャーの慧眼があったからではないだろうか。
▶過去の、ビル・フリゼール
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-7.htm
http://43142.diarynote.jp/200605160543260000/
http://43142.diarynote.jp/200905101005501321/
http://43142.diarynote.jp/201102091715522875/
http://43142.diarynote.jp/201701131141476377/
http://43142.diarynote.jp/201701141241544133/
https://43142.diarynote.jp/201706190940184750/
▶過去の、キース・ジャレット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-4.htm
http://43142.diarynote.jp/200705181807060000/
▶過去の、ロニー・ロリンズ
http://43142.diarynote.jp/200511130413390000/
▶︎過去の、オーネット・コールマン
http://43142.diarynote.jp/200603281335030000/
 現代ジャズ界を代表するドラマーのひとりであるケンドリック・スコット(ド(2009年3月26日、2013年2月2日、2013年8月18日、2013年9月11日、2015年2月4日、2015年11月10日、2016年3月1日、2017年1月18日、2017年1月23日、2018年5月28日)のリーダー・グループのショウを見る。南青山・ブルーノート東京、セカンド・ショウ。満場、おおおこんなにスコットって人気あったのって感じ。

  オラクルのメンバーであるリードのジョン・エリス(2006年4月17日、2002年1月24日、2013年9月11日)、ギターのマイク・モレノ(2008年11月22日、2013年9月11日、2015年11月10日、2016年2月3日、2017年1月23日、2018年9月11日) 、ピアノとキーボードのテイラー・アイグスティ(2009年6月24日、2013年2月2日、2013年3月19日、2013年9月11日、2015年11月10日、2016年2月3日、2017年1月23日、2017年3月10日。おっさんになっちゃたなー。とはいえ生と電気の両づかい、何気に芸あり)、ダブル・ベースのジョー・サンダース(ベース(2013年9月11日、2017年1月23日、2017年6月7日)という面々が勢ぞろい。2019年新作『A Well Becomes a Breidge』(Blue Note)も同じメンバーのもと、デレク・ホッジ(2002年7月3日。2005年8月21日、2009年3月26日、2009年12月19日、2010年12月16日、2012年6月12日、2013年1月25日、2014年1月10日、2018年9月1日)の制作で作られていますね。

 これまでで、一番緊密なインタープレイを持つ集団演奏を繰り広げる。たとえばスコットはこれまでで一番ソロを取る時間は短かったが、サウンド総体を繊細にして個性的なスティック/足さばきで動かし、操っていく様はすごっ。他の構成員も十全に他者と音を交わし、コンセンサスのとれた音塊をこさえる。それでいながら、こってりとした濃さではなく、浅薄とは無関係の淡さのような感覚がサウンドにあるあたり、今様なジャズ表現であるとも断じたくなるか。エリスとモレノは譜面を置く。固定メンバーとはいえそれも無理はないかとも頷かせる、いかにも今っぽいレイヤー感を孕む複雑な曲(しれは、メンバーやホッジのオリジナル)をやるものな。現代ジャズ実演の精華のひとつが、確かにあった。

▶過去の、ケンドリック・スコット
http://43142.diarynote.jp/?day=20090326
http://43142.diarynote.jp/201302041827243806/
http://43142.diarynote.jp/201308191407221107/
http://43142.diarynote.jp/201309161510164697/
http://43142.diarynote.jp/201502051100298160/
http://43142.diarynote.jp/201511120022503788/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160301
http://43142.diarynote.jp/201701191854055570/
http://43142.diarynote.jp/201701240949045953/
https://43142.diarynote.jp/201805290906425481/
▶︎過去の、ジョン・エリス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-1.htm
https://43142.diarynote.jp/200604181149370000/
https://43142.diarynote.jp/201309161510164697/
▶過去の、マイク・モレノ
http://43142.diarynote.jp/?day=20081122
http://43142.diarynote.jp/?day=20130911
http://43142.diarynote.jp/?day=20151110
http://43142.diarynote.jp/?day=20160203
http://43142.diarynote.jp/201701240949045953/
https://43142.diarynote.jp/201809121745334226/
▶過去の、テイラー・アイグスティ
http://43142.diarynote.jp/200906300951327850/
http://43142.diarynote.jp/201302041827243806/
http://43142.diarynote.jp/201303221327416224/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130911
http://43142.diarynote.jp/?day=20151110
http://43142.diarynote.jp/?day=20160203
http://43142.diarynote.jp/201701240949045953/
https://43142.diarynote.jp/201703111128438897/
▶︎過去の、ジョー・サンダース
http://43142.diarynote.jp/?day=20130911
http://43142.diarynote.jp/?day=20170123
https://43142.diarynote.jp/201706081034584863/
▶過去の、デリック・ホッジ
http://43142.diarynote.jp/?day=20050821
http://43142.diarynote.jp/?day=20090326
http://43142.diarynote.jp/200903271727246000/
http://43142.diarynote.jp/201001051625155901/
http://43142.diarynote.jp/201012171104366095
http://43142.diarynote.jp/201206141342549869/
http://43142.diarynote.jp/201301270742196778/
http://43142.diarynote.jp/201401161534392423/
https://43142.diarynote.jp/201809051532324111/

<6年前の、ケンドリック・スコット>
 スコットは1980年、ヒューストンの生まれ。同地の芸術高校(Kinder High School for the Performing and Visual Arts )の1年先輩がロバート・グラスパー(2007年10月3日、2009年4月13日、2009年12月19日2010年12月16日、2012年6月12日、2013年1月25日、2014年8月20日、2015年6月8日、2016年12月20日、2017年6月5日、2018年1月3日、2019年1月12日)で、ビヨンセ(2001年6月25日、2006年9月4日)は1年後輩。他にもジェイソン・モラン(2007年1月16日、2007年1月17日、2008年4月6日、2013年1月6日、2015年1月20日、2015年1月21日、2017年4月11日、2018年1月24日)やマイク・モレノ(2008年11月22日、2013年9月11日、2015年11月10日、2016年2月3日、2017年1月23日、2018年9月11日) からウィルター・スミスⅢ(2009年3月26日、2015年11月10日、2016年2月3日、2017年3月10日)やクリス・デイヴ(2009年4月13日、2009年12月19日 、2010年12月16日、2012年9月21日、2013年9月28日、2015年8月18日、2016年1月25日、2016年10月11日、2018年6月2日)まで同校卒業生はいろいろ。以下の質疑応答はジャズ・ジャパン誌かCDジャーナル誌かイントキシケイト誌用に録った2013年のインタヴューで(彼には複数取材していて、雑誌提出用原稿が見当たらず、どこから依頼されてやったやつか分からなくなっちゃった。なんにせよ、これが彼に一番最初にしたものだ)、話はその高校のことから入っている。

——高校は、グラスパーとビヨンセにはさまれていんですよね?
「うん。僕の見解では、あの高校は大学みたいな感じだね。生徒の親の支援のあり様もすごいもんがある。学区がない学校でいろんな所から集まり、オーディションを通りさえすれば入れる学校なんだけどね。そして、先生たちが教える中で、大人の価値観を根付かせている。それって大切なことだし、弱肉強食の概念も植えつけられる。やはり、高校の水準を超えた教育があそこにはあった。音楽に限らないが、やはり一つ上の基準を与えられると、素晴らしいものが生まれるのは間違いない。いろんな人がそこから出ているけど、エリック・ハーランド(2005年5月11日、2007年10月3日、2008年4月6日、2013年1月6日、2017年1月12日、2017年1月13日、2017年3月10日)は憧れの存在だった。4年先輩だったんだけど、僕は彼を見上げながら切磋琢磨し、もしかすると自分もドラマーとして食べて行けるかとも思うようになったんだ。まさに、彼は僕のなかで重要な人だ。健全な競争がそこにはあって、1年下のジャマイア・ウィリアムス(2009年5月18日、2012年3月3日、2013年4月1日、2013年6月4日、2014年8月7日、2015年1月22日、2017年8月15日 )には脅威を感じたな。僕がしくじったら、次は彼だというのが分っていたから、もう学校でも家でも精進した。そういうことは、僕以外の生徒もそうで、本当に学校内には良い意味での競争があった」
——子供のころから、音楽が一番の存在でした?
「音楽以外に何も知らない、鈍感で世間知らずな奴さ。ドラムさえ叩けばハッピーであったし、それ以外考えられなかった。忘れられないのは、最初にドラムを演奏してお金をもらったとき。50ドルもらって、こんな楽しいことをやってお金をもらえるなんて最高だなと思った。僕が常々思っていたのは、神からドラムの才をもらった。だから、それを使うだけではなく、伸ばしていかなくてはならない、世のために使わなくてはいけないということだった」
——最初にドラムを叩いたのは?
「最初に叩いたのは、6歳。そのころから、親の聞いているゴスペル、R&B、クラシックなどいろいろ聞いた。母がクラシックのピアニストで、彼女はNYフィル・ハーモニーのティンパニー奏者に僕がなることを望んでいた。ま、方向は違ったけど、彼女も今の僕には喜んでいる。ジャズは高校に入る前後から聞き出した。まず、憧れたのはマックス・ローチ。あんなにメロディックなドラム・ソロは初めて聞いた。それで、ドラムは無限大なんだなと痛感した。もちろん、ドラムは人類最初の楽器であるわけなんだけど、リズムの基盤としての楽器であり、音楽の創造性にすごい影響を及ぼす楽器だ」
——高校卒業後、バークリー音大は4年通ったんですか。
「音楽教育を専攻したんだけど、ツアーに出て通えなかったりもし、5年通ったよ」
——それで、テレンス・ブランチャード(2002年7月3日、2005年8月21日、2009年3月26日、2013年8月18日)のバンドに入ったわけですか?
「それについては、おもしろい話がある。大学が終わる頃に、まずジョー・サンプル(2005年3月8日、2009年11月5日、2011年5月17日、2012年9月8日)から連絡があった。ヒューストンで開かれたパーティで一緒になったことがあったんだけど、その5年後に君のことを覚えているんで、ザ・クルセイダーズ(2005年3月8日)のオーディションを受けに来いって連絡を受けた。それで4月に受けて、夏にツアーに出た。その一方、テレンス・ブランチャードからも誘いの電話があったんだ。そっちは、残念ながら断らざるを得なかった。そしたら、ザ・クルセイダーズのツアーが終わったら、こっちのバンドに入ってほしいと言ってきた。卒業して(ボストンから)NYに出る前に、確かな仕事が2つも決まっていたわけだね。それには、両親が喜んだな」
——テレンスから得たものは大きいんですよね。
「ああ、彼は導師であり、兄でもある。バンドから離れた部分で学んだことも多いし、音楽には彼の人生が反映されているということを横で学んだよね。そんな彼に最初に教えられたのは、勇気を持つ重要性。大学を出たばかりで、僕はやはり先達を模倣する演奏をしていた。テレンスのバンドの僕の前任者はエリック・ハーランドで、僕は最初バンドに入ったときそれを真似した。でも、それだとうまくいかなかった。もっと奥まで突き詰めて、それを自分のなかから出る自然なものとして出さないとうまくいかないんだ。で、そういう学びが僕のリーダー・アルバムの出発点となっている。彼から教わったのは、音楽家が世に出した音楽はなんらかの意味を持っていなければならない。そこで必要となるのが、そのときの自分の素直なポートレートを皆に出す勇気なんだ」
——あなたは、自分で曲を作りますよね。
「それも、テレンスが背中を押してくれたというのはある。自分が感じたことを曲に書くということをね。バッハ、ベートーヴェン、ウエイン・ショーター(2001年8月3~5日、2002年8月25日、2004年2月9日、2014年9月7日、2015年9月6日)とか、世には素晴らしい作曲家がいるがなか、自分も曲を書くというのは躊躇するところはある。そんな僕の背中を押したのが彼。自分のなかのアイデアがカタチになって花開いていくのは輝ける作業であり、誇らしいものなんだ、と。テレンスに教えられたのは、そのプロセスに加わりなさい、さすれば報われるということ」
——そして、初アルバムの『The Source 』(World Culture Music)は2006年にリリースされました。
「そのファースト(ビョーク:2001年12月5日、2008年2月22日のカヴァー以外は、オリジナル)と次のオラクル名義による『Reverence』(Criss Cross、2010年。ショーター、デューク・ピアソンン、オーネット・コールマン:2006年3月27日らカヴァーが大半を占める)は僕が少年のころに影響を受けた人たち、あの頃聞いていたものへの、自分なりのオマージュと言えるね」
——そして、3作目となる『Conviction』(World Culture Music)はあなたのリーダー・グループのオレクルの2枚目とまりますよね。わざわざグループ名を名乗る理由は?
「僕のオールタイムのお気に入りはスティーヴィ・ワンダー(2005年11月3日、2010年8月8日、2012年3月5日)であり、プリンス(2002年11月19日)なんだ。彼らって、1曲単位で聞かれるんではなくてアルバムとして聞き、その全部に魅了されてしまう。だから自分の書いた新旧の曲〜レパートリーを増やして、僕の全集たるものとして出したかった。1枚目は僕がお世話になっている友達が参加しているけど、今回はきっちり5人で録った。少人数、きっちりバンドとしての音にこだわりたかったんだ。また、多様性をもつことにも留意した」
——そこでスフィアン・スティーヴンスの曲を取り上げていますが、好きなんですか。
「うん、好きなんだよ。エレクトロニクなんだけど、ポップなセンシティビリティがあるから。そして、リズムの感覚がずれているのが共感を持てる。彼がどう考え組み立てているかが興味深く、なんかミュージック・サイエンティストという感じがするよね。新作については、自分の好きな音楽を、違うサウンド、違う空間で、皆んなに紹介したいというのがあった」
——レディオヘッド(2001年10月4日、2004年4月18日、2008年10月4日、2016年8月21日)も好きですか。
「もちろん。レディオヘッドが出すソニック・スペースって、僕が演奏してもおかしくないものとと思えるからね。でも、同時にエルヴィン・ジョーンズのソニックも好きだし、どこで折り合いをつけるかが肝要だね」
——クリスチャン・スコット(2008年7月23日、2008年9月10日、2009年1月31日、2009年9月15日、2010年9月3日、2011年12月17日、2015年10月8日、2016年11月1日、2017年10月31日)もレイディヘッドの大ファンですよね。
「ほんと、彼も愛好しているよね。確かに、彼とは好きな音がとっても近いんだよね。おもしろいことに、名字が同じなので皆僕たちのことを親戚なんじゃないかと思っているんだ」
——レディオヘッドらの同時代のポップ・ミュージックを聞き、その良さを分っている。そして、それと平行して進んで行くようなジャズをあなたは作ろうとしていると思います。
「ありがとう。今を感じさせるものとジャズをジャズ足らしめるものの共存を、僕は意識しているからね。たとえば、エルヴィンの『オン・ザ・マウンテン』(キーボードのヤン・ハマーとベースのジーン・パーラによるトリオの1975年盤。パーラのPMレーベル発)を聞くとエレクトリックな行き方を問いつつ、彼一流のスピリチュアルな重さもちゃんとある。時代性と強い個がちゃんと平行している。僕もそういうことををやり続けて行きたい。今を生きるというのは、新しいものを常に察知し、発見していかなくてはならない。これからのジャズはそういう挑戦になって行くと、僕は思っている」
▶過去の、ロバート・グラスパー
http://43142.diarynote.jp/200710121727100000/
http://43142.diarynote.jp/200904150840164356/
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http://43142.diarynote.jp/201012171104366095/
http://43142.diarynote.jp/201206141342549869/
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▶過去の、ビヨンセ
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▶過去の、ジェイソン・モラン
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▶過去の、ウォルター・スミスⅢ
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▶過去の、クリス・デイヴ
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▶過去の、エリック・ハーランド
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http://43142.diarynote.jp/201301151731112021/
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http://43142.diarynote.jp/201701131141476377/
http://43142.diarynote.jp/201701141241544133/
http://43142.diarynote.jp/201703111128438897/
▶過去の、ジャマイア・ウィリアムズ
http://43142.diarynote.jp/?day=20130401
http://43142.diarynote.jp/200905191118258984/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120303
http://43142.diarynote.jp/201306060730086224
http://43142.diarynote.jp/201408091058201133/
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http://43142.diarynote.jp/?day=20170815
▶︎過去の、テレンス・ブランチャード
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-7.htm 3日
http://43142.diarynote.jp/?day=20050821
http://43142.diarynote.jp/200903271727246000/
http://43142.diarynote.jp/201308191407221107/
▶︎過去の、ジョー・サンプル
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▶︎過去の、ザ・クルセイダーズ
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▶過去の、ウェイン・ショーター
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-8.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/framepagelive.htm
http://43142.diarynote.jp/200402091738240000/
http://43142.diarynote.jp/201404161959228005/
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▶過去の、ビューク
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http://43142.diarynote.jp/200802230934310000/
▶過去の、スティーヴィー・ワンダー
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▶過去の、プリンス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 2002年11月19日
▶︎過去の、オーネット・コールマン
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▶過去の、レディオヘッド
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-10.htm
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▶過去の、クリスチャン・スコット
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 午後、まず映画の試写を二つ見る。六本木・キノフィルムズ試写室と東銀座・松竹試写室。ともに、7月上旬から公開される。

