W杯でのアルゼンチンの結果は残念だった。やっぱり、一次リーグをぐいの
りで勝ち上がるチームは最後まで行けないのかなー。ついでに、もうひとつ
サッカーねた。今回の日本チームのフォワードを見てぼくが感じたのは、も
しかして鈴木隆行(一部の人のように“師匠”とは言うまい)って実は素晴
らしいフォーワードではなかったのかということ。実は、柳沢ほどではない
にせよ、昔からあまり好ましいとは思えなかった選手だったんだけど……ネ
。でも、どうせゴール決められないのなら、得点の可能性は減らしてでも彼
のようにしゃかりきに前線からディフェンス的行動を取り、相手のディフェ
ンダーをいらつかせ時にファウルをもらったほうが(そういう、行動が鈴木
はまたうまい)、全然ましではないか。ただでさえ、日本は中盤のほうが充
実しているのだらして。だったら、前線が身体を張って捨て石となり、得点
機会は第2列に委ねるほうが絶対に勝利に繋がると思う。実は、トルシエ、
ジーコをはじめ、外国人関係者から鈴木は意外なくらい評価が高かった。現
在はセルビア・モンテグロのレッドスター・ベオグラードに属するが、それ
も同代表を勤めるストイコビッチが望んだからだと思う。決定力にかけるF
Wとしての一つのあるべき姿なのではないのか。そして、全員サッカーたる
現代サッカーにとってそれは日本に限らずアリだろう。鈴木ぃ全日本カムバ
ック、と思ってしまった。話は飛ぶが、次の全日本の監督はオシムがなるよ
うだが、それは望外に嬉しい。すごい好きな監督で、彼の全日本が見たいと
結構昔から思っていたから。

 フェルナンド・カブサッキ(ギター、2002年9月7日、2002年9月15
日)、アレハンドロ・フラノフ(キーボード他、2002年9月7日、2002
年9月15日、2003年7月29日)、サンチャゴ・バスケス(打楽器。アオ
ラから出ているリーダー作『ラーモン』は変な、愛らしい出来だ)、ア
ルゼンチン音響派などとも呼ばれる3人のプレイヤーに彼らと何かと絡ん
でいる勝井祐二(2006年5月30日、他)や山本精一(2004年5月31日)
らのROVO(2004年11月19日、他)の面々が絡んだもの。鶯谷・東
京キネマ倶楽部。鶯谷はお祭りをやってたナ。この日、七夕なのを会場
入りしてから知る。いかんいかん、余裕がないなあ。 

 休憩をはさみ、40分強ぐらいの切れ目なしのセットを2本。そして、アン
コール。その場の気分の流れを積み重ねるような悠々としたセッションを見
せる。人力トランス系ビートのりはほとんどなく、ROVOのファンだと新
鮮と感じる人と、らしくないという人の二つに分れたのではないか。

 ちょっとレトリックも混ざるが、ぼくはジャズとロックの違いを以下のよ
うに説明したりする。瞬間瞬間の流れや瞬発力が重要視されるジャズは“点
”の繋がりからなる直線的音楽であり、一方ロックはより具体的に“面”で
表現しようとする表現である……。だが、この日の即興演奏は間違いなく、
ある意味“面”であることに留意したものだったのではないのか。意見の交
換や表出はするが、それは過度に個人プレイに走るものではなく、協調表現
のなかでそれを展開して行こうという意思を感じさせるものだったから。だ
から、会話はしているけど、過剰な突出を与えるものではない。当然、血や
涙や精液の感覚を持つものでもない。それはそれで、不満を覚える部分もな
くはないが、そういうある種まろやかだったり清らかだったりする即興表現
があってもいいだろう。誇張して言えば、川のせせらぎのような自然音のよ
うなもので会話しあっているような感じがそこにはあった(そんな音をちゃ
んと扱っていた卓担当者はZAK)。かつてカブサッキにインタヴューしたと
き、ジャズや実験音楽は嫌いだと言っていことにも、それは符号する。

 アルゼンチン・サッカーは清らかとは言えないだろうけど、この日の演奏
に触れると、アルゼンチンは相当にピースフルな人たちが多いのかもと思わ
せられるかも。まあ、カブサッキは俺たちは少数派というようなことも言
ってたはずだが。アルゼンチンと言えば、この10月には、全然音響派ではな
いが、アルゼンチンの不思議な磁力を伝える女性アーティストがシンガー・
ソングライターの鈴木亜紀さんにの招きによって、全7公演を行う。個性と
味豊かな、広がり豊かなフォークロア新伝承派。伴奏はアルゼンチン勢と日
本勢の混合による。また、国立大学の哲学の教授であもあるという彼女は上
智大学他で講演も行うようだ。