ヤンガーさんは現在33歳らしい、米国人ジャズ・ハーピスト。ジャズ側だとラヴィ・コルトレーン(2013年8月18日、2014年5月22日、2015年9月5日)やジェーン・モンハイト(2010年3月1日、2012年4月12日)作に入ったりしており、ポップ側セッションもやっていてコモン(2004年6月11日、2005年9月15日、2015年9月23日)やジョン・レジェンド(2005年5月8日)のアルバムにも名が見られる。クラシック上がりのようだが、MCや物腰はファンキー。ハープはカスタムメイドのようで、アラブの富豪が気に入りそうな装飾が施されてると説明したくなる? 南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。

 それにしても、同行ミュージシャンが興味深い。2000年を回った頃からケニー・バロン(2001年11月20日、2009年1月7日、2003年10月10日、2014年9月7日、2016年9月4日)やステフォン・ハリス(2010年5月30日、2011年12月17日)の録音セッションに顔を出しリーダー作も数枚出す白人女性フルート奏者のアン・ドラモンド、テナー・サックスのラヴィ・コルトレーン(2013年8月18日、2014年5月22日、2015年9月5日)、1990年代はワーナーやヴァーヴからリーダー作をザクザク出していたギタリストのマーク・ホイットフィールド、ベースのラシャーン・カーター(2014年5月25日、2015年6月16日、2016年9月17日、2016年12月16日)、ドラムのアダム・ジャクソン(2014年5月25日、2016年9月17日、2016年12月16日)という面々が彼女につく。このリズム・セクションは、黒田卓也(2012年2月18日、2012年9月13日、2013年2月15日、2014年5月25日、2015年1月30日、2015年2月15日、2016年9月17日、2016年12月16日)バンドのそれですね。

 ラシャーン・カーターがエレクトリックではなく、ずっとダブル・ベースを弾いていたのにはびっくり。その相手をするアダム・ジャクソンもいつもよりはジャズ寄りの演奏。取り上げる曲は、もろに敬意を示すかのようにアフリカ系女性ジャズ・ハーピストのドロシー・アシュビー(1930〜1986年)やアリス・コルトレーン(1937〜2007。ラヴィのお母さんですね)らの諸曲。また、自作曲もあり。結構くすんだ質感の元パフォーマンスをするんだなと思っていたら、後半はラシャーン・カーターが電気ベースを手にするとともにサウンドが粘着かつ立ったものとなり、色彩感を増す。もう少し、後者のノリの曲を聞きたかった。

 ヤンガーの演奏はあまり過剰なことはせず、総体の佇まいに留意しつつ、さらさらとソロやサポート(ときに、サイド・ギター的)をするといった感じ。でも、楽器の特殊性もあり、妙な得体の知れなさや、広がりは出る。それって、アシュビーやアリス・コルトレーンも、まったくもって同様であったわけだが。彼女のハープ音とホイットフィールドのギター音との使い分けはどうするのかと思ったら、ソロを取るとき以外のギター音はあまり聞こえなかった。ホイットフィールドのギター・ソロはフュージョン以後の広がりを抱えつつシャープなジャズ感覚を内包するものでなかなか良かった。ヤンガーは他の奏者にもソロのパートは与える。トリオで始まったショウであったが、アンコールはヤンガーとアン・ドラモンドとのデュオでなされた。

▶過去の、ラヴィ・コルトレーン
http://43142.diarynote.jp/?day=20130818
http://43142.diarynote.jp/201405231458349566/
http://43142.diarynote.jp/201509211331298145/
▶過去の、ジェーン・モンハイト
http://43142.diarynote.jp/201003061215255562/
http://43142.diarynote.jp/201204150908588685/
▶過去の、コモン
http://43142.diarynote.jp/200406130120280000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20050915
http://43142.diarynote.jp/201509241127563839/
▶過去の、ジョン・レジェンド
http://43142.diarynote.jp/200505141714260000/
▶過去の、ケニー・バロン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/LIVE-2001-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200901080850146753/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090607
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/
http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
▶過去の、ステフォン・ハリス
http://43142.diarynote.jp/201006071814015815/
http://43142.diarynote.jp/201112201159168538/
▶︎過去の、ラシャーン・カーター
http://43142.diarynote.jp/201405271755563079
http://43142.diarynote.jp/201506180954176007/
http://43142.diarynote.jp/201609201835285184/
http://43142.diarynote.jp/?day=20161216
▶︎過去の、アダム・ジャクソン
http://43142.diarynote.jp/201405271755563079/
http://43142.diarynote.jp/201609201835285184/
http://43142.diarynote.jp/?day=20161216
▶過去の、黒田卓也
http://43142.diarynote.jp/201202200901013744/
http://43142.diarynote.jp/201209191239346073/
http://43142.diarynote.jp/201302181044151204/
http://43142.diarynote.jp/201405271755563079/
http://43142.diarynote.jp/201501310942048841/
http://43142.diarynote.jp/201502170939564537/
http://43142.diarynote.jp/201609201835285184/
http://43142.diarynote.jp/201612181010384754/

