まず、代官山・山羊に、聞く? で、ノルウェーの現代ジャズ3人組(皆、いっていても30代半ばぐらいではないか)の実演を見る。1時間弱のセットを2つ披露したが、これが予想していた音とけっこう異なり、だが聞き味は格段にいいもので驚くとともに、ノルウェー勢あなどれずという思いを改めておおいに抱く。

 ピアニストは小さなキーボードも扱い、ウッド・ベース奏者は複数のエフェクターを床に並べ、2枚のドラをシンバルの代わりにセットに組み込んでいるドラマーは横にPCを置いてもいる。だが、出てくる音はぼくが聞いたCDよりも、ずっとアコースティック(セカンド・ショウのほうが電気音干渉は少し大きかったか)。まあ、それは限られた機材を用いてのパーフォーマンス(卓は、外国人がしていた。同行者だろうか)であったがゆえの聞き味であったのかもしれないが、そのことで彼らのジャズ性、それを拠り所とする先鋭性や彼らが持つ親しみやすさが大きく前に出ていたのだから、ぼくはおおきく首をふった。

 先日やはりここで見た同国のハンツヴィル(2014年2月3日)のようにもっと響きを介する抽象インプロ志向のグループと思っていたら、彼らは生理的に起承転結があると言いたくもなる曲〜だから、ぼくはメロディアスであるとも感じたわけだ〜をやる。もちろん、各曲の演奏はテーマがありその後に各奏者のソロがあるという従来のジャズ様式に準ずるものでなく、アンサンブル的演奏のなかからジャズ的発展の種を編んでいるという感じを持つ。

 ジャズは“点”の連鎖による線で描写していく音楽であり、ポップは“面”を描く音楽。“点”と“面”、どちらが明解かといえば、それは後者だ。……レトリックに頼った書き方となるが、ジャズとポップの違いを説明するときに、そんな書き方をぼくはすることがあるが、彼らは当初から具象性を持つ“面”でジャズすることを標榜している、とも記したくなるか。もともとミニマル・ミュージック的な行き方も介するときもある彼らだが、この晩はもっと素直なバンド表現の進め方をしていて(そう、ぼくには、感じられた)、メロディアスに感じる部分は多かった。そして、それこそは、現代ジャズの行き方の一つの重要路線であるという思いを持たせる確かさが、彼らにはあった。

 そして、それと繋がってだろう、ぼくはレイディオヘッド(2001年10月4日、2004年4月18日、2008年10月4日)との親和性を強く感じたりもしてしまった。スプラッシュガールは北の淡い明暗を存分に感じさせるサウンドも持っているのでアイスランドのシガー・ロス(2003年4月14日、2005年7月31日、2006年4月5日)をたとえに挙げてもいいのだが、メロディ性や背後で何かがうごめいている感覚はあの英国人気ロック・バンドを引き合いに出したほうが適切なはず。で、レイディオヘッドがヴォーカル/歌詞やギター音や電気効果音を用いている部分を、彼らはジャズ経験や知識で得た無形の流儀で出しているとも。わあ、ぼく、スプラッシュガールのこと大絶賛ですね。

▶過去の、ハンツヴィル
http://43142.diarynote.jp/201402071148017123/
▶過去の、レディオヘッド
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-10.htm
http://43142.diarynote.jp/200404180058130000/
http://43142.diarynote.jp/200810061856366600/
▶過去の、シガー・ロス/ヨンシー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-4.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20050731
http://43142.diarynote.jp/200604071341360000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100808


 その後、青山・プラッサオンゼで、日本人トリオのロス・オンゴス・オリエンタルスを見る。松田美緒&ビスコイット・グローポ(2012年6月13日、2014年2月9日)の演奏陣、ギターの鬼怒無月(2003年6月30日、2004年1月16日、2005年4月11日、2006年1月21日、2009年10月8日 、2010年3月20日、2012年2月10日、2012年6月13日、2012年6月28日、2012年11月21日、2013年2月11日、2014年2月9日)、電気ベースの佐野篤(2006年3月24日、2012年6月13日、2014年2月9日)、パーカッションのヤヒロトモヒロ(2007年11月14日、2009年2月8日、2009年10月12日、2010年7月22日、2011年10月26日、2012年6月13日、2014年2月9日)という面々。キング(2006年3月24日)という大所帯バンドを組んで歌っている佐野篤がリード・ヴォーカルをとる場合もある(そのときはギターを手にしたりもし、2ギター+パーカッションという編成になる)が、3人が対等に思いを出し合うだろうこの3人組の味はビスコイット・グローポとのときとはまた違う。経験と見識豊かな3人の音楽感を素直に重ねようとしており、参照する世界が広いというのは間違いないが、そういう協調が一回りして、仲良し部活3人組の放課後といった感じの、溌剌したお楽しみ感覚があるのが、ぼくには印象に残った。

▶過去の、松田美緒&ビスコイット・グローポ
http://43142.diarynote.jp/201206141343402196/
http://43142.diarynote.jp/201402111029354181/
▶過去の、鬼怒
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm
http://43142.diarynote.jp/200401160000000000/
http://43142.diarynote.jp/200504151004040000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20060121
http://43142.diarynote.jp/200910140952248669/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100320
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http://43142.diarynote.jp/?day=20120613
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http://43142.diarynote.jp/?day=20130211
http://43142.diarynote.jp/201402111029354181/
▶過去の、佐野
http://43142.diarynote.jp/200603281333540000/
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▶過去の、ヤヒロ
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http://43142.diarynote.jp/200902102121513506/
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<今日の、車内吊り広告>
 東急と乗り入れしている東武鉄道の車両だったのだろう、最寄り駅から乗った車内の広告はスカイツリーのそれが全面に。立っている位置から、タワーからの東西南北の俯瞰風景が見れるように張ってある。ほうっ。きょろきょろ首を振って、車内でぼくは吊り広告を見ちゃったよー。挙動不審、だったろうな。スカイツリーに、はまだ行っていない。そんなに興味を持ってないからだろうが、そのうち上に登る機会はあるのだろうか。

菊地成孔

2014年2月20日 音楽
 管楽器奏者ではなくシンガー/ラッパーの菊地成孔(1999年12月22日、2001年9月22日、2002年11月30日、2004年7月6日、2004年8月12日、2005年6月9日、2006年1月21日、2007年11月7日、2009年7月19日、2010年3月26日、2011年4月22日、2011年5月5日、2011年7月31日、2013年3月26日、2013年7月27日)の姿を前に出した公演で、南青山・ブルーノート東京(ファースト・ショウ)。スキャットかましまくりのジャズ・ヴォーカル、ラップ、AOR調シティ・ポップ歌唱といった感じで、彼はいろいろな様式を介し、また重ねつつ、肉声遣い表現の妙手であることをアピール。2曲では少しソプラノ・サックスも手にし、それは曲にメリハリを付けるためにも有効ではあるのだが、ぼくは図太く歌とラップだけで攻めてほしかった。

 昨年の彼のライヴの所感(2013年3月26日)でも記しているが、ぼくは菊地のヴォーカルが好き。本業じゃないからこそのチャーミングさがえも言われぬ形で顕われると思えるもの。まあ、昔のスパンク・ハッピー(http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm)という男女デュオによるJ・ポップ・ユニットも嫌いじゃなかったしな。って、今日も1曲、そのときの持ち歌をやったか。ああいう、下世話&刹那なやつ、もっとやらないかな。モダニストがやれば、そういうものでも洗練やしなやかさが随所から溢れ出る。

 そんな彼に加え、フロントに立つのは、清涼な歌を聞かせる吉田沙良、ヒップホップ・チームのSIMI LABのOMSB(2013年3月26日)とJUMAのお二人。さらに、ピアノやアナログ・シンセサイザーの坪内昌恭(2004年8月12日、2006年10月19日、2011年5月5日)、ギターの宮嶋洋輔、電気ベースだけをぐつぐつ弾いた鈴木正人(2003年12月4日、2004年7月6日、2004年11月30日、2005年6月9日、2005年10月30日、2005年11月15日、2007年1月27日、2007年10月17日、2008年1月31日、2009年1月16日、2009年10月31日、2011年3月2日、2011年5月22日、2013年1月29日、2013年2月19日、2013年8月29日)、ドラムのFUYU(2012年3月24日)、という面々が伴奏する。

 菊地はMCで2〜3度、アーノルド・シュワルツネーガーです、と自己紹介。当人のなかで、ラップはマッチョな行為という認識があるのや否や。なんか、言葉とビートの奥深い相関関係を通してスーダラ文化系ヒップホッパーとしてのあり方を希求しているように思えたりもするが。だから、座ってパフォーマンスをする(それは、会場のノリに合わせたところもあるのかな)のは、別に違和感がない。ただ、単語の数も多いし大変ではあるだろうが、譜面台を前に置くのは、ラップの基本精神から大きく離れちゃうと、ぼくは思う。

▶過去の、菊地
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-9.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200407062149440000/
http://43142.diarynote.jp/200408120238330000/
http://43142.diarynote.jp/200506120644360000/
http://43142.diarynote.jp/200601271857530000/
http://43142.diarynote.jp/200711101236210000/
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▶過去の、坪内
http://43142.diarynote.jp/200408120238330000/
http://43142.diarynote.jp/200610211633130000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110505
▶過去の、鈴木
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-12.htm コンボ・ピアノ
http://43142.diarynote.jp/200407062149440000/
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http://43142.diarynote.jp/201309021134211584/
▶過去の、FUYU
http://43142.diarynote.jp/?day=20120324

<今日の、場内>
 なんかいつもと違って、シングル・モルトを飲んでいる人が散見される(ストレートでの提供だと、グラスの形ですぐに分りますね)と思っていたら、ハイランドパーク24年ものを、いくつかのワインやシャンパンとともに、来場者に菊地成孔が推奨していたのね。食べ物にしろ飲み物にしろ当日限りのメニューがサーヴされるのは、彼がブルーノート東京でやる場合の恒例のよう。なるほど、普通の日以上に飲食の売り上げは大きいと見た。
 ほとんど毎年やってくる、テキサス州出身トランペッター/フリューゲルホーン奏者(2003年2月18日、2003年9月21日、2004年12月2日、2007年9月10日、2008年9月16日、2009年6月24日、2011年2月22日、2012年3月23日)の、今回のブルーノート東京公演はビッグ・バンドを率いてのもの。ビッグ・バンドを組んでの最初の来日公演の項(2008年9月16日)で、ぼくはその実演を絶賛しているが、今回もジャズ愛とエンターテインメント精神をきっちり併せ持つ、コスト・パフォーマンスの高い公演(90分)だったのは間違いない。見るのは2度目となるゆえ、新鮮味が今回は減じて感じちゃううところはあったものの。ぼくは、ファースト・ショウを見た。

 指揮も要所で適当にする(それがマル。ヴォーカルも1曲で披露)ハーグローヴに加え、サックス・セクション5人、トロンボーン・セクション4人、トランペット・セクション4人、ピアノ、ギター、ベース、ドラムという陣容。で、ベイシーからラテンまでいろんな要素を集積させたものを聞かせるのだが、その総体の求めるところは、ビッグ・バンド・ジャズが娯楽の場〜クラブの華であった頃の美点を今ののりでおおらかに提供しちゃおうというものか。3曲にはとっても歌えるイタリア出身歌手のロバータ・ガンバリーニ(2008年9月16日、2009年4月22日、2010年3月1日)が加わる。それ、前回と同様だが、両者は同じメネージメントに所属しているのかな。その彼女、週末はここでのリズム・セクションを従え、丸の内・コットンクラブでリーダー公演を行う。

▶過去の、ロイ・ハーヴローブ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 2003年2月18日、2003年9月21日
http://43142.diarynote.jp/200412111742300000/
http://43142.diarynote.jp/200709171108570000/
http://43142.diarynote.jp/200809171409066704/
http://43142.diarynote.jp/200906300951327850/
http://43142.diarynote.jp/201102240921561671/
http://43142.diarynote.jp/201203260806527228/
▶過去の、ガンバリーニ
http://43142.diarynote.jp/200809171409066704/
http://43142.diarynote.jp/200904240940169227/
http://43142.diarynote.jp/201003061215255562/

