いやあ、面白かった。こりゃ聞かせるし、ジャズに根ざしたもう一つの、今の音楽をやる意義を出していたような。あら、ジェリアン・ラージ(2005年8月21日、2009年6月24日、2011年7月20日)の自己グループとしての来日公演はこれが初となるのか。

 新作『アークライト』(Mack Avenue,2016)と同じく、トリオ編成。ただし、メンバーはそのレコーディングの時とは異なっていて。ダブル・ベース奏者は南米出身者で組んでいた前のブループからホルヘ・ローデル(2011年7月20日、2016年6月11日)が参加。ドラマーは、マシュー・スティーヴンス(2009年1月31日、2013年6月4日、2014年8月7日、2015年1月22日)とも懇意にしているエリック・ドゥーブ。彼らの演奏も、ジャズでありつつ、旧来のジャズ文脈から一歩出た回路のもとインタープレイする。

 ジャズのテクや経験がなくては具現できないものながら、一歩進んでポップ・ミュージックやフォークロアなども見渡した末の、引っかかりのあるギター・ミュージックを送り出す。コード分散からの発展の美味しさはジョン・スコフィールド(1999年5月11日、2001年1月11日、2002年1月24日、2004年3月11日、2006年3月1日、2007年5月10日、2008年10月8日、2009年9月5日、2012年10月10日、2013年10月21日、2015年5月26日)やビル・フリゼール(2000年7月21日、2006年5月14日、2009年5月8日、2011年1月30日、2017年1月12日、2017年1月13日)らの行き方とも重なるが、音色の率直さもあり、ある意味オトナでナチュラルか。トリオというシンプルな編成だと、その妙味はストレートに表れて、実ににっこり。

 新作はジェシー・ハリス(2002年12 月21日、2005年9月7日、2006年1月23日、2006年4月22日、2007年3月11日、2009年3月31日、2010年10月10日、2010年10月12日 、2011年8月6日、2012年7月16日、2013年5月26日、2016年4月27日、2016年9月8日)のプロデュースによるものだが、それは脱ジャズの指針を描くからこその依頼。なんか生理的にとてもフランクなギター演奏という感じもあって、それは様々な米国の機微をつまんだような楽曲(今回演奏したのは、オリジナルなのではないか)を採用していることもあるだろう。そういえば、味を存分に出しつつ、無駄なことはせず、各曲はそれなりに短めだった。

 ラージはテレキャスターを自在に操るわけだがピッキングの強弱のコントロールはすごい。実はエフェクターを二つぐらいアンプの横に置いただけで、彼は装置に頼っていないのがいい。まあ、ぼくが面倒くさがり屋だから楽に感じ余計にそう判断するんだろうけど、過剰にエフェクターに頼らなくても腕と発想だけで今をなぞる演奏はできるのダ。彼はフレットを飛ばすようなトリッキーな奏法も時々見せる。それ、1980年頃のアーサー・ブライスや菊地雅章(1999年11月3日(2002年9月22日、2003年6月10日、2004年11月3日、2012年6月24日、2012年6月25日、2012年10月26日、2015年7月8日、2016年6月11日)ブギー・バンドにいた、ザ・ケルヴィネイターという自己バンドもやっていたケルヴィン・ベルの演奏をぼくは思い出した。

 丸の内・コットンクラブ、セカンド・ショウ。客の入りも良く、ラージもとっても気分良さそうに演奏していた。

▶過去の、ジュリアン・ラージ
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▶︎過去の、ホルヘ・ローデル
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▶過去の、マシュー・スティーヴンス
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http://43142.diarynote.jp/201306060730086224
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▶過去の、ジェシー・ハリス
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▶過去の、ジョン・スコフィールド
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http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-1.htm 1.11
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▶過去の、ビル・フリゼール
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▶過去の、菊地雅章
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<今日の、違和感とか>
 突然、左手親指の付け根に痛みを感じる。それ、終日引かず。ちょい、ヤーな感じ。そういえば、知人のギタリストがラージは前に、手の病にかかって弾けないことがあった、というようなことを言っていた。この日の演奏からは、そういうトラブルはぜんぜん分からなかったが。ラージはアコースティック・ギターを弾くアルバムも出しているが、エレクトリック・ギター演奏との差異はかなりあると、この晩に確認。それも、頼もしいなあ。
 「スナーキー・パピーはいくつかターニング・ポイントがあって、最初のそれは僕たちのヴィデオをユーチューブにのっけた時だね。2回目は、グラミー賞を取った時(2013年、レイラ・ハサウェイ〜1999年7月14日、2002年5月13日、2003年8月19日、2004年5月10日、2008年5月13日、2010年7月13日、2012年1月5日、2013年1月25日、2016年12月12日〜をフィーチャーした「サムシング」で”ベストR&Bパフォーマンス”賞を獲得)。それから、僕自身としては、僕がダラスのゴスペルやR&Bシーンに入り込んだとき。エリカ・バドゥ〜2000年11月19日、2006年4月2日。2012年3月2日〜とかカーク・フランクリンとかと付き合いが出来てから、音楽に対しての感じ方が変わった。音楽がアカデミックでメンタルなものであったのが、もう少しスピリチュラルなものになった」 これは、スナーキー・パピー(2009年9月18日)のリーダーのマイケル・リーグに昨年インタヴューしたときの発言なり。

 なるほど、カール・フランクリン(2009年9月18日)に同行したロバート・シーライトは、フランクリンとはずっとやっているドラマーで、2010年ごろからスナーキー・パピーにも関与している人物だ。彼とベーシストのコンビはバカテク以外の何物でもなくストロング。バンドは、他に鍵盤2人(うち、一人はやはりスナーキー・パピーと交わりあり)とギター。そして、肝心のヴォーカルは女性シンガーが3人、男性シンガーが2人。そして、そこにディレクターのカーク・フランクリンがやんちゃに振る舞いまくるわけだ。その米国コンテンポラリー・ゴスペルの雄のショウの大筋は前回見た際と基本は同じだが、ほんと楽しくも鼓舞される。客とのやりとりも含めて、やはり“体験”というところはあるよなあ

 神への献身を歌っていれば、ポップ・カントリーでもヘヴィ・ロックでもゴスペル/クリスチャン・ミュージックと米国では認められるなか、ちゃんとゴスペル・クワイアーの縮小版みたいなシンガーたちを擁するフランリンの表現は末広がりなものの違和感は少ない。やはり、そこには正統なブラックネスがあるからと思う。クローザーは少しP-ファンク的な曲で、最後はファンカデリック/パーラメント(2002年7月28日、2009年9月5日、2011年1月22日、2013年4月12日、2015年4月12日、2016年11月29日)のライヴ盤『P-ファンク・アース・ツアー』(カサブランカ、1977 年)につながっちゃう部分があって、ぼくは浮かれた。

▶︎過去の、スナーキー・パピー
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▶過去の、レイラ・ハサウェイ
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http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm マーカス・ミラー
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http://43142.diarynote.jp/201301270742196778/
▶過去の、エリカ・バドゥ
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http://43142.diarynote.jp/?day=20120302
▶過去の、カーク・フランクリン
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▶過去の、ファンカデリック/パーラメント
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-7.htm 触れていないが、フジ・ロック
http://43142.diarynote.jp/?day=20090905
http://43142.diarynote.jp/201102081256005311/
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http://43142.diarynote.jp/201504131109395934/


 そして、南青山・ブルーノート東京。デイヴィッド・ボウイの遺作『★』の録音に参加していたコア・プレイヤーたちによる実演を見る。ボウイ絡みできた人が多いのか、劇混み。

 リーダーのダニー・マッキャスリン(2012年12月17日、2013年12月17日)は1966年生まれで山ほどリーダー作を出しているテナー・サックス奏者だが、かなり若く見える。初来日は小曽根真(2011年3月28日、2011年8月6日、2012年8月24日、2012年9月8日、2013年8月1日、2013年10月26日、2014年9月7日、2015年9月5日、2016年9月3日)に同行した、1987年だそう。また、その尖った演奏の様と異なり、とても快活なナイス・ガイぽい感じを出していて驚く。その無防備さ(?)はマイク・スターン(2009年3月23日、2009年6月18日、2010年6月6日、2012年6月13日、2015年6月5日、2016年6月4日)と少し重なるかも。

 同行者は、キーボードのジェイソン・リンドナー(2009年5月15日)、エレクトリック・ベースのティム・ルフェーブル(2010年2月19日、2014年2月11日、2016年4月1日)、ドラムのマーク・ジュリアナ(2006年5月17日、2015年3月13日、2016年1月4日)という面々。それは、マッキャスリンの近3作のリーダー作と同じ顔ぶれだ。

 実演には、びっくりしたなり。いやあ、今の尖ったジャズ以外の何物でもなくて、ぼくはキャキャキャとなりっぱなし。アルバムより、ずっといい。まず驚いたのは、リンドナーのキーボード音。うわあ、これ何? もう“電波”極まりないエレクトロな雫を振りまく様に脱帽。こんな鍵盤音がジャズ・コンボに入るなんて、世は動いていると思わずにはいられず。かつてミシェル・ンデゲオチェロ(2002年6月18日、2003年11月18日、2003年11月22日、2008年5月7日、2009年5月15日、2013年11月18日、2014年7月14日、2017年1月18日)のサポートで来た際にはいいと思わなかったのに、彼はすごい。特に一番イっていたのはオープナーで、徐々に突出さは減じていったけど。

 また、テデスキ・トラックス・バンド(2014年2月11日、2016年4月1日)のパーマネントのベーシストも務めるルフェーブルの動的さと粘着さを併せ持つベース音と“美はイビツさにあり”というジュリアナのドラム音の噛み合いもグイグイと前進する感覚を存分に持つ。そして、そこに乗るマッキャスリンのテナー・サックスのソロがまたすごい。あんた一体どこを見ているのと問いかけをしたくなる、ブロウ音の並びはちょっとすごい。ちゃんとジャズらしい技巧(いや、相当に彼は上手い)や音色の良さや奥行きを出しつつ、彼はあっち側で泳いでいた! もう現代ジャズ奏者として、サウンド設定も奏者としても、マッキャスリンは超一流、すごかった。

 それから、さすが5年ほど一緒にやってきただけあるなあという4人の重なりの妙もあり、これは今年のジャズ系ライヴの白眉となるものと認定。この1月はチャールズ・ロイドとかマーキス・ヒルという素晴らしすぎる実演があったりもし、うわあ今年のジャズ・ライヴはどうなるのかと、うれしい悲鳴?

