ジョーンズは、ミドルティーンでアポロ劇場(2004年9月15 日)のタレント・ショウで優勝しプロ入り、20歳のときには(当時の)米国ジャズ権威誌であるダンビート誌で有望新人賞を受けたりしたものの、差別をきらって65年に欧州にわたり、ずっと英国に拠点を置いている、1944年ヴァージニア州生まれの歌手だ。80年前後から日本に毎年来るようになり、基本リーダー作は日本のレコード会社を通して出しているんだっけか。ながら、ぼくは初めて、彼女の歌に触れる。なお、彼女の今の旦那は、ロイ・ハーパー、トム・ジョーンズ、ザ・ボシー・バンド、メイナード・ファーガソン他の制作や編曲に関与してきた英国人キース・マンスフィールドなんだそう。

 森下滋(ピアノ)や納浩一(ベース、2010 年9月1日、他)や村田陽一(2010年3月9日、他)ほか、日本人のジャズ/スタジオ奏者を従えての実演。年齢より若く見える彼女は違和感なく、白いドレスを着ている。題材はポップ・ソングやスタンダード。そんな選曲どおりに、ジャズとR&Bを穏健に重ねたようなヴォーカル表現を悠々と聞かせる。無理な歌い方をしないためもあり、喉はそんなに劣化していると感じさせませんね。曲によってはあまり黒っぽくない行き方を取り、それにはちょい痒さを覚えるが、それもまた彼女の求めるものなのだろうとも思わせる。なんにせよ、米国黒人ヴォーカル表現がR&BならR&B、ジャズならジャズときっちり分化していないころのおおらかな妙味を感じさせるという言い方もできるか。ステージのマナーも堂に入ったものだし、円満げに歌うのもいいし、ふふふと見れました。控えている飲み会があり、ファースト・ショウのみ見る。この晩の模様はアルバム化される予定と聞く。六本木・スイートベイジル139。

<今日の、中吊り広告>
 週刊誌はほとんど買わないが、電車にある中吊り広告は好んで見る。今日も車内の退屈しのぎで、いろいろと見る。おもしろかったのは、木曜発売の週刊新潮と文春のそれの対比。昨日、北の“将軍さま”の死去報道がなされたが、新潮のほうはちゃんと先を見越して準備していたのか、だーっと死亡関連記事の見出しが並んでいる。よくぞ、広告印刷を間に合わせたなー。それについて、文春はぎたぎたに完敗。ま、ゲンブツを手にするとたいしたことがないのかもしれないが。ぼくが<ライヴ三昧>で金正日のことを韓国映画に絡めて揶揄したのは、1999年11 月16日の項。あんときは、死ぬときのことなんて、当然のことながら考えもしなかった。