 ポール・ダナという34歳の伸び盛り俳優について細かい知識は何も持ち合わせていないが、真摯な映画大好き野郎なんだなあと大きく頷いた。この2018年米国映画「ワイルドライフ」は彼の初監督、脚本、制作作品となる。彼のパートナーの、女優ゾーイ・カザンが共同脚本と制作を務める。これをとおして二人は絆を強めたんじゃないか。逆に別れたら別れたで、そんな極限へと導いしまった渾身の一作という言い方も可能だろう。←外野は、無責任なことを書きますねー。

 原作があって、1944年生まれの著名作家であるリチャード・フォードのちょい貧し気味の家族の崩壊と再生の兆しを描く1990年の同名作がそれ。舞台はカナダに近いモンタナ州の田舎街で、時代は1960年ごろ(当時、ヤンキースの大スターであるミッキー・マントルの名前がセリフにでてくる)で、登場人物は100%白人だ。パっと見た感じは、自動車や調度品なんかをのぞけば、今の地方都市を扱った映画としても納得しちゃうかもしれない。

 と、これは否定的な物言いに見えるかもしれないが(それは、作り手にとっては意図的ではないと思う。そうだとしたら、それはそれですごいが)、米国絶頂時(それは、徴兵制もしっかりあった時代ですね)の白人家庭の人間関係を丁寧に描いていくこの映画は、ぼくにとってはそれなりにヘヴィーで、いろんなことを考えさせる力を持っていた。それ、ぼくが子供のころ、一時両親の仲が良くなかったことも影響しているかもしれない。映画作りの主導は30代のようだが、こんなはったりゼロの生理的に高潔な映画を作ることができる人がいるということを明白に知らせるだけでも、この映画は価値があると思う。

 ラジオやレコード・プレイヤーからはいくつものオールディーズが流れる。とともに、劇中音楽を担当しているのは学究派でいろんなことをやってきているデイヴィッド・ラング。ここでは淡い、シンセ系音使用のと管楽器使用の断片の二つが柱。後者の方が良い。

 その後は、月に逃げその裏側に秘密基地を作り生きながらえたナチスが地球をアタックするという荒唐無稽なストーリーの2012年作「アイアン・スカイ」がけっこう話題となった映画の続編を見る。前作は2018年設定で、今回は2047年が舞台。初作がクラウド・ファウンデーションを介して制作されたの同様、今作も全体の制作費の10パーセント以下のようだがそれを通す。

 前回と同じく、1979年生まれフィンランド人のティモ・ヴオレンシア。役者は多国籍だが、ばかばかしくもヘンテコなアイデアを生真面目(?)に綴っていく様に触れつつ、著名人アキ・カウリスマキをはじめ、フィランド人不思議すぎと思わずにはいられず。独特の諧謔もまたしかりで、ビン・ラディン、マーガレット・サッッチャー、スティヴ・ジョブズらの悪意あるパロディ的引用もある。音楽は前作に続き、英ミュート・レコードの諸作が知られる、旧ユーゴスラビアの変調バンドのライバッハが担当している。

 最後は、六本木・ビルボードライブ東京(ファースト・ショウ)で、女性シンガーのターリ(2018年11月1日 )を見る。昨年のホセ・ジェイムズ(2008年9月18日、2010年11月11日、2011年1月12日、2012年2月18日、2012年9月13日、2013年2月15日、2014年7月27日、2015年2月15日、2016年2月16日、2017年2月15日、2018年2月21日、2018年11月1日 )の公演に同行し、ジェイムズ登場前にちらり一人でパフォーマンスしたシンガー/鍵盤奏者で、ジェイムズの彼女だか嫁だかと聞いたことあるような。たしかに、彼女はタリア・ビリグという名前でジェイムズと曲を共作している。

 そんな彼女の2019年デジタル・リリース作『HERE I AM HERE』は、ジャイムズが作った新レーベル“レインボウ・ブロンド”からのもので、それはオリジナルを本人が作ったトラック作りをした曲を歌うというシンプルな内容で、愛し合う二人のデュエット曲はあるのの、プロデューサーは別な人を立てている。

 小鍵盤とPCを扱いながら歌う彼女を、シンセサイザー奏者とドラマーがサポート。ニューヨーカーの彼女はジューイッシュ3世で、曲によってはそちらのノリがほんのり出ることもあり。アンコールで歌ったフォーク曲というのはたぶんヘブライ語であったのではないか。1曲ピアノ弾き語りを見せた局面もあり、彼女の根にあるのはしなやかな米国人ピアノ弾き語り基調の担い手ではないのか。それが今を呼吸せんとするなかでシンセ基調表現に昇華されているのがよく分かるパフォーマンスだった。

 意外だったのは、もう絵に描いたようなキャピキャピしたノリを無防備なほど露わにしていたこと。そんな社交的とも言える彼女はかつてオーチャード・セッションズというのを個人的に開いていて、ジェイムズはそれで彼女のことを知り、ヤラれてしまったとか。彼女はジェイムズと同じザ・ニュー・スクール大学でジャズ・ヴォーカルを学んだようだが、自身の表現にジャズ色は皆無。世代は違い、オーチャード・セッションズが両者の初めての出会いの場であったようだ。途中と最後に、計3曲でジェイムズはステージに出てきて悠々と歌う。ビル・ウィザース憧憬モード風体にある彼は、今一番見た目が格好いいのではないか。

▶︎過去の、ターリ
https://43142.diarynote.jp/201811021046075049/
▶過去の、ホセ・ジェイムズ
http://43142.diarynote.jp/200809191051472579/
http://43142.diarynote.jp/201011140051119042/
http://43142.diarynote.jp/201101131336421886/
http://43142.diarynote.jp/201202200901013744/
http://43142.diarynote.jp/201209191239346073/
http://43142.diarynote.jp/201302181044151204/
http://43142.diarynote.jp/201408051020111821/
http://43142.diarynote.jp/201502170939564537/
http://43142.diarynote.jp/201602181207326029/
http://43142.diarynote.jp/201702201427067352/
http://43142.diarynote.jp/201802221538438234/
https://43142.diarynote.jp/201811021046075049/

<今日の、博識くん>
 二つ目の試写場に行くと、同業知り合い先輩に似た人が座っている。あれ? でも、試写会では会ったことがないし、イメージより少し小汚いような。隣には、“三つ子の魂〜”的な感じでディスク・ユニオンのレコード袋がおいてあるし、やっぱそうだろうなと声をかけるとやはりそう。「あれ、めずらしいよね。試写会で会うとは」と言うと、普段は行かないという。彼、SF小説好きだったって、前に言っていたことがあったっけ。終映後にいろいろ話したが、彼はガンを患ったお母様を長年にわたりケアをし、より良い治療を受けさせることができるよう主治医と完璧にやりとりするために、そうとうにそっち方面の知識を得ようとしたらしい。近年は会った際、コドモの話が多かったからなあ。親孝行、たっぷりしたのだなー。仕事しながらよく勉強したよねえと、まんざらでもなさそう。かつて原発通として名をはせた彼は、今ガン通であったのか。ガンのことなら、聞いてくれ。だそうで、万が一のときはききますねー。
 ホラー映画は好みではない。そんなに見たことはないが、怖がる以前にアラや不自然さを覚えてしまい、感情移入できなくて困ってしまうのだ。“サイコロジカル・シチュエーション・ホラー”と試写状に期してあり、行く予定はなかったが、ゴールデンウィーク明け以降に根を詰める仕事が重なりもし、当座の案件群が手を離れたこともあり、サクっと気分転嫁したくなり、半蔵門・東宝東和試写室に向かった。

 そしたら、いくつかの部分でレレレ。これ見よがしな暴力場面やヒーロー礼賛主義(主役はドラック売買をするギャングの頭なんだけどね)など他愛ない設定ではあるのだが、ぼくが想像していた浅薄さとは一線を画する重さのようなものを抱えていてちと驚いてしまった。

 ぼくは知らなかったが、そもそも「ザ・パージ」というのは2013年に初回映画が作られた人気シリーズで、続編映画やTVシリーズもそれに続いているのだという。“ザ・パージ”とは遠くない未来に経済が崩壊した合衆国で<新しい建国の父たち(the New Founding Fathers of America)>という新政党が旧2大政党に代わり政権を担ったことで、彼らが導入した施策のこと。それは年に一晩(12時間)殺人を含むすべての犯罪が合法化されるというもので、それにより通常の犯罪率が低下したり、社会保障費の低減が望めるという意図を持つ。で、今回の2018年米国映画は原題が「The First Purge」とされているように、現状打破のために<新しい建国の父たち>がニューヨーク州スタテン島で最初にザ・パージを試行する様を扱う。

 参加者は無条件に5000ドルがもらえ、さらに犯罪を重ねると報酬が加算される。嫌な人は島から離れてよく、残るのは出口なしの有色の低所得者たち。白人の役者が演じる為政者たちはザ・パージ法を実行する上で持たざる貧乏人を一掃せんという謀略を図っており……。

 <新しい建国の父たち>は米国ライフル協会が推す政党であったりすることも映画中では語られるのだが、ドナルド・トランプが長についてしまったアメリカにおいてはどんな荒唐無稽なことが起こるか分からないという、明確な警鐘を持つ映画であるとぼくは受け取った。事実、日本においてはちちらしなど扇情的なホラー的写真が宣材として持ちられているが、少なくても米国における劇場公開告知ポスターはザ・パージ法の実施に反対する人たちの警察官を前とするデモの様を描いた写真が用いられている。

 もう一つ感じずにはいられなかったのは、これは<ブラック・ムーヴィ>であるということ。監督のジェラード・マクマリーはハワード大学を出ていると資料で紹介されているのでアフリカ系だろうし、そこには彼が子供のころに「ボーイズン・ザ・フッド」や「ドゥ・ザ・ライト・シング」といった新ブラック・ムーヴィにシンパシーを持ったことも記されている。使われる音楽は、ヒップホップが主。スタテン島で奮闘する役者たちはアフリカ系だが、そのリベラル派の最たる役所を担う女優のレックス・スコット・デイヴィスの「この映画の怖いところは、アフリカン・アメリカンをはじめとするマイノリティのグループがこれまで経験してきた隔離と繋がるような描写があること。気味の悪いピエロや残酷なマスクの対極には、KKKの頭巾や黒人をからかったメイクや差別的なミンストレル・ショーみたいなものがある」というコメントも出されている。

<今日も、冷え冷え>
 こんな“白いアメリカの為政者”の危険性を告発する内容も孕む現反米映画の配給は、メジャーのユニヴァーサル映画。興行成功作で、予算の10倍の収益を上げたという。今、トランプと変わらない現日本政権を危惧する映画を世に出す邦大手はないだろうとも思わずにはいられず、帰り道に暗くなった。実際、肌寒い気候でした。

