しかし、日本好きなんだろうなー。今回は年末から新年明けにかけての帯公演だものなあ。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。

 ロバート・グラスパー(2007年10月3日、2009年4月13日、2009年12月19日2010年12月16日、2012年6月12日、2013年1月25日、2014年8月20日、2015年6月8日、2016年12月20日、2017年6月5日)に加え、ダブル・ベースのヴィセンテ・アーチャー(2007年10月3日、2009年4月13日、2010年7月24日、2012年6月29日、2013年2月2日、2013年6月4日、2016年12月20日)とドラムのダミアン・リード(2016年12月20日)、そしてDJシャヒ・サンダンス(2003年11月18日、2003年11月22 日、2016年12月20日、2017年6月5日)という面々にて、前回トリオ名義公演と同じ4人にてパフォーマンス。また同様に、1曲15分ほどの尺にて演奏を届ける。

 近年のグラスパーの動向、とくにエキスペリメント公演の進化の“牛歩”ぶりを鑑みるに大きな変化は望みにくく、新年そうそう室内でのうのうと過ごしたいこともあり、ようは今回パスしてもいいかなあと思わなくはなかった。だが、見に行って良かったと思えた。トリオのほうは同編成、重なる演目があっても新鮮だった。

 その最たる要因は、グラスパーがちゃんとソロをとったこと。エキスペリエンスはインタープレイはあってもインプロヴィゼイション濃度は低いアンサンブル・ユニットという位置に落ち着いているので、この4人の演奏を聞くとちゃんとジャズをやっていると思える。もちろん、正面からアコースティック・ジャズをやっていた2000年代中頃のことを思えば、彼はあまり攻めない。だが、ひたひた感を多大に持つその指さばきは非常にクール。それは前回のトリオ公演以上に鮮やかに表出され、ヒップホップ時代のアコースティックなジャズ・リズム隊といった感覚が大きいベース+ドラム音とグラスパーのピアノ音が重なると現代都市空間に響く、どこか不条理な調べという聞き味を浮かび上がらせて、なかなかに味わい深し。今回は途中に、アール・ハインズを起点とするようなオールド・スクールな指さばきを披露したり、エリントン「テイク・ザ・Aトレイン」らスタンダードをインサートしたりとか、過去見せていないピアノ流儀を開いてみせたりもした。彼、1曲だけエレクトリック・ピアノも少し弾き、左手は電気、右手はグランド・ピアノという局面もあった。

 サイドにもソロをまわすが、ベースは1曲だけだったのにたいし、ドラムは最低でも3曲はあった。そんなためもあり、今回はダミオン・リードの面白さを再認識したか。彼は1曲でブラシも用いたが、その際が一番今様な味が出ていると思わせられたことは特記しておきたい。過去DJサンダンスはいなくてもあまり関係ないんじゃない?と思わす関与し具合いであったが、今回は2曲で完全にトリオ音と同化していた。それから今回、ライヴ中のグラスパーの斜め後ろ姿にグラフィック・パターンを重ねた映像がステージ後方に写し出された。上部から彼の指さばきの様を捉えた映像も流されたなら、ぼくは今回のトリオ名義公演をもっともっと褒めただろう。

▶過去の、ロバート・グラスパー
http://43142.diarynote.jp/200710121727100000/
http://43142.diarynote.jp/200904150840164356/
http://43142.diarynote.jp/201001051625155901/
http://43142.diarynote.jp/201012171104366095/
http://43142.diarynote.jp/201206141342549869/
http://43142.diarynote.jp/201301270742196778/
http://43142.diarynote.jp/201408210931581467/
http://43142.diarynote.jp/201506070919133558/
http://43142.diarynote.jp/201506091124003170/
http://43142.diarynote.jp/201612211059578863/
http://43142.diarynote.jp/201706061756141899/
▶過去の、ヴィセンテ・アーチャー
http://43142.diarynote.jp/200710121727100000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090413
http://43142.diarynote.jp/?day=20100724
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http://43142.diarynote.jp/201302041827243806/
http://43142.diarynote.jp/201306060730086224/
http://43142.diarynote.jp/201612211059578863/
▶︎過去の、ダミアン・リード
http://43142.diarynote.jp/201612211059578863/
▶︎過去の、シャヒ・サンダンス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-11.htm 18日と22日。18日の方にオリヴァー・レイクの息子と記しているが、ジーン・レイクの息子のよう。
http://43142.diarynote.jp/201612211059578863/ ロバート・グラスパー・トリオ
http://43142.diarynote.jp/201706061756141899/

<今日の、R.I.P.>
 サザン・ソウル名士であるリック・ホールが1月2日早朝にアラバマ州の自宅で、ガンでお亡くなりになった。妻のリンダは存命、リックJr.、マーク、ロドニーという3人の息子がいる。お葬式は5日に、地元のバプティスト教会でなされる。85歳、素晴らしい人生でしたね。
▶︎過去の、ホール関連映画
http://43142.diarynote.jp/201406270933515875/
 ソウル〜ソウル・ジャズ演奏のギター名手であるデイヴィッド・T・ウォーカー(2007年12月18日、2010年12月11日、2011年6月21日、2013年10月17日、2015年8月3日)の自己バンド公演を六本木・ビルボードライブ東京で見る。ファースト・ショウ。その老紳士の外見に触れると、これは新春に接するにふさわしいと思えるか。登場者は皆、ネクタイはしていないものの、スマートにスーツを着ていた。

 キーボードとピアノのジェフ・コレラ(彼のみ、白人。とても地味な演奏し具合)とエレクトリック・ベースのバイロン・ミラー(親指弾きを多用)とドラムのリオン・チャンスラー(レギュラーとマッチド・グリップを併用)というサポート陣は、ぼくが前回見たショウと同じ顔ぶれだ。3人ともそれぞれにリーダー作を持ち、特にリスム・セクションの2人はジョージ・デューク(2004年10月28日、2010年3月15日、2012年12月5日、2013年8月7日)やハービー・ハンコック(2000年3月14日、2001年12月27日、2003年8月23日、2005年8月21日、2012年3月3日、2014年9月7日、2015年9月6日、2016年9月3日)ら様々なレコーディングに参加しているヴェテラン。ご両人は旧流儀の演奏ながら、現役感あり。とくに多様な音をあっさり繰り出すミラーはいい奏者だな。

 いろんな曲を演奏。ソウル曲のほうだと、スティーヴィー(2005年11月3日、2010年8月8日、2012年3月5日の「迷信」やマーヴィンの「インナー・シティ・ブルース」、ミニー・リパートンの「ラヴィング・ユー」他。ザ・クルセイダース(2005年3月8日。80年代中期、チャンスラーはザ・クルセイダースのメンバーだった)の「ストリート・ライフ」など、フュージョン系列ある曲も何曲かやり、シャッフルのブルースも一つ。それらを素材に、ウォーカーはその妙味をあますことなく、聞き手に届ける。過去、ミストーンを出したり、フレイズのつながりの悪さをちょい出していたりもした彼だが、今回はそれが1、2度しかなく、そういう意味では調子が良かった。秀でたプロデューサーと組めば、まだ傑作を作れると見た。あ、でも彼の真価は歌もののバッキング、魔法のごときオブリガードのあて方にあるかな。

▶過去の、デイヴィッド・T・ウォーカー
http://43142.diarynote.jp/200712190953140000/
http://43142.diarynote.jp/201012131713443911/
http://43142.diarynote.jp/201106270438075311/
http://43142.diarynote.jp/201310181020496675/
http://43142.diarynote.jp/201508091203108498/
▶過去の、ジョージ・デューク
http://43142.diarynote.jp/200410310519500000/
http://43142.diarynote.jp/201003191716161050/
http://43142.diarynote.jp/201212131141531884/
http://43142.diarynote.jp/201308110827534904/ R.I.P.
▶過去の、ハービー・ハンコック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm
http://43142.diarynote.jp/200508230545510000/
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/
http://43142.diarynote.jp/201509220833541918/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160903
▶過去の、スティーヴィー・ワンダー
http://43142.diarynote.jp/200511130015240000/
http://43142.diarynote.jp/201008261618276388/
http://43142.diarynote.jp/201203062006429595/
▶過去の、ザ・クルセイダーズ
http://43142.diarynote.jp/200503120546520000/

<今日の、そうなんですかあ>
 一緒にショウを見た知人に、90年代に阿川泰子のサポートでT・ウォーカーが日本に来たことがあって、そのときたいそう良かったという話を聞く。あれ、そんなことあったっけ? 渋谷・クラブクアトロで、ニック・デ・カーロも同行していたと言う。あ、クアトロでデ・カーロを見た記憶はあって、彼はそんなに来日していないはずなので、そのライヴをぼくは見ているはず。記憶はじきに劣化する……。ま、しょーがねえ。流れた先で、テレビ東京は番組に使われる音楽選曲がイケている、ばんばんソウル曲がかかるという話になる。我が家は地上波が映らないので、なんともそれについては分からない。なにげにテレ東、評判いいみたいね。少し時間も深まり、カウンターの横のほうにいたカップルからシャンパンのお裾分けをいただき、別の集団の豪日ミックスの女の子には着ていた上着を褒められる。今年も、いい1年になりそうだ。
 まず、青山・プラッサオンゼで、ポルトガル語で歌うブラジル味咀嚼都会派歌手のTOYONO (1999年6月3日、2007年8月23日、2008年1月31日、2009年6月12日、2009年9月26日、2009年12月18日、2010年2月23日、2010年12月22日、2014年7月23日、2015年1月10日、2015年6月17日)のワーキング・バンドを見る。鍵盤(一部、アコーディオン)の渡辺剛、電気ベースの岡雄三、ドラムの宮川剛というずっと一緒にやっている面々で、やはりずっと在籍していたギターの竹中俊二(2007年8月23日、2008年1月31日、2009年6月12日、2009年9月26日、2009年12月18日、2010年2月23日、2010年12月22日、2014年7月23日、2015年1月10日、2015年6月17日、2016年11月7日)が抜けての改訂編成によるライヴとなる。