▶︎過去の、小曽根真
http://43142.diarynote.jp/?day=20110328
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http://43142.diarynote.jp/201509211331298145/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160903
▶過去の、マイク・スターン
http://43142.diarynote.jp/200903260425159549/
http://43142.diarynote.jp/200906190812191379/
http://43142.diarynote.jp/201006071818281946/
http://43142.diarynote.jp/201206141343402196
http://43142.diarynote.jp/201506070920231979/
http://43142.diarynote.jp/201606121224129353/
▶︎過去の、ダニー・マッキャスリン
http://43142.diarynote.jp/201212190844487864/
http://43142.diarynote.jp/201312181034409673/
▶過去の。ジェイソン・リンドナー
http://43142.diarynote.jp/200905161026033788/
▶過去の、ティム・ルフェーヴル
http://43142.diarynote.jp/201002211122268480/
http://43142.diarynote.jp/201402121439433317/
http://43142.diarynote.jp/201604020743314542/
▶過去の、マーク・ジュリアナ
http://43142.diarynote.jp/200605190943240000/
http://43142.diarynote.jp/201503150906115048/
http://43142.diarynote.jp/?month=201601
▶過去の、テデスキ・トラックス・バンド
http://43142.diarynote.jp/201402121439433317/
http://43142.diarynote.jp/201604020743314542/

<今日の、サーヴィス>
 最初に見た、カーク・フランクリオンは今回ステージを降りて、客席を回ったりもした。それ、2度ほどで、後のほうは上階にも行った。ところで、根本的な疑問を書くが、プリチャーの進化系とも言える彼はとうぜん教会指導者の資格のようなものを持っているのか?
 後のほうのマッキャスリンは、基本オリジナルの人。だが、今回公演の盛況は『★』絡みのものであることも良く分かっっていて、ぼくが見たショウでは、『ロジャー』収録の「ルック・バック・イン・アンガー」、『ロウ』収録の「アート・ディケイド」、ラスト・シングルの「ラザラス」と、ボウイ曲を3つも披露。そんな彼はマリア・シュナイダー・オーケストラ(2012年12月17日、2013年12月17日)の一員として6月にも来日するそう。そう、彼とボウイの親い関係は、ボウイが最初に同オーケストラで1曲「スー」を録音したこと(それ、『★』収録ヴァージョンとは別で、ずっといい)が発端だ。
 この晩のマッキャスリンのライヴ評は、3月2日の毎日新聞夕刊に掲載されます。
▶過去の、マリア・シュナイダー・オーケストラ
http://43142.diarynote.jp/201212190844487864/
http://43142.diarynote.jp/201312181034409673/
 二人の、ガット・ギター奏者が出る出し物。代官山・晴れたら空に豆まいて。

 まず、笹久保伸(2013年8月29日、2014年5月24日、2014年12月12日)が出てきて演奏。おお、これはペルー流儀ギターのロバート・ジョンソンではないか、なぞと一瞬思う。低音と高い方の音との噛み合い/対比がすごく、一人じゃないみたいで……。少し荒いところがあるとも感じたのだけど、すごくエッジの効いた演奏でもあると思えた。しかし、1曲ごとにチューニングを変えていて、大変だよなあ。

 休憩を挟んで出てきた、ブラジル人のコスタはすぐに素晴らしいギター(彼は7弦のそれを用いる)の使い手だと頷かせる。奏法も音色もフレイズも広がりがあり、キレもすごい。また、アップ系とスロウ系の音の感じが違うことにも驚く。そして、その底にはブラジル的な揺らぎもたっぷり。技巧と情緒の両面を難なく高次元で綱引きさせていると、ため息。そして、彼は多くの曲で、途中から歌い出したり、スキャットするのが素晴らしい。快活にして率直、まずは歌心ありきという感じがビンビン伝わってきて、これはしびれずにいられようか!

 45分と60分のソロ演奏。その後に、一曲一緒にやる。その曲、なんかポルトガル語ではなくスペイン語から発した曲であると、ぼくには感じられた。

▶過去の、笹久保伸
http://43142.diarynote.jp/201309021134211584/
http://43142.diarynote.jp/201405271717357738/
http://43142.diarynote.jp/201412281015581474/

<今日の、比較>
 ちょい前に見たばかりなのでジュリアン・ラージ(2005年8月21日、2009年6月24日、2011年7月20日、2017年2月1日)を俎上にあげちゃうが、もし彼がコスタの演奏に触れたならもう最敬礼しちゃうんじゃないかとも、その演奏に接していて思えた。この記述は別にラージを下げようとすることではなく、ラージはアメリカ人としてあるべき個性的かつ魅力的なギター表現をやっていて、なんか分かち合える部分を持ち合っているとも思えたから。そういえば、気に入ると思ってパット・メセニー(1999年12月15日、2002年9月19日、2010年6月12日、2012年1月25日、2012年3月3日、2013年5月21日、2015年9月27日)に笹久保の『アヤクーチョの雨』(めちゃエスノなのにモダン音響でもある逸品です)を渡したことがありました。
▶過去の、ジュリアン・ラージ
http://43142.diarynote.jp/200508230545510000/
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http://43142.diarynote.jp/201702021523283237/
▶過去の、パット・メセニー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/december1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm
http://43142.diarynote.jp/201006181520054406/
http://43142.diarynote.jp/201201271245417497/
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http://43142.diarynote.jp/201305260927026044/
http://43142.diarynote.jp/201510021129591335/

 新宿ピットイン。ノルルウェー勢が出る公演で、第一部はピアニストのクリスチャン・ヴァルムルーのソロ・パフォーマンス。ピアニストと書いたが、その多くは弦をいじるももので、旧来のジャズ・マナーにあるものではない。だが、正しいジャズ流儀や発想を通ってこその演奏ではあったはず。

 冒頭は反復ドローン効果を下敷きにすると書けるもので、少しザ・ネックス(2016年12月14日)の方法論を思い出させる。その後、エレクトロニクス効果や気持ちのいいインサート音なども繰り出し、見事なサウンド・スケープを紡ぐ。ふうむ、いろんな音を出していたなー。ピアノの構造や道理をよく知っているからこその、オルタナティヴという言い方もできるか。ありそうで、ぼくは初めて接するピアノ演奏のパターンと思う。しかし、生真面目な会場のオーナーだったら、調律が狂うと気をもんでしょうがないパフォーマンスであるとも思った。ハハハ。でも、もしかすると、名手がやると全然狂わないのかもしれない。

▶︎過去の、ザ・ネックス
http://43142.diarynote.jp/201612171446143839/

 休憩を挟んだ2部は、ザ・ニュー・ソングスというユニットにジム・オルーク(2000年3月25日、2001年2月21日、2006年4月18日、2006年10月22日、2007年4月20日、2008年8月24日、2010年4月15日、2010年11月17日、2011年1月8日、2013年4月21日、2013年5月24日、2014年10月11日、2015年4月9日)が加わるユニット。読み方がわからないので、メンバーの個人名の列記は避けるが、ザ・ニュー・ソングスは女性ヴォーカル、たっぷりエフェクトを用いる二人のギタリストという編成。ギター奏者は生ギターと電気ギターをそれぞれに持ち、共に電気効果はしこたま介す。一方、ヴォーカルはアフリカ系だが、それ的な歌い方は一切せず、楽器音に反応して詠唱系のものを軽く流す。そして、ギタリストが2人いるためオルークはギターは持たず、ヴィンテージなアナログ・シンセなどを置きエレクトロニクス音を出す。こちらのパフォーマンスは、なんかいろんな模様を持つ透明性の高いシートをそれぞれが持ち合い、重ね合っているという所感を持った。

▶過去の、ジム・オルーク
http://www.myagent.ne.jp/%7Enewswave/live-2000-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm
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<今日の、前座>
 自分としては少しやっかいな用事を済ませた後に新宿に回ったら、少し時間が早い。ピットインは日曜でも20時開演であるから。で、飲み屋がいろいろと軒を連ねる2丁目界隈を探索。真面目そうな女の子が店頭に立って案内している飲食店が散見されたが、それはこのあたりのトレンドなの? なるほど、汚い男性がやっているよりはいいよな。さて、ぼくはどういう店で喉を潤わせたでしょう?

