三宅純。NEW OPTIMISM

2016年11月10日 音楽
 南青山・ブルーノート東京で、在仏クリエイター(2012年6月30日)のショウを見る。ファースト・ショウ。場内は、とっても混んでいた。

 演奏陣は、ピアノや電気ピアノやフリューゲルホーンの三宅純、ギターその他の伊丹雅博、ベースの渡辺等、パーカッションのゼ・ルイス・ナシメント、リード楽器のアンディ・ウルフ、ヴァイオリンの金子飛鳥と吉田篤貴、ヴィオラの志賀恵子、チェロの多井智紀という9人。そこに、リサ・パピノー、勝沼恭子、ブルガリアの女性コーラス3人組+指揮者のコズミック・ヴォイセズ、アルゼンチン人のイグナシオ・マリア・ゴメス・ロペス、おおたか静流ら歌い手が曲により加わる。

 様々な音楽興味や音楽美学、その自在の万華鏡……。様々な音楽的言語が交錯するそれは、生理的には壮絶とも言える構築感覚を持ち、今のグローヴァル都市表現とも言うべき像を浮かび上がらせる。参加者はパリと東京のサークルの掛け合わせといった感もあるが、サウンドの方もフランスから連れてきたエンジニアと日本人のZAKが二人で作っていたという。この日は横のボックス席で見ていたが、各音や肉声が集積離散する様をかなり鮮やかに受け止めることができたのは間違いない。

▶︎過去の、三宅純
http://43142.diarynote.jp/201207031354181031/

 続いては、六本木・SuperDeluxeに、チボ・マット(2014年8月14日)のハトリミホの新プロジェクトであるNEW OPTIMISMを見に行く。

 会場入りすると、SIMILABの OMSB (2013年3月26日、2014年2月20日,2016年10月28日)がDJを従えて、パフォーマンス中。ハトリが突然twitter経由で連絡取ってきて驚いたみたいなことも、MCで話しておりました。ぼくは菊地成孔(2001年9月22日、2002年1月5日、2002年11月30日、2004年7月6日、2004年8月12日、2005年6月9日、2006年1月21日、2007年11月7日、2009年7月19日、2010年3月26日、2011年4月22日、2011年5月5日、2011年7月31日、2013年3月26日、2013年7月27日、2014年2月20日、2014年4月3日、2014年9月7日、2016年10月28日)絡みでしか彼のラップに触れたことがなかったが、もっと伸び伸びとしていて、いい感じに聞こえた。

 NEW OPTIMISMのショウはハトリに加え、アフリカ系の性格良さそうなポール・ウィルソン(2014年10月26日)がキーボードで加わる。PCや機材を扱いつつ(トラック出しは、ハトリがしていた)天真爛漫に歌や声を載せていたが、直感100%といった感じのストレス・フリーの玉手箱のようなビート・トラックが下敷きとなったそれは、生理的にポップで、弾けている。

 彼女はヴァンパイア・ウィークエンドのロスタイムと協調した曲も含む6曲入りEP『AMAZON TO LeFRAK』を完成させている。ちなみにアマゾンはブラジルのそれで、レフラクというのはNYクイーンズの地名だそう。そこからの曲は全部やったはずだが、やはりメルティング・ポットたるNYの素敵が詰まっていると痛感。というか、彼女ほど、現在そうした事項をキラキラと出せる人もいないのではないか。NY居住歴は20年を超えるが、いまだフレッシュに呼吸し、自在に闊歩し、面白い人たちと絡んでいる。そんな素敵がライヴからも伝わってきた。

▶︎過去の、チボ・マット
http://43142.diarynote.jp/201408161131356136/
▶︎過去の、OMSB
http://43142.diarynote.jp/?day=20130326
http://43142.diarynote.jp/?day=20140220
http://43142.diarynote.jp/201610311054183284/
▶過去の、菊地成孔
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-9.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-1.ht
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200407062149440000/
http://43142.diarynote.jp/200408120238330000/
http://43142.diarynote.jp/200506120644360000/
http://43142.diarynote.jp/200601271857530000/
http://43142.diarynote.jp/200711101236210000/
http://43142.diarynote.jp/200907221011377741/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100326
http://43142.diarynote.jp/?day=20110422
http://43142.diarynote.jp/?day=20110505
http://43142.diarynote.jp/?day=20110731
http://43142.diarynote.jp/201303290751204240/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130727
http://43142.diarynote.jp/201402210802184994/
http://43142.diarynote.jp/201404050818444425/
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/
http://43142.diarynote.jp/201610311054183284/ 
▶︎過去の、ポール・ウィルソン
http://43142.diarynote.jp/201410301512336095/

<今日の、ライヴ>
 三宅はパッケージ度の高いショウの最中に、長年にわたる知己でこの公演にも加わるはずだった、故宮本大路(http://43142.diarynote.jp/201610141748382349/ 参照のこと)によるサックスのアカペラ的な録音物をわざわざ流し、追悼した。洗練の奥には、様々なストーリーもあるのだ。三宅の『常夏乃憂ヒ LIVE at CAY ‘95”』(サイデラ、1996年)は、宮本がリード奏者/打楽器奏者の逸材であることの最たる証明品だ。
 一方、NEW OPTIMISMというのは、ハトリが持っているアパレル・ブランドの名前でもある。現在は名古屋のショップで買えるだけのようだが、ネット販売とか販路を広げていくという。この日は、黒色のキャップ、シャツ、パンツを身に付けていたが、その中には同ブランド商品もあったにちがいない。少し前にハトリにはインタヴューをしたのだが、その際にしていた同ブランドのスカーフは素敵でした。そのうち、イントキシケイト誌に記事が出ます。
 21年ぶりの来日だそう。かつてはわりとアメリカン・ロック界の前線に立ったこともあり、グラミー賞を受けてもいるバンドだが、フェスとかのお呼びもなかったのか。フロント・マンにして曲も書いているデイヴ・パーナー以外のメンバーは、オリジナル時からみんな変わっているという。なるほど、ミネアポリスのバンドである彼らは、プリンス(2002年11月19日)・バンドに在籍したマイケル・ブランドをメンバーに入れていたことがあり、2006年以降から2016年新作『チェンジ・オブ・フォーチューン』までブランドの名が入っている。また、ぼくのなかでは、ソウル・アサイラムはスティーヴ・ジョーダン(2005年11月13日、2006年11月20日)2006年12月22日、2010年10月26日)がプロデュースを手掛けたバンドとして、大きな位置をしめている。