 そしたら、ありゃ。ぼくにとっては、今までで一番しっくり来るペリカーノ・ヘヴンの実演だった、その一因はやはりバンド構成が変わったことにあったか。達者ではあったがフュージョンぽかったギター音がなくなったのは大きい。それにより、”オルタナティヴにして、歌心を持つブラジリアン・ミュージック・ビヨンドを送り出すバンド”というイメージがとても濃いものとなった。そして、各奏者の個性もより前に出て、いいバンドであるなとも感じさせられた。

 ギター音がなくなったことでエレクトリック・ピアノ音の演奏やソロが前に出る比重は大きくなったのだが、その実力者ぶりには驚く。また、ブラジルの打楽器音とつながっている(スネアの嵩が深いものを使用していた。レギュラー・グリップで演奏)ことを実感させるドラム音も格好いいの一言。とくに、ハイハットの音はメタルっぽい音質を持つもので、これはかなり現代的とも感じるし、ヒップホップが前線にある時代のドラム音であるとも感じさせる。すごいぞ。ベースも創意を散りばめつつボトムを支える。

 オリジナルもやったが、ジョルジ・ベン(2008年9月7日、2014年7月21日、2014年7月23日)やシコ・ピニェイロ(2012年6月21日)らブラジル曲を主に披露。と書いてしまうと普通になってしまうが、そのアレンジがまたイケていて、大きく頷かせる。もう”モダン・ポップとしてのブラジル流れの音楽”という像を仁王立ちさせているもの。当然、ヴォーカルのラインも難しいものとなるのだが、TOYONOはなんなくそれをこなす。それには感心する。

 ファースト・セット最後の曲はチック・コリア(2006年9月3日、2007年10月1日、2016年9月16日、2017年9月2日)の「スペイン」。歌詞はフローラ・プリム(2000年7月10日)の妹であるヤナ・プリムが歌っていたものを聞き取り使ったそう。前にも書いたことがあるが、ぼくはこのこれ見よがしな哀愁技巧曲が大嫌い。それを得意げにやる人も、ぼくは基本二流以下と感じてしまう。が、ここで聞いたこの下司曲はスロウ化され静謐覚醒ヴァージョンともいうべきものになっていて、あぁこれはぼくがこれまで聞いたなかでNo.1の「スペイン」であると思った。

 とかなんとか、新生TOYONOペリカーノ・ヘヴンは素晴らしい。ファーストのみで、この場を離れるのはとても後ろ髪ひかれた。で、ライヴをもっと見なきゃとも思うのだが、TOYONOのとりとめのないMCがぼくは苦手でそうもいかない。悪い印象を、過剰に持ちたくないから。彼女、今年は森俊之(2001年2月18日、2001年6月29日、2002年11月15日、2003年2月11日、2004年2月21日、2005年9月14日、2006年4月17日、2008年1月31日、2011年10月8日、2012年10月10日、2013年1月6日、2016年9月27日、2017年7月14日、2017年9月22日)を伴いブラジルで録音するようだ。

▶過去の、TOYONO
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livejune.htm エスピリト
http://43142.diarynote.jp/200708270314500000/
http://43142.diarynote.jp/200802051630130000/
http://43142.diarynote.jp/200906160733018341/
http://43142.diarynote.jp/200909291504366263/
http://43142.diarynote.jp/201001051624161036/
http://43142.diarynote.jp/201002280940361567/
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▶過去の、ジョルジ・ベンジオール
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▶︎過去の、シコ・ピニェイロ
http://43142.diarynote.jp/201207031311348277/
▶過去の、チック・コリア
http://43142.diarynote.jp/?day=20060903
http://43142.diarynote.jp/200710121726160000/ 
http://43142.diarynote.jp/201609201820427313/
http://43142.diarynote.jp/201709101059289712/
▶︎過去の、フローラ・プリム
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-7.htm
▶︎過去の、森俊之
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-2.htm スガシカオ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-6.htm ナッシン・バット・ザ・ファンク
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm サンパウロ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-2.htm ナッシン・バット・ザ・ファンク
http://43142.diarynote.jp/200402051858240000/ サンパウロ
http://43142.diarynote.jp/200402211239510000/ アズ・ウィー・スピーク
http://43142.diarynote.jp/200509161722260000/ 大貫
http://43142.diarynote.jp/?day=20060417 ビッグ・ホーンズ・ビー
http://43142.diarynote.jp/200802051630130000/ TOYONO
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http://43142.diarynote.jp/201301151731112021/ ナッシン・バット・ザ・ファンク
http://43142.diarynote.jp/?day=20160927 大貫妙子
http://43142.diarynote.jp/201707151654245284/ After School Hangout
http://43142.diarynote.jp/201709240955007593/ ナッシン・バット・ザ・ファンク

 次の会場である代官山・晴れたら空に豆まいて に行くと、一番目の出演者である笹久保伸(2013年8月29日、2014年5月24日、2014年12月12日、2017年2月4日、2017年10月5日)のソロ・パフォーマンスの終盤。相変わらず、どこか人を喰ったMCをしていてクスッ。こちらの出し物は、久保田麻琴(2004年5月7日、2009年10月12日、2010年12月4日、2013年2月5日、2013年9月20日、2014年9月16日、2015年10月25日、2015年11月11日)が仕切る出し物なり。もちろん、卓扱いは彼がやっていた。

 休憩を挟んで、まず場内にモノクロームのサイレント映画が異化作用を持つBGMとともに流される。カラカラという音も聞こえ、もしやと思えば、ちゃんと映写機が持ち込まれていた。とっても古いフィルム(クレジットは英語だった)らしい。笹久保は毎度のレパートリーを演奏したようだが、この晩は映画音楽を演奏するという括りが一応設定されていたよう。

 そして、ヴァイオリン奏者の喜多直毅とピアニストの黒田京子のデュオによるパフォーマンスが始まる。両者ともに名前はいろいろ見ていて、ざっくり書けば喜多はタンゴ・ビヨンド、黒田は自由ジャズ+の奏者というイメージを持っていたが、両者は何かとデュオのライヴをしたり、アルバム作りをしている間柄らしい。

 ミシェル・ルグラン、ガトー・バルビエリ他の映画曲を演奏していくが、その重なりを聞いてすぐに思ったは、両者ともちゃんとクラシックの研鑽を積んだ末に、確かな私としてのクリエイティヴィティ〜はみ出しや余白を出しているなということ。ぼくはクラシックを取り巻く環境に偏見を持つ人間で(でも、それは歳を取るとともにだいぶ弱まっていると思う)、クラシックという言葉を負の意味合いで出す場合も少なくないと思うのだが、ここでは完全に肯定的に出している。もう音のあり方が確かで、奥行きあり。滅茶、雄弁。特に喜多はかなり濁った音やピチカートによるかっとんだ音など多彩な音を出していて、耳をひく。確かなテクニックは軽自動車ではなく排気量のデカい車を得ているのと同じアドヴァンテイジを持つよなあと、変な発想もぼくは持った。けっこう哀愁に満ちていたり分かりやすいメロディを持つ曲のもと、その絡みは通り一遍ではなく、ちゃんとしたストーリー〜起承転結を持っているのにも頷く。また、現代音楽っぽいことをやっても、この単位は映えそうだなとも感じる。ぼくは現代音楽(やフリー・ジャズ)を起承転結を換骨奪胎した表現と捉えているので。

 途中で1曲、昨年久保田制作のアルバムを出した浜田真理子が出てきて日本語の曲を歌う。普段はピアノも弾く彼女だが、ここでは歌だけ。アンコールではまず喜多と笹久保が哀愁曲をデュオで演奏。完全な、ぶっつけ本番であったそう。そして、もう1曲は黒田と浜田、そして急遽歌うことになったというおおたか静流(2016年11月10日)が出てきて、重なる。日本語歌もので、おおたかが関与した映画「しこふんじゃった。」の曲だという。おおたかの癖のある歌唱に続き浜田が歌うと、そのニュートラルな円満さが導く包容力がその魅力であるのかとも思った。

▶過去の、笹久保伸
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▶過去の、鬼怒無月
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http://43142.diarynote.jp/201509021103292742/
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▶︎過去の、おおたか静流
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▶過去の、久保田麻琴
http://43142.diarynote.jp/200405071410000000/
http://43142.diarynote.jp/200910141731349364/
http://43142.diarynote.jp/?day=20101204
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http://43142.diarynote.jp/201409171722239857/
http://43142.diarynote.jp/201510290731105395/
http://43142.diarynote.jp/201511120722274234/

