ちゃんと11時過ぎには会場入りして、ホワイトとグリーンの最初の日本人出
演者(マスター・ロウとユア・ソング・イズ・グッド。後者のR&B応用ぐあ
いにはニコっ)を横目に一番奥まで進む。それらのステージ、すでに結構な入
りを示していて、今年はなるほどチケットが売れているのだなと思う。まず、
オレンジ・コートでスカ・クバーノ。英国のスカ・バンド主催者がキューバに
乗り込み、酒をふるまってラテン奏者たちにスカをやらせたグループとか。で
、これがまさにスカとラテンの美味しい折衷表現になっていてなかなか。ラテ
ンの滋養は本当にすごい(その具合は、ラティーナ誌に書きます)。トランペ
ット奏者はタンタン(2000年8月25日)とMCで紹介されていたような。
また、女性サックス奏者は日本人に見えた。

 そして、ソイル&ピンプ・セッションズ(ホワイト。ジャイルズ・ピーター
ソンに気に入られ、8月下旬に欧州巡業するとか)を少しとケイク(グリーン
。なんか音小さく、さっぱり情けなく。我が道を行っていたな)を途中まで見
て、念願の苗場スキー場施設の“ドラゴンドラ”に乗る。世界最長のゴンドラ
と表示されていたような気もするが、なるほど長い。10年強前にものすごくス
キーに凝ったことがあって、ゴンドラやリフトにはいろいろ乗っているはずだ
が、これだけ山あり谷ありの高低差を持つものは初めて。びっくり、スリル満
点。これで往復1000円はとっても安い。各ステージを少し見下ろせるのも
嬉しいし、山頂には当然ながら綺麗な休憩所もあるし、気分は変わるし、本当
におすすめ。行きのゴンドラ(20分強ぐらいは乗るかな?)のとき、非常に強
い雨が降る。以後、断続的に降ったりやんだり。

 現実フェス世界に戻り、レッド・マーキーのカイザー・チーフス。ちょいグ
リッターな手触りも持つ、なるほどのUKバンド。途中からは、けっこう楽し
みだったプレフューズ73(ホワイト)を見る。2DJ、2ドラム、電気ベース
という布陣にて。ベース奏者はタウン&カントリー(2003年11月27日)の
ジョシュ・エブライムスが弾いていたようだ。フュージョンがかった局面もあ
る、実演型DJミュージック……。で、そのままブリティッシュ・レゲエの重
鎮スティール・パルス。80年代中期の来日公演(後楽園ホールだった)いらい
、彼らを見る。オリジナル・メンバーはフロントに立つデイヴィッド・ハイン
ズ他一人しかいないようだが、けっこう満足できるステージ運び。かつてドレ
ッドを束ねた煙突頭がトレイドマークだったハインズはでっかいジョイントを
頭にこさえていた(苦笑)。

 そして、ペズ(フィールド・オブ・ヘヴン:2005年5月2日、他)の終
盤のほうを見て、ザ・ポーグス(ホワイト)。結構、混んでいたし、大きな反
響を受けていたな。復帰したシェイン・マガウアンはやはりかなり酔っぱらっ
ていたようで。彼らが全盛期のころはちゃんとアイリッシュ・トラッドなんて
聞いてなかったよなー。と、自分のほうの耳知識の蓄積にもほんの少し感無量
。そして、急いでROVO(2004年11月9日、他)。夜の、環境の良いフ
ィールド・オブ・ヘヴンのトリ。演奏的にも映像的にもやりたい放題できるは
ずでなにより。後ろの林にも特別な映像効果を施すのかとちょっと期待したが
、それはなし。いつもより、ゆったりとインプロヴィゼーションをしていたよ
うな気もしたが、それは環境のせい?

 その後、忌野清志郎(2004年10月19日)を途中からグリーンで。実は、
全パフォーマンスの3分の1ぐらいしか見ていないはずだが、今年のフジ・ロ
ックのベストは彼だとぼくは断言する。自分でも、びっくりしちゃってるんだ
けど。もちろん彼に悪い感情は持っていないが、今回見たいナというリストに
彼の名前はなかった。だが、偶然に見た彼は凄かった。もう、ちょっと触れ
ただけでぼくは引き込まれ、釘付け。独自の感性を通した歌唱法やMCに感心
しまくり(最後のマント・ショウはちょっと予定調和すぎるとは、感じるけど
)、バンドの演奏も最高級(管は片山広明や梅津和時ら)。フォークではなく
R&Bを基調とするときの忌野清志郎は本当にエモーショナルで素晴らしい。
途中で、ぼくは涙腺が緩んできて、困った。回りに人がいなかったら、泣いて
いたかもしれない。もう、そこにはある種の音楽の神が降りていたと言いたく
なるナ。本人も大フェスということで特別な気持ちで、気合をいれてやってい
たのではないか。とにもかくにも、フェスの有り難さを痛いぐらい感じたし、
これほどのパフォーマンスに触れてしまったらぼくの残りの人生は忌野清志郎
に絶対服従じゃんと思わせられるぐらいに感動した。

 夜中はレッド・マーキーで、米国西海岸ベイ・エリアをベースとする生バン
ドによるヒップホップ・グループのクラウン・シティ・ロッカーズ。白黒2M
Cに、女性キーボードとリズム隊。衝撃は受けないが、イヤでもない。その後
、知り合いと次々と会って、酒盛り。で、なんと……。