今年から始まった、野外音楽フェス。横浜・赤レンガ倉庫の海側に面する一角で持たれた。つまり、2010年以降は毎年ここで持たれているグリーンルーム・フェスティヴァル(2007年5月26日、2009年5月30日、2010年5月23日、2011年5月21日、2015年5月24日)と同じ感じですね。一時、黒い雲が遠方に見えたりもしたが、一切雨は降らず、いい感じの気候のもと出演者に触れられた。夜は満月(今年はマジ、この晩が“中秋の満月”であったよう。子供のころ、ススキとか飾ってお花見ご馳走会とかやっていたけど、もっと涼しかった記憶があるが……)が会場をぽっかり照らしていましたね。ステージはヴィジョン映像も複数用意される大ステージと反対側に位置する中ステージの二つ。さらに赤レンガ倉庫内のモーションブルー・ヨコハマの室内会場が一つ。の、計3つ也。

▶過去の、グリーンルーム・フェスティヴァル
http://43142.diarynote.jp/200706051231250000/
http://43142.diarynote.jp/200906061045286071/
http://43142.diarynote.jp/201006031536173725/
http://43142.diarynote.jp/201105230925539578/
http://43142.diarynote.jp/201505260835591800/
 
 ぼくの周りで誰もけなす人がいない、豪州の今様ソウル・バンドのハイエイタス・カイヨーテが一番手の出演者。いかにもディアンジェロ(2015年8月18日)登場以降の創意を抱え、その様から、レイ・マン・スリー(2010年5月23日)を生んだ豪州属性を感じる人もいるだろう。ま、プログラム/PC経由のヒップホップ期サウンドを鋭意“生”でやろうとしているのは間違いない。また、エスペランサ・スポルディング((2008年9月5日、2008年12月1日、2010年9月4日、2011年2月17日、2012年3月7日、2012年9月9日、2015年9月5日)の近作『ラジオ・ミュージック・ソサエティ』への共感を単純化してやっているような感じとも説明できるはず。女性ヴォーカル(ギターを持ったりも)、鍵盤。電気ベース、ドラムという編成で、違和感なくアルバムの音をバンドで出していた。

▶過去の、ディアンジェロ
http://43142.diarynote.jp/201508200741137207/
▶過去の、レイ・マン・スリー
http://43142.diarynote.jp/201006031537221581/
▶過去の、エスペランサ・スポルディング
http://43142.diarynote.jp/200809071430380000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20081201
http://43142.diarynote.jp/?day=20100904
http://43142.diarynote.jp/201102190814495504/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120307
http://43142.diarynote.jp/201209191229057579/
http://43142.diarynote.jp/201509211331298145/

 パット・メセニー(1999年12月15日、2002年9月19日、2010年6月12日、2012年1月25日、2012年3月3日、2013年5月21日)はエリック・ミヤシロ(2010年5月11日、2011年3月10日、2011年3月28日、2011年4月21日、2011年8月6日 、2014年9月7日)率いるブルーノート東京・オールスター・ジャズ・オーケストラ(2015年1月9日)との、スペシャルな出し物。彼はヤン・ガルバレク(2002年2月13日、2004年2月25日)やゲイリー・バートン(2005年8月21日、2011年7月20日)らとエバーハルト・ウェバー(2004年2月25日)を追悼するオーケストラ入り盤『オマージュ』(ECM、2015年)を出したばかり。公演はそのレパートリーが流用されるという話もあったが、同作からの曲は1曲とかだったのではないか。オーケストレイションはミヤシロがやったとも聞く。ずっと前からメセニーとミヤシロは連絡を取り合い、またメセニーも早めに来日し、きっちり2日間合同リハーサルを取ったという。

 上音を入れる18人の日本勢(本田雅人、小池修、近藤和彦、山本拓夫、村田陽一、中川英二郎、佐野聡、林正樹、香取良彦など、ここの他プトジェクト原稿で名が出てくる人たちも参画)が入るが、リズム隊はメセニーが同行させた。それ、『オマージュ』に参加していた奏者だ。ベースのスコット・コリー(2012年3月15日、2012年6月4日)とドラムのダニー・ゴットリーブ。やはり、リズムが重要、それがちゃんとしていれば何とかなるという気持ちの表れだろうな。

 フェスとしては、けっこう演奏時間を取った出し物。後で録音されたものを聞くと不備に思えるところもあるのかもしれないが、ビール片手に後のほうからゆったり見る分には晴れ晴れ、快感を覚えた。