<今日の、覚醒>
 温かい日差しが差し込む昼下がり、唐突にアルバムをレコード棚から引っ張りだす。故ハース・マルティネス(1999年4月21日)の1975年デビュー作、『ハース・フロム・アース』(ワーナー・ブラザーズ)。なんか、そのロビー・ロバートソン制作の佳作の断片が突然に頭のなかに響きだし、レコードをターンテーブルに乗せていた。その音とともに当時の事象や心持ちがさあーっと浮かび上がる。これもまた、音楽の記憶がもたらす贅沢な時間だな。そこにはガース・ハドソン(2013年8月2日)がオルガンで入るととともに、マルコム・セシルとロバート・マーゴウレフというスティーヴィー・ワンダー(2005年11月3日、2010年8月8日、2012年3月5日)の『インナーヴィジョンズ』期のシンセサイザー音を担った面々によるシンセ音も入っているが、“水の音”とか言えそうなそれらは久しぶりに聞いて、とても新鮮であった。その後、歌声のつながりからドクター・ジョン(2000年5月24日、2002年3月23日、2005年9月20日、2012年2月15日、2013年10月1日)を聞こうかとも思ったが、セシルが関与したリトル・フィート(2000年12月8日、2012年5月22日)の『ディキシー・チキン』(1973年)、セシルとマーゴウレフが関与したランディ・ニューマンの『グッド・オールド・ボーイズ』(1974年)と続ける。ともに、やはりワーナー・ブラザーズ系作品ですね。お、前者にはマーク・ボランの嫁さんでもあったソウル・シンガーのグロリア・ジョーンズが入っていたのか。意識したことはなかったが、後者の管音や雰囲気とかが『ハース・フロム・アース』とつながるところがある。まあ、ライ・クーダー(2009年11月5日)などもそうだが、ともにレニー・ワロンカーとラス・タイトルマン絡みのアーティストですね。両盤にともに参加しているのはウェスト・コースト・ジャズ界流れのパーカッショニスト、ミルト・ホランドだ。この後も連鎖は2作つづいたが、以下省略。やはり、大切なアナログはずっと所有し続けたい。
▶︎過去の、ハース・マルティネス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live1.htm
▶︎過去の、ライ・クーダー
http://43142.diarynote.jp/200911071134384805/
 ジョアン・ジルベルト(2003年9月12日)からのインスピレーションを一つの大きな根に置くギタリストの伊藤ゴロー(1999年6月3日、2014年8月3日)が、世界の各地で出会ったミュージシャンを迎えるライヴ・プロジェクトの第一弾。『LAND – München Hbf.』と題された今回は、ミュンヘン在住、この2月にドイツ人ピアニストとフランス人リード奏者を擁する自己トリオで独ECMから『For 2 Akis』(ECM2574)を発表するドラマーの福盛進也を迎えてのもの。そして、その2人にピアノの佐藤浩一(2014年10月22日、2016年7月11日、2017年10月27日)が加わる。

 永福町・sonorium。音の濃淡、強弱の目盛りが格段に繊細にしたような演奏が淡々と、でもある種の主張を抱えながら、送り出される。2部では、ミュンヘン駅からECM社までの道すがらをバスの車中から撮った(と、紹介していたっけ?)映像もステージ背景に写し出される。曲は伊藤の曲が多かったと思われるが、福盛の曲も演奏。キック、タム2、スネア、ハイハット、シンバル2と、彼のキットは最小限のものだった。

▶過去の、ジョアン・ジルベルト
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-9.htm
▶過去の、伊藤ゴロー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livejune.htm エスピリト
http://43142.diarynote.jp/201408061110256933/
▶︎過去の、佐藤浩一
http://43142.diarynote.jp/201410251055118180/
http://43142.diarynote.jp/201607121045394372/
http://43142.diarynote.jp/201711020707155260/

<今日の、初めて>
 ソノリウムというハコに行くのも、その最寄り駅の永福町に降りるのも、見事に初めて。駅は新しめだった。そして、白色基調のソノリウムも出来て10年ほどたつようだが、手入れがいいのか新しめに感じた。昨日ライヴを見た喜多直毅がMCで今度ソノリウムというクラシックの会場に出ますと言っていたが、ステージに置いてあるスタンウェイは備え付けのピアノなのかな。天井が高い会場は、いかにも生音音響に気を使っていそうであった。
 この日の佐藤は一歩下がって伊藤と福盛の演奏をサポートしている感があったが、正月3日に出た本田珠也ICTUSトリオの『ICTUS』(ソングXジャズ)における佐藤のピアノ演奏は本領発揮で、耳をひく。ドラムの本田珠也(2000年5月9日、2002年9月22日、2003年6月10日、2004年10月13日、2007年12月4日、2011年5月5日、2012年7月16日、2013年7月27日、2015年5月20日)、佐藤、コントラバスとチェロの須川崇志(2010年3月14日、2011年7月25日、2016年6月27日、2016年7月21日、2017年6月21日)からなる同トリオ作はカーラ・ブレイ(1999年4月13日、 2000年3月25日)の曲を中心に取り上げたもので、佐藤のオリジナルも2曲入る。どうしてブレイ祭りになったのかは知らないが、これはジャズをジャズたらしめる魅惑的なもわもわにあふれる。しかし、本田はこの1年強で、ツッペリン曲をやるZEK、本田珠也トリオ、TAMAXILLE、そして今作と4作もリーダーに立ったアルバムを出している。先の3作はそれぞれに雑誌でレヴューしたりもしたのが、どれも傾聴に値する出来で、なにげにこのところの本田はすごい。
▶過去の、本田珠也
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-5.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm 菊地雅章
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm 菊地雅章
http://43142.diarynote.jp/200410162306570000/
http://43142.diarynote.jp/200712151621260000/
http://43142.diarynote.jp/201105101010399933/
http://43142.diarynote.jp/201207180824136323/
http://43142.diarynote.jp/201307291053021427/
http://43142.diarynote.jp/201505211022511238/
▶︎過去の、須川崇志
http://43142.diarynote.jp/201003191715113498/
http://43142.diarynote.jp/201107310727152406/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160627
http://43142.diarynote.jp/201607221000152412/
http://43142.diarynote.jp/201706220952582448/
▶過去の、カーラ・ブレイ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live1.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-3.htm
 トランぺッターの田村夏樹とピアニストの藤井郷子、ここのところの2人の新春恒例となるマラソン・ライヴ企画を今年も見る。新宿・ピットインの昼の部と夜の部をぶち抜き(と、書きつつ入れ替えでもたれるが)で、夫妻に関わる表現をずずいと見せましょうというもの。ああ、今年も年も明けたなという気分になった?

 1部は、3つの出し物。
+田村×岡部デュオ
 田村夏樹(1999年8月16日、2000年6月2日、2000年10月1日、2002年8月5日、2003年1月21日、2003年4月7日、2004年7月27日、2010年8月6日、2012年7月1日、2005年2月10日、2005年11月28日、2005年12月11日、2006年7月3日、2008年8月24日、2008年12月17日、2010年1月9日、2010年6月7日、2016年1月28日、2017年1月9日、2017年9月13日) と、パーカッション奏者の岡部洋一(2000年7月29日、2000年9月14日、2004年5月28日、2004年6月2~3日、2004年6月9日、2004年11月19日、2005年2月19日、2006年7月7日、2006年8月27日、2006年12月3日、2008年1月31日、2011年2月10日、2010年12月28日、2011年8月22日、2013年2月11日、2013年2月19日、2014年2月9日、2015年4月24日、2015年6月17日、2015年10月19日、2017年12月5日) が重なる。あまり両者に接点が見えず、これは意外な組み合わせかも。ごめんなさい、終盤しか見れませんでした。
▶過去の田村夏樹
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/augustlive.htm 藤井カルテット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-6.htm 藤井3+1
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-10.htm 藤井カルテット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/framepagelive.htm 藤井3+1
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-1.htm 藤井4
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-4.htm 田村カルテット
http://43142.diarynote.jp/200407271618520000/ 藤井3+1
http://43142.diarynote.jp/?day=20040820 板橋オーケストラ
http://43142.diarynote.jp/200410162220330000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20050210 田村カルテット
http://43142.diarynote.jp/200512020244540000/ ザ・レイモンド・マクドナルド・トウキョウ・インプロヴァイザーズ・オーケストラ
http://43142.diarynote.jp/200512140951100000/ エリオット・シャープ
http://43142.diarynote.jp/?day=20060703  藤井オーケストラ名古屋/同東京
http://43142.diarynote.jp/?day=20080824 レイモンド・マクドナルド・インターナショナル・ビッグ・バンド
http://43142.diarynote.jp/200812281445103402/ 藤井4
http://43142.diarynote.jp/201001101203088126/ ガトー・リブレ、ファースト・ミーティング、ma-do、オーケストラ東京
http://43142.diarynote.jp/?day=20100607 ファースト・ミーティング
http://43142.diarynote.jp/201601301017037781/ KAZE
http://43142.diarynote.jp/201701101136544400/ Quartet Maho。Maho、 Satoko Fujii Orchestra Tokyo、Tobira―one、Satoko Fujii Quartet
http://43142.diarynote.jp/201709141146381271/ 藤井オーケストラ東京
▶過去の、岡部洋一
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-7.htm 29日ROVO
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-9.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20040608
http://43142.diarynote.jp/200406111859060000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20040609
http://43142.diarynote.jp/200411231717590000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20050219
http://43142.diarynote.jp/200607100307170000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20060827
http://43142.diarynote.jp/200612060136540000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20080131
http://43142.diarynote.jp/?day=20101228
http://43142.diarynote.jp/201102121001091213/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110822
http://43142.diarynote.jp/?day=20130211
http://43142.diarynote.jp/201302201720351212/
http://43142.diarynote.jp/201402111029354181/
http://43142.diarynote.jp/201504271015006453/
http://43142.diarynote.jp/201506181125125625/
http://43142.diarynote.jp/201510231145525391/
http://43142.diarynote.jp/201712061006171627/

