マヌ・カチェ

2019年12月2日 音楽
 一頃は堂々のECM契約ドラマーだったマヌ・カチェ(2011年1月28日、2012年1月13日、2016年4月13日)の2019新作はデビュー作以来のポップ・ミュージック側に入ったアルバム(https://43142.diarynote.jp/201901251032436987/を参照のこと)で、今回はそれに準ずるのりで行われた。丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。

 パリ在住のベルギー人キーボード奏者のエリック・レニーニ、ギターのパトリック・マヌーギアン 、ベースのジェローム・レガードが同行。マヌーギアンとレガードはその新作『the scOpe』(anteprima)のレコーディング参加者。一方、今回ノードとローズのみを弾いたレニーニはジャズ・ピアニストとして日本でもよく知られ(約10作のリーダー作を持つ)、エミ・マイヤー(2009年1月29日、2009年6月22日、2009年7月26日、2010年2月25日、2010年5月31日、2011年5月21日、2011年6月5日、2012年6月4日、2012年10月16日、2013年7月4日、2015年12月17日、2016年7月16日、2018年6月2日、2019年11月25日)のパリ録音作を仕切ったこともあった。

 ロック的な質感を持つインストゥメンタルや、カチェが歌いながら叩くポップ気味な曲(その際は、ヴォーカルに軽いエフェクトがかけられる)、さらにはプリセットのフランス語ラップも入れられる曲などいろいろ。なんにせよ、ほれぼれしちゃうタイトかつ音のいいドラム演奏を土台に置く。ドラムはヤマハを使っていたのかな。そして、3枚のシンバルのほか、直径10センチ強の小さなシンバルを二つおいて、ときにアクセント音としてそれを効果的に用いる。カチェってちゃんとクラシックを学んでいという印象があったが、完全に彼はマッチド・グリップで叩いていた。MCのたびにわざわざドラムから離れ、前に出てきてほのぼのMCをするのはこれまで通り。

▶過去の、マヌ・カチェ
http://43142.diarynote.jp/201102081259129769/
http://43142.diarynote.jp/201201141645353138/
https://43142.diarynote.jp/201604271334589018/ 取材
▶過去の、エミ・マイヤー
http://43142.diarynote.jp/200901310844354188/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090622
http://43142.diarynote.jp/200907131157415716/
http://43142.diarynote.jp/201002280942269300/
http://43142.diarynote.jp/201006071814527618/
http://43142.diarynote.jp/201105230925539578/
http://43142.diarynote.jp/201106131248013805/
http://43142.diarynote.jp/201206110916017268/
http://43142.diarynote.jp/201210201218283712/
http://43142.diarynote.jp/201307071319405650/
http://43142.diarynote.jp/201512271306411506/
http://43142.diarynote.jp/201607191312426603/
https://43142.diarynote.jp/201806051311346158/
https://43142.diarynote.jp/200709201052530000/
https://43142.diarynote.jp/201911260809479311/

<今日の、取材>
 日野皓正(2005年6月5日、2006年11月3日、2011年3月28日、2011年7月25日、2011年9月2日 、2013年9月22日、2014年4月4日、2015年3月10日、2017年9月3日、2018年8月11日、2019年4月27日)に久しぶりにインタヴューした。新作『Beyond the Mirage』(B.J.L./Space Shower)リリースに際してのもので、レコーディングのことも含め昔のことは全部忘れちゃっているよという前向きな(?)発言にしたがい、あまり新作にとらわれず自由に会話。でも、そうするとアルバムについてや過去のことについての興味深い話もいろいろ出てくるんだよなあ。とくに、マイルズ・デイヴィスの家に行ったときのやりとりは興味深かった。接していて、なんかサイコーと思わせるものが、彼にはある。ずっと米国と日本を行き来する生活をしている彼だが(77歳。本当に元気で、若々しい)、現在アメリカではマイアミに住んでいる。今もニュージャージーにも家を持っているそうだが。最後に一緒に写真を撮ることになったら、セルフィーにしようよと自らシャッターを押す。で、その後、彼はいい感じの写真にせんといろいろいじる。もう手馴れたもの、かつては写真に凝り個展をやったこともあるとか。そんな彼は長年絵も描いており、『Beyond the Mirage』のジャケット・カヴァーも氏の手によるもの。それはカラー作品だが、近年は炭を使ったモノクロ作品に取り組んでいる。携帯で見せてくれたが、かなりいい感じだった。彼は絵画展もよくしていて、直近のものは来週12月11日(水) ~ 2019年12月17日(火)に銀座三越 7階 ギャラリーで、<JAZZ & ART 日野皓正 アート展>が開かれる。
▶過去の、日野皓正
http://43142.diarynote.jp/200506120639310000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20061103
http://43142.diarynote.jp/?day=20110328
http://43142.diarynote.jp/201107310727152406/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110902
http://43142.diarynote.jp/201309260930584072/
http://43142.diarynote.jp/201404070654593139/
http://43142.diarynote.jp/201503110740041978/
http://43142.diarynote.jp/201709101639096076/
https://43142.diarynote.jp/201808120917002515/
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/
https://43142.diarynote.jp/201904281151232549/
 2011年スイス首都ベルンにて結成された4ピースのロック・バンドの準アコースティック・ライヴを、広尾・スイス大使館公邸で見る。ヴォーカルのアディ、ドラムのメニック、ベースとキーボードのマッツ(マティアス・トローラー)、ギターのフィップ(フィリップ・トレイヤー)。そして、メニックの幼馴染のキーボード奏者がサポートに入る布陣にて。響き効果を多大に持つギター音が活きたスケール感を持つロックを聞かせる面々だが、この日の設定だとシンガーの歌のうまさや実は何気に細やかなアンサンブル設定がなされていることがよく分かった。

 ギタリストは山ほどのエフェクターを足元に起きつつ、水色のセミ・アコースティック型のエレクトリック・ギターを使う。聞けば、この一本でツアーを通すという。純ロック・バンドにおいて箱モノのギターを持つ人は珍しいが、マーク・ノップラー(ダイアー・ストレイツ)が一番好きなギタリストなのだと言う。なら、納得ですね。一方、ベーシストは5弦のエレクトリック・ベースを使用。もう一つ低音の広がりが欲しいからだそうで、こちらのフェイヴァリットはマーカス・ミラー(1999年11月12日、2001年 6月14日、2003年8月19日、2005年8月21日、2007年12月13日、2009年9月15日、2010年9月3日、2013年9月3日、2015年2月21日、2016年9月17日、2017年1月7日、2018年5月16日、2018年5月24日)2019年1月3日)とか。おお、メインストーリームとも書けそうな現代ロック・バンドといえど、そういう奏者の趣味が導く広がりがあるのだと思った。もう何年も彼らのレコーディングに関わっているゲストの鍵盤奏者は、ふだん現代音楽の作曲もしているそうだ。

 とにもかくにも、面々は本当にナイス・ガイ。なんか、ロックの純真もどこかに宿していると思わせるのもポイント高いな。

▶︎過去のマーカス・ミラー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/movember1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-6.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm 
http://43142.diarynote.jp/200508230545510000/
http://43142.diarynote.jp/200712161023010000/
http://43142.diarynote.jp/200909181206531984/
http://43142.diarynote.jp/201009111624281899/
http://43142.diarynote.jp/201309051241384602/
http://43142.diarynote.jp/201502231815384234/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160917
http://43142.diarynote.jp/201701091247527188/
https://43142.diarynote.jp/201805201310351671/
https://43142.diarynote.jp/201805250930363191/
https://43142.diarynote.jp/201901041047462042/

 その後、渋谷・ショーゲート試写室で、2019年日本映画『花と雨』を見る。PVやCFをいろいろ作ってきている土屋貴史の初長編映画となり、映画表題はラッパーのSEEDAの2007年曲/アルバム名であり、SEEDA側からの土屋への働きかけで実現したよう。今のものとしても見ることができるが、登場人物が皆ガラ携を使っているので、一応時代設定はスマホ登場前となるのだろう。ストーリーは帰国子女であるSEEDAの体験が活かされ、原案とクレジットされている。

 冒頭、ロンドンと東京におけるいじめが描かれ、萎える。ぼくがガキの頃は周りにいじめに類することはなかった。いつからか、子供〜青年にまつわる環境は大変なことになったのだなあ。いろんなハラスメントが問題視されるようになったのも、そういう状況と横つながりでもあるのかなあとふと思った。まあ、ヒッップホップを介する青春群像/主人公の変化を描いているのだが、ビター。草栽培する場面や雪を吸う場面がある日本映画には初めて触れるような気がする。もちろん、これまでないことはないだろうが。一部の画面構成を含め、今を感じさせるところはいろいろ。雨の扱いも、印象的。1月中旬から公開される。

<今日の、面々>
 YOKKO の面々はこの金曜から、日本ツアーに入る。前回の日本楽旅は転機でもあったという彼ら、先に触れたようにサポートの鍵盤奏者やエンジニア、カメラマンなども同行させ、万全の体制でツアーに入る。また、同行するマネイジャーは奥様が日本人だそうで、日本語もけっこう解する。日程は以下の通り。12/6(金) 東京・大塚 Hearts NEXT、12/7(土) 埼玉・西川口 Hearts、12/10(火) 名古屋 APOLLO BASE、12/11(水) 京都 Gattaca、12/12(木) 神戸 Art House、12/13(金) 大阪 SOCORE FACTORY、12/16(月) 千葉・本八幡 The3rdStage、12/17(火) 東京・渋谷 O Nest。彼ら、日本ツアー限定の、スイス製YOKKOチョコも持参している。
▶︎Yokkoの2017年日本ツアーの記録映像
https://www.youtube.com/watch?v=3fw7sXdroRo
https://www.youtube.com/watch?v=ZK7vr6A7Q3w


 行き方は、もうオーセンティックなジャズ(・ヴォーカル)表現。バンドの音も歌いかたも、重なりかたも……。基本のところでは、ジャズ・ヴォーカルをジャズ・ヴォーカルたらしめる要点を抑えまくった、王道にあることをやる。主役はテキサス州ヒューストン出身、在NYのまだ20代のシンガーで、プレスティッジとコンコードから2枚のアルバムを出している女性。その初来日公演を、丸の内・コットンクラブで見る、ファースト・ショウ。

