マイア・バルー

2015年4月2日 音楽
 フランスと日本のミックスであるシンガー(2009年7月26日、2010年2月25日、2010年7月11日)、フランスから一時帰国してのライヴは渋谷・www。同性とおぼしき歓声が高い。けっこう、固定のファンがいるよう。

 鍵盤2人、ドラム、パーカッション、女性コーラスという現在持っているバンドを、皆パリから連れてきたようだ。ベース音も出していた鍵盤の一人はヴェトナム人であるとか。MCによれば、欧州一円でライヴをしているそうだが、フランスでは受けない、とのこと。彼女は今年の、ワールド・ミュージック見本市であるWomex(今秋はワルシャワでやるらしい)にも出るようだ。

 「ソーラン節」、「相馬盆唄」など日本の民謡を現代化アレンジを施したものと、オリジナル曲の二系統にて、枠から解き放たれたワタシを忌憚なく出す。ビートが効いた曲のシンセサイザー音はトム・トム・クラブ(2013年5月21日)のそれを想起させる。すっこーんと抜けたキャラ/スケール感がまぶしいという印象は変わらず。

▶過去の、マイア・バルー
http://43142.diarynote.jp/?day=20090726
http://43142.diarynote.jp/201002280942269300/
http://43142.diarynote.jp/201007130731368326/
▶過去の、トム・トム・クラブ
http://43142.diarynote.jp/201305260927026044/

<今日の、アフター>
 いろいろ知り合いと会ったライヴの終了後、和太鼓奏者の知人が出したエクササイズDVDリリースを祝う会に、ライヴ会場で合った友人を巻き込んで(同じ渋谷とはいえ、けっこう距離があって、気温が何気に低目で、遭難するのを危惧した……)、顔を出す。ミコリズムというユニット名、それって彼女の名のマイコからきているのか? 山本寛斎を巻き込んで、けっこう多角的なプロジェクトなのね。良かったね、舞子はん。その後、一軒まわった後、乱暴に桜の木の下で外飲み。話も弾むし、いぇい〜。

 元スクイーズ、UKポップ・ロックの得難いツボ持ちまくりの才人シンガー/ギタリスト(2005年8月8日、2009年7月26日、2011年1月16日)の今回の来日ツアーはソロにて。吉祥寺・スター・パインズ・カフェ。

 アコースティック・ギターを手に、生理的にぶんぶんと(曲はけっこう、その場のノリでという部分があるのではないか)、単独アーティストとしての曲やスクイーズ曲を歌って行く。なんか、颯爽としていたな。ステージ前下からファンで風をあて、髪の毛をふわあっとなびかせながらの実演であるのは、前回と同様。垂れ目の彼はどーにもいい人っぽく、音楽のムシであることがにじみ出てもいて、それはグレンさんの魅力ですね。

 コード進行、メロディ取り、そして生理的に甘美な歌声に触れ、うわあ英国モンぢゃあと頷きまくり。会場は熱心な聞き手でフル・ハウスだったが、そうそうコレを聞きたくて、皆ニコニコと集まったんだろうなと、勝手に合点しちゃう。リズムとリードを合わせたようなギターの弾き方は個人的には好みではないが、一人のパフォーマンスでありつつ曲趣を広げるには有効であるし、実際1時間50分ほどのショウを持たせてしまうのだから頷く。その後半とアンコールはエレクトリック・ギターに持ち替える。また、1曲はピアノを弾きながら歌った。最後のほうトチって辞めちゃったが、味はとても良い。もっと、聞きたかったナ。

 今回の来日はマネージャーもしているような奥さんと2人の子供を同伴しており、なんと上の10歳ぐらい(?)のレオン君が、ショウの頭のほうとアンコール(2回やり、最初のほう)に出て来て、ギターの短いソロ演奏(オープン・チューニングのギターをスライド・バーで弾く)やギター弾き語りや、お父さんとの共演を聞かせる。年齢相応だが、でも愛らしくも、堂々。お父さんも、うれしそう。昨年暮れ(2014年12月10日)のリアム・オメンリー(1999年9月23日、2000年10月3日、2001年7月28日、2009年5月20日、2011年12月6日、2011年12月7日、2011年12月10日、2011年12月12日、2014年12月4日、2014年12月6日)の娘のペマもそうだが、小さな時分から父親の勇士に触れてきているためか二世たちは本当にビビることなく人前に立つよなー。というのはともかく、今のティルブルックの音楽を支える大切な何かが垣間見えるもので、ファンならとっても興味深いものではなかったか。一部は、自宅でのギターをもちあってのやりとりを透かし見させた? 豊かな私生活があるロック、そんなふうにも思えました。

 何度もスクイーズ再結成の話が出ているが、新作レコーディングが半分終わっているよう!

▶過去の、グレン・ティルブック
http://43142.diarynote.jp/200508122041470000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090726
http://43142.diarynote.jp/201101171220553139/
▶過去の、ペマ・オメンリー
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▶過去の、リアム・オメンリー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/september1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-10.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-7.htm(フジ・ロック、ホット・ハウス・フラワーズ)
http://43142.diarynote.jp/?month=200905
http://43142.diarynote.jp/201112171632304826/
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http://43142.diarynote.jp/?day=20111210
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<今日の、花見>
 ライヴ前にお昼すぎから、桜を見ながら飲む。今年、最後にして、一番参加者が多かった花見会ナリ。日程を聞いて、まだ桜が残っているのかと思っていたが、まあまあ楽しめ、散る花びらも浴びた。めでたし、めでたし。さて、ゴールデン・ウィーク開けぐらいまでは、気候の良さを楽しみたいな。
 すでに30 年強のキャリアを持つ、マイク・スコットが中央に立つ英国のロック・グループ。渋谷・クラブクアトロ。昨年のフジ・ロック・フェスティヴァルで初来日し(20年ぐらい前、スコットがリーダー作を出していた頃のソロ名義公演を見たような気もするが……。と、思っていたら、MCで18年前にやはり同じクアトロに出演している由。なんか印象がいいらしく、クアトロの歌も即興で歌っていたな)、今度は新作『モダン・ブルース』を出しての来日となる。そのアルバム・タイトルにドキっとなるが(まあ、かつて『フィッシャーマンズ・ブルース』というアルバムも出したこともあったが)、ブルージーな曲も一握りあるものの(なぜか、ドゥーワップ調コーラスを入れたものもあった)、基本は実直なシンガー・ソングラター的楽曲を正直なバンド表現に移したという内容をそれは持つ。

 ポール・ウェラー(2000年9月12日)と同じ1958年生まれであるスコットランドのエジンバラ出身のスコットは、そのグループ名がルー・リードの「ザ・キッズ」の歌詞から取られたという話が示唆するように、ちゃんと歌詞を吟味したことはないが、詩人系ロッカーの系譜にある人とも言えるか。一部の人には超受けそうなロックロックした風体もまた、ある種のロック美学が投影されたものと言えるかもしれない。彼の見た目、そんなに劣化していないと、遠目には思えた。

 元々ニュー・ウェイヴ流れっぽい感じでロンドンから出て来たザ・ウォーターボーイズであったが、スコットは1980年代下半期にスター・システムに反するように、落ち着いた生活を標榜しダブリンに移住、一時はザ・ウォーターボーイズ名義でアイリッシュっぽい味付けのことをやったりもしていた(その時期の代表作が、先に触れた1989年作『フィッシャーマンズ・ブルース』)。あのころは、アイリッシュ・ロックの文脈で、ザ・ウォーターボーイズは語られもしたと記憶する。

 エレクトリック・ギターを弾きながら歌うスコットに、オルガン、ヴァイオリン、ギター、ベース、ドラムがつく。もう、どっしり、実直。面白いのは、ソロはオルガン奏者とヴァイオリン奏者(ある曲のソロの際、スライド・ギターみたいな音を出したりも)がとり、2本のギターはほぼリズム・ギターに徹していたこと。ヴァイオリン奏者はザ・ウォーターボーイズ全盛期から入っていた人かもしれぬが、アイリッシュ・フィドルっぽい弾き方はしなかった。スコットはピアノを弾きながら歌う場合もあり(ツイン鍵盤でやる)。また、ギター弾き語りのパートや、ヴァイオリン奏者とデュオでやる部分もあった。

