オルガン・トリオ編成の公演を2つ、見る。丸の内・コットンクラブ と南青山・ブルーノート東京が会場。1つ目のほうのリーダーはオルガン奏者で日本人トリオ、2番目はギタリストで米国人トリオ。ともに、オルガン奏者はフット・ベースを扱っていた。

 先に見たアクアピットは、オルガンの金子雄太(2007年5月21日、他)、ギターの小沼ようすけ(2011年7月25日他)、ドラムの大槻“KALTA”英宣(2010年11月26日、他)という編成。途中で6年間の休止期間を挟むものの、1999年からこの顔ぶれでやっているという。一方、ジャズ・ギター・ヒーローという言い方もアリだろうマルティーノ(2011年11月2日)のほうは、パット・ビアンキ(ギター)とカーメン・イントーレ(ドラム)という布陣。前回の来日時とはドラマーが異なるが、本当にマルティーノはオルガン付き編成が好きだな。

 ベース音兼任のオルガン、ギター、ドラムというトリオ編成はジャズ表現としては定番であるが、やはり両者の持ち味は違う。それは構成員の個性の噛み合いや相乗でそうなる部分もあるだろうし、個のある表現を作ろうと腐心している部分もあるだろう。とくに、いろいろな曲種に書き分けたオリジナル曲をやるアクアピットのほうはそう感じる。<ちゃんと基本を押さえた上で、我々のオルガン表現を標榜したい>という気持ちを感じた、かな。ただし、邦楽ノリと言いたくなる、彼らのちんたらしたおしゃべりMCには閉口。←でも、松木安太郎のダメ駄目サッカーTV解説を好む人が少なくないように、それに接して、ライヴに触れていると実感する人もいるのだろう。でも、洋楽ライヴに親しんできたぼくはMC過多が苦手だ。

 一方の米国人トリオのほうは、マルティーノを完全にトライアングルの頂点に置き、彼の個、スピード感ある演奏を前面に出すことを第一義としている。ウェス・モンゴメリー曲(3曲やったか)も、セロニアス・モンク曲も、マイルス・デイヴィス曲も、自作もみんな彼のフラッシィな弦裁きに収束する。なるほど、そうした流麗ながらも刺を持つギター音を明快に浮き上がらせるためには、音の輪郭のはっきりした楽器より、オルガンを用いるほうがうまく行くよナとも、実演に触れながら思う。会場にはマルティーノの熱心なファンが集まっていたようで、ショウが終わった際には7割ほどの客が立って拍手した。

<今日の、にんまり>
 関西のバンド、たこさん の9月初旬売りの白盤が唐突に届く。前からライヴを1度見てみたいと思っていたバンドで(2009年のフジ・ロックでニアミスしたことはあったんだけど)、うれちい。おお、5作目となるのか。JB、スタックス、ニューオーリンズ・ファンク、P-ファンクなどの、黄金表現のハマった日本語による翻訳表現。ゴスペルやブルースのハハハな咀嚼もあり。女湯ネタの「ON A BLOW」をはじめ、トホホな馬鹿バカしさはこの手のバンドの基本姿勢にして美点。聞いていて、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(2007年6月5日、他)も昔は全裸ちんちんにソックスかぶせてステージに上がっていたことを思い出す。アンソニー・キーディスたち、かけだしのころ、ストリップ・クラブでライヴすることがあって、それがうれしくてしょうがなかったんだよな。あ、それから、S-KENが送り出すという女性ファンク・インスト・バンドのビッグバンブーンもちょい気になる。