パラグアイをはじめラテン・アメリカのフォルクローレでアルバ(ハープのスペイン語)がポピュラーな楽器として用いられるのはなんとなく知っていたが、なるほどなー。その実演に触れて、また見聞を広めました。ありがたいことです。青山・草月ホール。

 ベネズエラからやってきた二人が中心となる公演。ベタンクールさんはアルバ奏者で、ピノさんはクアトロ(4弦の小さなギターみたいな弦楽器)奏者、二人とも30代か。アルバは普通36弦から38弦だそうで、大きさはちょうどスコティッシュ・ハープと同様。だとすると、けっこう軽く持ち運びしやすそう(カトリオーナ・マッケイ;2009 年12月12日他によれば、スコティッシュやアイリッシュ・ハープは馬に乗って待ち運びできるようにあの大きさなのだという)。今回ベンタクールはより持ち運びしやすい32弦の特注アルバを持ってきているそうな。というような情報は、今回招聘したというパラグアイのアルバ表現をずっとやっているルシア塩満という女性(あっち育ちで、けっこう南米に行っていて、ベタンクールとはフェスで知り合ったらしい)のいろんな説明MC(とってもよどみなく、朗々と分かり易くなさる。ナレーションの副業をやってましたと言われたら、信じそう)から得た。また、彼女は半数近くの曲では一緒に無理なく演奏したりも(他に、二人の日本人奏者も少し入ったときも)。

 演奏されるのはフォークロア曲。パラグアイとベネスエラのアルバ表現はまた少し違うのだろうが、そんなことは門外漢には分かるはずもなく、繊細と大胆さ、素朴さと優美さ、そして積み重ねられた伝統の膨大さを指し示す技巧、といったものが入り交じる、確実に別な文化で育まれたことが了解できる、アコースティックな弦音協調演奏が示される。ステージ背景には曲説明が映し出されるとともに、彼らの手元なんかも追う映像も映し出されたか。ときに、とってもインタープレイされる曲もあり、その際のアルバ演奏はなかなかに壮絶。ベタンクールは一部マラカスも手にして演奏したが、それもすこぶる上手い。うーん、ハイ・クォリティなミュージシャン。当たり前だが、世界は広い。。。