 渋谷・クラブクアトロはちゃんと一時代を築いたバンドだけに、すごい混み具合。外国人も多かった。

 ……しかし、その人ごみのなかで、ときにぼくは危ない人になっていたのではないか。コレハイイ、ウヒャアイイゾと、ブツブツ口にしたくなるほど、ぼくは感じ入って見ていたから。スコットの声も太く存在感があるし、バンドはもっとアーシーだし、アルバムよりずっといい。いやあ、ライヴに行く歓びをたっぷり感じてしまったな。

▶過去の、ポール・ウェラー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-9.htm

<今日の、うわあああああ>
 同行奏者のオルガンとギターとベースは、米国人とスコットは紹介。で、なんとベーシストは、マッスル・ショールズのデイヴィッド・フッドと言うではないか!!!! わー。なるほどの野太いラインを弾いていたフッドさん、彼だけ譜面台を前においていた。しかし、あの南部ソウル〜生っぽいロックを支えた、偉人が来日していようとは。サプライズ! 事前に知っていたら、インターヴュー申し込んだのに〜。
▶過去の、マッスル・ショールズの映画
http://43142.diarynote.jp/201406270933515875/
 まず、六本木・ビルボートライブ東京で、現在27歳の英国人クリエイターであるクリス・ワードのソロ・ユニット、トロピックスを見る。別に南国風情を持つわけでなく、ちゃらちゃらした(?)感じの人でもなく〜けっこう、マジメそうな人だったな〜、そう名乗るのはどうしてなんだろう? 彼の2作目となる『Rapture』(Innovative Leisure、2015)は、今様エレクトロ・ソウルの好盤なり。

 PCや歌や鍵盤の当人に加え、ギタリストとドラマーを擁するパフォーマンス。基本はPC音に合わせてドラマーとギター奏者は協調音を差し込んでいき、ダブ・ステップ基調インスト曲もあり。約7割はヴォーカル曲で、その場合は鍵盤を抑えながら歌う曲もあるが、両手でマイクを持ち祈るような感じで彼は歌う。歌声はほぼ加工せずに、地声で勝負。けっこう歌う能力を彼が持つことを、了解する。過剰にサウンド・メイキングに凝らず、彼なりの歌心をすうっと漂わせているショウだった。

 その後は、ラテンの枠を通さない実演のとき、もう驚愕するしかないジャズ能力を出してしまうキューバ出身ピアニストのリーダー・グループを、南青山・ブルーノート東京で見る。

 今回のショウは、2014年7月に亡くなったジャズ・ベース巨人である、チャーリー・ヘイデン(2001年11月20日、2005年3月16日、2009年9月10日)をトリビュートするもの。ルバルカバが米国/ジャズ界で広く活動できるようになった際に、ヘイデンは後見。2人は共演作をリリースするとともに、ブルーノート東京でもデュオによる公演(2005年3月16日)を行っている。

 腕利き奏者をそろえるルバルカバのグループはリアル・ジャズ名人見本市といった感じもあるが、今回はアルト・サックスのウィル・ヴィンソン、ベースのマット・ブルワー(2007年11月21日)、ドラムのマーカス・ギルモア(2007年11月21日、2010年7月24日、2010年8月22日、2014年5月15日、2014年6月19日、2014年6月20日)という面々を擁する。ギルモアはクラブ・ミュージック文脈からも注目を受けている異才だが、ここではスーツとネクタイに身を固め、完全ジャズ・ドラマーとして勝負。なんにしろ、やっぱりすごいゾこの人の体内ビート感覚は、とうならされるわけだ。

 お題目がお題目だけに、わりとしっとり気味の曲をやり、ベースのブリューワーはけっこうフィーチャーされるが、技巧とイマジネーションに富む高潔なジャズ、その高みの表現であることに疑いはない。MCなしで本編1時間45分演奏をし、それから1曲堂々とアンコールに答え、2時間ちょいのパフォーマンス。それを涼しい顔をしてやってしまう、ルバルカバ、なんかすごいし、それについて行くサイド・マンたちも素晴らしい。ちなみに、アンコール曲ではまずピアノとベースのデュオが延々と披露されたが、途中からパとっ切り変わるようにアルトが入った際にスピリチュアリティ度数の針が振り切れて、もー悶絶。なんか、ちゃんと気持ちの出ていてトリビュート公演という、所感も強く持った。

▶過去の、ゴンサロ・ルバルカバ
http://43142.diarynote.jp/200503240453290000/
http://43142.diarynote.jp/200711290930350000/
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▶過去の、チャーリー・ヘイデン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/LIVE-2001-11.htm
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http://43142.diarynote.jp/200909120650273142/
▶過去の。マット・ブリューワー
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▶過去の、マーカス・ギルモア
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<今日の、笑顔>
 ライヴの前や後はかならず、“飲み”を入れる。まぁだから、飽きずにライヴに行き続けられるのかもしれない。今日は知人からちらりと推挙を受けた店に出向いてみたのだが、大当り。これは、また行きたい。いろいろ使えそうで、家の近くにある店でなくて良かったと胸をなでおしろしたとか、しないとか(注1)。お酒の品揃え、食べ物のおいしさ(注2)、お店の寛ぎやすさや雰囲気、価格など、飲み屋の善し悪しを計る項目はいくらでもあるが、音楽というのはその後かな。邪魔にならなきゃ、それでいい。昼間たっぷり接しているので、飲みの際それほどこだわりはないのではないか(注3)。それよりも、その場での他者とのお話、やりとりがとっても好きなんだと思う。だから、店の作りや感じは重要視するな。
注1.でも、げんざい家の近所に行きつけの店は作っていない。今、家飲みしないぼくにとって、飲みはどこか自宅環境から離れる意味ももつのかもしれない。って、大げさだな。
注2.鳥はあまり食べないので、焼き鳥屋は基本行かない。ソウル・ヤキトリ・バーはたまに寄るが、集団で行ったとき以外は焼き鳥をオーダーしたことはない。モリモト、ご免よ〜。とか言いつつ、たまーにフライド・チキンは食べたくなるし、カレーはチキンが一番おいしいと思う。ようは、見た目が鳥系は好きではないというところがある。
注3.でも、好きではない音楽がかかる店には行きたくないか。たまに、馴染みの店で、酔っぱらってザ・バンドやスライが聞きたくなって、リクエストしちゃうことはあるナ。って、やっぱコダワっている?

DOOODLIN’

2015年4月8日 音楽
 ZEPPブルーシアター六本木にて。ここ、かつてブルーマン・グループ(2008年4月17日)のショウを見たハコか。ZEPPの名が新たに冠されているので、現在はソニーが所有していると思われる。

 大阪に拠点を置くレッキンクルーオーケストラというストリート・ダンスのユニットを核に置く、山あり谷ありの1時間半強の出し物。ぼくは寡聞にしてこの集団のことを知らなかったが、世界規模で活動し、技術/装置を巧みに用いた“光のダンス”を披露するグループとして、評価が高いよう。プラスのダンサーも含めて、多いときで25人前後のダンサーがステージに登場した。
 
 まずは、映像/照明関連のすごさに、素直に驚く。プロジェクション・マッピングという技術を使っているらしいが、なるほどそれは圧巻。もういろいろありすぎて、ここでそれを説明するのを放棄するが、うわあと楽しんだ。音楽系公演での“見せ方のヒント”が山ほど、いやきっとそれを用いているアーティストもいるのだろう。

 出だしの客席側での寸劇っぽい出だしでかかっていたのは、確かディアンジェロの昨年作『ブラック・メサイア』(RCA)に入っていた曲。ヒップホップのビート基調のものからジャジーなものまで、主の音楽は日本人クリエイターが作っているよう。