 渋谷・O-East。歌とギターのパーナーに加え、ギター、ベース、ドラムという陣容でことにあたる。皆、白人だ。パーナーが生ギターを持って歌う場合はわりかし素直なアメリカン・ロック調曲を送り出し、エレクトリック・ギターを持つ場合はパワー・ポップぽかったりと色合いが広がり、往年の英国ロックみたいな肌触りを持つ場合もある(ステイタス・クォやバッド・カンパニーを思い出した曲あり)。パーナーは電気ギターを持つ際はバカみたいに下に構え、ときに妙な動きや仕草を取っていた。

▶過去の、プリンス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 2002年11月19日
▶スティーヴ・ジョーダン
http://43142.diarynote.jp/200511130413390000/
http://43142.diarynote.jp/200611221236140000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20061222
http://43142.diarynote.jp/201010301012548114/

<今日の、メール>
 <トランプが大統領になるのは、僕に自動車を運転させるようなもの>といった趣旨の発言をスティーヴィー・ワンダーがしたそうで、さすがだな。米国の知り合いから、なんか雲行きがあやしい、トランプが大統領になっちゃうかも、というメールを送ってきた。安倍晋三がトップに立つ日本は既にそうなっちゃっているわけだが。なんか、リベラル派の友人たちは恐ろしい結末に恐れおののいているという。それを知り、ふと9.11以降のミュージシャンたちの発言〜http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm 9月12日の項を参照のこと〜を思い出したりも。米国人ミューシャン発言や行動、そして音楽に大きな変化が出てくるか?

 この日はブラジル音楽とつながる、二つのライヴを見る。

 まず、4度目の来日となるシンガーの娘とピアニストの母を中央に置く、ジャズ・カルトット(2013年9月7日、2014年9月27日、2015年9月22日)を南青山・ブルーノート東京で見る。ベーシストもドラマーも過去と同様、ライヴの持って行き方は過去と重なるが、シンガーのデボラってこんなに前に出ていたっけ。もう、スキャットかましまくり。母ダニのピアノ・ソロの量は減じていたはずだ。誇張して書けば、歌いっぱなし。難しいライン取りの連続は音程の不安定さ導き、歌唱パートが長い今回はさすがそれについては少し気になった。

 4度目となると新鮮さはさすがに薄れるものの、ブラジルの天衣無縫さとジャズの自由闊達さをこんなに胸ときめく形で交錯させることができる存在もそうはいないだろうとはやはり思う。そんな彼女たちは時に有名ポップ曲カヴァーもやるが、そのアレンジにもいたく感激しちゃう。今回はスティーヴィー・ワンダー(2005年11月3日、2010年8月8日、2012年3月5日)の「サー・デューク」とニルヴァーナの「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」を披露。特に前者は惚れ惚れしちゃう聞き味で、ワンダー本人も聞いたら、ジャズもブラジル音楽も好きな彼でもあるし、目茶気にいるだろうと確信する。

 デボラは旦那のドラマーのチアゴ・ハベーロとの間に娘を授かっていて、まだ1歳未満と思われる娘のヒタを同行させていた。本編の締めの曲はその娘を題材にした「サンバ・プラ・ヒタ」。最後は無伴奏のもと4人で歌い、そのままステージから楽屋に引っ込む。と、書くとどうってことないが、それもとても良かった。

▶過去の、ダニ&デボラ・グルジェル・クアルテート
http://43142.diarynote.jp/201309161507226186/
http://43142.diarynote.jp/201409291720019557/
http://43142.diarynote.jp/201509231115245724/
▶過去の、スティーヴィー・ワンダー
http://43142.diarynote.jp/200511130015240000/
http://43142.diarynote.jp/201008261618276388/
http://43142.diarynote.jp/201203062006429595/

 その後は、渋谷・JZ Bratでブラジル音楽の機微をしなやかに取り入れるヴォーカリストのTOYONO (1999年6月3日、2007年8月23日、2008年1月31日、2009年6月12日、2009年9月26日、2009年12月18日、2010年2月23日、2010年12月22日、2014年7月23日、2015年1月10日、2015年6月17日)、ギターの竹中俊二(2007年8月23日、2008年1月31日、2009年6月12日、2009年9月26日、2009年12月18日、2010年2月23日、2010年12月22日、2014年7月23日、2015年1月10日、2015年6月17日)のライヴをセカンド・ショウから見る。

 彼女のキャリアをくくるような新作『黒髪のサンバ』(ビクター)リリースをフォロウするもの。鍵盤の渡辺剛、ベースの岡雄三、ドラムの宮川剛、ヴァイオリンのクラッシャー木村、チェロの柏木広樹、リードのグスタヴォ・アナクレート、チェロの柏木広樹(2015年6月17日)、パーカッションの石川智という面々がサポートした。

 ポル語歌詞と日本語歌詞曲を違和感なく、自分の歌としてとして披露。楽曲アレンジも技あり、ヴァイオリン、チェロ、ソプラノ・サックスという3つのアンサンブルって結構いい感じなのだな。ブラジルや日本の有名曲カヴァーもオリジナルも、いろんなリズム設定も、悠々時にお茶目でもある、声の伸びの余白を持つヴォーカルは生気あり。ブラジル、日本、コンテンポラリー・ポップ感覚という3極の中で自在に舞う彼女のようなシンガーに触れると、日本人による大人のヴォーカル表現も裾野が広いとも思わせられる。

▶過去の、TOYONO
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livejune.htm エスピリト
http://43142.diarynote.jp/200708270314500000/
http://43142.diarynote.jp/200802051630130000/
http://43142.diarynote.jp/200906160733018341/
http://43142.diarynote.jp/200909291504366263/
http://43142.diarynote.jp/201001051624161036/
http://43142.diarynote.jp/201002280940361567/
http://43142.diarynote.jp/201012241100592422/
http://43142.diarynote.jp/?day=20140723
http://43142.diarynote.jp/201501131341317551/
http://43142.diarynote.jp/201506181125125625/
▶過去の、竹中俊二
http://43142.diarynote.jp/200708270314500000/
http://43142.diarynote.jp/200802051630130000/
http://43142.diarynote.jp/200906160733018341/
http://43142.diarynote.jp/200909291504366263/
http://43142.diarynote.jp/201001051624161036/
http://43142.diarynote.jp/201002280940361567/
http://43142.diarynote.jp/201012241100592422/
http://43142.diarynote.jp/?day=20140723
http://43142.diarynote.jp/201501131341317551/
http://43142.diarynote.jp/201506181125125625/

