エリック・べネイ。nouon trio +1
2017年2月17日 音楽 ずばり言うなら、今回のエリック・ベネイ(1999年7月11 日、2005年9月29日、2009年12月21日、2011年9月21日、2014年5月13日)はまた黒かった。歌い方がなんか堂々太く、ファルセットの場合は官能がくくいと伸びる。MCや掛け声も、またワイルドかつ本能的? デブにはなっていないが、なんか体つき(とくに、下半身)がダルになったなと思えるかも。ともあれ、オレ、なんかニコニコしながら見ちゃったなあ。南青山・ブルーノート、ファースト・ショウ。
当然、昔のように取り上げる曲において洒脱ラテン調やフォーキー曲はなし。サポートは鍵盤、ベース、ドラムの3人の、アフリカ系の面々。彼らはここのところの、変わらぬ面々なのかな? 3人は今回、ベネイのメンバー紹介とともに、楽器音をファンキーに重ねる〜いわばフィルモア実況盤のザ・キングピンズの「メンフォス・ソウル・シチュー」流儀演奏もチラリ見せた。イエイ。過去だったら、次作のプロデューサーはデイヴィッド・フォスター(2011年10月19日)だと聞いても違和感は覚えないが、このショウを見た後だと、それは温いでしょとなってしまう。
去年亡くなったモーリス・ホワイト、ナタリー・コール(2000年5月10日、2008年6月23日)、デイヴィッド・ボウイ、ジョージ・マイケルの名を出し、そして、彼はプリンス(2002年11月19日)の1982年曲「ハウ・カム・ユー・ドント・コール・ミー・エニモア?」をじっくり歌う。わあ。本人も御大の歌い口を意識したところはあったのだろうが、プリンスとベネイのファルセットがこんなに近いと感じるとは驚き。すると、その後の曲もそういうふうに聞こえたりもし……やはり、今回のベネイは黒かったということなのだろう。プリンスはゴスペルとすごく隣り合わせの歌を聞かせた(ゴスペルをコペルニクス展開させた歌を聞かせた、という言い方もあるだろう)が、まさかベネイにゴスペルを感じるとは思わなかった。今回あまり実演は変わらないだろうなあと思っていたが、新鮮に感じる部分、得るところはあり。やはり、定期的に好意的に思える人はちゃんとライヴをチェックしなきゃなと思った。
▶過去の、エリック・ベネイ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/julylive.htm
http://43142.diarynote.jp/200510030023510000/
http://43142.diarynote.jp/201001051626133581/
http://43142.diarynote.jp/201109220748325210/
http://43142.diarynote.jp/201405151019271787/
▶︎過去の、デイヴィッド・フォスター
http://43142.diarynote.jp/201111141208525234/
▶︎過去の、ナタリー・コール
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-5.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20080623
▶︎過去の、プリンス
http://43142.diarynote.jp/201605260923093422/
その後は、荻窪・ヴェルヴェットサンへ。編成の上でも、音楽性のうえでも変則であることを悠々と目指す、ジャズ・ビヨンド・グループの実演を見る。
nouon(2015年4月17日、2015年9月13日、2015年10月9日、2016年3月14日) trio+1という名目であるのは、通常はヴァイブラフォンの山田あずさ、エレクトリック・ピアノのケヴィン・マキュー、コントラバス・クラリネットのヒュー・ロイド、ドラムの山本淳平という固定のメンバーでやっているところ、今ヒュー・ロイドが外遊中とかで、かわりに27歳だそうな米国人ダブル・ベース奏者のタイラー・イートンが加わるから。重要な1ピースが抜けて(その2015 年CD『KUU』を聞いて、ロイドの聞き味の強さを指摘する人は少なくない)、もう少し普通の編成に近い形でのライヴとなるわけで、これは興味深いではないか。
普通のベースが入ったことで、いろいろ見えた部分はあった。まず、各人の技量は見えやすくなった。あ、二つの鍵盤楽器はこんなふうに重なるんだ、こんなソロを取るんだと、新たに気づかせる部分はあり。それから、サウンド全体を楽に聞ける部分はあるかな。E-Onkyoから配信されている彼らの昨年3月のライヴ録音音源は、実はヒュー・ロイドが吹きすぎだとぼくは感じているが、やはりコントラバス・クラリネットは珍しいだけでなく、存在感が大きい楽器なのだと思わずにはいられない。あと、その音色は縦ベースの弓弾き音をもっとヴィヴィッドにした感じの音であると、今日思った。
