ヤントミタ

2018年4月26日 音楽
 ブラック・ボックス的ないろんな装置を扱うヤン富田(2017年3月24日)のショウを、南青山・ブルーノート東京で見る。セカンド・ショウ、満場。

 すごい横で見ていたので、いろんな人が出入りした実演の全貌はいまいち掴めなかったのだが、HPによると、いとうせいこう(2012年3月21日、2017年3月24日)、M.C.BOO(2017年3月24日)、大野由美子(2002年1月13日、2003年11月8日、2004年12月12日、2006年6月22日、2011年9月16日、2012年6月1日、2015年6月9日、2015年7月30日、2016年9月1日、2017年3月24日)、小山田圭吾(2009年1月21日、2009年10月31日、2011年8月7日、2012年8月12日、2013年8月7日、2013年8月11日、2014年3月31日、2014年10月26日、2015年6月9日、2016年8月21日)、金尾修治、SUZI KIM(2017年3月24日)、高木完、DUB MASTER X(2017年8月8日)、DOOPEES(2017年3月24日)、HIPHOP最高会議ー千葉隆史、ロボ宙といった面々が表現作りに関わったよう。

 プリセットされた音を思うまま扱いつつ、ショウは流れていく。ヒップホップ、ラウンジ/モンド、レゲエが音楽要素、3つの柱か。今回は歌謡曲を流す局面はなく、より洋楽的であったと思えたかも。出演者たちによる「スチュワーデスさん、コークをください」、「ノーズ・コークになさいますか。ドリンク・コークになさいますか」云々という他愛ない寸劇もあり。音出し編集したりノイズを差し込んだりするだけでなく、JBの真似をかますなど、ヤントミタが声を出す場面は前回よりも多し。謙虚さと俺サマ自画自賛が混ざったMC は相変わらず。とにかく、自由な人だなー、良き後輩に慕われていて幸せな人だなーという感想はどんどん膨らむ。90分はあった、パフォーマンス。アンコールでは、ギター弾きがりやスティール・パン独奏も聞かせた。

▶︎過去の、ヤン富田
http://43142.diarynote.jp/201703281831249693/
▶︎過去の、いとうせいこう
http://43142.diarynote.jp/201203260805006088/
http://43142.diarynote.jp/201703281831249693/
http://43142.diarynote.jp/201708141221583726/
▶︎︎過去の、 M.C.BOO
http://43142.diarynote.jp/201708141221583726/
▶過去の、バッファロー・ドーター/大野由美子
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-1.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200606270001320000/
http://43142.diarynote.jp/200412212058580000/
http://43142.diarynote.jp/201109171049342536/
http://43142.diarynote.jp/?month=201206
http://43142.diarynote.jp/?day=20150609
http://43142.diarynote.jp/201508051544452721/
http://43142.diarynote.jp/201609200958472477/
http://43142.diarynote.jp/201708141221583726/
▶過去の、小山田圭吾
http://43142.diarynote.jp/?day=20090121
http://43142.diarynote.jp/200911010931589797/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110807
http://43142.diarynote.jp/?day=20120812
http://43142.diarynote.jp/?day=20130807
http://43142.diarynote.jp/201308130851402454/
http://43142.diarynote.jp/201404031700136483/
http://43142.diarynote.jp/?page=2&month=201410
http://43142.diarynote.jp/?day=20150609
http://43142.diarynote.jp/201608241301049887/
▶過去の、︎SUZI KIM
http://43142.diarynote.jp/201708141221583726/
▶︎過去の、DUB MASTER X
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▶︎過去の、DOOPEES
http://43142.diarynote.jp/201708141221583726/

<今日の、訃報>
 ザ・ネヴィル・ブラザース(2004年9月18日)のテナー・サックスやソプラノ・サックス奏者であるチャールズ・ネヴィル(2000年1月12日、2003年8月9日、2012年5月14日)が、4月26日にすい臓がんでお亡くなりになった。享年、79歳。近年はマサチューセッツ州に住んでいたという。日本にはネヴィルズ公演のほかに、キップ・ハンラハンや弟アーロン・ネヴィル公演に同行来日するなどしていた。何気に、若さとつながる風通しの良さをステージ上では出す人だった。
 また、ブルーノート東京のカウンターに、小さな額に収められたボブ・ドロウ(2013年6月28日、2015年6月5日)の写真が置かれていて、彼が亡くなったことを知る。え、知らなかった。ジャズがメインストリームだった時代の、最高峰シンガー・ソングライター……。1923年12月12日アーカンソー州生まれ、2018年4月23日ペンシルヴァニア州で死去。94歳。大往生でしょう。晩年、2度も彼の来日が実現して、本当に良かった。
▶︎ザ・ネヴィル・ブラザース
http://43142.diarynote.jp/200410121001170000/
▶︎過去の、チャールズ・ネヴィル
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-1.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm
http://43142.diarynote.jp/201205221056242128/
http://43142.diarynote.jp/200702122331460000/
▶過去の、ボブ・ドロウ
http://43142.diarynote.jp/201307010908249319/
http://43142.diarynote.jp/201506070920231979/

 六本木・ビルボードライブ東京、ファースト・ショウ。出演者は米国ブラス・ロックの雄であるシカゴ(2010年2月19日)の1990 年ごろまで在籍したオリジナル・ドラマーであるダニエル・セラフィンが率いるグループで、ずばりシカゴ曲をやりますよというバンドだ。そのセラフィンはLA在住で、そのグループ名はカリフォルニア・トランジット・オーソリティという。1枚目まで本家シカゴは、シカゴ・トランジット・オーソリティと名乗っていた。

 同行者たちとステージに出てきたセラフィンは小柄、演奏まえに前方に座る客と握手したりして、気さく。ヴォーカル(唯一のアフリカ系。リード・ヴォーカルは半数でとる)、ギター、鍵盤二人(一人は、歌も歌い、ソロ・キャリアも持つビル・チャンプリン。もうひとりの鍵盤奏者がキュー出しをするなど、音楽監督役をになっていた)、ベース(「一体現実を把握している者はいるのだろうか?」であったか、1曲でリード・ヴォーカルをとったが、彼が一番歌は上手だった)の米国人バンドに、テナー、トランペット、トロンボーン(大きく見えたので、ベース・トロンボーンであったかも)の日本人ブラス陣がつく。彼ら、セラフィンから万歳ホーンズと紹介されていた。またアンコールを含め3曲で出てきてギターを弾き歌ったのは、1970年代後期にメンバーだったことがあるドニー・デイカスであったそう。

 『シカゴⅤ』(1972年)までの曲をやればぼくはにっこり(そういえば、「サタデイ・イン・ザ・パーク」はやらなかった)であったが、チャンプリンもいるということで、ぼくが感情移入できないタイプのそれ以降の曲もやる。がくっ。チャンプリンは1曲ではギターを弾きながら歌い、ソロもとるなど活躍。声量はあるのだが、音程は少し不安定であった。

 以下、感じたことを箇条書きにて。▶︎セラフィンは基本レギュラー・グリップで叩く。やはり、ジャズの素養を持つ叩き方であり、そのドラミングがシカゴ表現を成立させていたところもあるのだと気づかされる。▶︎とかなんとか、シカゴ黄金期表現は、秀でたジャズ・ロック表現そのものであったと再認識。▶︎日本人の三人は無難に管音をつけていたか。もう少し、前に出ていたほうが往年のシカゴ曲を楽しむには吉だが。▶︎その一方、シカゴの初期曲もまたメロディ性の高い、ブラス音を必ずしも必要としない好曲だらけであったとも痛感。▶︎また、ライヴでもコーラスが効いているなあと思わせる場面はいくつもあったが、シカゴ原曲もまたそうしたことに留意していた。▶︎だが、そうでありつつ、ジャズを下敷きとするブラス・セクション音を入れたのは、1970年前後のロックが持っていたフロンティア精神あればこそであったのは疑いがない。▶︎ライノから、70年代のソースを中心とするライヴ4枚組+DVDが出たが、オリジナル期の創造性や覇気はあの時代だからこそのもの? 

▶︎過去の、シガゴ
http://43142.diarynote.jp/201002211122268480/

 その後は、南青山・ブルーノート東京へ。ピアノのビリー・チャイルズ(2012年3月15日、2016年3月27日、2016年9月3日)のリーダー実演を見る。サックスのデイナ・スティーヴンス、ベースのアレックス・ボーナム、ドラムのクリスチャン・イウマンを率いてのもの。

 まず、この出し物でぼくが着目したかったのが、リード奏者のデイナ・スティーヴンス。テナーやバリ・サックスも吹く人だが、ここではアルトとソプラノを吹く。ブラッド・メルドー(2002年3月19日、2003年2月15日、2005年2月20日、2015年3月13日)やエリック・ハーランド(2005年5月11日、2007年10月3日、2008年4月6日、2013年1月6日、2017年1月12日、2017年1月13日、2017年3月10日)からジェラルド・クレイトン(2007年9月10日、2008年9月16日、2009年6月7日、2009年9月3日、2011年10月6日、2017年1月18日、2017年6月7日)やジュリアン・ラージ(2005年8月21日、2009年6月24日、2011年7月20日、2017年2月1日、2017年11月13日)までいろんな付き合いをもつい人だが、長々とソロはとらなかったもののやはり彼は実力者。ある曲のアルトのソロはよがりつつ宙に溶けていく感触があり、それはもろにオーネット・コールマン(2006年3月27日)消化をへてのものと感じさせるもので、密かに高揚。しかし、ブレイズ頭の彼、まだまだ見せていない顔を持ちそうだな。

 だが、それ以上に実演でぼくの耳をひいたのは、まったく知らない御仁であったドラマーのクリスチャン・ユウマン。実は、今回のチャイルズ・カルテット公演を聞いて感じたのは、意外なほどファットな質感を持つ演奏も聞かせるじゃんということ。そして、その所感はイウマンのドラミングによるところが大きい。その機を見るに敏などう猛なスネア遣いには一気に引き込まれる。使っているカノウプスのセットや流儀(グリップはレギュラーとマッチドの併用)はちゃんとジャズなんだが、明解な今のパッションを抱えていて好印象。今後を見守りたいな。

 作編曲者としての才も持つ(チェンバー・ジャズをやらせるとうまいですよ)チャイルズは基本ひらひらと繊細に指を這わせる人で、それは軽さにもつながる。と、当初はそう感じて聞いていたが、確かなサイドマンを介して長めな尺で繰り広げられる演奏は聞き味よし。それらは基本オーソドックスなジャズ志向を取るものであるのだが、しっかりと今の輝きを持ち傾聴すべきものであると思う。

 1957年LA生まれで、同地で活動。1970年代後半から6年ほどフレディ・ハバードのグループに在籍するとともに、重なってダイアン・リーヴス(1999年4月28日、2001年4月24日、2008年9月22日、2010年3月23日、2011年11月15日、2017年5月29日)のバンド・リーダーをしていたこともあったチャイルズはずっと西海岸住まいなため、ジャズの主流(=NY)から離れた位置にいた奏者とも言えるはず。それゆえ、彼にアルバム・デビューの手をさしのべたのはウィンダム・ヒル(ニュー・エイジ・ミュージックの代表的レーベル。結局、4作品をリリースした)だった。ずっと傍系にいたからこその風通しの良さがいい方に働いているところもあると思う。

▶過去の、ビリー・チャイルズ
http://43142.diarynote.jp/201203161146266803/
http://43142.diarynote.jp/201603281027273371/
http://43142.diarynote.jp/201609201032322395/ 渡辺貞夫
▶過去の、ブラッド・メルドー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/%7Enewswave/live-2003-2.htm
http://43142.diarynote.jp/200502232041270000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20150313
▶過去の、エリック・ハーランド
http://43142.diarynote.jp/200505141717440000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20071003
http://43142.diarynote.jp/200804081928430000/
http://43142.diarynote.jp/201301151731112021/
http://43142.diarynote.jp/201701141241544133/
http://43142.diarynote.jp/201701131141476377/
http://43142.diarynote.jp/201701141241544133/
http://43142.diarynote.jp/201703111128438897/
▶過去の、ジェラルド・クレイトン
http://43142.diarynote.jp/200709171108570000/
http://43142.diarynote.jp/200809171409066704/
http://43142.diarynote.jp/200906091637138003/
http://43142.diarynote.jp/200909120646397236/
http://43142.diarynote.jp/201110091258307349/
http://43142.diarynote.jp/?day=20170118
http://43142.diarynote.jp/201706081034584863/
▶過去の、ジュリアン・ラージ
http://43142.diarynote.jp/200508230545510000/
http://43142.diarynote.jp/200906300951327850/
http://43142.diarynote.jp/201107230819362417/
http://43142.diarynote.jp/201702021523283237/
http://43142.diarynote.jp/201711141337544172/
▶︎過去の、オーネット・コールマン
http://43142.diarynote.jp/200603281335030000/
▶︎過去の、ダイアン・リーヴス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-4.htm
http://43142.diarynote.jp/200809240100515549/
http://43142.diarynote.jp/201003261236189984/
http://43142.diarynote.jp/201705301638029304/

<今日の、笑顔>
 先に傍系と書いたが、ビリー・チャイルズの2017年新作『Rebirth』(Mac Avenue)はグラミー賞のジャズ・インストルメンタル・アルバム部門を獲得。アンコールの際にブルーノート側からお祝いの立派なケーキが出される。とても喜んでいたな。尋ねたら、出演の回すべて出しているのではなく、このショウだけのサーヴであるとか。ちなみに、もともと西海岸主導だったグラミー賞選出は、とくにジャズ部門については妙なものが選ばれるという話もありますね。なお、ジャズ公演としては、この晩の歓声はかなり大きかった。
 売れっ子セッション・ベーシストであるネイザン・イースト(2011年9月27日、2014年4月22日)のショウは、もう一人ベース奏者のジェイムズ・イーストを立ててのもの。というわけで、過去のリーダー公演と同様にかなり歌モノ〜ソウル傾向にも寄ったパフォーマンスを披露するのかと思ったら、他にシンガーを立てていない今回は基本スムース・ジャズ調でショウを進めたと言うことができるか。ただし、サイド・ベーシストを置くことに現れているように、ネイザンはかなりベース・ソロをとり、スキャットとベース音のユニゾンもいろいろ披露。また、彼は詠唱的なスキャットも何曲かで聞かせた。まったく影の存在であることを求められるジェイムズ・イーストは弟、とっても仲がいいんだな。

 南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。他にステージ上には、ドラムのスティーヴ・フェローニ(すべてレギュラー・グリップで叩いていた。元アヴェレージ・ホワイト・バンド。その後、米国で人気スタジオ・マンに。ジョージ・ハリソンとECの双頭ツアーで来日したりも)、ギターのマイケル・トンプソン(2012年6月21日 )とジャック・リー(2010年10月7日)、キーボードのケイリブ・ジェイムズ(2007年1月9日、2007年6月6日、 2014年4月22日)、ウィンド・シンセサイザーとキーボードとアルト・サックスを担当する住友紀人が立つ。やはり、みんなちゃんと演奏する。終盤には、スティーヴィ・ワンダー「ハイヤー・グラウンド」→オハイオ・プレイヤーズ「ローラー・コースター」→ワンダー「サー・デューク」のアゲアゲ・メドレーもあり。

▶︎過去の、ネイザン・イースト
http://43142.diarynote.jp/201109300923303323/
http://43142.diarynote.jp/201404260858553785/
▶︎過去の、マイケル・トンプソン
http://43142.diarynote.jp/201207031311348277/
▶︎過去の、ジャック・リー
http://43142.diarynote.jp/201010110934082197/
▶︎過去の、ケイリブ・ジェイムズ
http://43142.diarynote.jp/200701131419060000/
http://43142.diarynote.jp/200706131357530000/
http://43142.diarynote.jp/201404260858553785/

 その後は、渋谷・サラヴァ東京に移動。入店すると、短髪で短めのスカートを履いたヴァネッサ・ブレイが演奏中。ありゃ、山口コーイチと各々ソロ・ピアノをやり、その後一緒に連弾するという情報は得ていて、ブレイの名前が前にあるので、山口→ブレイの順番で演奏するのかと思ったら、残念ながら逆。うえーん。巨人ポール・ブレイ(1999年6月1日)の娘である彼女は、シャーデー・バンドのスチュワート・マシューマンらと組んだトゥイン・デンジャー(2013年4月16日)で来日したことがあったが(アルバムはデッカ/ユニバーサルから出した)、ソロ・ピアノ作品も(たぶん)2枚出している。ぼくが入ってからの演奏は耽美性と流動性の重なりが耳に残った。

 その後、不破大輔(2004年9月1日、2005年12月22日、2006年1月14日、2006年1月21日、2006年8月27日、2006年11月15日、2006年12月1日、2007年1月13日、2007年6月3日、2007年6月13日、2008年7月6日、2009年7月26日、2009年9月27日、2010年4月22日、2010年9月19日、2013年5月19日、2015年6月15日、2015年11月23日、2017年11月23日)物件に関与もしているピアニストの山口コーイチがソロ演奏。かつてポール・ブレイを見たさいのスタンダードの断片を素材に弾いていた記憶をもとに、「枯葉」とかをモチーフに指を流しもした。