<先週の、土曜日>
 二つのライヴに触れ、ふと“ぼくのなかのブラジル”という項目の引き出しを開けてみる。前にもここで書いたことがあるが、小学生のときには、人工都市ブラジリアへの興味が俄然あった。少年マガジンかなんかの漫画週刊誌のカラー・グラビアで紹介されていて、サンダーバード大好き小僧だったぼくは萌えた。中学生になってサッカー部に入ると、サッカー雑誌なども見るようになり、望まなくてもブラジルという国名やペレらブラジル人名選手の名前には触れ、もう少し身近なものになる。その頃から洋楽にも異常に執着するようになるが、ブラジル音楽に着目するのははるか後。高校時代にたまたま聞いたザ・LA4の曲でやたら気に入ったのがあったのだが、それがボサノヴァをやっていると知ったのはずっと後のこと。20代の一時期は熱心なF1ファンでありネルソン・ピケやアイルトン・セナら名レーサーを生むブラジルは魔法の国だと感じていたが、その思いが音楽とつながることはなかった。ちゃんと聞くようになり、その音楽的な魅力も認識するようになったのは、30代もだいぶ回ってからではないか。ステップ・バイ・ステップで広がる興味、それは今後も大切にしたいナ。
 そういえば先週、晴天の土曜日に駒沢競技場(横では、ラーメン・フェスみたいなのをやっていた)に、J3のFC東京U23とAC長野パルセイロの試合を見に行った。元バルセロナFCにいた15歳の久保くんがJ初出場した試合。たまたまサッカー好きの友達に会場に行くのも楽だからと誘われてのもので、久保事項は偶然だ。メイン・スタンド中央の自由席で2200円、なり。バック・スタンドは閉鎖されていたが、7000人強の入りはJ3ではすごいし、彼への取材陣も山ほど。ぼくとしてはまず、東京の中村忠、長野の三浦文丈という、Jリーグ創世記にいた選手がそれぞれの監督であるのに驚く。長野には元日本代表のミッドフィールダーの橋本英郎もいて、先発で出ていた。
 前できっちりトラップにはいっている長野の選手を後ろから押したりとか、東京がくだらない反則をあっさりやっていたのには閉口。子供たち、たくさん見ているよ。監督の中村は現役時代にダーティな選手でなかったと記憶するが、ああいうのをを許容しているの? 後半から出てきた久保くんは思ったよりは小さく見えなかったが、細い。そして、長野の選手がマン・マークでついていたわけではないが、それほど見せ場は作れなかった。結構、味方の選手にここに球を出してという要求は手で指示していたが、ほとんど入らず。彼の中ではパスが通るコースなのだろうが、他の東京の選手には出せない位置であったのか。そういうのを見ると、レヴェルが違っていてかわいそうとは感じる。とにかく、これまでのサッカー天才少年の中でも華々しい経歴を持つプレイヤー、なんとか大成して欲しいが。

 欧州トラッド系アクトを主に扱うコンサート主催者/インディ・レーベルのミュージック・プラントの設立20周年を祝うコンサートが持たれ、アイルランド、グリーンランド、スウェーデンからやってきた3組が出演した。会場は、渋谷・duo MUSIC EXCHANGE。

 先発は、アイルランドのトラッド・グループのルナサ(2001年10月19日、2003年4月11日、2010年12月11日、2013年12月7日)。フィドル、フルート、パイプ、アコースティック・ギター、ダブル・ベースという布陣で、反復高揚回路と哀愁が溶け合ったことを颯爽とやる。どこかに笑みある余裕があるのも、彼らのいいところと思う。

 長めの休憩(欄外を参照のこと)をおいて、グリーンランドのナヌーク(2015年3月26日)の選抜隊のエルスナー兄弟(ともに、歌とアコースティック・ギター)が出てきて、数曲(20分強であったか)パフォーマンス。バンドだと今っぽいパワー・ロックを聴かせるが、この日は生理的に優しいフォーキーなポップ・ロックを披露する。もう東京でできるのが嬉しくてしょうがないという風情に接して、そりゃイヤな気分にならないはずがない。

 そして、切れ目なくスウェーデンのヴェーセン(2014年11月20日)が出てきて演奏する。スウェーデンの民族変則弦楽器であるニッケルハルパ、5弦ヴィオラ、生ギターを担当する3人の奏者のアンサンブルをちょい聞いただけで、おおっと身を乗り出す。格調高く、すげえ音楽的。うむ、これはアートだとすぐに痛感させられちゃったもん。属性が違うルナサのことを比較の対象とするのもなんだが、同じトラッド・グループでも持っている哲学や技量が、彼らの方が上のステージにある。なるほど、あの逸脱清新ブルーグラス・グループであるパンチ・ブラザーズ(2016年8月4日)が2012年作『Who’s Feeling Young Now?』(Nonesuch)で、ヴェーセンの「Flippen」をカヴァーしているのも腑に落ちすぎというか……。いやはや、今更ながらこのスウェーデンのトリオに降参、そりゃジャズの方でも同国からはイってるグループが出てくるだろうなと妙な納得の仕方もしてしまった。とともに、ぼくは今年『2』(Brassland)をリリースした、レディオヘッド時代の耽美アイリッシュ・トラッド・グループと言えることをやっているザ・グローミングのことを思い出した。彼らはパンチ・ブラザースに対するアイルランドからの回答と言えることをやっている。うーん、ライヴに触れてみたい。

 そして、アンコールは出演者3組が出てきて、2曲やった。それぞれが”北の国”の真心のもと、相手を受け入れ、重なる。ひねくれ者でも、いい光景と感じるしかないじゃないか。

▶過去の、ルナサ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20101211
http://43142.diarynote.jp/?page=26&theme_id=222
▶︎過去の、ナヌーク
http://43142.diarynote.jp/201503271611494171/
▶︎過去の、ヴェーセン
http://43142.diarynote.jp/201411211148399707/
▶︎過去の、パンチ・ブラザース
http://43142.diarynote.jp/201608100931466329/

