ブルーノート東京、ファースト・ショウ。ジャズ界重鎮ベーシスト(2011年1月30日)の今回の公演は、16人もの奏者を率いてのもの。ビッグ・バンドをやるのは長年の懸案だったらしいが、昨年アルバムを出し、来日公演もモノにした。同アルバムを聞いてもわかるが、“ダンスの場の音楽+”を情緒豊かにさくっと求めんとする行き方。それは「セントルイス・ブルース」のような有名曲の聞き味をみても、すぐに分る。それらのスコアはアルバム同様にロバート・フリードマンが担当しているのかな。フリードマンは過去のカーター作の編曲に関わるとともに、最大顧客はビリー・ジョエルとウィントン・マルサリス(2000年3月9日)という、NYベースのアレンジャーですね。

 その後、渋谷・Bar Issheeに行って、バリトン・サックス3本による酔狂な即興演奏を聞く。奏者は田中邦和(2010年12月16日、他)、吉田隆一(2004年8月20日、2006年7月3日、他)、松本健一(2008年8月24日、他)。いやあ、デカい(そして、やはり重い。ケース込みだと8キロだそう)金管楽器が3本並び、わがままにブイブイやっていると、なんか痛快。これがソプラノは当然のこと、アルト3本でやられても、こんな感興は出ないだろう。ワハハハでガハハハ、そしてときにピュルピュルなパフォーマンス。

<今日の、バー・イッシー>
 オフィシャルには今年いっぱいで、この渋谷の小さなハコはお終いとなる。開店してほぼ5年、入っているビル取り壊しのため。開店までの顛末はロック雑誌のクロスビートに<ロック・バーへの道>という連載がなされていたように、もともとはロック・バーとして開店したお店。だが、ぼくと同い年のベーシストでもある店主の人脈/好奇心のもと、フリー・インプロヴィゼーション系ミュージシャンに演奏の場を提供するようになり、今では多くの日にその手の一期一会的な出し物が組まれるようになり、現在に至っている。ぼくは、<渋谷の、フリー・ミュージックの聖地>なんても称していました。渋谷近辺で新たな物件を探し、再開店の予定とのこと。ぜひ。この店がないと、さびしい。