 二人の連弾は2曲。最初は左側がブレイで山口が高い鍵のほうに座り、二つ目は両者位置を変える。ショウが始まる前に少しお手合わせはしたのだろうけど、そこはかとない諧謔に満ちたかみ合いあり。ヴァネッサのお茶目な面も出ていた。

▶過去の、渋さ知らズ
http://43142.diarynote.jp/200409010713470000/
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http://43142.diarynote.jp/201305260923241736/
http://43142.diarynote.jp/201506161247423392/
▶過去の、渋さ以外の不破大輔
http://43142.diarynote.jp/200512231
http://43142.diarynote.jp/200706061351450000/
http://43142.diarynote.jp/201511250531202253/
http://43142.diarynote.jp/201605170939589783/
http://43142.diarynote.jp/201711241828493970/
▶︎過去の、ヴァネッサ・ブレイ/トゥイン・デンジャー
http://43142.diarynote.jp/201304180910514763/
▶過去の、ポール・ブレイ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livejune.htm

<今日の、てへっ>
 タクシーで移動したのだが、呑気に電車とか使っていたら、ヴァネッサ・ブレイの演奏はほとんど聞くことができなかったかもしれない。帰り際、出口の横にブレイがいたので、軽く話しを交わす。カーラ・ブレイ(1999年4月13日、 2000年3月25日)と別れた後にポールが結婚したヴィデオ・アーティストであるキャロル・ゴスとの娘さん。トゥイン・デンジャーのときとは同じ人とは思えないと伝えると、微笑む。ちょい接した感じは、かなり人間味のある人という印象も。お父さんも才気走りまくっていたが、情に満ちていた印象はあるもんなー。ま、なんだかんだで、父親の存在を認識させるところはある。今日会場にいた人もポール・ブレイ流れで来ていたのではないか。今はピアノに専念することになったのかと思えば、そんなことはないそう。なんと、トゥイン・デンジャーは続いていると明言。インプロヴィゼーション音楽もポップ・ミュージックもハイブリッドに抱える。それが、今のミュージシャンの特権だ。ところで、会場で日本のECM浸透の元締め的存在であり、今はジャズ・サイト<JAZZ TOKYO>を主宰する稲岡邦弥さんがいらっしゃった。知人が紹介してくれたので、初めましてと挨拶したら、「会っていますよ、チリチリした髪型をしていたでしょ」。ありゃ、確かに1990年代初頭にはそういう弾けた髪型をしていたこともありましたー。
▶過去の、カーラ・ブレイ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live1.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-3.htm
 新横浜・日産スタジアム/横浜国際総合競技場に久しぶりに行く。横浜F・マリノスとヴィッセル神戸の試合。少し前までオーストラリア代表を指揮していた豪州人監督のポステコグルーによるマンチェスター・シティ流れ(?)の今様なF・マリノスの戦術取りと、Jリーグ一番のワールド・クラス選手である神戸のポドルスキーを一気に確認できるチャンスであると行った。そしたら、前者は生でいろいろ確認できたが、ポドルスキはサブにも入っておらず、累積警告? ま、こんなこともあるさ。7万強の収容人員をほこるなか、16000人強の入り。

 成績は良くないが、なるほど新しい戦術を与えられて、F・マリノスの選手は新鮮だろうな。F・マリノスはキーパーも攻撃時はセンター・サークル付近まで上がり、フィールドプレイヤー的な仕事もより求められる。攻撃時は両サイド・バックが中に絞り2バックになるという話も聞いたが、バランスをとって3バック的に見える場合も多かったか。キーパーを逆頂点に攻撃がすすめられる感じも時にあって、こういう役割を求められる存在がいると、子供達のキーパー人気は上がるのではないかとも思えた。この試合においては高い守備位置の隙を取られる場面はあまりなかったが、ポドルスキがさっと早い振りでロング・シュートを決めちゃうなんてシーンもぼくは期待はしていたのだけれど。

 前半はマリノスのペースで9割方ボールを支配していたが、0-0。もう少しシュートを打ってほしいとイラっ。天野のワン・パターンに見えるコーナー・キックに後半いらいら(最後に、ショート・コーナーをやった)。結局、1−2で神戸が勝ったが、試合後にマリノスのサポーターたちは挨拶に来た選手たちを暖かく迎える。接していてかなりストレスのかかる試合結果であったはずだが。リーグ下位に甘んじているものの、今年の戦術の面白さを理解し、長い目で見ようとしてそういう反応になっているとしたら、F・マリノスのサポーターはとっても大人だと思った。

 2軒飲み屋を挟んで、横浜・エアジンに行き、スイス人5人組のイカルスの実演を見る。日本ツアーの最終公演となる。
 
 曲作りもするドラマーのラモン・オリヴェラス、ヴォーカルのアンナ・ヒルシュとアンドレアス・ラライダ、ピアノのルッカ・フリース、コントラバスのモー・マイヤーがその構成員。つまり、ピアノ・トリオの単位に、女男のヴォーカルがのる。2006年以降ECMから6作品を出しているニック・ベルチェのレーベルから出ている彼らのアルバム『Chronosome』(Ronin Rhythm Recoeds、2016年 )は、リーダーのラモン・オリヴェラスとニック・ベルチェ(2006年10月26日、2008年4月27日、2012年12月23日、2015年10月14日)がプロデュース。なるほどベルチェ流れの反復調のアコースティック・サウンドに、いろんな絡み方を見せる男女スキャットが重なる。

 ヴォーカルは様々な感じで、重なる。様々な肉声のイマジネイティヴな処方あり。時には吃音を用いたりもし、リヴァーヴ効果を介したのは1曲だけだったか。トリオ音も純生音ながら、奏法や発想でオルタナティヴな道に進みでる。この演奏とヴォーカルが拮抗する行き方は、どういう発想のもと生まれたのだろう。世の中にはいろいろな進み方がある。

 サイモン&ガーファンクルの「スカボロ・フェア」を改変したものをやったら具合いいんじゃないかともと、絡み合うう二人の歌を聞きながらふと考える。だが、メンバーは30代ぽく、サイモン&ガーファンクルのことを知らない世代であるのかとも思う。でも、親が聞いていて、家にレコードがあったとかはありそう?

 ところで、この前見たスイス人デュオのアリオーズ(2018年3月20日)も美男美女だったが、イカロスの面々もそう。へえ、スイスに行ってみたいなと思ったか。←そこかよと、ツっこんでいただきたい。

▶過去の、ニック・ベルチェ
http://43142.diarynote.jp/200611020835110000/
http://43142.diarynote.jp/200805031359390000/
http://43142.diarynote.jp/201212240918419016/
http://43142.diarynote.jp/201510180830142014/
▶︎過去の、アリオーズ
http://43142.diarynote.jp/201803230853439312/

<今日の、初めて>
 日産スタジアムに、行きは小机駅から行く。へえ、信号なしで着いた。また、エアジンには初めて行く。お、KAMOMEの近くにあるのね。お酒の盛りがよくて、好印象。ぬいぐるみみたいな犬のハナちゃんもいた。
 ブルーニ・マーズを見に、さいたま新都心・さいたまスーパーアリーナまで行ってきた。一人の旬の対象に、みんなでぎゃーと盛り上がる。うぬ、なんか、抗しがたい快感があるのは間違いない。変な言い回しになるが、“大衆の一員になる快感”を存分に受ける。マジョリティはカッコ悪いという思考回路を基本持ち、たとえばライヴにしても普段は5人〜200人の会場に行くことが多いぼくだが、うきうきしまくっている山のような人たちのなかにいると、うれしくも自然に高揚してきちゃう。なんなんだろ、そういう人間心理……。

 ぼくが座った席は、かなり横のほうではあるものの、ステージにはけっこう近い位置。さいたまスーパーアリーナのキャパは2万を超えるそうだが(アリーナ・フロア後方はスタンディングであり、けっこうステージ後方スタンドまで人を入れていたので、通常のコンサート入場数より入っていたかもしれない。関西などでは持たれないものの、この巨大バコの4日間の興行がすぐに売り切れとはやはり驚く。会場全体を見渡すと、アリーナからすごい上のスタンドまで人、人、人。荘厳と書くと言葉の使い方を誤っているかのしれないが、すごい光景がごわーんと広がっていると思わずにはいられず。のべ10万人、彼は今もっとも動員力のある洋楽の担い手だろうし、邦楽を普段聞いている人にもっとも親しまれている存在であるのは疑いがない。でなきゃ、これだけ人が集まるわけがない。また、地方から来ている人も少なくないだろう。

 場内暗転。そして、観客はすぐに総立ち。嬌声、歓声湧き上がり、それは最後まで。かなり奥行きを持って取られた(30メートルぐらいはあったはず)ステージはアリーナ級公演としては比較的シンプル。3方を囲む幕があき、ステージ上のブルーノ・マーズたちが動き、音を出し、声をだし、ショウはスタートする。ライティングもわりと凝らない。その分、人間の生身の動きをアピールするゾということか。ながら、2曲目「24k マジック」の際の轟音ととも上がる火柱にはびっくり。何度もなされたそれは、迫力満点だった。

 本人に加え、ザ・フーリガンズと名付けられるサポート・バンドはギター、ベース、テナー/アルト・サックス、トランペット、トロンボーン、キーボード、ドラムからなる。後方の固定された位置にいる鍵盤奏者とドラマー以外は、終始マーズとともに動き、魅せる。管楽器の3人のうち、二人はブラス音を用いないときはバッキング・ヴォーカルを取り、かなりマーズと絡む。また、もう一人はキーボードを弾く。動きともどもそれらは整備されている。そこらあたり、まずは身体を揺らすことが第一になっちゃい厳密なところはよく分からないのだが、専任のコーラス担当がいたんじゃないのという人もいた。マーズは2曲だったかギターを弾きながら歌った。

 面々の格好は、バカみたいにカジュアル。皆、野球かバスケットボールのユニフォームを身につけている。マーズはFooligansという胸文字(背番号は24k、その上にMarsの文字)が入った野球の上着を来ていたが、他の面々はバスケットボールのレイカーズやブルズ、野球のフィリーズなど既成チームのユニフォームを着ていたような。アメリカの観衆はそれを見て、自分の贔屓のチームのものじゃワーイor憎きあのチームの格好をしているエーン、となったりするのかもしれない。なんにせよ、気取りなく気やすく、たいそうフランクな姿勢を取るのは、彼の多大な人気を支える大きな要因だ。

 音響の良くない会場(やはりドラム音とかズレた場内反響音はデカかった)でありながら、音は比較的まっとうに聞こえた。ぼくの目と耳でチェックしていた限り、生音で勝負していたんじゃないか。少なくてもそう受け手に取らせる見せ方を鋭意とっていたわけで、ここにぼくはマーズの音楽家としての矜持を見た。そんな彼の歌もよく聞こえた。やはり、総合点がブルーノ・マーズは高い。ちょい日本語に置き換えた曲もあり、キュート。より歓声は湧きますね。

 とかなんとか。スウィートなメロディとダンス感覚が交錯した、娯楽感覚満載のショウが1時間半繰り広げられた。今のメインストリーム・ポップの、多大な成功例。1980年代のソウル感覚とヒップホップ時代の今のヴァイブと彼なりのポップネスの明快にして爽やかな饗宴があった。

<今日の、余禄?>
 U2(2006年12月4日)、レディオヘッド(2008年10月4日 )、ミューズ(2013年1月11日)公演いらい、5年ぶりの埼玉県行き。そういえば、80年代後半からしばらくの間は、新横浜・横浜アリーナで人気者の公演がもたれていたが、すっかりご無沙汰だなあ。平気で、15年は行っていない。やはり遠いが、家から行くにはそちらのほうが近くて歓迎なのだが。
 観客は女性比率が高かった。隣のおねえさんたちと仲良くなっちゃい、マーズ公演言うことないな(笑)。これも、高揚感に溢れたアリーナ公演ならでは? 気張って(ともに、チケット代は高い)マーズとも親交のあるエド・シーラン(2014年8月8日)の武道館公演にも行く人はどのぐらいいるのだろう。
▶︎過去の、U2
http://43142.diarynote.jp/200612070141170000/
▶︎過去の、レディオヘッド
http://43142.diarynote.jp/200810061856366600/
▶︎過去の、ミューズ
http://43142.diarynote.jp/201301161539362845/
▶︎過去の、エド・シーラン
http://43142.diarynote.jp/201408111158311684/

 南青山・ブルーノート東京で、30年を超える積み重ねを持つザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズ(1999年8月2日、2010年2月22日、2013年9月18日、2014年10月23日、2017年2月9日)を見る。リード・シンガーは前回につづき、スリーン・フレミング(2015年7月9日、2017年2月9日)。2菅を擁する8人編成のそれは、1年強前の来日公演とまったく同じ顔ぶれだ。キーボード奏者のマット・スティールや女性パーカッショニストのリリー・ゴンザレス(歌もいける)もザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズのサポートの常連さんですね。

 というわけで、大きな変化は望めないだろうし、まさか日本在住なはずのザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズ黄金期シンガーのエンディア・ダヴェンポート(2010年2月22日、2015年8月18日、2017年3月29日)がひょいっとステージに上がる可能性も低そうであるし、「ユー・アー・ザ・ユニヴァース」他の高揚感を持つキラー・チューン群の朽ちぬ輝きを屈託なく浴びることができたらOKと思い会場に出向いた。

 そしたら、記憶にあるなか、一番ジャジー・ソウルなパフォーマンスを見せたかもしれない。各人のソロもばんばん披露されたし、一発ものインストも2曲披露。とはいえ、歌ものバンドという骨格を崩さなかったのは、フレミングの強固な喉と楽曲の良さゆえだろう。まあソロも複数取ったテナー・サックスとトランペットの二人のセクション音はなかなかいける。スライ・ストーン(2008年8月31日、2008年9月2日、2010年1月20日)もE.W.&F. (2006年1月19日、2012年5月17 日)もマイケル・ジャクソンの菅音も器用にいろいろ出て来て、うけるぅ〜。ドラムのルーク・ハリスのソロはスティーヴ・ガッド(2004年1月27日、2010年12月1日、2012年11月26日、2013年9月3日、2004年1月27日、2010年12月1日、2012年11月26日、2013年9月3日、2016年2月19日、2016年12月6日、2017年6月12日)が大好きなことを出していてなるほど〜。そうした指針は少し荒いという感想も抱かせるが、飽きさせることはなかった。これは3日間の中の最初のセット、後日のものはまた異なる様相を出すのだろうか。

 しかし、二人のオリジナル・メンバーであるバーソロミューとレヴィは見かけがそんなに変わらないなあ。めでたし、めでたし。
 
▶過去の、ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/augustlive.htm
http://43142.diarynote.jp/201002280939559070/
http://43142.diarynote.jp/201309201841355632/
http://43142.diarynote.jp/201410251056112035/
http://43142.diarynote.jp/201702100924466798/
▶︎過去の、スリーン・フレミング
http://43142.diarynote.jp/201507110856518338/
http://43142.diarynote.jp/201702100924466798/
▶過去の、エンディア・ダヴェンポート
http://43142.diarynote.jp/201002280939559070/
http://43142.diarynote.jp/?day=20150818
http://43142.diarynote.jp/201704031056083140/
▶過去の、スライ・ストーン
http://43142.diarynote.jp/200809011923060000/
http://43142.diarynote.jp/200809071428140000/
http://43142.diarynote.jp/201001211346277187/
http://43142.diarynote.jp/201505201630381899/ 映画
▶過去の、E.W.&.F.
http://43142.diarynote.jp/200601271855390000/
http://43142.diarynote.jp/201205301252113538/
▶過去の、スティーヴ・ガッド
http://43142.diarynote.jp/200402051855170000/
http://43142.diarynote.jp/201012051903113851/
http://43142.diarynote.jp/201212101904379741/
http://43142.diarynote.jp/201312171510083393/
http://43142.diarynote.jp/201410220711345595/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160219
http://43142.diarynote.jp/201612091513593556/
http://43142.diarynote.jp/201706130913351348/

 その後は、青山・プラッサオンゼに回る。シンガー/ピアニストの祐生カオル(2017年6月15日)の『ライヴ・アット・プラッサオンゼ 2017〜トリビュート・トゥ・イヴァン・リンス』(配給は、ラッツパック)のリリースを祝うライヴのセカンド・セットを見る。1時間を大きく超える長さで、会場はフル・ハウスなり。CDは昨年9月28日にここで、オノセイゲン(2000年3月12日、2009年1月17日、2011年8月4日、2012年6月7日、2013年1月30日、2014年4月20日、2014年7月28日、2014年9月23日、2014年10月8日、2014年10月11日、2015年4月17日、2015年9月13日、2015年9月24日、2015年10月9日、2016年3月14日、2016年5月22日、2016年7月26日、2017年5月7日、2017年8月23日)の手によりレコーディングされた。