 直近の米ダウンビート誌のリーダース・ポールのヴォーカル部門で8位(7位がカサンドラ・ウィルソン~1999年8月27日、1999年9月2日、2001年2月12日、2004年9月7日、2008年8月11日、2010年6月13日、2011年5月5日、2013年5月31日、2015年3月19日〜で、9位はリズ・ライト〜2003年9月17日、2014年9月16日、2015年11月17日〜。ちなみに、1位はセシル・マクロリン・サルヴァント〜2013年11月26日、2018年3月26日〜)に、彼女は位置している。そのキャリアの長さからすれば、ジャズメイア・ホーンは相当注目を受けているシンガーであると言える。

 若いときのエリカ・バドゥ(2000年11月19日、2006年4月2日、2012年3月2日、2017年10月6日)を思わせる(バドゥは高校の先輩であるよう)ようなルックスと格好のもと、凛としたところと若さが透けるサバけた感覚を抱えて、純度の高いショウをすすめていく。同行者は、在NYのピアニストの海野雅威(2017年3月2日、2018年3月1日)、ダブル・ベースのラシャーン・カーター(2014年5月25日、2015年6月16日、2016年9月17日、2016年12月16日、2017年6月29日)、辣腕トランペッターのデイヴ・ダグラス(1999年9月24日)と懇意にしていたりもするドラマーのアンワー・マーシャル。彼らは新作レコーディングとまったく異なる陣容だが、彼女との息の合い方はばっちり。終始、4人の間にはポジティヴな意思疎通があり、延々とやりつつも終わる際にはバシっと終わるのも格好よくも、バンド演奏が整備されていると思わせる。そういえば、まずホーンが歌い出し、それにバンド音がついていくという始まりかたをする曲も複数あった。それは、絶対音感がないとできませんね。

 こういうふうに、進めるのかあ。いやあ、これぞライヴ! 噂は耳にしていたが、こんなにずっこんばっこんスキャットをかましまくるとは思わなんだ。アルバムでも果敢にスキャットする姿は収められているが、さすが各曲の尺はそんなに長くないもんね。ちなみに1作めと2作めの大きな違いは、セカンドのほうは自作曲が多いこと也。曲調は基本、ジャズのそれではあるが。

 アルバムに認められる豊穣さや潤いは減じるが、もうワタクシ様と覇気に満ちた即興ヴォーカルを延々とっていく様には口あんぐり。獰猛という形容もあり? そのスキャットの膨大さは極端であり、異端とも言えるものだが、今日日それをまっとうする根性はすごいし、間違いなく新奇な個性や味わいを浮き上がらせる。分かりやすく説明するために大雑把に全体を”10”とし数値化するなら、歌詞が入るテーマ部”1弱”、伴奏やピアノを中心とする演奏部が2強で、あとは全部彼女の思うまま繰り広げられるスキャット。その根にはモダン・ジャズ期の器楽的歌唱の決定的な匠であるベティ・カーター(1930〜96年)があるのだろうが(彼女のプレスティッジ盤の1曲めはベティ・カーター作の「タイト」だ!)、同じくベティ・カーター・チルドレンであるカサンドラ・ウィルソン(1999年8月27日、1999年9月2日、2001年2月12日、2004年9月7日、2008年8月11日、2010年6月13日、2011年5月5日、2013年5月31日、(1999年8月27日、1999年9月2日、2001年2月12日、2004年9月7日、2008年8月11日、2010年6月13日、2011年5月5日、2013年5月31日、2015年3月19日)だって、奔放な行き方を前面に出した若い時分にもこれほどまでにライヴでスキャットはかまさなかっただろう。よくぞ! 管楽器奏者も入っていたアルバム群と異なり、ここでのサポート音は少し簡素なピアノ・トリオ音なので、こんなに思い切った“ジャズ・シンガー”がいるのかという感興は増す。やっぱし、長生きするもんですね。楽器を模したような即興歌唱も、慣れたものであった。

 そして、今の大学の音楽課程(ザ・ニュー・スクール)出のジャズ・ミュージシャンだとなんとなく思ったのは、がんがんスキャットをやるなか、「ハイデ・ハイデ・ホー」みたいなキャブ・キャロウェイ的擬音を繰り出す場面があったりリオン・トーマス流れのようなの歌唱法を出すところ。まあ、あそこまでヨーデル的ではないが。そういうのに接すると、彼女はきっちり、先達の様々な歌いかたに触れていると思わせる。学校にもいろいろ資料は揃っているんだろう。でもって、そういう様は、彼女はジャズ・ヴォーカルという様式を黒人芸能の流れのレフト・ウィングにあるものと捉えていると思わせるところもあったか。また、ときに鳥の鳴き声を模写したような歌いかたをするのは、過去の巨人たちになかったところ。いい意味での刺激物を取り入れ、彼女は個性を豊かに投げ出している。それに連動して高音を出すところは、“気のふれたミニー・リパートン”と言いたくなるものだった。また、サックス奏者がたまに見せる循環呼吸を介してずうっと歌声を出し続けた箇所も驚異的だった。

 とかなんとか、ジャズ・ヴォーカルの朽ちぬ重要点を踏みつつ、技術と心意気をこれでもか(でも、物腰は自然体なんだよな)と出す様には驚くばかり。よくぞ、そこからは今も出る。一部ながらアメリカにもちゃんとジャズの真髄を理解しそれを今の生きた音楽として残そうとする人がいること、またジャズを生んだアメリカ合衆国のすごさも感じてしまった夜……。

▶過去の、カサンドラ・ウィルソン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/augustlive.htm 
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/september1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-2.htm
http://43142.diarynote.jp/200409070203440000/
http://43142.diarynote.jp/200808121357410000/
http://43142.diarynote.jp/201006181521416566/
http://43142.diarynote.jp/201105101010399933/
http://43142.diarynote.jp/201306060609052151/
http://43142.diarynote.jp/201503211741478728/
▶過去の、リズ・ライト
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-9.htm
http://43142.diarynote.jp/201409171722239857/
https://43142.diarynote.jp/201511181203116234/
▶︎過去の、セシル・マクロリン・サルヴァント
http://43142.diarynote.jp/201311270854089602/
https://43142.diarynote.jp/201803270920571222/
▶過去の、エリカ・バドゥ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200604050124430000/
http://43142.diarynote.jp/201203062004221304/
https://43142.diarynote.jp/201710071225329957/
▶︎過去の、海野雅威
http://43142.diarynote.jp/201703081443314613/
https://43142.diarynote.jp/201803031242579295/
▶︎過去の、ラシャーン・カーター
http://43142.diarynote.jp/201405271755563079
http://43142.diarynote.jp/201506180954176007/
http://43142.diarynote.jp/201609201835285184/
http://43142.diarynote.jp/?day=20161216
http://43142.diarynote.jp/?day=20170629
http://43142.diarynote.jp/201707130853185809/
https://43142.diarynote.jp/201809221638262424/
▶︎過去の、デイヴ・ダグラス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/september1999live.htm マサダ

<今日の、敬礼>
 しかし、あれだけ喉に負担がかかりそうなことを、涼しい顔して繰り広げる様には脱帽。そして、かようなパフォーマンスを披露する裏には様々な鍛錬や経験を積んできたであろうことも想像させ、気が遠くなる。とともに、普段の喉のケアには細心の気の使いかたをしているはずで、日々の精進の様はすごいんだろうな。感服。本当にいいものを、見させていただきました。普通のライヴ後の飲みも楽しいが、めちゃいいライヴのアフターは余計に楽しい。→今晩もたいそう楽しゅうございました。しかし、どの店もこんでいたなあああ。

 毎年師走恒例のケルト系ティストが集まる公演を、錦糸町・すみだトリフォニーホールで見る。今年はスコットランドのタリスク、アイルランドのウィ・バンジョー3(2015年12月5日、2015年12月10日、2017年10月16日、2017年10月22日)、同じくアイルランドのシャロン・シャノン(2003年12月20日、2013年12月7日、2016年12月3日)が出演する。また、ザ・ステップクルー(2011年12月3日、2011年12月10日)の一員でもあるというカナダ人ダンサーのクリスティーン・カーも各出演者の演奏に華を添えるように何度か登場して、ステップを軽快に披露した。

 今回、どのアクトも客が立ち上がる。それは、客あしらいのうまさ、面々が抱えた明快なビート感、人懐こい娯楽性などをしっかり3組が持っていたからだろう。クリスマス感は低かったかもしれないが、近年のケルティック・クリスマスのなかでは一番お客が盛り上がっていたんじゃないだろうか。観客がぴょんぴょん跳ねるのって、前にも見受けられた風景だっけ?

 一番手、タリスクの構成員はモーセン・アミニ(コンサーティナ〜小型蛇腹楽器)、ヘイリー・キーナン(フィドル)、グレアム・アームストロング(アコースティック・ギター)の3人。誇張して書けば、反復の鬼というか、生っぽいトラッド・トランスというか。テンポ、早っ。アコースティック楽器を持つ彼らのパフォーマンスには、ストンプ増幅音と同期ベース音が差し込まれる。音色はそんなに膨らませている印象はないのだが、ターボ・エンジン装着と書きたくなる、疾走感に富むトラッドを披露。カラっとした手触りを持つのも、聞き手を取り込みやすかったんだと思う。

 次のウィ・バンジョー3もまた、同期ベース音が聞こえた。前から、そうだっけ? エンダ・スカヒル(バンジョー、マンドリン)、ファーガル・スカヒル(フィドル、バウロン)、マーティン・ハウリー(バンジョー、マンドリン)、デイヴィッド・ハウリー(ギター、ヴォーカル)、2組の兄弟からなるグループで、日本語を上手に組み込んでブルーグラス要素も取り込んだアイリッシュ・トラッド表現を送り出していう様子は過去の流れにあるが、もっと受け手に与える間口は広くなっている。1曲、たしかソウル有名曲も歌入りでやってへえと思ったけど、いろいろあって家に帰ったらなんだったか忘れた。最後の曲はタリスクの3人も加わる。

