ザ・クレイトン・ブラザース。ミシェル・ンデゲオチェロ
2017年1月18日 音楽 ダイアナ・クラール(1999年5月21日)他のアレンジャーを務めるとともに、自己オーケストラを率いてやってきたこともあった、1952年生まれのベーシストのジョン・クレイトン(2011年12月21日)とスタジオ奏者もやっている1954年生まれアルト・サックスのジェフ・クレイトン(2011年12月21日)の兄弟が中心となる、長年ゆったりと活動してきているコンボがザ・クレイトン・ブラザースだ。二菅クインテットでフロントに立つもう1人は、キャンディドやマックスジャズなどから10作ほどのリーダー作を出している1966年生まれトランペッターのテレル・スタッフォード。彼、老けて見えるなあ。その熟達組の3人に加え、1984年生まれのジョンの息子のジェラルド・クレイトン(ピアノ。2007年9月10日、2008年9月16日、2009年6月7日、2009年9月3日、2011年10月6日)、1980年生まれドラマーのケンドリック・スコット((2009年3月26日、2013年2月2日、2013年8月18日、2013年9月11日、2015年2月4日、2015年11月10日、2016年3月1日)が入った興味深い編成で実演は持たれた。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。
堂々の、アコースティックな正調ジャズを堪能。ただし、曲はオリジナルで、無理のないアレンジ設定も施されている。どの曲でも、二管の線のしっかりしたソロがまずうれしい。やっぱり、ちゃんと道を歩んできているプレイヤーの演奏は聞かせる。余裕のMCも担当するジェフ・クレイトンはアルコ弾きも用いる。そして、ジェラルドとケンドリック・スコットという働き盛りの30代奏者が入ってこその若い跳ねも、その総体にはある。いいんじゃないでしょうか。
多少流し気味とも思える軽い指さばきを見せるジェラルドはそのぐらいがお父さん世代との折り合いはいいだろうし、4ビートという枠の中で妙味を出しまくりつつタイトに叩くスコッドは見ていて本当に楽しい。旧来のジャズはどう今輝くことができるか。そういう、答えの一つになっていたはずだ。
ジェラルド・クレイトンは当初クラウド・ファウンディングで資金を集めて制作し、それをコンコードが流通にのせた2013年作『ライフ・フォーラム』以降、リーダー作を出していない。だが、やっと春には『Tributary Tales』という新作を出す。ベン・ウェンデル(ジェラルドも入る昨年作は最良質現代ジャズ作だ。2013年8月22日、2015年4月16日)他周辺の逸材をいろいろと起用した末広がり作で、かなり聞き応えがあり。そんな彼にインタヴューしたら、想像していた以上に真面目な人で驚いた。あのドレッド調の頭は高校の頃から続けているそう。ジャズを聞かないのに髪型に惹かれてあなたのアルバムを買った人がいますと伝えると、「音楽だったら、それでもいいだろう。でも、政治家は見た目や気分で選んではいけない」と、彼は穏やかに答えた。
▶︎過去の、ジョン・クレイトン
http://43142.diarynote.jp/201112261518003058/
▶︎過去の、ジェフ・クレイトン
http://43142.diarynote.jp/201112261518003058/
▶︎過去の、テレス・スタッフォード
http://43142.diarynote.jp/201112261518003058/
▶過去の、ジェラルド・クレイトン
http://43142.diarynote.jp/200709171108570000/
http://43142.diarynote.jp/200809171409066704/
http://43142.diarynote.jp/200906091637138003/
http://43142.diarynote.jp/200909120646397236/
http://43142.diarynote.jp/201110091258307349/
▶過去の、ケンドリック・スコット
http://43142.diarynote.jp/?day=20090326
http://43142.diarynote.jp/201302041827243806/
http://43142.diarynote.jp/201308191407221107/
http://43142.diarynote.jp/201309161510164697/
http://43142.diarynote.jp/201502051100298160/
http://43142.diarynote.jp/201511120022503788/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160301
▶過去の、ベン・ウェンデル
http://43142.diarynote.jp/201308251333326263/
http://43142.diarynote.jp/?day=20150416
その後は六本木・ビルボードライブで、ミシェル・ンデゲオチェロ(2002年6月18日、2003年11月18日、2003年11月22日、2008年5月7日、2009年5月15日、2013年11月18日、2014年7月14日。歌と電気ベース)を見る。ギターのクリス・ブルース、キーボードのジェビン・ブルーニ、ドラムのエイブ・ラウンズがサポート。ドラムのみ新しい人(外見は、E.W.&F.の『地球最後の日』のジャケに並んでいそう)だ。やはり腕が立つ彼は、ンデゲオチェロ2014年作にも参加していたドイル・ブラムホールⅡ(2006年11月20日、2014年2月11日)のところで叩いていたようだ。あのアルバムはンデゲオチェロがあまりベースを弾いていないアルバムで、アンプ・フィドラー(2004年9月25日、2005年7月30日、2012年12月9日、2016年11月29日)もシンセ・ベースで入っていた。