+藤井ソロ
 藤井郷子((1999年8月16日、2000年6月2日、2000年10月1日、2002年8月5日、2003年1月21日、2003年4月7日、2004年7月27日、2005年2月10日、2005年11月28日、2005年12月11日、2006年7月3日、2008年8月24日、2008年12月17日、2010年1月9日、2010年6月7日、2010年8月6日、2012年7月1日、2016年1月28日、2017年1月9日、2017年9月13日)が思うまま、一人でピアノを弾く。基本、フリー・インプロヴィゼイション演奏と思われるが、彼女のなかに蓄積しているメロディや歌心が随所に浮き上がるという感じもあって、ぼくには大胆ではあるけど耳に優しいピアノ・ソロ演奏であるように思われた。
▶過去の、藤井郷子
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/augustlive.htm 藤井カルテット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-6.htm 藤井3+1
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-10.htm 藤井カルテット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/framepagelive.htm 藤井3+1
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-1.htm 藤井4
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-4.htm 田村カルテット
http://43142.diarynote.jp/200407271618520000/ 藤井3+1
http://43142.diarynote.jp/?day=20050210 田村カルテット
http://43142.diarynote.jp/200512020244540000/ ザ・レイモンド・マクドナルド・トウキョウ・インプロヴァイザーズ・オーケストラ
http://43142.diarynote.jp/200512140951100000/ エリオット・シャープ
http://43142.diarynote.jp/?day=20060703  藤井オーケストラ名古屋/同東京
http://43142.diarynote.jp/?day=20080824 レイモンド・マクドナルド・インターナショナル・ビッグ・バンド
http://43142.diarynote.jp/200812281445103402/ 藤井4
http://43142.diarynote.jp/201001101203088126/ ガトー・リブレ、ファースト・ミーティング、ma-do、オーケストラ東京
http://43142.diarynote.jp/?day=20100607 ファースト・ミーティング
http://43142.diarynote.jp/201008261616172628/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120701
http://43142.diarynote.jp/201601301017037781/ KAZE
http://43142.diarynote.jp/201701101136544400/  Quartet Maho。Maho、 Satoko Fujii Orchestra Tokyo、Tobira―one、Satoko Fujii Quartet
http://43142.diarynote.jp/201709141146381271/ 藤井オーケストラ東京

+This is it!
 これは、田村夏樹と藤井郷子とドラマーの井谷享志(2017年1月9日)によるトリオ。5、6曲やったと思うが、なにげに発展の窓を閉じることなく、明晰な組み立てがなされていると感じる。藤井はボディの中に張られた弦をいろいろいじったり、ミュートをかけて鍵盤を扱ったりするが、そのコントロールが抜群に確かと感じる。素晴らしい。聞けば、明日このトリオは渋谷・公園通りクラシックスで公開レコーディング・ライヴを行うそう。なるほど。そのエンジニアは吉田達也(2006年1月21日、2013年2月11日)がするんだとか。
▶︎過去の、井谷享志
http://43142.diarynote.jp/201701101136544400/
▶︎過去の、吉田達也
http://43142.diarynote.jp/200601271857530000/
http://43142.diarynote.jp/201302181123344904/

 2部は2組が登場。
+夏郷デュオ+森田浩彰
 田村夏樹と藤井郷子のデュオに、現代アーティストの森田浩彰が加わる。その森田は、紙めくり式の手作りデジタル表示時計を手にし、リアル・タイムの時刻にあわせて、時間を1分ごとに変えていく。人を食っている度は満点ながら、もう一つ凝ってほしいと少し思わなくはなかったが、それが実際の田村・藤井デュオ演奏と対で表示されると、演奏が導く時間の流れと現実の時間の流れに乖離が生じ、それを一目で認知できるのは面白い。しかし、田村のトランペットの音色や指さばきは、男っぽくもブリリアント。もうあの金色の楽器を完全に使い伏せているとい感覚に満ちていて、たのもしいったらありゃしない。

+「お年玉」
 ヴォイスの巻上公一 (2004年11月6日、2013年8月11日、2015年9月28日、2016年7月12日)、テナー・サックス広瀬淳二 、田村夏樹 、藤井郷子 、電気ベースのナスノミツル(2002年1月5日、2005年9月6日、2007年4月21日、2007年6月3日、2014年9月7日)、ドラムの芳垣安洋(2004年2月6日、2004年10月10日、2004年11月7日、2005年4月26日、2006年1月21日、2006年4月18日、2007年4月21日、2009年5月31日、2011年6月8日、2012年3月21日、2013年7月13日、2016年9月4日、2016年10月27日、2017年8月24日)と井谷享志という面々によるインプロヴィゼイションが最後の出し物。普段あまりやっていない、本当にご無沙汰の人や初めてやる人(ナスノ)をえいやっと呼んだよう。

 吹っ切れているが、駄目な破綻はなし。曲は藤井と田村が一曲づつ出したとのMCがあったが、なるほどちゃんと構成がされたなかでそれそれの個人技/ソロが連ねられた。旧態依然ではない自由演奏、やはりインプロ合戦表現も動いてきていると思わされた。

▶︎過去の、巻上公一
http://43142.diarynote.jp/200411071407550000/
http://43142.diarynote.jp/201308130851402454/
http://43142.diarynote.jp/201510021143165760/
▶過去の、ナスノミツル
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-1.ht
http://43142.diarynote.jp/?day=20050906
http://43142.diarynote.jp/200704251227010000/
http://43142.diarynote.jp/200706061351450000/
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/
▶過去の、芳垣安洋
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-7.htm 29日、ROVO
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-9.htm オーガニック・グルーヴ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-3.htm ONJQ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm ONJQ
http://43142.diarynote.jp/?day=20040121
http://43142.diarynote.jp/?day=20040206
http://43142.diarynote.jp/?day=20040610
http://43142.diarynote.jp/?day=20040611
http://43142.diarynote.jp/200411141142200000/
http://43142.diarynote.jp/200411231717590000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20050219
http://43142.diarynote.jp/?day=20050906
http://43142.diarynote.jp/?day=20050729
http://43142.diarynote.jp/200510030014590000/
http://43142.diarynote.jp/200511221816310000/
http://43142.diarynote.jp/200601271857530000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20060707
http://43142.diarynote.jp/?day=20060827
http://43142.diarynote.jp/200612060136540000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20070127
http://43142.diarynote.jp/?day=20090726
http://43142.diarynote.jp/200710181835010000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20091008
http://43142.diarynote.jp/201103040841482385/
http://43142.diarynote.jp/201302201720351212/
http://43142.diarynote.jp/201309021134211584/
http://43142.diarynote.jp/201602030848199962/
http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
http://43142.diarynote.jp/?day=20161027
http://43142.diarynote.jp/201708280821026300/

<今日の、軒昂な働き者>
 藤井郷子は今年、“還暦イアー”。それを記念して(?)、2018年には「月刊 藤井郷子」と題して毎月1作、計12枚の新作をリリースするという。すごいね、子供のように面白がって酔狂なことにあたれるというのは。まあ、もともと度を越して多作の人なので驚きません、2017年は7枚のCDをリリースしているそう。うち、ネルス・クライン(2010年1月9日、2010年4月23日、2013年4月13日、2014年8月14日、2015年6月2日、2017年5月13日)も入った藤井郷子オーケストラNYの『FUKUSHIMA』はクロスビート年間ムックのアルバム・ベスト10の1位にあげた。もう、タイトルで決まりですね。「月刊 藤井郷子」の第1弾、1月20日発売作はソロ演奏による『藤井郷子ソロ』(リブラ)。もちろん、簡易パッケージではなはなく、ちゃんとした紙ジャケの商品だ。で、なるほどソロでやる必然性を持つ、内側に入り込むようなヴェクトルを持つ曲が多い。自作派の人ながら、ジミー・ジュフリーの「ムーンライト」もやっている。ただし、今日の2番目のソロ・パフォーマンスはまたそれとは違う。それこそは、ジャズなり。そういえば、最後の出し物の際、巻上のヴォイスに触発され、彼女はカっとんだヴォピス・インプロヴィゼイションをぶちかました。昨年は、吉田達也とそれをやりましたね。洒落で、一作ヴォイス中心のアルバムとか出しちゃえば……とか、無責任に思ってしまった。1曲づつ共演者を変えれば、かなり変化が出てアリではないか。まあ、大変だろうけど、それが可能な人脈も馬力も好奇心もあるでしょ。
▶過去の、ネルス・クライン
http://43142.diarynote.jp/?day=20100109 田村/藤井ファースト・ミーティング
http://43142.diarynote.jp/201004250658039897/ ウィルコ
http://43142.diarynote.jp/201304150854159566/ ウィルコ
http://43142.diarynote.jp/201408161131356136/ チボ・マット
http://43142.diarynote.jp/201506070750376864/ ネルス・クライン・シンガーズ
http://43142.diarynote.jp/201705140938439184/ スコット・アメンドラ