 デジタル要素とアナログ要素、マジな部分とくだけた部分をはじめ、いろんな面を自在に行き来。客いじりもうまい。ヴィジョン投影による“いたずらっ子”のイラストの扱いも魅力的。ストリート・ダンスの集団ということで、すべてヒップホップ系ダンスが軸になるのかと思っていたら、硬軟をいろいろと盛り込んだ、総合的なエンターテインメントとなっていて頷いた。

▶過去の、ブルーマン・グループ
http://43142.diarynote.jp/200804190104190000/

<今日の、回顧>
 レッキンクルーオーケストラ(WRECKING CREW ORCHESTRA)という名前に触れて、少しむずむず。だって、ザ・ビーチ・ボーイスやパパス&ママスやフィル・スペクターものやA&M物件など数多の録音セッション、さらにはハリウッド産の映画/TVの音楽までをいろいろ演奏した1960年代ロサンゼルスのあるサークルにいたスタジオ・ミュージシャンたちの総称が、ザ・レッキング・クルー(The Wrecking Crew)と呼ばれていたから。ギターのトミー・テデスコやアル・ケイシーやゲイリー・バートン、ベースのキャロル・ケイやマックス・ベネット、ドラムのハル・ブレインやアール・パーマー、鍵盤のラリー・ネクテルやマイク・メルヴォアン(元プリンス・ファミリーのウェンディ・メルヴォアンのお父さん)、サックスのプラス・ジョンソンら。ソロ・デビュー前のドクター・ジョン(2000年5月24日、2002年3月23日、2005年9月20日、2012年2月15日、2013年10月1日)やリオン・ラッセル(2005年11月24日)らも、一時そこに属していた。そして、1960年デトロイト期モータウン・サウンドを支えたザ・ファンク・ブラザース(2006年4月11日)を扱った2002年映画『永遠のモータウン(ザ・スタンディング・イン・ザ・シャドウ・オブ・モータウン)』(2003年12月2日)の成功を追うように、彼らの功績を追った映画『The Wrecking Crew』が2008年に作られもした。そのトレイラー映像はネットをひけばすぐに見ることができるが、残念ながら日本公開はなかったナ。同映画はザ・レッキング・クルーに世話になったハーブ・アルパート他がお金を出し、トミー・テデスコの息子のデニー・テデスコが監督していた。
▶過去の、ザ・ファンク・ブラザーズ
http://43142.diarynote.jp/?day=20060411
▶過去の、『永遠のモータウン』
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-12.htm
▶過去の、ドクター・ジョン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-5.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-3.htm
http://43142.diarynote.jp/200510030016390000/
http://43142.diarynote.jp/201202161725143619/
http://43142.diarynote.jp/201310050709459564/
▶過去の、リオン・ラッセル
http://43142.diarynote.jp/200511281322500000/

 最初に、代官山・晴れたら空に豆まいて。もともと畳の桟敷席があるハコだが、なんと場内全面的に畳敷き! 後に立つ一部の人以外、みんな靴をぬいで、座ってショウを享受する。ステージ横には、筆で半紙のような紙に書かれた出演者名が和っぽく張り出されていて、それは<石橋英子、ジムオ>と記されていた。

 パートナーである2人であるし、最初から一緒にやるのかと思えば、最初の1時間弱は石橋英子(2001年9月22日、2008年1月30日、2010年4月15日、2011年1月8日、2013年5月24日、2013年4月21日)が一人でやる。ピアノをつらつらと弾きながら、詠唱キブンも持つ感じで歌う。横の装置を使って効果音を重ねる場合もあり。譜面を置いていたが、それは主に歌詞確認用か。自らの内で絡み合うものをたぐり寄せ、それをシンプルに紡いでいく感じ。けっこうクラシック素養も出していたと、そのたゆたふ演奏は思わせる。こんなパフォーマンスをする人がドラマーもやっていたなんて、ちょい想像がつかないよなー。

 そして、少し休憩をおいて、オルーク(2000年3月25日、2001年2月21日、2006年4月18日、2006年10月22日、2007年4月20日、2008年8月24日、2010年4月15日、2010年11月17日、2011年1月8日、2013年4月21日、2013年5月24日、2014年10月11日)が出てくる。ギターのゆったりした独奏を披露。弾いたギターをサンプリングした音も下敷きにもし、暴力性のない、これもたゆたふと言いたくなる演奏具合ナリ。石橋の流れに合わせたところもあったのか。彼は5月にP-ヴァインから『シンプル・ソングズ』というヴォーカル・アルバムを出す。家に送られてきたCD-Rがエラーが出て聞けない(泣っ)が、きっと素敵だろう。彼の愛らしい歌もの作『ユリイカ』(ドラッグ・シティ、1999年)をみたいな感じもあるのかなー?

▶過去の、石橋英子
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-9.htm パニック・スマイル
http://43142.diarynote.jp/?day=20080130
http://43142.diarynote.jp/201004180836405961/
http://43142.diarynote.jp/201101111201402329/
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http://43142.diarynote.jp/201305280923275394/
▶過去の、オルーク
http://www.myagent.ne.jp/%7Enewswave/live-2000-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm
http://43142.diarynote.jp/200604210538510000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20061022
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 オルーク演奏の途中であったが、キザイア・ジョーンズ(1999年9月29日、2009年6月1日、2014年2月7日)が出演する南青山・ブルーノート東京へ移動する。

 1年ぶりの来日となるが、力があると感じた前回以上に今回は、働きかける力を持っていたか。在英の奏者をサイド・マンに擁していた過去と異なり今回のバンド員は、現在戻っている母国ナイジェリアの奏者。やはり、その属性の一致は線の太さを導き出す。とともに、ジョーンズは最小限の編成を愛でるという感じで毎度トリオのでライヴを持ってきたが、今回はさらにパーカッション奏者を入れた編成だった。

 そして、それが当たり。だって、その打楽器奏者がフェラ・クティの“アフロ・ビート”の拍子木音的アクセントをけっこう入れてくるから。おおっ。そりゃ、ジョーンズにとって、同じナイジェリアのおぼっちゃま先達(ともに資産家の息子で、子供のころから英国のパブリック・スクールに通わされたこと。そして、音楽に熱をあげて学校をやめちゃったという経歴は、両者重なる)は思慕の対象ではあるが、ここまでクティ色を露骨に取り入れたことはなかった。

 今回はアタマ2曲が、ジョーンズのソロ・パフォーマンス。その始まり方は何気に新鮮にして、魅力的だったし、続くバンド表現の妙味を対比的に浮き上がらせもした。なんか、とってもイエ〜という感じで盛り上がり、ぽんぽん飲み物を頼んじゃったりもしたりし、訴求度の高い公演であったのは間違いない。

▶過去の、キザイア・ジョーンズ
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http://43142.diarynote.jp/200906071504504396/
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<今日の、防寒>
 なんか水曜から、やたら寒い。フツーに、冬の格好で外出している。そのためか、少ない飲む量で、暖をとりたくなる?  珍しく、ビールは飲んでいないものナ。この晩もけっこう飲んだが、ロックかストレートで行けるものを随時オーダーしていたな。今、ぼくにとって時間がたつのは早い。キリっと冷えたドライな白ワインをごくごく飲みたくなる季節は、それほど先の話ではないはずだが。


 全員黒人のバンドと全員白人のグループによるインスト表現の、実演を見る。丸の内・コットンクラブと六本木・ビルボードライブ東京。ともにぼくにとってはそれほど注視してこない人だったためもあるかもしれないが、けっこう想像していたものと違ったことをやったということでは重なるな。

 まず、ケニー・ギャレット(1999年11月12日、2001年6月14日、2003年8月19日)。こんなに、アコースティック・ジャズ志向の御仁であったのか? ぼくは、もっとフュージョンぽいと思い込んでいた。ピアノ、ウッド・ベース、ドラム、パーカッション奏者を擁するカルテット、彼はワン・ホーンにてぶいぶいと吹きまくった。本編4曲とアンコール1曲で(あったよな?)、1時間20分ほどのショウ。