 ヘイズ(2016年12月6日)は昨年12 月のスティーヴ・ガッド(2004年1月27日、2010年12月1日、2012年11月26日、2013年9 月3日、2004年1月27日、2010年12月1日、2012年11月26日、2013年9 月3日、2016年2月19日、2016年12月6日)公演に同行し、趣味の良い鍵盤さばきを見せていた人物と書くと、誤解を招くかもなあ。というのも、笑っちゃうぐらいに、表現の幅の広い人物であるから。

 1968年生まれのニューヨーカーで、20歳ぐらいからいろんな録音セッションに参加し出している御仁。クリス・ポッター(2012年5月28日、2013年5月21日)やシーマス・ブレイク(2015年8月5日)やジョシュア・レッドマン(2003年1月16日、2009年4月21日、2010年9月5日、2012年5月31日、2014年5月15日)など、サックス奏者の評価がめでたいジャズ・ピアニストとも言えようか。リーダーとしては、1991年以降はスティープル・チェイスやブルーノート他からリーダー作をいろいろ発表していて、その数は15枚を超える。

 ベースのダグ・ワイス(2011年10月6日)やドラムのブライアン・ブレイド(2000年12月6日、2001年8月3日、2002年8月25日、2004年2月9日、2008年9月4日、2009年7月20日、2011年5月12日、2012年1月16日、2012年3月15日 、2012年5月22日、2014年2月12日、2014年4月14日、2015年5月27日、2016年5月18日)やテナーのシーマス・ブレイク(2015年8月5日)やヴァイブラフォンのスティーヴ・ネルソン(2015年1月9日)を擁する1994年ブルーノート第一弾は、ジョン・スコフィールド(1999年5月11日、2001年1月11日、2002年1月24日、2004年3月11日、2006年3月1日、2007年5月10日、2008年10月8日、2009年9月5日、2012年10月10日、2013年10月21日、2015年5月26日)が制作に絡んでいた。

 また、2011年にノンサッチからブラッド・メルドー(2002年3月19日、2003年2月15日、2005年2月20日、2015年3月13日)とヘイズと現代音楽作編曲家のパトリック・ツィムマーリという3人連名による『Modern Music』という現代音楽方向にあるピアノ作品をリリース。それは3人のオリジナルや、スティーヴ・ライヒやオーネット・コールマン(2006年3月27日)の曲を、メルドーとヘイズが格調高く弾くという内容を持っている。また、同年はクラシック的な演奏モードにあったのか、その手の指さばきを全自作曲のもと披露する『Variations』(Pirouet,2011)のようなアルバムも出している。それ、もしかすると、わりとフリー・フォームで弾いたのかもしれない。

 今公演に冠されたニュー・デイ・トリオというのは、2015年作『ニュー・デイ』(Sunnyside)から来ていて、今回の同行のダブル・ベースのロブ・ジョスト、ドラムのグレッグ・ジョセフは同作と次作の『ノース』(Sunnyside)に入っている面々だ。彼らは30 代だろうか。ドラマーはジャズの流儀に則るが、軽い音ながらベース・ドラムはダッタタと踏み続けていて、こういう人もいるのだなと思った。

 実は『ニュー・デイ』はエレクトリック・ピアノを弾きつつ曲によっては朗々と歌ってもいたアルバムで、『ノース』はいろんな曲をやっているアコースティックなアルバムだったが、今回は全面的にアコースティック・ピアノを弾く。ただし、クラシカルな指さばきを見せるのは無しで、比較的明快なピアノ・トリオ表現を聞かせたと言えるか。オープナーはカリプソ/ラテン調という指摘もできる曲で、全体の3分の2近くは実はオレ腹黒いんですと言っているようなキース・ジャレット(2001年4月30日、2007年5月8日)愛好からくるようなとりとめもない指さばきを見せる。また、スティープル・チェイスからデビューしたのも納得できるような、物分かりの良い演奏もあり。でもって、彼は4曲ではヴォーカルをとった。なかなか朗々としたそれを披露する時は、シンガー・ソングライター風情になるわけで、ヒャハハハ。それ、スピリチュアルなときもあったし、歌の上手なベン・シドラン(2006年4月9日、2007年1月15日、2008年3月17日、2009年5月23日、2010年7月28日、2013年8月8日)という曲もあった。丸の内・コットンクラブ、セカンド・ショウ。

▶︎過去の、ケヴィン・ヘイズ 
http://43142.diarynote.jp/201612091513593556/
▶過去の、スティーヴ・ガッド
http://43142.diarynote.jp/200402051855170000/
http://43142.diarynote.jp/201012051903113851/
http://43142.diarynote.jp/201212101904379741/
http://43142.diarynote.jp/201312171510083393/
http://43142.diarynote.jp/201410220711345595/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160219
http://43142.diarynote.jp/201612091513593556/
▶過去の、クリス・ポッター
http://43142.diarynote.jp/201205301445023004/
http://43142.diarynote.jp/201305260927026044/
▶過去の、シーマス・ブレイク
http://43142.diarynote.jp/201508091204162305/
▶過去の、ジョシュア・レッドマン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-1.htm
http://43142.diarynote.jp/200904221307055009/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100905
http://43142.diarynote.jp/201206011834355756/
http://43142.diarynote.jp/201405171309186867/
▶︎過去の、ダグ・ワイス
http://43142.diarynote.jp/201110091258307349/
▶過去の、ブライアン・ブレイド
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-8.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/framepagelive.htm
http://43142.diarynote.jp/200402091738240000/
http://43142.diarynote.jp/200809071429250000/
http://43142.diarynote.jp/200908061810483865/
http://43142.diarynote.jp/201105140859559227/
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http://43142.diarynote.jp/?day=20140212
http://43142.diarynote.jp/201404161959228005/
http://43142.diarynote.jp/201505281537538677/
http://43142.diarynote.jp/201605240831421865/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160803
▶︎過去の、スティーヴ・ネルソン
http://43142.diarynote.jp/?day=20150109
▶過去の、ジョン・スコフィールド
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live2.htm 5.11
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-1.htm 1.11
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-1.htm 1.24
http://43142.diarynote.jp/200403111821250000/
http://43142.diarynote.jp/200603011148430000/
http://43142.diarynote.jp/200705181809270000/
http://43142.diarynote.jp/200810111558046727/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090905
http://43142.diarynote.jp/201210111837516874/
http://43142.diarynote.jp/201310210730403296/
http://43142.diarynote.jp/201505271549266046/
▶過去の、ブラッド・メルドー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/%7Enewswave/live-2003-2.htm
http://43142.diarynote.jp/200502232041270000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20150313
▶︎過去の、オーネット・コールマン
http://43142.diarynote.jp/200603281335030000/
▶過去の、キース・ジャレット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-4.htm
http://43142.diarynote.jp/200705181807060000/
▶︎過去の、ベン・シドラン
http://43142.diarynote.jp/200604111348150000/
http://43142.diarynote.jp/200701201415300000/
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http://43142.diarynote.jp/201308110828525647/

<今日の、キャブ>
 夜半の帰宅、乗車したのは綺麗な個人タクシー。乗って、すぐに趣味のいい音楽(質の高いジャズとヒーリング・ミュージックが重なったような静謐インストゥメンタル)がかかっていてほうと頷くとともに、音質が悪くないと、すぐに思う。そこでまず音回りのことを運転手に問うと、少しお金をかけていますとのお答え。そして、いい感じなんですけど、今かかっているのは誰ですかと質問。それには、「え〜と誰だったな。オランダの人かな。DVDの音なんですよ。これをかけると、お客さんがよく寝れるんですよ」。初乗り410円時代になって、渋谷からだと運賃が少し安くなってうれしい。
 近年のザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズ(1999年8月2日、2010年2月22日、2013年9月18日、2014年10月23日)はドーン・ジョセフというフィジカル度の高いシンガーが加入し活性をバンドに持ち込んだが、彼らの2015年のスウェーデンでのライヴ盤は日本在住のエンディア・ダヴェンポート(2010年2月22日、2015年8月18日)が戻って歌唱。そして、今回のシンガーは、UKジャジー・ファンク界ではよく知られるスリーン・フレミング(2015年7月9日)。彼女は、昨年からザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズに関わっている。

 全8人による実演。わ、デビュー以来(というか、高校時代以来と言えるはず)ずっと一緒だったヤン・キンケイドが今回同行せず。代わりのドラマーのルーク・ハリスはトリッキー(2001年7月27日)のバンドいる人だ。彼、外見は白人のただのおっさんだった。