<今日の、あれれ>
 ライヴのあと、流れた飲み屋で、ソチ五輪の報道TVが流れていて、何気に興味深く横目で見ちゃう。10日前に興味が持てねえとか書いていたんだけど……。関係ないけど、今日取材したフランス人洒脱ギタリスト/シンガーのドミニック・クラヴィクはパリ・サンジェルマンFCの応援者。彼が長年サポートしたアンリ・サルヴァドール(2002年9月27日。このとき、クラヴィクももちろん同行。このときが、彼の初来日であったよう)は熱心なパリ・サンジェルマンのファンとして知られていたが、クラヴィクも同様。今、オーナーがカタール人なのを嘆いていた。あ、サッカー流れで、もう一つ。マンチェスター・ユナイテッドのデイヴィッド・モイーズ監督解任を願う替え歌クリップ(?)があるけど(http://www.youtube.com/watch?v=5HOFbKMmqfo)、それの元歌はアリス・クーパーの1972 年全米1位曲「スクールズ・アウト」です。
▶過去の、サルヴァドール
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm
 <エスペランサ・スポルディングの幅広い行き方を、ネオ・ソウル傾向&電気ベースに絞るとニック・ウェストの音楽になる? なーんて。でも、ぼくはこのアリゾナ州フェニックス育ち(父親はギタリストだったそう)、現LA在住の22歳の女性に多大なまぶしさや可能性を感じてしまうのだ。デビュー作『Just in the Nick of Time』を聞けば分るように、骨太なベース(古風なスラッピングも多用)と可憐な歌声と豊かな歌心が綱引きする現代ソウルを彼女は凛として送り出す。ときには、ベースと一緒にスキャットしたりもしちゃうぞ。なお、現在フェンダーのエンドーサーである彼女はもともと左利きであった。かつ、将来を嘱望されるほど、俊足でもあったそう。>

 手抜きになっちゃうが、以上は、ベース・マガジン誌の2012年12月号に書いた、ニック・ウェストの紹介。それは、同時代女性ベーシストを扱う特集原稿で、他にビヨンセ(2001年6月25日、2006年9月4日)の女性バンドに入り知名度を得たディヴィニティ・ロックス(よりヒップホップ&ロック臭が強いが、自らバンドを率い、ブーツィ・コリンズ〜2011年8月12日、2012年5月31日〜の覚えもめでたくスラッピング多様で、変な髪型をしているなど、ニック・ウェストとの共通項あり)、プリンス(2002年11月19日)・バンドに入っているデンマーク人のイーダ、縦と電気の両方を弾くオランダ人のフェイドラ(2011年9月3日)とともに、彼女のことを紹介している。

 そんな、着目していた新進の担い手を南青山・ブルーノート東京(セカンド・ショウ)で見る。けっこう歌も歌うキーボーディスト、ギタリスト、豪腕な女性ドラマーという編成。そして、途中で百戦錬磨のセッション・ヴォーカリストのマクサン・ルイス(元、キャピリコーン発のマクサン、モータウン発のマンドレイの歌手)が出て来て、堂々歌う場面もあった。

 約90分のショウ。そのデビュー作はとってもしなやか可憐な面を魅力的に出す事に成功していて、それゆえぼくは先の原稿でエスペランサ・スポルディング(2008年9月5日、2008年12月1日、2010年9月4日、2011年2月17日、2012年3月7日、2012年9月9日)を例に出して書いた。だが、その実演はまったく異なる行き方を示すもので、へーえ。一言で言えばネオ・ソウル的な部分は皆無で、もっと力づくでありオールド・スクール。いや、より伝統に則ったファンカティアの側面が全面に出ていた、と言えるもの。こっちのほうが、素に近いのだろうな。そんなノリは、氣志團のようなヤンキー臭ばりばりの髪型(色は、紫。かつてのものと全然違う)で増幅もされるし、スラッピング奏法ぶりぶりで、スライ曲やP-ファンク曲を繰り出す様には、ハイ黙って楽しまさせていただきます、という感じになっちゃう。なお、彼女は相当な海老ぞり体勢やステージに背をつけてベースを弾いたりもし、客をわかせる。

 驚いたのは、MCで女性ミュージシャンをバンドに入れることが大好きなプリンス(2002年11月19日。もちろん、彼の家の隣に住むラリー・グラハム〜2009年9月29日、2010年9月9日、2012年11月24日〜の話も出てくる)との絡みの模様を延々と語ったこと。レコーディング/ツアー参加はないようだが、あなたも御大とやりとりがあったんですか。彼女はプリンスの「レッツ・ワーク」も披露したが、天衣無縫さがさあっと表れ、かなり良い。柔のアルバム作りと剛のライヴ遂行、という2本立てで進んでいってほしいな。アンコールは、AC/DC (2001年2月19日)のロック・スタンダード「バック・イン・ブラック」をがっつ〜ん。

 アイク&ティナ・ターナーが歌った「愛しすぎて」(オーティス・レディング曲)やメリー・クレイトンが歌った「ギミー・シェルター」(ストーンズ曲)をがちんこで歌ったマクサン・ルイスの名前は出演メンバーに記されていなかったが、聞けて良かったァ感はバリバリ。ウェストのライヴ流儀とも乖離しないし。でも、一時は日本に住んでいたこともあったが、今は米国に戻っているはずで、何故にウェストさんとやることになったのか。

▶過去の、ビヨンセ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 2001年6月25日
http://43142.diarynote.jp/200609070212050000/
▶過去の、プリンス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 2002年11月19日
▶過去のフェイドラ
http://43142.diarynote.jp/201109121452527893/ (マイク・デル・フェロ・トリオ)
▶過去の、エスペランサ
http://43142.diarynote.jp/200809071430380000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20081201
http://43142.diarynote.jp/?day=20100904
http://43142.diarynote.jp/201102190814495504/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120307
http://43142.diarynote.jp/201209191229057579/
▶過去の、ブーツィ
http://43142.diarynote.jp/201108131129381378/
http://43142.diarynote.jp/201206011834355756/
▶過去の、ラリー・グラハム
http://43142.diarynote.jp/200910021138591223/
http://43142.diarynote.jp/201009171755535759/
http://43142.diarynote.jp/201211261639115632/
▶過去の、AC/DC
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 2001年2月19日

 書く順は逆になったが、その前は、丸の内・コットンクラブ(ファースト・ショウ)で、ブライアン・ブレイド&ザ・フェロウシップ・バンドをはじめとするコンテンポラリー・ジャズ表現からアダルト系歌もの(イギー・ポップやザ・ゴールデン・パロミノスなども含む)まで、いろんなものに幅広く関わっているピアニストのジョン・カウハード(2003年9月27日、2008年9月4日、2009年7月16日、2011年5月12日、2012年5月22日)のリーダー公演を見る。

 “マーシー”というプロジェクト名は、アーティストシェア(2011年6月22日、参照)を通してリリースされるカウハードの初リーダー作の表題(ダウンロード販売はすでに成されているが、CDリリースはこの2月18日)で、そこで演奏していたドラマーのブライアン・ブレイド(2000年12月6日、2001年8月3日、2002年8月25日、2004年2月9日、2008年9月4日、2009年7月20日、2011年5月12日、2012年1月16日、2012年3月15日 、2012年5月22日)やベーシストのジョン・パティトゥッチ(2001年8月3日、2002年8月25日、2004年2月9日、2006年9月3日、2012年6月13日)が一緒に同行。あ、このリズム・セクションはウェイン・ショーター(2001年8月3~5日、2002年8月25日、2004年2月9日)の不動のそれでもあるな。彼ら、4月中旬にオーチャードホールであるショーター公演にももちろん同行します。また、さらにスタジオ録音ではビル・フリゼール(2000年7月21日、2006年5月14日、2009年5月8日、2011年1月30日)が弾いていたが、今回はNYで幅広く活動する好ギタリストのスティーヴ・カーディナスが来て、その4人でパフォーマンスをした。

 カウハードは参加しているブライアン・ブレイドのザ・フェロウシップ・バンドにおける指裁きを聞けば分るように、ジャズ的な即興性(それは普通、”点”によって描かれる)を求めても、一方では表現の像を”面”で切り取ろうとするような清新な感覚を有する奏者だが、いろいろにして複雑(何気に難解でもある披露した曲はカウハードの自作だったのかな)な観点を抱えつつ、カウハードはジャズ・マンであることを生真面目に追求していると、ぼくには思えた。

 カウハードはケンタッキー州出身ながら、ニューオーリンズのヨロラ大学を出ていて、卒業後の1993年からNYで活動するようになったみたい。ならば、ギャラクティック(2000年8月13日、2000年12月7日、2001年10月13日、2002年7月28日:触れていないが、ジョージ・クリントンが乱入、2004年2月5日、2007年12月11日、2010年3月29日)のスタントン・ムーア(2000年8月13日、2000年12月7日、2001年10月13日、2002年7月28日、2004年2月5日、2007年12月11日、2010年3月29日、2012年7月30日、2013年1月30日)や、元ネヴィル・ブラザースの鍵盤奏者のSayaは大学で重なっているのではないだろうか。追記:あ、ブレイドさんもヨロラ大学で音楽を学んでいますね。
 
▶過去の、カウハード
http://43142.diarynote.jp/200809071429250000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090716
http://43142.diarynote.jp/201105140859559227/
http://43142.diarynote.jp/201205301327209613/
▶過去の、アーティストシェア
http://43142.diarynote.jp/201106280315179045/
▶過去の、ブレイド
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 2000年12月6日、2001年8月3日、2002年8月25日
http://43142.diarynote.jp/200402091738240000/
http://43142.diarynote.jp/200809071429250000/
http://43142.diarynote.jp/200908061810483865/
http://43142.diarynote.jp/201105140859559227/
http://43142.diarynote.jp/201201171011033219/
http://43142.diarynote.jp/201203161146266803/
http://43142.diarynote.jp/201205301327209613/
▶過去の、パティトゥッチ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 2001年8月3日、2002年8月25日
http://43142.diarynote.jp/200402091738240000/
http://43142.diarynote.jp/200609070211000000
http://43142.diarynote.jp/201206141343402196/
▶過去の、ショーター
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm  2001年8月3~5日、2002年8月25日
http://43142.diarynote.jp/200402091738240000/
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 2000年7月21日
http://43142.diarynote.jp/200605160543260000/
http://43142.diarynote.jp/200905101005501321/
http://43142.diarynote.jp/201102091715522875/
▶過去の、フリゼール
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-7.htm
http://43142.diarynote.jp/200605160543260000/
http://43142.diarynote.jp/200905101005501321/
http://43142.diarynote.jp/201102091715522875/
▶過去の、ギャラクティック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 2000年8月13日、2000年12月7日、2001年10月13日、触れてないが、2002年7月28日:ジョージ・クリントンが乱入
http://43142.diarynote.jp/?day=20040205
http://43142.diarynote.jp/200712161021270000/
http://43142.diarynote.jp/201004080749482839/
▶過去の、ムーア
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 2000年8月13日、2000年12月7日、2001年10月13日、2002年7月28日
http://43142.diarynote.jp/?day=20040205
http://43142.diarynote.jp/200712161021270000/
http://43142.diarynote.jp/201004080749482839/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120730
http://43142.diarynote.jp/201301311053069360/

<今日の、覚え書き>
 カウハードが深く関わるブライアン・ブレイドのザ・フェロウシップ・バンドの新作『ランドマークス』はブルーノートからこの4月にリリース。旧来の単位に加え、マーヴィン・スーウェル(1999年8月27日、1999年9月2日、 2001年2月12日、2008年8月11日、2010年6月13日、2011年5月5日)もそこには加わっているというが、そういえば、カウハードは(スーウェルも何かと関わる)サンドラ・ウィルソン(1999年8月27日、1999月9月2日、2001年2月12日、2004年9月7日、2008年8月11日、2010年6月13日、2011年5月5日、2011年12月8日、2013年5月31日)のこの1月のNYハイランド公演に参加したはすだ。カウハードが入ったウィルソンの新年ライヴの主旨は、彼女の大転機作『ブルーライト(Blue Light ‘Til Dawn)』(ブルーノート、1993年)の発表20周年を祝いつつ、そのアップデイト版を提供しましょうというもの。春には同作の拡大盤がリリースされる予定で、4〜5月はその単位で欧州/米国ツアーを行うことになっている。その<Blue Light To A New Dawn>と名付けられたプロジェクトの興味深いリハーサルの模様は、http://www.youtube.com/watch?v=5SzvQxT44Mo&feature=related で見ることができる。それで、日本にも来ないかな→可能性はおおいにあるよな。なお、彼女は3月には同ツアーにももちろん関与するブランドン・ロス(2004年9月7日、2005年6月8日、2005年6月9日、2006年9月2日、2011年5月5日、2011年12月8日、2011年12月14日)の狼藉トリオであるハリエット・タブマンと四つに組むブラック・サンなるプロジェクトで、NY近辺3カ所でギグすることにもなっている。そのロスは在NY日本人ベーシストのツトム・タケイシ(2004年6月6日、2005年6月8日、2005年6月9日、2006 年9月2日、2011年12月14日)とのデュオであるフォー・リヴィング・ラヴァーズというユニット名でのデュオ盤『Revealing Essence』(Sunnyside、2014年)を年明け早々にリリース。それ、ロス曲に加え、エリック・サティやオーネット・コールマン曲も取り上げた、研ぎすまされた“綾”満載の静謐作だ。なお、来年(2015年)はビリー・ホリデイ生誕100年、ウィルソンの新作はホリデイ絡みの内容になるようだ。
 そっかー、ついにフォルラン来日したのかー。やんわり、ドキドキしている自分がいる。J・リーグ、盛り上がるといいなあ。