<今日の、休憩時>
 なんか生っぽい楽器音が上階から溢れてくるなと思い、階段を上がってみたら、一角でフィドル、ホイッスル、パイプ、アコーディオン、生ギターなどを持った人たち(日本人)が車座になって、軽やかに音を重ね合っている。と、そこに先ほど演奏していたルナサの3人がシット・インし、和気藹々のアイリシュ・トラッド基調の集団演奏が20分強、数曲続けられた。こりゃ、接していて楽しい。トラッドが育まれるかの地の日常を目の当たりにするような気持ちにもなれて、いいなあとうなづく。プロもアマチュアも出演者もお客さんも関係なしに、音楽をする悦びをシェアするのって本当にいい! そんな光景に触れながら、これはミュージック・プラントの20周年を祝う場にふさわしいとも思わずにはいられず。そういえば、出演者たちからは本当にいい心地の持ち主であり音楽のムシであることも伝わってきて、それも気分がいい。そして、それこそはミュージック・プラントという会社が真心とともに運営してきたものの原動力でもあったろう。女性が一人でやってきている会社がしっかり稼働し続け、確かな種を日本の音楽愛好者の中に残している。これ、ちょっとすごいし、素敵な話ではないか。
 ピアノのミシェル・ライス(2016年7月21日)、ダブル・ベースのマーク・デムス、ドラムのポール・ウィルトゲン。ルクセンブルグ人3人のジャズ・マンが組んだトリオで、彼らは高校時代からのジャズ仲間となる。50万人にも満たない欧州金持ち小国であるルクセンブルグには大学は一般大学が一つしかない。ゆえに、高校卒業後に音楽を大学で学ぶためには外に出るしかなく、彼らの場合もそうだった。ライスとウィルトゲンはアメリカに行き、ライスは帰国したが、ウィルトゲンはNY在住であるという。

 そんな“母体”とも言える単位のトリオ演奏に触れて、ライスたちはこんなに仕掛けの多いジャズをするのかといささか驚く。その様は、プログ(レッシヴ)・ロックのジャズ版と言いたくなるもの。変拍子も詰め込む。巧みに即興を組み込んでいるものの、少し構成されすぎではないか。当初、そういう所感を得たが、これは今様欧州的デイヴ・ブルーベック調表現だと思うと楽に聞けるようになった。その見解、よろしいんじゃないでしょうか。ブルーベックの「ロンド・ア・ラ・ターク」や「テイク・ファイヴ」のようなキャッチーな当たり曲を見つけることができれば、彼らの支持者はかなり拡大すると思った。

 終盤に、ジョニ・ミッチェルの「ボース・サイズ・ナウ」のカヴァーも披露。やはり、持って行かれる。ミッチェル曲はジャズ・マンにも人気だが、この曲はフレッド・ハーシュ(2013年4月18日、2015年11月26日、2016年11月1日)が2015年公演で披露していた。米国に住んでいたさい、ライスはハーシュに師事したことがあったそう。以上、丸の内・コットンクラブ。

▶︎過去の、ミシェル・ライス
http://43142.diarynote.jp/201607221000152412/
▶過去の、フレッド・ハーシュ
http://43142.diarynote.jp/201304211110267820/
http://43142.diarynote.jp/201511270902563984/
http://43142.diarynote.jp/201611030803017474/

 
 その後は、六本木・ビルボードライブ東京で、フランスの個性派シンガー・ソングライターのヤエル・ナイム(2008年6月4日、2009年6月22日、2012年8月1日)の4年ぶりの来日公演を見る。例によって、旦那であるドラマーのダヴィッド・ドナスィアンとの双頭ライヴといった感じで持たれる。そして、そこに新作『オールダー』にも入っていたベルギー人ベース奏者ダニエルダニエル・ロメオがエレクトリック・ベースが加わり、その3人でショウは持たれた。

 ギター、ピアノ、グロッケンシュピールを弾きながら歌ったりするなど、ナイムの歌の披露の仕方は変化に富む。曲調もしっとり静謐なものから明るい弾け気味のものまで、いろいろなタイプの曲(その詩作は大人っぽい)を嬉々として披露していき、それは我が道を行くなナエムの才を無理なく伝える。とともに、それはフランスの今のポップ・ミュージック界の奥行きや襞を伝えるものになっていたのは間違いない。ミュージック・マガジンで評を書くので、ほどほどにしておく。 

▶︎過去の、ヤエル・ナイム
http://43142.diarynote.jp/200806121512270000/
http://43142.diarynote.jp/200906300947498390/
http://43142.diarynote.jp/201208091332107779/

<今日の、心模様>
 家の近くにあるビルの1、2階のテナントがまた変わる。ウェンディズがあったのは記憶にあって、その後はチェーン系コーヒー店になったが閉店。そして、来週からドコモ・ショップが新規に開く。実は直近のドコモの銀行引き落としが急に3倍近くになっていて、その原因を突き止めなきゃと思っていた矢先のことなので、すでに看板が出されているdocomoという文字を見ると、ちょびっとココロ乱れる。あの額は、謎じゃナゾぢゃ。

 スイスからやってきたリード奏者(この晩は、ソプラノ・サックスとクラリネットを演奏)のハンス・コッホ(2014年10月30日)とエレクトロニクスのガウデンツ・バドルットが蜂谷真紀(2008年8月24日、2009年1月8日、2010年9月11日、2014年7月22日、2014年9月25日、2015年5月20日、2015年6月15日)と重なるインプロ帯公演、この晩は蜂谷と双頭アルバムを制作中というターンテーブルの村田直哉が加わる。神保町・試聴室。初めてこのハコに行ったが、天井がけっこう高い。かつては、印刷所であったそう。

 A.蜂谷×コッホ、B.バドルット×村田、C.4人一緒。という、3つの組み合わせが披露された。A.は基本、アコースティックなお手合わせ。発想と瞬発力、そして思慮や歌心の絶え間のない交錯。ときに、幽玄と言える部分も持つ。

 B.はともに工夫を凝らした装置をいろいろ用いる。かつては現代音楽のピアノを弾いていたというバドルットはいろんな小物機材(小さなマレットを用い音を発信したりとか、かなりアナログ、人間的なオペレーションを介する。本人もそれを意識しているとのこと)やPC(アップルが嫌いだそうで、背の林檎のマークを黒いテープで隠していた)などを用いる。一方、村田はターンテーブル1台とエディット系機器を床に置き、その横には何十枚もの裸のアナログ・レコードを無造作に散りばめる。レコードの中にはデコレーションが施されているもの(つまり、音出しには用いられない。飾りですね)もあり、見た目の感興にも留意、ある種パフォーミング・アート的な部分もそれは持つか。ターンテーブリストと言っても村田の所作はクラブ・ミュージックのそれとはだいぶ異なり、ヘッドフォンもしない。オーケストラ音など具体的な音を拾って出す場合もなくはないが、もっと偶発的にアナログ盤やレコード針が生むノイズやファジーな音を媒介音として出していくという感じ。なんか、ターンテーブルのアート・リンゼイ(1999年12月18日、2002年9月9日、2004年11月21日、2011年6月8日、2014年10月26日、2016年9月1日)なるものともぼくは少し思った。このパート、バドルット主導のサクっとした終わり方が格好良かった。