 黒のレオタードに身を包んだフレミングは、滅茶歌える人。どこか MOR的な部分を持つが、歌えるということにかけては歴代No.1ではないか。声がでかく、余韻たっぷり。スキャットも確かな感覚でかます。そんな彼女の歌が中央にあることで、「ネヴァー・ストップ」らおなじみの好曲がこれまでよりちょっと大人ぽく聞こえたのは確か。人気カヴァー曲「ミッドナイト・アット・ザ・オアシス」はもとももと中東砂漠地帯を舞台に設定するエキゾ曲(キャメルやベリーダンスという単語も歌詞には出てくる)だが、彼女の濃密なじっくり歌唱で開かれるとバンド・サウンドが少しラテンのアクセントも入っているためか、湿度の高い地域の妖艶歌に聞こえるじゃないか! また、伴奏陣は結構ソロを取っていたが、それもフレミングの喉があるからこそと思えた。彼女の存在感ある歌があるからこそ、演奏部に力を入れても、ポップ・ミュージックとしての表情は保てていると思えるもの。

 バンドのフロントを変えることで、バンドの意義や輝きを得る。そんなザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズの確かな方法論を感じた。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。

▶過去の、ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/augustlive.htm
http://43142.diarynote.jp/201002280939559070/
http://43142.diarynote.jp/201309201841355632/
http://43142.diarynote.jp/201410251056112035/
▶過去の、エンディア・ダヴェンポート
http://43142.diarynote.jp/201002280939559070/
http://43142.diarynote.jp/?day=20150818
▶︎過去の、スリーン・フレミング
http://43142.diarynote.jp/201507110856518338/
▶︎過去の、トリッキー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-7.htm フジ・ロック27日

 そして、この晩は渋谷・Contactに回り、アンプ・フィドラー(2004年9月25日、2005年7月30日、2012年12月9日、2016年11月29日)の単独のショウを見る。持ち時間は90分の予定であったが、フィドラーはそれを気にする様子もなく、ニコニコごんごんはるかに時間を超えてやってくれた。

 基本は、DJ。PCに入れた音をツマミをいじって音の足し算や引き算をしたり、流れをどんどん動かして行く。いろんなビートやメロディや歌や楽器音が入っていたが、基本はファンクとハウスの掛け合わせと乱暴に言える? そして、それに合わせて複数の鍵盤を弾いたり、地声や裏声で歌ったり。実は、歌が良かった。下手じゃないし、フィーリングがいい。というか、もろにP−ファンク味が横溢していて、ぼくは軽く悶絶した。シンセ使いも、やはりバーニー・ウォレル(2007年8月7日、2011年8月12日、2012年7月27日、2013年1月30日、2014年10月28日)直系にあるもの。電気ピアノ音のキーボードを弾いた際はなるほどハービー・ハンコック(2000年3月14日、2001年12月27日、2003年8月23日、2005年8月21日、2012年3月3日、2014年9月7日、2015年9月6日、2016年9月3日)好きと言うだけあって、彼っぽい軽くアウトする指さばきを繰り出す。さすが、器用だな。

 途中からベーシストが加わったが、あれは英国人のスチュワード・ゼンダーだったよう。今回のフィドラーの来日主目的は、B’zの稲葉浩志とスティーヴィー・サラス(2004年7月29日、2004年8月3日、2007年5月9日)の結構規模の大きい双頭ツアーのサポート。そして、1998年ぐらいまでジャミロクワイ(1999年11月17日、2005年11月15日)にいたゼンダーもそれに入っている。彼の演奏はなくてもいいものだったかな。
 
 フィドラーは踊ったりもするが、とにもかくにも“ファンキー・ガイ”たる有形無形の真っ黒いもやもやは山ほど。光が前から当たらずステージがちょい見えにくいとか、ステージがDJブースとは反対側に設定され、音は後方の主スピーカーから聞こえてくるなどマイナス面もあったが、僕はとっても大満足じゃ。

▶︎過去の、アンプ・フィドラー
http://43142.diarynote.jp/200409280745560000/
http://43142.diarynote.jp/200508060616450000/
http://43142.diarynote.jp/201212140959573710/
http://43142.diarynote.jp/?day=20161129
▶過去の、バーニー・ウォレル
http://43142.diarynote.jp/200708051740450000/
http://43142.diarynote.jp/201206011834355756/
http://43142.diarynote.jp/201208091303253665/
http://43142.diarynote.jp/201301311053069360/
http://43142.diarynote.jp/?day=20141028
▶過去の、ハービー・ハンコック
http://43142.diarynote.jp/200405101355540000/
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm
http://43142.diarynote.jp/200508230545510000/
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/
http://43142.diarynote.jp/201509220833541918/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160903
▶︎過去の、スティーヴィ・サラス
http://43142.diarynote.jp/200407290730290000/
http://43142.diarynote.jp/200408030059330000/
http://43142.diarynote.jp/200705181808030000/
▶︎過去の、ジャミロクワイ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/movember1999live.htm
http://43142.diarynote.jp/200511221816310000/

<今日の、飲み屋>
 昼は少し、雪もちらついたのかな。って、明るいうちは外に出ていないので、はっきりは分からない。ブルーノート東京とContactの間に少し時間があったので、近くのバーに寄る。まだ時間も早い(というか、開店して、それほど時間もたっていないだろう)し客はいないかと思ったら、すでにカウンターに男女一組づつ、計4人も座っていてあら。この前行ったときも深夜にもかかわらずなかなか混んでいたし、繁盛してんなあ。もっと、お酒濃くしてくんないかなあ。一組は日本語が達者で、かつ日本文化にも何気に詳しい豪州人(大使館関係者と言っておった)で、もう一組はともにブラジル居住経験を持つ日本人。女性のほうはブラジリアに住んでいたそうで、時間があれば、かの地の模様をたずねたかった(http://43142.diarynote.jp/?day=20121207 の項を参照のこと)。なんか、インターナショナルだなあ。飲み屋はこういう邂逅が面白いよなあ。

ICE STATION

2017年2月10日 音楽
 氷をテーマとする作品を発表しているミシェル・ノアクという豪州出身ロンドン在住のマルチ美術家がプロデュースする音楽イヴェント。北極圏の環境問題を音楽を通して提起しようとするもので、その初回公演はその意図に賛同する米英のミュージシャンを招き、ノルウェーの北極圏にある小さな街で持たれた。京都、そして東京2夜で持たれた今回の日本編は、その第2回となる。渋谷・WWW。

 まず、グリーンランドの国民的ロック・バンドであるナヌーク(2015年3月26日、2016年11月6日)がパフォーマンスする。バンドの5人全員、髪の毛は黒色だ。

 面々のステージ上の様だけで、ほのぼの〜ナチュラルないい人佇まいに溢れていて、なんか和む。その様はある種の切実さも聞き手に与えるか。そんな彼らはグリーンランド語で歌う(MCは英語)わけだが、その語感は英語より日本語に近いと感ずる。それはともかく、彼らは英米ロックの影響下にある表現を標榜するのだが、グリーンランド語を用いることで、もう一つの誘いや余韻が出てくるのは間違いなく、やはり言葉は重要だと再確認。あと、しなやかなヴォーカル群はやはり北の土地の手触りを存分に感じさせよう。それ、摩訶不思議な輝きを持つオーロラを想起させるようなところもあるか。⇦あ、これはこじつけかな。基本ギター・ロックのバンドながら、キーボード奏者が趣味の良い音を加えていて、それも北の香りを加えていると思った。約1時間、パフォーマンス。

 休憩を挟んでは、米国ロックの達人たちが揃ったバンドが登場。彼らは皆、前回のICE STATIONに参画している。

 サブ・ポップが送り出したファット・バックスをやっていたカート・ブロック(ヴォーカル、ギター)、R.E.M.のピーター・バック(ギター、ベース)とマイク・ミルズ(ベース、ヴォーカル、タンバリン)、R.E.M.のサポート・メンバーを長年していたスコット・マッコイ(ヴォーカル、ギター)、1980年代にLAロック界で異彩を放ったドリーム・シンジケートをやっていてソロ作もたくさん出しているスティーヴ・ウィン(ギター、歌)、まだ30代だろう女性ドラマーのリンダ・ピットモンという面々。マッコイとブロックは一緒にザ・ヤング・フレッシュ・フェロウズというバンドをやっていたし、3作品を出しているザ・ベースボール・プロジェクトにはマッコイ、ウィン、ピットマン、バック、ミルズが関与。また、チカーノ自作自演派のアレハンドロ・エスヴェードの2016年作『Burn Something Beautiful』(Fantasy)にはブロックとバックとマッコイが絡んでいたりとか、皆んなお仲間ですね。

 そして、その和気藹々とした実演は、やはり蓄積あり。何気に堂々、濃くもあり。それは、米国ロック・ミュージシャンの実力や流儀の在り処をよく知らせる。やはり、本場でちゃんと居場所を見つけている、エスタブリッシュされた人たちは強いゾ、と。また、面々が本当にうれしそうに、楽しんでやっているのも良し。それから、ヤレていない女性ドラマーが作る土台の上で、ヤレた50代半ば〜60歳のオヤジたちが思うまま振る舞うの図も、なんかよろしい。

 彼ら、2回のアンコールに応える。ミルズは穏健派な外見と裏腹に(?)身軽にステージを飛び降り、客席フロアで演奏したりもした。

▶︎過去の、ナヌーク
http://43142.diarynote.jp/201503271611494171/
http://43142.diarynote.jp/?day=20161106