 休憩を置いて、アコーディオン(1曲ではティン・ホイッスルも吹いた)のシャロン・シャノン率いるグループが出てくる。ジム・マレイ(アコースティック・ギター)、ショーン・リーガン(フィドル。1曲で、ヒューマン・ビート・ボックス)、ジャック・マー(エレクトチック・ギター、ヴォーカル)というサポート陣は2016年来日公演の際と同じ顔ぶれだ。3組のなかで格段にキャリアが長いし、一番“跳び”要素は少ないはずだが、まず出音の大きいことに驚く。もう、ぶりぶりアコーディン演奏の機微を受け止めることができたし、ダイナミズムを持つアイリッシュ・トラッドという呼称も思い浮かぶ。しかし、1991年にデビュー作リリースのシャノンは大御所になった現在もいまだ初々しさのようなものを遠目には抱えているように思え、すごいな。2曲ぐらいで、出だしの部分がスティング(2000年10月16日)の曲が始まりそうと思わせる場合があり、もしやスティングの曲にケルト性があるのかとふと思う。でも、スティング曲はロック界でトップ急にジャンル外の人たちからも一目置かれているので、逆かもしれない。

 アンコールはタリスクとウィ・バンジョー3、クリスティーン・カーらも加わり、まさに大団円。

▶過去の、ウィ・バンジョー・スリー
http://43142.diarynote.jp/201512091352434769/
http://43142.diarynote.jp/201512151502461490/
http://43142.diarynote.jp/201710181340402896/
https://43142.diarynote.jp/201710240958114009/
▶過去のシャロン・シャノン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-12.htm
http://43142.diarynote.jp/201312171612117786/
https://43142.diarynote.jp/201612090834062174/
▶︎過去の、ザ・ステップクルー
http://43142.diarynote.jp/201112091411311547/
http://43142.diarynote.jp/?day=20111210
▶︎過去の、スティング
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-10.htm

<今日の、予告情報>
 最後の出演者共演シーンを見て、ルーツと繋がった礎となる曲があり、皆んな素の笑顔のもと自分を出し合えるというのはいいなあと思った。ぼくの場合、著名洋楽曲しかそういうのないと思えるわけで、とほほ。イケテない、ぼく……。入場時にもらったチラシで、すでに来年のケルティック・クリスマス(東京公演は、12月5日)の出演者が出されていて、おお。来年は皆アイルランド勢で、アヌーナ(2007年12月15日、2009年12月12日、2011年12月7日、2011年12月10日、2014年12月4日、2014年12月6日、2017年2月16日)、4人組のザ・ハイキングス、ダンサーのデイヴィッド・ギーニー。まあ、興行というのはそのぐらい先行して当然だったりもするのだろうが、ミュージシャンは大変だなあ〜おちおち病気もできないよなあと思う。ぼくはその場しのぎというか、短期の予定の積み重ねでこれまで生きてきているわけで、1ヶ月以上先の要件(そりゃ、めちゃ楽しい案件だったらウェルカムだけど)が入るとキュークツでいやだなあと感じるタイプであるから。
▶過去の、アヌーナ
http://43142.diarynote.jp/200712161423560000/
http://43142.diarynote.jp/201001051620426983/
http://43142.diarynote.jp/201112171633334584/
http://43142.diarynote.jp/?day=20111210
http://43142.diarynote.jp/201412151250144917/
http://43142.diarynote.jp/201412221527313725/
https://43142.diarynote.jp/201702211429132450/

 イスラエル出身在ニューヨークのギタリストであるオズ・ノイ(2007年7月3日、2016年3月29日、2018年11月22日)の公演はまた同行者が豪華だなあ。6弦エレクトリック・ベースのジョン・パティトゥッチ(2001年8月3日、2002年8月25日、2004年2月9日、2006年9月3日、2012年6月13日、2014年2月12日、2014年4月14日、2015年5月27日、2015年9月6日、2016年5月18日、2018年5月22日、2019年8月6日)と、あのルイス・コール(2018年5月27日、2018年12月12日)がドラマーとして影響を受けたと表明しているドラマーのキース・カーロック(2010年2月19日、2019年3月26日)が同行する。丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。

 リズム・セクションの二人は、譜面を置いての演奏。がちんこのハード・フュージョンというか、エッジィなジャズ・ロックのインストというか。ロッキッシュな行き方を取っていても、ソロは基本、随所でジャズな抑えかたをしているのが要点なのだなと、今回のショウに触れて思った。しかし、普通レギュラー・グリップで叩く人であっても、こういう場合はマッチド・グリップに持ち直して叩きそうなガチムチなビートを、カーロックはすべてレギュラー・グリップでこなしていく。へえ〜。

 アンコールはぐっと抑えた短めのブルース曲(カーロックはブラシを使用)で、力を抜いた感じは誘いあり。それまで色調豊かな極太マジックで絵を描いていたところ、少しビル・フリセール(2000年7月21日、2006年5月14日、2009年5月8日、2011年1月30日、2017年1月12日、2017年1月13日、2017年6月19日、2019年6月10日)の行き方にもかするそれは、水彩画になったという書き方も可能か。

▶︎過去の、オズ・ノイ
http://43142.diarynote.jp/200707041026510000/
http://43142.diarynote.jp/201603300704079868/
https://43142.diarynote.jp/201811251043143983/
▶過去の、ジョン・パティトゥッチ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-8.htm 2001年8月3日
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/framepagelive.htm   2002年8月25日
http://43142.diarynote.jp/200402091738240000/
http://43142.diarynote.jp/200609070211000000
http://43142.diarynote.jp/201206141343402196/
http://43142.diarynote.jp/201402140843255048/
http://43142.diarynote.jp/201404161959228005/
http://43142.diarynote.jp/201505281537538677/
http://43142.diarynote.jp/201509220833541918/
http://43142.diarynote.jp/201605240831421865/
https://43142.diarynote.jp/201805230726481296/
https://43142.diarynote.jp/201908071557182844/
▶過去の、キース・カーロック
http://43142.diarynote.jp/201002211122268480/
https://43142.diarynote.jp/?day=20190326
▶︎過去の、ルイス・コール
https://43142.diarynote.jp/201805280520127056/
https://43142.diarynote.jp/201812130841251209/
▶過去の、ビル・フリゼール
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-7.htm
http://43142.diarynote.jp/200605160543260000/
http://43142.diarynote.jp/200905101005501321/
http://43142.diarynote.jp/201102091715522875/
http://43142.diarynote.jp/201701131141476377/
http://43142.diarynote.jp/201701141241544133/
https://43142.diarynote.jp/201706190940184750/
https://43142.diarynote.jp/201906110953249486/

<今日の、ライヴ前の道草>
 まずは青山・GALLERY5610というところに、<Kuh 金継ぎ「あ・そ・び」展>というグループ展をのぞく。かつて、金属のアクセサリーを作っていた藤野佳菜子さんがいまは金継ぎをやっており、出展しているため。彼女には、お世話になったグレイトフル・デッド好きの女性が会社を退社する際にねぎらい品としてデッド・ベアをモチーフにしたネックレスを作ってもらったことがあった。20数人の人たち(皆。女性のよう)の作品が展示されていて、トラディッショナルなものから少しニュー・ウェイヴなほうまで、いろんな金継ぎされたブツに触れる。カナさんは、ガラスの金継ぎにも可能性を見出しているよう。
 その後は、三越銀座店でやっている<JAZZ & ART 日野皓正 アート展>に回る。いろんな絵だけでなく、陶器に絵を描いたものも展示。会場にはご本人(2005年6月5日、2006年11月3日、2011年3月28日、2011年7月25日、2011年9月2日 、2013年9月22日、2014年4月4日、2015年3月10日、2017年9月3日、2018年8月11日、2019年4月27日)もいらしゃっていて、フレンドリーに接していただいて恐縮。何冊も、画集がでていたりもするのだな。

▶過去の、日野皓正
http://43142.diarynote.jp/200506120639310000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20061103
http://43142.diarynote.jp/?day=20110328
http://43142.diarynote.jp/201107310727152406/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110902
http://43142.diarynote.jp/201309260930584072/
http://43142.diarynote.jp/201404070654593139/
http://43142.diarynote.jp/201503110740041978/
http://43142.diarynote.jp/201709101639096076/
https://43142.diarynote.jp/201808120917002515/
https://43142.diarynote.jp/201904281151232549/

 場所は、千住関谷・Murasaki Park Tokyo。1時間近くかけて、東京都横断。初足立区、それだけでうれしい。

 それにしても、ジャズ・ピアニストのジェイソン・モラン(2007年1月16日、2007年1月17日、2008年4月6日、2013年1月6日、2015年1月20日、2015年1月21日、2017年4月11日、2018年1月24日)がスケートボード好きとはまったく知らなんだ。だって、インタヴューするとインテリジェンス溢れる受け答えをしてくれて、文化系であるとしか思えないもの。だが、彼はかつてスケートボード野郎で、ジャズの生演奏とスケートボーダーの滑りを掛け合わせた<Skatebording>と名付けた即興セッションを企画し、ワシントンD.C.のケネディー・センターやサンフランシスコのジャズ・センター、マイアミのヤングアーツ・ファウンデーションで開催しているのだという。その模様は、YouTubeで拾えますね。そんな催しうえ、そっちに強いスポーツ用品販売会社のスケート・パークでモラン関連ギグが行われることになったわけなのか。

 まず、前座でジェイソン・モランとスガダイロー(2009年1月8日、2009年7月3日、2013年2月19日、2016年2月28日、2016年7月16日、2017年4月11日、2017年7月8日、2019年5月30日、2019年6月14日、2019年7月8日)のデュオ。インプロ一発もの。モランが主で、スガが従の立場で、場にのぞむ。お題目はセロニアス・モンクとのことだったが、それについてはよく分からず。だが、クラシック流れの透明感と黒人音楽的な弾みや濁りが魅惑的に交錯していたのは間違いない。向き合ったリヒテンシュタインのピアノの一つのほうはフェンダー・ローズも併置されていて、モランはそちらも弾いた。

 会場は、バンクが設置された大きな常設のテント。ローラー・ゲームもできそうだな。秋の台風の際に飛ばされたりはしなかったのかと、ふと思う。休憩中、周りを探索。奥のほうはタクシーの日本交通の大きな営業所があり、タクシー車両があちことに止まっている。そして、駐車スペースの合間にエンターテインメント系施設が点在。フットサル、ゲームセンター、室内釣り堀、卓球。バンク付きスケートボード場やMTB場などもあり、そこには親連れの子供が多かった。こういう環境が、次代のスター選手を生むのか。