 6弦のエレクトリック・ベース奏者がメンバーに入っているショウをはしごした。六本木・ビルボードライブ東京と南青山・ブルーノート東京。

 まずは六本木で、今様UKジャズのキーボード中心奏者のヘンリー・ウーことカマール・ウィリアムスの実演を見る。テナー・サックスの栗原 健(2011年6月16日、2012年12月6日、2013年5月24日、2013年6月6日、2017年3月9日、2018年6月2日)、電気ベースのマーロン・スピアーズ 、ドラムのグレッグ・ポールを伴ってのもの。当初サックス奏者も外国人の名前が案内されていたが、日本で調達することになったよう。その栗原をはじめ、皆んな譜面をおかず。プリセットの音は一切用いず、4人でカタマリ感と伸縮性を併せ持つライヴ演奏を披露する。

 ウィリアムズの電気キーボードやピアノの演奏は想像していたよりも、線が太かった。存在感、あり。とともに、あまり新奇な要素を入れず穏健でもあった。達者なリズム隊(彼らはジャマイカ系かアフリカ系)を伴うそれは、リズムがアップデイトされたパワー・フュージョンという感じ。栗原も堂々と絡み、このままずっとツアーを一緒にやっちゃえばとしっかり感じる。彼、おいしい役どころを得ていた。

 途中、ステディなビートの曲で、日本人の3人のダンサーが出てきて踊る。おお、雑誌「ストレイト・ノー・チェイサー」を作ったポール・ブラッドショウとか、ザ・ジャズ・ディフェクターズといった名前が頭のなかで蘇り、1980年代後期に<ジャズで踊る>ムーヴメントがロンドンにしっかりあったことを思い出す。そして、その流れに続いたのが、ポール・マーフィーやジャイルズ・ピーターソン(1999年5月21日、2002年11月7日、2004年1月16日、2008年9月18日、2012年9月13日、2013年11月1日、2016年10月8日)ら新しい感覚を持ったDJたちだった。あの頃、それほどタイム・ラグもなく日本に英国の新しいジャズの捉え方や態度が紹介されていたんだよなー。

 実は開演時間を間違え、頭の25分間は聞いていない。ウィリアムスはエレクトリック・マイルズをヒップに再提出したような「スニッチズ・ブリュー」という曲を発表しているが、それはやったろうか。ロニー・リストン・スミス(2003年10月16日)を思い出させる場面や、最後の曲はハービー・ハンコック(2000年3月14日、2001年12月27日、2003年8月23日、2005年8月21日、2012年3月3日、2014年9月7日、2015年9月6日、2016年9月3日、2018年9月1日)のヘッドハンターズのりのメロウ曲だった。そこここに、俯瞰の視点を伴う英国人らしさはありました。

▶︎過去の、栗原健
http://43142.diarynote.jp/?day=20110616
http://43142.diarynote.jp/201212131541413347/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130524
http://43142.diarynote.jp/201306111556299464/
http://43142.diarynote.jp/201703111127396253/
https://43142.diarynote.jp/201806051311346158/
▶過去の、ジャイルズ・ピーターソン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live2.htm 1999年5月21日
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200401160000000000/
http://43142.diarynote.jp/200809191051472579/
http://43142.diarynote.jp/201209191239346073/
http://43142.diarynote.jp/201311021703148497/
http://43142.diarynote.jp/201610140945007657/
▶︎過去の、ロニー・リストン・スミス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-10.htm
▶過去の、ハービー・ハンコック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm
http://43142.diarynote.jp/200508230545510000/
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/
http://43142.diarynote.jp/201509220833541918/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160903
https://43142.diarynote.jp/201809051532324111/

 一方、カルロス・サンタナ(2013年3月12日)の嫁(2008年12月16日、2013年3月12日)である豪腕ドラマーの実演は笑っちゃうぐらいにパワフル。見た目も若々しくスリムで(ジムで鍛えているんだろうなー)、とても今年還暦になるなんて思えない。こちらはキーボードのザッカイ・カーティス、エレクトリック・ギターのオーレリアン・バディネック 、エレクトリック・ベースの長身フェリックス・パストリアス(2014年1月15日)がつく。3人とも、白人。弦楽器の二人は譜面を前にする。

 ビートがもうゴツゴツした質感を持つこと、ロッキッシュな弾き方もするギターがメロディ楽器の中では一番前に出されることもあり、これはハイパーなジャズ・ロックだという印象を終始持つ。だが、ボンボン聞こえるベース・ドラムは頭には入れないし、ハイハットも足での開閉はしてもスティックではあまり叩かず(ともに、8ビート登場後に出てきた奏法だ)、レギュラー・グリップでことにあたる彼女はやはりジャズの流儀を持つ奏者なのだと悟るナリ。やはり、1番の影響源はトニー・ウィリアムスか。いろんなロールを介し、高速でスネアやタムを叩き倒していく様に触れると、彼女は手首を痛めたりしないのと誰もが思ってしまう? 何気に入り組んだ曲をやるのだが、そのドカスカ叩く塩梅から部分的にはカルロス・サンタナとバディ・マイルスのハワイのダイアモンドヘッドでの1972年ライヴ盤も思い出させる? いやー、妙な米国ミュージシャンの凄さを感じさせられました。

▶︎過去の、シンディ・ブラックマン・サンタナ
https://43142.diarynote.jp/200812281442184528/
https://43142.diarynote.jp/201303211531189619/
▶︎過去の、フェリックス・パストリアス
https://43142.diarynote.jp/201401171005571275/

<今日の、覚書>
 セカンドは今まで通り21時半開演だが、ビルボードライブの平日ファーストの開始時間は18時半になったよう。間違えないようにしなければ。オレ、ここのところ開演時間の変わる休日や平日のセカンドに行っていたのかなー? ところで、ロンドンに遊びにいっていた知り合いの音大生が、わざわざスコットランドにイヴニン・グレニー(2004年5月31日)のライヴを観に行っただけでなく、マネージャーに突貫連絡の末、個人レッスンをうけてきたそう。おお。体験であったそう。
▶︎過去の、イヴニン・グレニー
https://43142.diarynote.jp/200406090118170000/
選曲をやってまして、5〜6月のテーマは<摩天楼=ニューヨークを奏でる〜NEW YORK! NEW YORK!>。ニューヨークにまつわるジャズ曲をコンパイルしています。国際線搭乗のさいは、どうぞよろしく。

1.ニューヨーク・ニューヨーク/フランク・シナトラ
シングル・リリース(リプリーズ、1980年)
2.オン・ブロードウェイ(シングル・ヴァージョン)/ジョージ・ベンソン
『ウィークエンド・イン・LA』(ワーナー、1977年)
3. A列車で行こう/デューク・エリントン・オーケストラ
『ホット・ザマー・ダンス 』(コロムビア、1960年)
4.ブロードウェイ/レイ・ブライアント
『サウンド・レイ』(キャンディド、1969年)
5.マンハッタン/リー・ワイリー
『ア・ナイト・イン・マンハッタン』(コロムビア、1950年)
6.ブロードウェイの子守唄/ドリス・デイ
『ララバイ・オブ・ブローウェイ』(コロムビア、1951年)
7.マンハッタン・デイライト/木住野佳子
『ポートレイト』(GRP、2003年)
8.ニューヨークの想い/トニー・ベネット・ウィズ・ビリー・ジョエル
『ウィズ・マイ・フレンズ』(コロムビア、2003年)
9. 78th & 3rd/リー・リトナー
『リット・ハウス』(GRP、2002年)
10.ビッグ・アップル・ジャム/マンハッタン・ジャズ・クインテット
『ザ・サイドワインダー』(パドル・ホイール、2004年)

 彼の新譜『オウト・オブ・ザ・ブルース』(コンコード、2019年)、枯れた男の歌という感じでけっこう好きなんだよなあ。かつてスキャッグスはブルーノート東京に何度か出ていて、ぼくは見ているはずだが、ここでのその記載は見つからない。どこに行ったんだろう。

 渋谷・オーチャード・ホール。ギターを手にしながら、本人は歌う。アンコール時の「ウィ・アー・オール・アローン」以外は全部の曲で彼はギターを持った。別に持たなくてもサウンド総体にはあまり影響しないが、ギターなしだと手持ち無沙汰なんだろう。アンコールの2曲のブルース調曲において、彼はギター・ソロも取る。うち10分以上の尺を持っていたフェントン・ロビンソンのマイナー・ブルース曲「ローン・ミー・ア・ダイム」はちょうど50年前にアトランティックから出されたセルフ・タイトル作の目玉曲ですね。

 オープナーの「ジョ・ジョ」(そんなに彼の熱心なファンではないと思うのだが、何気に曲を知っていたなー)がはじまり口の中でもごもごしているような歌い方に触れ、すぐに大御所ブルーズン・ソウル歌手のボビー“ブルー”ブランドが大好きなんだあと感じたら、中盤で子供の頃からのアイドルみたいな紹介のもとブランドの曲もやった。ロッド・スチュアート(2009年3月11日)のサム・クック愛はとてもわかりやすいが、スキャッグスも同様ですね。彼は74歳だそうだが、元気そうだし、声もちゃんと出ていた。

 サポートは、ドラムのテディ・キャンベル、ベースのウィリー・ウィークス(2006年11月20日)、キーボードのマイケル・ローガンがアフリカ系で、パーカッションのブランリィ・メヒアスはヒスパニック系。そして、ギターのマイク・ミラーと鍵盤とリード(テナー、ソプラノ、ウィンド・シンセサイザー)とギターのエリック・クリスタルという陣容。キャンベルとローガンとメヒアスは裏声でコーラスもつける。新作レコーディング参加者は、ウィークスだけか。

 本編70分。2度のアンコールを含めると、100分ぐらいやった。新譜に準じて渋み傾向で行くのかと思ったら、「リド・シャッフル」とか「ロウ・ダウン」とか『シルク・ディグリーズ』からの曲を何気にやり、すると観客は大喜びとなる。ま、なんにせよ、AORの人ではなく、ブルー・アイド・ソウルの担い手という像は立てていたと思う。

▶︎過去の、ロッド・スチュアート
http://43142.diarynote.jp/200903130124118315/
▶︎過去の、ウィリー・ウィークス
https://43142.diarynote.jp/200611221236140000/

<今日の、ぼくの生活導師>
 学生時代にベースを主に弾いたぼくが一番コピーした人かもしれないのが、ウィリー・ウィークス。彼も70代に入ったようだが、変わらずスリムで若々しかったな。演奏のうねりは小さくなった気もしたが、けっこうサム・ピックで弾いていた。スキャッグスのメンバー紹介中、一番反応が大きかったのがウィークスではなかったか。そんな彼、ダニ-・ハサウェイの1972年実況盤『ライヴ』での演奏が何より知られるが、ぼくはもう少しあと、アンディ・ニューマーク(cf.スライ〜2008年8月31日、2008年9月2日、2010年1月20日〜&ザ・ファミリー・ストーン)とコンビを組むことも多かった一連のロック系レコーディングでグルーヴィな彼の存在を知った。ジョージ・ハリソン、スティーヴ・ウィンウッド(2003年7月27日)、ロニー・ウッド(2003年3月15日)、デイヴィッド・ボウイ、他。とくに、ジョー・ウォルッシュ(2011年3月5日)の“ミラー・ボール”(1976年リリースの実況盤『You Can’t Argue With a Sick Mind』)は大、大大大好きで、そこの「タイム・アウト」と「ロッキー・マウンテン・ウェイ」は死ぬほどレコードをかけて一緒にベースを弾き、有頂天になっていた。ぼくの人生というか生活における身のこなし〜揺れを規定した最たるメンター? ああ、もっと早く知っていたら、インタヴューしたかった。
▶過去の、スライ・ストーン
http://43142.diarynote.jp/200809011923060000/
http://43142.diarynote.jp/200809071428140000/
http://43142.diarynote.jp/201001211346277187/
http://43142.diarynote.jp/201505201630381899/ 映画
▶︎過去の、スティーヴ・ウィンウッド
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-7.htm フジ・ロック
▶過去の、ロニー・ウッド/ザ・ローリング・ストーンズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm 3月13日(バック・バンド)。15日
▶過去の、ジョー・ウォルシュ
http://43142.diarynote.jp/201103091707591166/

 夕方にアップリンク渋谷で、不世出のジャズ・ピアニストであるビル・エヴァンス(1929〜80年)の2015年米国ドキュメンタリー映画を見る。小さい会場とはいえ、満席でした。

 原題は、「Time Remembered: Life & Music of Bill Evans」。監督はウィントン・マルサリス(2000年3月9日)やヒュー・マセケラ(2005年7月20日)を扱ったドキュメンタリー他、いくつもの音楽ものを作っているというTV畑のブルース・シュピーゲル。彼はこれを作るのに、8年もの年月をかけたという。過去いくつもの映画際に出品されているもののDVDのみで公開され、一般に向けての映画館放映は日本が初だそう。そしたら、望外にずしんと来る作品で驚いた。

 それは彼のアルバムはそれなりに持っているものの、あの若い時代の生真面目端正な見かけに生理的に腰がひけ、彼のバイオをちゃんとチェックしたことがないからでもあったろう。くわえて、彼は能書き抜きに音楽だけでいいとぼくが悟ってしまったは、その純粋な音楽性ゆえ。昔(1990年代末かな?)プレスティッジやリヴァーサイドをソースとするコンピレーションを頼まれて組もうとしたとき、ぼくはうひゃあと驚愕。ジャズ・ピアノ中のジャズ・ピアノ、ピアノ・トリオ中のピアノ・トリオという定評を持つ彼だが、(大げさにいえば)それは嘘っぱちであった。超有名曲「ワルツ・フォー・デビィ」でもなんでもいいんだが、一聴繊細瀟洒でピアノ美学に溢れているはずの彼の表現は他のジャズ曲と並べるとなんか収まりが悪い。それは、エヴァンスの演奏がココロに嵐を持つというか、どこかで破綻するところを持っていて、オサレな流れを持つ曲並びのなかに入れると、どうしても浮いてしまうのだ。そこから、王道のピアノ美学を持ってそうでいながら異端、彼は<悪魔のドア>のようなものをしっかり抱えていると察せずにはいられず、なんか深いりすることはやめておこうとぼくは思ってしまったりもした。まあ、それ以上にセロニアス・モンクやアンドリュー・ヒル他、もっと魅力的にすんなりぼくのなかに入ってくるピアニストがいたせいもあるが。