<今日の、もろもろ>
 7日(水)から12日(日)にかけ、神宮前のタンバリン・ギャラリーで、ミシェル・ノアクや日本のアーティストたちが作品を出展する<ICE ATATION>展が持たれている。オープニング夜のパーティに顔を出したら、米国人ミュージシャンたちも皆んな来ていて、アコースティック・ライヴも少々披露。やはり、面々くつろいだ風情を振りまいていた。
 そして、この晩のライヴ・パフォーマンスを見ながら、1989年来日時にピーター・バックとマイク・ミルズにインタヴューしたことを思い出す。I.R.S.から鳴り物入りでワーナー・ブラザースに移籍した後の来日で、限られた取材時間を倍に使うために、レコード会社は<マイケル・スタイプとビル・ベリー>と<バックとミルズ>の2組に分けて取材をさばいたのだった。そして、ぼくは後者の組にインタヴューしたわけですね。うーん、あの頃のお二人は若かった。それは、ぼくもだが。その際のレコード会社のA&Rは、ぼくと同い年のプリンスも担当していたS君だった。彼はレコード会社を一つ移った後、だいぶ前に音楽業界を離れた。

 11日毎年恒例の、人気FM番組と連動してのブラジル音楽イヴェント。渋谷・クラブクアトロ。ステージ階の下の受け付け階フロアも賑わっていたなー。もろもろ、日本におけるブラジル音楽/文化受容の様を受け取るための定点となりえるか。

 最初に登場の、オルグーリョ・ジ・タマゾニアはアマゾンのフェス流儀を下敷きにするグループだそう。米国のネイティヴ・インディアンを想起させる格好も、それに準ずるのだろうか。構成員は女性が多く、15人ぐらいはいたっけ? 終盤しか見ていないし、音楽的な部分の感想はノー・コメント。

 2番目は、女性チームのバンダ・ジラソウ(2015年2月11日)。バイーアのサンバ・ヘギを華とともに送る。メロディ楽器なしで、打楽器の波と歌声だけで、ぐいぐい飛ばす。男性歌手二人と女性ダンサーが一部で参加した。

 モシダーヂ・ヴァガブンダ・バテリア・ノタミウ(2011年2月11日)はパーカッション集団によるサンバ演奏と、シンガーやギターやブラス隊を介する歌ものファンク路線の2本だて。他の2集団と異なり、彼らは普段着でステージに登場する。打楽器指揮者が付いているが、良く整備されていて、いなくても同じ演奏になるんじゃないかと思えた。少なくても歌モノのときは少し鬱陶しいので(でなきゃ、もっと芝居っ気タップリにやって笑いを取ってほしい)、いない方がいいと、ぼくは感じた。ま、それこそはアイデンティティなのかもしれないが。最後は打楽器選抜隊がフロアに降りて、場を盛り上げる。客に展開を知らせるためにも、こう言うときは指揮者の力は大きい。

 最後の出演者は、このイヴェントのトリを毎年務める(今年で、15年目とか)Saigenji (2006年6月27日、2007年11月27日、2009年3月14日, 2009年8月9日、2012年6月13日、2013年1月7日、2013年2月11日 、2013年4月12日、2014年2月9日、2016年2月11日)、2016年11月30日)。サポート陣は、小泉“P”克人(ベース)、斉藤良(ドラム)、南條レオ(パーカッション)、昨年11月のエミシーダ(2016年11月30日)公演に露払い役で出た際と同じ顔ぶれ。けっこう、ショウの進め方/絡み方はヴァージョン・アップしていた。

 例により少し出来上がっているSaigenjiは、奔放そのもの。そのヴォーカリゼーションにせよ、ギター演奏にせよ、達者極まりなく、この人だけのものを持っていると言うしかない。彼に沿うバンド音もいい感じだし、このユニットを基本においてレコーディングしてもいいのではないかと思う。曲もたまっているだろうし。

▶︎過去の、バンダ・ジラソウ
http://43142.diarynote.jp/?day=20150211
▶︎過去の、モシダーヂ・ヴァガブンダ・バテリア・ノタミウ
http://43142.diarynote.jp/?day=20110211
▶過去の、Saigenji
http://43142.diarynote.jp/?day=20060627
http://43142.diarynote.jp/200711290932200000/
http://43142.diarynote.jp/200903161734533723/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090809
http://43142.diarynote.jp/201206141343402196/
http://43142.diarynote.jp/201301151819527787/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130211
http://43142.diarynote.jp/?day=20130412
http://43142.diarynote.jp/?day=20140209
http://43142.diarynote.jp/201502140823232703/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160211
http://43142.diarynote.jp/201612030915436915/
▶︎過去の、エミシーダ
http://43142.diarynote.jp/201612030915436915/

<今日の、MC>
 司会は、近年のならいで村田匠(2010年12月27日、2011年2月11日、2011年5月8日、2012年6月8日、2012年10月27日、2013年2月11日、2013年8月24日、2014年5月3日、2014年6月15日、2016年2月11日、2016年5月22日、2016年12月1日)がつとめた。ギターを持って、歌う場合も、例によりあり。やっぱ歌、訴求力あるな。カンペ見ずに、無責任に言葉を並べて形になるようになったら、すごいんだが。彼は昨日エジプト観光から帰ってきたそうだが、豪胆だな。万が一何かあって便をミスしたらとか、ぼくは思ってしまう方だな。たぶん。ときに熱い反応や唱和を客に無茶ぶり的に促す彼だが、実のところ彼が客としてライヴに行った際にはいくら出演者が歌うことを乞うてもそれに応じない人であるのを、ぼくは知っている(笑い)。
▶過去の、村田匠
http://43142.diarynote.jp/201101061047294455/
http://43142.diarynote.jp/201102121002078478/
http://43142.diarynote.jp/201105140858559432/
http://43142.diarynote.jp/201206120854205300/
http://43142.diarynote.jp/201211151028209850/
http://43142.diarynote.jp/201302181123344904/
http://43142.diarynote.jp/201308281519499994/
http://43142.diarynote.jp/201405051105329639/
http://43142.diarynote.jp/201406161000365031/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160211
http://43142.diarynote.jp/201605240833401202/
http://43142.diarynote.jp/?day=20161201 

 みどりん (2005年7月29日、2007年5月6日、2009年6月12日、2010年6月11日、2011年1月30日、2011年5月21日、2011年6月23日、2012年3月3日。2012年9月9日、2012年9月13日、2013年11月1日、2014年7月23日、2015年9月27日)、そして池澤龍作(2014年6月13日、2014年10月19日、2015年5月22日、2016年9月7日)。個を持ち、いろんな活動を持っているドラマー二人によるデュオ公演。ともに千葉に住み、同い年という共通項を持つ彼らだが、ドラミングのスタイルはけっこう異なるか。主催者によれば、それゆえに面白そうと組み合わせたよう。荻窪・ヴェルヴェットサン。夜道が寒い。

 冒頭、2人は皆んなの前でじゃんけん。それにより、みどりんが先行が、緩〜く決定する。ともに、20分ぐらいのソロ演奏を聴かせたか。乱暴に書くなら、みどりんが豪で、池澤が柔と言えるか。いや、前者はパッションに富みつつときに繊細で、後者は精緻にして大胆と言える? 池澤は右手にマレット、左手に普通のスティックを持ち演奏。それ、実はいざ演奏しようとしたら、スティックが1本見当たらずしょうがないと、片方はマレットを手にして演奏したらしい。最初から演奏の予定が狂ったと言っていたが、意図的にそうしているのかと思った。小物も複数用い、音色の広がり〜多様性にも留意する叩き手であるから、

 そして、休憩を挟み、一緒に30分。反応しあい、対峙というに相応しい部分もあるが、デコボコを埋め合うという感想も得る。アンコールはトロンボーン奏者の湯浅佳代子(2014年6月13日、2016年9月7日)が加わり、3人でフリー・フォーム演奏なり。湯浅の太いソロ、なかなか良かった。

▶過去の、みどりん
http://43142.diarynote.jp/200508042335560000/ Soil
http://43142.diarynote.jp/200705181805330000/ Soil
http://43142.diarynote.jp/200906160733018341/ Soil
J.A.M
http://43142.diarynote.jp/amp/201006171603353982/ J.A.M
http://43142.diarynote.jp/201010111257003810/ J.AM
http://43142.diarynote.jp/201102091715522875/ Soil
http://43142.diarynote.jp/201105230925539578/ ハナレグミ
http://43142.diarynote.jp/201107020946473690/ Soil
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/ Soil
http://43142.diarynote.jp/201209191229057579/ Soil
http://43142.diarynote.jp/201209191239346073/ J.A.M
http://43142.diarynote.jp/201311021703148497/ HEX
http://43142.diarynote.jp/?day=20140723 J.A.M
http://43142.diarynote.jp/201510021129591335/  Soil
▶過去の、池澤龍作
http://43142.diarynote.jp/201406160956273046/ Wuja
http://43142.diarynote.jp/201410251052527799/ Downs Workshop
http://43142.diarynote.jp/?day=20150522  MoMo
http://43142.diarynote.jp/201609201648546159/ Wuja
▶︎過去の、湯浅佳代子
http://43142.diarynote.jp/201609201648546159/  Wuja
http://43142.diarynote.jp/?day=20140613  Wuja