PFM

2018年1月9日 音楽
 イタリアの長寿プログ・ロック・バンドを、六本木・ビルボードライブ東京で見る。ファースト・ショウ。
 
 このブログを丁寧に見ている人はお分かりになっているかもしれないが、いろいろロック好きではあるものの、ぼくはあまりプログ・ロックを好まない。これみよがしな複雑構成に不毛と感じてしまって……。とはいえ、ロックを熱心に聞き出した中坊のころ、ニュー・フォーマットにある高度なロック表現という感じもして(いや、そういう言説に刷り込まれ)、プログ・ロックを聞かんとしていた。特に、NHKで見た洋楽映像番組“ヤングミュージック・ショー”でハモンド・オルガンにナイフを突き刺す子供っぽいキース・エマーソンの所作には感化され、エマーソン・レイク&パーマーは当初お気に入りだった。そして、当時人気大であった彼らは“マンティコア”という個人レーベルを設立していて、そこから送り出されたのがPFMであったのだ。そのクリーム色のアルバムは、買いはしなかったがNHK-FM でしっかり流されて、リアル・タイムで聞いた。まあ、ラジオでかかる洋楽はのべつまくなし聞こうとしていた時代のいい思い出ですね。

 ステージに出てきたミュージシャンは7人。ヴォーカル/ドラム、ベース、ヴォーカル/キーボード/ギター、キーボード、ギター、ヴァイオリン、ドラム/パーカッションという編成。あたまのほう中央に立って歌ったシンガーが途中でドラム・セットに座り、それまで叩いていたドラマーはパーカッション・セットの方に移り、その際は別な人がリード・ヴォーカルを取る……。そういう、持ち楽器の変化があるバンドがぼくは好きだ。

 インスト主体の際はいまいちまどろっこしいなと思わせる場合もあるが、歌が中心の曲の場合はきらびやかなアレンジが施されたメロディアスなポップ・ロックとして楽しめる。あまりレトロ臭はなし。あと、ボー・ディドリー(2004年4月12日、2007年4月6日)・ビートを用いたりとか所々アメリカへの憧憬かと思わせる部分をぼくは感じた。曲が始まると客席側がワっと湧くものもあったが、当然ぼくは初めて聞くものばかり。2000年代に入ってから、彼らは何度も来日しているようだ。

▶︎過去の、ボー・ディドリー
http://43142.diarynote.jp/200404120828130000/
http://43142.diarynote.jp/200806121400260000/

<今日の、納得>
 ずっと触らず部屋の片隅に立てかけあったテレキャスターの糸巻き側の弦を止める6弦部分が破損していることが発覚。鬼のように杜撰で、ぶつかって倒したりしたことは度々であったので、そうしたおりに破損したと思われる。が〜ん。修理はできるよなーとか一瞬考えたが、ああこれは6弦をドロップして用いるオープンGチューニング(cf.キース・リチャーズ)専用機として使えばいいじゃんと思い直す。破損したのが、ストラトキャスターの方でなくて良かった。ぼくのイメージのなかでは、5弦でやるのはテレキャスターがお似合いというのがある。
 LA のポップ・ロック・バンド、フォスター・ザ・ピープル(2012年8月18日)を新木場・スタジオコーストで見る。新木場駅に降りたら海風が寒くてたまらんというのはともかく、都内で一番大きなスタンディング会場であると思われるスタジオコーストが埋まっていて、なんかうれしかった。

 フロント・マンのマーク・フォスターの歌の質感もあり彼らにはわりと文化系というイメージを持っていた。だが、濃いというか、きっちり要点をいろいろと抱えるパフォーマンスをしていて、出したアルバムは3作ながらアリーナ級のバンドになるような人気を集めるのも当然と思えたか。

 サポート奏者2人を含む6人で、演奏する。ツイン・ドラムで事にあたることが少なくない事実に表れているように、100分のショウはある種の強度を持ち、メリハリに富む。ヴォーカルだけでなく、ときにギターや鍵盤も弾きながら歌うマーク・フォスターの所作もなにげに肉体派という所感を与えるもので、押し出しが強い。実はステージ美術や構成に凝らないそれは今時のデカいホールでやる人気バンドとしては珍しいとも言えそうだが、彼らは音楽実演の魅力のみで観客を引きつけていたと言える。

 ちょうど中盤あたりで、米国パンク・アイコンのラモーンズの「ブリッツクリーグ・バップ」をやる一方、新作で顕著に取り入れたクラブ/エレクトロニカ要素もバンド演奏という枠を損なわずに随所で折り込む。そうした幅の広い行き方から浮かび上がるのは、しなやかなロック感覚であり、娯楽性の高いロックを送り出しているという彼らのひどくまっとうな矜持のようなもの。こういうバンドがちゃんと大きな支持を集めていることに、どこか安堵を覚える自分がいた。毎日新聞に、公演評が出ます。

▶︎過去の、フォスター・ザ・ピープル
http://43142.diarynote.jp/201209121313137885/

<今日の、思い出>
 ホテル箱根ホテル小涌園が、今日閉館したという。温泉愛好家でもないし、いわゆる温泉複合施設みたいな所にもとんと興味がないが、前に一度だけ行ったことがある。新卒で入った出版社を3年半でやめたとき、懇意にしていたレコード会社2社の方が、おつかれさま宴会ツアーを組んでくれたのだ。年の近い編集部の同僚も一緒に呼んでくれて、そこに一泊した。あそこにはいろいろ入浴施設もあったはずだが、とんとそれを活用した記憶はないなあ。飲み食い、だけだったんだろうか。主宰してくれた敏腕A&RだったYさんはその後華麗に転職したものの、事故死してしまったとだいぶ後から知った。まあオレ本当にあのころ会社員として仕事をがんばっていたと思うが、若造のためにわざわざそれなりに大げさなのを企画していただき、本当に光栄だった。そういうのも含め、今に連なる財産なんだろうな。
 ところで、サザン・ソウルのどすこい名歌手であるデニス・ラサール(2004年12月20日)が、1月8日にテネシー州ジャクソンで78歳で世に召した。心臓病を患い、一方で転落事故をおこしてしまい右足も切断。家族に囲まれ、病院でお亡くなりになったという。
▶︎過去の、デニス・ラサール
http://43142.diarynote.jp/200412212106260000/

 渋谷・映画美学校で、2017年ハンガリー映画「心と体と」の試写を見る(4月中旬から公開)。監督と脚本はいろいろな映画を撮っているという、1955年ブダペスト生まれの女性監督のイルディコー・エニェディ。東欧の国には行ったことがなく彼の地のもろもろの一端にでも触れることができたならと軽い気持ちで出かけたら、ぜんぜん当てが外れる内容だった。だが、興味深く見ることができた。

 大まかに言えば、肉体的と精神的な障害をそれぞれに持つ中年男性と20代女性のちょっとほつれたラヴ・ストーリー。場は両者が働く精肉処理工場と、家のなかと、少しのお店のなか。そして、夢のシーンとなる、鹿のいる冬の雑木林。なので、ブダペストの街並みやブダペストの風俗などはまったく描かれていない(ご飯はまずそうだは、思った)。パっと見るぶんには欧州のどの街とも取られる設定/シューティングのもと、一筋縄では行かない男女の気持ちのやりとりが描かれている。でも、だからこそどこの現代都市にもあてはまるような、普遍的な人間風景を描くことに成功しているとぼくには思えた。淡々とし、含みや細やかさがあり、エニェディさんはお上手であると感じた。血の扱いはぼくには直接的すぎるが、良い映画なのではないでしょうか。言葉は、ハンガリー語。音楽はあまり入らない映画だが、女性主人公の心境変化の場面で重要小道具として使われるフォーキー曲は英語によるものだった。

 その後は、六本木・ビルボードライブ東京で、人気ロック・バンドのキッスのシンガー/ギタリストであるポール・スタンレーのソウル・プロジェクト“ソウル・ステーション”を見る。当初、2015年9月にチャリティ目的でLAのザ・ロキシーで持たれたもので、演目はすべて著名ソウル曲。彼は一切ギターを持たず、ヴォーカルに専念する。加えて、コーラス3(女性2、男性1。彼女らのみ、アフリカ系かラテン系)、ギター、鍵盤2、管楽器3(バリ、テナー、ペット)、ベース、ドラム、パーカッション。ドラマーは、キッスのエリック・シンガーだった。

 奇抜なメイクや衣装なしのスタンレーは生理的にまっすぐ、すべてファルセットで歌う。ソウル・ステーションはファミリーであることを伝え、丁寧に誰々とやっているとか、親身に構成員のことを一人づつ彼は紹介する。いやあ、いい奴そうなのは端々から伝わってきて、かなりびっくり。彼は3人のシンガーたちにも1曲づつリード・ヴォーカル曲を与えたが、その際のコーラスに回った際の所作もほほえましい。ロックをやる以前はソウルを聞いていたという話にも納得させられますね。

