カサンドラ・ウィルソン
2010年6月13日 音楽 ジャズを根に置く広角型シンガーの今回の実演は、マーヴィン・スーウェル(ギター、ミュージカル・ディレクター)、ロニー・プラキシコ(ベース)、ジョナサン・バティステ(ピアノ)、ハーリン・ライリー(ドラム)、レカン・ババロラ(パーカッション)という面々のサポート。前回公演(2008年8月11日)の同行者と重なるのは、スーウェル(メンバー紹介のMCで、彼だけが拍手がデカかった)とババロラ。ながら、バティステ以外は今のところ一番新しいアルバムとなる『ラヴァリー』参加者となる。←おお、全員、肌の黒い人たちですね。蛇足だが、本来ならこの頃には新作が出るとも言われていた。ながら、(彼女が所属している)ブルーノートの新作リリース情報のリストから現在は名前がドロップしてしまったという。うぬ、新作どーなる?
六本木・ビルボードライブ東京、セカンド・ショウ。冒頭、ブルージィなインスト。おお、ウィルソンが出てこなくてもこれだけで1時間半持つじゃないかと、頷く。そして、彼女が加わり、嬉しい含みや襞や隙間を感じさせるジャズ・ヴォーカル表現を悠々と出して行く。我が道を行く迂回する感覚を強く含みつつ、新作がそうであったように、これまでではトップ級にジャズ色が強いパフォーマンスとも言えるのか。かなり覚醒した感覚で開かれた「ムーン・リヴァー」をやるなど、スタンダードも数曲うたったし。意外だったのは、大スタンダードの「ラヴァー・カム・バック・トゥ・ミー」(新作のオープナーでもあるが)を歌い始めたときの歓声が異常に大きかったこと。はみだした傾向にある彼女だが、実は普通のジャズ愛好者もお客は少なくなかった?
今回、奏者で一番感心したのはライリー(2000年3月9日、2007年9月7日)。80年代中期にアーマッド・ジャマルに可愛がられるとともにウィントン・マルサリスやハリー・コニックJr.やドクター・ジョンらニューオーリンズのバッキングが目立った人なのでおそらくそこの出身なのだろうけど、その純ジャズから大きく離れるどこかいい感じのバラけた叩き口にはかなり驚く。おまけに彼はときどき大声でかけ声をあげたりもして、それも良い。そのリーダー作を聞くとまっとうなハード・パップを自作曲のもと披露しているが、うーんいいドラマーだ。それから、ほとんど無名のバティステもその名前から察するに根はニューオーリンズか。延々と右手のみでシングル・トーンのソロを弾いたり、突然セロニアス・モンク風のコワレを入れたりとか、変な弾き口を披露。上手いんだかそれほどでもないんだかはいまいち判別が付かず。ババロアの打楽器群にはテルミンも置いてあったが、使用せず。
総じて奏者ソロを回す頻度はいつもより高めであったか。ま、純ジャズ・ヴォーカルとして触れるぶんには、それは普通の行き方ではあるのだけど。だけど、扇子さばきもお上手なカサンドラが中央にいると、すべては彼女が掌握するものであり、全部を統括してこその、アタシのヴォーカル表現なのよというノリも大いに出てくるわけだ。ただ、毎度の如く多大な説得力を持つ余裕綽々な彼女ではあったが、いつもより歌声がかすれ気味で、少し喉は本調子でないのかもと思えた。ともあれ、毎度のごとく、素晴らしく視点のある統合的アフリカン・アメリカン・ミュージックを聞かせてくれたのは間違いないし、やはり示唆も受けました。
六本木・ビルボードライブ東京、セカンド・ショウ。冒頭、ブルージィなインスト。おお、ウィルソンが出てこなくてもこれだけで1時間半持つじゃないかと、頷く。そして、彼女が加わり、嬉しい含みや襞や隙間を感じさせるジャズ・ヴォーカル表現を悠々と出して行く。我が道を行く迂回する感覚を強く含みつつ、新作がそうであったように、これまでではトップ級にジャズ色が強いパフォーマンスとも言えるのか。かなり覚醒した感覚で開かれた「ムーン・リヴァー」をやるなど、スタンダードも数曲うたったし。意外だったのは、大スタンダードの「ラヴァー・カム・バック・トゥ・ミー」(新作のオープナーでもあるが)を歌い始めたときの歓声が異常に大きかったこと。はみだした傾向にある彼女だが、実は普通のジャズ愛好者もお客は少なくなかった?
今回、奏者で一番感心したのはライリー(2000年3月9日、2007年9月7日)。80年代中期にアーマッド・ジャマルに可愛がられるとともにウィントン・マルサリスやハリー・コニックJr.やドクター・ジョンらニューオーリンズのバッキングが目立った人なのでおそらくそこの出身なのだろうけど、その純ジャズから大きく離れるどこかいい感じのバラけた叩き口にはかなり驚く。おまけに彼はときどき大声でかけ声をあげたりもして、それも良い。そのリーダー作を聞くとまっとうなハード・パップを自作曲のもと披露しているが、うーんいいドラマーだ。それから、ほとんど無名のバティステもその名前から察するに根はニューオーリンズか。延々と右手のみでシングル・トーンのソロを弾いたり、突然セロニアス・モンク風のコワレを入れたりとか、変な弾き口を披露。上手いんだかそれほどでもないんだかはいまいち判別が付かず。ババロアの打楽器群にはテルミンも置いてあったが、使用せず。
総じて奏者ソロを回す頻度はいつもより高めであったか。ま、純ジャズ・ヴォーカルとして触れるぶんには、それは普通の行き方ではあるのだけど。だけど、扇子さばきもお上手なカサンドラが中央にいると、すべては彼女が掌握するものであり、全部を統括してこその、アタシのヴォーカル表現なのよというノリも大いに出てくるわけだ。ただ、毎度の如く多大な説得力を持つ余裕綽々な彼女ではあったが、いつもより歌声がかすれ気味で、少し喉は本調子でないのかもと思えた。ともあれ、毎度のごとく、素晴らしく視点のある統合的アフリカン・アメリカン・ミュージックを聞かせてくれたのは間違いないし、やはり示唆も受けました。