平安隆。黒田卓也

2016年12月16日 音楽
 1952年沖縄生まれ、洋楽系音楽の造詣も深いギタリスト/シンガーのタワーレコード渋谷店でのインストア・ライヴを見る。喜納昌吉&チャンプルーズのメンバーだったこともある彼の18年ぶりのソロ『悠』(coco←musika)をフォロウするもので、同作のプロデュースを務めた広角型三味線奏者のゲレン大島もサポートに入った。その新作は沖縄民謡曲を題材に、しなやかな広がりを持たせたディレクションを取る。

 平安がギターを弾きながら歌い、大島が三線を手にする曲もあったが、多くの曲で平安は三線を手にし人懐こく歌い、大島がギターを弾く。基本は沖縄民謡ながら重なるギターがハワイアン・スラック・キー・ギター調であるなど、もう一つの伸長をそれらは持っていた。

 続いて、南青山・ブルーノート東京のセカンド・ショウ。在NYのトランペッターの黒田卓也(2012年2月18日、2012年9月13日、2013年2月15日、2014年5月25日、2015年1月30日、2015年2月15日、2016年9月17日)の実演を見るが、2年前のリーダー公演よりもずっと良い。新作『ジグザガー』はブルーノートからコンコードに移籍してのリリースとなったが、そのリーダー作の進化を裏付ける実演だったと言えるだろう。

 テナー・サックスのクレイグ・ヒル(2016年9月17日)、キーボードとピアノの大林武司(2014年5月25日、2015年9月5日、2016年2月16日、2016年9月4日)、エレクトリック・ベースのラシャーン・カーター(2014年5月25日、2015年6月16日、2016年9月17日)、ドラムのアダム・ジャクソン(2014年5月25日、2016年9月17日)という、現在のワーキング・バンドににてパフォーマンス。まず、黒田にせよカーターにせよ、ソロ力あり。ジャズ愛も大いに溢れる。カーターは時に電気効果をかますが、それも妙味あり。でもって、その二管の重なりもとてもグルーヴィで、ジャズたる醍醐味を感じさせる。一方、二人を支えるビートは今の立った前線R&B経由の伸縮性を持つ立ったもの。そして、それらフロント管音とバッキング音の重なりは、とっても雄々しいくもエネルギッシュなものになっていて、これは今のジャズの見事なあり方だと思わされちゃう。

 また、今回驚いたのは、大林の鍵盤さばき。これまで主に彼のアコースティック・ピアノ演奏に触れてきたが、こんなに素晴らしい電気キーボードの使い手だったのか。今回はよりキーボードを主に弾き、しかもその際に左右で別のキーボードを弾く場合が多かったのが、音色設定の妙も介してのその演奏は実にヒップにして、クール。彼がキーボードを弾けば、前線にあるNYサウンドが現れる! という手応えも、ぼくは得てしまった。また、カーターの重さと流動性を併せ持つ演奏には、今回ポール・ジャクソン(2002 年3月12日、2008年6月12日)的と思える部分も感じた。

 1時間半はやったかな。意欲と精気、あり。いいライヴだった。

▶過去の、黒田卓也
http://43142.diarynote.jp/201202200901013744/
http://43142.diarynote.jp/201209191239346073/
http://43142.diarynote.jp/201302181044151204/
http://43142.diarynote.jp/201405271755563079/
http://43142.diarynote.jp/201501310942048841/
http://43142.diarynote.jp/201502170939564537/
http://43142.diarynote.jp/201609201835285184/
▶過去の大林武司
http://43142.diarynote.jp/?day=20140525
http://43142.diarynote.jp/201509211331298145/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160216
http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
▶過去の、ラシャーン・カーター
http://43142.diarynote.jp/201405271755563079
http://43142.diarynote.jp/201506180954176007/
http://43142.diarynote.jp/201609201835285184/
▶︎過去の、アダム・ジャクソン
http://43142.diarynote.jp/201405271755563079/
http://43142.diarynote.jp/201609201835285184/
▶過去の、ポール・ジャクソン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-3.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20080612

<今日の、ネタ>
 よく進んだなー、鹿島アントラーズ。浦和だったら、無理だったろう。クラブ・ワールド・カップの決勝がレアル・マドリードと鹿島、か。何気に、昨日からこの話題が会話に上がる。試合のある日曜まで、ほんのわずかな幻想を見ようか。蛇足だが、ぼくは本田が現役だったころのアントラーズが嫌いだった。