全曲、ヴォーカルもの、つまりここのところの通常路線を行く。少しスピリチュアルな感触を増しているような気もしたが、ロックから少し距離を置き、ファンクやジャズからはかなりな距離を置く表現を悠然と披露する。視野の広い、いろんな含蓄を持つ、陰影と流動感に富むアダルト・ポップとそれを書いたら、いけない? 終盤にやった近作に入っていた「グッド・デイ・バッド」はけっこうブラインド・フェイスの「キャント・ファインド・マイ・ウェイ・ホーム」に似ている、諦観ぽいなかに一条の希望をにじませるような内容を持つ曲で、こういう歌詞を歌わせるとンデゲオチェロはうまい。
風情と持ち味あり。ただし、ずうっと彼女を注視し続けてきている者としては、少し新しい路線に踏み出して欲しいとは思えたか。プロデューサーとしてはジェイソン・モラン(2007年1月16日、2007年1月17日、2008年4月6日、2013年1月6日、2015年1月20日、2015年1月21日)の2014年作やマーカス・ストリックランド(2007年12月18日、2012年1月13日、2013年9月28日)の2016年盤などでいい仕事をしている彼女だが、それらはともにブルーノート・レコード物件。2014年以来ずっとリーダー作を出していない彼女だが、ブルーノート社長/A&Rのドン・ワズ(2013年2月15日)が彼女の新作リリースを決断しないものか。ンデゲオチェロはこの3月に来日する女傑アフロ・スパニッシュ歌手であるブイカの2015年作にもベースで部分参加するなど、ある傾向にある逸材に対しての威光はいまだ朽ちていないことも付記しておきたい。
▶過去の、ミシェル・ンデゲオチェロ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-6.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200805090836380000/
http://43142.diarynote.jp/200905161026033788/
http://43142.diarynote.jp/201311191050581790/
http://43142.diarynote.jp/201407151135353688/
▶過去の、ドイル・ブラムホールⅡ
http://43142.diarynote.jp/?day=20061120
http://43142.diarynote.jp/201402121439433317/
▶︎過去の、アンプ・フィドラー
http://43142.diarynote.jp/200409280745560000/
http://43142.diarynote.jp/200508060616450000/
http://43142.diarynote.jp/201212140959573710/
http://43142.diarynote.jp/?day=20161129
▶過去の、ジェイソン・モラン
http://43142.diarynote.jp/200701201417260000/
http://43142.diarynote.jp/200701201418210000/
http://43142.diarynote.jp/200804081928430000/
http://43142.diarynote.jp/201301151731112021/
http://43142.diarynote.jp/201501210901575140/
http://43142.diarynote.jp/201501220923108418/
▶︎過去の、マーカス・ストリックランド
http://43142.diarynote.jp/200712190953140000/
http://43142.diarynote.jp/201201141645353138/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130928
▶過去の、ドン・ワズ
http://43142.diarynote.jp/?day=20130215
<今日の、残念>
今、ビルボードライブが入っているミッドタウンは店子入れ替え期のよう。そしたら、ライヴの前後にちらりと入る飲む場として使っていた2店がともにクローズになっていた。わあああ。これは、痛い。
堂々の、アコースティックな正調ジャズを堪能。ただし、曲はオリジナルで、無理のないアレンジ設定も施されている。どの曲でも、二管の線のしっかりしたソロがまずうれしい。やっぱり、ちゃんと道を歩んできているプレイヤーの演奏は聞かせる。余裕のMCも担当するジェフ・クレイトンはアルコ弾きも用いる。そして、ジェラルドとケンドリック・スコットという働き盛りの30代奏者が入ってこその若い跳ねも、その総体にはある。いいんじゃないでしょうか。
多少流し気味とも思える軽い指さばきを見せるジェラルドはそのぐらいがお父さん世代との折り合いはいいだろうし、4ビートという枠の中で妙味を出しまくりつつタイトに叩くスコッドは見ていて本当に楽しい。旧来のジャズはどう今輝くことができるか。そういう、答えの一つになっていたはずだ。
ジェラルド・クレイトンは当初クラウド・ファウンディングで資金を集めて制作し、それをコンコードが流通にのせた2013年作『ライフ・フォーラム』以降、リーダー作を出していない。だが、やっと春には『Tributary Tales』という新作を出す。ベン・ウェンデル(ジェラルドも入る昨年作は最良質現代ジャズ作だ。2013年8月22日、2015年4月16日)他周辺の逸材をいろいろと起用した末広がり作で、かなり聞き応えがあり。そんな彼にインタヴューしたら、想像していた以上に真面目な人で驚いた。あのドレッド調の頭は高校の頃から続けているそう。ジャズを聞かないのに髪型に惹かれてあなたのアルバムを買った人がいますと伝えると、「音楽だったら、それでもいいだろう。でも、政治家は見た目や気分で選んではいけない」と、彼は穏やかに答えた。