 サイド・マンは皆、近作に入っていた人たち。アコースティック志向といってもパーカッション奏者が入っているのはポイントで、演奏したうちの2曲はラテンぽい。他にもいろんなギャレットの興味の差し込みがあり、それが純ジャズのイメージから離れ、フュージョンぽさにに繋がるのかもしれぬ。とともに、アルト・サックスは大層上手(チャリー・パーカー、やらせたら上手そう)とうならせるが、どこか音色に陰影がなく、ぼくにとってはそこがフュージョンぽい印象と繋がるのかもしれないと思った。今のところ新作となる2013年作『プッシング・ザ・ワールド・アウェイ』(マック・アヴェニュー)に入っていた呪文のような肉声が入る(ライヴではギャレットとピアノとベースが担当)曲ではソプラノ・サックスを吹いたが、するとジョン・コルトレーンの影響下にあることが顕著に出る。へえ〜。

 他の日は、「赤とんぼ」や「翼をください」といった日本の曲もやったそうだが、ぼくが見たセットはやらず。少なくても、この晩の生理的にストロングな流れのなかでは浮くはずで、それにはホっとした。
 
▶過去の、ケニー・ギャレット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/movember1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-6.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm

 その後は、スティック・メンを見る。米国NYスタジオ/フュージョン・シーン出身ながら、ピーター・ゲイブリエル・バンドや再結成後のキング・クリムゾンに入って名を挙げたエレクトリック・ベーシストであるトニー・レヴィン(2013年6月26日)が中心となって組んだバンド。正統な音楽素養をロック側に持ち込んで多大な成功を収めた奏者とも言えるレヴィンはいつごろからか両手で指板をタッピングする多弦(要は、多音を出せる)楽器であるスティックの名手として知られるようにもなったが、バンド名はその楽器名から来ているんだろう。それは、スティック奏者2名(レヴィンと、ドイツ人のマーカス・ロイター)と、米国スタジオ界出身でレヴィンとともに現キング・クリムゾンのメンバーでもあるドラマーのパット・マステロットからなる。

 レヴィンはアイヌの伝統楽器のトンコリを想起させる(ヘッド部をのぞく)形態を持つスティックを持つが、ロイターはギターのカタチ(10弦)をしたそれを弾く。ロイターがギターっぽい音、レヴィンがベースに近い音を主に出していた。技巧者だったらスティックを使わずに、普通にベースとギターで出来るのではないか、とは言うまい。そこには、楽器奏者ならではのロマンが付帯するわけであるし、ぼくスティック触ったことないし。

 その3人に、1970年代前半のキング・クリムゾンのヴァイオリニストである英国人のデイヴィッド・クロスがゲストで加わるわけだが、最初ステージに出て来て音を出し始めたのはクロスとロイターの2人(この2人は一部鍵盤も弾いた)。一部の曲ではステージ横に退いたりもしたが(このときが、スティック・メンの曲だったのだろう)、クロスもバンド構成員といえる陣容で、面々はショウを行った。

 その結果として、かなりキング・クリムゾン/ロバート・フリップの財産に甘えたパフォーマンスを披露。単純化して言うなら、クリムゾン絡みの曲と、一発モノとも言えなくもないリフ基調曲の2本立て。それから、マステロットが出していたと思われるが、けっこうPCのプリ・セット音を下敷きにしていた。それに合わせる、切れと重量感に満ちたドラム音は、白人版デニス・チェンバース(2008年12月7日、2013年3月12日)といった感じもアリ?

 本編最後は、ストラヴィンスキーの「春の祭典」(イエスが3枚組ライヴ盤のオープニングでこれみよがしに用いていた。ぼくはそれでストラヴィンスキーの存在を知り、彼はぼくが最初に買ったクラシックのレコードの作曲者となった……)。その拡大性のあるアレンジの様は、プログ・ロックの教科書と言いたくなるものなり。そして、アンコールはクリムゾンの『太陽と戦慄』の終盤2曲で、満場の年配気味のお客さんが一気に大発情! ぼくは中学生のとき一時夢中になった以外(『太陽と戦慄』から解散までの三部作は、わりと好き。『宮殿』は好きではない)、プログ・ロック離れをしてしまったので冷静に接していたが、40年も前に「太陽と戦慄 パート2」みたいな刺激的な仕掛けのある曲を作ったロバート・フリップはすごいと思わざるをえず。

▶過去の、トニー・レヴィン
http://43142.diarynote.jp/201306271617516710/
▶過去の、デニス・チェンバース
http://43142.diarynote.jp/200812150312308154/
http://43142.diarynote.jp/201303211531189619/

<今日の、初めて>
 ビルボードライブ東京の入り口横には机が出ていて、1日限りであった、この晩のスティック・メンのショウのライヴ・アルバムの予約をとっていた。配布時期や価格はどんなものなのか。1000枚限定、という張り紙がしてあった。なお、クロスはフレッテッドのヴァイオリンを用いていたという話もあるが、そんなのあるのか?    レヴィンさん、どうせならスティック奏者をもっと並べて(一切、プリセット音も使わず)、スティック・カンパニーとか名乗って、もっとおバカなことをしちぇえばいいのに。なお、この晩は、深夜に運転するかもしれなく、両会場ともにソフト・ドリンクを飲んだ。飲まなくても、なんとかなりますね。
 昨年年末に出たファンカデリック名義の3枚組新譜はものすごい傑作で、2000年代に入ってからの米国黒人音楽の最たる重要アルバムであると、ぼくは思っている。それゆえ、ちょうど2年ぶりの来日となるクリントン一座(2002年7月28日、2009年9月5日、2011年1月22日、2013年4月12日)の来日公演は、基本ノリとしては過去と同じような感じであるだろうと思いつつ、かなり期待するところはあった。他のファンカティアの方々も同様に考えたかどうかは知らぬが、今回は予約の入り方方がいつもより良かったよう。六本木・ビルボードライブ東京、セカンド・ショウ。

 で、変わらなくていいものと同時に新味も感じたわけだが、まずおおおおっとなったのは、この7月に74才になるはずのクリントン翁の元気さ。そして、それが何より新たな感興を導いていた。

 例によって、カラフル&小汚い風体をやめにして、スーツをばしっと身につけたクリントンは、最初から最後までずっと出ずっぱり。昔は引っ込むときもあったのではなかったか。そして、間違いなく彼は以前よりもよく声を出したり歌うようになった。歌の部分については進歩しているところがあるよな。かつてのフォクサー的盛り上げ役という位置から、ステージ中央に立つ主役という立ち位置に、いつの間にか変わりました。終盤の「アトミック・ドッグ」ではフリを伴うダンスを可愛らしく(?)見せたりして、こんなことは前回もしなかったはずだ。とにもかくにも、バカみたいに元気で溌剌。あの新作を抜きにしても、クリントンが本当に今いい状況にあることが、これは分る。

 そんな御大にプラスして、構成員はヴォーカルやラップ担当が7(うち、若目の女性が3人。また、男性の1人は、事前告知に倣えば、大昔にリーダー作を発表したこともあった息子のトレイシー・ルイス・クリントンなはず)、ギター3、キーボード1、サンプラー・パッド1、ベース1、ドラム1、アルト・サックス1(彼は前に出て来て、スキャットをかましまくる場面もあり)、トランペット1。あれ、発表になっていた人数よりも1人多かったかな。なんにせよ、無駄に人数が多いながら、不思議な統制が取られていて、また多くの人たちがちゃんとフィーチャーされる側面もあり、大げさに書けば魔法みたいと思わす部分もあった。とくに今回は、大所帯バンドをやっている人たちは必見ではなかったか。

 それから、この晩なぜかはっきりと感じたのは、クリントンたちのパフォーマンスのあり方は教会の縮図であるということ。ヴォーカル担当者がたくさんいて烏合の衆っぽく振る舞う様がそう思わせるし、何より肉声で観客に働きかけるクリントンの様子がプリーチャーそのものではないか! だからこそ、バンド間や客とのコール&レスポンスは、P-ファンクの根っこにある重要要素であるとも思わせるわけだ。うわあ、これぞ米国ブラック・ミュージックの精華!!!  こりゃ、“一揆モノ”実演の最高峰!!!