結構、新曲が多かかった。最後の曲は、ケヴィン・マキューが前日に皆んなに送った曲だそうだが、よくあれだけ形になったな。それ、ラテンぽい官能を介するグル―ヴィな曲で手弾きのベース音があってこそ成り立つものとも思え、正編成ではどんなふうに処理するのか。ともあれ、我が道を行来たい音楽家たちの澄んだ気概や希望は多彩に渦巻いていた。
今回の縦ベース入りの編成は、ジョン・ルイスやミルト・ジャクソンらによる、ジャズ史を飾る名コンボであるモダン・ジャズ・カルテットと同様のそれとなる。彼らはそのオルタナティヴさから“サード・ストリーム”という呼称も受けたが、傾向外ということではnouonだってなかなか。もっとストレートに書いてしまえば、ベーシストが入る今回の実演においては、今のMJQ的な手触り~洗練がさあっと浮き上がるのではないか。と、ぼくは期待した。が、そういう方の発展はあまり感じなかったな。ま、ベーシストは健闘していたが、細微にわたりがっつりと絡んだわけではないしね。
▶過去の、nouon
http://43142.diarynote.jp/201504181000432127/
http://43142.diarynote.jp/201509231111454665/
http://43142.diarynote.jp/201510141817129055/
http://43142.diarynote.jp/201603151140427186/
<今日の、ビート>
山本淳平は、米国のC&C社のドラムを叩く。普段ロックをやるとき(http://43142.diarynote.jp/?day=20161005の、欄外最後を参照のこと)はラディックを用い、ちょい懐かしい音が出るC&Cはジャズをやる際に使うそう。贅沢だなあ。彼、リチャード・スぺイヴン(2012年2月18日、2013年2月15日、2014年7月27日)が好きなんだそうだが、新曲のなかの一つはちょいドラムン・ベース流れの叩き方と思わせられた。面々は4月28日のピットイン昼の部で新曲満載のライヴをやり、それをもとにセカンド作のレコーディングに入るという。
▶過去の、リチャード・スペイヴン
http://43142.diarynote.jp/201202200901013744/
http://43142.diarynote.jp/201302181044151204/
http://43142.diarynote.jp/?day=20140727
当然、昔のように取り上げる曲において洒脱ラテン調やフォーキー曲はなし。サポートは鍵盤、ベース、ドラムの3人の、アフリカ系の面々。彼らはここのところの、変わらぬ面々なのかな? 3人は今回、ベネイのメンバー紹介とともに、楽器音をファンキーに重ねる〜いわばフィルモア実況盤のザ・キングピンズの「メンフォス・ソウル・シチュー」流儀演奏もチラリ見せた。イエイ。過去だったら、次作のプロデューサーはデイヴィッド・フォスター(2011年10月19日)だと聞いても違和感は覚えないが、このショウを見た後だと、それは温いでしょとなってしまう。
去年亡くなったモーリス・ホワイト、ナタリー・コール(2000年5月10日、2008年6月23日)、デイヴィッド・ボウイ、ジョージ・マイケルの名を出し、そして、彼はプリンス(2002年11月19日)の1982年曲「ハウ・カム・ユー・ドント・コール・ミー・エニモア?」をじっくり歌う。わあ。本人も御大の歌い口を意識したところはあったのだろうが、プリンスとベネイのファルセットがこんなに近いと感じるとは驚き。すると、その後の曲もそういうふうに聞こえたりもし……やはり、今回のベネイは黒かったということなのだろう。プリンスはゴスペルとすごく隣り合わせの歌を聞かせた(ゴスペルをコペルニクス展開させた歌を聞かせた、という言い方もあるだろう)が、まさかベネイにゴスペルを感じるとは思わなかった。今回あまり実演は変わらないだろうなあと思っていたが、新鮮に感じる部分、得るところはあり。やはり、定期的に好意的に思える人はちゃんとライヴをチェックしなきゃなと思った。
▶過去の、エリック・ベネイ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/julylive.htm
http://43142.diarynote.jp/200510030023510000/