 披露されたのは、テンプス(2009年11月8日、2013年8月18日、2017年3月20日)曲2、ザ・デルフォニックス、アル・グリーン、スモーキー・ロビンソン2、フォー・トップス、マーサ&ザ・ヴァンデラス、スティーヴィー・ワンダー(2005年11月3日、2010年8月8日、2012年3月5日)、スタイリスティックス(2015年12月27日)、スピナーズ、ファイヴ・ステアステップス、ザ・アイズリー・ブラザーズ(2001月12月6日、2004年3月1日)、なり。モータウン、フィリーものを主に、テンダー目の曲が数多く披露された。

 大好きなソウル曲をうれしそうに歌うパフォーマンスとともに印象に残ったのは、彼のMC。とってもゆっくりと噛み砕くように話し、時おり重要ワードは日本語で言う。これは日本人に伝わりやすいワ。こんなに日本人のことを思いやるステージMCをする人は初めてかも知れぬ。だてに何度も日本公演をやっているわけでもないなと思わせるとともに、その人間性の高さのようなものに、ぼくは頭をたれた。しかし、素のスタンレーは若々しく快活で、なかなか格好良かった。

 彼は1曲ごとに曲を説明するのだが、原曲のリード・シンガーや作曲者のことにも丁寧に触れる。そして、両手でハート・マークを作ったりしてソウル・ミュージックが真心の音楽であることも伝えもするわけで、非ソウル・ファンにもスタンレーの気持ちはよく伝わったはず。なぜ、我々はラジオから流れてきたポップ・ミュージックに一喜一憂し、それに合わせ口ずさみ、そのことを幸せな記憶として心の中に宿し続けるのか。歌にしろ演奏にしろ、純ソウルの担い手と比すと、不十分なところはある。だが、その答えを、スタンレーはありったけの音楽愛とともに出していた。

▶︎過去の、ザ・テンプテーションズ・レヴュー
http://43142.diarynote.jp/200911101136006646/
http://43142.diarynote.jp/201308191407221107/
http://43142.diarynote.jp/201703211232135720/
▶過去の、スティーヴィー・ワンダー
http://43142.diarynote.jp/200511130015240000/
http://43142.diarynote.jp/201008261618276388/
http://43142.diarynote.jp/201203062006429595/
▶︎過去の、スタイリスティックス
http://43142.diarynote.jp/201601041735456365/
▶︎過去の、ザ・アイズリー・ブラザース
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm
http://43142.diarynote.jp/200403011119270000/

<今日の、発想>
 普段はハード・ロックやパワー・ロックという類いのことをしている人でも、インタヴューしてみると、ソウル/ファンク好きであることを喜々として出す人は少なくない。たとえば、ディープ・パープル(2005年8月13日、2006年5月21日)にいたこともあるグレン・フューズ、リッチー・コッツェン、エクストリームのヌーノ・ベッテンコート(彼はポルトガル系でポルトガル語も解し、ブラジル音楽にも興味を持っていると言っていた)、ミスター・ビッグのポール・ギルバート(2016年9月26日)などはそうで印象に残っているな。彼ら、歌心を持っている? キッスに妙な歌謡性を昔かんじていたが、それには少しスタンレーのソウル好きが影響しているのかもしれない。ちなみに、キッスが世に出た頃、ブルースやファンクは好きだったが、まだ一般ソウルは好みじゃありませんでした。
▶過去の、ディープ・パープル
http://43142.diarynote.jp/200508152007550000/
http://43142.diarynote.jp/200605231801250000/
▶︎過去の、ポール・ギルバート
http://43142.diarynote.jp/201609271248503637/
 いやあ、カート・ローゼンウィンケル(2009年3月1日、2010年3月12日、2013年11月20日、2014年3月4日、2016年6月27日、2017年4月15日)好き勝手やってるなー。昨年公演がブラジル歌モノ憧憬音楽追求バンドであったのから一転、昨年夏にあちらではツアーをやっている変則トリオで今回やってきた。エフェクターを駆使するギター2本とドラム(サンプラーやパッドも使う)がけっこう自由に重なっていくという……。3人の出会いは相当前で、フィラデルフィアのレーベル“1K”から2014年に配信リリースされているバンディット65名義の『Bandit 65』は2009年に録音されたものだ。丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。

 フィラデルフィアを拠点に置いてきたギターのティム・モンザーとウィスコンシン州生まれでバークリー音大を経て1990年代半ばからNYで活動しているドラムのギンタス・ヤヌソニ(リトアニア系という)は、今様視点を持つなかなかの実力者。アラフォーかな。ともに、現代ソウルやクラブ/ヒップホップ系作品に助演していたりもするが、ジャズを通ったインプロヴァイザーとしての資質もきっちり持つのは明らか。三者対等な関係のもと個を出しつつ舞う様は、一見の価値あり。モンザーの手元や機器扱いが背中越しでまったく見えない席で見ていたのはちょい残念ではあった。本編3曲、アンコールはブルース曲をやったが、セットごとにけっこう違ったことをやっていたのだろうか。

▶過去の、カート・ローゼンウィンケル
http://43142.diarynote.jp/200903031751323247/
http://43142.diarynote.jp/201003131221091991/
http://43142.diarynote.jp/201311230757159421/
http://43142.diarynote.jp/201403051230433466/
http://43142.diarynote.jp/201606281737237220/
http://43142.diarynote.jp/201704170805443358/

<今日の、ほどほど>
 まあ晴天なので日のさす日中はいいのだが、日が暮れると寒い。ここのところは、最低気温が氷点下になっているようだ。昨年暮れから感じているが、今シーズンの冬は例年より寒さを感じる。なんか、夜の遊びは消極的になるよなあ。実はいまのところ、明けてのライヴは例年より行っているものの。。。

 音楽的にも思慮の部分でもなにかと深いと感じさせるシアトル拠点のロック・バンド(2012年1月20日)をゼップ・ダインバーシティお台場で見る。わー、彼らを見るのは6年ぶりとなるのか。なんか、ボケボケの身としては3年ぶりぐらいの感覚だよー。前回来日公演以降、彼らはバンドの活動を休止し、いろいろと個人活動に向かっていた。そして初夏にノンサッチから新作『クラック-アップ』をリリースし、いろんな所を回り、彼らはまた日本にやってきた。

 計6人(だったよな?)で、生理的に雄大な、賢人のフォーク・ロックを送り出す。それなりにエレクトリックな楽器も用いているのに、こんだけふんわりフォーキーな感覚を出すのは興味深い。とともに、それは文化〜草食系という所感も導くか。うち、一人は、2種類の管楽器、鍵盤、ギター、パーカッションなどをいろいろ持ち換えたが、フルート以外はあまり聞こえなかった。コーラスは少しザ・ビーチ・ボーイズ(2014年3月28日)みたい。

 いろいろな偉人達の表現を知ったうえで、悠々と展開される大人のロック表現。途中でフロントに立つロビン・ペックノールオは、生ギター弾き語りもした。その簡素な設定で歌声に触れると、歌がうまいなと素直に思わせられる。そのトーンは静的ではあるものの、一方では毅然とした態度の強さがあると思わせた。そして、以降どんどんスケール感が増大し、場が盛り上がっていく様には頷く。日本好きの彼らは、かつてEC (2006年11月20日) もカヴァーしていたYMOの「ビハインド・ザ・マスク」も披露。彼ら、昨日が坂本龍一(2011年8月7日、2012年3月21日、2012年8月12日、2013年8月11日)の誕生日であることも知っていたよう。ぼくは知りませんでした。

 フリート・フォクシーズについてアメリカーナという形容をする人がいるが、ぼくはまったくそうは思わない。だって、彼らの音楽にはノスタルジックなところ〜失われたものに対する郷愁が実はないし、過去US表現の残像をひねりとともに浮き上がらせる感覚がない。フォクシーズは過去には明るいものの、今と向き合い、今の事象を歌おうとしていると、今回の公演で改めて確認できた。

▶︎過去の、フリート・フォクシーズ
http://43142.diarynote.jp/201201271242599633/
▶︎過去の、ザ・ビーチ・ボーイズ 
http://43142.diarynote.jp/201403291149242320/
▶過去の、エリック・クラプトン
http://43142.diarynote.jp/200611221236140000/
▶過去の、坂本龍一
http://43142.diarynote.jp/?day=20110807
http://43142.diarynote.jp/?day=20120321
http://43142.diarynote.jp/?day=20120812
http://43142.diarynote.jp/?day=20130811

<今日の、ありがたい記憶>
 ホナウジーニことホナウド・デ・アシス・モレイラの引退報道がされた。37歳、まあいい年頃か。しかし、彼とリオネル・メッシのFCバルセロナにおける主役交代の端緒(2007年10月28日)を見ている身としては、いろいろ思うところはある。ま、一度でも彼をちゃんと現場で見ることが出来たのは良かった。サッカー選手と違い、音楽家はよく来日するのでなにかと見ることが出来る機会があり(なにより、現役で活動できる出来る期間も長いしね)、ありがたいなともふと思った? それで、今月にある高齢の名ピアニストを見に行くことに決めました。ところで、15日にザ・クランベリーズのドロレス・オリオーダンがロンドンで亡くなったことが報じられた。彼女達をクアトロで見たような気がするが。彼女達がいなかったら、ぼくはフェイ・ウォンに興味を持つこともなかったかもしれない。
▶︎過去の、ホナウジーニョ
http://43142.diarynote.jp/200711080728570000/

