ピアノ主体でキーボードも少し弾くボブ・ジェイムズ(2013年9月3日、2015年3月5日、2015年9月5日、2018年10月12日)とテナーとソプラノ・サックスとフルートのカーク・ウェイラム(2013年4月22日)の双頭名義作『ジョインド・アット・ザ・ヒップ』(ワーナー・ブラザーズ、1996年)を題材に置くショウ。なはずだったが、「タッチダウン」とか「マプート」とかジェイムズの代表曲をオープナーやハイライト部分で演奏したりもしたな。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。

 もともとテキサス州ヒューストンで演奏していたウェイラムをジェイムズが見染め、自己バンドに入れるとともに、デビュー作のお膳立てをしてあげたりという重なり合いを持つ両者をサポートするのは、ギターのウィル・パトリック(若い彼、初来日と紹介された)、ベースのクリス・ウォーカー(2003年3月13日、2009年6月15日、2014年11月19日、2019年5月6日)、ドラムのビリー・キルソン(2017年12月7日 、2018年10月12日、2018年11月26日)。お、弦楽器奏者は2人とも左利きだ。ウォーカーとキルソンは、ギターの故ハイラム・ブロック(2000年6月21日、2003年6月12日、他)も弾いていたオリジナルに参加していた奏者ですね。1970年代からジェイムズはハイラム・ブロックやドラマーのヨギ・ホートンとか、アフリカ系属性をうまく演奏に転嫁する個性派奏者を好んでレコーディング・セッション呼んでいたな。

 キルソン側のほうから見たのだが、シンプル目のセットを叩く彼の強くもしなやかなリスト使い含む身体能力の高さあふれるドラミングに頷く。3曲目にしてドラム・ソロのパートを得ていたが、そこにジェイムズの厚い信任が見て取れる。彼、横においた長方形の機材と自分の腰あたりを細いシールドでつないでいたが、それは何? 正確なBPMを得るためのもの? この顔ぶれのなかで一番親近感を持つヒューストン・ネイティヴのウォーカーは変わらずスタインバーガー型のそれを弾く。そりゃ演奏はお手のものだが、ボディが小さいぶん、エフェクターを駆使してもいないので出音は弱い。雑なオレでもバンマスだったら、普通のベースで弾いてと要求するかなー。

 ジェイムズは、通常はここに入っているピアノとは別のものに替えて弾いていた。また、ファースト・ショウが終わると、調律師が出てきてポーンポーンと調整を始める。でも、ジェイムスのピアノは出音をそこそこいじっており、それだとそこまで神経質にならなくてもいいのではないかとも思ってしまうが、秀でた耳を持つとそう鷹揚には構えられないのか。在NYのイメージも強い彼だが、もう15年以上ミシガン州トラヴァースシティの自然豊かな土地に住んでいる。彼はミズーリ州生まれで、ミシガン大学を出ているが、最初は避暑地として出向いていたら気に入ってしまい、住むようになってしまったのだそう。とはいえ、冬場は雪も降り寒すぎるので、1〜4月はジョージア州のサヴァンナに今は居住している。年明けまたぎで日本に滞在する彼だが、終わると南部の家に戻るのかしら。

 『ジョインド・アット・ザ・ヒップ』にはザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズ(1999年8月2日、2010年2月22日、2013年9月18日、2014年10月23日、2017年2月9日、2019年8月11日)のカヴァーも著名な、マリア・マルダー(2006年8月23日、2010年6月18日)で知られる「ミッドナイト・アット・ザ・オアシス」も入っていた。歌も得意なウォーカーがそのポップ・スタンダードを歌わないかなあと期待したのだが、それはなし。でも、アンコールでは彼のテンダーな歌は悠々披露された。アル・ジェロウ・バンドの重鎮でもあった彼は、今年『We’re in This Love Together: Celebrating Al Jarreau 』(CCW Global)というアルバムを出している。

▶過去の、ボブ・ジェイムス
http://43142.diarynote.jp/201309051241384602/
http://43142.diarynote.jp/201503060912185943/
http://43142.diarynote.jp/201509211331298145/
https://43142.diarynote.jp/201810170926249130/
▶︎過去の、カーク・ウェイラム
https://43142.diarynote.jp/201304230829465253/
▶過去の、クリス・ウォーカー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm
http://43142.diarynote.jp/200906160735045241/
http://43142.diarynote.jp/?day=20141119
https://43142.diarynote.jp/201905071241413367/ 過去のインタヴューも
▶︎過去の、ビリー・キルソン
https://43142.diarynote.jp/201712081715389473/
https://43142.diarynote.jp/201810170926249130/
https://43142.diarynote.jp/201811271055049781/
▶︎過去の、ハイラム・ブロック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-6.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm
▶過去の、ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/augustlive.htm
http://43142.diarynote.jp/201002280939559070/
http://43142.diarynote.jp/201309201841355632/
http://43142.diarynote.jp/201410251056112035/
http://43142.diarynote.jp/201702100924466798/
https://43142.diarynote.jp/201804121236407352/
https://43142.diarynote.jp/201908131131046854/
▶︎過去の、マリア・マルダー
https://43142.diarynote.jp/200608271341340000/
https://43142.diarynote.jp/201006200650338483/

<今日の、惚け>
 荷物をがらがら引く人が散見された。その様で、仕事納まりや年末を感じる。そして、ライヴ後に流れようとすると、けっこう店が閉まっている。うわあ、もう本当に年末なんだと思ってしまったが、それらは年末というよりも、日曜ゆえのお休みだったのね。