 故ポール・モーシャン(プーさん〜1999年11月3日、2002年9月22日、2003年6月10日、2004年11月3日、2012年6月24日、2012年6月25日、2012年10月26日、2015年7月8日、2016年6月11日〜の晩年の最大の理解者だった彼、お洒落に映っているなあ)やマーク・ジョンソン(2006年6月28日、2015年2月8日、2017年6月20日、2018年6月4日)ら共演者(故ジム・ホールの説明、的を射ている)、リヴァーサイド・レコードの故オリン・キープニュースら関係者、義理の肉親などの話とともに、写真や映像なども組み合わせる手法はこの手の伝記映像の常套をふむが、迷いありのオンナ関係の流れもちゃんと伝えるなどもし、一方的に美化することなくエヴァンスの人生や音楽のすごさを映画は語る。エヴァンスの最大の負の面は、ヘロインに溺れ続けたダメ男であったこと。映画では一時抜けて、外見が“ちょい悪オヤジ”になったことにも触れるが、彼は本当にヤクに魂を売り続けた人のよう。なるほど、ぼくが感じた想定外の綻びはそういう部分がもたらしたところもあったのか。

 いろいろ考えてしまうし、研ぎ澄まされたピアノ・トリオ表現の恐ろしさをも伝える映画だ。最後に、ここに使った音楽はごく一部で、ちゃんと彼のアルバムを聞いてほしいというクレジットが出てくる。スピーゲル監督、ちゃんと音楽愛がある。

 ところで、エヴァンスはニュージャージー州のプレインフィールド生まれ、育ち。わあ、それもこの映画を見るまで知らなかった。プレインフィールドといえば、あのジョージ・クリントン(2002年7月28日、2009年9月5日、2011年1月22日、2013年4月12日、2015年4月12日、2016年11月29日、2019年4月30日)が住んだ街であり、同地で彼は床屋をやりながらそこに集まるバーニー・ウォレル(2007年8月7日、2011年8月12日、2012年7月27日、2013年1月30日、2014年10月28日、2016年6月24日)やエディ・ヘイゼルら若い衆を束ね、P-ファンクの基礎を築いたというのは有名な話じゃないか。そんなエヴァンスのお墓は南部ルイジアナ州バトンルージュにある。その理由は……。映画かDVDを見てください。

▶過去の、ウィントン・マルサリス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-3.htm
▶過去の、ヒュー・マセケラ
http://43142.diarynote.jp/200507220552110000/
▶過去の、菊地雅章
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/movember1999live.htm
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http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm
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▶過去の、マーク・ジョンソン
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https://43142.diarynote.jp/201806060708363548/
▶過去の、ジョージ・クリントン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-7.htm 触れていないが、フジ・ロック
http://43142.diarynote.jp/?day=20090905
http://43142.diarynote.jp/201102081256005311/
http://43142.diarynote.jp/201304150853287353/
http://43142.diarynote.jp/201504131109395934/
https://43142.diarynote.jp/201612011925201175/
https://43142.diarynote.jp/201905010724461038/
▶過去の、バーニー・ウォレル
http://43142.diarynote.jp/200708051740450000/
http://43142.diarynote.jp/201206011834355756/
http://43142.diarynote.jp/201208091303253665/
http://43142.diarynote.jp/201301311053069360/
http://43142.diarynote.jp/?day=20141028 
https://43142.diarynote.jp/201606250931166236/ 訃報

 その後は、南青山・ブルーノート東京に行って、ちょい触れる分には一切影のないアーティストの実演に触れる。セカンド・ショウ。

 主役のコーズ(2012年3月2日)は1963年LA生まれ、1990年からキャピトルから初リーダー作を出して以降、スムース・ジャズのメインストリームを行くサックス奏者だ。そんな彼についてはトホホなほど興味外だが、アシュフォード&シンプソン(2009年11月20日)のヴァレリー・シンプソン(2009年11月20日)が同行しちゃうというなら、これは行かずにはいられない。ナイス・ガイのベース奏者のクリス・ウォーカー(2003年3月13日、2009年6月15日、2014年11月19日。左利きで、スタインバーガー型のそれを弾く)もいるしね。他の同行者はブランドン・コールマン(2015年10月31日、2016年12月6日、2018年8月19日、2019年2月2日)のサポートで来てそれほどたっていないキーボードのカーネル・ハレル(2019年2月2日)、ギターのアダム・ホーリー、ドラムのジェイ・ウィリアムス。非白人である彼ら、みんな腕がたちますね。

 まあ、それはコーズもまったくもって同じ。テナー、アルト、ソプラノ、どの演奏も同じテイストに聞こえるものの実に確か。その様に触れていると、スムース・ジャズという温〜い表現はちゃんと楽器ができる人がやってこそ映えるものだと思ってしまう? また、そんな彼は陽性で、本当にお客思いのエンターテイナーでもあった。日本語と日本語調英語をまぜつつ(ゴールデン・ウィーク、令和、子供の日などの単語も出し、ショウの終盤に日本の曲「鯉のぼり」も演奏した)両手を広げる感覚100%で観客に働きけ、ときにウォーカーやホーリーも借り出してポーズを決めたりもする。実のところ、偏屈なぼくは最初のほう、痒いなあと見ていたんですけどね。

 でも、ウォーカーに大スタンダード「モーニン」(それは、かつて故アル・ジャロウが録音したことがあった)をベース弾きながらスキャットさせ、さらに彼は終盤に近く出るらしいアル・ジャロウ(2003年3月13日、2012年3月2日、2014年11月19日)のトリビュート盤収録曲を朗々と歌わせるなど、サイド・マンにもきっちり気遣いを見せ、また件のシンプソンが歌う際には、他の奏者たちとともに一生懸命コーラスをつけたりする様を見るうちに、ぼくのわだかまりは溶けていった。だって、本当に素のミュージック・ラヴァーの姿を出していたんだもの。

 そして、肝心のシンプソンだが、やはり素晴らしくも聞き手に入りこむ。実はぼくと同じ誕生日である彼女は72歳(旦那のアシュフォードはすでに鬼籍に入ってしまった)だが、若く見えるし元気いっぱい。ちょい喉が枯れているような気もしたが、それは4日間にわたり全力投球で歌ったからではないかと思わせよう。ぼくが見たのは最終日の最終ショウであった。

 どの曲も最初は電気キーボードの弾き語りで始まり、そこにバンド音がつき、途中から彼女は中央に出てきてマイクを持ち大ソングライターでもある自分の曲を歌うという手順を持つものであったが、とにかく覇気あり、かけがえのないソウル・マナーがあり。また、かつて作曲スタッフを務めたモータウン曲のメドレーもあり。最後は(自分の曲ではない)モータウン有名曲の「アイル・ビー・ゼア」を皆んなで決めた。場内、総立ちなり。

▶︎過去の、デイヴ・コーズ
https://43142.diarynote.jp/201203062004221304/
▶︎過去の、ヴァレリー・シンプソン
https://43142.diarynote.jp/200911241551357922/
▶過去の、クリス・ウォーカー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm
http://43142.diarynote.jp/200906160735045241/
http://43142.diarynote.jp/?day=20141119
▶︎過去の、ブランダン・コールマン
https://43142.diarynote.jp/201511040742444324/
https://43142.diarynote.jp/201612091513593556/
https://43142.diarynote.jp/201808211635045064/
https://43142.diarynote.jp/201902030943337762/
▶︎過去の、カーネル・ハレル
https://43142.diarynote.jp/201902030943337762/
▶過去の、アル・ジャロウ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm
http://43142.diarynote.jp/201203062004221304/
https://43142.diarynote.jp/201411201009066886/

<2014年の、うれしいヤツ>
 同行ベーシストのクリス・ウォーカーは1980年代後期にオーネット・コールマン(2006年3月27日)のエレクトリック・バンド(プライムタイム)に電気ベース奏者として加入したことで、ぼくのなかでは燦然と輝く人物。ながら、1991年にはエレクトラからメロウなR&B歌手として堂々デビューしてしまったというキャリアも彼は持つ。それ以降、彼はセッション・ベーシストとR&B歌手(これまで4作品リリースしている)の二刀流で業界を闊歩。以下は、2014年11月にアル・ジャロウのブルーノート東京公演に同行した際に取ったインタヴューだ。もともとは、ジャズ・ジャパン誌用にしました。

——ヒューストン生まれですよね。
「高校(ロバート・グラスパーやビヨンセ・ノウルズの同窓先輩となる)を出て、40ドルを握りしめて、NYに向かった。ジャズを学ぶために、ニュー・スクール大学に行きたかったんだけどねー。あの頃はアコースティック・ベースもちょっと弾き、パーシー・ヒース(MJQ。ジェイムズ・エムトゥーメの叔父)に半年だけ師事した事もあった。エレクトリック・ベースにしなよと勧めたのは、彼だったんだよ」
——オーネットのプライムタイム・バンドに入ったのは、その頃ですよね。
「18歳だった。本人から直々に、アパートに電話がかかってきた。そりゃ、驚いた。高校2年生のときに彼のリポートを書いたりして知ってはいたけど……」
——加入したら、すぐに弾けたんですか?
「いいや、できるわけないよ(笑い)。だから、鬼のように練習をしたね。プライムタイムの音楽にも一応、楽譜はある。でも、譜面の書き方が特殊。音符を記した後に♯とか♭とか書き足してあって、とにかく普通じゃない。もうすべてが新奇な体験だった」
——ぼくはオーネットに一度インタヴューしたことがあって、プライムタイム・バンドほど進歩的なR&Bバンドを知りませんと言ったら、彼は心底笑顔になったんです。
「ほう、面白い話がある。プライムタイム在籍中も、僕はR&Bソングを書いていた。僕は1年ほど彼の家に居候していたんだけど、彼が部屋に入ってくると、まずいと思い僕は自分が書いたR&Bの楽譜を隠していた。ところが、一度見つかってしまい、それを見たがったので見せたら、とても面白がってくれ、応援してくれたんだ」
——あなたはオーネットの1988年作『ヴァージン・ビューティ』(パスポート/コロムビア)に入っていますよね(またシンガーとしても、オーネット・コールマンの1995年作『トーン・ダイアリング』や1996年作『サウンド・ミュージアム』にも、名を出す)。2年半いたオーネット・バンドの元で教わった一番のことは何でしょう。
「ハーモロディック(オーネット・コールマン独自の音楽理論)の譜面って、音部記号(ト音記号やヘ音記号の類)も入り乱れているんだ。その様はとにかく像像を絶するわけで、“決められた枠から外れた所にこそ、宝はある”ということを、僕は学んだと思う。あのとき、ベース演奏については、ほとんどホーン・セクションと同じ考えでアプローチしたな」
——その後、あなたはエレクトラからポップなR&B歌手としてデビューします。
「レジーナ・ベル(2010年1月28日、2015年2月4日、2016年2月16日)のミュージカル・ディレクターをしていた。それで、彼女のショウでちょいちょい歌っていたのを、エレクトラの人が見て、契約したいと言ってきた」
——では、デビュー作『ファースト・タイム』の曲はオーネットのアパートで書いた曲も入っているんですね。しかし、あのアルバムは当時日本盤も出ましたが、本当に驚きました。尖った冒険音楽の人というイメージがあったのに、穏健なアーバンR&B歌手の姿を前面に出していて。
「そうだろうねえ(笑い)。僕のベース演奏を知っている人たちは僕がR&Bを歌うということを知らなかったし、逆にラジオで僕の歌を知った人は僕がベースを弾く事を知らない(笑い)。でも、その両方があってこそ、僕なんだよ」
——それで、自分で歌う曲はオリジナルでありたいと思っているんですよね。
「まったくもってそう。僕のアルバムは自作で固めて、自分のプロデュースで作っている」
——チャカ・カーン(2003年10月10日、2008年6月5日、2012年1月10日、2014年9月6日、2014年9月10日、2016年5月20日)やフォープレイにも、あなたは曲を提供していますよね。
「イエ〜イ、そうだよ」
——ベース奏者として関与したアルバムで、これはいいと思うものは?
「全部だよ。そう、思いたい」
——あなたの根にあるのは、ゴスペルですか。
「うん。だから、(ゴスペルの実力派である)ワイナンス・ファミリーが大好き。彼らを聞いて大きくなったようなものさ」
——今回はアル・ジャロウのサポートで来日しましたが、2009年にはテリ・リン・キャリトン(2004年9月7日、2005年8月21日、2008年12月1日、2009年6月15日、2010年9月4日、2014年9月16日)のバンドのベース奏者としても来ていますよね。
「実は、彼女とは新しいブループを結成した。パスワードという名前で、ドゥワイト・シールズ(ギター)、フランク・マッコム(2004年4月15日、2004年5月10日、2006年9月3日、2006年12月7日、2007年12月28日、2011年3月4日 、2012年3月5日、2015年6月26日)、そして僕からなる4人組。ウェザー・リポートがジャズとR&Bに出会ったという感じのことをやるんだ!」
——ベーシストであることと、シンガーであること。それは、あなたのなかでは分けて考えています。それとも、同じものなのでしょうか。
「もともとは、別のものとしてやっていた。でも、自分のバンドではベースを弾きながら歌うので、一心同体かなあ」
——今、ヒューストンに住んでいるんですよね?
「うん。それで、NYやLAに行ったりしている」
——あなたの新作『Zone』(Pendulum ,2011年)についても、一言ください。
「R&B。まさに、それをやりたかった。僕のバックグラウンドにはオーネット・コールマンがありボブ・ジェイムズ(2013年9月3日、2015年3月5日、2015年9月5日、2018年10月12日)があり、レジーナ・ベルがあり、ゴスペルがある。僕はいろんなことをやってきて、いろんな所に言っている。けっこう、それは難しい立ち位置を招くことは知っているんだけど。ぐちゃぐちゃだね」
——でも、それが面白いし、あなたの魅力だと思う。
「僕もそう思う」
——それにしても、あまり老けませんよねえ。
「心が若いもん。今、46歳だけどね。シンガーとして、来日したいなあ。やっぱ、キャリアとしては両方をやっていきたい」