 サポート陣は、そのライヴ盤と同じ、ORIBASTONEと名乗る面々。ギターの小畑和彦(2016年7月25日)、エレクトリック・ベースの織原良次(2016年7月16日)、ドラムの石川智(2012年11月10日、2016年7月25日)という顔ぶれなり。かなり、ファミリアな感じでもある。石川智はきっちりレギュラー・グリップで演奏。右は金属(シンバル)、左は皮(スネア)を叩くという役割をまっとうさせるには、マッチドでないほうが良いという哲学を持っているという。

 アルバム・タイトルの副題にあるように、イヴァン・リンス(2002年5月1日、2009年3月17日、2010年3月9日、2012年4月12日、2016年8月28日)の楽曲でかためたアルバム収録曲を、さらにアルバムには入っていないリンス曲も加え、悠々と披露していく。彼はリンス曲を日本語歌詞で開くという実演もやっているが(ぼくが見た昨年のライヴはそうだった)、この晩はアルバム同様に原詩にて歌った。リンスの許可がおりれば、日本語に代えたリンス曲集も作りたいという意思も祐生は持っているようだ。

 リンス楽曲の良さと祐生の技や気持ちが、ともに伝えられるパフォーマンス。歌唱にスウィートさをそこはかとなく抱える祐生はスキャットも適時入れつつ、リンスの曲に、柔和に彼なりの覇気や温もりや色合いや奥行きを加えていた。

▶︎過去の、祐生カオル
http://43142.diarynote.jp/201706190920527378/
▶過去の、オノセイゲン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-3.htm
http://43142.diarynote.jp/200901181343426080/
http://43142.diarynote.jp/201108101630438805/
http://43142.diarynote.jp/201206110945571082/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130130
http://43142.diarynote.jp/201404251643448230/
http://43142.diarynote.jp/?day=20140728
http://43142.diarynote.jp/201409261635077130/
http://43142.diarynote.jp/201410210814495715/
http://43142.diarynote.jp/201509250943244179/
http://43142.diarynote.jp/201603151140427186/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160522
http://43142.diarynote.jp/201608020801362894/
http://43142.diarynote.jp/201705081232023349/
http://43142.diarynote.jp/201708240028435013/
▶︎過去の、小畑和彦
http://43142.diarynote.jp/?day=20160725
▶︎過去の、織原良次
http://43142.diarynote.jp/201607191312426603/
▶︎過去の、石川智
http://43142.diarynote.jp/?day=20121110
http://43142.diarynote.jp/?day=20160725
▶︎過去の、イヴァン・リンス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-5.htm
http://43142.diarynote.jp/200903191857117123/
http://43142.diarynote.jp/201003101342028780/
http://43142.diarynote.jp/201204150908588685/
http://43142.diarynote.jp/201608291403509244/

<今日は、困憊気味>
 遊びなんだけど、朝8時から出かけ(やはり朝の電車の混み具合はひどい)た今日は2万歩近く歩いた。うー、足にマメができてしまった。車一辺倒だった時期を経て、近年は少し歩くようになったと思うのだが、人間機能活用には程遠い……。ところで、13時すぎには、某有名居酒屋に行く。満席(みんな、昼間から暇だねー)で、15分ほど待たされた。値段はフツー、味と量はダメ。若めの勤労者たちに笑顔を作れとまでは望まないが、なんかギスギスしているのも駄目だった。もう繁盛していることにアグラをかきっぱなしのように感じられ、げんなり。
 すでに50年近い歴史を持つ、ミネソタ州セイントポールのカレッジで結成(その後、双子都市のミネアポリスに本拠を置く)のゴスペル・クワイアー表現を基に置く大型&総花系黒人コーラス・グループであるサウンズ・オブ・ブラックを見る。彼ら(今と構成員はけっこう異なると思われる)はジャム&ルイスのプロデュースで1991年にパースペクティヴ/A&Mから初アルバムを出して、日本でも知られる存在となった。アフリカン・アメリカン文化史をも胸を張ってくくらんとする面々は、プリンス(2002年11月19日)の『バットマン』(1989年)、ジャネット・ジャクソンの『ジャネット(1993年)、スティーヴィー・ワンダー(2005年11月3日、2010年8月8日、2012年3月5日)の『カンヴァセーション・ピース』(1995年)らに入ってもいる。

 サウンズ・オブ・ブラックネスの結成時からシンガーたちをまとめる音楽ディレクター/キーボードのゲイリー・ハインズ はいまだ健在なのか。演奏陣は彼を助けるビリー・スティール(主キーボード)に加え、ラリー・シムズ(トランペット)、 ホアン・ナヴァロ (トロンボーン)、ヨハネ・トナ (ベース)、ラリー・ロビンソン(ドラム)、 ダリル・ボードルー(パーカッション)という面々。そして、ステージ前面に立つシンガーは今回9人。キャリー・ハリントン 、パティー・レイシー、ジェームシア・ベネット、アシュリー・コモドア、アーティシャ・ナイト、レオナルド・ジョーンズ、メリッサ・ケネディ、ジェフリー・ジョーンズ、ラリー・シムズ という面々で、リードは基本3人の女性がとる。うち男性は二人で、アンコール曲で彼らは中央に位置した。六本木・ビルボードライブ東京。

 確かな音楽的大志と娯楽性が溶け合う。演奏隊はたしかだが、ソロの類は一切取らず、様々な重なり方を見せるコーラス隊をきっちりサポート。セカンド・キーボード奏者を務めていたゲイリー・ハインズは一部はステージ中央に出てきて、シンガーたちを指揮する。同郷のプリンスの「パープル・レイン」はアカペラで披露。また、スライ&ザ・ファミリー・ストーン・メドレーもやる。楽しく、堪能。また、来ていただきたい。

▶過去の、プリンス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm
▶過去の、スティーヴィー・ワンダー
http://43142.diarynote.jp/200511130015240000/
http://43142.diarynote.jp/201008261618276388/
http://43142.diarynote.jp/201203062006429595/

 続いて、南青山・ブルーノート東京でレイラ・ハサウェイ(1999年7月14日、2002年5月13日、2003年8月19日、2004年5月10日、2008年5月13日、2010年7月13日、2012年1月5日、2013年1月25日、2016年12月12日)を見る。

 バンドは、キーボードのリネット・ウィリアムス(2016年12月12日)、ベースのエリック・スミス(2016年12月12日)、ドラムのタバリウス・ジョンソン、バックグラウンド・ヴォーカルのデニス・クラーク(2016年12月12日)、DJ のDJスパークという面々。キーボード奏者とともにDJも女性。そのDJスパークは早めにステージに出て来て、音を流すが、かけたのはハービー・ハンコック/ヘッドハンターズの「ウォーターメロン・マン」、ザ・ジャクソン5「ABC」、スティーヴィ・ワンダーの「サー・デューク」といった著名曲のさわりで、彼女◯△□(楽曲をやっている人の名前)は好きぃ?と煽り、かけた曲の著名リフレイン唱和を客に促す。あはは、こういうDJもありなのね。

 ハサウェイは昨年、クリス・デイヴ(2009年4月13日、2009年12月19日 、2010年12月16日、2012年9月21日、2013年9月28日、2015年8月18日、2016年1月25日、2016年10月11日)の2018年作やテラス・マーティン(2016年6月2日、2016年9月3日、2017年9月26日)の2016年作にヴォーカリスト参加していたティファニー・ゴウチェの制作でレクトロ・ソウル調の味付けも持つ『HONESTY』を自分のレーベルから出しているが、プリセット音を堂々流しそのノリを貫く曲もあり。また、エレクトエリック・ピアノ音色キーボードとのデュオ的な行き方を出すものもある一方、2曲ほどはギターの音も聞こえたので、その際もプリセット音を使っていた。本編では控えめなDJクイックはときにスクラッチ音を入れる場合もあり。それから、親ダニーのライヴ曲メドレーもあり。ニコっとならないはずがない。レイラさん、なんか思うまま自由だなーと今回思えたか。それから終盤でTOKU(2000年2月25日、2001年9月6日、2004年3月10日、2006年2月16日、2008年8月19日、2011年3月16日、2012年6月19日、2013年9月22日、 2014年2月5日、2015年3月19日、2015年3月28日、2016年3月1日、2016年12月12日)が出てきて、スキャットとフリューゲルホーンで加わった。

▶過去の、レイラ・ハサウェイ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/julylive.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-5.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm マーカス・ミラー
http://43142.diarynote.jp/200405101355540000/
http://43142.diarynote.jp/200805181145040000/
http://43142.diarynote.jp/201007141512402845/
http://43142.diarynote.jp/201201131544153279/
http://43142.diarynote.jp/201301270742196778/
http://43142.diarynote.jp/201612171246253699/
▶︎過去の、リネット・ウィリアムス
http://43142.diarynote.jp/201612171246253699/
▶︎過去の、エリック・スミス
http://43142.diarynote.jp/201612171246253699/
▶︎デニス・クラーク(2016年12月12日)
http://43142.diarynote.jp/201612171246253699/
▶過去の、クリス・デイヴ
http://43142.diarynote.jp/200904150840164356/
http://43142.diarynote.jp/201001051625155901/
http://43142.diarynote.jp/201012171104366095/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120921
http://43142.diarynote.jp/?day=20130928
http://43142.diarynote.jp/201601260728484520/
http://43142.diarynote.jp/201610141747514263/
▶過去の、︎テラス・マーティン
http://43142.diarynote.jp/201606121215168031/
http://43142.diarynote.jp/201609201032322395/
http://43142.diarynote.jp/201709271304386855/
▶過去の、TOKU
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-2.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-9.htm ロニー・プラキシコ
http://43142.diarynote.jp/200403101442170000/
http://43142.diarynote.jp/200602171950040000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20080819
http://43142.diarynote.jp/201103171354125352/
http://43142.diarynote.jp/201206210944302024/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130922
http://43142.diarynote.jp/201503211741478728/
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http://43142.diarynote.jp/201612171246253699/

<今日の、願かけ>
 ヴァヒド・ハリルホジッチが、サッカーの日本代表チームの監督を解任された。2ヶ月前というのは、直前すぎる。あのチーム状況だとクビになっても仕方はないが、協会ほんとグズ。使えねえ。
 ぼくは日本と世界のサッカー強豪国との差異が一番大きいのは、指導者の力量や哲学ではないかと思っている。今、海外でそれなりに活躍している選手はいるけど、いま指導者では藤田俊哉ぐらいか。そりゃ、アマチュアのカテゴリーではもっといるだろうけど。というわけで、個人的には外国人監督推しである。こと今年のJ1を見ても、横浜、鳥栖、清水、セレッソら外国人監督のチームのほうが試合運びは面白いとぼくは思う。話はズレるが、そうでありつつ、浦和で好き勝手やったペトロヴィッチが指揮をするがゆえ札幌には興味が持てない。元々はペトさん、コンテンポラリーな戦術を持つ人であったはずだが、その人間性かな〜?。また。定評あるクルビのガンバ大阪は、一体どーしゃちゃったんだろ? 定評がなかったら、とっくに彼は更迭だろう。ガンバの応援者たちにとっては悪夢だった、セホーン/ロペスは5試合で切られた。一方、2016年の東京での采配でダメ烙印を押されたはずの城福が広島に入り、めちゃ調子いいのはどうしたことか。やっぱり、波や変な勝敗のなりゆきの綾がある。2015〜16年プレミア優勝のレスターがそうであったように。←だからこそ、番狂わせがおこる確率が高めのサッカーという球技はおもしろい。
 残された時間を考えたら、日本人選手に精通する日本人を監督にするしかしょうがないわけだが、後任が西野であるというのはよくわからん。彼はハリルホジッチのクビを決める側にいたわけだが、そんなに代表監督やりたかったのか? まずまずの柏やかなりな成績だったガンバ大阪を率いたときは結果を出しているが、その後の神戸や名古屋を監督した際の体たらくを見ると、実績は見事に泡となり、すでに過去の人になっているとしか思えない。コーチ人事も、昔のつながりを持ってくると報道されている。彼、新たになんもインプットしていないんじゃないの? 
 西野を語るばあいブラジルをグループ・リーグで破った五輪チーム監督を務めたときの栄光が出されるが、それはもう四半世紀も前の話。第一あれは完全なマグレであったし、実は監督と選手の関係は乖離していたとも伝えられる。トホホ。と、これだけ毒はいているんだから、西野のチームがロシアでなんとか予選リーグで1勝1敗1分を得てほしい。……マーフィーの法則が厳然とあることを祈る。6月下旬に土下座しながら、よろんでいることを願う。
追記;西野の監督就任記者会見は覇気ゼロで、まったく要領を得なかったと悪い意味で評判だ。でも、監督になるのを望んだのではなく、適切ななり手がいなくて就任したということも言われている。すると、サッカー協会会長の田嶋の意向の尻拭いで監督につくはめになったということなのだろうか。田嶋の首の切り方が悪くて、すんごいお金を違約金として払うという話もあるな。現役からは遠ざかり監督勘がないということで、コーチ人事は現代表コーチの手倉森とオリンピック代表監督の森保とした。だったら、サポート役に留まり、森保にすっきり監督をゆだねちゃえばいいのに。手倉森は選手選考の部分をはじめ(五輪監督時代にGKコーチの推挙かも知れぬが、柏の中村をサブにしていたこととか)、いまいちと思う。
 四谷3丁目・茶会記。マリンバの山田あずさ(2013年5月19日、2014年6月13日、2014年6月15日、2014年10月19日、2014年11月21日、2015年4月17日、2015年5月2日、2015年5月6日、2015年5月22日、2015年5月28日、2015年6月15日、2015年9月13日、2015年11月11日、2016年5月22日、2016年6月13日、2016年9月7日、2017年1月17日、2017年4月27日、2017年9月17日)、アルト・サックスの林栄一(2004年10月10日。2005年12月20日。2009年7月19日、2011年6月23日、2016年9月27日)、パーカッションの相川瞳(2016年6月13日 )というトリオの21時からのセカンド・ショウを見た。もともと林と山田のデュオでやっていた単位に、近年は相川が加わるようになり、おじいちゃんは二人のムスメたちに囲まれるという構図を持つようになった。いや、その切れ味ある演奏と異なりもともと穏やかな人だったのかもしれないが、林はより好好爺然。彼の次のライヴは女性のピアニストとアコーディオン奏者とのもののよう。

 屈指のメロディ・メイカーでもある林栄一の曲を主にやったみたい。素直なメロディアス美曲も書くというイメージのある林だが、ここではけっこう複雑な、仕掛けのある曲を長めに、3者間でお互いのミュージシャンシップを称えあうような感じで音を重ねていく。しかし、御大のアルト・サックスはよく鳴っている。ときにあっち側の窓もコンコンと叩きつつ、確固たる力量を示す。けっこう、リードをかえていたような。

 今回、マリンバは生理的に窮屈な音がなる楽器だなと、改めて感じた。ぼぼん、ぬぼーと鈍重。その音はプリミティヴであるとも思わされよう。いやブラインドで聞いたら、音程のしっかりした民族音楽の楽器かと思ってしまうかもと感じた。両手2本マレット持ちで全曲こなした山田は右手のほうを鍵の端をリム・ショットのように叩いて音を出すようなこともし、また伴奏に回るとき反復フレイズを凝った感じで出したりして、現代音楽ともつながるエスニック性は強調された。まあ、ガタイの大きさともども、酔狂な楽器ではありますね。最終曲は山田あずさのリーダー・バンドのnouonの人気曲「アヴェレイジ」。なんか、林栄一がテーマ音を吹いて行くそれは面白かった。

▶過去の、山田あずさ
http://43142.diarynote.jp/201305260923241736/ 渋さ知らズ
http://43142.diarynote.jp/201406160956273046/ WUJA BIN BIN
http://43142.diarynote.jp/201406161000365031/ 蝉丸
http://43142.diarynote.jp/201407261220126653/ ダモ鈴木
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http://43142.diarynote.jp/201411221353274586/ アトラス
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http://43142.diarynote.jp/201709180648097389/ 松本治Musica Immaginaria
2017年9月17日
▶︎過去の、林栄一
http://43142.diarynote.jp/?day=20041010
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http://43142.diarynote.jp/200907221011377741/
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▶︎過去の、相川瞳
http://43142.diarynote.jp/201606141745496924/

<今日の、転向者>
 大学生と同年代、二人のガラケー・ユーザーが、なぜか同時にスマートフォンに代えましたとの報告あり。後者はインスタやる必然性にかられて、とのこと。なんでも、これまではどうしてもあげたいものは第三者を介してあげていたのだそう。学友からは変わり者と思われているに違いない前者はパッドも必要によっては使っていたはずだが、<スマホに慣れなくてわたわたしております…m(_ _)m ガラケーがよかったので悲しいです>だそう。ふふふ。“外でネットを引く趣味がない&外に出てまでPCメールに追いかけられたくない&我慢がきかないぼくは歩きスマホを絶対にするので危うきに近寄らない方が吉”という理由で、ぼくはもうフォーマがなくなるので代えてくださいとドコモに泣きつかれるまで、古い人間でいようと思う。そういえば、このまえ久しぶりに会った、お父さんがぼくより一つ下という女の子に、「良かったぁ、まだガラケー使っていて」と言われたな。おう、なるたけ、安心させてやるゾ。