▶過去の、スーウェル
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 1999年8月27日、1999年9月2日、 2001年2月12日
http://43142.diarynote.jp/200808121357410000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100613
http://43142.diarynote.jp/201105101010399933/
▶過去の、カサンドラ
http://43142.diarynote.jp/200409070203440000/
http://43142.diarynote.jp/200808121357410000/
http://43142.diarynote.jp/201006181521416566/
http://43142.diarynote.jp/201105101010399933/
http://43142.diarynote.jp/201306060609052151/
▶過去の、ロス
http://43142.diarynote.jp/?day=20040907
http://43142.diarynote.jp/200506120643190000/
http://43142.diarynote.jp/200506120644360000/
http://43142.diarynote.jp/200609031313220000/
http://43142.diarynote.jp/?month=201105
http://43142.diarynote.jp/201112171635194708/
http://43142.diarynote.jp/201112201158055043/
▶過去の、タケイシ(ツトム)
http://43142.diarynote.jp/200406062249580000/
http://43142.diarynote.jp/200506120643190000/
http://43142.diarynote.jp/200506120644360000/
http://43142.diarynote.jp/200609031313220000/
http://43142.diarynote.jp/201112201158055043/
 アーシーかつゆったりうねる、そしてブルージーだったりソウルフルだったりする現アメリカン・ロックの代表的存在である大所帯バンドの公演、三軒茶屋・昭和女子大人見記念講堂。なんと最前列で見ちゃう。そんなの、1979年のO.V.ライト公演以来か。こりゃ、皆が立ちあがってもそうすることなしにゆったり見れるゾと思ったら、観客は見事におやじだらけでアンコールまでは立つ人はいなかったような。ステージ左右には、ライヴ録音用のマイクが立てられていた。

 基本、ステージに表れたミュージシャンは11人。ギターのデレク・トラックス(2004年5月20日、2006年11月20日)と奥さんのスーザン・テデスキ(歌とギター)に加え、キーボード/フルート、ベース、ドラム×2、ヴォーカル×2(コーラスとともに、1/3の曲ではリード・ヴォーカルも取ったりする)、テナー・サックス、トランペット、トロンボーン。キーボード奏者やシンガーの一人は昔からデレク・トラックスのバンドにいる人たちですね。また、ベーシストのティム・ルフェーブル(2010年2月19日)は在NYのフュージョン系奏者だが、さすがバンドの行き方に乗った演奏を聞かせる。蛇足だが、ルフェーブルとグループを組んでいるジャズ系ドラマーのキース・カーロック(2010年2月19日)も4月のトト(2011年9月27日)の来日公演にネイザン・イースト(2011年9月27日。彼、2月はエリック・クラプトン公演にも同行)とのコンビで来るようだ。

 ピックを使わない右手使いとスライド・バーを薬指にはまたりはめなかったりもする左手使いを見せるトラックスのギター演奏は、近くで見ることができたこともあって、こりゃすげえや。ほれぼれ。ただし、本当にギター一本やりで、歌おうとは一切しない人なのだな。一方、テデスキの歌はアルバムで聞くことができるものより、いいとも思えた。まあ、アルバムは正直に録っているわけで、それを歌う姿込みで受け取ることができると、感興が増すということだろう。そんな彼女、テデスキ・トラックス・バンドの2013年新作ではヴォーカルに専念しているが、ギター演奏においてはライヴでもあっさり触っている感じ。蛇足だが、彼女はMCをする際は声が高くなり、可愛らしく聞こえる。

 そんな陣容のもと、悠々。ただし、伸縮性には富むが、ジャム・バンド的に流れにまかせるという側面はほとんどなしで、曲はだらだらやらず、結構きちんとまとめていると感じた。バンド・サウンドの屋台骨を担うツイン・ドラムのあり方は、うれしい〜の一言。基本ともにレギュラー・グリップで叩く2人のドラマーは、こいつらデキてんのかという誤解を生みそうなほど、うれしそうに顔を見合わせてる場面が少なくなかった。

 それから、エリック・クラプトン(2006年11月20日)の信任も厚い、ホワイト・ブルース・ロッカーのドイル・ブラムホールⅡ(左利きなんだな。2006年11月20日)も数曲で加わる。彼は、デューク・エリントンからヴァン・モリソンまで数多の人が取り上げるブルージィ・スタンダード曲「セイント・ジェイムス・インファーマリー」などではリード・ヴォーカルもとった。ま、彼がいなくても良かったとは思うが、両者はこのあと一緒にインドのムンバイであるマヒンドラ・ブルース・フェスティヴァルに出演する。

▶過去のトラックス
http://43142.diarynote.jp/200405200442460000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20061120
▶過去の、クラプトン、ブラムホールⅡ
http://43142.diarynote.jp/?day=20061120
▶過去のルフェーブル、カーロック
http://43142.diarynote.jp/201002211122268480/
▶過去のネイザン・イースト、トト
http://43142.diarynote.jp/201109300923303323/

<今日の、そういえば……>
 ここ数年(いや、もっと前?)変化が出て来ていると感じるのは、枕の好み。より堅いのが好きになっているうえに、高さを持つものが好きになっている。今、固めの枕を重ねて使っているもの。それ、健康上はどうなのだろう?

 音楽雑誌ラティーナが企画/提供する、4組の日本人が出る音楽フェスティヴァル。広義の南米の音楽に魅せられ、(ある意味)困難な道を胸を張って歩んでいる担い手が選ばれていると、取ることができるか。渋谷区文化総合センター大和田・さくらホール。

 一番目は、松田美緒&ビスコイット・グローポ(2012年6月13日)。生/電気ギターの鬼怒無月(2003年6月30日、2004年1月16日、2005年4月11日、2006年1月21日、2009年10月8日 、2010年3月20日、2012年2月10日、2012年6月13日、2012年6月28日、2012年11月21日、2013年2月11日)、電気ベースの佐野篤(2006年3月24日、2012年6月13日)、パーカッションのヤヒロトモヒロ(2007年11月14日、2009年2月8日、2009年10月12日、2010年7月22日、2011年10月26日、2012年6月13日)からなるバンドのサポートのもと、しょっちゅう南米各国に行っているはずの松田(2005年7月11日、2010年4月19日、2010年10月16日、2012年6月13日)が歌う。オープナーは自作曲を披露したが、他は南米の6カ国の曲を歌いますと言っていたか。なんか同好の士とともに、南米諸国の生活感やもろもろの記憶〜彩や揺らぎや埃の感覚などを確かな個を持つ自分のなかで覚醒させているという印象も得る。

 2番目はパラグアイと日本を行き来(パラブアイの文化功労賞も受けているようだ)する、アルパ(ハープ)奏者のルシア塩満(2010年6月1日)がいろんな楽器を操る高橋マサヒロと菱本幸二を従えて登場。彼女はパラグイの曲を中心に、自分の曲や日本人恩師(ロス・インディオスのチコ本間)の曲も取り上げる。こちらは、優美さや繊細さとフォルクレールが持つ敷居の低さを兼ね備える方向で演奏。最後の曲では、塩満は生ギターを手にしながら歌う。それにしても、ギターやチャランゴのような弦楽器から複数の笛/息吹き込み系楽器まで、いろんな楽器を悠々と扱うサポートの男性2人は何気に実力者。彼らもまた、南米には何度も行って研鑽を積んでいるだろうな。MCで、菱本はエクアドルに住んでいたと紹介されたか。楽器間の垣根がなく、いろいろな楽器を平然と演奏しちゃったり歌ったりしちゃうという流儀も、南米フォークロアの世界にはある?

 3番目は一般的な知名度は一番持つだろう、Saigenji(2006年6月27日、2007年11月27日、2009年3月14日, 2009年8月9日、2012年6月13日、2013年1月7日、2013年2月11日 、2013年4月12日)のソロ・パフォーマンス。フルートとヴォーカルを披露するベネズエラ民謡で始まったショウは、ブラジル曲、アルゼンチン曲、エクアドル曲、そしてもちろん今様ポップ要素までにまたがるイナセな自作曲などを、自在に送りだす。基本ギター弾き語りのSaigenjiの楽器遍歴のスタートは「コンドルは飛んで行く」にヤラれて9歳のときに手にしたケーナから始まったようだが、そんな歩みを持つ彼のこれまでの経験や南米音楽への思いがすうっと溢れ出ていたパフォーマンスではなかったか。

 最後に登場したのは、ケーナ他いろいろな笛系楽器を操る岩川光。ちらしを見たら、彼も9歳にしてケーナを手にし、音楽活動が始まっているよう。みんな、早熟ですね。今回の出演者の中では一番若いだろう彼は、ボリビアを経て、現在はアルゼンチンに住んでいるそうで、そんな彼をアコーディオンの佐藤芳明(2009年10月8日、2010年9月11日、2012年2月10日、2013年8月29日)、ギターの鬼怒無月、パーカッションの岡部洋一(2000年7月29日、2000年9月14日、2001年2月3日、2004年5月28日、2004年6月2〜3日、2004年6月9日、2004年11月19日、2005年2月19日、2006年7月7日、2006年8月27日、2006年12月3日、2008年1月31日、2011年2月10日、2010年12月28日、2011年8月22日、2013年2月11日、2013年2月19日)がサポート。この顔ぶれでやるのは1年ぶりのようだが、阿吽の呼吸で演奏は流れていく。そう、その4人の演奏はしなやかな流動性が在するもので、それだけでオリジナリティを有するか。演目はすべて岩川のオリジナル曲で、それもまた演奏にある飛躍の感覚を増させる。で、その総体はなかなかに洗練されていて、インプロヴィゼーショナル。フォークロア経験を根っこに起きつつ枠組みから解き放たれた自らのインスト表現を提出している様は、先日見たコロンビア人アルパ奏者のエドマール・カスタネーダ(2014年1月12日)の演奏と重なる部分があるかもしれない。そんな逸材はこの11日に、佐藤芳明とデュオで渋谷・Li-Poでもライヴを行う。

 ああ、遥かなる南米……。しかし、皆さん、日本から距離的に遠く、英国圏の音楽ほどは情報が入りづらい南米の音楽に耽溺し、そこに情熱たっぷりに身を投じて、音楽の自由や自らの存在性を獲得しようとしている様に頭が下がる。酔狂とも言えるだろうけど、ほんと皆楽しそう。生理的な豊かさを、山ほど感じてしまったな。“新・世界音楽祭”は今回が1度目、次回はどんな人が出るのだろう?

