5人の管楽器奏者たちによるビッグ・ホーンズ・ビーを赤レンガ倉庫・モー
ション・ブルー・ヨコハマで見る。テナー、バリトン、トロンボーン、トラン
ペット、トランペットという布陣。全員の前に譜面台がおいてあったが、MC
によれば新しい曲中心のパフォーマンスであったよう。エリントン曲のオープ
ナーからJB調に写り、アンコール曲はもろのタワー・オブ・パワー調。ファ
ンキーなノリを基調に、管楽器が前面に出た滋養豊かな表現を聞かせるという
感じか。バッキング・バンドは沼澤尚や森俊之ら毎度の顔ぶれで固定してやっ
ているようで、ぬかりはない。ともあれ、フロント陣は長年の積み重ねだろう
アンサンブル等はこなれ、ビッグ・バンド風な絡みも上手い。ゆえに、一曲ぐ
らい5人だけの演奏も聞きたくなるところではあったけど。

 その後、横浜・サムズアップに移動。「いいハコですよ」という話は聞いて
いて行きたいナと思っていたのだが、なるほどいい感じで見れるヴェニュー。
天井がもうちょっと高ければとは思うが。お客さんにぜんぜん、サラリーマン
風の人がいずへえっと思う。ハコ自体の固定客が多そう。

 で、特殊酔狂ギタリストのチャーリー・ハンター(1999年6月22日、2002
年1月24日)を見る。ドラマーがパワフルに叩ける人に変わったせいか、サ
バけた客/反応につられたせいもあるのか、これまでで一番飛ばした感じの実
演だったのは間違いない。よりストレートで、ときにロッキッシュでもあった
な。あと、なるほどなと思わせられたのは、過去にも同行しているテナー・サ
ックス奏者(一部、バスクラも吹く)のジョン・エリスがけっこうエレピ(と
きにはピアニカ)を弾いていたこと。かつてのハンターはオルガン風の加工音
で演奏することも多かったのだが、そんなこともあり、この晩はわりかし素直
なギター(とベース)の音で勝負していたことは、聞き手にその妙味をストレ
ートに働きかけることにつながっていたのではないか。やっぱり、ギターで過
剰にアクロバティックなことをするというのは、どこかに無理がある。

 ところで、サムズ・アップはハコのディスプレイから食べ物まで、なにもか
もがアメリカン。で、途中から、空気が澄んでいて、誰も煙草を吸っていない
のに気づく。テーブルに灰皿もない。え、ノー・スモーキングもアメリカ流?
な〜んて半信半疑ながら思っていたら、それはアーティストの意向でこの日だ
けのよう。残念。

 帰り際に、ハンターとちょい言葉を交わす。初来日時にインタヴューしたこ
とを覚えていたので、そのときの話題から(1999年6月22日の項、参照のこ
と)「今回もパンデイロを持ってきている?」と聞いたら、ちょいすまなそう
に「いや、もうずっと触ってないんだ」。ちょっと、寂しかった。