http://43142.diarynote.jp/201001051626133581/
http://43142.diarynote.jp/201109220748325210/
http://43142.diarynote.jp/201405151019271787/
▶︎過去の、デイヴィッド・フォスター
http://43142.diarynote.jp/201111141208525234/
▶︎過去の、ナタリー・コール
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-5.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20080623
▶︎過去の、プリンス
http://43142.diarynote.jp/201605260923093422/
その後は、荻窪・ヴェルヴェットサンへ。編成の上でも、音楽性のうえでも変則であることを悠々と目指す、ジャズ・ビヨンド・グループの実演を見る。
nouon(2015年4月17日、2015年9月13日、2015年10月9日、2016年3月14日) trio+1という名目であるのは、通常はヴァイブラフォンの山田あずさ、エレクトリック・ピアノのケヴィン・マキュー、コントラバス・クラリネットのヒュー・ロイド、ドラムの山本淳平という固定のメンバーでやっているところ、今ヒュー・ロイドが外遊中とかで、かわりに27歳だそうな米国人ダブル・ベース奏者のタイラー・イートンが加わるから。重要な1ピースが抜けて(その2015 年CD『KUU』を聞いて、ロイドの聞き味の強さを指摘する人は少なくない)、もう少し普通の編成に近い形でのライヴとなるわけで、これは興味深いではないか。
普通のベースが入ったことで、いろいろ見えた部分はあった。まず、各人の技量は見えやすくなった。あ、二つの鍵盤楽器はこんなふうに重なるんだ、こんなソロを取るんだと、新たに気づかせる部分はあり。それから、サウンド全体を楽に聞ける部分はあるかな。E-Onkyoから配信されている彼らの昨年3月のライヴ録音音源は、実はヒュー・ロイドが吹きすぎだとぼくは感じているが、やはりコントラバス・クラリネットは珍しいだけでなく、存在感が大きい楽器なのだと思わずにはいられない。あと、その音色は縦ベースの弓弾き音をもっとヴィヴィッドにした感じの音であると、今日思った。
結構、新曲が多かかった。最後の曲は、ケヴィン・マキューが前日に皆んなに送った曲だそうだが、よくあれだけ形になったな。それ、ラテンぽい官能を介するグル―ヴィな曲で手弾きのベース音があってこそ成り立つものとも思え、正編成ではどんなふうに処理するのか。ともあれ、我が道を行来たい音楽家たちの澄んだ気概や希望は多彩に渦巻いていた。
今回の縦ベース入りの編成は、ジョン・ルイスやミルト・ジャクソンらによる、ジャズ史を飾る名コンボであるモダン・ジャズ・カルテットと同様のそれとなる。彼らはそのオルタナティヴさから“サード・ストリーム”という呼称も受けたが、傾向外ということではnouonだってなかなか。もっとストレートに書いてしまえば、ベーシストが入る今回の実演においては、今のMJQ的な手触り~洗練がさあっと浮き上がるのではないか。と、ぼくは期待した。が、そういう方の発展はあまり感じなかったな。ま、ベーシストは健闘していたが、細微にわたりがっつりと絡んだわけではないしね。
▶過去の、nouon
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<今日の、ビート>
山本淳平は、米国のC&C社のドラムを叩く。普段ロックをやるとき(http://43142.diarynote.jp/?day=20161005の、欄外最後を参照のこと)はラディックを用い、ちょい懐かしい音が出るC&Cはジャズをやる際に使うそう。贅沢だなあ。彼、リチャード・スぺイヴン(2012年2月18日、2013年2月15日、2014年7月27日)が好きなんだそうだが、新曲のなかの一つはちょいドラムン・ベース流れの叩き方と思わせられた。面々は4月28日のピットイン昼の部で新曲満載のライヴをやり、それをもとにセカンド作のレコーディングに入るという。
▶過去の、リチャード・スペイヴン
http://43142.diarynote.jp/201202200901013744/
http://43142.diarynote.jp/201302181044151204/
http://43142.diarynote.jp/?day=20140727