▶︎過去の、ジョン・クレイトン
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▶︎過去の、ジェフ・クレイトン
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▶︎過去の、テレス・スタッフォード
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▶過去の、ジェラルド・クレイトン
http://43142.diarynote.jp/200709171108570000/
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▶過去の、ケンドリック・スコット
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http://43142.diarynote.jp/?day=20160301
▶過去の、ベン・ウェンデル
http://43142.diarynote.jp/201308251333326263/
http://43142.diarynote.jp/?day=20150416
その後は六本木・ビルボードライブで、ミシェル・ンデゲオチェロ(2002年6月18日、2003年11月18日、2003年11月22日、2008年5月7日、2009年5月15日、2013年11月18日、2014年7月14日。歌と電気ベース)を見る。ギターのクリス・ブルース、キーボードのジェビン・ブルーニ、ドラムのエイブ・ラウンズがサポート。ドラムのみ新しい人(外見は、E.W.&F.の『地球最後の日』のジャケに並んでいそう)だ。やはり腕が立つ彼は、ンデゲオチェロ2014年作にも参加していたドイル・ブラムホールⅡ(2006年11月20日、2014年2月11日)のところで叩いていたようだ。あのアルバムはンデゲオチェロがあまりベースを弾いていないアルバムで、アンプ・フィドラー(2004年9月25日、2005年7月30日、2012年12月9日、2016年11月29日)もシンセ・ベースで入っていた。
全曲、ヴォーカルもの、つまりここのところの通常路線を行く。少しスピリチュアルな感触を増しているような気もしたが、ロックから少し距離を置き、ファンクやジャズからはかなりな距離を置く表現を悠然と披露する。視野の広い、いろんな含蓄を持つ、陰影と流動感に富むアダルト・ポップとそれを書いたら、いけない? 終盤にやった近作に入っていた「グッド・デイ・バッド」はけっこうブラインド・フェイスの「キャント・ファインド・マイ・ウェイ・ホーム」に似ている、諦観ぽいなかに一条の希望をにじませるような内容を持つ曲で、こういう歌詞を歌わせるとンデゲオチェロはうまい。
風情と持ち味あり。ただし、ずうっと彼女を注視し続けてきている者としては、少し新しい路線に踏み出して欲しいとは思えたか。プロデューサーとしてはジェイソン・モラン(2007年1月16日、2007年1月17日、2008年4月6日、2013年1月6日、2015年1月20日、2015年1月21日)の2014年作やマーカス・ストリックランド(2007年12月18日、2012年1月13日、2013年9月28日)の2016年盤などでいい仕事をしている彼女だが、それらはともにブルーノート・レコード物件。2014年以来ずっとリーダー作を出していない彼女だが、ブルーノート社長/A&Rのドン・ワズ(2013年2月15日)が彼女の新作リリースを決断しないものか。ンデゲオチェロはこの3月に来日する女傑アフロ・スパニッシュ歌手であるブイカの2015年作にもベースで部分参加するなど、ある傾向にある逸材に対しての威光はいまだ朽ちていないことも付記しておきたい。
▶過去の、ミシェル・ンデゲオチェロ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-6.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-11.htm
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▶過去の、ドイル・ブラムホールⅡ
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▶︎過去の、アンプ・フィドラー
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▶過去の、ジェイソン・モラン
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▶︎過去の、マーカス・ストリックランド
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http://43142.diarynote.jp/201201141645353138/
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▶過去の、ドン・ワズ
http://43142.diarynote.jp/?day=20130215
<今日の、残念>
今、ビルボードライブが入っているミッドタウンは店子入れ替え期のよう。そしたら、ライヴの前後にちらりと入る飲む場として使っていた2店がともにクローズになっていた。わあああ。これは、痛い。