▶︎過去の、オーネット・コールマン
http://43142.diarynote.jp/200603281335030000/
▶︎過去の、レジーナ・ベル
http://43142.diarynote.jp/201001291748093787/
http://43142.diarynote.jp/201502051100298160/
https://43142.diarynote.jp/201602181207326029/
▶過去の、チャカ・カーン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-10.htm
http://43142.diarynote.jp/200806121525370000/
http://43142.diarynote.jp/201201131546344144/
http://43142.diarynote.jp/201409100929108025/
http://43142.diarynote.jp/201409111424501752/
http://43142.diarynote.jp/201605240832424514/
▶過去の、テリ・リン・キャリントン
http://43142.diarynote.jp/200409070203440000/
http://43142.diarynote.jp/200508230545510000/
http://43142.diarynote.jp/200812141259213603/
http://43142.diarynote.jp/200906160735045241/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100904
https://43142.diarynote.jp/201409171722239857/
▶過去の、フランコ・マッコム
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http://43142.diarynote.jp/?day=20040510
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http://43142.diarynote.jp/200612090150310000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20071228
http://43142.diarynote.jp/201103091608158507/
http://43142.diarynote.jp/201203062006429595/
https://43142.diarynote.jp/201506270755127907/
▶過去の、ボブ・ジェイムス
http://43142.diarynote.jp/201309051241384602/
http://43142.diarynote.jp/201503060912185943/
http://43142.diarynote.jp/201509211331298145/
https://43142.diarynote.jp/201810170926249130/

 六本木・ビルボードライブ東京、ファースト・ショウ。クリントン翁一座(2002年7月28日、2009年9月5日、2011年1月22日、2013年4月12日、2015年4月12日、2016年11月29日)の今回公演は、77歳であるクリントンのライヴ引退が伝えられてのもの。発表されている陣容は御大に加え、肉声のスティーブ・ボイドとゲイリー・"マッドボーン"・クーパー とマイケル“クリップ”ペインとブランディ・スコット とトニーシャ・ネルソンとパタヴィアン・ルイスとテイリ―・パークスとトレイシー・ルイス・クリントン とボウヴィエ・リチャードソンとルショーン・クリントン・ジュニア、ダンスのカルロス"サー・ノーズ" マックマレイ、キーボードのダニエル・ベッドロジアン、ギターのトラファエル・ルイスとドゥエイン"ブラックバード"マックナイトとギャレット・シャイダー、ベースのライジ・カリー、ドラムのベンジャミン"ベンゼル"コーワン、トランペットのベニー・コーワン、サックスの グレッグ・トーマス 。マッドボーン、ブラックバード、カリー、トーマスあたりは1970年代からいる人たちですね。

 冒頭、今回はギター2、鍵盤、ベース、ドラムという小編成で演奏が始まり、その後ぞろぞろと他の人たちもでくる。お、近年スーツ姿でステージに上がっていたクリントンだが、今回は変なシルエットの白い衣装を身につけている。「コズミック・スロップ」や「フラッシュライト」など、彼らならではの烏合の衆の無礼講ファンクがごんごん続く。掛け声をあげ、ダミ声で歌も随所で入れ、メンバーや客を煽るクリントンは元気じゃないか。その一挙一動に触れながら、クリントンがファンク王国を築いて50年強たつとともに、こんなファンク・モブはもう出てこないんだろうと思った。モーリス・ホワイトのツアー引退後もヴァーディン・ホワイトらを中心にライヴ活動を続けたE.W.&F. (2006年1月19日、2012年5月17 日)のように、彼抜きでもライヴ活動は続けて欲しいものだが。とともに、クリントンはスタジオ作業(プロダクツ制作)はやめないと思う。この晩の模様は、毎日新聞18日夕刊に出ます。

 延々とツアーを続けているクリントン(なんだかんだ8月いっぱいまで続くよう)は、ミス・ヴェルヴェット・アンド・ザ・ブルー・ウルフという白人女性シンガーをフロントに立てた黒白混合バンドを楽旅に帯同させている。公式開演時間前に彼女たちは登場して25分きっちりパフォーマンス。もろな、ファンク・ロック。ベティ・デイヴィス(マイルス・デイヴィスの嫁だったことがある)のグレッグ・エリコ制作の1973年ファースト作の味をぼくはどこか思い出したりもした。

▶過去の、ジョージ・クリントン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-7.htm 触れていないが、フジ・ロック
http://43142.diarynote.jp/?day=20090905
http://43142.diarynote.jp/201102081256005311/
http://43142.diarynote.jp/201304150853287353/
http://43142.diarynote.jp/201504131109395934/
https://43142.diarynote.jp/201612011925201175/
▶過去の、E.W.&.F.
http://43142.diarynote.jp/200601271855390000/
http://43142.diarynote.jp/201205301252113538/

<昨日の、好漢>
 同行ギタリストのブラックバード・マックナイト (2002年7月28日、2009年9月5日、2011年1月22日、2013年4月12日、2015年4月12日、2016年11月29日、2017年4月8日)にインタヴューする。今回のショウでも彼がギタリストのなかでは、一番頻繁に、ギンギンなソロをとっていた。イェイ。ギターが最初の楽器で、独学ながら10代でチャールズ・ロイド(2005年5月11日、2008年4月6日、2013年1月6日、2017年1月12日、2017年1月13日)やソニー・ロリンズ(2005年11月13日)のレコーディングに参加しちゃった人であり、『洪水(フラッド)』という東京厚生年金会館で収録されたライヴ盤を生んだハービー・ハンコック(2000年3月14日、2001年12月27日、2003年8月23日、2005年8月21日、2012年3月3日、2014年9月7日、2015年9月6日、2016年9月3日、2018年9月1日)&ヘッドハンターズの1975年来日公演に参加して、広く知名度をえた御仁。そのときが彼の初来日で、自信作を3枚あげてといったら、『洪水(フラッド)』をうち1枚としてあげた。もちろん、2009年に出したリーダー作『’Bout Funkin’ Time』も。明晰な人で無駄な話はせず、録音のおこしがそのまま原稿になりそうな受け答えをしてくれた。
 そんな彼は1978年に突如、P-ファンク入り。その後のレコーディングやツアーにはすべて絡んでいるという。また、ヒレル・スロヴァク死去を受けてレッド・ホット・チリ・ペッパーズ(2002年7月28日、2002年11月2日、2007年6月5日)に一瞬入ったこともあったが、それは一気に彼を前に立たせることになり大変だったみたい。 チリ・ペッパーズとフィッシュボーン(2000年7月28日、2007年4月5日、2007年4月6日、2009年11月25日、2010年7月31日、2011年8月8日、2013年6月3日)はかつて仲良しだったが、彼は今でもフィッシュボーンのノーウッド・フィッシャーとは懇意にしていて、バスケを一緒に見に行ったりするそう。
 ライヴ引退を受けてチリ・ペッパーズはクリントン労いのため(ペッパーズの2作目はクリントン制作)、2月の豪州各所のアリーナ・ツアーにスペシャル・ゲストと称し、クリントン一座をツアーのオープニング・アクトに据えた。ときにブラックバードの青色ギターの裏、アームのバネがあるところの奥にドル紙幣が入れられている。そのツアーの際チリ・パッパーズのギターテックが本当に親身に働いてくれたので、ブラックバードはチップを渡そうとしたのだそう。そしたら、ギターテックは固辞。でも、取っておきなよと渡したら、彼がそこに受け取った紙幣をこっそり挟んだのだとか。ちょい、いい話。機材の話(その紙幣写真も出るか)も含め、彼のヴァーサタイルな活動の様はそのうちギター・マガジンに出ます。
 ところで、このナイス・ガイの奥さんである美恵さんは可愛らしい、おしゃれな日本人。京都出身で、結婚して23年たつそう。彼女の旦那さんを扱う“プログレッシヴ・ファンク・ロック・ブログ”は、https://ameblo.jp/blackbyrdmcknight/ 。かなり、面白いです。
▶過去の、ブラックバード・マックナイト
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-7.htm 触れていないが、フジ・ロック
http://43142.diarynote.jp/?day=20090905
http://43142.diarynote.jp/201102081256005311/
http://43142.diarynote.jp/201304150853287353/
http://43142.diarynote.jp/201504131109395934/
http://43142.diarynote.jp/201612011925201175/
https://43142.diarynote.jp/201704130838405526/
▶︎過去の、チャールス・ロイド
http://43142.diarynote.jp/200505141717440000/
http://43142.diarynote.jp/200804081928430000/
http://43142.diarynote.jp/201301151731112021/
http://43142.diarynote.jp/201701131141476377/
https://43142.diarynote.jp/201701141241544133/
▶過去の、ロニー・ロリンズ
http://43142.diarynote.jp/200511130413390000/
▶過去の、ハービー・ハンコック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm
http://43142.diarynote.jp/200508230545510000/
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/
http://43142.diarynote.jp/201509220833541918/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160903
https://43142.diarynote.jp/201809051532324111/
▶︎過去の、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-7.htm フジ・ロック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200706061354020000/
▶過去の、フィッシュボーン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-7.htm フジ・ロック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-10.htm
http://43142.diarynote.jp/200704112101130000/ 豪バイロン・ベイ
http://43142.diarynote.jp/200806121400260000/ 豪ベイロン・ベイ
http://43142.diarynote.jp/200911281704335025/ アンジェロ単独
http://43142.diarynote.jp/?day=20100731 フジ・ロック
http://43142.diarynote.jp/201108101638376353/
http://43142.diarynote.jp/201306060729285922/

 外苑前・月見る君想フで、地道に活動を続けている4人組ロック・バンドの東京ローカル・ホンクを見る。かつて久保田麻琴(会場にいらっしゃった。2009年10月12日、2010年4月15日、2010年11月21日、2011年8月7日ち2012年8月12日、2012年9月5日、2013年1月29日、2013年8月7日、2013年8月11日、2014年10月25日、2017年11月13日)がアルバムをプロデュースしたことがあって、その後に彼から誘いを受けてどこか(ここだったような)で見て以来、ものすご〜く間があいて彼らのライヴに接した。

 この晩は客席フロアの中央にアンプやドラムが置かれ見合うように位置しパフォーマンスするメンバーたちの周りを、お客(50歳がらみのバンドなのに、何気に客は若かったかも)が囲むという設定での実演。ぼくはステージ上に置かれた椅子に座って見た。

 おお、印象がだいぶ違う。まず、朗々と通るリード・ヴォーカル(と、ギター)の声にこんなだったけ? また、他のメンバーが取るコーラスも存在感あり。かつてはアーシーな通受け実直米国ロックにインスパイアされたバンドという印象があったが曲調も広がっていて、いい方に動いているなあと頷く。今の彼らは、<山ほどの歌心にとむ、地に足をつけた手作りロック>の担い手と推すにたる。技も知識もココロもある。ぼくは、ピーター・バラカンズ・ライヴ・マジック(2014年10月25日、2015年10月25日、2016年10月22日、2017年10月21日、2017年10月22日)に出てもなんら不思議はないよなあとも感じた。

 会場で、知人から精神科医の名越康文さんを紹介される。聞けば、前に東京ローカル・ホンクと一緒にやっていたことがあるそう。渋い米国ロックが好きなんですか? 僕はもっぱらブルースですけどね。彼、音楽もされるそうです。

▶過去の、久保田麻琴
http://43142.diarynote.jp/200405071410000000/
http://43142.diarynote.jp/200910141731349364/
http://43142.diarynote.jp/?day=20101204
http://43142.diarynote.jp/201302091324078636/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130920
http://43142.diarynote.jp/201409171722239857/
http://43142.diarynote.jp/201510290731105395/
http://43142.diarynote.jp/201511120722274234/
http://43142.diarynote.jp/201801071035098671/
▶︎過去の、ピーター・バラカンズ・ライヴ・マジック
http://43142.diarynote.jp/201410301511243448/
http://43142.diarynote.jp/201510290731105395/
http://43142.diarynote.jp/201610241405267224/
http://43142.diarynote.jp/201710240957109863/
http://43142.diarynote.jp/201710240958114009/

<今日の、ありがとうございます>
 1部で失礼して、徒歩10分ぐらいのところにある北青山・プラッサオンゼに向かう。東京にブラジル音楽とブラジル料理を広く知らせた老舗の、真心のライヴ・ヴェニュー/レストラン。写真家として活躍されていた浅田英了さんが南米撮影旅のフライト中に逝去して(その報は当時、朝日新聞社会面で大きく掲載された)しまっていこう店を運営してきた奥様のクラウジアの誕生日を祝うパーティ・ライヴが持たれ、ゆかりのオールスター的なミュージシャンたちが華を添える。途中、クラウジアと娘の花梨ちゃんが挨拶。クラウジアの体力と店の入っているビル(開店した38年前からずっと同じ場所で営業している)の再開発などもあり、今年いっぱいで店を畳むことが告げられる。本当にお疲れ様、ですね。ぼくはブラジル音楽も聞くという人で、この店の多くのお客さんと異なり熱心な愛好者ではない。だが、いつの間にか母娘ともども懇意になり、楽しい時間をいろいろ過ごさせていただいている。なにげにこことの付き合いは、ぼくの音楽生活のご褒美の一つかもしれない。

 有楽町・東京国際フォーラムCでの<東洋と西洋の出会い>、最終日の公演。前半は、藤巻亮太(2019年4月26日)と矢野顕子(2004年7月20日、2008年8月3日、2008年12月14日、2009年8月19日、2009年9月4日、2009年12月13日、2010年12月12日、2011年9月9日、2011年12月11日、2012年8月21日、2013年8月11日、2013年11月30日、2014年8月7日、2015年8月20日、2016年9月15日、2017年12月10日、2018年8月27日、2019年4月26日)。藤巻は初日に見たときより、声が出ている。一度きっちりお手合わせを披露したことが、しっかり実になっていることは明らか。それは演奏陣もそうだろうが、このイヴェント、その後の出演者の動向に目を向けたいと思わせられた。矢野は鉄板、そして昨日書いたように稀有な設定での彼女のパフォーマンスはなんど見ても興味深いったらありゃしない。

