LA のポップ・ロック・バンド、フォスター・ザ・ピープル(2012年8月18日)を新木場・スタジオコーストで見る。新木場駅に降りたら海風が寒くてたまらんというのはともかく、都内で一番大きなスタンディング会場であると思われるスタジオコーストが埋まっていて、なんかうれしかった。

 フロント・マンのマーク・フォスターの歌の質感もあり彼らにはわりと文化系というイメージを持っていた。だが、濃いというか、きっちり要点をいろいろと抱えるパフォーマンスをしていて、出したアルバムは3作ながらアリーナ級のバンドになるような人気を集めるのも当然と思えたか。

 サポート奏者2人を含む6人で、演奏する。ツイン・ドラムで事にあたることが少なくない事実に表れているように、100分のショウはある種の強度を持ち、メリハリに富む。ヴォーカルだけでなく、ときにギターや鍵盤も弾きながら歌うマーク・フォスターの所作もなにげに肉体派という所感を与えるもので、押し出しが強い。実はステージ美術や構成に凝らないそれは今時のデカいホールでやる人気バンドとしては珍しいとも言えそうだが、彼らは音楽実演の魅力のみで観客を引きつけていたと言える。

 ちょうど中盤あたりで、米国パンク・アイコンのラモーンズの「ブリッツクリーグ・バップ」をやる一方、新作で顕著に取り入れたクラブ/エレクトロニカ要素もバンド演奏という枠を損なわずに随所で折り込む。そうした幅の広い行き方から浮かび上がるのは、しなやかなロック感覚であり、娯楽性の高いロックを送り出しているという彼らのひどくまっとうな矜持のようなもの。こういうバンドがちゃんと大きな支持を集めていることに、どこか安堵を覚える自分がいた。毎日新聞に、公演評が出ます。

▶︎過去の、フォスター・ザ・ピープル
http://43142.diarynote.jp/201209121313137885/

<今日の、思い出>
 ホテル箱根ホテル小涌園が、今日閉館したという。温泉愛好家でもないし、いわゆる温泉複合施設みたいな所にもとんと興味がないが、前に一度だけ行ったことがある。新卒で入った出版社を3年半でやめたとき、懇意にしていたレコード会社2社の方が、おつかれさま宴会ツアーを組んでくれたのだ。年の近い編集部の同僚も一緒に呼んでくれて、そこに一泊した。あそこにはいろいろ入浴施設もあったはずだが、とんとそれを活用した記憶はないなあ。飲み食い、だけだったんだろうか。主宰してくれた敏腕A&RだったYさんはその後華麗に転職したものの、事故死してしまったとだいぶ後から知った。まあオレ本当にあのころ会社員として仕事をがんばっていたと思うが、若造のためにわざわざそれなりに大げさなのを企画していただき、本当に光栄だった。そういうのも含め、今に連なる財産なんだろうな。
 ところで、サザン・ソウルのどすこい名歌手であるデニス・ラサール(2004年12月20日)が、1月8日にテネシー州ジャクソンで78歳で世に召した。心臓病を患い、一方で転落事故をおこしてしまい右足も切断。家族に囲まれ、病院でお亡くなりになったという。
▶︎過去の、デニス・ラサール
http://43142.diarynote.jp/200412212106260000/