▶過去の、ジョージ・クリントン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-7.htm 触れていないが、フジ・ロック
http://43142.diarynote.jp/?day=20090905
http://43142.diarynote.jp/201102081256005311/
http://43142.diarynote.jp/201304150853287353/

<今日の、追記>
▶演奏陣は開演4分前にステージに上がり、場内が明るいうちに演奏を始めちゃう。おお、なんとせっかちな。早く終わって遊びに行きたいのかと思えば、1時間半越え。こんなに長いショウを、彼らがここで披露するのも初めてではないか。▶クール&ザ・ギャング(2014年12月26日)の「ハリウッド・スウィング」の著名リフを、曲エンディングで用いたときアリ。▶終盤、女性客だけをステージに上げた。男性が便乗してあがろうとしたら、きっぱり拒否られてて笑った。そして、汗だくのクリントンは彼女たちとハグしまくり。そのスケベじじいいぶりも最高。▶クリントンさん、帰り際にマイク・スタンドを股間から突き出るように持ち、片手でコスりまくる。それは前回もやったが、しょーもねー♡。
▶過去の、クール&ザ・ギャング/J.T.テイラー
http://43142.diarynote.jp/200611281428510000/
http://43142.diarynote.jp/201403051230433466/
http://43142.diarynote.jp/201412291146465218/

The Silence

2015年4月14日 音楽
 昨年解散した世界的なサイケデリック・ロック・バンドのGhost(2008年1月21日)の馬頭將噐(ヴォーカル、ギター)と荻野和夫(キーボード)を中心に、非常階段やAcid Mothers Templeの岡野太(ドラム)、フルートやバリトン・サックスを吹く吉田隆一(2004年8月20日、2004年10月10日、2006年7月3 日、2012年12月11日、2014年7月22日、2015年2月8日)、この日の前座にも出たjan & naomiやGREAT3のヤン(ベース)という面々が集まった、新バンドのデビュー・アルバムのリリースをフォロウするライヴ。渋谷・O’nest。

 Ghostのアルバムはシカゴの好レーベル“ドラッグ・シティ”から出ていたように、今回の彼らのセルフ・タイトルのデビュー作も同社発となる。かつて、ソウライヴ他を送り出したヴェロア・レコードの社長であるジェフ・クラズノウと話したときに、同社が目標とするレーベルの一つがドラッグ・シティだと言っていたことがあった。NYのダウンタウンにオフォスを構え順風満帆だったヴェロアは9.11 テロのため事務所機能停止に追い込まれたりもし、その後雲行きが怪しくなったという印象をぼくは持っているが、それ当たっているのかいないのか。それとも、ヴェロアが乗っかったジャム・バンド・ミュージックの流れが落ち着いたことと、その衰退は関係があるか。6月にブルーノート東京に出演するカーキ・キング(2004年8月3日、2005年3月26日)もヴェロアが元気なころに発掘し、その後はソニー売り、マネージメントを続けていたアーティストだった(その後、ヴェロアに戻ったりも)。

 閑話休題。うわ、音がデカい。そのバンド名は逆説的なもの? それとも、内にある心持ちを伝えているの?。とにもかくにも、レトロスペクティヴなロックに愛着を持っていると思われるバンド表現を、生理的にまっすぐに出して行く。ふむ、1960年代後半のエッセンシャルなロック要素を打算なしに今打ち出せば、もう一つの意味が出てくるとも、それは思わせた。重量感があり、迸りの感覚も持つ、筆使いの綺麗なロック表現。オヤジ臭さを感じさせないのは、痩身長身の馬頭たちの格好悪くなさも一役買っているか。

 一部、UKビート・バンドがやるポップ曲みたいなのもあった。吉田のフルートのソロはかなり効いていて、それは広がりも導く。ここでの、彼の存在はデカい。一方、ハモンド・オルガンの演奏は往年のロックの使い方を完全にマスターしていると言いたくなるもので、なかなかグっと来る。ドラマーはレギュラー・グリップ(でも、左手のリスト使いは変則的と言えるのかな?)でとってもしっかりしたビートを繰り出す。いいドラマーだ。終盤のエレクトリック・ギターのソロは見事に場の空気をゆがめ、引き裂く。それぞれ、基礎体力があるナ。
 
 馬頭はほんの少しかなり端正なMCもし、一部の曲も紹介。それによれば。「ジュエルズ・イン・チベット」という柔和な曲は中国の迫害で過酷な境遇にある子供たちを慮って作ったもので、彼はそれを支援する活動をしているのだという。お、外国のミュージシャンみたいね。彼は会場内の外国人向きに、曲の背景を伝える簡単な英語MCも、そのときだけした。アルバムのオープナーは日本語曲だったが、彼らの歌詞は英語だ。

▶過去の、Ghost
http://43142.diarynote.jp/200801231227540000/
▶過去の、吉田隆一
http://43142.diarynote.jp/?day=20040820
http://43142.diarynote.jp/200410162220330000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20060703
http://43142.diarynote.jp/?day=20121211
http://43142.diarynote.jp/201407231341189225/
http://43142.diarynote.jp/201502090956393081/
▶過去の、カーキ・キング
http://43142.diarynote.jp/200408030059330000/
http://43142.diarynote.jp/200504051427210000/
追記:ジェフ・クラズノウは現在LAに住み、ヨガの世界で大成功を収めているそう。

<今日の、ベース> 
 ベーシストは部分的にSG型のショート・スケールのモデルを弾いていて、おっとなる。そして、必要以上に見てしまう。オレ、洒落でSG型の4弦ベースが欲しくて、しかも一度シュート・スケールのベースを手にしてみたいんだよなあ。今出ているベース・マガジンはエピフォンの小特集をやっていて、そこで紹介しているSG型ショート・スケールのモデルが異常に安くて、わーと思っていたばかり。家で少しつまびくぶんにはそれでいいぢゃん。。。。つい先日、TOKIE(2001年3月19日、2001年5月29日、2003年12月18日、2004年11月7日、2005年7月30日、2006年1月9日、2006年3月23日)嬢にショート・スケールってどうよと問えば、いいと思うと言っていたしな。←と言いつつ、彼女はレギュラーしか使っていないけど。早く、THE LIPSMAXで使うとぴったりのワーウィックのセミ・アコースティック型のミント・グルーン色が届くといいですね。ロカビリー+の女性トリオ・バンドであるTHE LIPSMAXのライヴは、今度の金曜に下北沢のGARDENであり。
▶過去の、TOKIE
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-3.htm
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 レゲエ が世界的な存在になる過程で決定的な役割を果たした、格好のいい喉自慢ジャマイカ人(2004年9月5日、2006年8月19日、2013年3月6日、2014年5月21日)の来日のショウは1年弱ぶりのもの。新味はないが、充実した内容であったし、とってもいい気分で見ることができた。演目は代表曲はほぼ網羅、やらなかったのは「メニー・リヴァー・トゥ・クロス」ぐらい。でも、この曲を歌った日もあったよう。六本木・ビルボードライブ東京、ファースト・ショウ。

 調べたら、70歳か、それ以下(1945年生まれと1948年生まれの記載がある)。そっか、彼は10代半ばでキングストンに出て、スカ歌手としてデビューしていたりもするんだよな。そのころの、愛らしい「ミス・ジャマイカ」も、彼は披露。といった感じで、銀色のコスチュームに孫悟空みたいなやはり銀色の飾りを頭につけたクリフはそんな歩みをあっさりと括りつつ、充実した今をちゃんと開示。動きは前回よりも激しかったのは間違いない。ギターを持つ〜左利き〜のは2曲。前回よりも少なかったことは、アクションをしていた証左になるか。

 バンドは、ギター、ベース、キーボード2、ドラム、トランペット(コーラスもかねる)、アルト・サックス、ワイルド な女性コーラスという面々。もう、きっちりばっちり。ライヴを相当重ねているとも思わせられた。