 メインの出し物は約15分、まず5人の日本人がスケートボードをし、巧みなMCで面々のことが紹介される。年収が1億円を超えると紹介されていた人もいて、我が国のトップのスケーターが参加していたのだろうか。資料には、<国際的にも活躍するプロスケーターであり、大のジャズ・ファンでもある戸枝義明、国内随一のスキルを誇る池田幸太やダイナミックなトリックで知られる北詰隆平がこの本邦初となるセッションに参加>と出ている。その後は、スケーターたちと演奏陣が一緒にやる。こちらの音楽陣のほうは、モランとコントラバスの須川崇志(2010年3月14日、2011年7月25日、2016年6月27日、2017年6月21日、2018年1月19日、2018年4月7日)とドラムの石若駿(2014年9月26日、2016年6月27日、2016年7月21日、2016年9月4日、2017年6月21日、2017年7月12日、2019年1月21日、2019年3月16日、2019年11月26日)によるトリオ。そのリズム隊は日野皓正(2005年6月5日、2006年11月3日、2011年3月28日、2011年7月25日、2011年9月2日 、2013年9月22日、2014年4月4日、2015年3月10日、2017年9月3日、2018年8月11日、2019年4月27日)クインテットやミシェル・ライス(2016年4月12日、2016年7月21日、2016年11月4日、2018年2月13日、2018年8月27日)のジャパン・カルテット(2016年7月21日)のそれもあるのだが、本当に面白くも確か。途中から、アルト・サックス奏者も加わった。

 横でゴーゴーとスケーターたちが滑るなか、モランたちはグルーヴィなリフ演奏を主とする演奏をする。それは、イヴェントの趣旨に合わせたものだろうし、3人が持ち味も出してもいて、リハをやっていることを伝える。うち、1曲は2014年ブルーノート作『オールライズ』収録のファッスツ・ウォーラーのカヴァー曲「エイント・ミスビヘイヴィン」のリフを延々と続けるというもの。モランは端々でステートボーダーたちの様を見ながら、指を鍵盤に這わせる。スケーターたちが大技を決めると歓声が上がったりして、スケードボード愛好者のほうがお客比率は高かったのかもしれない。ボード持参者には入場料ディスカウントもあったようだし。違う分野が効果的に交錯しあっていたかはいまいち判別がつかないが、触発しあっている部分は間違いなくあったし、ジャズなるものが雑音に負けないヒップな行為であることは存分に示唆されていたはずだ。しかし、こういう異種が重なるイヴェントってもっとあっていいよなー。
 
▶過去の、ジェイソン・モラン
http://43142.diarynote.jp/200701201417260000/
http://43142.diarynote.jp/200701201418210000/
http://43142.diarynote.jp/200804081928430000/
http://43142.diarynote.jp/201301151731112021/
http://43142.diarynote.jp/201501210901575140/
http://43142.diarynote.jp/201501220923108418/
http://43142.diarynote.jp/201704131639031673/
https://43142.diarynote.jp/201801251404591913/
▶過去の、スガダイロー
http://43142.diarynote.jp/200901091437341082/
http://43142.diarynote.jp/200907131158382767/
http://43142.diarynote.jp/201302201720351212/
http://43142.diarynote.jp/201603011023174338/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160716
http://43142.diarynote.jp/201704131639031673/
https://43142.diarynote.jp/201707101243147840/
https://43142.diarynote.jp/201905310800294940/
https://43142.diarynote.jp/201906151238565701/ 取材
https://43142.diarynote.jp/201907091307078386/
▶︎過去の、須川崇志
http://43142.diarynote.jp/201003191715113498/
http://43142.diarynote.jp/201107310727152406/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160627
http://43142.diarynote.jp/201706220952582448/
http://43142.diarynote.jp/201801200930278094/
https://43142.diarynote.jp/201804081516393408/
https://43142.diarynote.jp/201903301004154036/
▶︎過去の、石若駿
http://43142.diarynote.jp/201409291402101328/
http://43142.diarynote.jp/201607221000152412/
http://43142.diarynote.jp/201606281737237220/
http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
http://43142.diarynote.jp/?day=20170621
http://43142.diarynote.jp/201707130853185809/
https://43142.diarynote.jp/?day=20180404
https://43142.diarynote.jp/201901231045028294/
https://43142.diarynote.jp/201903171331065828/
https://43142.diarynote.jp/201911270846588562/
▶過去の、日野皓正
http://43142.diarynote.jp/200506120639310000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20061103
http://43142.diarynote.jp/?day=20110328
http://43142.diarynote.jp/201107310727152406/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110902
http://43142.diarynote.jp/201309260930584072/
http://43142.diarynote.jp/201404070654593139/
http://43142.diarynote.jp/201503110740041978/
http://43142.diarynote.jp/201709101639096076/
https://43142.diarynote.jp/201808120917002515/
https://43142.diarynote.jp/201904281151232549/
▶︎過去の、ミシェル・ライス
http://43142.diarynote.jp/201604271333586112/
http://43142.diarynote.jp/201607221000152412/
http://43142.diarynote.jp/201611101506534154/
https://43142.diarynote.jp/201802141255168037/
https://43142.diarynote.jp/201808291108033102/

<今日の、タクシー>
 へえ。ムラサキ・パークの最寄り駅である東武線の牛田駅と京成線関谷駅はすぐ近くにあるのだな。その間に小さな立ち飲み屋があり、時間の余裕があれば入ってみたかった。行きは東武線を使い、帰りは関谷駅を用いる。初、京成線乗車。ドアに車両とドアの位置を図示する表示がしてあり、何気に有用かもと思う。なぜ、他社線にはそれがされていないのか。
 その後、2つの忘年会を回る。夜中、仕切り直しに渋谷のバーに向かったのだが、渋谷の手前で工事渋滞に会う。すると、運転手さん(個人タクシーだった)は渋滞中にメーターを切り(その時点で、2580円だか2560円)、2500円で結構ですよという。おお、そんな親切なタクシーの運転手は始めてだ。しかし、深夜の六本木/青山通りの渋谷通過は要注意。直近だと木曜にも銀座からタクシー帰宅をしたが、そのとき高速を使うことを指示したのは、正解であったのだなと思う。ま、過去に、https://43142.diarynote.jp/201811261330313740/ ということも書いているしね。そして、その後の帰宅の際のタクシー運転手もいい人だった。彼が料金メーターを入れたのは、乗車した際の前の信号が青になってから。そんな人にも、ぼくは初めて合う。それ、料金にいちゃもんをつけるお客が多くなっていることの裏返しかもしれないけど。

渡辺貞夫

2019年12月15日 音楽
 御大、すんげえ気持ち良さそうに吹いていた。いい、吹き口。この設定、大正解だったんじゃないかな。いわゆるフュージョン期にある名曲群と近年の愛奏曲をまたがらせ、バンド編成はここのところはアコースティック/わりと純ジャズ傾向にあったなか、奏者たちには電気ピアノやエレクトリック・ベースを曲によっては弾かせ、またエレクトリック・ギタリストも久しぶりにコンボに加える。そして、御大はアルト・サックスだけでなく、一部の曲ではオリジナル同様にソプラニーノも吹く。いつだったか、近年はアルト・サックスだけを吹いていますねとインタヴューで聞いたことがあったのだが、「いい楽器(ソプラニーノ)がなくてね」というのが、その答え。その演奏を披露したのは久しぶりではなかったか。それゆえ、久しぶりに「マイ・ディア・ライフ」もセット・リストに加えていた。渋谷・オーチャードホール。例によって、きっちり2部制。

 渡辺貞夫(2002年12月14日、2003年5月6日、2004年12月17日、2005年12月18日、2006年8月8日、2006年9月3日、2006年10月4日、2007年12月16日、2008年12月14日、2009年7月22日、2009年9月3日、2011年7月4日、2012年6月29日、2012年12月15日、2013年4月1日、2013年7月27日、2013年9月29日、2014年7月8日、2014年10月5日、2014年12月14日、2015年12月12日、2016年7月3日、2016年12月11日、2017年10月8日、2017年12月16日、2018年5月28日、2018年9月2日、2018年10月6日、2018年12月15日、2019年8月6日、2019年11月12日)にくわえ、ピアノとのラッセル・フェランテ(2007年12月16日、2009年3月23日、2012年6月21日、2014年1月15日、2014年12月14日、2016年12月11日、2018年5月28日、2018年12月15日、2019年8月6日)、ギターの養父貴(2012年12月15日、2013年7月27日)、ベースのベン・ウィリアムズ(2009年5月18日、2009年9月3日、2010年5月30日、2012年3月3日、2012年5月28日、2013年4月1日、2013年5月21日、2015年1月22日、2015年12月12日、2016年7月3日、2016年9月1日、2016年12月11日、2017年12月7日、2018年2月21日、2018年5月28日、2018年11月1日 、2018年11月26日、2018年12月15日 )、ドラムのピーター・アースキン(2012年6月21日、2013年6月26日、2014年12月14日、2016年3月9日、2017年5月10日、2018年12月15日)。そういえば、メンバー紹介の際のMCが普段よりも少し長めであったか。

 「ラウンド・トリップ」と「パストラル」、頭の2曲であがる。もともと1960年代後期には作っていたオリジナルで、チック・コリア(2006年9月3日、2007年10月1日、2016年9月16日、2017年9月2日)、ミロスラフ・ヴィトウシュ(2019年3月6日、ジャック・ディジョネット(2001年4月30日、2003年8月23日、2007年5月8日、2014年5月22日、2015年9月5日)という当時の先端を行く奏者を起用したカルテットでNYで録音された『ラウンド・トリップ』(CBSソニー、1970年)にも収録(全4曲中の、2曲)されていた曲だが、当然今回のは1987年LA録音作『バーズ・オブ・パッセージ』流れのアレンジで披露される。それは、ラッセル・フェランテ関与の同作の冒頭2曲の並び順序でもある。蛇足だが、渡辺の1980年代のベストは『バーズ・オブ・パッセージ』(エレクトラ)だとぼくは思っている。多少の仕掛けを持つサウンドのもと、メロディ性を持つテーマやソロが浮き上がる。それが今回公演のキモであり、その設定に渡辺貞夫はとってもフィット。ソリストとしては、なにげにベン・ウィリアムスがフィーチャーされていた。先日ほめていたジャズメイア・ホーン(2019年12月6日)の既発の2作品に、ウィリアムスは唯一ともに参加していた。

