まず、六本木・ビルボートライブ東京で、現在27歳の英国人クリエイターであるクリス・ワードのソロ・ユニット、トロピックスを見る。別に南国風情を持つわけでなく、ちゃらちゃらした(?)感じの人でもなく〜けっこう、マジメそうな人だったな〜、そう名乗るのはどうしてなんだろう? 彼の2作目となる『Rapture』(Innovative Leisure、2015)は、今様エレクトロ・ソウルの好盤なり。

 PCや歌や鍵盤の当人に加え、ギタリストとドラマーを擁するパフォーマンス。基本はPC音に合わせてドラマーとギター奏者は協調音を差し込んでいき、ダブ・ステップ基調インスト曲もあり。約7割はヴォーカル曲で、その場合は鍵盤を抑えながら歌う曲もあるが、両手でマイクを持ち祈るような感じで彼は歌う。歌声はほぼ加工せずに、地声で勝負。けっこう歌う能力を彼が持つことを、了解する。過剰にサウンド・メイキングに凝らず、彼なりの歌心をすうっと漂わせているショウだった。

 その後は、ラテンの枠を通さない実演のとき、もう驚愕するしかないジャズ能力を出してしまうキューバ出身ピアニストのリーダー・グループを、南青山・ブルーノート東京で見る。

 今回のショウは、2014年7月に亡くなったジャズ・ベース巨人である、チャーリー・ヘイデン(2001年11月20日、2005年3月16日、2009年9月10日)をトリビュートするもの。ルバルカバが米国/ジャズ界で広く活動できるようになった際に、ヘイデンは後見。2人は共演作をリリースするとともに、ブルーノート東京でもデュオによる公演(2005年3月16日)を行っている。

 腕利き奏者をそろえるルバルカバのグループはリアル・ジャズ名人見本市といった感じもあるが、今回はアルト・サックスのウィル・ヴィンソン、ベースのマット・ブルワー(2007年11月21日)、ドラムのマーカス・ギルモア(2007年11月21日、2010年7月24日、2010年8月22日、2014年5月15日、2014年6月19日、2014年6月20日)という面々を擁する。ギルモアはクラブ・ミュージック文脈からも注目を受けている異才だが、ここではスーツとネクタイに身を固め、完全ジャズ・ドラマーとして勝負。なんにしろ、やっぱりすごいゾこの人の体内ビート感覚は、とうならされるわけだ。

 お題目がお題目だけに、わりとしっとり気味の曲をやり、ベースのブリューワーはけっこうフィーチャーされるが、技巧とイマジネーションに富む高潔なジャズ、その高みの表現であることに疑いはない。MCなしで本編1時間45分演奏をし、それから1曲堂々とアンコールに答え、2時間ちょいのパフォーマンス。それを涼しい顔をしてやってしまう、ルバルカバ、なんかすごいし、それについて行くサイド・マンたちも素晴らしい。ちなみに、アンコール曲ではまずピアノとベースのデュオが延々と披露されたが、途中からパとっ切り変わるようにアルトが入った際にスピリチュアリティ度数の針が振り切れて、もー悶絶。なんか、ちゃんと気持ちの出ていてトリビュート公演という、所感も強く持った。

▶過去の、ゴンサロ・ルバルカバ
http://43142.diarynote.jp/200503240453290000/
http://43142.diarynote.jp/200711290930350000/
http://43142.diarynote.jp/201008261620103318/
http://43142.diarynote.jp/201401161534392423/
http://43142.diarynote.jp/201401171004104264/
▶過去の、チャーリー・ヘイデン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/LIVE-2001-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200503240453290000/
http://43142.diarynote.jp/200909120650273142/
▶過去の。マット・ブリューワー
http://43142.diarynote.jp/200711290930350000/
▶過去の、マーカス・ギルモア
http://43142.diarynote.jp/200711290930350000/
http://43142.diarynote.jp/201007261045442770/
http://43142.diarynote.jp/201008261620103318/
http://43142.diarynote.jp/201405171309186867/
http://43142.diarynote.jp/201406201008164250/
http://43142.diarynote.jp/201406210910441716/

<今日の、笑顔>
 ライヴの前や後はかならず、“飲み”を入れる。まぁだから、飽きずにライヴに行き続けられるのかもしれない。今日は知人からちらりと推挙を受けた店に出向いてみたのだが、大当り。これは、また行きたい。いろいろ使えそうで、家の近くにある店でなくて良かったと胸をなでおしろしたとか、しないとか(注1)。お酒の品揃え、食べ物のおいしさ(注2)、お店の寛ぎやすさや雰囲気、価格など、飲み屋の善し悪しを計る項目はいくらでもあるが、音楽というのはその後かな。邪魔にならなきゃ、それでいい。昼間たっぷり接しているので、飲みの際それほどこだわりはないのではないか(注3)。それよりも、その場での他者とのお話、やりとりがとっても好きなんだと思う。だから、店の作りや感じは重要視するな。
注1.でも、げんざい家の近所に行きつけの店は作っていない。今、家飲みしないぼくにとって、飲みはどこか自宅環境から離れる意味ももつのかもしれない。って、大げさだな。
注2.鳥はあまり食べないので、焼き鳥屋は基本行かない。ソウル・ヤキトリ・バーはたまに寄るが、集団で行ったとき以外は焼き鳥をオーダーしたことはない。モリモト、ご免よ〜。とか言いつつ、たまーにフライド・チキンは食べたくなるし、カレーはチキンが一番おいしいと思う。ようは、見た目が鳥系は好きではないというところがある。
注3.でも、好きではない音楽がかかる店には行きたくないか。たまに、馴染みの店で、酔っぱらってザ・バンドやスライが聞きたくなって、リクエストしちゃうことはあるナ。って、やっぱコダワっている?