▶過去の、松田
http://43142.diarynote.jp/200507161355250000/
http://43142.diarynote.jp/201004211621084144/
http://43142.diarynote.jp/201010191403189326/
http://43142.diarynote.jp/201206141343402196/
▶過去の、鬼怒
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm
http://43142.diarynote.jp/200401160000000000/
http://43142.diarynote.jp/200504151004040000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20060121
http://43142.diarynote.jp/200910140952248669/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100320
http://43142.diarynote.jp/?day=20120210
http://43142.diarynote.jp/?day=20120613
http://43142.diarynote.jp/201207031352302181/
http://43142.diarynote.jp/?day=20121121
http://43142.diarynote.jp/?day=20130211
▶過去の、佐野
http://43142.diarynote.jp/200603281333540000/
http://43142.diarynote.jp/201206141343402196/
▶過去の、ヤヒロ
http://43142.diarynote.jp/?day=20071114
http://43142.diarynote.jp/200902102121513506/
http://43142.diarynote.jp/200910141731349364/
http://43142.diarynote.jp/201007241308021448/
http://43142.diarynote.jp/201111141210356758/
http://43142.diarynote.jp/201206141343402196/
▶過去の、塩満
http://43142.diarynote.jp/?day=20100601
▶過去の、Saigenji
http://43142.diarynote.jp/?day=20060627
http://43142.diarynote.jp/200711290932200000/
http://43142.diarynote.jp/200903161734533723/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090809
http://43142.diarynote.jp/201206141343402196/
http://43142.diarynote.jp/201301151819527787/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130211
http://43142.diarynote.jp/?day=20130412
▶過去の、佐藤
http://43142.diarynote.jp/200910140952248669/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100911
http://43142.diarynote.jp/?day=20120210
http://43142.diarynote.jp/?day=20130829
▶過去の、岡部
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 2000年7月29日、2000年9月14日、2001年2月3日
http://43142.diarynote.jp/?day=20040608
http://43142.diarynote.jp/200406111859060000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20040609
http://43142.diarynote.jp/200411231717590000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20050219
http://43142.diarynote.jp/200607100307170000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20060827
http://43142.diarynote.jp/200612060136540000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20080131
http://43142.diarynote.jp/?day=20101228
http://43142.diarynote.jp/201102121001091213/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110822
http://43142.diarynote.jp/?day=20130211
http://43142.diarynote.jp/201302201720351212/
▶過去の、カスタネーダ
http://43142.diarynote.jp/201401171004104264/

<今日は、……>
 明けては、晴天。ライヴを見る前に、都知事選挙の投票に行く。雪がとても残る道すがら、雪だるまも散見される。ニコっ。ぼくも子供のころ、雪が積もったら嬉々として雪だるまを作ったり、雪合戦をしたりしたよな。今日も、がつっとスノウ・ブーツをはく。下をあまり気にせず歩きながら、今日もチェーンを巻いてジャラジャラ走っている車のようなものかと思う。
 冬期オリンピックが始まったようだが、毎度のごとく興味がまったく持てない。ぼくん家は地上波TV放送が映らないので、その中継が見ることができなくて、興味が持てないのかにゃーとも一瞬思う。でも、ワールド・カップやユーロなんかのサッカーの国際大会にはけっこう夢中になるぼくである(その放映は、お店や友人宅で見ようともしますね)ので、中継が家で映るか映らないかは関係ないな。ぼくのオリンピックと同様、ワーツドカップに興味を持てない人もいるであろうことは自覚したほうがいいだろう。人にはいろいろな考え方や好みがある。
 それにしても、あ“ー。

 ごんごん大雪(風も強かった)の週末、渋谷・AX。ライヴ行きを諦める人も少なくないのではと思ったら、まずまずの入り。さすが、セルフ・タイトルのデビュー作が昨年全米2位まで登った、旬のバンドだなあ。外国人客比率も高かったような。

 NYで活動していたコア・メンバーがコロラド州デンバーに引っ越して組んだ、新進のフォーク・ロック・バンド。リード・シンガー/ギタリスト、ドラマー/ヴォーカル/マンドリン、紅一点チェロ(エフェクターも用いあまりチェロ本来の音色を活かす感じではなく、効果音的な使い方と感じる)、キーボード/アコーディオン/ギターという編成。アーティスト写真は3人で写っているものが多いが、あれだけ無理なく仲間っぽく重なっているのを見たら、今は固定の5人組として活動しているのだろうと思わされる。

 そのバンド表現の中央にるのは主コンポーザーの1/2である、ウェズリー・シュルツの堂々のアコースティック・ギター弾き語り表現。ぶっとい歌心、ごんごん溢れる。それだけで、訴求力があり、両手を広げた、ヒューマンでもある感覚があふれる。そして、そこに上手いサジ加減で他の奏者が重なり、その感覚はバンド総体でも示される。それから、メンバーの移動が多いバンドであり、ドラマーは前に出て来てキック・ドラムを叩いたり、チェロ奏者も前でコーラスをとったり、キーボード奏者が2階席までやってきてアコーディオンを弾いたり。また、ドラマーと鍵盤奏者は楽器の持ち替えもおおいに目につくのだが、おやじだとそれはザ・バンドのあり方を思い出せるか。でも、R&B臭のあまりない彼らの場合はザ・バンドを意識するというよりは、バンドの開かれた自在なあり方を求めるうちにそうなったという感じかな。ともあれ、そうしたショウの多彩な進め方は、彼らがエンターテインメント性とバンドの個性を魅力的に両立させていると感じた。

 つきるところ、歌心とともに、生一本、手作り感覚が横溢。それは、現代ロックとして、目新しさにも繋がる、とも思える。そこが、このバンドの大きなポイントだろう。本国ではマムフォード&ザ・サンズ(2013年7月30日)と同列に括られたりもするが、ぼくとしては、マムフォーズよりかこちらの方が好ましく感じる。ザ・ルミニアーズの場合、総じて曲調が似て聞こえる部分もあるが、それは歌詞が聞き取れる人だと、異なる感想を持つかもしれない。歌詞もマムフォーズほど痒くないようだ。

 けっこう、場内シング・アロング状態になる場合も。米国ロック界はいつもその手のバンドを必要としているよナ。前半部で歌い方がボブ・ディランみたいだなと思わせる曲をやったが、それはディラン初期曲のカヴァーであったよう。そのセルフ・タイトル盤に収められていた曲はほとんど披露し、他の数曲は次のアルバムに入るのか。実は、デビュー作は2012年の録音。次のアルバムはどんな広がりを見せるのか、楽しみだ。

▶過去の、ザ・バンドのハドソン
http://43142.diarynote.jp/201308110826574632/
▶過去の、マムフォーズ
http://43142.diarynote.jp/201308021400578638/

<今日は、大雪>
 前日夜があまり寒くなく穏やかだったため、天気予報が外れるナと思っていたら、まさに過去最大級の降雪というのも、嘘ではなかったか。しかし、土曜日であったのは不幸中の幸いであったのだろうな。大学入学試験日に重なった人は、シャレにならなかったろうけど。翌日の選挙は、、、、。
 しかし、すんごい日だったなあ。起きたらけっこう積もっていて、終日降雪。取材仕事もあったので、午後一から夜にかけて外に出ていたが、でなきゃずっと家にいたかも。が、外出したらしたなりに、やっぱり楽しかった。だいぶ前になぜか買ったすんごくヘヴィ・デューティな雪用ブーツを皆ほめてくれて、それも木に登りたがるぼくはうれしかった。1/4メートルは雪が積もっていたと思うけど、雪道ごんごん歩いちゃったな。かなり湿度の低い雪だったのが印象的であるとともに、それゆえ溶けずに積もりやすかったと思われる。夕方ぐらいになると、かなり車の交通量は減っていた。深夜、スキーを少しする。たまには、こんな日もいいでしょう。

 東京オリンピックが持たれた1964年に結成、近く結成50周年になるという、ジャマイカン・ミュージック史において重要な位置を占めるスカの黄金グループの実演を、南青山・ブルーノート東京で見る。ファースト・ショウ。オリジナル・メンバーはアルト・サックスのレスター・スターリングだけなのかな。でも、若いメンバーをまとめる彼は進行役も務め、元気。いい感じだったな。

 ソロを回すアルトとテナーとトランペットとトロンボーンの4管、ドラムとベース、そしてギターとキーボードは白人。ギター奏者はドレッド・ロックスだったが、鍵盤奏者のほうは近くで見たら、ジャズ・マンと言われても納得しちゃうようなルックスだった。彼、オルガン音色のキーボードより、グランド・ピアノを弾く曲の方が多い。その際は、後打ちでコードを抑える感じ也。

 途中で、縁のシンガーらしいおばあちゃん歌手(ドリーン・シャファー)が出て来て歌う。別に上等ではないが、味あり。もっと、歌ってほしかった。そういえば、管奏者たちがときに出すガヤガヤ感がやはりいい感じで、そちらももっと出してェと思ってしまう。やっぱり、すちゃらかしてこその、スカだよな。そこから、妙なヤクザ性や洒脱の感覚もこぼれ出る。おなじみ「リンゴ追分」や「テイク5」のカヴァーもあり。スカはなんでも飲み込む、笑顔のビート表現であるということも再確認。

 その後は、六本木・ビルボードライブ東京で、ナイジェリア出身のファンキーさと哀愁を合わせて出せる個性的なシンガー/ギタリストであるキザイア・ジョーンズ(1999年9月29日、2009年6月1日)を見る。今回もベースとドラムがサポートする、トリオでのパフォーマンス。過去見たときの実演もすべてそうで、彼は<最小編成でやってこそ、自分は大きく立つ>という気持ちも持っているのかな。ただし、今回は一人でやる曲も2曲。過去、弾き語りを見せたことってあったっけ? また、1曲アコースティック・ギターを横においてドラマーと掛け合いをするようにボディを叩く曲もあった。

 5年ぶりとなる新作『キャプテン・ラギッド』(ジャケット・カヴァーは2003年作『ブラック・オルフェス』との連続性を意識している)を出して間もないライヴだが、演目はこれまでの歩みを括る感じで、過去曲もいろいろとやる。まあ、彼の場合、確固とした個性の裏返しでもあるのだが、表現ヴァリエーションはそれほど広くなく、曲もまた22年のアルバム・キャリアにおいて大きな傾向の変化はないのであるが。ただし、今回のベーシストとドラマーはこれまで見たなかで、一番強力な奏者を起用していると感じる。少しコーラスもとったベーシストは英国で活動する米国人で、英国人であるドラマーはジャズが得意で〜ここでの演奏はファンキーだったんだけどね〜過去ずっと故エイミー・ワインハウスのサポートをしていた人だそう。そんな2人のガツンと来るサポート音もあり、今回そうなのかと思えたのは、ジョーンズのヴォーカルにある繊細さ。けっこうファルセットも使う人なのだな。ギター・カッティングと歌のアトラクティヴな噛み合い/相乗の様にばかり耳を奪われて、あまりそういう方を意識したことはなかった。

 彼には20年ぶりに対面取材もしたが、あまり年をとったように見受けられず、身体もひきしまっていて、とても格好いい。それはライヴを見ても一目瞭然だが、側で見ると、いい意味でのおぼっちゃん的余裕も感じさせもする。彼は3年前から、レゴスに戻っている。

▶過去の、ジョーンズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 1999年9月29日
http://43142.diarynote.jp/200906071504504396/

<今日の、びっくり>
 個人ガレージ・セールで50セントにて買ったレコードのなかから、マーヴィン・ゲイの1964年10月発行のパスポートが出て来たという、驚愕の米国ニュース……。それをゲットした人はデトロイトのモータウン博物館の元関係者だそうだが、へえええという話ではあるナ。中古盤をよく求める人にとっては、どこか夢のある話でもあるか。DJユースでドーナツ盤収集に力を入れようかと思っている、このごろ……。

 有望若手が軒並み入ることで知られるテレンス・ブランチャード(2002年7月3日、2005年8月21日)のバンドを経て知名度を得た、在NYの俊英ピアニスト(2002年7月3日、2005年8月21日、2008年11月22日、2009年2月3日、2012年5月31日)のトリオ公演をまず見る。丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。何気に、客入りはまっとう。ぼくは常々注目したいと思っていたが、パークスって日本で人気あるの?

 パークス本人が皆に聞かれてもいいと思えるリーダー・アルバムはこれまで2作出ていて、2008年ブルーノート作と2013年ECM作。それ以前に5作品だか自主リリースしてもいるが、それは葬りたい内容と本人は感じている。というのはともかく、ブルーノート盤はギター付き同世代カルテットでの録音であり、ECM盤はソロ録音。で、今回はトリオで、ベン・ストリート(ジェシー・ハリスのワンス・ブルーやカート・ローゼンウィンケルのバンドにいた彼はパークスとお手合わせしてもおかしくない位置にいる御仁)と大御所ビリー・ハートという面々が同行。バンコクでも3人でギグをしているらしいが、これはアレレという顔ぶれではあるよな。

 パークスならでの美意識の発露を感じるのであれば、やはりコットンクラブで予定されている翌日(6日)のソロ公演に接した方がめちゃ“適”であるだろう。だけど、ぼくは1940年生まれのビリー・ハートの風体/演奏にもふれたかった。ソウルぽいものから純4ビート、はてはブっちゃけたほうまで、デカい存在感で彼はジャズ表現をいろいろ網羅してきている偉人。リーダー作もA&M、グラマヴィジョン、エンヤなどから10枚強リリース。そういえば、エスペランサ・スポルディング(2008年9月5日、2008年12月1日、2010年9月4日、2011年2月17日、2012年3月7日、2012年9月9日)もその近作『ラジオ・ミュージック・ソサエティ』(ヘッズ・アップ)でハートに部分たたいてもらっていて、取材したときに、それが実現したことを本当に喜んでいたっけ。

 で、そのハートの新作『All Our Reasons』(ECM)はピアノのイーサン・アイヴァーソン(2003年8月1、2日。2004年5月13日、2005年8月29日、2008年2月20日、2011年3月9日、2013年11月20日)、ベースのベン・ストリート、テナーのマーク・ターナというカルテットによる録音。その流れとかもあり、今回のトリオの顔ぶれが決まったと思われるが、やはりアーロンはハートのことを丁重に扱っていたな。なお、彼の演奏は今回触れぶんには、うれしかったし妙な存在感はあったけど、まあこんなものかという感じも。変な形のシンバルを並べたりとか、シンバル使いにはこだわりを持っているよう。