<今日の、お話>
 1部と2部の演奏前に、出演者2人は並んで前に立ち、ちゃんと話をする。そういうライヴは何気に記憶がなかったりして。何か、2人の真っ直ぐ、率直な感じが出ていいやね。そして、2人の関係を語ったりもする。大学生時代からの顔見知り、とか。高田馬場のジャズ・クラブで顔を合わせ、ジャズって難しいよねとか話していたのだという。また、一時池澤はトイレットペーパーを身体にぐるぐる巻きにして踊る、ダンス・パフォーマー活動をしていたことがあったとか。チリ紙男という名前で活動していたらしく(と、言っていたような)、けっこう話を持ちかけられ踊る機会を得ていたそう。へえ、人に歴史あり。
 2017年新作『ラヴ・イン・ア・タイム・オブ・マッドネス』(ブルーノート)のプロモーションのため来日しているホセ・ジェイムズ(2008年9月18日、2010年11月11日、2011年1月12日、2012年2月18日、2012年9月13日、2013年2月15日、2014年7月27日、2015年2月15日、2016年2月16日)が出てくるイヴェントを見る。渋谷・Contact。

 まず、ジェイムズの新作日本盤に収められている曲のリミックスを担当している、今様ソウルを組み上げる日本人バンドのWONKが出てきて、少しパフォーマンス。4人組だと思っていたら、英語で歌うシンガー、キーボード、電気エフェクトを結構かけるリード奏者、電気ベース、ドラムの5人でパフォーマンス。

 生で聞くと、改めてすんごい歌いづらいラインの曲を悠々と、ちゃんと横のつながりがあるバンド・サウンドのもとやっていると思わせるか。近いものとして頭にまず浮かんだのはエスペランサ・スポルディング(2008年9月5日、2008年12月1日、2010年9月4日、2011年2月17日、2012年3月7日、2012年9月9日、2015年9月5日、2016年5月31)の『レイディオ・ミュージック・ソサエティ』の諸曲。そんなとらえどころのない、でも引きを持つ曲を、歌手も奏者もきっちりと実演。伴奏は、生音だけでまかなっているように聞こえた。そして、その総体はある傾向にある前線ポップ・ミュージックをきっちり出していると痛感させるものであり、もう完全な洋楽志向にあり、端からJ・ポップ・リスナーは相手にしていないなと思わせる。MCで、このあとベルリン、パリ、ロンドンでライヴをすると言っていたが、こういうバンドはどんどん外に出ていったらいい。途中からは、女性コーラス3人が加わった。

 ジェイムズの新作は、今様R&B傾向エレクトロ・ポップ路線と言っていいもの。そして、彼は自らPCを操り、トラック音を出しながら、新作曲を中心にパフォーマンスをする。つまりは、ジャジー・ポップ路線と純ジャズ路線の両方で活動を進めている彼の、前者のイってる形を披露。砕けた言葉つかいと風態のもと、今はこの路線をモノにでき、それを披露するのが楽しみでしょうがないという感じがありあり。歌声も出ていていて(本当、昔からすると歌声がデカくなった)、それだけでも彼は進歩していると言いたくなる。最後は、電気ギターの弾き語りもする。それらから浮き上がるのは、慈しみの情のようなもの、か。今を生きる音楽家として社会性がにじみ出ていると思わせるのが、今の彼のポイントでもある。

 ところで、その冒頭にはびっくり。トラックが出て歌い始めたのだが、歌が一切PAから出てこない。だが、ジェイムズは何のとまどいもなく、歌っている。モニターはイアーフォン式のもの、マイクは生きていて普通に彼には聞こえているのだろう。すぐに歌もPAから出るようになったが、なんか微妙にドキドキ。心臓に悪い。

▶過去の、エスペランサ・スポルディング
http://43142.diarynote.jp/200809071430380000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20081201
http://43142.diarynote.jp/?day=20100904
http://43142.diarynote.jp/201102190814495504/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120307
http://43142.diarynote.jp/201209191229057579/
http://43142.diarynote.jp/201509211331298145/
http://43142.diarynote.jp/201606101027587993/
▶過去の、ホセ・ジェイムズ
http://43142.diarynote.jp/200809191051472579/
http://43142.diarynote.jp/201011140051119042/
http://43142.diarynote.jp/201101131336421886/
http://43142.diarynote.jp/201202200901013744/
http://43142.diarynote.jp/201209191239346073/
http://43142.diarynote.jp/201302181044151204/
http://43142.diarynote.jp/201408051020111821/
http://43142.diarynote.jp/201502170939564537/
http://43142.diarynote.jp/201602181207326029/

<今日の、7.076歩>
 調子が悪かったので、携帯電話を代えた。なんちゃらプログラムにずっと入っていて、ほぼ只で代えられたのはいいが、使い勝手の違いには少し戸惑っている。電話とメールしか、使っていないのに。⇦外で、ネットを引いたり、PCへのメールを見ることは一切ありません。でも、新しいものはうれしいし、万歩計は今のところ興味深く使っている。

 渋谷・オーチャードホール、満場。わあ、よく作ったなと、大きく頷く。ドキドキしながら、見れました。

 自然信仰を持ってきた日本とアイルランドの共通するバックグラウンドを、外交関係設立60周年をきに問い直す出し物、と書けるか。その根底にあるのは、ノーベル文学賞も受賞しているアイルランド人詩人/劇作家のウィリアム・バトラー・イェイツ(1865〜1939年)の創作。彼が伝え聞く能への憧憬を秘めて書いた1916年初演戯曲の「鷹の井戸」は後に日本に持ってこられ、能の出し物として改変された「鷹姫」として定着。今回はそこに、アイルランドの革新的コーラス集団であるアヌーナ(2007年12月15日、2009年12月12日、2011年12月7日、2011年12月10日、2014年12月4日、2014年12月6日)の表現を交錯させることで、イェイツの求めた世界や日本とアイルランドの親和性を問い直そうとする。

 能の方は、人間国宝の梅若玄祥を筆頭に伴奏陣や地謡を聞かせる人たちなど19人が登場。一方、アヌーナは7人の男性シンガーと6人の女性シンガーからなる。基本能の流儀で進められる中、アヌーナがいろいろと重なっていき、音楽的にも、視覚的にも、佇まいとしても、いろいろな情報量が幽玄かつ鮮やかに広がっていく様には息を飲む。その足し算、引き算の様は、本当によくできていた。

 実はちゃんとした能の出し物は過去一度しか見たことがなく、どうしても馴染みのあるアヌーナの側からこの公演を見てしまったというところはあったと思う。だが、改めて能の身のこなしや演奏や歌群の凄さを再確認しまくり。とともに、絶妙の触媒となったアヌーナ側のポテンシャルの高さも改めて痛感。(多分)やる方にとっても、見る方に方にとっても得るものだらけであり、これは再演されなきゃ嘘だと感じた。

▶過去の、アヌーナ
http://43142.diarynote.jp/200712161423560000/
http://43142.diarynote.jp/201001051620426983/
http://43142.diarynote.jp/201112171633334584/
http://43142.diarynote.jp/?day=20111210
http://43142.diarynote.jp/201412151250144917/
http://43142.diarynote.jp/201412221527313725/

<今日の、情報>
 バレエ・ダンサーと絡む出し物を持つなど広がる活動も持っているという、主役の梅若玄祥はまさに大御所のよう。能の観覧料は高くないが、彼の名を出した国立能楽堂でのこの1月の出し物は通常の倍の1万円をとっていたので、相当なスターなのだと思う。ちなみに、この日は高い席で6000円だった。入場の際に、今回公演について詳細なブックレットを配っていて、ありがたや。なお、よく聞こえた歌のコンソール扱いは、ザ・チーフタンズ(1999年5月29日、2001年5月20日、2007年6月1日、2012年11月22日、2012年11月30日)やアルタン(2000年5月21日、2002年9月1日、2004年12月17日、2005年3月21日、2009年12月6日、2009年12月12日、2015年12月5日)やアヌーナなどを根こそぎ扱っているアイルランドのトップ・エンジニアであるブライアン・マスターソンがわざわざ来日して担当した。この日のことは、日経新聞電子版に今月中に出ます。
▶過去のザ・チーフタンズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm
http://43142.diarynote.jp/200706061351080000/
http://43142.diarynote.jp/201211241109408189/
http://43142.diarynote.jp/201212111331075592/
▶過去の、アルタン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-5.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm
http://43142.diarynote.jp/200412212105020000/
http://43142.diarynote.jp/200503240456350000/
http://43142.diarynote.jp/200912091113106654/
http://43142.diarynote.jp/201001051620426983/
http://43142.diarynote.jp/201512091352434769/
 ずばり言うなら、今回のエリック・ベネイ(1999年7月11 日、2005年9月29日、2009年12月21日、2011年9月21日、2014年5月13日)はまた黒かった。歌い方がなんか堂々太く、ファルセットの場合は官能がくくいと伸びる。MCや掛け声も、またワイルドかつ本能的? デブにはなっていないが、なんか体つき(とくに、下半身)がダルになったなと思えるかも。ともあれ、オレ、なんかニコニコしながら見ちゃったなあ。南青山・ブルーノート、ファースト・ショウ。