▶過去の、渡辺貞夫
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-5.htm  6日
http://43142.diarynote.jp/20041221210502000
http://43142.diarynote.jp/200512231955480000/
http://43142.diarynote.jp/200608091255180000/
http://43142.diarynote.jp/200609070211000000/
http://43142.diarynote.jp/200610080946310000/
http://43142.diarynote.jp/200712171350530000/
http://43142.diarynote.jp/200812281440093394/
http://43142.diarynote.jp/200907310048137248/
http://43142.diarynote.jp/200909120646397236/
http://43142.diarynote.jp/201107111008176019/
http://43142.diarynote.jp/201207031353196616/
http://43142.diarynote.jp/201212171647134119/
http://43142.diarynote.jp/201304031026406106/
http://43142.diarynote.jp/201307291053021427/
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http://43142.diarynote.jp/201407091243129270/
http://43142.diarynote.jp/201410061850124929/
http://43142.diarynote.jp/201412281017371613/
http://43142.diarynote.jp/201512151504068292/
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http://43142.diarynote.jp/201609201032322395/
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http://43142.diarynote.jp/201612171245154424/
http://43142.diarynote.jp/201710121700178187/
http://43142.diarynote.jp/201712181015052794/
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▶過去の、ラッセル・フェランテ
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https://43142.diarynote.jp/201908071557182844/
▶︎過去の、養父貴
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https://43142.diarynote.jp/201307291053021427/
▶過去の、ベン・ウィリアムズ
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http://43142.diarynote.jp/201205301445023004/
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▶過去の、ピーター・アースキン
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▶︎過去の、チック・コリア
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https://43142.diarynote.jp/201709101059289712/
▶︎過去の、ミロスフ・ヴィトウシュ
https://43142.diarynote.jp/201903071110239629/
▶過去の、ジャック・ディジョネット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-4.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm
http://43142.diarynote.jp/200705181807060000/
http://43142.diarynote.jp/201405231458349566/
http://43142.diarynote.jp/201509211331298145/
▶︎過去の、ジャズメイア・ホーン
https://43142.diarynote.jp/201912070741544808/

<今日の、付記>
 今年の8月のブルーノート東京公演に参加したこともあり、いま自己グループで来日中のスティーヴ・ガッド(2004年1月27日、2010年12月1日、2012年11月26日、2013年9月3日、2004年1月27日、2010年12月1日、2012年11月26日、2013年9月3日、2016年2月19日、2016年12月6日、2017年6月12日、2019年8月6日))が楽屋に来て、彼の来年のクリスマス・ツアーに参加することが決定したとのこと。そういえば、大友良英(2002年3月17日、2003年6月28日、2004年2月6日、2004年10月10日、2004年11月7日、2005年4月26日、2006年1月21日、2006年4月18日、2007年4月21日、2009年5月31日、2011年6月8日、2012年3月21日、2013年7月13日、2016年9月4日、2016年10月27日、2019年11月12日)が音楽を担当する大河ドラマ「いだてん」終盤はもっと渡辺貞夫をフィーチャーする予定であったらしい。サントラに注目したい。
▶過去の、スティーヴ・ガッド
http://43142.diarynote.jp/200402051855170000/
http://43142.diarynote.jp/201012051903113851/
http://43142.diarynote.jp/201212101904379741/
http://43142.diarynote.jp/201312171510083393/
http://43142.diarynote.jp/201410220711345595/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160219
http://43142.diarynote.jp/201612091513593556/
http://43142.diarynote.jp/201706130913351348/
https://43142.diarynote.jp/201908071557182844/
▶︎過去の、大友良英
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm
http://43142.diarynote.jp/200402061359140000/
http://43142.diarynote.jp/200410162220330000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20041107
http://43142.diarynote.jp/200504301042210000/
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http://43142.diarynote.jp/200704251227010000/
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http://43142.diarynote.jp/201203260805006088/
http://43142.diarynote.jp/201307160735048974/
http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
https://43142.diarynote.jp/201610310943306583/
https://43142.diarynote.jp/201911131405562579/

 ドラム名人、スティーヴ・ガッド((2004年1月27日、2010年12月1日、2012年11月26日、2013年9月3日、2004年1月27日、2010年12月1日、2012年11月26日、2013年9月3日、2016年2月19日、2016年12月6日、2017年6月12日、2019年8月6日)のリーダー公演を南青山・ブルーノート東京で見る。セカンド・ショウ。

 彼にくわえ、電気ピアノとピアノのギターのケヴィン・ヘイズ(2016年12月6日、2017年2月7日、2018年9月6日)、トランペットとフリューゲルホーンのウォルト・フォウラー(2016年12月6日、2018年9月6日)、エレクトリック・ギターのデイヴィッド・スピノザ、エレクトリック・ベースのジミー・ジョンソン(2016年12月6日、2018年9月6日)。なんと、ギタリストがマイケル・ランドウからデイヴィッド・スピノザに今回は変更。どちらも、米国黄金ロック期の人気セッション・マンだが、ぼくはNYベースのスピノザの演奏の方により触れていたのは間違いない。

 1曲ごとに、ガッドは演奏する曲名と作者を紹介。マイケル・ランドウとケヴィン・ヘイズの曲が多く、ウォルト・フォウラーやデイヴィッド・スピノザの曲も一つづつ。スピノザ曲はブルースだった。それらの曲はわりとくすんだ印象を与える曲で、それほどぼくの好みではないのだが、腕自慢たちによる腹八分目演奏は訴求力あり。ヤマハ+ジルジャンを用いるガッドの演奏は音色がとっても良好で、ちょっとしたアクセントのつけ方が格好いいと再確認。

 本編最後の曲は、1980年代下半期のガッドのリーダー・バンドであるザ・ガッド・ギャングのレパートリーでもあったボブ・ディランの「ウォッチ・リヴァー・フロウ」。ただし、インストではなく、ケヴィン・ヘイズのヴォーカル付きでそれを披露。また、アンコールではドラマーのバディ・マイルズのロック・スタンダード「ゼム・チェンジズ」を少しひねり、緩やか目に送り出した。

▶過去の、スティーヴ・ガッド
http://43142.diarynote.jp/200402051855170000/
http://43142.diarynote.jp/201012051903113851/
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http://43142.diarynote.jp/?day=20160219
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https://43142.diarynote.jp/201908071557182844/
▶︎過去の、ケヴィン・ヘイズ 
http://43142.diarynote.jp/201612091513593556/
http://43142.diarynote.jp/201702090925559534/
https://43142.diarynote.jp/201809081804431343/
▶︎過去の、ウォルト・ファウラー
https://43142.diarynote.jp/201612091513593556/
https://43142.diarynote.jp/201809081804431343/
▶︎過去の、ジミー・ジョンソン
https://43142.diarynote.jp/201612091513593556/
https://43142.diarynote.jp/201809081804431343/

<今日の、働き者>
 ガッドはすでに、来年の3つの来日公演が決まっている。3月19日にビルボードライブ東京(同大阪は16日)で、サックス奏者のミカエル・ブリッチャーとハオルガンの ダン・ヘマー 、二人のデンマーク人奏者と組んでいるブリッチャー・ヘマー・ガッド。彼らすでに3枚のアルバムを出している、ハード・ドライヴィングなソウル・ジャズ・オルガン・トリオだ。そして、今年は渋谷・オーチャードホールで3月28日と29日に3公演もたれる“EAST MEETS WEST 2020”。こちらは、ウィル・リー(2008年12月7日、2009年8月19日、2012年8月21日、2012年11月26日、2013年12月5日、2014年8月7日、2015年8月20日、2018年8月27日、2019年4月26日、2018年11月22日、2019年4月26日、2019年4月27日、2019年4月28日)とのリズム・セクションで細野晴臣(2009年10月12日、2010年4月15日、2010年11月21日、2011年8月7日ち2012年8月12日、2012年9月5日、2013年1月29日、2013年8月7日、2013年8月11日、2014年10月25日、2017年11月13日)やイヴァン・リンス(2002年5月1日、2009年3月17日、2010年3月9日、2012年4月12日、2016年8月28日)らをサポートする。そして、12月には渡辺貞夫(2002年12月14日、2003年5月6日、2004年12月17日、2005年12月18日、2006年8月8日、2006年9月3日、2006年10月4日、2007年12月16日、2008年12月14日、2009年7月22日、2009年9月3日、2011年7月4日、2012年6月29日、2012年12月15日、2013年4月1日、2013年7月27日、2013年9月29日、2014年7月8日、2014年10月5日、2014年12月14日、2015年12月12日、2016年7月3日、2016年12月11日、2017年10月8日、2017年12月16日、2018年5月28日、2018年9月2日、2018年10月6日、2018年12月15日、2019年8月6日、2019年11月12日、2019年12月15日)のツアー。ちなみに、3月はビルボードライブ公演のあと、そのまま日本に滞在し、“EAST MEETS WEST 2020”にのぞむ。ガッドとはちらり楽屋で会ったが、お元気そう。横にいたスピノザさんとも言葉をかわしたが、来日は7度目と言っていた。
▶過去の、ウィル・リー
http://43142.diarynote.jp/200812150312308154/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090819
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http://43142.diarynote.jp/201312171510083393/
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https://43142.diarynote.jp/201904291825347224/
▶過去の、細野晴臣
http://43142.diarynote.jp/200910141731349364/
http://43142.diarynote.jp/201004180836405961/
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▶︎過去の、イヴァン・リンス
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▶過去の、渡辺貞夫
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YOKKO

2019年12月17日 音楽
 渋谷・O’nest。忘年会を抜けて行ったのだが正解、とっても良かった。いい年末だとも、なんか思えた。

 スイスの情緒豊かなギター・バンドであるYOKKO(2019年12月3日 )を、渋谷・O’estで見る。ステージ前面に、ヴォーカルのアディ(一部、ギターも手にする)、ギターのフィリップ、ベースのマッツ(一部、鍵盤ベースも触る)、サポートのキーボードが並び、後ろにドラマーのドメニックが位置する。

 ほぼパーフェクトな音質と音像を送出、さすがエンジニア同行であると思わされる。その音を聞いて、U2(2006年12月4日)を思い出す人は多いだろう。エレクトロ度が高くなる前あたりの……。彼らの起点の奥の最たる存在が彼らではないのか。歌の多大な存在感、よく整合された立体感を持つサウンドや曲調、その総体から浮かび上がる壮大な風景のようなものはまさしくあの巨大グループの流れにある。それをもっと、手作り感覚を介してやっている感じ。そんな個々の能力が高いとも痛感させられる面々に触れていて、YOKKOが英米のバンドであったなら、もっとインターナショナルなグループであったろうなあと思う。いや、ほんとに素晴らしい実力派バンドですよ。

 そして、そんな面々は誠心誠意ミュージック・ラヴァーとして振る舞い、観客に働きかける。アンコールの3曲めは、メンバーの4人が客席に降りてきて生ギター一本(ドラマーはギターのハード・ケースを抱えて、それを叩く)にて歌を重ねた。
 
 そのあと行った席で、なんかうれしそうな顔をしているねと言われる。そりゃ、そうとも!