 その後、渋谷・サラヴァ東京に行って、<ピエール・バルー メモリアルイベント Vo.1>という出し物を途中から見る。場内に入ったら、ボサ派シンガー/ギタリストの吉田慶子(2012年4月25日、2013年12月26日 )の最後の曲で、女性シンガーを伴っていた。曲はポルトガル曲ではなく、日本語歌詞。それバルー(2010年7月11日、2016年10月27日)曲の翻訳曲なのだろうか。

 その後には、フランス人5人が出てくる。いかにも仏人的アート系中年というルックスを持つシンガー・ソングライターのバスティアン・ラルマンを中心とするもので、それは”バスティアン・ラルマン&眠れる海辺の音楽家たち”という名前がつけられている。ラルマンに加えて、ルバン・ドゥ・ラ・シモン、ジー・ペー・ナタフ、ダビッド・ババン、マエヴァ・ル・ベルという人たちがステージに立った。

 なんの情報のないまま、5人の和気藹々としたパフォーマンスに触れたのだが、ぼくは密かにブっとんだ。めちゃ、味と風情がいいんだもの! 何気ない存在感もたっぷり。実は、英米のロック文脈で見るとフランスのポップ・ミュージックはどこかどんくさいという大雑把な感想をぼくは持っているのだが、働き盛り(?)の彼らの場合はまるでそんなことがなかった。曲にせよ、歌にせよ、ちょっとした楽器音にせよ、ほんわかしていてどこかフランスっぽさも感じさせるのに、ぼくの耳にはとってもインターナショナルな観点で技と実のあるものであると思わずにはいられず。すげえ。

 また、感心したのは、曲ごとに持ち楽器(ギター、ピアノ、ベース、打楽器)を変えたり、リード・ヴォーカルをとる人も次々変わったこと。その様にふれ、音楽性は重ならないものの、ぼくはザ・バンドの素敵を感じてしまったのだから。持ち楽器が変わらないのは、チェロを弾く紅一点のベル嬢だけだった。いろんな部分で感心、ぼくのフレンチ・ポップに対するイメージは少し変わった。あと、彼らの洒脱極まりない歌にふれ、アート・リンゼイ(1999年12月18日、2002年9月9日、2004年11月21日、2011年6月8日、2014年10月26日、2015年6月9日、2016年9月1日、2017年6月23日)のそれってフランス的な味があるのかもと、おぼろげにぼくは思った。なお、披露した曲の多くはラルマンたちの曲だったのではないか。

▶過去の、吉田慶子
http://43142.diarynote.jp/201205080617258733/
http://43142.diarynote.jp/201312271037411817/
▶︎過去の、ピエール・バルー
http://43142.diarynote.jp/201007130731368326/
http://43142.diarynote.jp/?day=20161027
▶過去の、アート・リンゼイ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/december1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm
http://43142.diarynote.jp/200411231722390000/
http://43142.diarynote.jp/201106141341111340/
http://43142.diarynote.jp/201410301512336095/
http://43142.diarynote.jp/201506111719463390/
http://43142.diarynote.jp/201609200958472477/
http://43142.diarynote.jp/201706240934237865/

<今日も、賑やか>
 ブルーノート東京のヤンガーさんのショウが終わると、斜め前でそれを見ていたシンガー/トロンボーン奏者のコーリー・キング(2013年2月15日、2013年6月4日、2014年5月25日、2014年8月7日、2016年5月31日、2016年12月16日)がぼくを見つけて声をかけてくる。同じ席には、黒田卓也や大林武司(2014年5月25日、2015年9月5日、2016年2月16日、2016年9月4日)もいる。皆んな、ホント仲よしなんだなあ。キングは来月11日と12日に、黒田やラシャーン・カーターらを擁するリーダー・ライヴを有楽町・コットンクラブで行う。一方、大林は、彼がコ・リーダーを務めるニュー・センチュリー・ジャズ・クインテット(2015年9月5日)の新作『ソウル・コンヴァージョン』(スパイス・オブ・ライフ)を7月下旬にリリース。また、7月下旬には黒田やニュー・センチュリー・ジャズ・クインテットの大林や中村恭士(2009年10月15日、2015年9月5日、2017年1月10日)らが組む在NY日本人奏者たちによるクインテットのJ-SQUAD がフジやブルーノート東京を含むツアーを行う。今日は昼間今年一番の蒸し暑さをぼくは家で仕事していて感じたが、夏は着実にやっていているなあ。
▶過去の、コリー・キング
http://43142.diarynote.jp/201302181044151204/
http://43142.diarynote.jp/201306060730086224
http://43142.diarynote.jp/201405271755563079/
http://43142.diarynote.jp/201408091058201133/
http://43142.diarynote.jp/201606101027587993/
▶過去の大林武司
http://43142.diarynote.jp/?day=20140525
http://43142.diarynote.jp/201509211331298145/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160216
http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
http://43142.diarynote.jp/?day=20161216
▶︎過去の、ニュー・センチュリー・ジャズ ・クインテット
http://43142.diarynote.jp/201509211331298145/
▶過去の、中村恭士
http://43142.diarynote.jp/200910161214535124/
http://43142.diarynote.jp/201509211331298145/
http://43142.diarynote.jp/?day=20170110