 そんな3人による演奏はもちろん、パークスのブルーノート盤ともECM盤ともまったく異なる。だって、両盤ともオリジナルでかためていたのに、この晩のセットはソニー・ロリンズとかキース・ジャレットとかジャズ巨人たちが作った曲を取り上げ、それをトリオ編成で開いて行ったもの。その様は、ジャズの積み重ねと改めて向き合う気持ちがパークスの中でわいて来ているのかと思わせるものであったか。いや、まじに、ぼくはそう感じてしまった。

 とはいえ、やはりパークスの両手のバランスは一筋縄では行かなく、耳馴染みであるはずの曲をやってもかなり自分化はされている。とともに、あっさり弾くようで、彼の指さばきは遅れるというか、かなりの溜めを持つ。それが、黒さやグルーヴィさに結びつかないあたりが彼の真骨頂であるとも思わせられ、何かと興味深かったな。アンコールは一人で、スタンダードの「酒とバラの日々」をかなり崩して披露した。用事できちゃって無理なのだが、ソロ公演にも触れたかったな。なお、パークスは来月頭に、カート・ローゼンウィンケル(2009年3月1日、2010年3月12日、2013年11月20日)のサポートでまたやってくる。って、そこそこ日本通の彼、このまま滞日したりして……。パークスはローゼンウィンクルの2012年作で弾いている。

 そして、六本木・STB139に行って、『ダブル・レインボウ』というデュオ・アルバムを出したギタリストの小沼ようすけ(2004年11月30日、2010年10月12日、2011年3月28日、2011年3月31日、2011年7月25日、2013年7月1日)とピアニストの宮本貴奈(2012年6月19日)の公演を見る。会場入りしたときは、1部最後の曲で、シンガーのギラ・ジルカと歌とフリューゲルホーンのTOKU (2000年2月25日、2001年9月6日、2004年3月10日、2006年2月16日、2008年8月19日、2011年3月16日、2012年6月19日、2013年9月22日)も加わっていた。そして、休憩を挟んでの2部は90分以上やったんじゃなかったか。

 あまりピアノと生ギター(小沼はガット・ギターを中心に弾く)というデュオの編成のジャズの出し物が多くない(よな?)ように、過剰にジャズ文脈に寄りかかることなく、ジャズを拠り所とする両者の歌心を相乗とともに滑らかに出そうとする公演であったと言えるか。オリジナルにしてもジャズ曲カヴァーにしても、2人がお手合わせしたからこその、優しい誘いがあったはず。

 そして、途中からTOKUが、最後にはジルカがまた加わるが、本当に彼らは仲がいいのだな。密な信頼ありきのなかから、機智に富んだやりとりが気安くもいろいろと溢れる様はなかなか楽しい。音楽が生む仲間や場の重要性を再認識させられたりもしました。ただ、皆の話は長すぎ。彼らの出会いや関係性を伝えるところもあって有益な部分もあるし、喜ぶ人が多いのでそうしているのだろうけど、ぼくにはやはり余分すぎる。

▶過去の、パークス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 2002年7月3日
http://43142.diarynote.jp/?day=20050821
http://43142.diarynote.jp/200811241224271906/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090203
http://43142.diarynote.jp/?day=20120531
▶過去の、エスペランサ
http://43142.diarynote.jp/200809071430380000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20081201
http://43142.diarynote.jp/?day=20100904
http://43142.diarynote.jp/201102190814495504/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120307
http://43142.diarynote.jp/201209191229057579/
▶過去の、アイヴァーソン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 2003年8月1、2日
http://43142.diarynote.jp/200405101355540000/
http://43142.diarynote.jp/200509011126570000/
http://43142.diarynote.jp/200802212249200000/
http://43142.diarynote.jp/201103171347055826/
http://43142.diarynote.jp/201311230757159421/
▶過去の、カート
http://43142.diarynote.jp/200903031751323247/
http://43142.diarynote.jp/201003131221091991/
http://43142.diarynote.jp/201311230757159421/
▶過去の、小沼
http://43142.diarynote.jp/200412111738540000/
http://43142.diarynote.jp/201010191156412288/
http://43142.diarynote.jp/201104041100266528/
http://43142.diarynote.jp/201104041101072561/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110725
http://43142.diarynote.jp/?day=20130701
▶過去の、宮本
http://43142.diarynote.jp/201206210944302024/
▶過去の、TOKU
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 2000年2月25日、2001年9月6日
http://43142.diarynote.jp/200403101442170000/
http://43142.diarynote.jp/200602171950040000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20080819
http://43142.diarynote.jp/201103171354125352/
http://43142.diarynote.jp/201206210944302024/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130922

<今日の、不吉>
 マックブック・プロのファンがすぐに回るようになってしまった。なんか、変な負荷がかかるようになってしまったか。過去の経験上、トラブルが起きる兆候のような。一回、リセットしなおしたほうがいいかもしれぬが、目先のやることにかまけてしまい、メンドくせ〜となってしまう……。税理事務所に送る領収書もそろそろまとめなきゃいけないしな。←手間のかかることではないのに、こういう事務仕事に感じるストレスと言ったなら。ところで、昨日からとっても寒い。これで風があったら、もう限界ギリギリという感じ。今日はライヴを2つハシゴしたあと、軽く流れようとしたが、あまりの寒さに帰りに遭難しちゃイカンと自粛。そして、大江戸線六本木駅のホームに降りたら鳥の擬音みたいなのが効果音として流されていて、生理的に悲しくなる。やめたほうがいいのでは。それとも六本木駅は荒れるので、少しでも利用者の心に平静をひきだすめにそれが効果的となっている? 土曜までは寒波が入り込む日々で、土曜はけっこう降雪があるとも予報されている。やだな、土曜に取材が入っているんだよなー。

ハンツヴィル

2014年2月3日 音楽
 ハンツヴィルはノルウェーの即興インストゥルメンタル3人組。今回の来日パフォーマンスはアキ・カウリスマキの1999年サイレント映画「白い花びら」に音楽をつける(ぼくは未見のその作品には、アンシ・ティカンマキという人が音楽担当者としてクレジットされているよう。彼らは別に、自在に音楽を映像に合わせてつけたと思われる)ものと単独演奏公演の二本立てで行われたようで、このツアー最終日は単独パフォーマンスによる。

 代官山・山羊に、聞く?。ギターと電気ベースとドラムの中年3人組。弦楽器陣はエフェクターも随時使い、ドラマーは通常のドラム・セットを並べるわけではなく、変則的な音の出し方をする。なんか頭髪が薄くずんぐりむっくりのベーシスト(普通に、フェンダー系4弦のベースを弾いていて、古いタイプ〜それは悪い事ではない〜と思わせる)はそんな激しさやビートがあること(パルスの感覚はあります)をやっているわけではないのに、ずっと立って演奏。なんか、その佇まいにひかれる。

 事前にできているモチーフを繰り出すところもあるのだろうが、出たとこ勝負の、延々のフリー・インプロヴィゼーション。全部で、1時間ちょいだったか。過剰に静謐ではなく、かといって明晰な具体性を抱えるわけでもなく。と書くと、曖昧な感じに取る方もいるかもしれないが、阿吽の呼吸のもと、(手あかにまみれた表現になるが)このトライアングルならではの風景を思うまま描いていた。そして、その様は音や音楽や協調に対する概念は一つではない、とも感じさせるものだった。

<今日の、気温>
 早朝、寒さで目が覚める。なんと羽布団をのけてしまい、毛布のみをかけて寝ていた。おお、深夜の気温が低くなかったのだろうな。そしたら、昼間もポカポカ。日が落ちてもそれほど気温は下がらず、普段よりも少し薄目のコートを着て、外に出てもなんら寒さを感じない。うれしくなって、代官山まで20分強歩くが、身体は冷えず。3月中旬ぐらいの温度はあったのかなー。で、ライヴ会場でワイン1本、渋谷に流れてまた1本、そしてそれだけでは足らずヘヴィ・スピリッツをロックで数杯。気候がいいと、飲欲は高まるのか。でも、スカンジナヴィア圏の冬期は暗くて寒くて、飲んだくれることしかない〜ゆえに酔いもまわり妄想がもわもわ高まる、と言う当地のミュージシャンもいたよなー。昼間に電話で話した相手は明日からすごく寒くなりますよと言っていたが、翌日に雪がちらつくなど、それは本当だった。いろいろ日々の気候や気温を気にするようになっていることには、一抹の老いを感じるマス。

 純ジャズ界デビューを経て、今はポップ・フィールドで活動するシンガー/ピアニスト(2004年1月28日、2006年6月13日)の東京公演は、なんと渋谷・オーチャードホールで3日間。その中日を見る。

 出演者全員でフロア・タムを叩くなか、少し語りっぽい歌をかましていくカラムは堂々。おお、素敵な始まり方ではないか。

 半数はピアノを弾かずマイクを手に歌う彼に加え、電気とウッド両刀のベーシスト、ドラマー、ギター/トランペット/打楽器兼任奏者、テナー・サックス/キーボード/打楽器兼任奏者。皆、コーラスも取る。いいバンドだな。そんな彼らのサポートのもと、カラムは伸び伸び、やりやりたいほうだい。動きほうだい。いまだピアノに立ち、ジャンプして床に降りるなんてこともやっているのか。ぜんぜん、年取っている印象はないよなー。

 で、いろいろな曲趣や見せ方を持つものを、ナンデモアリの僕の世界という感じで開くのだが、その以前から変わらぬ見せ方に接し、その様はジャズ系エンターテイナーのライヴ流儀そのものなんだよなーと思う。ときに、二管を擁するジャズ・コンボ演奏になる場面もあった(皆、ちゃんとジャズを通っている奏者ですね)が、カラムはどんなに弾けようと、ポップに振る舞おうと、根にあるジャズ的な何かを愛で、その奥であたためているのは明白。逆に言うと、ジャズ的素養を通っても、尖ってはいないが、ちゃんと活きたポップ・ミュージックの輝きを彼の表現は持っている。彼の2013年作はヒップホップ畑のダン“ジ・オートメイター”ナカムラさんですね。同作で一番変てこな仕上がりの曲は、スタンダードの「ラヴ・フォー・セール」だったが、それも悠然と披露。とかなんとか、接していて、これは巧みな、ジャズ活用ポップ表現だと頷いた。

 バンドの面々が皆30代半ばふうで、カラムと同年代か。ベース奏者はまだ20代だろうな。で、かように同世代で固めているところがまたいいと思えた。そんな彼らがジャズと大衆的なポップスを自在に行き来している様がなんとも頼もしく思えてくるから。でもって、シナトラやベネットら大御所が昔いた位置を、このカラムは年齢相応のノリでちゃんと謳歌していると、思えた。

 一部ピアノ弾き語りなども披露したが、何をやろうとカラム印。改めて、小さな体格に似合わぬ野太い歌声は存在感るナと痛感させられた。


▶過去の、カラム
http://43142.diarynote.jp/200402051857060000/
http://43142.diarynote.jp/200606182131580000/

<今日の、危惧>
 この日は、ロス・ロンリー・ボーイズ(2004年9月17日、2012年2月7日)公演もあり。どちらに行こうか、当日まで迷っていた。前回見たのが2年ぶりと8年ぶり、という事実を天秤にかけて後者に決めた、という感じか。雨が降っていたので、家から近い会場にした、とは言うまい。ともあれ、オーチャードホールでの席が中央気味のすごい前であわわ。普段ブルーノートとかで見るより近いよ〜と、気後れ。シラフだと、なんか落ちつかね〜。だが、カラムが出て来て、すぐに多くが立ち上がる。ありゃー、ちゃんとしたホールでやる意味、ないじゃん。で、すぐに、床がぐらぐら揺れる。なんじゃあ、こりゃ。恐怖心を感じる。この会場はクラシック用途ホールだから、余計観客の身体の揺らし方に留意していないのかもしれないが、でもカラムの実演はそれほどビートは強くないわけで、これがもっとダンサブルな出演者だったら、この会場の揺れは一体どうなってしまうのダと一瞬マジで考えた。それから、いろいろ粗雑な使われ方をするピアノはカラム側の持ち込みか、レンタルか。普通はレンタルだろうが、だったら業者は真っ青だよなー、とか、そんな余計なことも考えた。