▶︎過去の、YOKKO
https://43142.diarynote.jp/201912040823286223/
▶過去の、U2
http://43142.diarynote.jp/200612070141170000/

<今日の、ナイス・ガイたち>
 そのオープニング・アクトは、ゆるゆるモ!という女性3人組のアイドル系〜けっこうアジア進出しているらしい〜のブループ。会場入りしたときはまだ彼女たちがパフォーマンスしており、別フロアのホワイエでそのとっても盛り上がった様をモニターで見たら、怖くなって(?)階下の会場入りできず。なんでも、YOKKOのギタリストが加わった曲も一つあったそう。そして、YOKKOのアンコールの2曲めには逆に3人がコーラスとして入った。どういう関係を持つのかは謎だが、悪くない“図”でありました。YOKKOは先にスイス大使館公邸でアコースティック・ライヴ&懇談会を持っており、スイスから援助を受けての日本ツアーなのかなと思えば〜スカンジナヴィア圏をはじめ、あちらの公的機関のサポートを受けて来日公演をする欧州圏アーティストは散見される〜、まったく自分たちだけで来日公演を実現させているのだという。そして、その姿勢にほだされて、大使館側がプレス向けに一席設けたということらしい。
 ECMレコーディング・アーティストである韓国人リード奏者のソンジェ・ソン(『Sungjae Son Near East Quartet』:2017年)、ギターの藤本一馬(2011年8月22日、2012年6月17日 、2013年4月19日、2019年7月6日)、ピアノの林正樹(2013年9月6日、2015年9月27日、2015年12月17日、2016年7月16日、2018年5月13日 、2019年1月7日、2019年10月6日、2019年11月19日、2019年11月21日)、ダブル・ベースの西嶋徹(2012年11月21日、2017年6月27日、2018年12月10日)、在ミュンヘンのドラマーである福盛 進也 (2018年1月7日、2018年4月7日、2019年1月5日、2019年6月14日)からなるクインテット表現を、永福町・sonoriumで見る。え〜、藤本一馬の自己カルテットが今こんな豪華な顔ぶれになっているとは知らなかった。

 セミ・アコースティック型のエレクトリック・ギターとプラグするガッド・ギターを弾く藤本以外は、皆生音にて。で、各人がとっても個を出しながら、バランスに留意しつつハっとするような音を出していて、まずは感銘。林はときにポーンと空気の膜を浮き上らせるような音をだしたりして快感以外の何者でもないし、福盛の多彩なドラムさばきにもえ〜こんな風情を出せちゃうのという驚きあり。主役となるソンジェ・ソンはテナー・サックスだけを演奏していたが、スモーキーというかくぐもった音色を介して文様を描きていくようなブロウにもうなづく。そして、藤本はエレクトリック・ギターを弾く場合はギターのつまみを細くいじりつつ響くベール音を繰り出す。

 曲は各メンバーのオリジナルを取り上げる。ソンと福盛の二人がECMからアルバムを出しているだけにECM流れの間と奥行きを抱えた演奏が繰り広げられたと指摘することは可能だろう。その水面下には多大な技量や、パッションと緊張も一面では抱える。そうしたアーティストとして正統なストラグルや自己鍛錬を抱えた先に、魅力的な歌心や詩情があふれ出しているのだ。

▶︎過去の、藤本一馬
https://43142.diarynote.jp/201109100857091783/
https://43142.diarynote.jp/201206210942136482/
https://43142.diarynote.jp/201304211111189539/
https://43142.diarynote.jp/201907071754237718/
▶過去の、林正樹
http://43142.diarynote.jp/201309121810294280/
http://43142.diarynote.jp/201510021129591335/
http://43142.diarynote.jp/201512271306411506
http://43142.diarynote.jp/201607191312426603/
https://43142.diarynote.jp/201805150750157494/
https://43142.diarynote.jp/201901090933013218/
https://43142.diarynote.jp/201910070759405954/
https://43142.diarynote.jp/201911201705565775/
https://43142.diarynote.jp/201911230723444744/
▶︎過去の、西嶋徹
http://43142.diarynote.jp/?day=20121121
https://43142.diarynote.jp/201706281510173316/
https://43142.diarynote.jp/201812111218404525/
▶︎過去の、福盛 進也
http://43142.diarynote.jp/201801081118162617/
https://43142.diarynote.jp/201804081516393408/
https://43142.diarynote.jp/201804081516393408/
https://43142.diarynote.jp/201906151238565701/

<今日の、認知>
 行き帰りに、<本日、満席>という張り紙を出している店を二つ見る。同様の掲示をしている飲食店を、この師走は他にも見ているよナ。経営者側に、<本日、貸し切り>よりも<本日、満席>と表示したほうがいいという感覚が今あるのだろうか。そういえば、クリスマス・シーズンのイルミネーションだが、数年前は青色発光ダイオードによるそれが大流行であったが、近年はまた昼光色によるものが主流であるような、、、。寒がりのぼくは、後者のほうが好き。知人に、家に飾るツリーの飾り付けに12月アタマは心血を注いている人を知っている。でも、その後も手を加えたくなり2週間はそわそわしちゃうんだそう。人、それぞれ。今日、心意気のベーシストであるヴォイテク・マゾレフスキ(2016年9月19日、2019年9月2日、2019年9月3日)から5月に米国ライヴをいくつかやったあと、日本に飛びたいけど、なんかいいフェスとかないかなあという連絡をもらう。「わかった。難しいかもしんないけど、トライする」と、少ししょっぱい返事。だって、過剰な期待は持たせられない。ライヴを見るのが好きなくせに、興行のほうの知識や知り合いはあまりないというのも再認識。どなたか、なにか糸口あれば教えてください。
▶︎過去の、ヴォイテク・マゾレフスキ
https://43142.diarynote.jp/201609211101391997/
https://43142.diarynote.jp/201909031830055314/
https://43142.diarynote.jp/201909071014576603/

 タイ、中国、台湾と回り、日本にやってきたフランスのインダストリアル・ロックならぬインダストリアル・ジャズのトリオに、日本の即興音楽家が二人重なる出し物。秋山徹次はノイズ系ギター、蜂谷真紀(2008年8月24日、2009年1月8日、2010年9月11日、2014年7月22日、2014年9月25日、2015年5月20日、2015年6月15日、2016年11月2日、2018年1月19日、2019年3月29日、2019年9月12日)はヴォイスやキーボードや鳴り物で対応する。阿佐ヶ谷・Yellow Vision。

 少し年長で曲も作るドラムのヤン、シンセサイザーのルカ、エレクトリック・ベースのオリヴィアからなるトリバリズム3はまだデビュー作『トライバリズム』(原語表題表記がカタカナなの)を出したばかりの新しいバンド。リーダーはリールだかトゥールーズだか(地名、まったく忘れちゃった)の地方都市に住み、リズム隊はパリやパリ近郊在住とか。ルカはイタリア出身で、音大の打楽器課の出でヴァイブラフォンも演奏するよう。オリヴォア嬢は普段、ダブル・ベースも弾くらしい。そんな面々の拾えたユーチューブ映像の印象は、楽器編成は違うけど、“フランスのコメット・イズ・カミング(cf.シャバカ・ハッチングス)”というもの。それは、跳ねたビートにのるルカの翔んだシンセ使いが導く。また、そのビートの感覚から先日来日ツアーを行ったフランスのクインテットであるオクシード(2019年11月9日)を思い出す。彼らに、オクシードのことを聞いたら、よく知っているとのこと。

 一席をこなした後に遅れて会場入りしたら、5人がフリーフォームでやっている。あらら。最初から、自由に5人にてお手合わせ演奏をしたよう。で、休憩を挟んでは、まずトリバリズム3の面々が整合感の高いオリジナル曲を演奏しはじめ、それに秋山と蜂谷が茶々狼藉を入れるような感じで加わっていき、総体はどんどんあらぬ方向に流れていく。一期一会、自由な音楽のゆくえ……。トライバル3と蜂谷は、20日も入谷・なってるハウスで共演。今日の邂逅をふまえ、また違った“羽”をもったパフォーマンスになるんじゃないだろうか。蜂谷は、長い知己であるかっ飛び仏チェロ奏者であるユーグ・ヴァンサンと(2014年10月30日)の紹介で、3人とやることになったという。

▶過去の、蜂谷真紀
http://43142.diarynote.jp/200808260821260000/
http://43142.diarynote.jp/200901091437341082/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100911
http://43142.diarynote.jp/201407231341189225/
http://43142.diarynote.jp/201409261635554506/
http://43142.diarynote.jp/201410310931316189/
http://43142.diarynote.jp/201505211022511238/
http://43142.diarynote.jp/?day=20161102
http://43142.diarynote.jp/201707111737453393/
https://43142.diarynote.jp/201801200930278094/
https://43142.diarynote.jp/201903301004154036/
https://43142.diarynote.jp/201909141634343903/
▶︎過去の、ユーグ・ヴァンサン
https://43142.diarynote.jp/201410310931316189/

<今日の、お初>
 大友良英(2002年3月17日、2003年6月28日、2004年2月6日、2004年10月10日、2004年11月7日、2005年4月26日、2006年1月21日、2006年4月18日、2007年4月21日、2009年5月31日、2011年6月8日、2012年3月21日、2013年7月13日、2016年9月4日、2016年10月27日、2019年11月12日)のあとを負うようにシーンに出てきたという印象をぼくは持つ秋山徹次(もう、関連作の数はめちゃ多いです)のパフォーマンスに触れるのはもしや初めてか。うれしい。横と足元にイフェクターを置き、SG型のギターを自在に扱う。話したら、穏やかな紳士であった。Yellow Visionにも初めて行く。というか、オフィシャルでは(?。酔っ払って、タクシーでこの近辺に来たことがあるやいなや)、初めての阿佐ヶ谷駅下車でもある。駅からたいそう近いハコ。ドラマーでもある店主が、11年前から持っているという。蜂谷、加藤崇之(2005年11月28日、2005年12月11日、2012年11月24日、2017年1月9日、2019年8月29日)、林頼我(2019年3月16日)のトリオによるフリーフォーム盤『Parhelion 三つの太陽』(Fulldesign、FDR-1041)は2曲入りの完全即興を収めていて、それはここの5月のギグをソースとする。カヴァーとバック・カヴァーの素敵な絵は、加藤画伯による。
▶︎過去の、大友良英
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm
http://43142.diarynote.jp/200402061359140000/
http://43142.diarynote.jp/200410162220330000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20041107
http://43142.diarynote.jp/200504301042210000/
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http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
https://43142.diarynote.jp/201610310943306583/
https://43142.diarynote.jp/201911131405562579/
▶︎過去の、加藤崇之
http://43142.diarynote.jp/amp/200512020244540000/
http://43142.diarynote.jp/200512140951100000/
http://43142.diarynote.jp/201211261639115632
http://43142.diarynote.jp/?day=20170109
https://43142.diarynote.jp/201908310944135574/
▶︎過去の、林頼我
https://43142.diarynote.jp/201903171331065828/