 当然、昔のように取り上げる曲において洒脱ラテン調やフォーキー曲はなし。サポートは鍵盤、ベース、ドラムの3人の、アフリカ系の面々。彼らはここのところの、変わらぬ面々なのかな? 3人は今回、ベネイのメンバー紹介とともに、楽器音をファンキーに重ねる〜いわばフィルモア実況盤のザ・キングピンズの「メンフォス・ソウル・シチュー」流儀演奏もチラリ見せた。イエイ。過去だったら、次作のプロデューサーはデイヴィッド・フォスター(2011年10月19日)だと聞いても違和感は覚えないが、このショウを見た後だと、それは温いでしょとなってしまう。

 去年亡くなったモーリス・ホワイト、ナタリー・コール(2000年5月10日、2008年6月23日)、デイヴィッド・ボウイ、ジョージ・マイケルの名を出し、そして、彼はプリンス(2002年11月19日)の1982年曲「ハウ・カム・ユー・ドント・コール・ミー・エニモア?」をじっくり歌う。わあ。本人も御大の歌い口を意識したところはあったのだろうが、プリンスとベネイのファルセットがこんなに近いと感じるとは驚き。すると、その後の曲もそういうふうに聞こえたりもし……やはり、今回のベネイは黒かったということなのだろう。プリンスはゴスペルとすごく隣り合わせの歌を聞かせた(ゴスペルをコペルニクス展開させた歌を聞かせた、という言い方もあるだろう)が、まさかベネイにゴスペルを感じるとは思わなかった。今回あまり実演は変わらないだろうなあと思っていたが、新鮮に感じる部分、得るところはあり。やはり、定期的に好意的に思える人はちゃんとライヴをチェックしなきゃなと思った。

▶過去の、エリック・ベネイ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/julylive.htm
http://43142.diarynote.jp/200510030023510000/
http://43142.diarynote.jp/201001051626133581/
http://43142.diarynote.jp/201109220748325210/
http://43142.diarynote.jp/201405151019271787/
▶︎過去の、デイヴィッド・フォスター
http://43142.diarynote.jp/201111141208525234/
▶︎過去の、ナタリー・コール
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-5.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20080623
▶︎過去の、プリンス
http://43142.diarynote.jp/201605260923093422/

 その後は、荻窪・ヴェルヴェットサンへ。編成の上でも、音楽性のうえでも変則であることを悠々と目指す、ジャズ・ビヨンド・グループの実演を見る。

 nouon(2015年4月17日、2015年9月13日、2015年10月9日、2016年3月14日) trio+1という名目であるのは、通常はヴァイブラフォンの山田あずさ、エレクトリック・ピアノのケヴィン・マキュー、コントラバス・クラリネットのヒュー・ロイド、ドラムの山本淳平という固定のメンバーでやっているところ、今ヒュー・ロイドが外遊中とかで、かわりに27歳だそうな米国人ダブル・ベース奏者のタイラー・イートンが加わるから。重要な1ピースが抜けて(その2015 年CD『KUU』を聞いて、ロイドの聞き味の強さを指摘する人は少なくない)、もう少し普通の編成に近い形でのライヴとなるわけで、これは興味深いではないか。

 普通のベースが入ったことで、いろいろ見えた部分はあった。まず、各人の技量は見えやすくなった。あ、二つの鍵盤楽器はこんなふうに重なるんだ、こんなソロを取るんだと、新たに気づかせる部分はあり。それから、サウンド全体を楽に聞ける部分はあるかな。E-Onkyoから配信されている彼らの昨年3月のライヴ録音音源は、実はヒュー・ロイドが吹きすぎだとぼくは感じているが、やはりコントラバス・クラリネットは珍しいだけでなく、存在感が大きい楽器なのだと思わずにはいられない。あと、その音色は縦ベースの弓弾き音をもっとヴィヴィッドにした感じの音であると、今日思った。

 結構、新曲が多かかった。最後の曲は、ケヴィン・マキューが前日に皆んなに送った曲だそうだが、よくあれだけ形になったな。それ、ラテンぽい官能を介するグル―ヴィな曲で手弾きのベース音があってこそ成り立つものとも思え、正編成ではどんなふうに処理するのか。ともあれ、我が道を行来たい音楽家たちの澄んだ気概や希望は多彩に渦巻いていた。

 今回の縦ベース入りの編成は、ジョン・ルイスやミルト・ジャクソンらによる、ジャズ史を飾る名コンボであるモダン・ジャズ・カルテットと同様のそれとなる。彼らはそのオルタナティヴさから“サード・ストリーム”という呼称も受けたが、傾向外ということではnouonだってなかなか。もっとストレートに書いてしまえば、ベーシストが入る今回の実演においては、今のMJQ的な手触り~洗練がさあっと浮き上がるのではないか。と、ぼくは期待した。が、そういう方の発展はあまり感じなかったな。ま、ベーシストは健闘していたが、細微にわたりがっつりと絡んだわけではないしね。

▶過去の、nouon
http://43142.diarynote.jp/201504181000432127/
http://43142.diarynote.jp/201509231111454665/
http://43142.diarynote.jp/201510141817129055/
http://43142.diarynote.jp/201603151140427186/

<今日の、ビート>
 山本淳平は、米国のC&C社のドラムを叩く。普段ロックをやるとき(http://43142.diarynote.jp/?day=20161005の、欄外最後を参照のこと)はラディックを用い、ちょい懐かしい音が出るC&Cはジャズをやる際に使うそう。贅沢だなあ。彼、リチャード・スぺイヴン(2012年2月18日、2013年2月15日、2014年7月27日)が好きなんだそうだが、新曲のなかの一つはちょいドラムン・ベース流れの叩き方と思わせられた。面々は4月28日のピットイン昼の部で新曲満載のライヴをやり、それをもとにセカンド作のレコーディングに入るという。
▶過去の、リチャード・スペイヴン
http://43142.diarynote.jp/201202200901013744/
http://43142.diarynote.jp/201302181044151204/
http://43142.diarynote.jp/?day=20140727
 1972年アルバム・デビューのロキシー・ミュージック/ブライアン・フェリー(2010年7月31日)、1982年アルバム・デビューのスクリッティ・ポリッティ/グリーン・ガートサイド(2006年8月12日)、そして2011年アルバム・デビューのジェイムス・ブレイク(2011年10月12日、2013年6月4日)。この晩のブレイク公演を見ながら、英国の米国ソウル耽溺異彩シンガーの系譜がぽっかり浮かんできたりして。有楽町・国際フォーラム ホールA。

 キーボードを弾きながら歌う本人、ギターと鍵盤担当者、ドラマー、そしてプリセット音が自在に重なる。かような、基本のパフォーマンスのあり方は過去と同じ。だが、深化はしているし、スケールが大きいので広いホールAのステージでやっていて、なんの遜色もない。なかなか暗めの照明やシンプルながらセンスの良い背後映像も、おおきくうなずく。最後の方、歓声がどんどん大きくなっていって、それもいい感じであった。

 やはり、今のソウル・マンとしての完璧に近い姿にヤラれる。ギターとドラム音に合わせて歌うシンガー・ソングライター的な姿が前に出る曲も良かったし、終盤の鍵盤弾き語り(歌はノー・エフェクトと思う)にも胸高鳴る。自然体のブレイクの様や日本語の単語のイントネーションが真っ当でもあるMC(日本、好きなんだねえ)も同様。1時間半の本編と、15分弱の2曲のアンコール。

▶︎過去の、ロキシー・ミュージック/ブライアン・フェリー
http://43142.diarynote.jp/201008251413325933/
▶︎過去の、スクリッティ・ポリッティ/グリーン・ガートサイド
http://43142.diarynote.jp/200608141735120000
▶過去の、ジェイムズ・ブレイク
http://43142.diarynote.jp/201110161924242614/
http://43142.diarynote.jp/201306060730086224/