 後半は、まずピアニストの桑原あい(2013年9月8日、2016年12月7日、2017年7月8日、2017年9月29日、2018年12月21日、2019年1月21日、2019年4月26日、2019年4月27日)。あれ、初日より演目が増えて、山田玲(2017年9月17日、2019年4月27日)とのデュオでスティーヴィー・ワンダー(2005年11月3日、2010年8月8日、2012年3月5日)曲「サー・デューク」も披露。しかし、ハウス・バンドでの演奏も含め、彼女は全5公演でずっぱり。根性、ついたろうなあ。サム・ムーア(2006年11月14日、2008年8月31日、2010年12月15日、2011年7月27日、2015年12月2日、2019年4月26日)は千両役者。初日よりも、少し足取りはかろやか。インタヴューした(最下部参照のこと)後だけに、余計に耳に入る。

 最後の出演者ソロ回しフィナーレ「フリーダム・ジャズ・ダンス」では、今日は出番がないランディ・ブレッカーもニコニコ出てくる。おおっと思ったのは、近年は装置を介してシンセサイザーのような音しか採用しない彼が、ノー・エフェクトでソロを披露したこと。音色に過剰な輝きはないものの、ちゃんとふけるじゃないか。

 ウィル・リー(2008年12月7日、2009年8月19日、2012年8月21日、2012年11月26日、2013年12月5日、2014年8月7日、2015年8月20日、2018年8月27日、2019年4月26日、2018年11月22日、2019年4月26日、2019年4月27日)の大リーダーシップと真心とお楽しみ精神には拍手。キーボードとピアノのジェフ・ヤング(2017年7月30日、2018年11月22日、2019年4月26日、2019年4月27日)と桑原あい、ギターのニア・フェルダー(2019年4月26日、2019年4月27日)、ダブル・ベースの鳥越啓介(2000年9月14日、2001年2月15日、2003年3月6日、2008年12月15日、2013年3月26日、2017年9月29日、2018年6月4日、2019年4月26日、2019年4月27日)、ドラムのクリス・パーカー(2009年8月19日、2012年8月21日、2014年8月7日、2015年8月20日、2018年8月27日)と山田玲、テナー・サックスとアルト・サックスのアーロン・ヘイク(2019年4月26日、2019年4月27日)、トロンボーンの村田陽一(2005年1月7日、2006年1月21日、2010年3月9日、2011年12月20日、2012年9月8日、2014年12月14日、2015年9月27日、2016年12月11日、2017年12月5日、2018年6月8日、2018年9月2日、2019年4月26日、2019年4月27日)、トランペットの西村浩二(2019年4月26日)、バックグラウンド・シンガーのエンディア・ダヴェンポート(2010年2月22日、2015年8月18日、2017年3月29日、2019年4月26日、2019年4月27日)とジェニーク・ニコル(2019年4月26日、2019年4月27日)とMARU(2010年2月22日、2015年7月23日、2019年4月26日、2019年4月27日)のハウス・バンドの面々もよくついていったなあ。みんなで顔を見合わせてせえので音を出す素敵、生音のライヴ・ミュージックの効用も見事に再確認しました。

▶︎過去の、藤巻亮太
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/
▶過去の、矢野顕子
http://43142.diarynote.jp/200407200015350000/
http://43142.diarynote.jp/200808090220110000/
http://43142.diarynote.jp/200812281440093394/
http://43142.diarynote.jp/200908221621447408/
http://43142.diarynote.jp/200909120647256771/
http://43142.diarynote.jp/201001051622194305/
http://43142.diarynote.jp/201012131714372906/
http://43142.diarynote.jp/201109151818437240/
http://43142.diarynote.jp/201112191449196187/
http://43142.diarynote.jp/201209180912154167/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130811
http://43142.diarynote.jp/201312051627467488/
http://43142.diarynote.jp/201408091058201133/
http://43142.diarynote.jp/201508210809254412/
http://43142.diarynote.jp/201609201813357761/
http://43142.diarynote.jp/201712111145326498/
https://43142.diarynote.jp/201808291108033102/
https://43142.diarynote.jp/201904281151232549/
▶︎過去の、桑原あい
http://43142.diarynote.jp/?day=20130908
http://43142.diarynote.jp/201612100926461885/
http://43142.diarynote.jp/201707101243147840/
https://43142.diarynote.jp/201710011917499392/
https://43142.diarynote.jp/201812220840383594/
https://43142.diarynote.jp/201901231045028294/
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/
https://43142.diarynote.jp/201904281151232549/
▶︎過去の、山田玲
https://43142.diarynote.jp/201709180648097389/
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/
https://43142.diarynote.jp/201904281151232549/
▶過去の、スティーヴィー・ワンダー
http://43142.diarynote.jp/200511130015240000/
http://43142.diarynote.jp/201008261618276388/
http://43142.diarynote.jp/201203062006429595/
▶過去の、サム・ムーア
http://43142.diarynote.jp/200611190319380000/
http://43142.diarynote.jp/201012160928249431/
http://43142.diarynote.jp/201107310730365740/
http://43142.diarynote.jp/200809011923060000/
http://43142.diarynote.jp/201512030957287514/
▶過去の、ウィル・リー
http://43142.diarynote.jp/200812150312308154/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090819
http://43142.diarynote.jp/201209180912154167/
http://43142.diarynote.jp/201212101904379741/
http://43142.diarynote.jp/201312171510083393/
http://43142.diarynote.jp/201408091058201133/
http://43142.diarynote.jp/201508210809254412/
https://43142.diarynote.jp/201808291108033102/
https://43142.diarynote.jp/201811251043143983/
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/
https://43142.diarynote.jp/201904281151232549/
▶︎過去の、ジェフ・ヤング
https://43142.diarynote.jp/201708081430263083/
https://43142.diarynote.jp/201811251043143983/
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/
https://43142.diarynote.jp/201904281151232549/
▶︎過去の、鳥越啓介
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-9.htm phat (オーガニック・グルーヴ)
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-2.htm phat (オーガニック・グルーヴ)
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm phat
http://43142.diarynote.jp/200812281441122331/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130326
http://43142.diarynote.jp/201710011917499392/
https://43142.diarynote.jp/201806060708363548/
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/
https://43142.diarynote.jp/201904281151232549/
▶︎過去の、ニア・フィルダー
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/
https://43142.diarynote.jp/201904281151232549/
▶過去の、クリス・パーカー
http://43142.diarynote.jp/?day=20090819
http://43142.diarynote.jp/201209180912154167/
http://43142.diarynote.jp/201408091058201133/
http://43142.diarynote.jp/201508210809254412/
https://43142.diarynote.jp/201808291108033102/
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/
https://43142.diarynote.jp/201904281151232549/
▶過去の、村田陽一
http://43142.diarynote.jp/200501170151560000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20060121
http://43142.diarynote.jp/201003101342028780/
http://43142.diarynote.jp/?day=20111220
http://43142.diarynote.jp/?day=20120908 ベン・E・キング
http://43142.diarynote.jp/?day=20141214
http://43142.diarynote.jp/?day=20150927
http://43142.diarynote.jp/201612171245154424/
https://43142.diarynote.jp/201712061006171627/
https://43142.diarynote.jp/201806130948515941/
https://43142.diarynote.jp/201809071509481583/
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/
https://43142.diarynote.jp/201904281151232549/
▶過去の、エンディア・ダヴェンポート
http://43142.diarynote.jp/201002280939559070/
http://43142.diarynote.jp/?day=20150818
http://43142.diarynote.jp/201704031056083140/
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/
https://43142.diarynote.jp/201904281151232549/
▶︎過去の、ジェニーク・ニコル
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/
https://43142.diarynote.jp/201904281151232549/
▶過去の、MARU
http://43142.diarynote.jp/201002280939559070/
https://43142.diarynote.jp/201507251003319800/
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/
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 その後、東京駅から中央快速で一本、吉祥寺へ。スター・パインズ・カフェで、不破大輔(2005年12月22日、2007年6月3日、2015年11月23日、2016年4月30日、2017年11月23日、2018年4月28日)がダンドリするいわき市の市民楽団である十中八九(2013年5月19日、2015年11月23日、2016年4月30日、2017年11月23日、2018年4月28日)のライヴを見る。吉祥寺のこのハコに来るのは前回十中八九が公演をしたちょうど1年前。おれる道を誤り、あれれ。怪しいお店の客引きおにいさんに親切に教えていただき、やっと着く。とほほ。なんか、モーロクしているなあ。

 客席に背を見せるコンダクターの不破を取り囲むように、7人の菅奏者(ホルン奏者もいた)、3人の肉声担当者(一人は、ビート・ボクサー)、3人のギター、キーボード、2人のベース、ドラム、パーカッションという面々がステージに乗る。またダンサーも4人いて、ステージ後には十中八九美術担当者によるその場で書いている絵も映される。それ、曲名が書かれたりもし、曲名が分かりありがたい。曲ごとに器楽奏者はそれぞれ長いソロ・パートを与えられるので、その人の本業のイラストなんかとともに該当奏者の名前と一口メモなどもその場で書き添えるのもアリかもしれない。それは、シンガーやダンサー陣も同様だし、終演後は関与者の名前やセット・リストをサーヴィスで見せるのもいいのではないか。やっぱり人数が多いと匿名的になってしまうし、鮮やかなパフォーマンスを受けた者はもっと面々の情報を知りたくなると思う。また、ジャケ写をお茶目にだして、物販を告知するのもいいと思う。美術班、張り切れ。

 新曲が多くて、フレッシュに楽しめた。管楽器有志が横笛や小さな尺八や琴を手にし、無茶な和テイストを出したときもあり。「九死に一生のブルース」というブルース・コード基調曲はいろいろな仕掛けがあってこの手の担い手がやるブルースとしては一番面白いできと感心。聞けば、2週間に唐突にブルースをやろうと不破が言いだし作った曲で、今回初演だそう。信じられない! 

 1曲、1曲は長め(時間の都合上、はしょった曲もあったよう)。まずはメンバーが書く曲がちゃんとしているからできることだが、それをもとに不破は構成員の個性や持ち味を見た上で、様々なキューを出し、マジカルに膨らませていく。いやあ、その様はあっぱれ。もう、楽曲に鋭意水が与えられ、どんどん育つ。大げさに言えば花壇が最後には森になっていたりする。その過程を手に取るように味わえるのだから、これは楽しい。また、面々の謙虚さ(それは様々な音楽をすべからく愛でる姿勢にもつながる)、音楽やパフォーマンスをできる歓びもまた、“正”に働かないはずがない。<プロフェッショナリズムにおける澄んだアマチュア性の重要性>、彼らを素材にそんな趣旨を論じることも可能なのではないか。

▶過去の、十中八九
http://43142.diarynote.jp/201305260923241736/ 起点
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▶過去の、渋さ知らズ
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http://43142.diarynote.jp/200601161256540000/
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http://43142.diarynote.jp/200609031311580000/
http://43142.diarynote.jp/200611190320370000/
http://43142.diarynote.jp/200612060135390000/
http://43142.diarynote.jp/200701141431470000/
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http://43142.diarynote.jp/201009231554333481/
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▶過去の、渋さ以外の不破大輔
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<今日の、好々爺>
 国際フォーラムの楽屋で、サム・ムーア御大にインタヴューする。想像していた以上に、気安い好人物。誘い受けて、取材後に一緒に写真をとっちゃいましたよ(普段、自らはしない)。TV番組用のインタヴューだったので(黒子のぼくは映りません)、わりと一般的な項目を中心に聞く。以下、彼の答えを少し紹介。▶︎今回、出演の打診があったとき、腰を痛めていたので、最初は断った。でも、ウィルが熱心に誘ってくれ、ギリのタイミングの際(昨年、秋ぐらいだと思う)に「日本に行けば、針のマスターもいるので腰もよくなるよ」と言われて、日本に行くことを決めた。▶︎ウィルとの出会いは、「(彼がハウス・バンドの一員を務めていた)ディヴィッド・レター・マン・ショウ。あのときはまだ小僧で、こんなに才能があるなんて思いもしなかった」▶︎「(ビリー・プレストンと忌野清志郎ともう一人の名前を挙げ)彼らが上から見守ってくれているおかげで、今も俺は歌い続けていられる」▶︎彼は、桑原あいにぞっこん。「あの女の子はすごいな。(鍵盤に指を這わせる仕草を見せながら)まるで、ビリー・プレストンじゃないか!(←ザ・ビートルズとザ・ローリング・ストーンズの一時期の表現をサポート奏者として牛耳り、珠玉のリーダー作群をモノにしている彼を比較にだすなんて、最高の褒め言葉だ)」▶︎「(トランプ大統領が就任しホワイト・ハウスで歌ったが)あれについては、いろんな批判を受けた。だがな、トランプのためではなく、俺は純粋な愛国者、アメリカ国民として出席したんだ。あの場に行き、ああマーティン・ルーサー・キングもこの同じ場所に立ったのかと思ったときにはじーんと来た」▶︎今、ゴスペル回帰モードにあり、次作はゴスペル盤。現在マイアミに住んでいるが、アラバマだか南部に行きゴスペルを探すドキュメンタリーを作るとか。また、日本でゴスペルを柱とする公演を行いたいそう。あなたを信奉する若い歌い手たちもいますし、桑原あいも含めたあなたの“ウェスト・ミーツ・イースト”をやればと進言しちゃった。▶︎とてもポップなカーディガンを身につけていた(ステージにもそれで登場)が、それは奥様(白人)の見立てとか。とっても夫婦円満そうですねというと、かなりうれしそう。▶生まれ変わっても、ソウル・マンになりたいですかと問うと、「いいや」。プレジデントかなとジョークを飛ばしつつ、知らないことはたくさんあるはずで、違うことをやってみたいそう。なるほどの、好奇心にあふれたお答えでした。なんか前回来日時に、邦楽中心の北海道のフェスにも出演しちゃったのも、そういう気質の表れ?
 バック・ステージはわきあいあい。椅子とテーブルがいくつも置いてあるオープンなスペースでウィルがなごんでいたので、日本のポップ・ミュージックにも多大な興味を持っている彼に、挨拶がてらアニーキー・ア・ゴー・ゴー(2009年5月16日、2011年1月15日、2013年3月2日、2013年10月22日、2016年9月23日)の『黄金の翼』(新作ではないが、たまたま封をきっていないCDがあったもので……。オノセイゲンのコプロデュース記載もあるので身近に感じる?)を渡しちゃった。そしたら、すぐにCDを置いたりしまったりせずに興味深げに、彼はピアノを弾きながら歌う人なの? (ジャケット・カヴァーの英文字表記を指差し)これが彼の名前なのと、いろいろ聞いてくる。ほんと、誠実な人だな。そういえば、一番出番が少なかった鳥越啓介への気遣いも並並ならぬものがあった。
▶過去の、アニーキー・ア・ゴーゴー
http://43142.diarynote.jp/200905181017287290/
http://43142.diarynote.jp/201101171218542943/
http://43142.diarynote.jp/201303070813599854/
http://43142.diarynote.jp/201310241000242214/
https://43142.diarynote.jp/201609260928001576/
 ウィル・リー(2008年12月7日、2009年8月19日、2012年8月21日、2012年11月26日、2013年12月5日、2014年8月7日、2015年8月20日、2018年8月27日、2019年4月26日、2018年11月22日、2019年4月26日)が司る米国人と日本人が集う大型音楽イヴェント、その2日目でこの日は昼と夜の2公演が持たれる。有楽町・東京国際フォーラムのホールC。過去ホールAやDは来ているが、ホールCは今回が初めてナリ。渋谷公会堂やかつての新宿厚生年金会館クラスの2000人規模の大きさで使い勝手は良さそう。