 藤井郷子が新たに日本人リズム・セクションと組んだ新トリオを、渋谷・公園通りクラシックスで見る。今回が2度目のショウとかで、ぼくが見たファースト・セットのうち(4曲やったんだっけか?)、2曲は初めてやる曲と言っていた。そりゃ、まず当事者が何よりワクワクだろうな。そして、そういう場に立ち会える我々もウキウキだ。うち1曲は、複雑な締めのパートがうまく行き、当人たちがとても喜んでおった。曲名はまだどれも付けていないとも、作者である藤井はMCで言っていた。

 ピアニストの藤井郷子(1999年8月16日、2000年6月2日、2000年10月1日、2002年8月5日、2003年1月21日、2003年4月7日、2004年7月27日、2005年2月10日、2005年11月28日、2005年12月11日、2006年7月3日、2008年8月24日、2008年12月17日、2010年1月9日、2010年6月7日、2010年8月6日、2012年7月1日、2016年1月28日、2017年1月9日、2017年9月13日、2018年1月8日、2019年1月13日、2019年1月13日、2019年6月29日)、ダブル・ベースの須川崇志(2010年3月14日、2011年7月25日、2016年6月27日、2017年6月21日、2018年1月19日、2018年4月7日)、そしてドラムの竹村一哲(2016年9月27日、2018年9月2日、2019年10月6日)という陣容。

 オープナーは、まずテーマを一回りやるが、こりゃ何拍子じゃい(たぶん、合わせワザなんだろうな)というトリッキーなそれで、その後、3人が様々な重なり方〜それぞれがソロでやる部分もあるし、3分の2人で重なるところもあるなど、その方策がまったく一筋縄でいかなく、新奇。よくもまあこんな構成が出来上がるよなあ、譜面はどうなっているんだろうとか、接していていろんな思いにとらわれてしまう。いやー、この凝った構成と鮮やかな即興の交錯の様に、ピアノ・トリオというフォーマットはまだまだフレッシュな行き方ができると思わずにはいられなかった。そして、それを成り立たせているのは、須川と竹村のジャズの本懐をしっかり知りつつ、そこに個を相乗させた清新な演奏であるとも思わせる。彼ら、いろんな奏法のもと、いろんな音を出していたよなー。

 いやー、よくこのメンツで、この表現……。平伏しました。今年見たピアノ・トリオ表現のなかで1番個性あり、新味あり。であったのは、間違いない。

▶過去の、藤井郷子
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/augustlive.htm 藤井カルテット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-6.htm 藤井3+1
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-10.htm 藤井カルテット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/framepagelive.htm 藤井3+1
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-1.htm 藤井4
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-4.htm 田村カルテット
http://43142.diarynote.jp/200407271618520000/ 藤井3+1
http://43142.diarynote.jp/?day=20050210 田村カルテット
http://43142.diarynote.jp/200512020244540000/ ザ・レイモンド・マクドナルド・トウキョウ・インプロヴァイザーズ・オーケストラ
http://43142.diarynote.jp/200512140951100000/ エリオット・シャープ
http://43142.diarynote.jp/?day=20060703  藤井オーケストラ名古屋/同東京
http://43142.diarynote.jp/?day=20080824 レイモンド・マクドナルド・インターナショナル・ビッグ・バンド
http://43142.diarynote.jp/200812281445103402/ 藤井4
http://43142.diarynote.jp/201001101203088126/ ガトー・リブレ、ファースト・ミーティング、ma-do、オーケストラ東京
http://43142.diarynote.jp/?day=20100607 ファースト・ミーティング
http://43142.diarynote.jp/201008261616172628/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120701
http://43142.diarynote.jp/201601301017037781/ KAZE
http://43142.diarynote.jp/201701101136544400/  Quartet Maho。Maho、 Satoko Fujii Orchestra Tokyo、Tobira―one、Satoko Fujii Quartet
http://43142.diarynote.jp/201709141146381271/ 藤井オーケストラ東京
https://43142.diarynote.jp/201801100512178732/ あれもこれも
https://43142.diarynote.jp/201901141236416025/ あれもこれも
https://43142.diarynote.jp/201903231350548821/ モリ・イクエ
https://43142.diarynote.jp/201906280923527705/ 2019年ダウンビート誌クリティクス・ポール
https://43142.diarynote.jp/201906301115529387/ +齊藤貿子
▶︎過去の、須川崇志
http://43142.diarynote.jp/201003191715113498/
http://43142.diarynote.jp/201107310727152406/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160627
http://43142.diarynote.jp/201706220952582448/
http://43142.diarynote.jp/201801200930278094/
https://43142.diarynote.jp/201804081516393408/
https://43142.diarynote.jp/201903301004154036/
https://43142.diarynote.jp/201912161052582124/
▶︎過去の、竹村一哲
http://43142.diarynote.jp/201610100849458472/
https://43142.diarynote.jp/201809071509481583/
https://43142.diarynote.jp/201910070759405954/

 それをファースト・セットだけを見て、南青山・ブルーノート東京に移動。近年は欧州ソニーと契約しているドイツ人トランペッター/シンガーのティル・ブレナー(2006年1月18日)の公演を見る。ノーネクタイのスーツ姿(でもジャケットとパンツは微妙に色合いが違っていたか)に赤いポケット・チーフのブレナーさん、何気に格好いい。やはり、それもステージに立つものとしては重要な要件になりますね。

 フリューゲルホーンとトランペットと歌のブレナー、ピアノとキーボードのオラフ・プーツシーン、キーボードのヤン・ミゼーレ、ギターのブルーノ・ミュラー、ダブル・ベースと電気ベースと鍵盤ベースを曲により操り音楽ディレクターとも紹介されたクリスチャン・フォン・カプヘンクスト、ドラムのデイヴィッド・ヘインズ。キレのいい演奏を効かせたヘインズはスタンリー・ジョーダン(2008年8月6日)やジャマラディーン・タクーマ(2014年7月28日)やヴィクター・ウッテン(2000年8月12日、2004年3月24日、2008年9月8日、2015年6月5日 )らの作品に名前が見られる。彼は米国人ながらベルリン在住で、ドラム・パッド扱いの名手としても知られますね。そして、その陣容にスペシャル・ゲストとして歌と鍵盤のフランク・マッコム(2004年4月15日、2004年5月10日、2006年9月3日、2006年12月7日、2007年12月28日、2011年3月4日 、2012年3月5日、2015年6月26日)が加わる。彼は3分の2近くで美声をふるまう。ゆえに、歌も歌うブレナーだが、ここではコーラスをするのにとどまった。

“ベター・ザン・クリスマス”という名前がツアー名につけられており、なるほどその表題に偽りなし。演目がホリデイ・シーズンにちなむものが多くて、へ〜え。クリスマス絡み曲をやられると痒いと感じる部分もあるが、そこはジャズの洒脱さを介してうまく開く。とともに、エンターテインしている懐の広さもおおいに出てくるわけで、なかなかに頷く。おねーゃんと師走の気分をいい感じで持ち合いたいという向きには、もうぴったりの出し物ではないか。ヒネたぼくでも肯定できる、お金の取れる、いいクリスマスを題材に置く公演であったと思うし、これは毎年繰り返されてもいいプログラムだと思った。

▶︎過去の、ティル・ブレナー
https://43142.diarynote.jp/200601191505200000/
▶過去の、フランコ・マッコム
http://43142.diarynote.jp/200404150934460000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20040510
http://43142.diarynote.jp/200609070211000000/
http://43142.diarynote.jp/200612090150310000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20071228
http://43142.diarynote.jp/201103091608158507/
http://43142.diarynote.jp/201203062006429595/
https://43142.diarynote.jp/201506270755127907/
▶︎過去の、スタンリー・ジョーダン
https://43142.diarynote.jp/200808090220540000/
▶︎過去の、ジャマラディーン・タクーマ
http://43142.diarynote.jp/201408051026553769/
▶過去の、ヴィクター・ウッテン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-8.htm バークシャー・フェスティヴァル 8/12
http://43142.diarynote.jp/200403241554160000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20080908
https://43142.diarynote.jp/?day=20150605

<今日の、欧州案件>
 3軒目に流れたバーで、数学の大学教授をしているベルギー人のラルフと意気投合。トロンボーンやトランペットを吹き本来はジャズ・マン志望であったらしい彼(弟はピアニストをしていると言っていたな)、近年ジャズの話が一番合う、いや話を丁々発止できる人だった。ところで、元セレッソ大阪出身で現ザルツブルグの南野拓実の、英リバプールへの移籍が発表された。今年のチャンピオンズ・リーグで奇跡的な経緯を経て優勝したビッグ・クラブの英リヴァプールとは、本当にすごい。若い選手だとステップ・アップすることが是となるオーストリアのリーグに5年間もとどまることをしいられ(ちゃんと活躍していたのに、サブっぽい使われかたがされたりもしたな)、なかなか日本代表チームにも選ばれなかった(実質、選ばれるようになったのはロシアW杯のあとの、昨年秋からだ)ところを腐らず、よく頑張ったなー。とっても、そんな芯の強い24歳の青年をぼくは尊敬します。
追記:翌日の世界クラブ選手権の決勝でブラジルのフラメンゴに勝利し、リヴァプールは名目上は現在世界1位のサッカー・クラブとなった。