 C.は蜂谷も2本のマイク、ミキサー他機材(サンプラーもあった?)、カリンバなどなどの小物が置かれたテーブルに座り、素ではない肉声使いを存分に繰り出し、他の3者と渡り合う。こちらは声色や音程、響きなども思いつきで自由自在、まっとうな画家がPCでカラフルな立体画を嬉々として描いているという感じもあったか。確固とした才が羽を得て飛び回る感じもあって、これは面白いと思うことしきり。当人も自らのイマジネーションを飛躍させるさらなる手段を得て、楽しくてしょうがなのではないか。そんな彼女に合わせて、アヴァンギャルド・ジャズ一徹といった感じのコッホも簡素なエフェクターを用いて電波音を繰り出す。愉快。実は面々、自分の行き方に邁進するようでいて、他者の音を十分に聞いて50の行き方の中から一つの音を出しているという感じもあって、一筋縄ではいかないゾという嬉しさは山ほど。まったく飽きない。ダラダラやられるのをきらうタチながら、もっとやってェと思ってしまった。横浜エアジン(3日)と早稲田茶箱(4日)でも、実演はもたれる。

▶過去の、蜂谷真紀
http://43142.diarynote.jp/200808260821260000/
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http://43142.diarynote.jp/201505211022511238/
▶︎過去の、ハンス・コッホ
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▶過去の、アート・リンゼイ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/december1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm
http://43142.diarynote.jp/200411231722390000/
http://43142.diarynote.jp/201106141341111340/
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http://43142.diarynote.jp/201506111719463390/
http://43142.diarynote.jp/201609200958472477/

<今日の、ぺこり>
 示唆を受けた。端的に書けば、オレはのうのうと普通の文章を書いていていいのかと思わされた。まあ、雑誌や新聞やライナーノーツという商業媒体に書く限りはちゃんと音楽の内容を明快に書き留めた普通の文章が要求されるわけで、書き方の冒険はそれほどできない。とはいえ、文体は無限であり、そちらで遊ぶことはできるはずなのだが。漢字、平仮名、片仮名の視覚的な効果については、実は普段から留意はしているところはある。
このブログだったら、完全に好き勝手できるのでもうちょっとカッ飛ぶことも不可能ではないはすだが。。。。。。ネット原稿だと、文字の色や大きさや絵文字で変化をつけるという作法もなくはないだろう。だが、写真は当然のこと(普段、携帯で写真も撮らないしな)、ぼくはPCでのそのやり方がわからない。実は写真なし、純粋文章だけで勝負しているからこそ<ライヴ三昧>は素晴らしいというお褒めの言葉をいただいたことがあって、なるほどそうだヨナ、文章を書くことを生業としている以上、余計なものは用いず文字だけで完結するものにしようと思っているのは確かではあるのだが。でも、もうちょっと冒険や実験的な書き方をしてもいいのではないかと思った次第。解き放たれていた4人の方々、ありがとう。
 過去公演がソロで持たれたフレッド・ハーシュ(2013年4月18日、2015年11月26日)の今回のショウはトリオにて。ダブル・ベースのジョン・ヘバートとドラムのエリック・マクファーソンを擁するもので、2010年代に入り、このトリオで複数のアルバムを録音している。丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。
 
 そうなのだ、な。確かなインタープレイを持つピアノ・トリオ演奏に触れ、過去2回のハーシュのソロ演奏公演を受けておぼろげに頭のなかにあったハーシュ観が固まった。……彼、ぼくのココロをノックする度合いが強くはないとはどこか感じていた。ストレートには書いていないが、そのある種のわだかまりのようなものは、過去の文章にも表れているはず。そして、押しの強さやダイナミクスを効果的に補強するはずである今回のトリオ編成での演奏を聞いても、完全に感情移入できない自分を感じてしまったのだ。ウェイン・ショーター(2001年8月3~5日、2002年8月25日、2004年2月9日、2014年9月7日、2015年9月6日)からザ・ビートルズまで、原曲を知っている曲を素材とするものが披露されると、彼のジャズ発展〜美意識あり方はよく分かると改めて感じたのにもかかわらず。結局、ぼくの好みとハーシュのピアノ流儀は完全な合致を見ないということなのだろう。音楽の好みとは、そういうもの(のときもあるの)だ。

 ともあれ、ハーシュはかつての危機説が嘘のように元気そう。インタヴューの席でも饒舌で、ぽろっといい言葉を散りばめもするという。

 サイド・マンの腕や感性は確か。与えられたソロ・パートの作法に触れても、ジャズの積み重ねをちゃんと纏いつつ、旧来の流れに埋もれない演奏を飄々出していて、頼もしい弾き手だと思わずにはいられない。ヘバートとマクファーソンはかつて異才大偉人ピアニストであるアンドリュー・ヒルのグループに一緒に参画していたとこともあり、ヘバートは現在メアリー・ハルヴォーソン(2014年7月28日)と懇意にしていたりもする。彼の2015年作『Rambling Confessions』(Sunnyside)はスティーヴ・コールマンの覚えも愛でたいシンガーのジェン・シュウを前面的にフィーチャーした内容を持つ。

▶過去の、フレッド・ハーシュ
http://43142.diarynote.jp/201304211110267820/
http://43142.diarynote.jp/201511270902563984/
▶過去の、ウェイン・ショーター
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-8.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/framepagelive.htm
http://43142.diarynote.jp/200402091738240000/
http://43142.diarynote.jp/201404161959228005/
http://43142.diarynote.jp/201509220833541918/
▶︎メアリー・ハルヴォーソン
http://43142.diarynote.jp/?day=20140728

 続いては、南青山・ブルーノート東京で、NOLA出身トランペッター(2008年7月23日、2008年9月10日、2009年1月31日、2009年9月15日、2010年9月3日、2011年12月17日、2015年10月8日)の実演を見る。