Torios 2018

2018年4月7日 音楽
 こだわりインディ・レーベルのソングXジャズが企画、同レーベルに関わる4つのトリオが出る帯公演(各出演者は、入れ替えによる)を続けて見る。14時から21時すぎまで、延々見るのは大変かなあと危惧したら、それぞれ創意と緊張と個性があり、しんどさは感じず。めでたし。4組はそれぞれ、75分ほどのショウを繰り広げた。会場は、渋谷・ラトリエby apc。そこは、ヴァイオリン他フランスの弦楽器を輸入している会社が持つサロンのよう。通常はお酒のサーヴはしていないはずだが、お酒を売っていたのは大マル。ピアノは“Shigeru Kawai”のコンパクト型モデルが持ち込まれており、調律は各ショウごとになされていたようだ。

+Shin-ichiro Mochizuki Trio 『Another Vision』
 ピアノの望月慎一郎、テナー・サックスの橋爪 亮督 、コントラバスの落合 康介による。欧州ジャズ的な、機微を漂わせん。3者が精緻に噛み合い、一筋縄でいかない散文調の文様を描くような音を送り出す。ベースレスの変則編成を取っていることに表れるように、従来の米国型ジャズのひな壇から離れて、アートな心象音楽を浮かび上がらせたいという意思は横溢。ソングXジャズ発の2枚のアルバムからの曲を演奏したようだが、自作曲とともにECMと関係が近かった故ケニー・ウィーラーの曲も演奏していた。望月はジャズにやられつつ、エンジニアにも憧れ工学部に進み、今は長野県に住み技術開発者とジャズ演奏家の二足のわらじを履いているようだ。

+Jun Furuya the otherside trio 『Southbound』
 ピアノの古谷 淳 、コントラバスの:千北 裕輔 、ドラムの服部 正嗣 (2010年5月13日 、2012年3月21日)による。リーダーは高校時代から米国留学し、グリーンカードを取得するなどしたものの、今は甲府を拠点にしているよう。普段はテナー・サックスの西口明宏(2016年7月21日)も入ったカルテットで活動しているようだが、この日は趣旨に倣いトリオの編成を取ったとか。というのはともかく、頭のピアノの2、3音のポーンという響きだけで、ぼくは持っていかれた。うわ、この響きはなんなの。思わず古谷のピアノ演奏音にはエフェクトがかけられているのかとも思ったが、巧みなペダル使いと弾き方で印象的な響きを獲得しているみたいだ。そのピアノ音からすると耽美的なものを送り出すのは、まずは順当。だが、実は端々から黒人ジャズへの彼なりの共感〜それは不埒さとも重なるし、ビル・エヴァンス的とも言えるのか? ぼくは何気にエヴァンスのソロは黒さを孕むと感じている〜も出していて、最後は少しグルーヴィなピアノの弾き方をするブルースも披露。リズム・セクションは曲によっては一部手拍子をしたりコーラスを取ったりとトリオ音に変化をつけたりもし、それも大あり。いい、現代ジャズを送り出していると思った。

▶︎服部 正嗣
http://43142.diarynote.jp/201005141220301577/
http://43142.diarynote.jp/201203260805006088/

+Shinya Fukumori Trio『For 2 Akis』
 ドラムの福盛 進也 (2018年1月7日 )、仏人テナー・サックスのマテュー・ボルデナーヴ 、独人ピアニストのウォルター・ラングによる、ミュンヘンに拠点を置くトリオ。福盛は高校時代から米国に留学し、複数の音大を出たりした後に、ECMのジャズ表現にひかれてドイツに移住。そして、見事に自身のトリオで同社との契約を勝ち取った人物だ(ソングXジャズは日本のマネージメントを担当する)。そのECM盤『For 2 Akis』リリースをフォロウする日本ツアーを彼らはやっていて、この日がその最終日となる。さすがに、彼らのショウが一番客の入りが良かった。福盛のブラシやマレットも用いる(二つあった、長めのドラム・ソロはともにブラシで行う)ドラミングは伸縮自在。独自のモードを持つボルデナーヴとラングの重なり音に自在に反応するドラミングの様は羽が生えたようとも書きたくなるか。実は福盛は昭和フォークも好きな人で、日本の楽曲もイマジネイティヴにアレンジすることで他の欧州/ECM系ジャズにない、エキゾな歌心を獲得しているのは要点。欧州と日本、それぞれの侘び寂びの交差点からインプロヴィゼーショナルな余白を浮かび上がらせるトリオとも言いたくなる。実は、東洋的な心証も理解できるということで、この二人の欧州人とトリオを組むことに、福盛はしたのだそう。この日は、「荒城の月」、遠藤賢司の「カレーライス」、「満月の夕」などの日本曲を披露した。

▶︎過去の、福盛 進也
http://43142.diarynote.jp/201801081118162617/

+Tamaya Honda ICTUS Trio 『ICTUS』
 ドラムの本田 珠也(2000年5月9日、2002年9月22日、2003年6月10日、2004年10月13日、2007年12月4日、2011年5月5日、2012年7月16日、2013年7月27日、2015年5月20日、2018年1月19日)、コントラバスの須川 崇志(2010年3月14日、2011年7月25日、2016年6月27日、2017年6月21日、2018年1月19日)、ピアノの佐藤 浩一 (2014年10月22日、2016年7月11日、2017年10月27日、2018年1月7日)による。この3人が重なった『ICTUS』はずばり菊地雅章(1999年11月3日、2002年9月22日、2003年6月10日、2004年11月3日、2012年6月24日、2012年6月25日、2012年10月26日)へのオマージュ、日本ジャズ・マン中もっともワールドクラスな力量を持った菊地(彼はECM契約日本人第一号アーティスト。二番目が福盛となる)に代表されるリアル・ジャズ・ピアノ表現への熱い思いが根底にある。もう情と技と研ぎ澄まされた発想がうねり、とぐろを巻き、ときに湧き上がり、聞く者にあまりに不条理な快感をこれでもかと投げ出す。素材は菊地も取り上げたポール・ブレイ(1999年6月1日)と近かったころのカーラ・ブレイ(1999年4月13日、2000年3月25日)曲や佐藤のオリジナル、そしてスタンダードも1曲。アンコールは、菊地雅章が娘に書いた、「リトル・アビィ」……。

▶過去の、本田珠也
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-5.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm 菊地雅章
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm 菊地雅章
http://43142.diarynote.jp/200410162306570000/
http://43142.diarynote.jp/200712151621260000/
http://43142.diarynote.jp/201105101010399933/
http://43142.diarynote.jp/201207180824136323/
http://43142.diarynote.jp/201307291053021427/
http://43142.diarynote.jp/201505211022511238/
http://43142.diarynote.jp/201801200930278094/
▶︎過去の、須川崇志
http://43142.diarynote.jp/201003191715113498/
http://43142.diarynote.jp/201107310727152406/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160627
http://43142.diarynote.jp/201706220952582448/
http://43142.diarynote.jp/201801200930278094/
▶︎過去の、佐藤浩一
http://43142.diarynote.jp/201410251055118180/
http://43142.diarynote.jp/201607121045394372/
http://43142.diarynote.jp/201711020707155260/
http://43142.diarynote.jp/201801081118162617/
▶過去の、菊地雅章
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/movember1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm
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http://43142.diarynote.jp/?day=20041103
http://43142.diarynote.jp/201207031322126509/
http://43142.diarynote.jp/201207031323242844/
http://43142.diarynote.jp/201210271744294415/
http://43142.diarynote.jp/201507091044561526/ インタヴュー
http://43142.diarynote.jp/?day=20160611 遺作について
▶過去の、ポール・ブレイ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livejune.htm
▶過去の、カーラ・ブレイ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live1.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-3.htm

<今日の、裏のイヴェント>
 ちょうど四谷では、村井康司の「現代ジャズのレッスン」(アルテス・パブリッシング)刊行を受けてのトーク・イヴェントが行われていたはず。2000年に河出書房新社から出たものに、追加の章とビル・フリーゼル(2000年7月21日、2006年5月14日、2009年5月8日、2011年1月30日、2017年1月12日、2017年1月13日、2017年6月19日)とダニー・マッキャスリン(2012年12月17日、2013年12月17日、2017年2月2日、2017年6月7日 )のインタヴューをつけた体裁をとる。モダン・ジャズ/ハード・パップが完成し、どんどん広がりを見せる年となった1959年を起点に置いた書。59年以降のジャズの動きを豊穣かつダイナミックに書き記したオリジナルを読んでおらず、今回ぼくはちらちらとページをめくっているが、タイム・ラグはほぼない。たとえば、<1959年を聴く[2]、ジョン・コルトレーンとオーネット・コールマン>という章。移動感覚に溢れている「ジャイアント・ステップス」がそんなにコード・チェンジの多い曲だとは知らなかった。そこらあたりのそうなんでうかあ的シャープな言及は、さすがジャズ研に入っていて演奏をしていた人と思わずにはいられない。そこらへん、一発でコードが拾えるものが多いロック・バンドを組んでいたぼくとは違いますね。とはいえ、きっちりジャズを通っていながら、ジャズ至上主義〜一辺倒にはならず、索引にはキャロル・キング、ザ・マザース、リオ・ノセンテリ、マーヴィン・ゲイといった非ジャズの担い手の名前がいろいろと入っている。なるほど、彼はジャズという即興を伴うスリルと深み満点の表現を通して、幅広く同時代音楽を見続けているのダと思わずにはいられない。また、お酒大好き人間の太っ腹さやフランクさやおっというひらめきが効いているとも指摘できるはずだ。
▶過去の、ビル・フリゼール
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-7.htm
http://43142.diarynote.jp/200605160543260000/
http://43142.diarynote.jp/200905101005501321/
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http://43142.diarynote.jp/201701131141476377/
http://43142.diarynote.jp/201701141241544133/
http://43142.diarynote.jp/201706190940184750/
▶︎過去の、ダニー・マッキャスリン
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http://43142.diarynote.jp/201702081152242280/
http://43142.diarynote.jp/201706081034584863/
 不世出のセッション・ドラマー(2006年1月21日)の歩みを、ざくっとくくる大型公演。<デビュー45周年 神ドラマー 村上“ポンタ”秀一ライブスペシャル>という副題がつく。中野・サンプラザホール。←駅前再開発のため、取り壊されるという話があったが、どうやらそれは東京オリンピック後のよう。ともあれ、7年ぶりの中野行きであり、サンプラザ行きだ。話はとぶが、中野駅のホームに立ち食いそばの店が出ていて、懐かしいなと思う。あまりJRに乗らないからなのかもしれないが、合理化で減ってきているのではないか。昔はけっこう東横線のホームや駅舎にもあったような。田園そばという屋号だったっけ? それほど蕎麦好きでなく他人事のように眺めていたので、この記載はあまり自信がない。そういえば、ソールド・アウトと言われていたが、会場前にダフ屋が出ていた。

 18時半開始、アンコールが終わったときは22時を回っていた公演は、休憩をはさみ2部構成にて持たれる。ゆかりの人がいろいろ出た。それぞれ、二つのショウは3パートに分けて進められる。ちなみにアンコール曲は、彼のリーダー・バンドのポンタ・ボックスのビル・エヴァンス曲/美的感覚を下敷きにおいたような初期(たぶん)曲で、そのトリオ演奏で村上はブラシをしっとりと使った。

 1部は、現役の才人を前に出してのもの。順に、ギターの渡辺香津美(2004年12月15日、2010年9月1日、2010年9月5日 、2010年11月20日、2012年3月20日、2016年6月4日、2016年9月4日、2017年9月2日)、ギターの高中正義(2012年2月3日)、ギターとヴォーカルの角松敏生(インスト2曲、ヴォーカル曲1曲を披露)。そして、2部は 彼が太い過去交友を持った故人にトリビュートするものが3つ披露される。順に、ピアノ/キーボードの松岡直也、ギターの大村憲司、ピアノ/キーボードの深町純。大村憲司の項には、Char (2002年3月12日、2008年4月20日、2008年6月12日、2008年10月5日、2009年7月25日、2017年7月31日)がフロント・マンとして入った。

 御大を囲むサポートの面々は、ピアノやキーボードの国府弘子や森村 献や大坪稔明や小島良喜(2000年11月16日、2004年7月27日、2015年10月25日)、ギターの和田アキラ、電気ベースの岡沢 章(1999年8月29日、2011年1月31日)やグレッグ・リー(2012年10月25日)、打楽器の三沢またろう や斉藤ノヴ(2010年3月4日 )、アルト・サックスとキーボードの本間将人(2013年5月23日)、ホーン音担当のトランペットのAtsukiと吉澤達彦、サックスのJuny-aと橋本和也、トロンボーンのTocchi。彼らはパートにより効率よく回る。渡辺以外の全パートをになったヴェテランの岡沢彰の演奏には何気に感心した。

 主役も助演者も、お客さんも、みんなうれしそうだった。

 この晩はフュージョン傾向ものに沿った内容で、11月1日には同じ会場で、歌モノ伴奏にフォーカスした同様の出し物をやるという。この日の模様は、BS放送、ハイレゾ発信、映像作品リリースなど、様々なかたちで世に送り出されるそう。

▶︎過去の、村上“ポンタ”秀一
http://43142.diarynote.jp/200601271857530000/
▶︎過去の、高中正義
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▶過去の、渡辺香津美
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http://43142.diarynote.jp/201009030955539620/
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▶︎過去の、岡沢章
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/augustlive.htm ケイコ・リー
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▶︎過去の、グレッグ・リー
http://43142.diarynote.jp/201210271736085367/
▶︎過去の、斉藤ノヴ
http://43142.diarynote.jp/201003061216504028/
▶過去の、小島良喜
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200407271618520000/
http://43142.diarynote.jp/201510290731105395/
▶︎過去の、本間将人
http://43142.diarynote.jp/201305280922334226/
▶︎過去の、チャー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-3.htm マイク・クラーク・バンド
http://43142.diarynote.jp/200804220006510000/
http://43142.diarynote.jp/200806180850060000/
http://43142.diarynote.jp/200810061857413394/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090725
http://43142.diarynote.jp/201708081443281390/

<今日の、訃報>
 実は長丁場の公演を見て、一番驚いたというか、なんじゃこりゃケラケラとなったのは、渡辺、リー、村上の3人によるMOBO Ⅲのパートのなかでの一コマ。中盤からアヴァンギャルド傾向に流れた「Σ」をやっていた際、赤襦袢を身にまとった女性が出てきてビミョーな感じで踊り出し、途中からセシル・テイラー流儀とも言えなくもない、フリーフォーム(滅茶苦茶ともいう)・ピアノ演奏を達者に繰り広げた。誰かと思えば、国府弘子。出演者の中ではステージ登場率の高かった彼女だが、3日前に村上から言われて衣装を揃えたと彼女はMCで言っていた。来年還暦を迎えるはずだが、その太平楽な吹っ切れ所作は笑かす。さすが、ぼくと血液型と誕生日が同じだと、変なところで頷いた。
 なんと、セシル・テイラーが4月5日に亡くなったという報が飛び込んできた。1929 年生まれで、89歳。結構、長生きしましたね。ぼくが彼のことを見たのは、1987年とか、そのへん。一度だけ。ある音楽専門学校で講演/演奏をするという(お金、積んだのかなあ?)ので、そこに紛れ込んだ。そしたら、ドレッド頭で痩身で、なんか思いっきし態度の軽い御大はひらりひらりと踊れど、ピアノに触れることはなかった。えっ〜。でも、なぜか、しっかりフリー・ジャズ・ピアノの権化の精神に触れたような気になった。
 チャカ・カーン(2003年10月10日、2008年6月5日、2012年1月10日、2014年9月6日、2014年9月10日、2016年5月20日)、ブーツィ・コリンズ(2011年8月12日、2012年5月31日)、ミシェル・ンデゲオチェロ(2002年6月18日、2003年11月18日、2003年11月22日、2008年5月7日、2009年5月15日、2013年11月18日、2014年7月14日、2017年1月18日)らの島。また、シェリル・クロウ(1999年10月16日、2002年10月21日、2004年9月17日)、フィオナ・アップル(2000年5月8 日)、ポーラ・コール(2000年4月9日)らのグループ。前者はファンク・ブラザーズ(2006年4月11日)の光と影を扱った映画「永遠のモータウン」(2003年12月2日)に出ていた人たちであり、後者はサラ・マクラクランが中心となる女性音楽家フェスティヴァル“リリス・フェア”の出演者たち。その両方に関与していたのが、ジョーン・オズボーンなわけで、それだけを取るととってもすごい人のように思えますね。

 な〜んて、他人ごとのように書いているのは、ぼくがオズボーン(1962年、ケンタッキー州生まれ)のことをそんなに聞いてきていないからだ。なんか、大陸的(それは大味とかガサツという印象につながる)な白人ロック・ヴォーカルという印象を最初にもってしまい。。。