 仏カリブ海外県マルティニークをルーツとする在仏ピアニスト、グレゴリー・プリオヴァ(2017年4月29日)のトリオ公演を見る。左利きダブル・ベース奏者のクリス・ジェニングス、ドラムのティロ・バーソロがサポート。いろいろ重なりの妙があり、これはワーキング・グループの演奏と思わされた。丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。

 英語でMCをするプリヴァは何気にセンチな、メロディアス曲を奏でる。それがどんどん三者のかみ合いでストーリーを綴っていくような発展を生み、ときにミニマル・ミュージックのようになる場合もある。ドラマーは左手スティック、右手はマレットで叩いたりもし、この表現の鍵を担っていた。ベーシストはジャズとしてはメロディアスな音選びをしていたと思う。そして、プリヴァは時々ハミングをするなど肉声を入れるのだが、ぼくは大マルをあげたい。それ、どうってことはないのだが、確実にうれしい誘いを加味していた。

▶︎過去の、グレゴリー・プリヴァ
http://43142.diarynote.jp/201704300807298823/

 次は、態度100%ジャズ〜それゆえ、ジャズ以外の要素もそこにはいろいろと入る〜のシンガーである蜂谷真紀(2008年8月24日、2009年1月8日、2010年9月11日、2014年7月22日、2014年9月25日、2015年5月20日、2015年6月15日、2016年11月2日)のワーキング・クインテットを見る。新宿・ピットイン。

 いろんな歌唱を繰り出す蜂谷(ファースト・セットとセカンド・セット、それぞれピアノを弾きながら歌う曲も一つづつあり)に加え、トランペットの松島啓之(2014年9月25日、2015年5月20日)と類家心平(2011年5月5日、2014年6月13日、2014年9月25日、2014年12月28日、2015年5月20日、2017年6月21日、2017年9月2日)、縦ベースの須川崇志(2010年3月14日、2011年7月25日、2016年6月27日、2017年6月21日)、ドラムの本田珠也(2000年5月9日、2002年9月22日、2003年6月10日、2004年10月13日、2007年12月4日、2011年5月5日、2012年7月16日、2013年7月27日、2015年5月20日)という面々による。ベーシストが何かと本田とコンビを組む須川に代わっていたが、それにより攻める質感(そして、それと表裏一体のメロウさも)がより出ていたかもしれない。

 豊かな表情を持つオリジナル(「女王」と紹介された曲はアラブ風だった)とともに、CCR、ミンガス、オーネット(2006年3月27日)、ビリー・ストレイホーンらの曲をその変則編成のもと自在にやる。ちゃんと歌詞付きの曲をやる場合もある(一つは、須川とのデュオにて披露)が、多くは器楽的な歌唱法のもとリアル・ジャズなバンドを引っ張る。2本のトランペットの演奏と見事に渡りあったりもするそれは胸がすき、鼓舞もされちゃう。それ、贅沢にして知的な冒険感覚の享受であると感じる。そして、それに触れながら、この妙なグループ名は、ジャズとは何ぞや、今にいることを良しとしない私のジャズ表現とは? と、問いかけをする蜂谷の所信表明であるようにも思われた。

 彼女たちは、このまま20日大阪(ロイヤルホース)、21日名古屋(ラヴリー)とツアー。有機的に変化していくはずで、もし追っかけできたら至福のジャズ体験が出来るのではないか。それと、CCR の「スージー・Q」のカヴァーに触れて、1970年代あたまのヨーコ・オノ(2009年1月21日))みたいなのをアップデイトさせたぶっとび現代ジャズ・ロック・ユニットを彼女はやらないかと、少し思った。その時代、オーネット・コールマンと絡んだアルバムもありましたね。

▶過去の、蜂谷真紀
http://43142.diarynote.jp/200808260821260000/
http://43142.diarynote.jp/200901091437341082/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100911
http://43142.diarynote.jp/201407231341189225/
http://43142.diarynote.jp/201409261635554506/
http://43142.diarynote.jp/201410310931316189/
http://43142.diarynote.jp/201505211022511238/
http://43142.diarynote.jp/?day=20161102
http://43142.diarynote.jp/201707111737453393/
▶過去の、松島啓之
http://43142.diarynote.jp/201409261635554506/
http://43142.diarynote.jp/201505211022511238/
▶過去の、類家心平
http://43142.diarynote.jp/?day=20110505
http://43142.diarynote.jp/201406160956273046/
http://43142.diarynote.jp/201409261635554506/
http://43142.diarynote.jp/201412301043067796/
http://43142.diarynote.jp/201505211022511238/
http://43142.diarynote.jp/201609201648546159/
http://43142.diarynote.jp/201610100849458472/
http://43142.diarynote.jp/201709101059289712/
http://43142.diarynote.jp/201709101059289712/
▶︎過去の、須川崇志
http://43142.diarynote.jp/201003191715113498/
http://43142.diarynote.jp/201107310727152406/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160627
http://43142.diarynote.jp/201706220952582448/
▶過去の、本田珠也
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-5.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm 菊地雅章
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm 菊地雅章
http://43142.diarynote.jp/200410162306570000/
http://43142.diarynote.jp/200712151621260000/
http://43142.diarynote.jp/201105101010399933/
http://43142.diarynote.jp/201207180824136323/
http://43142.diarynote.jp/201307291053021427/
http://43142.diarynote.jp/201505211022511238/
▶︎過去の、CCRを率いたジョン・フォガティ
http://43142.diarynote.jp/201008251413325933/
▶︎過去の、オーネット・コールマン
http://43142.diarynote.jp/200603281335030000/
▶︎過去の、オノ・ヨーコ
http://43142.diarynote.jp/200901221504141906/
http://43142.diarynote.jp/201105282358273180/ ショーンの言及

<昨日の、取材>
 http://43142.diarynote.jp/201801081118162617/  の最後のほうで本田の新作『ICTUS』 に触れているが、タイミング良く彼への取材の話がきて、楽しくインタヴューした。イントキシケイト誌用。転機を聞くと、いくつかあると言いつつ、彼は3つの事項をあげた。一つは20歳でジャズ・ドラマーになると決めたとき(それまで、ほとんど人前で叩いたことはなかった。お手本は、エルヴィン・ジョーンズ。それはツェッペリンのジョン・ボーナムと質感が近くて入りやすかったからだそう)、またプーさん(1999年11月3日(2002年9月22日、2003年6月10日、2004年11月3日、2012年6月24日、2012年6月25日、2012年10月26日、2015年7月8日、2016年6月11日)や貞夫さん(2002年12月14日、2003年5月6日、2004年12月17日、2005年12月18日、2006年8月8日、2006年9月3日、2006年10月4日、2007年12月16日、2008年12月14日、2009年7月22日、2009年9月3日、2011年7月4日、2012年6月29日、2012年12月15日、2013年4月1日、2013年7月27日、2013年9月29日、2014年7月8日、2014年10月5日、2014年12月14日、2015年12月12日、2016年7月3日、2016年12月11日、2017年10月8日、2017年12月16日)と一緒にやる機会を得て、演奏家としての自我が生まれ、ただがむしゃらに叩くのではなく、自分の言葉で演奏することを求めるようになったこと。そして、ジャズ・ピアニストである父親の本田竹廣がなくなったとき(2006年)。それにより、これから自分はどう進んでいくべきかという問いかけから、ずっと4ビートを叩いていくのもなんだかなああとなり、それは好きではなかったフリー・ジャズの世界に飛び込むことにつながった。それで得たことが、現在の糧になっているそうだ。なお、彼のICTUSトリオ名義の新作『ICTUS』はプーさんから得た薫陶をの山のように出したアルバムだ。
 発売レコード会社のオフィスでそれをやった帰りにJRの山手線に乗ったのだが、新橋駅ホームからはSLがおかれた駅前広場を見渡せる。機関車に電飾がほどこされていて、なんかその様は往年の米国音楽TV番組「ソウル・トレイン」のオープニングに出てくるそれみたいと思い、ぼくはなんか感激。そんなこと感じるのは、ぼくだけ?
▶過去の、菊地雅章
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/movember1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20041103
http://43142.diarynote.jp/201207031322126509/
http://43142.diarynote.jp/201207031323242844/
http://43142.diarynote.jp/201210271744294415/
http://43142.diarynote.jp/201507091044561526/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160611
▶過去の、渡辺貞夫
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-5.htm
http://43142.diarynote.jp/20041221210502000
http://43142.diarynote.jp/200512231955480000/
http://43142.diarynote.jp/200608091255180000/
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http://43142.diarynote.jp/201207031353196616/
http://43142.diarynote.jp/201212171647134119/
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http://43142.diarynote.jp/201310050701201281/
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http://43142.diarynote.jp/201712181015052794/
 日曜日の夕暮れ時から、駆け足で3つの公演をはしご。どれも半端でしか見れず、もっとコンサートを大切にみなきゃとムキっとなる人もいるかもしれない。はい、ごめんなさい。ともあれ、異なる音楽性を持つ3つの会場はどれも満員。ライヴ市場、なかなか繁栄しているじゃん、と思わずにはいられませんでした。