 その音作りの様からレイディオヘッド(2001年10月4日、2004年4月18日、2008年10月4日、2016年8月21日)好きなんですかと問うと、大きくうなづいて拳を突き出してぼくの拳とくっつけ、「レイディオヘッドがロックの文脈でやっていることを、僕はジャズの文脈でやりたい」と言ったのが、カトリーナ被害を受けて作った2007年作『アンセム』(コンコード)を出した少し後にやったインタヴューの際。そんな彼は必ず自分のバンドに“響き”傾向にあるギタリストを入れていたが、今回は鍵盤とリズム・セクションという。これまでのものと比べるなら簡素な編成でショウは持たれた。

 本人に加えて、スコットの側近的ピアニストのローレンス・フィールズ(2009年6月15日、2010年7月24日、2015年10月8日)、24歳の白人ベーシスト(エレクトリックを主に弾いた)アレックス・クラフィー、スコットの2015年作『ストレッチ・ミュージック』にも入っていた29歳ドラマーのコーリー・フォンヴィル。そんな4人で、90分を超える長めの演奏を披露した。彼、ノっていたのかな。

 途中で、マイルズ・デイヴィスの名前を出してデイヴィスが過去複数アルバムで取り上げたロレンツォ/ロジャースのミュージカル用1940年曲「イット・ネヴァー・エンタード・マイ・マインド」をしっとり気味から徐々に発展する形で披露。おお、純ジャズのファーマットやデイヴィスへの思い、そこからから逃れられないアンビバレントなもやもやが広がり、わわわとぼくはなった。ジャズというニューオーリンズを起点に置く20世紀アフリカン・アメリカンの最たるアート・フォームへの思慕とそこから鮮やかに(他の文化に根ざした表現をも参照しつつ)飛翔したいという純な駆け引きがこんなに露わになった、彼の公演は過去なかった。

 そうした思いが完全に身を結ばないもどかしさがあり、また過剰にトランペットはうまくないかもと思わす部分を出すのをはじめ、不十分に感じるところはあった。だが、いろいろなストラグルを露わに出したショウが尊くないわけがないではないか。

 生音で勝負できないランディ・ブレッカー(2009年6月18日、2010年6月6日、2012年6月13日、2016年2月19日、2016年9月29日)ではないのだから、やはりトランペットの音色はもう少し電気的ではない肉感的なもので行って欲しい。ただ、ノー・マイクで吹いた音もけっこうエコーがかかったような音となっていたのは謎。彼は普通の姿勢で鳴らす場合と身をかがめて吹いた場合の2パターン用に2本のマイクをステージに立てていた。ただし、出音は同じで、出したい音色によって拾うマイクを選ぶということはなかったと思う。そこらへんは、今個人的に一押ししたいテナー・サックス奏者のケビー・ウィリアムスの実演での3本マイク並べ(2016年10月11日)とは違いますね。あと、曲はどれも暗い、陰鬱傾向にあるもの。かつてはレディオヘッド傾倒からそういう曲を作るのかと思っていたが、元々の持ち味でもあるのか。

 とても目立つ髪型をしていたドラマーのフォンヴィルは、やはりニューオーリンズ出身トランペッターであるニコラス・ペイトン(2010年7月24日)もレコーディングに使ったことがあるヴァージニア州リッチモンド拠点のメロウ・ファンク・カルテットであるブッチャー・ブラウンのメンバーでもある。彼は電気パッドを置いて、プログラム・ビートぽい乗りも出していた。ま、その作法の凄さや飛躍の具合は先日の大西順子でのテリオン・ガリー(2016年10月28日)の演奏が上。それ以上に感心したのは、ときに綺麗にレギュラー・グリップも用いる素の作法で、それはブラシ使いも含めて、しなやか柔らか。その正確なパラディドルの様を見て、ちゃんとクラシックを学んでいるじゃないかと指摘する音大生もいました。

▶過去の、レディオヘッド
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-10.htm
http://43142.diarynote.jp/200404180058130000/
http://43142.diarynote.jp/200810061856366600/
http://43142.diarynote.jp/201608241301049887/
▶過去の、クリスチャン・スコット
http://43142.diarynote.jp/200807241546500000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20080910
http://43142.diarynote.jp/200902030206339619/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100903
http://43142.diarynote.jp/?day=20100903
http://43142.diarynote.jp/201112201159168538/
http://43142.diarynote.jp/201510091112494150/
▶過去の、ローレンス・フィールズ
http://43142.diarynote.jp/200906160735045241/
http://43142.diarynote.jp/201007261045442770/
http://43142.diarynote.jp/201510091112494150/
▶過去の、ランディ・ブレッカー
http://43142.diarynote.jp/200906190812191379/
http://43142.diarynote.jp/201006071818281946/
http://43142.diarynote.jp/201206141343402196/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160219
http://43142.diarynote.jp/?day=20160929
▶︎過去の、ニコラス・ペイトン
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▶︎過去の、3本マイク使い分けケビー・ウィリアムス
http://43142.diarynote.jp/201610141747514263/
▶︎過去の、電気パッドを併用したテリオン・ガリー
http://43142.diarynote.jp/201007261045442770/

<今日の、どーでもいい話>
 エスペランサ・スポルディングとバークリー音大に通っていた際に付き合っていたという話がクリチャン・スコットにはあったので、彼へ2度目にインタヴューしたときに確認したことがあった。ちょうど、エスペランサに注目が集まらんとしていた頃。そしたら、あっさりと肯定。その様、“金持ち喧嘩せず”といった風情であったか。オレ、誰が誰と付き合おうがどーでもいいぢゃんと思うクチだが、さすがそれは確認をとりたくなった(苦笑)。そんな彼らと同級だったのが、今月20日にブルーノート東京で公演を持つ日本人鍵盤奏者のBIG YUKIだ。
▶過去の、エスペランサ・スポルディング
http://43142.diarynote.jp/200809071430380000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20081201
http://43142.diarynote.jp/?day=20100904
http://43142.diarynote.jp/201102190814495504/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120307
http://43142.diarynote.jp/201209191229057579/
http://43142.diarynote.jp/201509211331298145/
http://43142.diarynote.jp/201606101027587993/

 ナカマ、ノルウェーのグループだが、仲間という日本語であるよう。代官山・晴れたら空に豆まいて のマチネー公演を見る。 

 コントラバスのクリスティアン・メオス・スヴェンセン、ピアノの田中鮎美、ヴァイオリンのアドリアン・ルース・フォーダ、ドラムのアンドレアス・ウィルドハーゲンからなるカルテット。昨年結成のようだがすでに2枚のリーダー作を持ち、スヴェンセンと田中は今年2度目の来日となるようだ。MCはすべて、スヴェンセンが日本語でする。たどたどしかったりする部分もあるが、ちゃんと勉強しているそれですね。