 昼の部の1番目の出演者は、日野皓正(2005年6月5日、2006年11月3日、2011年3月28日、2011年7月25日、2011年9月2日 、2013年9月22日、2014年4月4日、2015年3月10日、2017年9月3日、2018年8月11日)。2曲目にぼくの大好きな『ダブル・レインボウ』(コロムビア)の「イエロー・ジャケッツ」をやってくれてウキっ。その次はこのイヴェント最小となる編成(トランペット、ピアノ、ダブル・ベース、ドラム)で、スタンダードの「スターダスト」を麗々しく。かような選曲や編曲は、すべてウィル・リーが決めている。日野御大は華麗にステップを踏みながら踊ったりもして、まことこうした場に向き。そして、いまだ精力的なその吹き口には今回のようにツイン・ドラムでことにあたるしかないと痛感することしきり。彼、ワーキング・バンドもそうしないかな。

 2番目は、ウィル・リー推しの日本人シンガー・ソングライターである臼井ミトン。彼はNYで突撃してウィル・リーと仲良しになり、自己作でベースを弾いてもらっており、その性格ともどもリーは彼に惚れ込んでいる。ブラック・ミュージックやルーツ・ミュージックをうまく消化した日本語のオリジナルを作る人で、ウーリッツァー(電気ピアノ)他を弾きながら歌う彼に、曲によってはコーラスやブラス隊をも繰り出し、リーは弾力性のあるサウンドを与える。オープナーの「ボーン・イン・タイム」はもろにハイ・サウンド調、「ナチュラル・ボーン優等生」という曲の当人アレンジのブラス・セクション音はザ・バンドのライヴ盤『ロック・オブ・エイジズ』のアラン・トゥーサン(2006年5月31日、2006年6月1日、2007年10月21日、2009年5月29日、2011年1月10日、2012年10月15日、2013年10月22日、2015年1月21日)編曲のそれを意識していると思わせるものだった。おいしい趣味性、高いっす。ここではギターのニア・フィルダーが曲趣に合わせ、ドブロを手にしたりもした。とか、いろんな過去の財産や様式を透かしてみさせるのも、“イースト・ミーツ・ウェスト 2019”の妙味か。

 休憩を挟んでは、リーとパーカーとずっとトリオを組んでいる矢野顕子(2004年7月20日、2008年8月3日、2008年12月14日、2009年8月19日、2009年9月4日、2009年12月13日、2010年12月12日、2011年9月9日、2011年12月11日、2012年8月21日、2013年8月11日、2013年11月30日、2014年8月7日、2015年8月20日、2016年9月15日、2017年12月10日、2018年8月27日)が登場。リーの近作『LOVE. GRATITUDE AND OTHER DISTRACTIONS』では矢野とのデュエット「1.2.3」というほのぼの曲が収められており、その曲をやらないかなと思っていたら、それはやらず。歌うことも好きなリーさん、謙虚ね。というか、それよりも、まずはミュージカル・ディレクター/バンド・リーダー役をまっとうしていたと言えるだろう。予備のベースもおかず、様々なタイプの楽曲を1本のベースでいろんな奏法を介して十全に弾き分けていた彼、さすがでした。ほんとキャリアの長い、オーマイティなセッション・プレイヤーである彼の常軌を逸する真価を随所で感じた。

 お茶目な所作やMCのできる矢野も、またこういうイヴェントだと吉と出る。「変わるし」はずっとやってこなかったけどと彼女が言っていたが、冒頭SEも用いられた「ゴジラ対モスラ」をはじめ、やはり選曲はウィル・リーがしていたのだろう。しかし、ピアノを弾きながら歌う彼女に加え、2キーボード、2ドラム、エレクトリック・ギター(彼女のショウ、意外にニア・フィルダーがソロのパートを与えられていた)、さらに曲によっては3菅と3人のコーラスがつく分厚い編成のもと矢野曲を楽しめるというのはとてもレア。また、臼井ミトンのときもそうだが、エンディア・ダヴェンポートが「男もつらいけど、女もつらいのよ」(「ラーメン食べたい」)とか日本語コーラスをつけていることも。矢野顕子は最後みんなが出てきてやったエディ・ハリスの有名ジャズ軽快曲「フリーダム・ジャズ・ダンス」ではスキャットをかまし、代えのない存在感を示した。

 最後の登場者は、エレクトリック・トランペットのランディ・ブレッカー(2009年6月18日、2010年6月6日、2012年6月13日、2016年2月19日、2016年9月29日)とテナー・サックスのアダ・ロヴァッティ夫妻をフィーチャーする塊。実は、ランディ・ブレッカーはウィル・リーによって最大級の恩人。彼がマイアミにいたころ、すでにフュージョンの走りとも言われるジャズ・ロック・バンドのドリームズを組んでいたブレッカーがベーシストのオーディションがあるからと誘い、その2作目にウィル・リーが参加し、この業界への確かな足がかりを築いたのだった。ブレッカー兄弟がその後に組んだザ・ブレッカー・ブラザーズにもリーはクリス・パーカーともに参加していますね。故マイケル・ブレッカーがグループ用に書いた「ストラファンギン」の頭と締めの部分にはアルバート・アイラーの「ゴースト」みたいなパートがつけられているのかあ。もちろん、あたり曲「サム・スカンク・ファンク」もやり、このパートはリーの考える“ザ・ブレッカー・ブザーズ再訪”という意味を持っていたか。オリジナルでも前に出ていたファンキー曲「ドゥ・ユー・ワナ・ブギー」で、リーはやっと歌う。ランディがソロ用に書いた「ザ・ディップシット」(原曲は「ザ・サイドワインダー」のノリをブーガルーぽく開いたという感じの曲)で日野皓正も出てきて華を添える。やっぱり、彼かっこういい!

 よく整備したなあと思わせるハウス・バンドは、キーボードとピアノのジェフ・ヤング(2017年7月30日、2018年11月22日、2019年4月26日)と桑原あい(2013年9月8日、2016年12月7日、2017年7月8日、2017年9月29日、2018年12月21日、2019年1月21日、2019年4月26日)、ギターのニア・フェルダー(2019年4月26日)、ダブル・ベースの鳥越啓介(2000年9月14日、2001年2月15日、2003年3月6日、2008年12月15日、2013年3月26日、2017年9月29日、2018年6月4日)、ドラムのクリス・パーカー(2009年8月19日、2012年8月21日、2014年8月7日、2015年8月20日、2018年8月27日)と山田玲(2017年9月17日)、テナー・サックスとアルト・サックスのアーロン・ヘイク(2019年4月26日)、トロンボーンの村田陽一(2005年1月7日、2006年1月21日、2010年3月9日、2011年12月20日、2012年9月8日、2014年12月14日、2015年9月27日、2016年12月11日、2017年12月5日、2018年6月8日、2018年9月2日、2019年4月26日)、トランペットの西村浩二(2019年4月26日)、バックグラウンド・シンガーのエンディア・ダヴェンポート(2010年2月22日、2015年8月18日、2017年3月29日2019年4月26日)とジェニーク・ニコル(2019年4月26日とMARU(2010年2月22日、2015年7月23日、2019年4月26日)。エレクトリック・ベースとダブル・ベースが一緒にやる曲は1〜2曲だが、ドラムはツインであたる曲が大半。いかなる考えでリーがツイン・ドラムで今回ことにたることにしたかは知らないが、これは大成功。でも、考えてみれば、クリス・パーカーはスタッフでスティーヴ・ガッド(2004年1月27日、2010年12月1日、2012年11月26日、2013年9月3日、2004年1月27日、2010年12月1日、2012年11月26日、2013年9月3日、2016年2月19日、2016年12月6日、2017年6月12日)とツイン・ドラム編成でやっており、お手の物なんだよな

▶過去の、ウィル・リー
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▶過去の、アラン・トゥーサン
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▶過去の、矢野顕子
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▶過去の、ランディ・ブレッカー
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▶過去の、日野皓正
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▶︎過去の、ジェフ・ヤング
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▶︎過去の、桑原あい
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https://43142.diarynote.jp/201710011917499392/
https://43142.diarynote.jp/201812220840383594/
https://43142.diarynote.jp/201901231045028294/
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▶︎過去の、鳥越啓介
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-9.htm phat (オーガニック・グルーヴ)
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-2.htm phat (オーガニック・グルーヴ)
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm phat
http://43142.diarynote.jp/200812281441122331/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130326
http://43142.diarynote.jp/201710011917499392/
https://43142.diarynote.jp/201806060708363548/
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▶︎過去の、ニア・フィルダー
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/
▶︎過去の、山田玲
https://43142.diarynote.jp/201709180648097389/
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/
▶過去の、クリス・パーカー
http://43142.diarynote.jp/?day=20090819
http://43142.diarynote.jp/201209180912154167/
http://43142.diarynote.jp/201408091058201133/
http://43142.diarynote.jp/201508210809254412/
https://43142.diarynote.jp/201808291108033102/
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/
▶過去の、村田陽一
http://43142.diarynote.jp/200501170151560000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20060121
http://43142.diarynote.jp/201003101342028780/
http://43142.diarynote.jp/?day=20111220
http://43142.diarynote.jp/?day=20120908 ベン・E・キング
http://43142.diarynote.jp/?day=20141214
http://43142.diarynote.jp/?day=20150927
http://43142.diarynote.jp/201612171245154424/
https://43142.diarynote.jp/201712061006171627/
https://43142.diarynote.jp/201806130948515941/
https://43142.diarynote.jp/201809071509481583/
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/
▶過去の、エンディア・ダヴェンポート
http://43142.diarynote.jp/201002280939559070/
http://43142.diarynote.jp/?day=20150818
http://43142.diarynote.jp/201704031056083140/
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/
▶︎過去の、ジェニーク・ニコル
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/
▶過去の、MARU
http://43142.diarynote.jp/201002280939559070/
https://43142.diarynote.jp/201507251003319800/
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/
▶過去の、スティーヴ・ガッド
http://43142.diarynote.jp/200402051855170000/
http://43142.diarynote.jp/201012051903113851/
http://43142.diarynote.jp/201212101904379741/
http://43142.diarynote.jp/201312171510083393/
http://43142.diarynote.jp/201410220711345595/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160219
http://43142.diarynote.jp/201612091513593556/
http://43142.diarynote.jp/201706130913351348/

 夜の部は、同じハウス・バンド演奏の元、順にマイク・スターン(2009年3月23日、2009年6月18日、2010年6月6日、2012年6月13日、2015年6月5日、2016年6月4日、2019年4月26日)、日野皓正、渡辺香津美(2004年12月15日、2010年9月1日、2010年9月5日 、2010年11月20日、2012年3月20日、2016年6月4日、2016年9月4日、2017年9月2日、2018年4月6日、2019年4月26日)、臼井ミトン、ランディ・ブラッカーとアダ・ロヴァッティがフィーチャーされる。音楽は生き物、同じ曲目をやってもソロは当然のこと、ノリが動いている部分はなるほどある。スターンのショウは昨日に続き改めて見ると、アーロン・ヘイクとの双頭リーダー表現のよう。事実、ヘイクは昨日より前に位置して演奏。また、そこに1曲渡辺香津美が入った際はジミ・ヘンドリックスやマイルズ・デイヴィス曲が引用され、掛け合いを聞かせる。気安いスターンさんはステージ登場後の休憩時にCD売り場に出て、ファン対応をしていた。

 夜もアンコールは出演者が皆出て、「フリーダム・ジャズ・ダンス」を披露。ダブルベースに演奏をまかせ、スリムなリーは会場を動き、ソロ担当を次々に指さし、交通整理役を担う。そういう端々からも、音楽愛〜音楽をやること、音楽に関われる歓びのようなものをたっぷりと出す。なんか、こんなウィルだからこそ、このイヴェントはうまく成就しているのダと思わずにはいられなかった。