 そんな彼女の新作はディラン曲を取り上げた『Songs of Bob Dylan』(Womanly Hips Music)で、丸の内・コットンクラブのファースト・ショウはその新作の内容に基づくもの(セカンド・ショウはオリジナル曲を歌う内容のよう)。曲によっては生ギターやタンバリンを手にしながら歌う当人に、ピアノやキーボードやコーラスを担当するキース・コットンがつく。そのキース・コットンは近年のオズボーンのアルバムに演奏だけでなく、制作やエンジニアリングでも関わっている人物だ。

 まず驚いたのは、彼女が、ぼくが思っていたよりも綺麗で、性格良さそうと思えたこと。彼女とつながるきつい顔つき(?)を持つダイアナ・クラール(1999年5月21日)もイリアーヌ・イリアス(2006年6月28日、2015年2月8日、2016年1月7日、2017年6月20日)も実際はいい人たちだし、ぼくは白人系女性の顔の性格読み取り能力がずれているのかもしれない。

 ともあれ、そんな二人によるパフォーマンスに接し、味よく、少なくても今の彼女は地に足をつけた滋味も持つシンガーであると知る。ちょいハスキー目の歌声は実直でもあり、癖のあるディラン曲(初期から21世紀に入ってからの曲まで、いろいろ取り上げる)を生理的に澄んだ歌い方ともにニュートラルな大地へと彼女はちゃんと解き放っていた。コットンの指さばきは少しワン・パターンにも思え(でも、ちゃんとロック感覚を持つ演奏だったと思う)、それは少し曲解釈の幅を狭めていたか。だが、満足感は大。レコードよりも、ライヴの方がいいと思う。

 ショウが終わり、彼女のサイン会にCD購入者がずらりと並んでいた。それから面白かったのは、ライヴのボーナス・トラックと言って、確か3曲もアルバム未収録ディラン・カヴァーも披露したこと。そんなオズボーンさん、一番好きなディランのアルバムは1989年作『オー・マーシィ』であると言っていた。

▶過去の、チャカ・カーン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-10.htm
http://43142.diarynote.jp/200806121525370000/
http://43142.diarynote.jp/201201131546344144/
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http://43142.diarynote.jp/201605240832424514/
▶過去の、ブーツィ・コリンズ
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▶過去の、ミシェル・ンデゲオチェロ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-6.htm
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http://43142.diarynote.jp/201701191854055570/
▶︎過去の、シェリル・クロウ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/octber1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-10.htm
http://43142.diarynote.jp/200410071540230000/
▶︎過去のフィオナ・アップル
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-5.htm
▶︎過去の、ポーラ・コール
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-4.htm
▶︎過去の、ファンク・ブラザーズ
http://43142.diarynote.jp/200604141318090000/
▶︎過去の、映画「永遠のモータウン」
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-12.htm
▶︎過去の、ダイアナ・クラール
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live2.htm 5月21日
▶過去の、イリアーヌ・イリアス
http://43142.diarynote.jp/200607041956350000/
http://43142.diarynote.jp/201502090956393081/
http://43142.diarynote.jp/201601090750252990/
http://43142.diarynote.jp/201706211900006500/ 

 南青山・ブルーノート東京に移動。アフリカ系女性歌手のリサ・フィッシャー(2016年3月21日)を見る。その実演は、ギターのJ.C.メイヨールと縦/電気ベース両刀のエイダン・キャロルとドラムのティエリー・アルピノからなるグラン・バトンと名付けられたバンドを伴ってのもの。それは、前回の来日公演とまったく同じ顔ぶれだ。で、ぼくは前回公演を見てカサンドラ・ウィルソン(1999年8月27日、1999年9月2日、2001年2月12日、2004年9月7日、2008年8月11日、2010年6月13日、2011年5月5日、2013年5月31日、2015年3月19日)を比較に出したりもしたわけだが、その技ありの“俯瞰”技量は変わらぬものの、より多彩な表情を出すようになり、またフィッシャー本人の歌がさらに多弁になっていた。いやー、前回来日公演の項で持ち上げまくっていますが、彼女とその仲間たちは凄いことになっている。メイヨールのエフェクト使いは前回より控えめになりいい感じの隙間は増大、それもまた表現総体の深みを生んでいたと思う。

 ストーンズ(2003年3月15日)の「ワイルド・ホーシズ」やザ・ポリスの「メッセージ・イン・ア・ボトル」らロック曲からスタンダードの「フィーヴァー」まで、曲本来の立ち位置を別の位相にワープさせんとするサウンドのもと、自在に肉声が載せられる。実は今回、フラメンコ調(フランス人のメイヨールもそれ風でヴォーカルをとった)や中近東(メイヨールはブズーキを手にした)の方まで行く曲をやったのにはびっくり。でも、唐突な感じはなく、いろんな音楽様式がジャズを含む米国黒人音楽という輪のなかに吸い込まれて行くような感覚を得た。それ、ロックが一番伸び盛りの時代、民族音楽要素やニューオーリンズ・セカンド・ラインをハード・ロックという目のなかに消化したレッド・ツッペリンのありようみたいと、ぼくは酔った頭でふと思ったりもした。

 リヴァーブのかかり方の異なるマイク2本使いのフィッシャーの多大な技があるからこその野心と豊かな人間性発露(それはキュートさにつながる)を併せ持つ歌唱の様に触れながら、こと歌の技量だけに限っても、フィッシャーはダイアン・リーヴス(1999年4月28日、2001年4月24日、2008年9月22日、2010年3月23日、2011年11月15日、2017年5月29日)よりも上なんじゃないか、ぼくはそんなことも思った。アワワワ。かような彼女たちがアルバムを作っていないというのは、あまりに謎すぎる。

▶︎過去の、リサ・フィッシャー/グラン・バトン
http://43142.diarynote.jp/201603230835051084/
▶過去の、カサンドラ・ウィルソン
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http://www.myagent.ne.jp/~newswave/september1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-2.htm
http://43142.diarynote.jp/200409070203440000/
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▶過去の、ザ・ローリング・ストーンズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm
▶過去の、スティング
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-10.htm
▶︎過去の、ダイアン・リーヴス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-4.htm
http://43142.diarynote.jp/200809240100515549/
http://43142.diarynote.jp/201003261236189984/
http://43142.diarynote.jp/201111210320292366/
http://43142.diarynote.jp/201705301638029304/

 その後は、ジャパン・タクシーに乗って(やはり、その車種にあたるとうれしい。http://43142.diarynote.jp/201803301412566401/ の最後のほう、参照。運転手さんが、オリンピックまでに東京のタクシーの3分の1はジャパン・タクシーになる計画だと教えてくれた)渋谷・UNDER DEER LOUNGEに回る。トランペッターの黒田 卓也(2012年2月18日、2012年9月13日、2013年2月15日、2014年5月25日、2015年1月30日、2015年2月15日、2016年9月17日、2016年12月16日、2017年7月12日、2018年2月21日)が仕切るゆる〜りセッションで、なんと入場無料!

 近くはじまるミーシャ(2016年9月17日)のツアーに加わる黒田ら在NYの奏者たちと東京のに担い手たちが、いろいろと重なる。進行役は黒田が務め、わきあいあいと入れ替わり。そして、ソウルやジャズのスタンダードを演奏して行く。客は若い人が多かったが、こういう担い手の交流の様に触れられることはとても有意義だし、その人なりのジャズとつながる音楽の魅力を発見できるんじゃないだろうか。また、大学1年生と紹介されたセッション参加者もいて、これは前途ある演奏者にとっても刺激的な場であるに違いない。

 会場にいたのは、キーボードの大林 武司(2014年5月25日、2015年9月5日、2016年2月16日、2016年9月4日、2016年12月16日)、パーカッションの小川慶太(2014年8月3日、2016年1月19日、2017年4月18日、2017年12月11日)、パンデイロの南条レオ(2016年10月22日、2016年11月30日)、ドラムの石若駿(2014年9月26日、2016年6月27日、2016年7月21日、2016年9月4日、2017年6月21日、2017年7月12日)、ヴォーカルのHanah Spring(2011年4月22日、2017年3月29)、他。ミーシャの楽旅参加組かアフリカ系のエレクトリック・ベーシストやテナー・サックス奏者が入った場合もあり。

▶過去の、黒田卓也
http://43142.diarynote.jp/201202200901013744/
http://43142.diarynote.jp/201209191239346073/
http://43142.diarynote.jp/201302181044151204/
http://43142.diarynote.jp/201405271755563079/
http://43142.diarynote.jp/201501310942048841/
http://43142.diarynote.jp/201502170939564537/
http://43142.diarynote.jp/201609201835285184/
http://43142.diarynote.jp/201612181010384754/
http://43142.diarynote.jp/201707130853185809/
http://43142.diarynote.jp/201802221538438234/
▶過去の大林武司
http://43142.diarynote.jp/?day=20140525
http://43142.diarynote.jp/201509211331298145/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160216
http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
http://43142.diarynote.jp/201612181010384754/
http://43142.diarynote.jp/201802221538438234/
▶︎過去の、ミーシャ
http://43142.diarynote.jp/201609201835285184/
▶過去の、小川慶太
http://43142.diarynote.jp/201408061110256933/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160119
http://43142.diarynote.jp/201704200801169451/
http://43142.diarynote.jp/201712121324481276/
▶︎過去の、南条レオ
http://43142.diarynote.jp/?day=20161022 ジョー・バターン
http://43142.diarynote.jp/201612030915436915/
▶︎過去の、石若駿
http://43142.diarynote.jp/201409291402101328/
http://43142.diarynote.jp/201607221000152412/
http://43142.diarynote.jp/201606281737237220/
http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
http://43142.diarynote.jp/?day=20170621
http://43142.diarynote.jp/201707130853185809/
▶︎過去の、Hanah Spring
http://43142.diarynote.jp/201104270527324850/
http://43142.diarynote.jp/201704031056083140/


<今日の、笑顔>
 実は、2017年1月10日 http://43142.diarynote.jp/201701121236499333/ の欄外に書いてあるパーティとは、上のものと同様の黒田卓也が中心となってのものだった。なんか、かなりクローズドな催しのような気がして、アーティスト名を出すのをさけたのだが、今回は黒田自身がツィッターで広く伝えたよう。しかし、黒田の豪放磊落なフランクさあってこそのお楽しみセッション会とも言えようか。彼が演奏に加わった場合は少し音がピリっとするような気もし、セッションゆえにそのソロからは彼のクリフォード・ブラウン好きも自然にこぼれ出る。夜の現場、もっと盛り上がれ〜! 夜遊び、ばんざ〜い。

追記;ヴェテランR&B歌手のヴェティ・ラヴェット(2007年10月9日)の2018年新作『Things Have Changed』(Verve )も堂々のボブ・ディラン曲集だ。プロデューサーは、なんとスティーヴ・ジョーダン(2005年11月13日、2006年11月20日)2006年12月22日、2010年10月26日)。その流れで、キース・リチャーズ(2003年3月15日)も2曲にギター参加している。
▶︎過去のヴェティ・ラヴェット
http://43142.diarynote.jp/200710131957390000/
▶スティーヴ・ジョーダン
http://43142.diarynote.jp/200511130413390000/
http://43142.diarynote.jp/200611221236140000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20061222
http://43142.diarynote.jp/201010301012548114/
▶過去の、ザ・ローリング・ストーンズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm


 1961年日本生まれであるピアニストの小曽根真(2011年3月28日、2011年8月6日、2012年8月24日、2012年9月8日、2013年8月1日、2013年10月26日、2014年9月7日、2015年9月5日、2016年9月3日、2017年9月12日)の今回のブルーノート東京の出演は、1945年ノルウェー生まれのベーシストのアリルド・アンデルセン、1967年スコットランド生まれのテナー・サックス奏者であるトニー・スミス、1954年イタリア生まれであるドラムのパオロ・ヴィナッチャという欧州人3者とタッグするもの。アンデルセンは20作ほどECMからリーダー作を出している有名人だが、スミスもヴィナッチャも彼のグループ作に関与している。特に、『Live at Belleville』(2008年)や『Mira』(2014年)とかはまさにアンデルセン/スミス/ヴィナッチャ連名のECM発トリオ盤で、その3人による通常の小曽根の志向よりも重めかつ静謐性の高い音楽単位に、今回彼が加わったという説明もできるか。初日のファースト・ショウを見た。

 小曽根のMCによれば、スミスと長い知り合いだったためもあり、2年前の海外ジャズ・フェスで4人で一緒に2曲やる機会を持ったのだという。それが縁でアンデルセンが昨年ノルウェーに小曽根を招待し、そのお返しに小曽根が今回のブルーノート東京公演を企画したようだ。小曽根当人も、「僕がこれまで関わってこなかったジャズ」とかいった言い方で、アンデルセン/スミス/ヴィナッチャの音楽性を説明。今回のライヴが自分にとっても聞き手にとっても。フレッシュなものであることを強調する。

 曲はどうするのかなあと思ったら、主にアンデルセンのものをやったよう。そこからも、アンデルセン/スミス/ヴィナッチャが積み上げてきた流儀に小曽根が好奇心とともに入っていくという方策が取られたことが分かる。少し”お客さん”のところもなくはなかったが、通常の小曽根の指さばきやタイム感とは異なるものが繰り出されて、とても興味深かった。これ、明日のセカンド・ショウだと、もっとこなれてかなり鮮烈なかみ合いを見せるのではないかとぼくには思えた。なお、ステージ上には通常のスタンウェイではなく、ヤマハのピアノが鎮座。彼、ヤマハ契約者なのだろうか。ファースト・ショウが終わると、調律師が出てきてチューニングを始めた。

 アルバムで認知していたが、アンデルセンはエフェクターをかけたコントラバス音色を用いる。曲によってその深さは違っていたが、真面目そうな老人がそれをやるとなんか意味があることのように思えてくるか? ある曲では完全にフレットレスのエレクトリック・ベースの音でしょうという音色を採用したときもあったし、ある曲のソロ・パートでは弓弾き音をサンプリングし、そこに指弾き音を重ねた。

 スミスのテナー・サックスの音色は風情ありで、生理的に鮮烈。やはり実力者だなあと、すぐに痛感させられる。1曲、素朴な尺八演奏もソロで披露。突然もらったものの説明書が日本語だったので、完全独学でマスターしたそうな。彼が吹いていたそれは、我々がイメージするものよりも小さめ。ECM盤で吹いている曲もあるが、それはこの“小尺八”の音なのだろう。

 実はアンデルセン/スミス/ヴィナッチャの演奏はなんかロックぽいところもあると思えたりもしたが、それはザ・ローリング・ストーンズの舌マークのTシャツを着ていたヴィナッチャに負うところがあったか。キック・ドラムを多用せず、ジャズ流儀で叩いてはいるのだが。すべてマッチド・グリップでで叩くタム音やシンバル音の手数の多さとともに、なんかそれは濁りの感覚も持ち、そんな彼の演奏は、なんか“ジャズ界のジョン・ボーナム(cf.レッド・ツェッペリン)”と言いたくなるところがあった。

 ミュージシャン同士の素の付き合いから生まれ、続いているこのカルテット、レコーディングするのももアリじゃない? 