 演奏が始まり、すぐにヒャヒャヒャとなる。ものすごく散文的な楽器音が、我が道を行く感じで連ねられるから。前衛的という言葉も用いることができるが、全員きっちり譜面を置いて音を重ね合う。ある種の決まりごとに基づくもの、皆である種の線や構図を見据えての会話であるのか。長尺な1曲目はかなりストロングで、音がでかい。繊細さも存分に持つが、線が太いとも、面々の所作は捉えたくなる。

 普通の人たちが、かなり変人ぽい音を繰り出して行く様は、繰り返すが愉快。自由があるともそれは思わせるし、表現者をサポートするノルウェーという国のアドヴァンテイジも見すかすか。ピアにストは弦をこすっている場合も多く、ちゃんとしたジャズ流儀で弾くことは少ないが、まっとうな弾き手と思わせる。それは、他のメンバーも同じだ。

 夕方は、NY在住ジャズ・ギタリストのウェイン・クランツ(2010年2月19日)、エレクトリック・ベースのネイト・ウッド((2013年8月22日、2015年9月30日)、ドラムのザック・ダンジガーという顔ぶれのトリオ演奏を、丸の内・コットンクラブで観る。ファースト・ショウ。

 クランツの新作『Good Piranha-Bad Piranha』(Abstract Logix、2014年)はポップ曲のカヴァー集。今回はすべてその手のカヴァーで通したと思われるが、基本曲リフを部分抽出し、あとは手癖で流れるみたいな作法を取るので、原曲がよくわからない。ウッドが特徴的なベース・リフを繰り返すので、トーキング・ヘッズの「ワンス・イン・ア・ライフタイム」だけは良く分かったが。総じては、インタープレイを柱に置くけっこうハード目で風通しの良いロック・インストという感じもあったか。

▶︎過去の、ウェイン・クランツ
http://43142.diarynote.jp/201002211122268480/
▶︎過去の、ネイト・ウッド
http://43142.diarynote.jp/201308251333326263/
http://43142.diarynote.jp/201510021221454336/

<今日の、ウッド>
 えええ、ニーボディの辣腕ドラマーであるはずのネイト・ウッドがベースを弾くのかと驚く人もいるかもしれぬ。彼はソロ作を3枚出していて、それはXTC的なしなやかさを持つシンガー・ソングライター盤であるし、また一方ではミックスやマスタリング・エンジニアとしてNY現代ジャズ界で滅茶売れっ子。佐藤浩一もわざわざ日本録音リーダー作の『Melancholy of a Journey』(Song X Jazz、2016年)で、ウッドを起用している。こりゃ、話を聞いてみたいと取材をしたら、音大ではドラムを専攻したものの、思っていた以上にバックグラウンドが豊かな、かつ腰がとても低い人だった。両親は共にミュージシャンで、父のスティーヴ・ウッドは1990年ごろからケニー・ロギンス表現に関与している、シンガー/キーボード奏者/コンポーザー。スタジオ・ミュージシャンをするとともに、映像に付ける音楽も作っていて、その手のリーダー作も出している。実は、卓いじりは父親の作業を見て覚えたのだとか。一方、母親はシンガー・ソングライターのベス・フィシェイ・ウッドで、数枚のリーダー作を出している。また、フー・ファイターズ(2002年9月12日)のドラマーのテイラー・ホーキンスは高校時代の友達で、彼のバンドでフジ・ロックにギタリストとして出たことがあると言う(それは勘違いで、2006年に富士スピート・ウェイであったウドー・フェスのことだと思われる)。なお、今回彼だけ奥さん(綺麗ぽかった)を同伴していたようだが、彼女ともユニットを組んでいる。そんな八面六臂な活動をしているウッドが同様のスタンスを持っていると感じる人は? そのうち、CDジャーナルで記事が出ます。
▶︎過去の、フー・ファイターズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm
▶︎過去の、佐藤浩一
http://43142.diarynote.jp/201410251055118180/
http://43142.diarynote.jp/201607121045394372/

大西順子

2016年10月28日 音楽
 ジャズ・ピアニストの大西順子(1999年10月9日、2007年9月7日、2010年9月30日、2010年12月22日、2011年2月25日、2011年8月6日、2015年9月6日)の新作『Tee Times』(Taboo)をフォロウする公演。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。

 梅雨どきに出された新作は菊地成孔(2001年9月22日、2002年1月5日、2002年11月30日、2004年7月6日、2004年8月12日、2005年6月9日、2006年1月21日、2007年11月7日、2009年7月19日、2010年3月26日、2011年4月22日、2011年5月5日、2011年7月31日、2013年3月26日、2013年7月27日、2014年2月20日、2014年4月3日、2014年9月7日)のプロデュースによるもので、このショウも彼が十全に見てのものだろう。『Tee Times』と同様に、現代的な歪みを持つトリオ表現(3曲)、ホーン・セクション群がついたもの(3曲)、ラップ付き(1曲)の3種が披露された。

 基本となるのは、アルバムと同じ顔ぶれであるウッド・ベースのジュニオール・テリー(2007年11月21日、2010年5月30日、2010年8月22日、2011年12月8日、)とドラムのテリオン・ガリー(2006年9月17日、2010年3月23日、2012年6月19日)というリズムを擁するトリオによる演奏。まず、これが破格。テリーとガリオンのヒップホップ〜サンプリング感覚を自在にジャズ流儀生演奏に持ってきたようなリズム・セクション音が格好良くも気持ちよすぎるし(⇦本当に、すごっ)︎、そこに乗る大西のピアノも獰猛にして、エモーショナル。ある種のうれしすぎるブラックスネスを介するその癖あるフレージングは日本人唯一であり、アンドリュー・ヒルとかそういうアフリカン・アメリカン逸材を思い浮かべたくなるものではないか。そして、それを引き出す、菊地作の楽曲も冴えている。このトリオだけでやる日もあったら、ぼくは生理的に失禁するかもしれない。