 1970年代アタマからロックを聞いてきているぼくにとって、ちょうどそのころ世に出たスコットランド出身の米国ファンク/ソウル憧憬白人バンドであるアヴェレイジ・ホワイト・バンド(2007年11月26日)は、変形のファンキー・ロック・バンドとして耳にしていたように思う。少なくても、1977年の2枚組ライヴ盤あたりまではそれなりに彼らのことを聞いていた。ものぐさなぼくはテーンテーブルにのせた盤を頻繁に代えるのがイヤで、当初からレコードはLP中心であまりシングルを購買してはいなかったが、彼らの「カット・ザ・ケイク」はシングルで持っていて、滅法聞いたよなあ。一緒にギターを持っても、あのリフはちゃんとできなかった。彼らの最新作はNYでのライヴ盤だが「ピック・アップ・ザ・ピーセス」は入っておらず、今回は聞けないかもとか思っていたら、ちゃんとやってくれて超うれしかった。

 1970年中期に米国マーケットでもっとも成功した、スコティッシュのバンド。その見事な黒人音楽咀嚼の様は元祖アシッド・ジャズ/UKジャジー・ソウル・バンドとすることもできるだろうか。英MCA発1973年デビュー作(ザ・クルセイダーズの「プット・イット・ホエア・ユー・ウォント・イット」に歌詞を付けてカヴァーしたものも収録)以後、アリフ・マーディン(アトランティック・ソウルの裏方〜ようは、ジェリー・ウィスクラーやトム・ダウドの舎弟でしたね〜を経て、大プロデューサーとなる。チャカ・カーン、スクリッティ・ポリッテイ、ノラ・ジョーンズ他)に見初められて米アトランティック入りし(最初に彼らを熱烈応援したのは、ボニー・ブラムレットであったという)、米国で馬鹿受け、彼らはマーディンの初期名声を高めた最たる存在であるはずだ。蛇足だが、アヴェレイジ・ホワイト・バンドは長年米国拠点で活動していると思う。

 1980年代初頭に一度解散したものの、1990年代を回って再結成。現在はアラン・ゴリー(ヴォーカル、ベース、ギター)とオニー・マッキンタイア(ギター)という、2人のオリジナル・メンバーを擁する形で活動していて、テナー・サックスと鍵盤を担当するフレッド・ヴィグダーと著名セッション・ドラマーのロッキー・ブライアント(2001年4月24日、2003年 9月16日)は前回時も同行。そして、今回はキーボードやフレットレス・ベースを弾くロバート・エアリーズとシンガーのブレント・カーターがつく。おお、そのカーターは1990年代中期から2000年代初頭にかけて、タワー・オブ・パワー(1999年11月4日、2002年8月11日、2004年1月19日2008年5月18日、2008年5月19日、2010年5月11日、2011年3月10日)に在籍していた人ではないか。

 カーターはなるほど、癖はないながら、よく歌える。そんな人を擁したことで、けっこう彼がリード・ヴォーカル取るのではと思ったら、それはなし。「アイ・ウォント・ユー」とかリオン・ウェア絡み曲は彼が悠々と歌ったりはしたが、曲の半分以上はゴーリーが歌い、カーターがコーラス部を取っていた。しかし、ベースやギターを巧みに弾き、ソウルフルな声ではないながら高めの地声とフェルセットを巧みに併用して歌うゴーリーはなかなかの才人ではあるなー。前にも本欄で書いたことがあるけど、アヴェレイジ・ホワイト・バンド解散期にダリル・ホール(2005年3月21日、2011年2月28日)がソロ作(1993年『ソウル・アローン』)制作の重要側近者として彼に声をかけたのもよく分る。一方、今ピンで活動している元同僚のヘイミッシュ・スチュアート(2006年3月8日)はポール・マッカートニーの作曲共作者を務めたことがありましたね。蛇足だが、ホール&オーツのデビューはアトランティックからで、やはりアリフ・マーディンが担当した。契約はホール&オーツのほうが1年早い。

 ギターやベースといった弦楽器の絡みやメロディを強調するサックスの使い方が決め手のファンキー・バンドであり、何気にグっと来るメロディをそこに付けるのにも長けていた担い手であることを、再確認。新たな血も導入して実演上において衰えもないし、フツーに接してウキウキとなれる。離れた席に座っていた普段はクールな英国人知人も立ち上がりギンギンに身体を揺らしているのを見て、ぼく以上に彼はアヴェレイジ・ホワイト・バンドに夢中だったんだろうなと思った。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。

▶過去の、AWB
http://43142.diarynote.jp/200711290931440000/
▶過去の、ブライアント
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm
2001年4月24日、2003年 9月16日
▶過去の、TOP
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm1999年11月4日、2002年8月11日
http://43142.diarynote.jp/200401190000000000/
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▶過去の、スチュアート
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▶過去のホール
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<今日の、むーん>
 表参道駅からブルーノート東京に行く道(昔は、骨董通り、と言ったんだっけ?)の途中、今いつも人が並んでいる一角がある。なんちゃらベイキングという名前のカフェのような店(内装は低予算であるように、外からは見える)の横。ウィークエンドにしろ平日にしろ、寒々しいなか、人々がぞろり。せっかちでわがままでもあるぼくは待つのが超苦手。ましてや、気持ちいい気候じゃないなか、外に立って待つなんていうのは言語道断の行為。NYから出店した話題のお店のようだが、皆さん正気? とか、思ってしまう。ああ、価値観って、本当にいろいろですね。そんなぼくは自分がやられてイヤなことは、他人にもすまいといちおう心がける。やはり、どこかまっとうじゃないところもあると、自分のことを思うので。だから、待たされるのが大嫌いなぼくは、ちゃんと時間を守る。仕事についてはもちろん、遊びの約束においても、少し早めにつく。で、万が一、相手がおくれたりすると、いい大人なんで外には出すまいとは思うんだが、ムっとしてしまう。このけんについては、なんとか、ならんだろーなー。
 この日は会場をかえて、丸の内・コットンクラブ(セカンド・ショウ)。来日公演の、最終日。このNYサルサの重鎮率いる充実バンドを先週土曜日(1月24日)に見て、とってもうれしくなっちゃったので、また行っちゃった。

 この日は、シンガーの二分の一であるエモ・ルチアーノも、かしこまった格好をせずにキラキラしたシャツを最初から着用。1曲目が終わると、ハーロウをはじめ7人がジャケットを脱ぐ。その後、全員がジャケットを脱いでいた。というところに表れているように、よりこなれた雰囲気で流れたショウであったと言えるはず。エレクトリック・ピアノ(カーツウェル)をはじめとする楽器音は先に見たときより音質が良く聞こえ、看板打楽器奏者のニッキー・マレロもより元気そうに見えた。演目はけっこう変わっていたかな。やはり、皆さん、とんでもない実力者たちであるのは痛感しまくり。

 途中で、日本人の鍵盤奏者、フルート奏者(赤城リエ)、コンガ奏者らがステージに招きいれられ、ソロをとる。それ、楽屋に挨拶に行ったりすると、鷹揚に誘われるみたいね。そういえば、ぼくが初日に行ったブルーノート東京の2、3日目はタモリが出て来て、コンガを叩いたりもしたそう。そういうファミリアな敷居の低さは、ニューオーリンズ音楽界にあるおおらかなシェア感覚を思い出させもする? というか、横にいる人間とのコミュニケーションとして世の音楽は成り立ってきたということをそれは示唆する。

 確固とした音楽様式と熟達演奏者が導く文化と娯楽が山ほど。それが、ぼくを感激させるのだと思う。最後、アンコールを求める声に答え、ドラマーのボビー・サナブリアが一人叩き語りを披露した。送り手も受け手も、皆幸せそう。そんなに間あかずにまたやってきても、なんの不思議もないな。

<今日の、ワタクシ>
 会場で会った人と、早くも花見の話になる。今年も開花の時期は早いのか? 今春も楽しい花見ができるいいなあ。と、書きつつ、寒さにはそれなりに辟易もしているくせに、まだ春はきてほしくない気分。まだまだ、冬の間に楽しいことしなきゃ、そんな早く月日が流れちゃヤ、と思う。あー、強欲なぼく。。。

 ステージに続々出て来た面々、すらっと演奏を始めたら、おりゃ〜出音がデカい。で、張りあり、濃密。それだけで、積み上げてきているものの大きさやここに集まってきている奏者の腕の立ち方を瞬時に思い知らせるよなー。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。

 NYサルサの代名詞的ピアニスト(1939年生まれ)であり、1960年代後期から70年代半ばにかけてサルサ・シーンを牽引したファニア・レコード/ファニア・オール・スターズの立役者が中心となった、13人編成のラテン・オーケストラの公演。電気ピアノを弾く本人に加え、ティンバレスの名士ニッキー・マレーロを始めとするパーカッショニストやドラマーが4人、管も4人(うち、トロンボーン奏者はヴァイオリンも弾く)、ベース、そしてヴォーカルが2人という内訳なり。

 ハーロウをはじめ、皆ばしっとスーツ/ネクタイ着用。ただし、前方向かって右に位置するニッキー・マレーロだけはキンキラキンのシャツを着て、特別扱いという感じ。愛想たっぷりのヤンキーがそのまま大きくなったという感じの彼は途中からその勝負シャツも脱いでしまい、只の白シャツ姿。その演奏自体は、あまり聞こえず、遠回りにパワーや瞬発力が衰えていることを伺わせるものではあったが、ソコニイテイイモノ、アルトウレシイモノ、であったのは間違いない。

 じいさん、おっさんぞろいの奏者たちと比して、シンガーの男性2人はまだ中年未満でイケ面で格好よい。やはり、そうじゃなきゃと、と頷く。サルサもまたハレの場の社交/ダンスのための音楽であり、フロント・マンは着飾ってやってきた女性を湧かせてナンボ、なんだよなあ。その2人の男性歌手は客にいろいろ働きかけ、簡単な唱和を要求したり、客席をまわったり。

 ハーロウは特別目新しいことをやる訳ではないが、しっかりとピアノで全体設定。オフ・マイクだがけっこう歌いながらピアノを弾いているのもいいし、ときにフィーチャーされるソロはエレヴェイターが急上昇〜急降下するようなお馴染みの指さばき。ウフフとなれますね。ブルックリン生まれのハーロウは顔つきに表れているように、ユダヤ系で非ラティーノ。だが、流れてくるラテン・ミュージックに夢中になり、キューバ詣でなどを経て、その中枢に出張るようになった人物。キューバン・ラテンとNYの都市環境が重なった先にあるNYサルサ表現の最たる司令塔がまた別の属性を持つ人物であるという図式は、なんとなく分るものでもあるか。やっぱり、純ななかから生まれるものはそれで尊く重みも持つが、その一方、純じゃないからこその、おいしい発展やオーセンティック性の掘り下げもあるのだ。

 そして、渋谷・Li-poで、スウィンギン・バッパーズ(2007年7月22日)のアルト・サックス奏者を務める渡辺康蔵とアコーディオン奏者の堀込美穂(普段はロック・バンドでギターを弾いているんだって)のデュオ・ユニットであるフリーちんどん のギグのファースト・ショウを見る。そのグループ名のあとに“(フリー・ジャズ+昭和歌謡)”と記してもいて、大雑把に書けば、アコーディオンがかなでる昭和歌謡の調べにのって、渡辺がときにフリーキーなフレイズも出しつつメロディアスにアルトを吹く……。あまり、ちんどんの要素は入っていないが、2人は武蔵野ちんどん同好会に入っていると言っていたかな。小難しくならず、場をもりあげましょうという小粋なライヴ感覚は、そうした流れの味もあることと思う。ここで一部、渡辺はのほほんとヴォーカルもとる。彼の方だけ、譜面台を前においていたが、それはいけませんね。音楽の日常性や自然発生感覚と譜面台の設置は相反するものだ。

 「早春賦」もやったが、それ、アルバート・アイラーの「ゴースト」と似ているんだな。同じく、アイラーも取り上げていた「家路」も披露し、オーネット・コールマンの「テーマ・フロム・ア・シンフォニー(ダンシング・イン・ユア・ヘッド)」と日本の曲をマッシュ・アップしたものもやっていた。