 まず、青山・CAYに行く。民謡クルセイダース(2017年9月15日、2017年10月21日)のP-vine盤のレコ発ライヴ。単独かと思ったら、前座に中南米要素をいろいろと取り入れた、どこか人を喰ったところも持つピート・ポップ・バンドのカセット・コンロスが出てきて、40分ぐらいは演奏。くつろでいるんだけど、どこか塩辛い手触りをもつのはポイントか。その後30分近く会場にいて知人と話したりしていたが、会場を後にする。残念ながら、主役を見ることはかないませんでした。

▶︎過去の、民謡クルセイダース
http://43142.diarynote.jp/201709160841239914/
http://43142.diarynote.jp/201710240957109863/
▶︎過去の、カセットコンロスのメンバーの3人
http://43142.diarynote.jp/201712181017269809/

 その後、渋谷にピューと行ってWWW とWWW X、同じビルの上下にある会場をはしごする。日本人とアメリカ人がそれぞれ出るものだが、イヴェンターはともにスマッシュだった。

 まず、階下のWWWで2008年に京都で結成されたというインストゥルメンタル・バンドのJizue、その単独公演を見る。鍵盤、ギター、電気ベース、ドラムという編成で、口悪く言えば、きれいごとで固めたような口当たりのいいフュージョン調演奏を聞かせる。ここのとこ、こういう日本のインスト・バンドっていくつも出ていて、それなりに支持を集めていないか。鍵盤奏者は女性で、しぐさがどこか上原ひろみ(2004年11月25日、2005年7月31日、2006年9月3日、2009年9月4日、2010年12月3日、2011年9月3日、2011年9月9日、2011年12月11日、2012年7月25日、2012年12月9日、2014年9月6日、2014年9月7日、2016年9月4日、2016年9月15日、2016年11月16日、2017年5月7日、2017年9月28日)的。出音は音楽性とは似合わず、かなり大きい。が、各楽器音はよく聞こえた。曲によっては解散したPe’z(2005年5月2日、2005年7月29日、2005年9月21日、2006年5月29日、2006年8月9日、2006年10月24日、2007年4月14日、2009年10月29日、2012年4月22日、2015年12月19日)にいたトランペットのOhyama "B.M.W" Wataru(2009年7月27日、2011年11月22日)とテナー・サックスのKadota "JAW" Kousuke(2009年7月27日、2011年11月22日)が加わった。

▶過去の、上原ひろみ
http://43142.diarynote.jp/200411292356580000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20050731
http://43142.diarynote.jp/200609070211000000/
http://43142.diarynote.jp/200909120647256771/
http://43142.diarynote.jp/?day=20101203
http://43142.diarynote.jp/201109121452527893/
http://43142.diarynote.jp/201109151818437240/
http://43142.diarynote.jp/201112191449196187/
http://43142.diarynote.jp/201207310933428147/
http://43142.diarynote.jp/201212140959573710/
http://43142.diarynote.jp/201409100929108025/
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/
http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160915
http://43142.diarynote.jp/201611171021419374/
http://43142.diarynote.jp/201709291218574592/
▶過去の、PE’Z
http://43142.diarynote.jp/?day=20050502
http://43142.diarynote.jp/200508042335560000/
http://43142.diarynote.jp/200510030017510000/
http://43142.diarynote.jp/200605300511290000/
http://43142.diarynote.jp/200608111018540000/
http://43142.diarynote.jp/200610251745190000/
http://43142.diarynote.jp/200704151310510000/
http://43142.diarynote.jp/200910300859204528/
http://43142.diarynote.jp/201205080614265555/
http://43142.diarynote.jp/201601041733535125/
▶過去の、B.M.W./JAW
http://43142.diarynote.jp/200908071452433928/
http://43142.diarynote.jp/201111251251201578/

 一度外に出て、階段を4階ぶん登り、WWW Xへ。こちらは、NYの草食系ギター・バンドのザ・ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハート(2012年2月17日、2015年11月10日)が、日本人の前座のバンドの後に出てきて演奏している。所感は過去受けたものと大枠において変化はないが、長年の活動疲弊から来るくすみが見あたらないのは褒めていいだろう。そして、音楽性に見合うルックス〜それは、アイビー・リーガーのようと形容できようか。女性キーボード奏者はリサ・ローブ(2005年1月19日、2008年12月4日)のような眼鏡女子〜にはらしいなとうなずく。

▶︎過去の、ザ・ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハート
http://43142.diarynote.jp/201202200859586342/
http://43142.diarynote.jp/201511120022503788/
▶︎過去の、リサ・ローブ
http://43142.diarynote.jp/200501222326080000/
http://43142.diarynote.jp/200812150311286788/

<今日の、俯瞰風景>
 WWW X入り口に向かう外階段から横に広がる、かつてパルコがあった場所の工事現場がよく見える。かなり広い敷地であることと、ものすごく地下深く掘られているのが一瞥でき、驚いた。完成するのはだいぶ先だろうけど、どんなものができあがるのか。少し、ワクワクした。翌日は大雪にみまわれたが、おそらく工事は中止になったんだろうな。

 ぼくがトップ級に注視したいと思わせるジャズ・ピアニストのジェイソン・モラン(2007年1月16日、2007年1月17日、2008年4月6日、2013年1月6日、2015年1月20日、2015年1月21日、2017年4月11日)が、ベーシストのタラス・マティーン(2007年1月16日、2007年1月17日、2015年1月20日)とドラムのナシート・ウェイツ(2007年1月16日、2007年1月17日、2015年1月20日)からなるすでに15年強一緒にやっている不動のトリオでまたやってきた。南青山・ブルーノート東京。ファースト・ショウ。

 過去と輝かしい今がつながる、素晴らしいピアノ・トリオ表現。けっこうセットによって曲をごんごん変えるようだが、ぼくが見たこの日のファースト・ショウではセロニアス・モンクやモランが師事をしたジャッキー・バイアードの曲などもオリジナルとともに自在に開く。また、部分的にはステージ後方に、モランをスプ面から映す映像やグラフィック映像なども控えめに投影された。

  おもしろいなと改めて思ったのは、マティーンが相変わらずポルトガル製のフレットレスの電気ベースをいかにも縦ベース然と弾くことと、ウェイツが小さなジャズ仕様のドラム・セットのもとレギュラー/マッチド・グリップの併用で今でもあるビートを悠々と配給していること。古い偉人ジャズ・ピアニストの奏法を思うまま混ぜるモランのブリリアントな指さばき(一部、ポーンと和音を弾くとさあっと空気が代わると思わせられる箇所もあり)もそうだが、このトリオは旧い〜新しいの領域が他者と違う物差しや設計図をやっほーな感じで持っている! その様、本当に魅力的で、個性的だ。そして、1989年デビュー作以降すっとブルーノートに在籍してきたモランは現在イエスという自己レーベルを持ち作品リリースのペースをあげているわけだが、そんな彼が本当にいい状態にあるとも思わされた。

 文句を言うとすれば、今回はピアノ・ソロ公演がもたれなかったことと、超お洒落だったモランの格好がどんどんフツーになっていることなり。来週木曜毎日新聞夕刊にライヴ評が載ります。

▶過去の、ジェイソン・モラン
http://43142.diarynote.jp/200701201417260000/
http://43142.diarynote.jp/200701201418210000/
http://43142.diarynote.jp/200804081928430000/
http://43142.diarynote.jp/201301151731112021/
http://43142.diarynote.jp/201501210901575140/
http://43142.diarynote.jp/201501220923108418/
http://43142.diarynote.jp/201704131639031673/
▶︎過去の、タラス・マティーン
http://43142.diarynote.jp/200701201417260000/
http://43142.diarynote.jp/200701201418210000/
http://43142.diarynote.jp/201501210901575140/
▶︎過去の、ナシート・ウェイツ
http://43142.diarynote.jp/200701201417260000/
http://43142.diarynote.jp/200701201418210000/
http://43142.diarynote.jp/201501210901575140/

<昨日の、訃報>
 南アが輩出した偉大なトランぺッター(フリューゲルホーン奏者)であるヒュー・マセケラ(2005年7月20日)が、ヨハネスブルグでおなくなりになった。1939〜2018年、彼はこの10年ほど前立腺がんをわずらっていたという。彼がトランペットを手にした動機と反アパルトヘイトの意思は表裏一体のものだった。それゆえ、米国をはじめいろいろな所で活動した彼だが、亡命後に祖国に戻ることが許されたのは風向きが変わりネルソン・マンデラも釈放された1990年のことだった。「グレイジング・イン・ザ・グラス」という68年全米No.1ヒットも持つ彼だが、1965年以降米国ではチサというレーベルを持ち、ユニ/MCA、ブッダ、モータウン、ブルー・サムなどが配給や資金提供で助力。自身の諸作ほか、やはり米国で活動したソウェト出身シンガーのレッタ・ムブール、エレクトリック・ベーシストの走りでウェス・モンゴメリーの兄弟でもあったモンク・モンゴメリーらのアルバムもそこからリリース。また、全盛期たるブルー・サム時代のザ・クルセイダーズのアルバムもチサのロゴとともに当初送り出された。
▶︎過去の、ヒュー・マセケラ
http://43142.diarynote.jp/200507220552110000/
▶過去の、ザ・クルセイダーズ
http://43142.diarynote.jp/200503120546520000/