▶過去の、パット・メセニー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/december1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm
http://43142.diarynote.jp/201006181520054406/
http://43142.diarynote.jp/201201271245417497/
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/
http://43142.diarynote.jp/201305260927026044/
▶過去のエリック・ミヤシロ/ブルーノート東京・オールスター・ジャズ・オーケストラ
http://43142.diarynote.jp/?day=20100511
http://43142.diarynote.jp/?day=20110310
http://43142.diarynote.jp/201104041100266528/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110421
http://43142.diarynote.jp/201108101632022013/ ノー・ネーム・ホー^セズ
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/ ノー・ネーム・ホーセズ
http://43142.diarynote.jp/201501131019359012/
▶過去の、ヤン・ガルバレク
http://43142.diarynote.jp/200402251031510000/
▶過去の、ゲイリー・バートン
http://43142.diarynote.jp/?day=20050821
http://43142.diarynote.jp/201107230819362417/
▶過去の、エバーハルト・ウェバー
http://43142.diarynote.jp/200402251031510000/
▶過去の、スコット・コリー
http://43142.diarynote.jp/201203161146266803/
http://43142.diarynote.jp/201206110916017268/

 知人との“三休み”を挟んで、室内会場でSoil &” Pimp” Sessions(2005年7月29日、2007年5月6日、2009年6月12日、2011年1月30日、2011年6月23日、2012年3月3日。2012年9月9日)を見る。昔、ぼくはフロントの管2人をさして、<まさに、ダイナマイト・デュオ。サム&デイヴの管版>と言ったことがあったが、自在に、エネルギッシュに重なる様を見て、ほんとそうと再認識。とともに、よく動きもするこの2人の存在感がライヴにおける最たる武器であるとも感じる。

▶過去の、SOIL
http://43142.diarynote.jp/200508042335560000/
http://43142.diarynote.jp/200705181805330000/
http://43142.diarynote.jp/200906160733018341/
http://43142.diarynote.jp/201102091715522875/
http://43142.diarynote.jp/201107020946473690/
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/
http://43142.diarynote.jp/201209191229057579/

 UKジャジー・ソウル・バンドのインコグニート(2002年12月20日、2006年9月3日、2011年3月31日)は安定、いいヴァイブを送り出す。3ヴォーカルに9演奏者、この整備された大所帯バンドでハイエイタス・カイヨーテみたいなことやると、映えるだろうなとも思った。

▶過去の、インコグニート/ブルーイ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-12.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20060903
http://43142.diarynote.jp/201104041101072561/
http://43142.diarynote.jp/201306190743528192/
http://43142.diarynote.jp/201507110856518338/

 最後の出演者は、ジェフ ・ベック(2009年2月6日)。相変わらず、年齢不詳〜見える私生活観皆無で、悠々と振る舞う。キーボード奏者がおらず、ニコラス・メイヤーというサイド・ギター奏者がいる。そのためか、なんか前に見たときより、インスト部だけを比較してもロッキッシュに感じる。ロンダ・スミス(2006年8月10日)とニコラス・メイヤーのリズム・セクションはアフリカ系。ベックは女性ベーシストが好きだなあ。サザン・ロック・バンドのウェット・ウィリーのシンガー、ジミー・ホールも登場。昔、彼はテナー・サックスも吹いていた。ベックとは1985年からの付き合いなり。彼のパワフルな歌、好評だったようで何より。

 なんか、ジャズ・フェスという名目の場に出る彼を見ながら、一度硬派なジャズ・ミュージシャンを使った、真摯ジャズ志向のアルバムを出さないものかと夢想したり。それとも、ECM発のジェフ・ベック盤とか……。ECM最厚遇アーティストであるギタリストのテリエ・リプダルとベックのラインの親和性を、昔説いたことがありました。

▶過去の、ジェフ・ベック
http://43142.diarynote.jp/200902080200527638/
▶ロンダ・スミス
http://43142.diarynote.jp/201505271549266046/

<今日の、邂逅>
 盛況、たくさんの知り合いと会った。最初のリスト交換のときからいろんな人に声をかけられまくり。顔見知りのミュージシャンも来ていたし、ロック好きの方々の姿も見た。ジェフ・ベックが出演者にいるというのは大きいのかな。震災後に結婚し、55歳をすぎて父親になったご夫妻も来ていた。なんかコドモくんに挨拶できてうれしかったな。ハハ。そんなわけなんで(?)、かなりの時間は赤レンガ倉庫上階のゆったりできるところでワインをポンポン開けながら、知人と旧交を温め合う。ま、それも緩いフェスの醍醐味なり。そのため、ロバート・グラスパー・トリオは見ることができず。メセニー御大が飛び入りしたんだってね。それも、フェスの美味しさ。そういえば、フェス会場にいて、思ったこと。会場内にゆったりした感じでくつろげる、バー(やはり、ワインのボトルを提供してほしい)や食べ物を食べることができる一角を、望外な値段をとっても設けないか。野外フェス(のシャンパンやワイン)というと、1999年7月31日や2007年7月18日の様とかを思い出したりもしてしまうのだ。

▶過去の、記憶
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/julylive.htm
http://43142.diarynote.jp/200707232251010000/