▶過去の、ジミー・クリフ
http://43142.diarynote.jp/200409050916440000/
http://43142.diarynote.jp/200608201821080000/
http://43142.diarynote.jp/201303070815313472/
http://43142.diarynote.jp/201405230833199357/

 その後は、パット・メセニー(1999年12月15日、2002年9月19日、2010年6月12日、2012年1月25日、2012年3月3日、2013年5月21日)のグループでずっとドラムを叩いているアントニオ・サンチェス(2011年7月20日、2013年5月21日)のワーキング・バンドでの実演を丸の内・コットンクラブで見る。

 映画「パベル」のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの新作「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」の音楽を担当(多くは、技と示唆に富んだドラム・ソロのパフォーマンス。サントラはそこに、クラシックの旧曲が加えられる。彼は現在さらに、ドラム・ソロのアルバムを作りたいとも考えている)していることで一部で話題を呼んでもいる? なんでも同じメキシコ人であるサンチェスによれば、イニャリトゥはまず本国では音楽DJとして知られる、とのこと。

 ニーボディのメンバーであるテナー・サックスのベン・ウェンデル(2013年8月22日)、すでに数作リーダー・アルバムを出していてそちらの評判がとっても高い英国人ピアニストのジョン・エスクリート、先日のコンサロ・ルバルカバ(2005年3月16日、2007年11月21日、2010年8月22日、2014年1月10日、2014年1月12日、2015年4月7日)のグループ・メンバーでもあったベースのマット・ブリュワー(2007年11月21日、2015年4月7日)という、敏腕な白人奏者が集う。ウェンデルはシー
マス・ブレイクのトラ、とか。

 2007年以降、イタリアのカム・ジャズ・レーベルから数作、作曲家としての才もアピールするリーダー作を出しているサンチェスだけに、曲は凝っていて、他の3人は譜面を前にする。4人は自在に噛み合い、ふくらませもするわけで(ときに、けっこうアヴァンな手触りをたすときも)、1曲15〜20分ぐらいの尺を持っていたか。MCを聞くとサンチェスは相当に綿密な御仁であるのが分りもするが、粛々とスケール観を持つ表現を精緻に歌うドラミングを介してコントールしていく様は、なるほどすごい。一見の価値もある。リーダー作ではかなり研ぎすまされた演奏も見せるエスクリートはこの晩の場合は、1曲弾いたエレクトリック・ピアノ演奏が良く、印象に残った。

▶過去の、パット・メセニー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/december1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm
http://43142.diarynote.jp/201006181520054406/
http://43142.diarynote.jp/201201271245417497/
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/
http://43142.diarynote.jp/201305260927026044/
▶過去の、アントニオ・サンチェス
http://43142.diarynote.jp/201107230819362417/
http://43142.diarynote.jp/201305260927026044/
▶過去の、ニーボディ/ベン・ウェンデル
http://43142.diarynote.jp/201308251333326263/
▶過去の、マット・ブリューワー
http://43142.diarynote.jp/200711290930350000/
http://43142.diarynote.jp/201504081451142675/
▶過去の、ゴンサロ・ルバルカバ
http://43142.diarynote.jp/200503240453290000/
http://43142.diarynote.jp/200711290930350000/
http://43142.diarynote.jp/201008261620103318/
http://43142.diarynote.jp/201401161534392423/
http://43142.diarynote.jp/201401171004104264/
http://43142.diarynote.jp/201504081451142675/

<今日の、なるほど>
 朝起きて、昨日飲んでいたときに話にあがったアーティストの存在を知人に伝えるために、動画を検索。そのURLをメールで送る。その流れで、ずっとそこからぽんぽんといろんな曲を流れで聞いちゃう。ああ、これが俗に言う、“YouTube祭り”というやつなのか。この日のぼくの場合、音だけを聞いて、画面はWordを開いていたのだけど。なんにせよ、すこし新鮮だった。

nouon、The Dosages

2015年4月17日 音楽
 吉祥寺・the Foxhole。会場入りすると、ヴァイブラフォンの山田あずさ(2013年5月19日、2014年6月13日、2014年6月15日、2014年10月19日、2014年11月21日)、キーボードのケヴィン・マキュー、コントラバス・クラリネットのヒュウ・ロイド、ドラムの山本淳平という面々による、nouonがちょうど始まるところ。この晩が、初お披露目のライヴであるという。

 変則編成による、インストゥメンタルのグループ。即興の要素も入るが、ちゃんとメロディのある曲を持ち寄り(両外国人、ともに歌心を持つな)、それに軸に創意ある音を重ね合い、もう一つ奥にある広がりや風景を獲得しようとする方向性を持つ。ヴァイブとキーボードの音は間違えばけっこう音がブツかりそうだが、それなりに棲み分けがなされていて、練られていることを教えるか。山本のドラム(タイトで、瞬発性にも富み、ぼくの好み)はロックっぽい質感も持つためだろう、その総体にはプログ・ロック的な触りも感じなくもない。コントラバス・クラリネットという楽器は初めて身近に見るが、デカい。ロイドは低音部を補充するとともに、適切なメロディを加えもする。お茶目なキメとテンポ変換を持ち、各人のソロも短くフィーチャーした最終曲は楽しい。

 その後は、この日最初に出た沢田穣治とサム・ベットのデュオ・ユニットのThe Dosages とnouon による、6人のセッション。沢田のショート・スケールの電気ベース(8弦だったかな?)演奏を基調に、皆が伸び伸びと音を出し合う。かつてNYニッティング・ファクトリー界隈で活躍していたドラマー/打楽器奏者でずっと日本に居住するベネットは小さいパーカッションを手にしつつ、肉声をごんごん入れる。外見はシロ・バプティスタ(2004年9月5日、2004年9月18日、2004年11月6日)みたい? このときの、マクューの電気ピアノ音はもろに1970年代初頭マイルス・デイヴィス・バンドのそれ。うしし。

▶過去の、山田あずさ
http://43142.diarynote.jp/201305260923241736/
http://43142.diarynote.jp/201406160956273046/
http://43142.diarynote.jp/201406161000365031/
http://43142.diarynote.jp/201407261220126653/
http://43142.diarynote.jp/201410251052527799/
http://43142.diarynote.jp/201411221353274586/
▶過去の、沢田穣治
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-3.htm
http://43142.diarynote.jp/201004211621084144/
http://43142.diarynote.jp/201107310726159855/
http://43142.diarynote.jp/201205301229093694/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120516
http://43142.diarynote.jp/201309121810294280/
http://43142.diarynote.jp/201407261220126653/
▶過去の、シロ・バプティスタ
http://43142.diarynote.jp/200409050916440000/
http://43142.diarynote.jp/200410121001170000/
http://43142.diarynote.jp/200411071407550000/

<今日の、ハコ>
 初めての、会場ナリ〜。JR線沿いの少し猥雑な通り(客引きを受けた。わーい)3、4分ほど真っすぐに行った所の地下にあるハコ。なんか、店内の色使いがプラッサオンゼに似ているか。それは、会場で偶然会った知人も指摘していて、彼が言うには、この店の少し先にはライヴもやるブラジル音楽のお店があるそう。いろいろとライヴには足を運んでいる気にはなっているが、東京の南西側に限ってみても、ぼくはおそらくそこにある音楽ヴェニューの3パーセントも行っていないのかもナ、なぞともふと思ってしまった。意外に、音楽周辺文化は奥行きを持つぢゃん、とも。本日、外国人出演者比率が高かったせいもあったのか、お客も外国人が多かった。

 南青山・月見ル君思フ。会場入りしたのは、ファースト・セットの終わり。セカンドからしっかりと、“パラシュート・セッション”と名付けられた、ここで時々持たれている、二つのバンドが同時に立ち交互に曲をやり合うという出し物(2014年7月23日)を見る。客フロアに両バンドが向き合うように位置し、従来のステージ部分を含め、その回りを観客が取り囲む。