▶︎過去の、小曽根真
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<ここのところの、景色の変化>
 トヨタのその名も“ジャパン・タクシー”が道路を走る姿を見る機会がどんどん増えている。ここのところの、増え方はすごいな。ぼくは今年頭に偶然その車両に乗って、タクシーの運転手さんから説明を受けて、“ジャパン・タクシー”をちゃんと認知するようになった。かつてのロンドンのタクシーを小さく、静かにした感じの外内観は興味深かった。1.5Lエンジン、5ナンバーで、ベースとなるのは、小型ミニヴァン車のシエンタ。ま、少しレトロな見え方はほのぼの感を引き出すし、通常のタクシー車両よりは開放感があって好ましい。トヨタの営業力もあり、オリンピック開催に向けて東京では今後より走るようになるだろう。しかし、日本のタクシー車両といえば、ロンドンやニューヨークの公式タクシー車に採用された(あれ、ロンドンのほうは頓挫したんだっけ?)日産のNV200系列車が思い浮かぶ。ぼくは、まだNV200タクシーには乗ったことがないが、普通のミニヴァンぽさにがっかりしちゃうのかな? ホンダ、いすゞ、ニッサン、三菱などいろんな国産メイカーの車にも乗ってきているが、トヨタは自民党みたいな感じがして過去所有したことが、ぼくはない。

 レイ・パーカーJr.(2005年3月8日、2011年5月17日、2012年9月8日)はジョー・サンプル(2005年3月8日、2009年11月5日、2011年5月17日、2012年9月8日)絡み公演とともに、自己バンドの来日公演も何度か持っているはずだが、ぼくはそれについては今回初めて見るのだな。キャリアは長いが、若いころに成功を収めていたのでまだ64歳。まあ、ヒット曲も書いていて印税はいまだ入ってくるであろうし、悠々自適だろうな。なお、レイディオは彼がセッション・ギタリストとして名をあげたあと、その余勢をかって(?)1970年代後期に組んだグループだ。

 六本木・ビルボードライブ東京、セカンド・ショウ。8人組バンドとして登場、そしたら有名人がいろいろいて、パーカーJr.はなるほど実力者と思わされたか。

 もう一人のギタリストは1970年代後期から長年ウェスト・コーストのスタジオ界のファースト・コールを務めるポール・ジャクソンJr.。リーダーとしてもいろいろアルバムを出している(ブルーノートからも3作品)彼だが、Jr.がつく“刻み”が得意な二大米国人ギタリストが揃い踏みだあ! さすがにパーカーJr.もショウの頭で“スペシャル・ゲスト”と言って彼を紹介する。で、ちょい刻み合戦も披露しました。キーボードのケヴィン・トニーもかつてザ・ブラックバーズにいて、リーダー作をいろいろ出している人だ。また、電気ベースの“レディ”・フレディ・ワシントンやドラムのドネル・スペンサー Jr.も名のあるセッション・マン。女性シンガーのドミニク・トニーはケヴィン・トニーの娘だそうで、2015年にパーカーJr.関与のリーダー作を出している。そして、シンガー/打楽器のアーネル・カーマイケルはパーカーJr.と同じデトロイト・ネイティヴでレイディオの初期から関与していた人。パーカーJr.より年長なはずだが、パっと見はそうは見えなかった。アルト・サックス/フルート/キーボードのチャールズ・グリーンについては、ぼくはどういうキャリアの人か知らない。

 そんな面々が笑顔で送り出す(きっちり重なるリズム・セクションはうれしそうにコーラスもつけていた)のは、総花的なブラック・ポップ・ミュージック。ジャクソンJr.という名手が後に控えているためもあり、パーカー・Jr.はまずリード・シンガーとして中央に立ち、ときにギターを持たないときもある。1曲ではソウル・スターばりにマイクを持って下に降り、客席を回りながら歌う。観客に熱烈に(コアラのように)抱きつかれておったな。紅一点ドミニク・トニーがフィーチャーされて歌ったのは、ルーファス(2003年10月10日、2008年6月5日、2008年11月10日、2010年1月20日、2011年6月22日、2012年1月10日、2014年9月6日、2014年9月10日、2016年5月20日)の1974年曲「ユー・ガット・ザ・ラヴ」(カーンとパーカーJr.の共作曲)。また、ジャクソンJr.も1曲主役で、自作のスムース・ジャズ曲を披露。その際、パーカーJr.は座って、その様を見守る。一方、彼はアコースティック・ギターを待ち一人演奏、その2曲はともマイケル・ジャクソン絡みの曲だった。

 アンコールは、全米1位曲「ゴーストバスターズ」。イントロで、ブルース調の苔の生えたような奏法をちらり繰り出すが、パーカーJr.はやろうと思えば、ブラック・ミュージックのパターンをいろいろ弾けちゃうんだろうな。その際、映画のゴーストバスターズの姿に扮する日本人4人が出てきてステージに上がる。それにはメンバーも盛り上がり、いろいろ記念写真的に自撮りしまくり。それ、関連のSNSにアップされるか。なんだかんだ、90分の尺を持つショウだった。

▶︎過去の、レイ・パーカーJr.
http://43142.diarynote.jp/200503120546520000/
http://43142.diarynote.jp/201105181052427410/
http://43142.diarynote.jp/201209191209186663/ ジョー・サンプル&ザ・クリオール・ジョー・バンド
▶︎過去の、ジョー・サンプル
http://43142.diarynote.jp/200503120546520000/
http://43142.diarynote.jp/200911071134384805/
http://43142.diarynote.jp/201105181052427410/
http://43142.diarynote.jp/201209191209186663/
▶︎過去の、ルーファス/チャカ・カーン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-10.htm
http://43142.diarynote.jp/200806121525370000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20081110
http://43142.diarynote.jp/201001211346277187/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110622
http://43142.diarynote.jp/201201131546344144/
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http://43142.diarynote.jp/201605240832424514/

<今日の、桜情報>
 ミッドタウン脇の坂道って、あんなに桜が咲く道であったのか。今日初めて知る。ピンク色のライティングは少し品がないが、人が集まるのはよく分かる。パーカーJr.もその道にかかる歩道橋に立つ自分を中心に360度風景を舐めた映像をトゥイッターにあげている。なお、今年限定でいうなら、東京の桜の穴場的絶景ポイントは世田谷区池尻4丁目の目黒川を埋めたてたせせらぎ緑歩道(246を挟む目黒区側は、桜名所として超知られますね)、この秋に移転営業開始となる東邦病院医療センターの前。そこに咲く桜には強力なライトが夜中でも当てられているのだが、それを見上げるのではなく、人工の小川を覗き込むと。。。。水面に映る光を浴びた桜がガラス越しに下に延々と広がるように見え、その見え方がなんとも神秘的にして、息を飲ませる。吸い込まれそうになる。あえて言えば、広大な鍾乳洞とかダイビングで得る感興と繋がる? 来年は病室があるので夜のライト投射はなくなると思われ、その暗くなってからの絶景はおそらく今シーズン限り。その深淵な水面下に広がる桜地下空間、とにもかくにも凄すぎます。
 シンガーの蜂谷真紀(2008年8月24日、2009年1月8日、2010年9月11日、2014年7月22日、2014年9月25日、2015年5月20日、2015年6月15日、2016年11月2日、2018年1月19日)とピアニストの田中信正による、すでに10年続いているというデュオ。渋谷・公園通りクラシックス。久しぶりにここに来たら、それなりに広いなと思うとともに、メインの所に置かれたグランド・ピアノの他に、奥の方にもう一台置いてある。へえ、ピアノを二つも置いているハコであったか。

 蜂谷は床横にずらりずらりと譜面を並べている。それを見ながら歌うことはなかったが、オープナーだけは決めていて、あとはそれらを参照したりもしながら、行き当たりばったりでパフォーマンスしていったよう。一期一会的な発展にはもちろん富むが、すべて曲として成り立っている鉢谷曲をやることを是としているデュオ。田中もその場で曲の告知を受けても、おっとり刀で十全に付き合う。

 1時間ちょいやった1部はざくっというなら、丁々発止に渡り合う、インプロヴィゼーション度が高い曲が並んだか。エコーのかかり方の異なる2本のマイクを使いわける蜂谷はもうごんごん自在に歌声を躍らせる。田中の演奏には初めて触れると思うが、とても音の粒立ちの良い、瞬発力や切れと詩情や歌心を同一軸に併置させるような指使いをしていて、頷く。彼、靴を脱いで、ペダルを扱っていた。それはただの癖、それともより繊細なコントロールをしようとするため?

 2部は、より歌モノ度(?)が広がり、きちんと日本語の歌詞(それも即興的なのかもしれないが)を歌う曲が多い。お二人は、岡山県の大原美術館で録られた『たからもの』(FUKU★CHU MHFC-003。2枚組で、もう1枚は蜂谷と田中と喜多直穀〜2018年1月6日〜によるトリオによる録音)という作品を出していて、そちらのノリに近いことをやっていたか。CDのほうは現代音楽の香りもしたが、この晩はそれほどそちらの感じは受けず。そのためか架空の国のお伽噺〜大人のわらべ歌と説明したくなる、越境を経ての円満な歌曲性を獲得しているとぼくは思った。それゆえ、この日に歌った唯一のカヴァー、ガーシュインの1939年発スタンダード「アイ・ラヴ・ユー、ポーギィ」も無理なく収まっていた。ときに蜂谷は鳴り物音やピアニカ音を重ねる局面があったが、2部のほうがピアニカが活躍した。ときにちょっとセリフを回したりとか、シアトリカルだなと思わせる場合もあり。

▶過去の、蜂谷真紀
http://43142.diarynote.jp/200808260821260000/
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http://43142.diarynote.jp/201801200930278094/

<今日の、もろもろ>
 蜂谷は会場で、手書きでびしっと書かれたライヴ情報をいつもお客さんに渡す。いろいろな設定あり、移動もあり、喉のケアは大変だろうなと思ったが、あっけらかんと喉は強そうか。【HANA●TORI】の次のライヴは4月15日、本八幡・cool jojo 。この公園通りクラシックスでは4月30日に、蜂谷はピアノ弾き語り。彼女はギタリストの加藤崇之(2005年11月28日、2005年12月11日、2012年11月24日、2017年1月9日)と組むミクロマクロで昨年『曲のとびだす絵本』(HOOK ★CHEW、あらレーベルのスペルが変わった)というCDを出しているが、5月に7箇所からなる甲府、関西、東海ツアーに出る。
 ぐうぜん本日、還暦記念で毎月新作をちゃんとしたパッケージで出している藤井郷子(1999年8月16日、2000年6月2日、2000年10月1日、2002年8月5日、2003年1月21日、2003年4月7日、2004年7月27日、2005年2月10日、2005年11月28日、2005年12月11日、2006年7月3日、2008年8月24日、2008年12月17日、2010年1月9日、2010年6月7日、2010年8月6日、2012年7月1日、2016年1月28日、2017年1月9日、2017年9月13日、2018年1月8日) の2018 年4作目となる新作、KiraKira名義の『Bright Force』(Libra 204-048 )が届いた。昨年秋に来日していた電気ピアノ他のアリスター・スペンス(2008年8月24日、2017年9月13日)、トランペットの田村夏樹(1999年8月16日、2000年6月2日、2000年10月1日、2002年8月5日、2003年1月21日、2003年4月7日、2004年7月27日、2010年8月6日、2012年7月1日、2005年2月10日、2005年11月28日、2005年12月11日、2006年7月3日、2008年8月24日、2008年12月17日、2010年1月9日、2010年6月7日、2016年1月28日、2017年1月9日、2017年9月13日、2018年1月8日) 、ドラムの竹村一哲(2016年9月27日)からなるクインテットで、酸いも甘いもかみ分けた大人の狼藉表現がそこですがすがしく展開されている。そういえば、ぼくが蜂谷の歌を初めて聞いたのは田村・藤井夫妻がコーディネイトし、スペンスもその一員として入っていた10年前にもたれたレイモンド・マクドナルド(2005年11月28日、2008年8月24日)のオーケストラの公演だった。
▶︎過去の、喜多直穀
http://43142.diarynote.jp/201801071035098671/
▶︎ギターの、加藤崇之
http://43142.diarynote.jp/amp/200512020244540000/
http://43142.diarynote.jp/200512140951100000/
http://43142.diarynote.jp/201211261639115632
http://43142.diarynote.jp/?day=20170109
▶過去の、藤井郷子
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/augustlive.htm 藤井カルテット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-6.htm 藤井3+1
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-10.htm 藤井カルテット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/framepagelive.htm 藤井3+1
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-1.htm 藤井4
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-4.htm 田村カルテット
http://43142.diarynote.jp/200407271618520000/ 藤井3+1
http://43142.diarynote.jp/?day=20050210 田村カルテット
http://43142.diarynote.jp/200512020244540000/ ザ・レイモンド・マクドナルド・トウキョウ・インプロヴァイザーズ・オーケストラ
http://43142.diarynote.jp/200512140951100000/ エリオット・シャープ
http://43142.diarynote.jp/?day=20060703  藤井オーケストラ名古屋/同東京
http://43142.diarynote.jp/?day=20080824 レイモンド・マクドナルド・インターナショナル・ビッグ・バンド
http://43142.diarynote.jp/200812281445103402/ 藤井4
http://43142.diarynote.jp/201001101203088126/ ガトー・リブレ、ファースト・ミーティング、ma-do、オーケストラ東京
http://43142.diarynote.jp/?day=20100607 ファースト・ミーティング
http://43142.diarynote.jp/201008261616172628/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120701
http://43142.diarynote.jp/201601301017037781/ KAZE
http://43142.diarynote.jp/201701101136544400/  Quartet Maho。Maho、 Satoko Fujii Orchestra Tokyo、Tobira―one、Satoko Fujii Quartet
http://43142.diarynote.jp/201709141146381271/ 藤井オーケストラ東京
http://43142.diarynote.jp/201801100512178732/
▶過去の田村夏樹
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/augustlive.htm 藤井カルテット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-6.htm 藤井3+1
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-10.htm 藤井カルテット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/framepagelive.htm 藤井3+1
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-1.htm 藤井4
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-4.htm 田村カルテット
http://43142.diarynote.jp/200407271618520000/ 藤井3+1
http://43142.diarynote.jp/?day=20040820 板橋オーケストラ
http://43142.diarynote.jp/200410162220330000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20050210 田村カルテット
http://43142.diarynote.jp/200512020244540000/ ザ・レイモンド・マクドナルド・トウキョウ・インプロヴァイザーズ・オーケストラ
http://43142.diarynote.jp/200512140951100000/ エリオット・シャープ
http://43142.diarynote.jp/?day=20060703  藤井オーケストラ名古屋/同東京
http://43142.diarynote.jp/?day=20080824 レイモンド・マクドナルド・インターナショナル・ビッグ・バンド
http://43142.diarynote.jp/200812281445103402/ 藤井4
http://43142.diarynote.jp/201001101203088126/ ガトー・リブレ、ファースト・ミーティング、ma-do、オーケストラ東京
http://43142.diarynote.jp/?day=20100607 ファースト・ミーティング
http://43142.diarynote.jp/201601301017037781/ KAZE
http://43142.diarynote.jp/201701101136544400/ Quartet Maho。Maho、 Satoko Fujii Orchestra Tokyo、Tobira―one、Satoko Fujii Quartet
http://43142.diarynote.jp/201709141146381271/ 藤井オーケストラ東京
http://43142.diarynote.jp/201801100512178732/
▶︎過去の、レイモンド・マクドナルド
http://43142.diarynote.jp/200512020244540000/
http://43142.diarynote.jp/200808260821260000/
▶︎過去の、アリスター・スペンス
http://43142.diarynote.jp/200808260821260000/
http://43142.diarynote.jp/201709141146381271/
▶︎過去の、竹村一哲
http://43142.diarynote.jp/201610100849458472/
 発表したアルバムが2作続けてグラミー賞の最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバム賞を受賞するなど、米国で今もっとも高評価を受けているジャズ・シンガー(まだ、20代)であるセシル・マクロリン・サルヴァント(2013年11月26日)の実にこなれた、聞きどころ満載の実演を南青山・ブルーノート東京で見る。ファースト・ショウ。

 サポートは、マック・アヴェニュー他から4作のリーダー・アルバムを出しているピアノのアーロン・ディール(2013年11月26日)、弦アレンジも得意なベースのポール・シキヴィー(2013年11月26日)、そして昨年の夏以降にトリオの一角をになうようになったドラムのカイル・プール。みんな腕が立ち、臨機応変なサルヴァントの行き方を支える。

 頭のほうは、少し穏健な行き方をとっていると思わせられたか。ブロサッム・ディアリー調というと誇張になってしまうが、けっこうスウィート目な声づかい(ファルセットも多用)な猫かぶり唱法を取りつつ、格式高いジャズの襞をほんのりお茶目さを介しつつ出そうとしていると感じた。そこらあたり、気分でどうにでも行けるという彼女のキャパシティの大きさもすうっと聞き手に伝えるものではなかったか。そうしつつ、機を見るに敏という感じでぐわあと発展の扉を開けちゃうときもある。それ、まこと快感だ。

 悠々、トリオ伴奏と相乗しながら、私の歌を開く。ベーシストとの渋いデュオもあり、終盤はマイクから口を最長60センチ離して、堂々のアカペラもかます。それ英語で歌われていたが、歌い口からアフリカを透けて見させるものであった。素晴らしいっ! 彼女は作曲もする人だが、このショウはボブ・ドロウ(2013年6月28日、2015年6月5日)やコール・ポーターらのスタンダードが多かったか。彼女はブルースとジャズが分化する前の古い曲も取り上げ見事に処理するが、終盤はラグタイム調曲など、オールドめの曲を並べた。

▶︎過去の、セシル・マクロリン・サルヴァント
http://43142.diarynote.jp/201311270854089602/
▶過去の、アーロン・ディール
http://43142.diarynote.jp/201311270854089602/
▶過去の、ポール・シキヴィー
http://43142.diarynote.jp/201311270854089602/
▶過去の、ボブ・ドロウ
http://43142.diarynote.jp/201307010908249319/
http://43142.diarynote.jp/201506070920231979/

<今日の、引用>
 ステージ横には。桜が飾られている。例年、この時期にキャッシャー横には飾られていたが、ステージのほうはどうだったか。なんにせよ、上品な華やかさが加えられ、そりゃ笑みを誘いますね。演者もうれしいに違いない。
 マイアミ育ちで、ハイチやフランスの血をひく家系のため、家ではフランス語を話していたという。それゆえ、高校卒業後にフランスに留学したのは自然な流れで、そこであなたの声はジャズに向いていると言われて、彼女はクラシックからジャズに転向した。

