メラニー・ボング+南博トリオ。Informel 8
2010年3月26日 音楽 代官山・晴れたら空に豆まいて。オープニング・アクトは、若手日本人ジャズ・グループのInformel 8。作曲/アレンジ/MC担当者(三輪裕也)がリーダーシップを取り、三管とリズム(ピアノ、縦ベース、ドラム)が演奏する集団。パっと触れたぶんには、基となる楽曲はそんなに才気走っていなかったが、自覚を持ってジャズを作ろうとしているのはよく伝わる。そのリーダーは菊地成孔(2009年7月22日、他)の講座のアシスタントを勤めているとかで、部分的にはなんと菊地も加わり、フロントは四管に。もちろんその際、彼はソロを取る。
そして、メイン・アクトは、菊地が兄貴と慕うピアニストの南博(2001年10月29日、2005年6月9日、9月11日、2006年10月25日、2007年4月12日、10月17日)のトリオ(土井孝幸、松山修)に、ドイツ人シンガーのメラニー・ボングが重なるというもの。南は新作を出して間もなく、ボング嬢は途中から加わるのかと思ったら、1曲トリオでさらりと演奏した後にすぐに彼女は登場。あとは、完全に彼女が主役。2度目の来日となるそうな彼女は、身体の線が凄く出る赤いドレスを着ている。
というところに表れているように、彼女はおやじ向き系女性ジャズ歌手としては王道(?)の行き方をこの晩は踏む。とうぜん、スタンダードがレパートリー。実は、父親がシンティ(ドイツ語における、ロマの意味。英語でMCしていた彼女は最初はロマと言っていたが、後のほうではシンティと言っていた)であるそうで、そちらの属性を適時重ねた行き方をぼくは期待したのだが。実は、ボングは純ジャズ歌手としては過剰に上質ではなく、個性が見えにくかったんだよなー。でも、途中で、アカペラでシンティの歌をのべ2曲披露。それはぼくを射抜く力を持っていて(マイクもジャズ曲を歌う時の3倍は離して歌っていた)、もっと聞きたかった。南トリオがもう少し彼女の奥にあるレパートリーに寄り添うことはできなかったか。ともあれ、シンティたる自負を前に出した曲を聞いた後だと、もっと襞の深さが表れるような感じがして、彼女のフツーのジャズ・ヴォーカル表現により楽に触れられたのは確か。最後まで成り行きを見届けたかったが、10時から別の用事があるため、1時間ほどそのパフォーマンスに触れて移動。その後、シンティ曲を歌ったかな?
蛇足だが、今ロック界ではロマ味が注目の的? というのも、その味をがらっぱちなストリート表現に応用したNYの多国籍集団(本当にメンバーの出自は散っている)のゴーゴル・ボルデロが台風の目になりそうだから。その新作は名士リック・ルービンがじっくり面倒を見ていて、彼のアメリカン・レーベルからのリリース。レニーニ(2000年6月16日)をホーボーな感じにした風体を持つリーダーのウクライナ出身のユージン・ハッツはなんかキャラも立っていて、マドンナ(2005年12月7日)やブランドのグッチ他いろんな方面から引っ張りだこらしい……。昨年のフジ・ロック出演を端に発する、ロック・リスナーからのレーヴェン(2009年7月25日)人気もそういう流れで見ると理解しやすいか。今、何度目かの、非西欧的草の根価値観のロック界席巻が起こるか? なら、とても楽しいが。
そして、メイン・アクトは、菊地が兄貴と慕うピアニストの南博(2001年10月29日、2005年6月9日、9月11日、2006年10月25日、2007年4月12日、10月17日)のトリオ(土井孝幸、松山修)に、ドイツ人シンガーのメラニー・ボングが重なるというもの。南は新作を出して間もなく、ボング嬢は途中から加わるのかと思ったら、1曲トリオでさらりと演奏した後にすぐに彼女は登場。あとは、完全に彼女が主役。2度目の来日となるそうな彼女は、身体の線が凄く出る赤いドレスを着ている。
というところに表れているように、彼女はおやじ向き系女性ジャズ歌手としては王道(?)の行き方をこの晩は踏む。とうぜん、スタンダードがレパートリー。実は、父親がシンティ(ドイツ語における、ロマの意味。英語でMCしていた彼女は最初はロマと言っていたが、後のほうではシンティと言っていた)であるそうで、そちらの属性を適時重ねた行き方をぼくは期待したのだが。実は、ボングは純ジャズ歌手としては過剰に上質ではなく、個性が見えにくかったんだよなー。でも、途中で、アカペラでシンティの歌をのべ2曲披露。それはぼくを射抜く力を持っていて(マイクもジャズ曲を歌う時の3倍は離して歌っていた)、もっと聞きたかった。南トリオがもう少し彼女の奥にあるレパートリーに寄り添うことはできなかったか。ともあれ、シンティたる自負を前に出した曲を聞いた後だと、もっと襞の深さが表れるような感じがして、彼女のフツーのジャズ・ヴォーカル表現により楽に触れられたのは確か。最後まで成り行きを見届けたかったが、10時から別の用事があるため、1時間ほどそのパフォーマンスに触れて移動。その後、シンティ曲を歌ったかな?
蛇足だが、今ロック界ではロマ味が注目の的? というのも、その味をがらっぱちなストリート表現に応用したNYの多国籍集団(本当にメンバーの出自は散っている)のゴーゴル・ボルデロが台風の目になりそうだから。その新作は名士リック・ルービンがじっくり面倒を見ていて、彼のアメリカン・レーベルからのリリース。レニーニ(2000年6月16日)をホーボーな感じにした風体を持つリーダーのウクライナ出身のユージン・ハッツはなんかキャラも立っていて、マドンナ(2005年12月7日)やブランドのグッチ他いろんな方面から引っ張りだこらしい……。昨年のフジ・ロック出演を端に発する、ロック・リスナーからのレーヴェン(2009年7月25日)人気もそういう流れで見ると理解しやすいか。今、何度目かの、非西欧的草の根価値観のロック界席巻が起こるか? なら、とても楽しいが。