このマイルス・デイヴィス・バンドに80年代初頭に抜擢され知名度を得た現代ジャズ/フュージョンのギタリスト(2010年6月6日、他)は1953年生まれだから、来年は還暦だ。でも、頭髪もふさふさ長髪だし、この手の担い手のなかでは本当に老けていない筆頭のアーティストとなるのだと思う。とともに、若さを保てているのはその快活にして純な振る舞いができる御仁だから、なんてライヴ・パフォーマンスを見ていると思わずにはいられないかな。やはり、彼はそうした部分で、あまりに他のミュージシャンとは物腰が違いすぎる。が、それはあってしかるべきであるし、だから触れる価値もある。

 例によって、キーボードレスで、電気トランペット奏者のランディ・ブレッカーを含むカルテット編成。今回のベースは過去ウェイン・ショーターのカルテットに何度も同行しているジョン・パティトゥッチ(2004年2月9日、他)で、彼はここでは6弦のエレクトリック・ベースに専念。毎度のデイヴ・ウェックル(ドラム)とは80年代後期のGRP レーベルの最たるリズム・セクションだったっけか。基本はエフェクターが効いたギター音が気持ち良さそうに泳ぐがちんこフュージョン、曲はけっこうエスニックな色彩を持つものも少なくないのだなと思わせられたか。スターンはテーマ部のときに一緒にハミングしたりも、それは過去もそうだったっけ? その図も、“永遠のギター小僧”には似合います。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。

 続いて、南青山・月見ル君想フ。地に足つけつつ私の考えるグローバル・ミュージックを求める行動派歌手(2010年10月16日、他)のグループの実演を見る。当人に加えて、鬼怒無月(ギター。2012年2月10日、他)、佐野篤(電気ベース、他。2006年3月24日)、ヤヒロトモヒロ(打楽器。10月26日、他)という面々からなる。南米各国やアフリカのアンゴラやカーボ・ヴェルデの曲、それには美空ひばりの持ち曲なども取り上げつつ、生気とぬくもりを持つ歌を生理的にどこか飛躍する感覚ととに聞き手に届ける。彼女たちの前にソロでパフォーマンスしたSaigenji(2009年8月9日、他)もフルート、パーカッション、ギター、詠唱で部分加わったりも。彼のギター・アルバム、誰か作ったりしないかな。

<おとといの、ホテル>
 おととい、2010年秋に新しく開業したザ・キャピトルホテル東急(←ザ・リッツ・カールトンに向こうを張ったのか、新築後は定冠詞がつくようになった)にあるインタヴューで行った。旧キャピトル東急はよく来日アーティストが投宿ししょっちゅう行っていたこともあるが、新しくなってからは初めてとなる。なんでも、新体験はうれしい。喫茶室の名前は前と同じように、オリガミだった。取材の場所はスイート・ルーム、チェックチェック。ツインで置かれたベッドが小さく感じた。従業員の接客は異常に丁寧なような、雑なよりはもちろんいい。旧ホテルはザ・ビートルズが1966 年来日時に宿泊したホテルとしても知られる(彼らが泊まったときは、東急も関与していたヒルトン・ホテルだった)が、彼らが記者会見した間の屏風の一部が宴会場フロアに残されているらしい。