▶過去の、バッパーズ
http://43142.diarynote.jp/?day=20070722

<今日の、初めて>
 自分の誕生日が、著名ミュージシャンのそれとが同じだったりするとうれCという感覚は多くの人にあるに違いない。残念ながら、ぼくの誕生日と重なる海外のめぼしいミュージシャンはたぶんいないのだが、(日本だと、直枝 政広や青山陽一、曽我部 恵一らは同じ)、そんななか、ファニア・オールスターズの有名なチータにおける1971年ライヴ録音日(そのショウをソースとする映画『アワ・ラテン・シング』の収録日という言い方もできる)がぼくの誕生日と同じで、それはひそかな自慢となっている。それ以外だと、ジミ・ヘンドリックスのザ・エレクトリック・レディランド・スタジオのお披露目パーティの日やジル・スコットのライヴ盤収録日(そちらは、その日付がタイトルにも冠される)も同じだ。
 ともあれ、ハーロウさんのおいしい音が渦巻き重なるライヴには、今年これまで見たなかではベスト1だなという心持ちを得る。で、そのためか、その後、フットワーク軽く、いくつもの店をハシゴ。最後は新宿のほうに流れて、朝にお店を代えるとき、初めて花園神社の境内をとおる。うわー、この景色、写真で見たことあるよ〜、みたいな。かなり、うれし。とかいう話で、いかにぼくは通常新宿(中央線沿線も同様)で飲まないかというのが分ろうというもの。その後は、ゴールデン街にあるお店(7軒目でした)に連れていかれたわけだが、そこには後から、中原昌也(2005年4月26日)さんがやってきた。ぼくがゴールデン街で飲むなんて20年ぐらいぶりぐらい……。と、思ったら、一昨年に一度行っているよなー。あ〜、人間の記憶なんて〜。
 スウェーデン生まれの女性シンガー・ソングライター(2010年11月29日)の公演は、長い付き合いというスウェーデン人女性キーボード奏者(ジョセフィン・リンズランド。彼女はあたま、ヒラサワが出てくる前に鍵盤弾き語りを聞かせた)、日本人のリズム・セクション(松井敬治と あらきゆうこ〜2009年1月21日〜)を伴ってのもの。六本木・ビルボードライブ東京、セカンド・ショウ。

 ピアノ弾き語りが基本の人だろうけど、ギターを持ちながら歌う曲もいくつか。なんにせよ、印象的なメロディを作れて、それを心地よい声で歌える人物という印象を新たにする。2010年〜2011年は日本に住んでいたそう(震災は、仙台から東京に引っ越したばかりのときの出来事であったよう)で、日本語MCが少しうまくなり、披露する日本語歌詞の曲も増えていた。本編最後の曲は、JR九州のTV-CF曲に用いられておおいに話題を呼んだ「ブーン!」。やはり、いい曲ですね。とともに、ジャズ・ビッグ・バンドのドラム(タム)のパターンやゴスペル的抑揚をうまく取り込んだ、とても技アリの曲。オーディエンス、本当にみんな幸せそうだった。

▶過去の、ヒラサワ
http://43142.diarynote.jp/201012051853133733/
▶過去の、あらき
http://43142.diarynote.jp/?day=20090121

<今日の、吊り広告>
 ぼくが乗った東急の車両内が、全面桜の広告。車両左右の天井両側のそれは桜の絵だけで、コピーはなし。で、つり下げのほうの広告には<河津桜を見に行こう>というコピーが載せられている。けっこう、贅沢な広告ね。でも、河津って、どこ? 東急が出している広告なので、伊豆のほうか? 伊豆急行って東京急行電鉄の傘下にあるから。はるか昔になるけど、そういえば、ゼミの卒業旅行は伊豆のどこかにある東急ホテルに泊まったよなー。無理だろうけど、渋谷から伊豆まで1本で行けるのだったら、伊豆に桜見に行ってもいいか。もー、行きも帰りも飲みまくりで、楽しそうだなー。望、東急版ロマンスカー。

 まず、丸の内・コットンクラブで、イスラエル人ジャズ・ベーシスト、アヴィシャイ・コーエン(2006年5月17日)のトリオ公演。かつては米国で活動していたが、今は本国に戻っており、米国時代からだしていたイスラエル味はより自然体で出していると言えるか。僕のニュー・トリオとMC で紹介していたが、サイド・マンもテルアヴィヴで活動するミュージシャンだろう。ピアノのニタイ・ハシュコヴィッツはコーエンの近2作に関与している奏者だ。

 実は、今回のライヴはどうなるのかと思っていた。というのも、新作『アルマー』はクラシック素養も出した抑制美を持つ弦群やオーボエ/イングリッシュ・ホルンも用いたルバム(編曲はコーエン自身)であり、その前作『デュエンデ~聖霊』は耽美的という言葉も用いたくなるデュオ作品で、分りやすいインプロ濃度はともに低められる傾向にあったから。また、歌がいろいろ入ったその前々作『セヴン・シーズ』はジャズ的な広がりも持つフォーク・アルバムという趣もあったからなー。……と、思っていたら、今回の実演も前回公演と同様と言えるノリ、ようはジャズ・ピアノ・トリオ流儀とイスラエル的なメロディ感覚/情緒を巧みに交錯させる方向で進む。ピアニストに関しては、ぼくは前回同行者のほうが奥行きを持っているようで好き、かな。近年コーエンはアルバムで歌も披露しているが、こんかい歌うことはなかったし、ウッド・ベースに専念しステージ上に置いていたエレクトリック・ベース(『アルマー』で少し弾いている)を触ることはなかった。

 ストーリー性とある種のペーソスに満ちた、ジャズ・ピアノ表現の数々。アンコールでは皆も知っている曲もやるよと、「ベサメ・ムーチョ」を演奏。ただし、5/4拍子にて披露する。ドラマーのダニエル・ドールは初めて聞く名前の御仁だが、ダイナミクスと音色にかなり敏感な好プレイヤー。蛇足だが、コーエンはけっこう怖そうな顔をしている。E.S.T. (2003年6月17日、2007年1月13日)の故エスビョルン・スヴェンソンにも、似ているか。人によっては、レヴェル42のマーク・キングを思い出すかもしれない。

 その後は、飯田橋・日仏学院“ラ・ブレッセリー”で、フランス人ラッパー/シンガーのフェフェを見る。ユーチューブにアップしてある野外ライヴ映像(ブルゴーニュ地方のフェスの模様らしい)を見ると、フジ・ロックのグリーン・ステージみたいなバカでかい会場で熱烈支持を受けている様(と、パーフォマンスの訴求力の大きさ)が確認できびっくりさせられるが、ほんとフランス人ミュージシャンの場合、本国と日本の人気の差があまりにあるよな。

 パリ近郊生まれだが、両親はナイジェリア出身。フェラ・クティ家系にせよ、キザイア・ジョーンズ(1999年9月29日、2009年6月1日)にせよ、鋼のような体躯を持っているが、彼も贅肉なく、長身。そして、いかにもナイス・ガイ。やっぱり、フェラやキザイアは大好きだそう。1976年生まれの彼は複数のラップ・チームの集合体であったサイアン・スーパー・クルー(3枚、アルバムをリリース)を経て、ソロとして独立。仏ポリドールから2009年と2013年と2枚のリーダー作をして、ともにヒップホップ・ビヨンドの名プロデューサーであるダン・ジ・オートメイターが関与。ギャラクティック、リトル・バーリー、プライマル・スクリーム、ゴリラズ、カサビアン、ジェイミー・カラム他を手がける彼とはレコード会社の紹介のもとパリで会って意気投合、特に2作目のほうは一ヶ月もダン・ナカムラが居住するサンフランシスコに滞在してレコーディングしている。

 生音サウンドをちゃんと用いる彼の表現はまさにヒップホップと歌付きの覇気ありのビート・ポップを自在に行き来するもの。レゲエも栄養とするそれを聞いて、マヌ・チャオ(2002年7月26日、2010年10月4日)を想起する人がいえるかもしれないし、完全歌もの曲の場合はテテ(2005年3月18日、2007年9月24日、2011年10月10日、2013年11月21日)を思い出させるものもある。あ、2作目の最後は生ギター弾き語り曲だが、それは彼にとっての「リデンプション・ソング」(ボブ・マーリー)なるものだったりして?

 そんな彼の初来日公演は、オーストラリア楽旅をへてのもの。彼の実演はバンドを伴ってなされるが、規模の小さな東京公演は、DJを伴っての簡素版でなされる。残念といえば残念だが、それでもありあまるパワーと心意気を感じ、ワーイとなる。驚いたのは、わずかの滞日の間にいろんな日本語の単語を覚えて、それを見事に駆使し、観客に働きかけていたこと。客を左右に移動させたり、ジャンプさせたり、ちゃんとストーリーのあるコール&レスポンスや唱和を実現させたり。そこらあたり、滅茶すごい。で、彼はギターを持って歌ったりもする。あ、今日のショウに触れた限りは、ラップよりも歌比率のほうが高いな。どちらにせよ、きっちり豊かな喉力を持つことを無理なく伝えるもので、何をやろうと、彼の肉声に触れられるだけでうれしいと思わされる。素敵なタレントと、ぼくは彼のことを推す。

 フェフェは英語も話せるが歌詞はすべてフランス語で、子供のころから米国の音楽に浸ってきたものの、英語で音楽をすることには興味がないという。いろいろ聞き手に働きかけた彼だが、歌詞の内容には一切触れなかった。それを超える、もっと重要なものが音楽には山ほどあると言わんばかりに。なんか、そういうところも、ぼくの好みではあるよなー。


▶過去の、コーエン
http://43142.diarynote.jp/200605190943240000/
▶過去の、ジョーンズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 1999年9月29日
http://43142.diarynote.jp/200906071504504396/
▶過去の、チャオ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 2002年7月26日
http://43142.diarynote.jp/201010110929417794/
▶過去の、テテ
http://43142.diarynote.jp/200503240455360000/‎ 
http://43142.diarynote.jp/200709261218590000/
http://43142.diarynote.jp/201110141216048509/
http://43142.diarynote.jp/201311230758271244/

<今日の、フェフェ>
 文中に少し情報を織り込んだが、昼間フェフェには取材。いい奴ですよ〜。アニメも好きで、日本に来るのは念願であったよう。パリより東京は寒いと言っていたが、真夏の豪州から来たら余計にそう感じるだろう。彼は世界中のアーティストが関与した南アW杯のコカコーラ宣伝ソング(ケイナーンの「ウェイヴィング・フラッグ」)のフランス語版をまかされた(日本盤はAIがやっていますね)が、コカコーラ絡みだったので断ろうと思ったけど、お母さんにやりなさいと言われて、引き受けたとか。リーダー作の1枚目と2枚目の間が4年もあいているのは、子供の成長に触れたかったからで、今は少し大きくなったから、次作は今年中に録音するそう。あと、エッチは大好きなようだ。日仏学院のライヴは4日間、金曜日まで。

 ステージ上には、初っぱなから3人の奏者があがった。ベーシストのロン・カーター(2001年6月7日、2004年1月14日、2010年5月6日、2011年1月30日、2012年3月3日、2012年12月11日)を二等辺三角形の頂点に置くように、ラリー・コリエル(2013年3月8日)とピーター・バーンスタインという2人のギタリストが左右に座る。なるほど、そう来たか。ギタリスト2人は別々に出て来て、それぞれデュオ演奏をするとぼくは思っていから……。3人はスーツ姿で、ネクタイ着用。カーターはいつでもそうかもしれないが、コリエルは普段着だった前回来日時と比すとかなり違って見える。先がヒッピーあがりのスーダラじじいという風情だったのに対し、今回は老大学教授ふう。馬子にも衣装?