Q今作(『ウーマン・チャイルド』)はジャズたる決定的な深みを持ちつつ、一方では個性的な今のジャズ・ヴォーカルとしての要点も抱えており、得難い精気のようなものも息づいています。ジャズを歌う人は沢山いますが、その他の担い手の中に埋もれない自分だけの個性を出したいという意志はやはり強いのですよね?
「そうありたいし、そうしようと思っています。でも、それを成し遂げるのは楽なことではない。私の好きなジャズのサウンドというのは、今のトレンドにない、ブルースが持っていたような、ラフであったり、ちょっと泥臭い部分であったり。そういうことって、逆に暖かみにも繋がるでしょ? 間違いもアリとするような、あまり完璧ではないような世界を作り出して行くのは難しいことですよね。私はそうしたことを通して過去の遺産をちゃんと取り入れ、きっちり自分を出していきたいんです。とはいえ、現代のジャズで好きな人も沢山います。グレッチェン・パーラト2009年2月3日、2012年2月22日、2013年3月19日、2016年9月4日、2017年9月20日」は本当に素晴らしいと思うし、サンダーキャット(2017年4月27日)とかも好きです」(2013年にしたインタヴューより)
▶過去の、グレッチェン・パーラト
http://43142.diarynote.jp/200902040424558168/
http://43142.diarynote.jp/201202251301444372/
http://43142.diarynote.jp/201303221327416224/
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▶︎過去の、サンダーキャット
http://43142.diarynote.jp/201704280745098662/

Qぼくがあなたの表現を聴いてすごいというか、奇異に感じてしまうのは、ちゃんとクラシックを学んだ末に、ジャズをやっていることなんです。前にインタヴューしたとき、今もクラシックを歌いたい言っていましたし(一方で、ブルーグラスにも興味があるなんて、発言もしていた)、そいう人がジャズの決定的なフィーリングや技巧を捉えた事を成し遂げていることに不思議な思いを得てしまうんです。これは、本当にレアなケースであると。
「その意見には同意します。クラシックのシンガーがジャズを歌おうとするとなんか変な感じがしちゃいますね。クラシックの素養が悪い方に出てしまう。私がジャズを歌い始めた時に思ったのは、そういうことはしたくないということでした。それで、クラシックの影響が見えないように歌うことを心がけています。でも、一人だけジャズ・シンガーでクラシックの影響を受けた歌い方をするのがサラ・ヴォーンですね。彼女はそれを全く違和感なく出している人。一音だけクラシックの技術を使って出すこともあるけど、それは僅か。だって、マイクがあるから、それも必要ないでしょ」(2017年にしたインタヴューより)

 昼下がり、子供を扱った映画を2本見てダウナーな気持ちになり、夜はライヴを2本見てアッパーな気持ちになる。そいういやあ、家を出るときはどんよりしていていつ雨が降ってきてもおかしくないという空模様であったが、一つ目の試写室を出たら陽光燦々となっていて驚いた。

 東銀座(駅地下直結の歌舞伎座ショップ街があった。ちょい歩いたら、ぼくにとっては興味の持てないものばかり。歌舞伎を見たのはここの歌舞伎座で一回、シアター・コクーンで一回の2度ほど)・松竹試写室で見たのは、クラウド・ファウンディングで作られたという2016年フランス映画「子供が教えてくれたこと」。5人の一筋縄ではいかない病気を患っている子供達の姿/発言を追ったドキュメンタリーで、監督は女性ジャーナリストのアンヌ・ドフィーヌ・ジュリアン。自ら難病を患った子供たちを持ち、亡くなってしまった長男との日々を綴った本は『濡れた砂の上の小さな足跡』というタイトルで講談社から刊行されているという。

 日々の治療と隣り合わせで、活動が制限されるところも持つ子供たちはけっこう快活で、発言もなかなかに前向き。それらが導く、正の所感が映画の主題となる。だが、遊ぶことも、学校に行くこともままならないもっと重篤な病状を抱えた子供たちもいるだろうということも映画を見ながらぼくは感じてしまい……。実は、確か小学低学年のころ大きな病院にお見舞いに母親に連れて行かれたことがあり、そこには小児病棟(といか、病室かな?)もあって母親から説明を受け、もし自分がそんな境遇になったらと思ったらどよーんと塞ぎこみまくってしまい、親が慌てたことがあったのを思い出した。オレはメンタルが弱い。そういえば、障害を持つ子供たちを持つ知人がいるのだが、子供のために戦うこともあったはずの彼はいつも飄々柔和であり、音楽や映画好きでその興味も持ち続けている。ぼくは、そんな彼を本当に尊敬しちゃうな。

 原題は、「Et Les Mistrals Gagnants」。これは、同国の大物シンガー・ソングライターのルノーの1985年曲「Mistrals Gagnant」を監督のジュリアンが企画当初からよく口ずさんでいたことから、引用されたという。古いキャンディの商標を借りて幼少時代の思い出を綴った、娘のために書かれたその曲は劇中にも登場する。また、エンドロールでは、英国のダヴズの2002年淡々曲「ゼア・ゴーズ・ザ・フィアー」が流される。

 次は六本木・アスミックエース試写室で、2017年アメリカ映画「フロリダ・プロジェクト」を見る。その表題にあるようにフロリダ州オーランドを舞台に置くもので、<真夏の魔法>という副題がつけられている。

 監督のショーン・ベイカーは2015年デビュー作「タンジェリン」を制作費節約のため全編Iフォンで撮影して注目を浴びた人のようだが、この新作は通常の35ミリにて撮っている。陽光の場所たるフロリダの色彩感豊かな感じのもと始まる映画で初っぱなから流されるのは、クール&ザ・ギャング(2014年12月26日、2016年2月23日)のパーティ曲「セレブレーション」。おお、アガる。これは満たされた感覚に貫かれた映画なのかとそのときは思いきや。いやあ、米国の底辺暗部があっけらかんと描かれていて、見事に凹みました。

 夏休みにある子供達の様々な所作(みんな、セリフ回しがうまいねえ)を介するのでどこかほのぼのとしている部分はあるのだが、合衆国の光と影をひたひたと描いていて(ディズニー・ワールドの近くが舞台というのは要点)、なんかいたたまれない気持ちになる。主人公の母親の行状の悪さの描写もすごいな。いくら、ドナルド・トランプが長をやっている国とはいえ。でも、逆にいえば、巧みに作られた映画なんだと思う。最後のファンタジー、も少し効果的な描き方があったような、、、。

▶過去の、クール&ザ・ギャング/J.T.テイラー
http://43142.diarynote.jp/200611281428510000/ J.T.テイラー
http://43142.diarynote.jp/201403051230433466/ J.T.テイラー
http://43142.diarynote.jp/201412291146465218/
http://43142.diarynote.jp/201508051544452721/  J.T.テイラー
http://43142.diarynote.jp/201602290953239524/

 喉を潤して気持ちを整え直し、代官山・晴れたら空に豆まいて に行く。出演者は旧ベルギー領であるコンゴ民主共和国出身で、現在はベルギーを拠点に活動しているラッパーであるバロジ。ドラマーとギター奏者が演奏するなか、ドラゴン・アッシュのダンサーであるATSUSHIがゆったり目で身体を動かす(彼はこののちも数曲で一緒にやる)。そして、2曲目からグレイのストライプのスーツを身につけたバロジが登場。痩身かつ長身で、一瞥しただけで格好いいと頷く。すると、ドラマーは横に出てきて、PCの音出しとバックグラウンド・コーラスを担当。少し太り目で年配のギタリストはデジタル・ビートに合わせて悠々と彼の地を想起させる“転がる”ギター演奏を見せる。そのディジー・マンジェクはなんと1950年代から活動するフランコ率いる旧コンゴの著名バンドOKジャズのギタリストなのだとか。そりゃ弾けて当然、耳を引いて当たり前なはずだよな。椅子に座って演奏していた彼は終盤、前に出てきてギターを首の後ろに回して弾いたりもした。

 サウンドは乱暴に言ってしまえば、ヒップホップのビートとアフリカの美味しい諸要素を重ねた感じ。そして、バロジは快活かつエネルギッシュに、通るでかい声をビートに乗せる。いいそお。文句なし。3人とも同じ柄のスーツ+の衣装を着ていたが、するとそれらはオーダー・メイドであるのか。面々は24日(土)16時半に、飯田橋・アンスティチュ・フランセで野外フリー・ライヴを行う。しかも、なんとその際は後から来日するバンド員が増えるというのだから! ちなみに、彼らの前には2日前に書いているアリオーズもそこに出演する。

 そして、この日はこれでおしまいなはずであったが、2ショウかと思ったバロジの実演が1ショウであったので、もう一つライヴが回れるということとなり、明日見ようと思っていたザ・ニュー・パワー・ジェネレーションをこの後に見ちゃう。いやあ、アゲアゲになった気分でプリンス(2002年11月19日)曲に触れたくなっちゃったんだよー。

 というわけで、六本木・ビルボードライブ東京。プリンスの1990年代初期のグループ名のもと、御大の曲をやりますよという集団が昨年に続いてやってきた。そしたら、構成員は全とっかえ。ホーン・セクションがゼロになったのはとても残念だが、今回のほうがプリンスのレコーディングに関与した人は多いか。

 2007年作『プラネット・アース』に入っているキーボードのモーリス・ヘイズ、1990年代のいろんなアルバムで叩いているドラマーの カーク・ジョンソン 、1990年代初期作に名があるシンガー(少しギターも)のトニー・Mと歌と打楽器パッドのデイモン・ディックソン、リーダーとして活動しつつグラハム・セントラル・ステイション(2009年9月29日、2010年9月9日、2012年11月24日、2014年5月4日、2014年5月5日、2015年11月11日)の2012年作で歌ったテイマー・デイヴィスらは、プリンス流れ。さらに、ミント・コンディション(2006年6月25日、2008年7月26日、2009年7月10日)のギタリストのホーマー・オデール、イブツ感たっぷりの個性派ベーシストのモノニオン(2017年9月1日。左利き用4弦ベースを逆さに構える。エフェクターは3つほどつないていたが、太い音を出すことに終始。遅めのフレイズはサム・ピック弾きもしていた )、そしてエミネム表現他に関わりリーダー作も複数出しているシンガー(ときにキーボード)のキップ・ブラックシャイア。実は、リード・ヴォーカルはブラックシャイアが取る曲が一番多く、彼がリーダーのように思えるかも。

 よりR&B濃度を高めたプリンス曲がいろいろと送り出される。骨の太そうな人が多い出演者の様を見て、ザ・レヴォルーションズを組んでいた80年代は、骨格/佇まい的にもロッキッシュであったのだと今更ながら痛感。ファンク/R&Bとロック、どっちが男で女かというのはともかく、そういう文脈でプリンスの表現はユニセックスというか、両性具有であったのだとも思った。

▶過去の、プリンス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm
▶過去の、ラリー・グラハム
http://43142.diarynote.jp/200910021138591223/
http://43142.diarynote.jp/201009171755535759/
http://43142.diarynote.jp/201211261639115632/
http://43142.diarynote.jp/201405071010101908/
http://43142.diarynote.jp/201405071013173150/
http://43142.diarynote.jp/201511120722274234/
▶︎過去の、ミント・コンディション
http://43142.diarynote.jp/200606270004200000/
http://43142.diarynote.jp/200807281305320000/
http://43142.diarynote.jp/200907131202486925/
▶︎過去の、モノニオン
http://43142.diarynote.jp/201709071307037021/

<今日の、戸惑い>
 移動が多かったのでいろいろと電車に乗ったが、昼間の日比谷線内。座っていたぼくの前に立った女性が社員証をつけたままで、名前や会社名がもろ分かり。けっこう綺麗な人だったが、いつも無頓着にそうしているのか、このときはたまたま外し忘れたのか? 不意に個人情報を目にしてしまい、目をそらす。きほん乱暴だったり不埒なことを自認しているので、なにげにぼくは紳士ぶる。
 六本木周辺で、二つのライヴを見る。

 まず、オークウッドプレミア東京ミッドタウンのラウンジで、現在5か所からなる日本ツアー中のスイスの男女ユニットであるアリオーズを見る。スイス人関係者たちが集うパーティの一環で、この晩はツアー中の二人の番外実演となる。澄んだ情感を持つ女性シンガーのアリゼ・オスヴァルドと生ギターと歌のザヴィエル・ミシェル、二人だけで事を行う。交互に歌ったり、いろいろと重なったりと自在に歌の絡み方を持つのが、ちょっと湿り気のあるメロディを扱う彼女たちの要点。これだけ密に歌が重なる男女のポップ・デュオのユニットを、ぼくはちょい頭のなかに浮かばない。曲作りのワークショップで出会い、当初はオスヴァルドの方だけが歌っていたようだが、試行錯誤のすえ現在の形になったという。

 うち、1曲はスイス発の音階打楽器であるハンドパン(ビョークもライヴで使っている)だけを下敷きに、歌う曲があった。フランスのワーナー・ミュージックから出ている新作『Comme on Respire』(2017年)は二人にとって初のインターナショナル・リリースであり、もともとフランスに近いところに生まれフランス語を用いていた二人はフランス語で歌っている。

 その後は、EXシアター六本木で、現在87歳のキューバ人ヴェテラン歌手であるオマーラ・ポルトゥオンド(2001年2月9日、2002年8月23日、2012年5月1日、2013年9月7日)のショウを途中から見る。キューバ音楽好きで自ら現地録音アルバムを作ったりしていた音楽カメラマンの高橋慎一監督の映画「Cu-Bop across the border」の全国公開を祝うという名目を持つもの。

 ピアノのロランド・ルナ、コントラバスのガストン・ホヤ・パレリャーダ、ドラムのロドニー・バレット(2012年5月1日、2013年11月27日)、パーカッションのアンドレス・コアヨ(2012年5月1日)。そして、1曲だけ奥山勝(ピアノ)がルナに代わる。彼は、ポルトゥオンドの初来日公演で弾いたことがある旧知の関係であるという。

 基本ゆったり目の曲を、多くは椅子に座ってじっくり歌う。赤基調のドレスとヘア・バンドが映える。そりゃ物理的には少し甘くなっている部分もあるのかも知れないが、矍鑠にして確か。そして、やはり滋味と訴求力てんこもりで、頭をたれるしかないじゃないか。お茶目さ、人間的な豊かさを感じさせるのもとても魅力的だ。日本の有名曲「桜」をアカペラで歌ったりもしたが、彼女は日本語歌詞をそらで覚えていた。お客さんにも唱和を求めたが、歌詞をちゃんと知っている日本人が逆に多くはなく(ぼくも知りません)、それはしりすぼみに。

▶︎過去の、オマーラ・ポルトゥオンド
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-2.htm ブエナ・ビスタ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-8.htm 東京ジャズ
http://43142.diarynote.jp/201205080621274204/
http://43142.diarynote.jp/201309161507226186/
▶︎過去の、ロドニー・バレット
http://43142.diarynote.jp/201205080621274204/
http://43142.diarynote.jp/201311281342196399/
▶︎過去の、アンドレス・コアヨ
http://43142.diarynote.jp/201205080621274204/

<今日の、天候>
 東京ミッドタウンのなかにある、賃貸し高級アパートメントのオークウッドプレミアの中には初めて入る。へえ、格あるホテルみたいね。芸能人なんかも住んでいるという。ライヴ前には、そこでアリオーズのお二人にインタヴューする。いい人たちだなあとすぐに思わせるとともに、美男美女で驚く。ジャケットのカヴァー写真はなんであんなのにしたのかな。ハンドパンを弾かせてもらったが、スティール・パンに下蓋がついている感じ(それなりに重量あり)で膝において扱い、それに準ずる音が出る。
 桜も咲き始めて、この時期にインタヴューする外国人には、今来日できてラッキーですねと枕で言ってしまうワタシ。しかし、夕方以降、とっても気温が下がり、EXシアターに歩いていくのが辛かった。あそこはミッドタウン前からだと車道は外苑通りが左折できず、246も劇場の反対側で降りることになるので、タクシー使用はどうにも具合が悪い。そしたら、翌日は昼間はもっと寒くて、降雪も! これで、また暖かくなると、一気に桜は満開だな~。
 まず、京橋・テアトル試写室で、2018年日本映画「フジコ・ヘミングの時間」を見る。ぼく、かつてクラシック音楽のかたぐるしい権威性や観客の愚かな気取りを小馬鹿にするとともに腰がひきまくっていたので、クラシックには興味が持つことがなく、一応その名前は知っていたものの、細かいことはまったく知らなかったので、とても興味深く見ることができた。◎。だって、おれ、日本人のピアニストが海外に行って、向こうの人と結婚して名前がそうなり、向こうで認められた人なのかと思っていたもの。→実際はスウェーデンと日本のミックスで、基本は日本育ち。60歳代末にTVで日本に住む彼女の不遇な音楽家人生のドキュメンタリーが放映されたところ日本で爆発的に注目され、それが世界的評価につながった。今は、86歳のよう。