 出演者のさいとうりょうじ+ヤマザキタケル と うすいしんすけ は共にアナログEPやCDを出したばかりで、今回は両者の“レコ発”もかねるという。彼らの演奏中、曲ごとにリアル・タイムで白い紙にクレヨンで描いていく絵がステージ背景のスクリーンに映し出されもする。それ、両者のプロダクツのジャケットのアートワークを担当した、このハコの店長タカハシ・コーキがやっていた。

 エレクトリック・ギターとピアノ音色キーボードのデュオである さいとうりょうじ(2013年2月3日、2013年8月19日)+ヤマザキタケル(2013年8月19日)は、縦ベースの瀬野恒が加わるトリオにて。瀬野は普段はオケで弾いているようだ。一方、歌うとともにチェロも弾く うすいしんすけ のほうは、ピアノ音色キーボードを弾く坂本剛と縦ベースや1曲でバンジョー・カヴァコを弾いた渡辺健吾(2012年6月8日、2012年10月27日、2013年2月11日、2013年8月24日、2014年6月15日)からなるトリオで事にあたる。渡辺の縦ベースの演奏は初めて聞く。

 さいとう は うすい のCDにも入っているようでもり、他の出演者も親交があるようで、和気あいあい。なんせ、MCでも丁々発止していたから、な。パラシュート・セッションは申し合わせもなしにその場のノリで2組の出演者が演奏し合う事を是としているようだが、それぞれの持ち曲を交互に演奏し合っても、今回は余っているほうのユニットの奏者が一人音を足したり、また6人一緒に音を重ねる場合もあったりと、この場合はそれなりにすり合せもしているよう。皆でやっている場合、曲によっては、チェロと一人のベースはアルコ弾き(もう一人のベースの渡辺は指弾き)している局面もあった。

 さいとう のほうはスウィートな好メロディのジャズやポップの名曲を素直にジャジーに開くなかで、当人のブルージィにして歌心と飛躍やエモーション満載のギター演奏をフィーチャー。終盤はかなり枠を壊し、場を震わせる。やっぱり、ぼくが今一番ひかれるギター奏者だ。←なぜか、日野 皓正(2005年6月5日、2006年11月3日、2011年3月28日、2011年7月25日、2011年9月2日 、2013年9月22日、2014年4月4日、2015年3月10日)と一緒にやらせたいと、切に思う。だって、日野さん好みのタイプのギタリストだと思うし、狂おしい衝動の出し方が両者が近似すると感じてしまうから。一方の、うすい はフォーク的楽曲(少し、コード使いは面白いと思わせるときも)をかゆい、もとい生理的に甘ったるい歌詞と歌いかたで披露。ロマンティストではないぼくの趣味からまったく離れる。

▶過去の、パラシュ—ト・セッション
http://43142.diarynote.jp/201407261219061857/
▶過去の、さいとうりょうじ_
http://43142.diarynote.jp/201302041828146553/
http://43142.diarynote.jp/201308201205053116/
▶過去の、渡辺健吾
http://43142.diarynote.jp/201206120854205300/
http://43142.diarynote.jp/201211151028209850/
http://43142.diarynote.jp/201302181123344904/
http://43142.diarynote.jp/201302041828146553/
http://43142.diarynote.jp/201308281519499994/
http://43142.diarynote.jp/201406161000365031/
▶過去の、日野 皓正
http://43142.diarynote.jp/200506120639310000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20061103
http://43142.diarynote.jp/?day=20110328
http://43142.diarynote.jp/201107310727152406/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110902
http://43142.diarynote.jp/201309260930584072/
http://43142.diarynote.jp/201404070654593139/
http://43142.diarynote.jp/201503110740041978/

<今日の、昼下がり>
 近くある区議会選挙の候補者の宣伝カーがうるさい。それは今に始まったことではないが、あんな事やっても、入れようと思う人がいるとは毛頭思えない。反感買うだけぢゃん。まったくもって、空虚な行為であり、私は表面だけ独りよがりに整えている気になって悦にいっている大バカで〜すと、公道でアピールしているようなものではないか。なんか、そういう選挙にまつわる不毛さも、選挙率の低さにつなっがっているのかもなー。

ムーセイオン

2015年4月24日 音楽
 キーボードの伊藤志宏(2013年4月19日、2013年11月1日)、クラリネット/バス・クラリネットの土井徳浩と北田学、パーカッションの岡部洋一(2000年7月29日、2000年9月14日、2004年5月28日、2004年6月2~3日、2004年6月9日、2004年11月19日、2005年2月19日、2006年7月7日、2006年8月27日、2006年12月3日、2008年1月31日、2011年2月10日、2010年12月28日、2011年8月22日、2013年2月11日、2013年2月19日、2014年2月9日)という4人による演奏。MCをしていた伊藤がリーダーシップを取っていて、それぞれの奏者と伊藤はこれまで演奏経験を持ってきているが、この顔ぶれでやるのは、この日が初めてのようだ。青山・プラッサオンゼ。セカンドが始まってからお店に入ったが、しっかり1時間は聞くことができた。

 クラリネット奏者が2人、という編成が面白い。彼らはバス・クラリネットも手にし、終盤にやった曲は2人ともバス・クラリネットを吹いた。1曲1曲はかなり長く、変化に富んだアンサンブルとともにソロ・パートもそれぞれ持つのだが、まずソロどうこうよりも、この楽器編成による全体の方向性の取り方が面白いと思わせられる。だって、ジャズ要素はいろいろ抱えているのは間違いないが、ジャズやフュージョンとは言いたくない、サウンド・シェイプや手触りのようなものがそこにはあるから。それは、曲/メロディが抱える妙味が働いていたせいもあるだろうが、けっこうこれはまったうな視点が活きていると言いたくなる。発展する意志も抱えた、都会的なアコースティック系インスト+α。じっくりと、煮詰められていったらいいナと切に思う。岡部はインド系楽器を多用する演奏を見せるが、それもどんどん膨らんで行きそう。伊藤はもっと電気キーボード効果を使うようになるかもしれない。

▶過去の、伊藤志宏
http://43142.diarynote.jp/201304211111189539/
http://43142.diarynote.jp/201311021703148497/
▶過去の、岡部洋一
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-7.htm 29日ROVO
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-9.htm
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<今日の、重なり>
 ライヴ会場のプラッサで、泉山真奈美著の「英語で味わう洋楽名曲クロニクル」(三省堂)のちらしをもらう。おお、イズミヤマは彼女が大学生の頃からいちおう知っている。なんでも、ジャスラック関連の歌詞使用料要求がかからない、巧みな書かれ方がなされているらしい。その後、明日開店7周年パーティが持たれるお店に一足お先に顔を出したあと、なじみのバーに仕上げで寄ったら、店主からこんな本が出るんですとさっと出されたのが、先に紹介された本のゲンブツ。わー、字が小さい。簡素だけど、注釈が読みやすいレイアウトには少し感心。出版パーティがその店で開かれることになっているという。筆者骨折のため少し延期になるそうだが。

アンティバラス

2015年4月26日 音楽
 ブルックリンで1998年に結成された、大所帯のアフロビートのバンド(2004年9月19日、2005年1月21日)を南青山・ブルーノート東京で見る。セカンド・ショウ。ヴォーカル(往年のフェラ・クティのように、顔にペイントをしていた)、打楽器2(うち、一人は左利き)、管4(バリトン/フルート、テナー、トロンボーン、トランペット)、ギター2、ベース、キーボード、ドラマーという布陣でパフォーマンス。

 NYでもう一つの花を開かせたアフロビート表現を送り出す彼ら、新作は3年ほど出していないが、ライヴはいろいろやっているのか、いい感じの現役感のもと人力100%の肉感ビート・サウンドをきっちり送り出す。エチオ(・ピア)・ジャズ的情念を湛えた曲もやったし、フェラ・クティの1974年曲「Alagbon Close」やトーキング・ヘッズの1980年曲「Crosseyed & Painless」のナイスなカヴァーもあり。ファーストとセカンドはすべて演目を変えているようだが、意外に曲選びはちゃん練られているのだと思う。