 本来『アローン・トゥゲザー』(マイルストーン、1972年)というデュオ名盤を持ち合うギタリストのジム・ホール(1930年12月3日NY州バッファロー生まれ、2013年12月10日NYCで逝去。2005年1月18日、2012年6月4日)とロン・カーター(2001年6月7日、2004年1月14日、2010年5月6日、2011年1月30日、2012年3月3日、2012年12月11日)のデュオ公演が本来組まれていたが、昨年12月のホールの逝去を受けてトリビュート公演に変更となっての出し物。だが、よく考えてみれば、ジャズ・ギターの決定的な魅力を体現したホールのギター演奏はまぎれもなくホールだけのものであり、他の誰がカーターとのデュオ相手役をやっても荷が重いものだろう。だったら、持ち味の異なるギタリスト二人掛かりでホール敬愛の情をだしたほうが、理にかなっているというものだ。その2人は、カーターが声をかけている。

 演目は『アローン・トゥゲザー』収録曲やホールが取り上げていたスタンダードなど。また、中盤にはバーンスタインとコリエルのソロ演奏曲も1曲差し込まれる。バーンスタインはホールから教えを受けていたことを如実に語る明晰な演奏であり、コリエルはアコースティック(フォーク)・ギターに持ち替え、透明感に溢れた調べを披露する。1960年代にジャズ・ロック調演奏で注視されたコリエルであり、今もその流れを汲むライヴ盤を出していたりもするが、今回の彼は3人で演奏するときもフル・アコースティックのギターを持ってしみじみと演奏した。

 すっくっと立つカーターは相変わらず格好いい。曲によって臨機応変、ソロはとったり、とらなかったりしたが、ちゃんと自らが土台を抑えた三位一体パフォーマンスであるのは、随所から伝わる。曲目も、1曲づつのギタリストたちのソロ・パフォーマンスを除いては、彼が決めたようだ。そうした1時間強の出し物に接して印象に残ったのは、重なりの妙を意識し、抑制の美がとられていたこと。手癖で突っ走ろうとすれば、いくらでもそれで流れることができるはずだが、ホールへの思慕が安易な方向に行くのを良しとしなかったのダと、ぼくは思った。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。

▶過去の、ホール
http://43142.diarynote.jp/200501222324430000/
http://43142.diarynote.jp/201206110916017268/

▶過去の、カーター
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 2001年6月7日
http://43142.diarynote.jp/200401140000000000/
http://43142.diarynote.jp/201005071023536171/
http://43142.diarynote.jp/201102091715522875/
http://43142.diarynote.jp/201212141028575543/ (ジュリアード・ジャズ・トリオ)
▶過去の、コリエル
http://43142.diarynote.jp/201303110415585115/


<今日の、遠い目>
 まだ日がさす16時半ごろライヴに行くために最寄り駅に向かう道すがら、ジョギングする人たちと何人(組)か会う。この寒いなか、皆すごいなあ。ぼくなら、風邪を引く危惧を抱いてしまい、尻込みする。と、書いて、我ながら、なんて虚弱なのかと自覚。真冬にも平気でサッカーの試合やスキーをやっていた(って、スキーは真冬しかできないが)ことがあったのが、まるで嘘のよう。そういえば、先日スポーツ・チャンネルでアメリカ/カナダのアイス・ホッケーNHLの試合を放映していたのだが、それが寒々しさにも程があるといった感じの野外リンクでのもので、びっくりしたことがあった。そこに、客が白い息はきながらいっぱいいるー。欧州のサッカーの試合やアメリカン・フットボールの試合なども吹雪のなかフツーに観客が見ていたりもし、ありゃーと思わされることがあるが、あちらの方々のスポーツ観戦の根性の出し方はワケ分らんなー。と、書きつつ、自分のヘタれさにあきれる。

コロリダス

2014年1月18日 音楽
 中米、カリブ、南米のエキゾな大衆音楽の魅力を愛で、趣味性が高いながら、それらを日本語のこなれたビート・ポップとして送り出すグループ(2013年2月3日)のワンマンの公演。代官山・山羊に、聞く?

 生ギター/歌、ウッド・ベース、カップを付けたトランペット、パーカッション、ドラムという編成。今回はスティール・パンのめめちゃんが欠席で、代わりにではないだろうが、カンタス村田とサンバマシーンズ(2010年12月27日、2011年2月11日、2011年5月8日、2012年6月8日、2012年10月27日、2013年8月24日)のドラマーのべんべん(2012年1月28日)が加わっていて、リズムが強化。カラフルさは減じているかもしれないが、これはなかなかストロングで押し出しの強いコロリダス表現ではないか。なんかシャキッ、バシっ。キメも決まり、気持ちいい。

 キューバの偉人ベーシストであるカチャイート(2013年2月3日)の最後の弟子であるベース奏者の ぽん のリズミックな右手使いもアトラクティヴにして弾みがいっぱいだし、曲趣にあわせアイデア豊富な音を入れる加藤のトランペットも熟達しているし、パンデイロや脚で操るカウベル音もいい感じの打楽器の英心も機を見るに敏だし、メンバー全員力量とキャラあり。そして、それらは密に重なり、気安いパーティの場へのロードマップを形作る。

 昨年出した『デパート』収録曲を主に、新曲も。節分限定曲も披露。なんにせよ、あっち方面音楽の、愛と趣味とアイデアにあふれた咀嚼の様、語呂とノリのいい日本語ののせ方はうまい。そして、巧みにギターを爪弾きながら歌をのせる主任コンポーサーでもあるはずの しみずけんた のヴォーカルは過剰な押し出しは皆無ながら、きっちり気持ちと言葉が聞く側に入ってくるのには何気に感心。その風貌もあり只の“いい人ヴォーカル”で終わりそうなところ、ちゃんと訴求力あるなと、今回思わされた。まあ、他のメンバーも皆ほのぼのとした外見を持っているのだが、そうしたほのぼの奥にはいろんな機微や衝動や陰影があることを示唆しつつ、しなやかに、笑顔あふれるライヴ・ミュージックとして、彼らは開いていた。


▶過去の、コロリダス
http://43142.diarynote.jp/201302041828146553/
▶過去の、サンバマシーンズ
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▶過去の、べんべん
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<今日の、肩すかし>
 本日は、べらぼうな寒気のカタマリ来襲とともに、夜は雪が降ると予報されていた。でも、雪が降るどころか、風がまったくないせいか、過剰に寒くもない。やはり、風があるかないかが体感温度の鍵であるなあと思った、夜の移動……。

 NOLA(〜ルイジアナ州ニューオーリンズの米国での常套表記)セカンド・ライン・ファンクの象徴とも言える名バンド、ザ・ミーターズの2/4を擁する4人組(2009年7月25日)の3年半ぶりの来日公演。ギター奏者はそのとき弾いていたアート・ネヴィル(オルガン)の息子であるイアン・ネヴィルではなく、その前からザ・ファンキー・ミーターズに関与していたはずの白人のブライアン・ストルツ。彼はアート率いたザ・ネヴィル・ブラザーズ(2004年9月18日)のメンバーでもあり、21世紀には入ってからは自ら歌うおやじロックなリーダー作を何枚も出している。彼、もう少しエフェクターを使わないと、もっといいんだけどな。

 ザ・ミーターズの次世代バンドという感じで出て来たパパ・ブロウズ・ファンク(2004年3月30日、2007年2月5日、2009年7月27日)はジャム・バンド・ミュージック愛好層にも支えられ頻繁なライヴ活動の機会を得ていたが、この日のザ・ファンキー・ミーターズもまた切れ目なく、気ままに曲を連ねていて、まさにジャム・バンド状態。フジ・ロック・フェスティヴァルで見た前回の来日時もけっこうそんな感じだったか?

 最初、50分ほど延々パフォーム。その際、ザ・ミーターズの曲ではない曲もやって、なんかザ・MGズ(2008年11月24日、2009年7月25日、2010年2月8日 、2011年9月12日、2012年5月11日、2013年10月29日)の曲みたいだなと思わせられるものもあったし、ストルツが歌うボブ・ディランのブルース曲もあった。曲のリード・ヴォーカルはジョージ・ポーターJr.(2007年2月2日。2007年2月4日、2008年8月12日)かアート・ネヴィル(2004年9月18日)が取る。

 最初の長いパートが終わって、ドラマーのバティスト(2006年8月8日)がフィーチャーされる部分があり、彼はヴォイスを交え、客に働きかける。そして、はじまった「シシィ・ストラト」は観客参加型のものとなり、場はおおいに華やぎ、湧きまくる。相変わらず力づくで叩く彼は、レギュラー・グリップとマッチド・グリップの併用。セカンド・ライン色の強い曲はレギュラーで叩きはじめるが、いつも途中でマッチド・グリップに持ち直していた。オリジナル・ミーターズのジガブー・モデリステ(2007年2月3日)はきっちりレギュラー・グリップで叩く人だが、セカンド・ラインのドラミングにマーチング・バンドのスネアの叩き方が入っているのは間違いないような。話とぶけど、ぼくも小学校の鼓笛隊でスネアを担当していたので、ドラムを前にしたときはまっとうなレギュラー・グリップで叩きます。

 ジョージ・ポーターJr.は今回一番いい演奏しているナと感じたか。元気そうだ。逆に心配なのは、アート・ネヴィル。相当に腰がいたそうで途中から演奏中に付き人に支えてもらったりもしていたし、両側を支えられる感じで退出するときには相当時間がかかっていた。が、演奏を早々に切り上げるということはなく、彼らは90分はたっぷりとやる。六本木・ビルボードライヴ、ファースト・ショウ。

▶過去の、ザ・ファンキー・ミーターズ
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▶過去の、アート/ザ・ネヴィル・ブラザース
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▶過去の、ポーター・Jr.
http://43142.diarynote.jp/200702090041480000/
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▶過去の、バティスト
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▶過去の、パパ・グロウズ・ファンク
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▶過去の、ザ・MGズ関連
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▶過去の、ジガブー
http://43142.diarynote.jp/200702112125550000/


<今日の、東京駅+>
 けっこう健やかと思わされる午後、ライヴを見る前に仕事で上京中の友人と会う。健在のようだ。大阪から来たのに、熱いと少しムっとしていた。そして、東京駅の内側を時間調整で探索。その周辺、複数の駅が地下で繋がっていて、コットンクラブにも地下通路で行けるんだな。ぼくがはじめて知る商業施設もあり、丸善も偉そうにあって、思わず本を買ってしまう。が、ライヴ後に寄った店に忘れる。それ、想定内と思える自分が……。でも、精神衛生上はよろしいと、思おう。

 長寿のコンテンポラリー・ジャズ・コンボ(2009年3月23日)、その2013年新作『Rise in the Road』(マック・アヴェニュー)はオリジナルの電気ベーシストだったジミー・ハスリップ(2004年3月24日、2004年12月17日、2010年7月9日、2010年10月1日)が脱退、代わりにジャコ・パストリアスの息子のフェリックス・パストリアスが新メンバーとして入っていたが、その顔ぶれでの来日公演。リーダーのラッセル・フェランテ(2007年12月16日、2012年6月21日)って、電気ベーシストを起用することにこだわりを持っているのだろうな。ぼくは一度ぐらい縦のベーシストが入ったイエロージャケッツ表現を聞いてみたい。それでも、通常のジャズにはならない表情は出せるはずだし、出せないのなら解散しちゃえばアとも思う。←暴言。丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。

 ドラマーも前々作から、1980年代後半から1990年代いっぱいにかけて在籍したウィリアム・ケネディが、それまで叩いていたマーカス・ベイラー(2007年12月16日)に代わりイエロージャケッツ再加入。話はとぶが、ケネディが1980年代に入る前の同バンドのオリジナルのドラマーがリッキー・ローソン。彼はイエロージェケッツ脱退後、西海岸R&Bセッション/ツアーの第一人者となったが、昨年12月に亡くなってしまった。イエロージャケッツの1980年代中期の来日公演(渡辺貞夫の“ブラバス・クラブ”への出演。この晩のファースト・ショウには貞夫さんも見に来ていて、MCで紹介されていた)を見て、ローソンの強いアタック感に共感し、ぼくは一時ローソンのことを“西海岸のトニー・トンプソン(cf.シック、2003年死去)”と呼んでいたことがあった。

 各奏者間の音のバランスが良く、生理的にクリアー。それもまた、彼らが望むところだろう。ピアノのフェランテは、キーボードもサウンドに奥行きを付けるために併用する。テナー・サックスのボブ・ミンツァー(2012年6月21日)は1曲で、ウィンド・シンセ(アカイのEWIではなかったような)も用いた。それ、ある種のクールネスを求める使い方で、ウィンド・シンセ嫌いなぼくも納得。

 長身のパストリアスは6弦のフレットレスを演奏。彼はベラ・フレック(2000年8月12日、2007年10月1日)のザ・フレックトーンズのリード奏者であるジェフ・コフィンのバンドに入っていたが、真面目そうな彼はなかなか堅実な演奏を示す。父親のようにトリッキーな部分は出さずに、黙々弾くという感じ。別に音数が少ないわけではないが、ペラ男くん度数が低いのはマル。それにしても、やはりベーシストである甥のデイヴィッド・パストリアス(2007年12月3日)という人もいるし、パストリアス家系はベーシストが多いのか?

▶過去の、イエロージャケッツ
http://43142.diarynote.jp/200903260425159549/
▶過去の、ハスリップ
http://43142.diarynote.jp/?day=20040324
http://43142.diarynote.jp/200403241554160000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100709
http://43142.diarynote.jp/201010030954188035/
▶過去の、フェランテ
http://43142.diarynote.jp/200712171350530000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120621
▶過去の、ミンツァー
http://43142.diarynote.jp/201207031311348277/
▶過去の、フレック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm
http://43142.diarynote.jp/200710121726160000/
▶過去の、デイヴィッド・パストリアス
http://43142.diarynote.jp/?day=20071203

<今日の、疑問>
 エコなオトコ目指して(苦笑)毎夏ノーエアコンの生活を続けていると、なんか冬に暖房を使うことにも少し躊躇を覚えてしまう。うむ。ま、晴天の場合は日差しにより日中は暖房をまず欲しないし、陽が暮れるとほぼ外出してしまうわけだが。でも、曇天の場合は寒さを感じなくもない。本格的寒波が来たら、そんな悠長なことは言っていられなくなると思うが。

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