 人間性や嗜好や歩みを伝える自身の語り(監督との会話だろう)を中心に進み、そこに彼女のアンティークな感じたっぷりの自宅(パリ、ベルリン、下北沢、京都、サンタモニカとたくさん持っている)や日常、そして各地(パリ、東京、シカゴ、サンティアゴ、NY、ブエノスアイレス、京都)の公演の模様なども随時入る。監督は、1964年生まれの小松壮一良。彼女に気に入られているのか、すぐ側に入り込んでいるし、映される映像やその編集も、ぼくの生理には合う。けっこうJ-ポップものの映像をとってきた人のようだが、どんなものを作っているのか知りたくなった。

 彼女が中学生のときに書いた絵日記も時々モチーフとしてインサートされるが、絵は味ありでなかなか。日記の日本語の字は上手じゃないが、絵につけられた注釈は綺麗な英語で書かれている。独自のファッションで身をかためている彼女、愛煙家で猫偏愛とぼくが苦手な部分も持っているが、嫌な気持ちにならずに見通せました。なお、映画は彼女が世に出るきっかけになった昔のNHKのドキュメント番組の作法と似ている、という人もいました。

 南青山・ブルーノート東京。実力と才気ありのポーランド人ジャズ・シンガー(2015年9月5日、2016年12月25日 )の今来日のショウは、ポーランドのグループのクローケとのもの。ヨペックもクローケ構成員も皆スラブ民族であるようだが、クローケはジューイッシュ音楽と即興をかけあわせたことをやるグループ。両者は一緒のアルバムは出したことはないが、ここ数年けっこう絡んでいるそう。

 結成25年強となる、ヴィオラ、アコーディオン、ベース、ドラムスという編成を持つクローケのアルバムのなかにはかなりクレツマーぽいものもあって、クレツマー調表現のなかで私を開くものになるのかと思えば、ぜんぜんそんなことはなかった。1曲目はクローケだけの曲だったが、ざっくり言えば哀愁と含みあるプログ・ロックという感じ。そして、以降は小さなキーボードも触るヨペックが交ざるわけだが、なにげに柔和にして流動性のある<プログ・ロック+>と言いたくなるような路線で進む。それ、ぼくが聞いたことがある両者の表現にかちっと当てはまらないもので、それは両者で作ったオリジナルであったのか否か。なんにしても両者の確かな創造性のようなものはぶりぶりと感じさせるもので大きく頷いた。

 澄んでいるのに地声に質量感があり、歌がよく伸びるなあと、ヨペックのパフォーマンスに触れて再認識。とともに、今回の多くはスキャットでせまりまくっていたはずで、ジャズの素養/器量も存分に通過していた。

 クローケの面々は、ヴィオラ(ちょいティン・ホイッスルのような小さな縦笛も吹く)のトマシュ・ククルバ、アコーディオンのイェジ・バヴォウ、ドラムのパヴェウ・ドブロヴォルスキ。そして、クローケのベース奏者は飛行機がダメで、それゆえこのアジア遠征には、ヨペックのバンドのベーシスト(5弦電気を弾くが、一部はダブル・ベースも演奏)であるロベルト・クビシン(2015年9月5日、2016年12月25日 )が同行。しかし、ヴィオラ奏者は雄弁、歌った歌も朗々、うまかった。

▶︎過去の、アンナ・マリア・ヨペック
http://43142.diarynote.jp/?day=20150905
http://43142.diarynote.jp/201612270940364817/
▶︎過去の、ロベルト・クビシン
http://43142.diarynote.jp/?day=20150905
http://43142.diarynote.jp/201612270940364817/

<今日の、多彩は美徳>
 マリア・ヨペックの新作は、香港のワールド・ミュージック・フェス出演を含む中国ツアーの流れにある今回の実演とも、通常のワーキング・バンドによるパフォーマンスともまったく異なる内容を持つ。その『Minione』(Universal、2017年)は、ゴンサロ・ルバルカバ(2005年3月16日、2007年11月21日、2010年8月22日、2014年1月10日、2014年1月12日、2015年4月7日)との双頭名義作。ベースのアルマンド・ゴーラとドラムのアーネスト・シンプソン(2013年9月17日)というキューバ人奏者からなるピアノ・トリオを擁して、マイアミで同作は録音された。興味引かれるのは、戦前のポーランド語によるタンゴ曲をそこで主に取り上げていること。なんでも、昔、ポーランドではタンゴがはやったことがあり、その類の曲も作られたようだ。音楽様式の伝搬や流行っておもしろい。墨絵のようなトーンを持つその音楽プロダクションはルバルカバが行なっている。
▶過去の、ゴンサロ・ルバルカバ
http://43142.diarynote.jp/200503240453290000/
http://43142.diarynote.jp/200711290930350000/
http://43142.diarynote.jp/201008261620103318/
http://43142.diarynote.jp/201401161534392423/
http://43142.diarynote.jp/201401171004104264/
http://43142.diarynote.jp/201504081451142675/
▶︎過去の、アーネスト・シンプソン
http://43142.diarynote.jp/201309201840164499/

 アイダホ生まれ、NY在住のソウルフルな歌い方をする初来日女性歌手の実演を、南青山・ブルーノート東京で見る。ファースト・ショウ。実力者であると思う。Youtubeには、ジョニ・ミッチェルの『ブルー』、ジェフ・バックリーの『グレイス』、ジョン・メイヤー(2007年4月5日)の『コンティニュウム』、ディアンジェロ(2015年8月18日)の『ブラック・メサイア』などを全曲自分なりにまんま歌っていく長尺映像をアップしていて、へ〜えと思わせられるもの。

 マライア・キャリー(2003年7月6日)の大ファンとライヴMCで言っていたが、なるほどその影響下にある歌い方をするナと確認。髪型とか薄手のジャンプ・スーツとかも、かつてのキャリーを思い出させる? ただし、キャリーは太平楽な円満曲を歌うところ、少なくてもライヴにおいてはブルースとつながるくすんだ情緒を持つ曲を数多くジェイムズは取り上げていた。そう感じさせるのは、バックのサウンドのトーンもあったか。

 オルガン(ベース音も担当)のブライアン・シャレット、ギターのダグ・ワンブル、ドラムのビル・キャンベル(2017年4月15日)の3人がサポート。2曲ほどスライド・バーも用いたワンブルはジェイムズの旦那さん。ウィントン・マルサリス(2000年3月9日)の枯れ味路線作に関与していたりもする彼は、マルサリス・ミュージックやE-1などから、ルーツ・ミュージックからアダルト・ロックまでを横切るようなリーダー作をいくつか出しているシンガー/スライド奏法を得意とするギタリスト。当然、頭に触れた映像や彼女のリーダー作のプロダクションにも関わっている。ときに、いい感じでコーラスをつけてもいたが、彼が前に出た曲があって欲しかった。

▶過去の、ジョン・メイヤー
http://43142.diarynote.jp/200704112101130000/
http://43142.diarynote.jp/200806121400260000/
▶︎過去の、ディアンジェロ
http://43142.diarynote.jp/201508200741137207/
▶︎過去の、マライア・キャリー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-7.htm
▶︎過去の、ビル・キャンベル
http://43142.diarynote.jp/201704170805443358/
▶過去の、ウィントン・マルサリス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-3.htm

 その後は、千駄木・Bar Issheeへ。店内に入るとセカンド・セットがすでに始まっている。長テーブルの上にそれぞれ楽器を置く4人が異音を即興で重ねあっている。谷保典と加藤一平(2013年9月22日、2015年6月15日、他)と永田健太郎、3人のギタリストからなるTabletop Guitersにキーボードの武田理沙という組み合わせ、特にギター奏者たちはエフェクターをいろいろと並べている。ギターという楽器を用いて、通常のギター奏法やギター音から離れた音の断片や浮遊物をださんとするTabletop Guitersは2011年からの活動とか。ちなみに、谷はチューニングしたギター、加藤は非チューニング、永田は半々とか。一緒にやるのは初めてながら見事に重なっていた武田はザッパ曲を鍵盤でやるプロジェクトも持ち、かつてはドラムをやっていたそう。

▶︎過去の、加藤一平
http://43142.diarynote.jp/201309260930584072/
http://43142.diarynote.jp/201506161247423392/

<今日の、朝の1本>
  映画チャンネルをつけたら偶然やっていて、なんとなく一つ見てしまう。『ソウルガールズ』という2012年オーストラリア映画で、その表題だけで見るべかという気持ちになるか。原題は『The Sapphires』、それは1960年代に豪州で活動した同名のアボリジナルの女性ヴォーカル・グループの存在を元に自由に脚色したもので、まずは2004年に演劇として作られ、その後それを元に映画化なった。最初の劇を書き、そして映画の脚本にも関与したトニー・ブリグズはザ・サファイアズの一人のメンバーの息子さんであるという。
 豪州ではヒットしたというこの映画、日本でもちゃんと公開されていたとは知らなかった。ソウル映画として、これもありでしょう。ポイントは、米国における先住民族やアフリカンたち以上に白豪主義を掲げた豪州移住者/為政者から迫害を受けたとも言われるアボリジナル(かつては、彼らを“狩り”していいという法律もあったようだ。また白人との混血の子供を家族から勝手に奪い施設や白人家庭に入れることも政策としてなされ、映画ではメンバーの一人がそういう境遇にある女性として描かれる)を主役に置いていること。映画中でも黒人と呼ばれ差別を受ける姉妹たちがソウル・コーラス・グループとして活動していく様を描いた映画の半分以上の舞台は、ヴェトナム。彼女たちは米兵慰問音楽グループとして同地に行って(それは土地的にタイやヴェトナムが豪州から近く〜それもあってか、タイ・カレーはカフェ・メニューによくある〜離れたUSから担い手を呼ぶよりも安上がりであったろう)の様が描かれ、ひいては米国の当時の社会状況を透けて見させるような部分もある。そこそこお金がかけられているのも分かり、主役の女性陣にはアボリジナル初の女優(デボラ・メールマン)や豪州の人気シンガー(ジェシカ・マーボイ)などもキャスティング。どこかピリっとしない仕上がりで、興味深い題材を扱っているんだから、もう少し作りようはあったとは思うが、異色のソウル映画として、この『ソウルガールズ』をぼくのなかに留めておくことにしたい。現実のソウル・ガールズたちのその後を最後に伝えるが、みんな意義のある方向に進んでいて、それで肯定的なキブンになれます。
 なるほどー、と大きく頷いた夜。南青山・ブルーノート東京、セカンド・ショウ。

 親日家としてして知られるリード奏者のケニー・ギャレット(1999年11月12日、2001年6月14日、2003年8月19日、2015年4月10日)の実演は、ここのところのアコースティック編成のワーキング・バンドを率いてのもの。ピアノのヴァーネル・ブラウン(2015年4月10日)、ダブル・ベースのコーコラン・ホルト(2015年4月10日)、打楽器のルディ・バード(2015年4月10日)、ドラムのサミュエル・ラヴィゾ。ピアニストとべ—シストは長いブレイズを後ろで束ねている。今回新たに入ったドラマーはグァドループ出身で、バークリー音大を出ている新鋭。クリス・デイヴ(2009年4月13日、2009年12月19日 、2010年12月16日、2012年9月21日、2013年9月28日、2015年8月18日、2016年1月25日、2016年10月11日)、ロナルド・ブルーナーJr. (2009年9月15日、2014年9月10日、2015年9月30日、2016年5月20日、2016年12月6日)、ジャマイア・ウィリアムズ(2009年5月18日、2012年3月3日、2013年4月1日、2013年6月4日、2014年8月7日、2015年1月22日、2017年8月15日 )など、若手の逸材ドラマーを素早くバンドに入れる傾向をギャレットは持つ。その事実について、かつて本人に問うたら、ドラマーがやめるときにお薦めの同業者を聞いて、その人に声をかければ間違いがないみたいな説明を受けました。

 頭の2曲はソプラノ・サックスを吹く。1曲目からジョン・コルトレーン趣味を見せ(「ラヴ・スプリーム」のクォーテイションもしたか。今回、他の曲でもギャレットはいろんな楽曲引用をみせた)、2曲目はピアニストとのデュオで、「翼をください」とか「荒城の月」とかのオリエンタル曲メドレーをやる。軽いコードの置き換えはあるものの、インプロヴィゼーション度は高くない。ゆえに、ぼくにはタルい。

 それ以降はアルト・サックスを手に、バンドとともにごんごん迫る。ま、達者なんだと思う。でも、ぼくの感興のメーターは上がらない。前にも書いたけど、腕は立つんだろうけど、ブロウにジャズをジャズたらしめる陰影に欠けると感じてしまって、心から感情移入できないんだよな。視野を広く取る行き方も分かるんだけど、過剰にセンスがいいとは思えない。

 と、ここまでは、純粋な音的な部分の記述。だが、一方で後半に向かうにつれ、ぼくはこりゃすごいと感嘆してしまっていたのだ。日本語にも堪能と言われる彼は、MCでは日本語も的確にいれ、人懐こく聞き手を導こうとする。ジャズはアーティスティックな部分も持つが難しいものでも、かしこまったものでもないんだよという意思に、それはつながるか。そして、そんな姿勢が高みに達したのが、終盤にえんえんとやった彼のフュージョン盤で発表した「ハップー・ピープル」(マーカス・ミラー〜1999年11月12日、2001年 6月14日、2003年8月19日、2005年8月21日、2007年12月13日、2009年9月15日、2010年9月3日、2013年9月3日、2015年2月21日、2016年9月17日、2017年1月7日〜との共同制作による2002年曲で、そこでドラムを叩いたのがクリス・デイヴ。シンガーとして、ジーン・ノリス〜2007年12月13日〜も入っていた)。これなんとも、広がりと幸福さに満ちたリフレインを持つ曲であるのだが、その祝福された曲趣とともに場内は総立ちとなり、また一緒に皆んなそのリフレインを歌う。ジャズの公演でこれはないでしょと言いたくなる光景には、心のVサインをギャレットに送るしかないじゃないか。そして、さらに驚いたのは、曲が終わると自然発生的に客席側からそのリフレインのチャントが湧き起こり唱和状態となり、それに合わせて、再びギャレットたちは「ハッピー・ピープル」を満面の笑顔で始めたこと。それを受け、お客さんの笑顔はもっと輝き、場内の気持ちという輪の高度がさらに増し、自在に揺れる。R&Bの好公演ならともかく、かりにもアコースティック・ジャズの形をとる公演でこんなふうになるなんて! ぼくは、そんな様に触れるのは初めてだろう。

 純粋な音楽の面では両手をあげることはできないが、こと娯楽性と繋がったジャズのショウとしては100点満点! ジャズを知らないんだけど、ジャズのコンサートに行ってみたいとか頼まれたら、そのハッピーな入り口としてギャレット公演はぴったりだと、ぼくは思う。会場には、知人のグループがいて、ひとりのお誕生日お祝いで終演後にケーキがサーヴ。ご相伴にあずかった。いやあ、そんなのを祝う際にも、最適の実演ではなかったか。

▶︎過去の、ケニー・ギャレット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/movember1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-6.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm
http://43142.diarynote.jp/201504131108504171/
▶過去の、クリス・デイヴ
http://43142.diarynote.jp/200904150840164356/
http://43142.diarynote.jp/201001051625155901/
http://43142.diarynote.jp/201012171104366095/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120921
http://43142.diarynote.jp/?day=20130928
http://43142.diarynote.jp/201601260728484520/
http://43142.diarynote.jp/201610141747514263/
▶過去の、ロナルド・ブルーナーJr.
http://43142.diarynote.jp/200909181206531984/
http://43142.diarynote.jp/201409111424501752/
http://43142.diarynote.jp/201510021221454336/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160520
http://43142.diarynote.jp/201612091513593556/
▶過去の、ジャマイア・ウィリアムズ
http://43142.diarynote.jp/?day=20130401
http://43142.diarynote.jp/200905191118258984/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120303
http://43142.diarynote.jp/201306060730086224
http://43142.diarynote.jp/201408091058201133/
http://43142.diarynote.jp/201501230914317086/
http://43142.diarynote.jp/?day=20170815
▶︎過去の、ジーン・ベイラー(ノリス)
http://43142.diarynote.jp/200712161023010000/
▶︎過去のマーカス・ミラー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/movember1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-6.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm 
http://43142.diarynote.jp/200508230545510000/
http://43142.diarynote.jp/200712161023010000/
http://43142.diarynote.jp/200909181206531984/
http://43142.diarynote.jp/201009111624281899/
http://43142.diarynote.jp/201309051241384602/
http://43142.diarynote.jp/201502231815384234/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160917
http://43142.diarynote.jp/201701091247527188/

<今日の、ほう>
 スペインのトップ・リーグ、エイバルに所属する乾貴士が、セビーリャのレアル・ベティス(2008年11月2日)に来シーズンから移籍するというニュースが入る。おお。もしそれが本当なら、彼は来年からスコットランド・リーグのセルティックみたいなユニフォームに袖を通すのか。ぼくのトゥイッター(2009年12月に入って、総トゥイート数は38。苦笑)の写真はベティスのサポーターのそれを載せてい〼。
▶︎過去の、レアル・ベティス
http://43142.diarynote.jp/200811090012264277/

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