▶過去の、マイク・スターン
http://43142.diarynote.jp/200903260425159549/
http://43142.diarynote.jp/200906190812191379/
http://43142.diarynote.jp/201006071818281946/
http://43142.diarynote.jp/201206141343402196
http://43142.diarynote.jp/201506070920231979/
https://43142.diarynote.jp/201606121224129353/
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/
▶過去の、渡辺香津美
http://43142.diarynote.jp/200412212102130000/
http://43142.diarynote.jp/201009030955539620/
http://43142.diarynote.jp/201009171511588216/
http://43142.diarynote.jp/?day=20101120
http://43142.diarynote.jp/201203260803216950/
http://43142.diarynote.jp/201606121224129353/
http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
http://43142.diarynote.jp/201709101059289712/
https://43142.diarynote.jp/201804071041255956/
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/

 昼に部と夜の部の間に、NYを拠点に置いている1961年ブラジル生まれの現代美術家であるヴィック・ムニーズの作品展を見に行く。国際フォーラム前の広い道をまっすぐ1キロほど外側に行ったところにある、宝町・nca | nichido contemporary artにて。マリーザ・モンチとアルナルド・アントゥネスとカルリーニョス・ブラウン(2000年4月30 日)3人のユニットであるトリバリンタスの2003年セルフ・タイトル作やセウ・ジョルジ(2005年9月1日)の2005年作『Cru』のジャケットは彼の手によるものですね。それを絵画にしろ写真にせよ既存のモチーフを様々な素材を使って再現する彼の芸術活動と社会活動の交差を題材に置く『ヴィック・ムニーズ / ごみアートの奇跡』(2011年ブラジル/イギリス)というドキュメンタリー映画もあり。そんなムニーズの作品展は過去何度も日本でも開かれており、今も他に京都などでも持たれているはずだ。

 2014〜15年にかけての作品を6点展示。彼の作品はデジタル・カラー・プリントによって世に出されているが、サイズがデカいのに驚く。そして、それを近くで見ると、いろんな写真やドロウイングの細切れがモザイクのように重ねられて1つの面(絵)となっているのがよくわかるし、彼の気の遠くなるような作風も一目瞭然。彼の場合、モノの見え方が違うというか、誰よりも精緻な見え方をオルタナティヴな手段で描いているのダと感嘆しちゃう。圧倒された……このやり方を音楽に置き換えるならという発想はぜんぜん持たなかった。

▶︎過去の、カルリーニョス・ブラウン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-4.htm 
▶︎過去の、セウ・ジョルジ
http://43142.diarynote.jp/?day=20050901 

<今日は、春じゃない>
 昨日もそうだったが、寒い1日だった。プルプル、震えっぱなし。3月上旬とか、そんな感じィ? ここのところ、より寒がりになっておってなああああ。二日前に蒸し気味と感じたのが嘘のよう。なんか、突然パリにワープした気分になった? 明日も同様の天候のよう。もっと暖かい格好をして出かけよう。
 エレクトリック・ベースのウィル・リー(2008年12月7日、2009年8月19日、2012年8月21日、2012年11月26日、2013年12月5日、2014年8月7日、2015年8月20日、2018年8月27日)をミュージック・ディレクターに置き、東西のミュージシャンがいろいろと重なる出し物。今年が初開催となり、3日間4公演が行われる。有楽町・東京国際フォーラムのホールC。

 リーに加え、ドラムのクリス・パーカー(2009年8月19日、2012年8月21日、2014年8月7日、2015年8月20日、2018年8月27日)、キーボードとピアノのジェフ・ヤング(2017年7月30日、2018年11月22日)と桑原あい(2013年9月8日、2016年12月7日、2017年7月8日、2017年9月29日、2018年12月21日、2019年1月21日)、サックスのアーロン・ヘイク、トロンボーンの村田陽一(2005年1月7日、2006年1月21日、2010年3月9日、2011年12月20日、2012年9月8日、2014年12月14日、2015年9月27日、2016年12月11日、2017年12月5日、2018年6月8日、2018年9月2日。菅編曲は彼がしたよう)、トランペットの西村浩二、ギターのニア・フェルダー、ダブル・ベースの鳥越啓介(2000年9月14日、2001年2月15日、2003年3月6日、2008年12月15日、2013年3月26日、2017年9月29日、2018年6月4日)、ドラムの山田玲(2017年9月17日)という面々がハウス・バンドを務める。また、日本在住米国人のエンディア・ダヴェンポート(2010年2月22日、2015年8月18日、2017年3月29日)とジェニーク・ニコル、そしてMARU(2010年2月22日、2015年7月23日)からなるバックグラウンド・コーラス隊が出し物によってつく。実績からいえば、ダヴェンポートはフィーチャーされる側にいてもおかしくない人だよな。

 そんなハウス・バンドの演奏を受けてフィーチャーされるのは、マイク・スターン(2009年3月23日、2009年6月18日、2010年6月6日、2012年6月13日、2015年6月5日、2016年6月4日)、桑原あい、渡辺香津美(2004年12月15日、2010年9月1日、2010年9月5日 、2010年11月20日、2012年3月20日、2016年6月4日、2016年9月4日、2017年9月2日、2018年4月6日)、レミオロメンのフロント・マンである藤巻亮太(歌とギター)、そしてサム・ムーア(2006年11月14日、2008年8月31日、2010年12月15日、2011年7月27日、2015年12月2日)という面々。

 快活陽性なスターンはトップ・バッターにぴったり。ギター小僧ゆうゆう泳ぎ、1曲では渡辺香津美が入る。ウィル・リーとスティーヴ・ガッドを擁するレコーディングやツアーを複数している桑原あいはデイヴ・ブルーベックの「ブルー・ロンド・ア・ラ・ターク」も結構凝ったアレンジでやる。ウィルが引っ込み、鳥越がダブル・ベースを弾く場合もあり。渡辺香津美の際は菅セクションが出てきて、「ユニコーン」、「遠州つばめがえし」、「マンハッタン・フル・ダンス」と往年の名曲を、アレンジをいじって披露。そこらへんの選曲や編曲はウィル・リーがやっているはずだ。

 休憩を挟んだ後半は、二人のシンガーを立てる設定。ギターを弾きながら歌う藤巻亮太は洋楽消化後に親しみやすい日本語曲表現をやっていることを知らせるパフォーマンス。堂々としていたな。桑原とのデュオによる曲も一つ。彼のパートは、クリス・パーカーのカウントをかける声で始まるものが多かった。

 そして、サム・ムーアだが、よちよち歩くよ うに出てきて、座って歌う。最後のあいさつのときには、車椅子で出てきた。でも、笑顔で悲壮感なし。なんでも、少し前に腰をいためたということだが。もちろん、歌の方は変わりなくハリがあり聞かせる。もう、そこにいて、声を発するだけで、何かを接する者に何かを与える。本編が終わった際、R&B愛構層がどれほど客を占めていたかは知らないが、多くの人がスタンディング・オヴェイションしたものな。ぼくはその様を見て、かつての“ソウル大使”たる1960年代後期に欧州を回ったスタックスのソウル・リヴューでの様をふと想像したりして。演目は「ホールド・オン」から「ソウル・マン」らサム&デイヴのヒット曲、さらにザ・テンプテイションズの大ファンク曲「シェイキー・グラウンド」(P-ファンクのエディ・ヘイゼルが共作者としてクレジット。カヴァー多し)も歌い、それにはウキっ。彼は予定にはないゴスペル曲「イン・ザ・ガーデン」をジェフ・ヤングに働きかけ、オルガンだけの伴奏で歌いもした。彼の締めは、「イマジン」。このジョン・レノン曲を彼は2017年作『American Patriot』(Bullseye)で披露。著名米国礼讃曲も入っているが「ワッツ・ゴーイン・オン」なども取り上げているので、トランプのアメリカ万歳のアルバムではないと思う。

 最後に、「チキン」(ザ・JBズ在籍時代のピー・ウィ・エリス作、ジャコ・パストリアス版が著名)をやるのかと思ったら、さくっと変わり爽快ジャズ有名曲「フリーダム・ジャズ・ダンス」をマイク・スターンなんかも加わり、大団円。

 結構前からやたら注釈の多い細かい譜面がハウス・バンドの一員でもある桑原あいにはウィル・リーから届いていたそうで、直前の3日間きっちりリハもしているという。全3時間、なるほどウィル・リーの気合と段取り能力を伝えてくれよう。さすが、1970年代から、いろんな人を前に出したTVショウのハウス・バンドをやってきただけありますね。へえと思ったのは、ほぼ全面的にツイン・ドラムで臨んでいたこと。けっこう、アーロン・ヘイクはソロで目立つときがあり、またいろんな曲調を黙々と弾きこなすニア・フィルダーの力量も光っていた。

▶過去の、ウィル・リー
http://43142.diarynote.jp/200812150312308154/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090819
http://43142.diarynote.jp/201209180912154167/
http://43142.diarynote.jp/201212101904379741/
http://43142.diarynote.jp/201312171510083393/
http://43142.diarynote.jp/201408091058201133/
http://43142.diarynote.jp/201508210809254412/
https://43142.diarynote.jp/201808291108033102/
▶過去の、クリス・パーカー
http://43142.diarynote.jp/?day=20090819
http://43142.diarynote.jp/201209180912154167/
http://43142.diarynote.jp/201408091058201133/
http://43142.diarynote.jp/201508210809254412/
https://43142.diarynote.jp/201808291108033102/
▶︎過去の、ジェフ・ヤング
https://43142.diarynote.jp/201708081430263083/
https://43142.diarynote.jp/201811251043143983/
▶︎過去の、桑原あい
http://43142.diarynote.jp/?day=20130908
http://43142.diarynote.jp/201612100926461885/
http://43142.diarynote.jp/201707101243147840/
https://43142.diarynote.jp/201710011917499392/
https://43142.diarynote.jp/201812220840383594/
https://43142.diarynote.jp/201901231045028294/
▶過去の、村田陽一
http://43142.diarynote.jp/200501170151560000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20060121
http://43142.diarynote.jp/201003101342028780/
http://43142.diarynote.jp/?day=20111220
http://43142.diarynote.jp/?day=20120908 ベン・E・キング
http://43142.diarynote.jp/?day=20141214
http://43142.diarynote.jp/?day=20150927
http://43142.diarynote.jp/201612171245154424/
https://43142.diarynote.jp/201712061006171627/
https://43142.diarynote.jp/201806130948515941/
https://43142.diarynote.jp/201809071509481583/
▶︎過去の、鳥越啓介
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-9.htm phat (オーガニック・グルーヴ)
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-2.htm phat (オーガニック・グルーヴ)
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm phat
http://43142.diarynote.jp/200812281441122331/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130326
http://43142.diarynote.jp/201710011917499392/
https://43142.diarynote.jp/201806060708363548/
▶︎過去の、山田玲
https://43142.diarynote.jp/201709180648097389/
▶過去の、エンディア・ダヴェンポート
http://43142.diarynote.jp/201002280939559070/
http://43142.diarynote.jp/?day=20150818
http://43142.diarynote.jp/201704031056083140/
▶過去の、MARU
http://43142.diarynote.jp/201002280939559070/
https://43142.diarynote.jp/201507251003319800/
▶過去の、マイク・スターン
http://43142.diarynote.jp/200903260425159549/
http://43142.diarynote.jp/200906190812191379/
http://43142.diarynote.jp/201006071818281946/
http://43142.diarynote.jp/201206141343402196
http://43142.diarynote.jp/201506070920231979/
https://43142.diarynote.jp/201606121224129353/
▶過去の、渡辺香津美
http://43142.diarynote.jp/200412212102130000/
http://43142.diarynote.jp/201009030955539620/
http://43142.diarynote.jp/201009171511588216/
http://43142.diarynote.jp/?day=20101120
http://43142.diarynote.jp/201203260803216950/
http://43142.diarynote.jp/201606121224129353/
http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
http://43142.diarynote.jp/201709101059289712/
https://43142.diarynote.jp/201804071041255956/
▶過去の、サム・ムーア
http://43142.diarynote.jp/200611190319380000/
http://43142.diarynote.jp/201012160928249431/
http://43142.diarynote.jp/201107310730365740/
http://43142.diarynote.jp/200809011923060000/
https://43142.diarynote.jp/201512030957287514/

<今日の、午後>
 午後、昨日とんでもなく素晴らしい実演を見せてくれたサラ・ガザレクに取材をする。13年前にインタヴューしていらい。覚えているワと、言っていていたが。相変わらず、性格良さそ。新作『ディスタンス・ストーム』(コアポート)はジョシュ・ネルソンと音楽的協調関係を解消し(ここで大きくステップするためには、離れるのもアリかと考えたそう)、離婚(かつて結婚したとき、記念でなんかの歌詞の一節を彫ったはず)、母親の大きな交通事故など、ガザレクにとって小さくない出来事を経てのアルバムとなる。同じ内容ながら、米国盤の表題は『Thirsty Ghost』。それは彼女の意思によるもので、日本人にはこちらのほうが分かってもらいやすいと思ったからだそう。さすが何度も来日しているだけありますね。実はあの凝ったアレンジはライヴでやったりして固めたものが多く、かなり彼女の意図が反映されているとのこと。アルト・サックスとトロンボーンとベース・クラリネットという変則ながら望外にナイスな聞き味を持つホーン音も彼女のアイデア。リズム・セクションは2017年のビリー・チャイルズのトリオで来日しているが、彼女が使っていた二人を彼が拝借したんだとか。『ディスタント・ストーム』のオープナーは、「ネヴァー・ウィル・アイ・マリー」。でも、現在彼女は再婚し、イケ面草食系男子と言いたくなる旦那さんも今回の来日に同行。インタヴューも静かに見守っておりました。あ、ガザレクって、何系の苗字なのと、聞くのを忘れた。
 その後、神保町の出版社に打ち合わせに行く。6月売りの特集のため。時間調整もかねて、自らうかがった。大々的な特集主義を月ごとに打ち出していて話題になっている、あの楽器雑誌だが、その会社が新しい立派なビルに入っていて、おおいに驚く。専門誌としては間違いなく一番リッチなビルに入っているし、出している雑誌の数も多いとはいえ大きなフロアに人がたくさんいるのにも驚いた。大手財閥の会社名が冠された20何建てかのそのビルにはいろんな企業が入っていると思われるが、ロビーにはアートっぽいピアノがオブジェ的に飾られていた。

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