 バンド音総体は前に見た時より、逞しい。けっこうメンバー交換もしてきているだろうけど、経験の積み重ねを感じる。意外だったのは、ヴォーカリストが出張る時間が過去より短くなった(つまり、よりインスト部に力を入れていた)と思えたこと。シンガー、変わっていないよな? でも、いろんな出自や風体を持つ人たちが、本当に楽しそうに、音を重ね合う様に触れるのは、ココロ弾む。1時間20分ぐらいのパフォーマンス時間だったか。

▶過去の、アンティバラス
http://43142.diarynote.jp/200410121003440000/
http://43142.diarynote.jp/200501222327330000/

<今日の、希望>
 2008年にオフ・ブロードウェイで始められ、その後ブロードウェイや米国大都市やロンドンなどで持たれているフェラ・クティを題材に置くミュージカル「フェラ」の音楽にアンティバラスは当初から関与したと言われる。同ミュージカルに関わることが出来たのは、アンティバラスにとって誉れであったろう。トニー賞の部門賞獲得やグラミー賞のノミネートも受けた「フェラ」はけっこう好評も得たようなので、間違って日本にも来ちゃうかと淡い期待を持ったが、やはりそれはないのかな。それはともかく、ここのところ、JBやジミ・ヘンドリックスやスライ・ストーンなど音楽映画もいろいろと作られているし、フェラ・クティを扱った映画が作られても不思議はないと思う。だって、あれだけドラマティックで、ポイントの多い人生を歩んだ御仁であるから。ミュージカル「フェラ」はこの9月にもまたブルードウェイで上演される。舞台に出てくるミュージシャンにアンティバラスの面々は入っていないようだが、いまだキャストの項には編曲/演奏として、その名前が出されている。うむ、やっぱり、ミュージカル見てみたいナ。
追記:ぬわんと、先週の金曜にレゴスで、これまで表では交わることがなかったはずのフェラの2人の息子たち、フェミ( 2000年4月14日、2003年7 月30日)とシェウン(2007年10月25日、2009年7月26日、2012年7月27日)が共演した、というニュースが入ってきた!
▶過去の、フェミ・クティ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-4.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-7.htm
▶過去の、シェウン・クティ
http://43142.diarynote.jp/200711121022550000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090726
http://43142.diarynote.jp/?day=20120727
 最初は、六本木・ビルボードライブ東京。1989年LA生まれで、ニューヨーク大学のクライヴ・デイヴィス レコード音楽学部を出て、2012年にソニー/RCAからデビューした、気っ風いい系R&B歌手のショウを見る。ギター、キーボード、ベース、ドラムという、伴奏者たちもまた20代か? 皆、<F**K IT ALL>と印刷された黒色のTシャツを着用。譜面はおいていなかったので、一応ワーキング・バンドだろうが、重なりに少し難あり。プログラムぽいビートにフィドル音が反復する「リフィル」のようなコンテンポラリー度が高めの曲ではプリセット音を控え目に使う場合もあった。演奏陣の人数も多くないし、もう少しそれを用いたほうが、ヴァーナーの味は明解にアピールされたかもしれない。

 彼女のデビュー作『パーフェクトリー・インパーフェクト』は自分で結構曲も書いているし、かなりどすこいな手触りを持ち、喉力で空気を震わすという感じもあって、ぼくは大層好きだった。実際のパフォーマンスにおいては、歌声がそれほど嗄れておらず、もっとキュート/可愛らし系の味が入っていて(ミニ目のワンピースを着用)、へえと思う。歌える&歌声がデカそうというのは変わりがないのだが、生の歌唱のほうが女の子っぽさがある。塩辛さが低かったのは残念だが、一方それは健気さも導くわけで、いやな印象はない。

 途中で、自らギターを爪弾いてしっとり歌ったりも。近く新作がリリースされるはずだが、どんな仕上がりになっているのか。あ、それから、エタ・ジェイムスの「アイド・ラザー・ゴー・ブラインド」をカヴァー。彼女のこと、大好きみたい。納得、ですね。

 その後は、1965年NY州生まれで1990年代以降、ブルーノート、ソニー、マルサリス・ミュージック、エマーシー、サニーサイドといったレーベルからリーダー作をいろいろと出すとともに、ブランフォード・マルサリス(2001年10月24日、2010年3月8日、2010年10月21日)のグループでずっとピアノを弾いている、ジョーイ・カルデラッツォ(2001年10月24日、2010年3月8日)の演奏に触れる。丸の内・コットンクラブ、セカンド・ショウ。

 トリオによるショウで、ウッド・ベースのオーランド・レ・フレミング(2012年3月12日、2014年3月4日)と一時チック・コリア(2006年9月3日、2007年10月1日)が重用していたドラムのアダム・クルーズを擁する。そのリズム・セクション、外見がちんちくりんおっさんのカルデラッツォと違って、なかなか格好いい。特に、びしっと背筋を伸ばして、端正なドラミングをするクルーズの叩き姿はなかなかであったな。その顔ぶれは、カルデラッツォの2015年新作『ゴーイング・ホーム』(サニーサイド)と同じだ。
 
 笑っちゃうぐらいに、カルデラッツォはモード系ピアニスト演奏をまっとう。実は今、そっちのほうを平然と(?)行くジャズ・ピニストは昔ほど多くないわけで、ある種の趣味の人はパブロフの犬的反応を示しちゃう? ぼくは達者な指さばきに、事なかれな風情をなんか覚えてしまったりもするわけだが、実力者であるのは間違いない。

 1曲、約15分。本編4曲か5曲。考えてみれば、リズム隊にソロ・パートはあまりふらなかったはずで、カルデラッツォは弾きまくっていたということになるのだな。また、俺サマなカルデラッツォはソロ演奏も好きなようで、曲はソロのパフォーマンスから始まる場合が多く、またピアノ・ソロで通した曲もあり。また、アンコールにも2度応え、そちらもピアノ・ソロ。うち、1曲は大好きな曲とか前置きして、ザ・ビートルズの「ヒア、ゼア・アンド・エヴリフォエア」(だったけ? そのあとも楽しく流れて、忘れてしまった)。

▶過去の、ジョーイ・カルデラッツォ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-10.htm
http://43142.diarynote.jp/201003101340038868/
▶過去の、ブランフォード・マルサリス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-10.htm
http://43142.diarynote.jp/201003101340038868/
http://43142.diarynote.jp/201010221631583852/
▶過去の、オーランド・レ・フレミング
http://43142.diarynote.jp/201403051230433466/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120312
▶過去の、チック・コリア
http://43142.diarynote.jp/?day=20060903
http://43142.diarynote.jp/200710121726160000/

<今日の、びっくり>
 まず、ヴァーナー公演のほう。書き遅れたが、彼女は1980年代後期にアイランドからデビューした男女3人組都会派ソウル・グループのバイ・オール・ミーンズの3分の2〜ジミー・ヴァーナーとマイクリン・ロデリックの娘。バイ・オール・ミーズ解散後、ジミー・ヴァーナーはソング・ライターやトラック作りのほうで活動していて、娘のアルバムでもプロデュースその他を担当していた(管楽器も出来た彼、バークリー音楽大卒っていう話なかったっけ?)。で、アンコールに出てきたとき、エル・ヴァーナーは小柄で太っちょで変な髪型のおじさんを伴う。そして、彼はキーボードを弾きだすわけだが、なんと彼女は「パパさん」と彼を紹介。わーあー、あのジミーかいっ。びっくりするほど太ったというのはともかく、彼が演奏に参加することで、少しバンド音がしまったような。歌えとは言わないが(でも、聞きたかった)、これなら最初からパフォーマンスに加わって欲しかった。ともあれ、いい親子関係を持っているように見えた。次回は無理かもしれないが、父娘共演名義で!
 そして、カルデラッツォ公演のほうは、冒頭でびっくり。なんと、開演時間の3分前、場内が明るいうちに本人がステージにあがり、しゃべりだす。わー、せっかちそう(笑い)。彼、コントローラーをピアノの上に置き、ピアノ音をほんの少しいじっていた。純アコースティック・ピアノ公演でそんなことする人は初めてのような……。