<今日の、悲報>
 PLASTICSやMELONを組み、日英を股にかけたメイジャー・フォース・レーベルのプロデューサーとしても活躍してきた、中西俊夫さん(2013年5月21日)が本日61歳で亡くなった。彼とはなぜかfacebookで繋がっていて、入院中の彼が毎早朝に「おは〜」てな感じで写真をアップしているのは、知っていた。その際、彼ははパジャマではなく、毎日違ったシャツ等をお洒落に身につけていた。そして、ロッキン感覚&ユーモア感覚を存分に出していて、生理的に溌剌としていた。決して具合は良くなかったと推測されるが、その様には本当に頭がさがる。同じ境遇にいたら、ぼくはとても余裕が持てずそんな風には振る舞えないはず。また、見舞客(彼らは皆、マスクをしていた)との写真や奥様やお子さんとたちとの写真も、そこにはあっけらかんとあげていたはずだ。とにもかくにも、粋の塊。態度も表現もしなやかにイっている、スーパーな人であったと、まじ言うしかない。
 ところで、ちょい前にある原稿で、晩年のプリンス(2002年11月19日)と書いたら、プリンスの年齢だと晩年ではなく末年という言葉を使うべきという編集者の指摘を受けた。ちゃんと調べていないが、それが正しいなら、中西俊夫さん(親しい人ならトシちゃんと書くのだろうが、ぼくはそう書ける間柄ではありません)もまた、末年と記すべきであるのか。
 ここ2週間ほど、晩年という言葉を使える熟達の方々がいろいろ亡くなった。76歳のアル・ジャロウ(2003年3月13日、2012年3月2日、2014年11月19日)、73歳のクライド・スタブルフィールド(1999年10月25日、2006年7月26日、2007年4月18日)、73歳のラリー・コリエル(2013年3月8日、2014年1月19日)、77歳のリオン・ウェア(2009年8月23日、2012年12月9日)。それから、黄金期のオハイオ・プレイヤーズ(2010年6月4日、2016年11月29日)やP-ファンク(2002年7月28日、2009年9月5日、2011年1月22日、2013年4月12日、2015年4月12日)と渡り歩いたウォルター”ジュニー”モリソンも亡くなったが、彼は62歳であったのか。すると、オハイオ・プレイヤーズにいたのは16〜18歳か? 
 アンプ・フィドラー(2004年9月25日、2005年7月30日、2012年12月9日、2016年11月29日、2017年2月9日)はリオン・ウェアの2012年の来日公演に同行したことがあったが、それもデトロイト・コネクションですかと昨年に彼に問うたことがあった。すると、「うん。リオンはジョージ(・クリントン)と同じぐらいの僕のヒーロー。まさに、師匠的な存在だね」。なにかと近い人の死が続いているフォドラーさんの心中お察しします。それから、ジャズ・ピアニストの辛島文雄さんも68歳で亡くなった。それほどちゃんと向かいあった音楽家ではなかったが、闘病中にあるなか録音した2016年作の夏発表の『マイ・フェイバリット・シングス』(ピット・イン・ミュージック)は素晴らしい内容だった。以下は、ジャズ・ジャパン誌に書いたレヴューなり。<思いを込めた選曲がなされ、考えを巡らした様々な設定(2ベースによる曲もある)にて、悠々と開く。心許せる知己たちとともに、ジャズ知識/愛が縦横に注がれる。当初から世界水準にあったピアニストの、豊穣極まりない新作だ。ジャズの素敵をいろいろと再確認できる、真摯にして瑞々しい王道ジャズ所作の数々。現在、癌治療中というが、集大成となる一作とは言うまい。だって、この先に広がる“輝き”も見えるから!>
▶︎過去の、中西俊夫
http://43142.diarynote.jp/?day=20130521
▶過去の、プリンス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm
▶過去の、アル・ジャロウ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm
http://43142.diarynote.jp/201203062004221304/
http://43142.diarynote.jp/201411201009066886/
▶︎過去の、クライド・スタブルフィールド
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/octber1999live.htm
http://43142.diarynote.jp/200607281034380000/
http://43142.diarynote.jp/200704251224130000/
▶︎過去の、ラリー・コリエル
http://43142.diarynote.jp/201303110415585115/
http://43142.diarynote.jp/201401221302405299/
▶︎過去の、リオン・ウェア
http://43142.diarynote.jp/200909091016498286/
http://43142.diarynote.jp/201212140959573710/
▶︎過去の、オハイオ・プレイヤーズ
http://43142.diarynote.jp/201006071817447501/
▶過去の、P-ファンク
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-7.htm 触れていないが、フジ・ロック
http://43142.diarynote.jp/?day=20090905
http://43142.diarynote.jp/201102081256005311/
http://43142.diarynote.jp/201304150853287353/
http://43142.diarynote.jp/201504131109395934/
http://43142.diarynote.jp/201612011925201175/
▶︎過去の、アンプ・フィドラー
http://43142.diarynote.jp/200409280745560000/
http://43142.diarynote.jp/200508060616450000/
http://43142.diarynote.jp/201212140959573710/
http://43142.diarynote.jp/?day=20161129
http://43142.diarynote.jp/201702100924466798/

 まず、丸の内・コットンクラブで、南東部ベロオリゾンテ生まれのブラジル人シンガーのポウリーニョ・ガルシア(2014年6月24日)のソロ・パフォーマンスを見る。1979年からシカゴに住み(MCで、ブラジルから来たポウリーニョ・ガルシアです。と言っており、今は帰国しているの?)、1991年にそれまで弾いていたドラムやベースからギターにスイッチしたという経歴の持ち主。白髪痩身の初老紳士といった見かけは、何気に格好が良い。

 淡々、粛々と、ガット・ギター弾き語りのショウを進める。1曲ごとに、簡単に曲説明を英語で入れる。オープナーは「ウッパ・ネギーニョ」。その曲を始め、いくつかの曲においては、パーカッシヴなスキャットも彼は悠々と嚙ます。ジョビン他のブラジル曲を掘り起こす感覚のもと披露。そして、途中からはザ・ビートルズ曲や共演したことがあるというトゥーツ・シールマンス(2003年2月20日)の「ブルーセット」やジャズ・スタンダードなど英語曲が並べられる。それも、違和感なく良し。ザ・ビートルズの「ブラックバード」を聞きながら、ケニー・ランキンとかの洒脱ギター弾き語り米国人の手触りをブラジル側に持っていた感じもあるかと思えた。それから、曲によってはけっこうカエターノ・ヴェローゾ(2005年5月23日、2016年10月9日)を思い出させる歌いかたをしていると、今回思えた。

▶︎過去の、ポウリーニョ・ガルシア
http://43142.diarynote.jp/201406250953014247/
▶︎過去の、カエターノ・ヴェローゾ
http://43142.diarynote.jp/200506021846130000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20161009
▶︎過去の、トゥーツ・シールマンス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-2.htm

 その後、南青山・ブルーノート東京へ。“ミュージック・ジャーニー インディア-アラブ-アンダルシア”という表題が付けられた、大人数による出し物を見る。なんでも、<インド舞踊、アラブ舞踊、スペイン舞踊(フラメンコ)の第一人者が一堂に会し、フラメンコの根源に迫る>、だそう。それはある意味、ロマの動きの流れを追うものでもあるのか。ぼくはアンダルシア地方のセヴィーリャに25年前に行ったときに、ジプシーのトレイラーによる大行進(海辺から三日三晩かけて内陸に来たと、聞いたような)に触れたことがあるが、かの地にはロマ文化も底にはしっかりとある。

 ステージがダンサー用に、普段客席になっているところまでせり出している。ステージにはゆるい楕円形状に、3組のミュージシャンたちがグループごとに(向かって左側から、インド、フラメンコ、アラブと)並ぶ。楽器演奏者だけでなく、それぞれシンガーやダンサーがつくのがポイント。HPのリストによれば、出演者は以下の通り。
▶︎ディーパック・アローラ(カタック・ダンサー)、シュブラ・アローラ(カタック・ダンサー)、サワン・ジョシ(シタール)、モヒット・ガンガニー(タブラ)、ロヒット・パリハール(ヴォーカル)▶︎ピラール・アストラ(フラメンコ・ダンサー、カンテもした)、奥濱春彦(フラメンコ・ダンサー)、アルバロ・ゴルディジョ、アントニオ・ゴンサレス(ギター)、高橋紀博(ギター)、エル・ボケロン(カンテ)、アルバロ・ゴルディジョ(パルマ〜手拍子)、アレハンドロ・ララ(パルマ〜手拍子)。▶︎E.メンドサ(アラビック・ダンサー)、常見裕司(ウード。2013年2月5日)、マハムー・ファリス(ヴォーカル)、ラビエ・ヤコービ(ヴォイオリン)。おお。

 そうした面々がグループごとのパフォーマンスをし、それがどんどん引き継がれていくノリでショウは進み、時には一緒に重なる場合も少しあった。なんかよくわからないという感じもなくはないのだが、各々の力量はちゃんとしているし、それぞれのグループの流儀を出しつつ、総体は人〜文化の流れが導く、ダイナミックな繋がりのようなものがぽっかりと浮かぶ。何より、それぞれに華や固有の美味しい癖をアピールしていて頷かされるし、一緒に並ぶ様に浮き浮きできる。なんか、ココロ弾む自分がそこにいた。

▶︎過去の、常見裕司
http://43142.diarynote.jp/201302091324078636/

<今日の、邂逅>
 後の方の交配実演を見て、2007年セヴィーリャでのWomex(2007年10月26日)で見た、フラメンコ勢とカッワリー勢の共演ライヴの様を思い出した。この晩はもうすこし丁寧に重なっている感じがあった。終演後、知人から日本のフラメンコ舞踏の第一人者であり、1950年代後半から10年強はスペインに居住するなどもし、現地でも多大な尊敬を受けている小松原庸子さんを紹介される。小柄ながら凛としており、美しくもあり、とても85歳とは思えない。浅草っ子らしいイナセな感じもあり、一回り以上年齢が下に見えた。そしたら翌日の朝日新聞夕刊に、彼女の小さくない記事が出ていてびっくり。それによると、3月2、3日(3日はマチネーもあり、計3回)はよみうり大手町ホールで、この3グループを起用した小松原庸子スペイン舞踏団の公演がもたれるとのこと。すると、この日は外タレ勢を前に出したブルーノート東京用の出し物であったのか。
▶︎過去の、スペイン⇄パキスタン
http://43142.diarynote.jp/200711121024550000/