 ピアノ主体でキーボードも少し弾くボブ・ジェイムズ(2013年9月3日、2015年3月5日、2015年9月5日、2018年10月12日)とテナーとソプラノ・サックスとフルートのカーク・ウェイラム(2013年4月22日)の双頭名義作『ジョインド・アット・ザ・ヒップ』(ワーナー・ブラザーズ、1996年)を題材に置くショウ。なはずだったが、「タッチダウン」とか「マプート」とかジェイムズの代表曲をオープナーやハイライト部分で演奏したりもしたな。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。

 もともとテキサス州ヒューストンで演奏していたウェイラムをジェイムズが見染め、自己バンドに入れるとともに、デビュー作のお膳立てをしてあげたりという重なり合いを持つ両者をサポートするのは、ギターのウィル・パトリック(若い彼、初来日と紹介された)、ベースのクリス・ウォーカー(2003年3月13日、2009年6月15日、2014年11月19日、2019年5月6日)、ドラムのビリー・キルソン(2017年12月7日 、2018年10月12日、2018年11月26日)。お、弦楽器奏者は2人とも左利きだ。ウォーカーとキルソンは、ギターの故ハイラム・ブロック(2000年6月21日、2003年6月12日、他)も弾いていたオリジナルに参加していた奏者ですね。1970年代からジェイムズはハイラム・ブロックやドラマーのヨギ・ホートンとか、アフリカ系属性をうまく演奏に転嫁する個性派奏者を好んでレコーディング・セッション呼んでいたな。

 キルソン側のほうから見たのだが、シンプル目のセットを叩く彼の強くもしなやかなリスト使い含む身体能力の高さあふれるドラミングに頷く。3曲目にしてドラム・ソロのパートを得ていたが、そこにジェイムズの厚い信任が見て取れる。彼、横においた長方形の機材と自分の腰あたりを細いシールドでつないでいたが、それは何? 正確なBPMを得るためのもの? この顔ぶれのなかで一番親近感を持つヒューストン・ネイティヴのウォーカーは変わらずスタインバーガー型のそれを弾く。そりゃ演奏はお手のものだが、ボディが小さいぶん、エフェクターを駆使してもいないので出音は弱い。雑なオレでもバンマスだったら、普通のベースで弾いてと要求するかなー。

 ジェイムズは、通常はここに入っているピアノとは別のものに替えて弾いていた。また、ファースト・ショウが終わると、調律師が出てきてポーンポーンと調整を始める。でも、ジェイムスのピアノは出音をそこそこいじっており、それだとそこまで神経質にならなくてもいいのではないかとも思ってしまうが、秀でた耳を持つとそう鷹揚には構えられないのか。在NYのイメージも強い彼だが、もう15年以上ミシガン州トラヴァースシティの自然豊かな土地に住んでいる。彼はミズーリ州生まれで、ミシガン大学を出ているが、最初は避暑地として出向いていたら気に入ってしまい、住むようになってしまったのだそう。とはいえ、冬場は雪も降り寒すぎるので、1〜4月はジョージア州のサヴァンナに今は居住している。年明けまたぎで日本に滞在する彼だが、終わると南部の家に戻るのかしら。

 『ジョインド・アット・ザ・ヒップ』にはザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズ(1999年8月2日、2010年2月22日、2013年9月18日、2014年10月23日、2017年2月9日、2019年8月11日)のカヴァーも著名な、マリア・マルダー(2006年8月23日、2010年6月18日)で知られる「ミッドナイト・アット・ザ・オアシス」も入っていた。歌も得意なウォーカーがそのポップ・スタンダードを歌わないかなあと期待したのだが、それはなし。でも、アンコールでは彼のテンダーな歌は悠々披露された。アル・ジェロウ・バンドの重鎮でもあった彼は、今年『We’re in This Love Together: Celebrating Al Jarreau 』(CCW Global)というアルバムを出している。

▶過去の、ボブ・ジェイムス
http://43142.diarynote.jp/201309051241384602/
http://43142.diarynote.jp/201503060912185943/
http://43142.diarynote.jp/201509211331298145/
https://43142.diarynote.jp/201810170926249130/
▶︎過去の、カーク・ウェイラム
https://43142.diarynote.jp/201304230829465253/
▶過去の、クリス・ウォーカー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm
http://43142.diarynote.jp/200906160735045241/
http://43142.diarynote.jp/?day=20141119
https://43142.diarynote.jp/201905071241413367/ 過去のインタヴューも
▶︎過去の、ビリー・キルソン
https://43142.diarynote.jp/201712081715389473/
https://43142.diarynote.jp/201810170926249130/
https://43142.diarynote.jp/201811271055049781/
▶︎過去の、ハイラム・ブロック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-6.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm
▶過去の、ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/augustlive.htm
http://43142.diarynote.jp/201002280939559070/
http://43142.diarynote.jp/201309201841355632/
http://43142.diarynote.jp/201410251056112035/
http://43142.diarynote.jp/201702100924466798/
https://43142.diarynote.jp/201804121236407352/
https://43142.diarynote.jp/201908131131046854/
▶︎過去の、マリア・マルダー
https://43142.diarynote.jp/200608271341340000/
https://43142.diarynote.jp/201006200650338483/

<今日の、惚け>
 荷物をがらがら引く人が散見された。その様で、仕事納まりや年末を感じる。そして、ライヴ後に流れようとすると、けっこう店が閉まっている。うわあ、もう本当に年末なんだと思ってしまったが、それらは年末というよりも、日曜ゆえのお休みだったのね。

ザップ

2019年12月30日 音楽
 オハイオ州の名ファンク・グループであるザップ(2010年2月11日、2011年4月24日、2013年1月18日、2015年8月13日)をまた見る。テリー“ザップ”トラウトマン、レスター・トラウトマン、バート・トーマス、デイル・デグロート、ロナルド・フロスト、アンソニー・アリントンという6人にて、面々は華あるパフォーマンスを繰り広げる。六本木・ビルボードライブ東京、セカンド・ショウ。やっぱし、超ウフフなライヴ。もう、故あり疲れ切っていたのだけど、高揚しました、魅せられました、堪能しました。米国黒人音楽ばんさい!

 持ち楽器をかえたり、リード・ヴォーカルやフロントに立つ者を次々と変えるなど、バンドのフォーメイションを終始動かしながら(サッカー的にいえば、1トップもあれば3トップあるし、えぐいサイド・アタックをしたかと思うと中央突破もあり、ディフェンダーの数もいろいろ……)、また衣装を代え。今回は、キーボードの人だったか、ブルース・ハープ(←これも、故ロジャー・トラウトマンが生きていたオリジナル期の重要要素)を延々吹く局面もあり。うれしい。機を見るに敏といった感じで2台のトーク・ボックス(昔からある、奇特なロボ声発生装置ですね)を使うのはこれまで通りだが、それは今までで重用度数は一番低かったか。かわりに、プリセット音の度合いは高かったかもしれないが、いろんな設定による構成員の絡みの妙はもう彼らならではの専売特許と言うしかない。

 頭からドラムと歌のレスター・トラウトマンが一人で出てきて場内を回って客をわかせてからドラムの前に座り叩き出したり、途中でギター奏者とキーボード奏者が2階席に出張って演奏したり、最後はメンバーが次々に客席に降りて、観客を巻き込み送り手も担い手も一緒に1列になってフロアを周り、そのまま皆んなでステージ上に上がっちゃう。それ、これまでのあらゆるビルボード東京公演のなかで一番お客がステージに上がったのではなかったか。

 ほぼ、90分のショウ。今回、長めだったな。もうあの曲もこの曲も、見せ方のヴァリエイションにしても、なにもかも出し惜しみなし。客とのコール&レスポンスも、いろいろ。演奏力もしっかり。肉声の力もあり。そして、つきるところ、尊いエンターテインメント性や米国ブラック・ミュージックの言葉にならない凄さや味わいふかさをぽっかり浮かび上がる。

 それから今回思ったのは、後半P-ファンクぽいと思えるリフのもと、ダイナミックなアクションやダンス、所作を展開していたこと。1980年デビュー作『ZAPP』はブーツィ・コリンズ(2011年8月12日、2012年5月31日)とロジャー・トラウトマンのプロデュースであったから、それも不思議はないのであるが。制作名義には入っていないが、結成して間もなくワーナー・ブラーズからアルバムを出すことができたのは、ジョージ・クリントン(2002年7月28日、2009年9月5日、2011年1月22日、2013年4月12日、2015年4月12日、2016年11月29日、2019年4月30日)の口利きがあったからだ。あと、ヒップホップ・ビートやラップも加えているのは、ブルース〜R+B〜ファンク〜エレクトロ・ファンクといった黒人音楽のヴェリエイションを俯瞰するような志向を取っていたザップの過去の財産プラスと言えるものですね。

 それから、途中ですんごく歌える長い黒髪のアフリカ系女性シンガーがちょい出てきた。その破格な歌声や佇まいはもしかしてシャーリ・マードック(2010年2月11日、2011年4月24日)? という、感じもあったがどうなのか。だったら、もうすこしフィーチャーして欲しかったのだけれど。

 来日したら、必ず受け止めたい存在。そのうれしい事実をかみしめた。

▶過去の、ザップ
http://43142.diarynote.jp/201002150514277396/
http://43142.diarynote.jp/201104270528378826/
http://43142.diarynote.jp/201301211143292478/
https://43142.diarynote.jp/201508140947547631/
▶︎過去の、ブーツィ・コリンズ
http://43142.diarynote.jp/201108131129381378/
http://43142.diarynote.jp/201206011834355756/
▶過去の、ジョージ・クリントン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-7.htm 触れていないが、フジ・ロック
http://43142.diarynote.jp/?day=20090905
http://43142.diarynote.jp/201102081256005311/
http://43142.diarynote.jp/201304150853287353/
http://43142.diarynote.jp/201504131109395934/
https://43142.diarynote.jp/201612011925201175/
https://43142.diarynote.jp/201905010724461038/
▶過去の、シャーリー・マードック
http://43142.diarynote.jp/201002150514277396/
http://43142.diarynote.jp/201104270528378826/

<今日の、奉仕>
 降雨のなか朝9時に家を出て母親宅に行き、一緒にでっかい病院に行き、唖然とするほど待たされつつ検査やなんやを付き合う。一緒にご飯を食べたりもし、19時過ぎにまた家まで届ける。今日急に飛び込み、予定を飛ばしての、今年最後の親孝行なり。今日乗ったタクシーの運転手はみんな親切で、話好きの人たちだった。都下だと、そういう傾向が強まるのかな。大晦日の明日は、昼間20度近くになるよう。多くの人が陽光を浴び、年越しを迎えられますように。