 サックスの庵原良司と近藤和彦と鈴木圭と高橋弥歩、トロンボーンの半田信英と笹栗良太と山城純子、トランペットの中野勇介と菅坡雅彦と菅家隆介という10人の菅奏者がつく曲は、トリッキーさも散りばめた菅音がトリオ音に差し込まれる。うち、2曲はアレンジをした挾間美帆(2014年7月10日、2015年10月15日)が指揮し、もう1曲は菊地成孔が司る。ジョージ・ラッセルの難曲「クロマティック・ユニバース」の際に、菊地は指揮したんだっけ? なかなか日程/金銭的に困難とは思うが、鋭敏に綻びた現代ピアノ・トリオと非日常に悠々たゆとうような菅セクション音(弦セクション音も)が縦横に全面的に渡り合うものも聞いてみたいと切に思う。また、日本語ラップ付き曲では、SIM LABのOMSB (2013年3月26日、2014年2月20日)と菊地が入って広がりを加える。アルバムを聞いたときも思ったが、日本語でも何語でもいいんだけど、もっとクール(もしくは、無意味)なリリックでもっとダイナミックなものでないと大西の世界には合わないと、ぼくは思う。

▶過去の、大西順子
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http://43142.diarynote.jp/201012241100592422/
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http://43142.diarynote.jp/201509220833541918/
▶過去の、菊地成孔
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-9.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-1.ht
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200407062149440000/
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▶︎過去の、ジュニオール・テリー
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▶︎過去の、テリオン・ガリー
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▶過去の、挾間美帆
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▶︎過去の、OMSB
http://43142.diarynote.jp/?day=20130326
http://43142.diarynote.jp/?day=20140220

<今日の、主役>
 大西は、とってもうれしそうにピアノに向かっていた。MCも軽やかだった。休養/引退〜復帰をエキセントリックに繰り返しているということで、ぼくのなかでは大西とヴァン・モリソンの姿をほんのすこし重ねたくなってしまう。選ばれた表現者の業の深さとは、そういうもの。それは致し方ない。気分がノったときは人前に出て颯爽と演奏してほしい、そう願うだけだ。ところで、彼女の生理的に重く、のたうつ指さばきに触れながら、1903年生まれのジャズ初期重要ピアニストであるアール・ハインズのこともちょい頭に浮かんだ。俺、ずっと前からハインズのことをきっちり聞かなきゃいけないと思っていて、それを果していない……。

 ミナス・ジェライス州出身のブラジル人ギタリスト、トニーニョ・オルタ(2010年10月7日)の関便ソロ・パフォーマンスをブラジル大使館で見る。旧友ミルトン・ナシメント(2003年9月23日)の「トラヴェシア」、その他ではコーラスもほのかに観客から湧く。熱心なファンが集まっていたんだろうな。ちゃんとした技量の先にある出身地に根ざしたアンビエンンスが大きな魅力であるオルタだが、ショウに接していて、彼自身から浮き上がる人間的な魅力もまた不可欠なものなのだと実感した。

▶過去の、トニーニョ・オルタ
http://43142.diarynote.jp/201010110934082197/
▶過去の、ミルトン・ナシメント
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-9.htm

 その後、渋谷・O-Eastに向かい、フランスが生んだ異才著名文化人ピエール・バルー(2010年7月11日)のサラヴァ・レーベルの設立半世紀を祝う公演を見る。

 途中から見た1部は、おおくぼけいと薔薇色シャンソン楽団(ピアノのおおくぼけい 、サックスやフルートの山口宗真 、ベースのうのしょうじ 、ドラムの中島肇 )の伴奏のもと、優河と戸川純が歌った。ぼくはそれほどサラヴァ・レーベルには明るくないが、披露された曲は、きっとバルー/サラヴァ関連曲であるのだろう。結構、日本語歌詞がついたものもあるのかな。ロリータ・ファッションに身を包む戸川はフランス語で歌っていた。あれ、ルイス・フューレイの英語曲「ハスラーズ・タンゴ」を歌っていたのは、彼女だったっけ?

 休憩を挟むと、サポートをするバンドが変わって、大友良英が率いるバンドがつく。ギターの大友良英(2002年3月17日、2003年6月28日、2004年2月6日、2004年10月10日、2004年11月7日、2005年4月26日、2006年1月21日、2006年4月18日、2007年4月21日、2009年5月31日、2011年6月8日、2012年3月21日、2013年7月13日、2016年9月4日)、キーボードの江藤直子(2013年7月13日、2013年11月27日) 、キーボードやアコーディオンの近藤達郎、縦ベースの水谷浩章(2002年3月17日、2004年1月21日、2004年2月6日、2004年10月10日、2005年2月19日、2006年1月21日、2006年10月25日)、ドラムや打楽器の芳垣安洋(2004年2月6日、2004年10月10日、2004年11月7日、2005年4月26日、2006年1月21日、2006年4月18日、2007年4月21日、2009年5月31日、2011年6月8日、2012年3月21日、2013年7月13日、2016年9月4日)という面々なり。

 そして、ナナ・ヴァスコンセロス役となるビリンバウの渡辺亮(2012年5月15日、2015年11月18日)、それから娘のマイア・バルー(2009年7月26日、2010年2月25日、2010年7月11日、2015年4月2日)、中村中、エゴ・ラッピンの中納良恵(2004年2月5日、2005年7月31日、2005年8月17日、2006年11月17日、2006年12月13日、2009年8月8日、2009年11月1日、2010年8月4日、2011年5月21日、2013年11月1日)の3人のシンガーが絡み、さらには優河も入り、バルーの奥さんのアツコ・バルーも通訳としてステージに上がる。

 締めで出てきたパルーも3、4曲ほど歌う。82歳、猫背で老けたなという感じはあるがほんわかしつつお元気そうで、ヴォーカルも疑問なく味あり。彼の名前を広めた映画「男と女」の主題歌は一人歩きしすぎて封印していたそうだが、それも披露。最後は全員でフィナーレ、フロアに降りたりもした。

 伴奏陣の顔ぶれが示唆もするように、音楽的な奥行きは多彩。ある種、ノリが歌謡ショウみたいだとは思ったが、往年のフランス文化の不思議な広がりや含み、それに憧れる日本人感性の在り処(女性客が多く、休憩時トイレには長蛇の列)が随所で示されていた出し物であったのは間違いない。バルーが抱えた許容性やしなやかさも、また同様に。

▶︎過去の、ピエール・バルー
http://43142.diarynote.jp/201007130731368326/
▶︎過去の、大友良英
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm
http://43142.diarynote.jp/200402061359140000/
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http://43142.diarynote.jp/?day=20041107
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http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
▶過去の、芳垣安洋
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-7.htm 29日、ROVO
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-9.htm オーガニック・グルーヴ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-3.htm ONJQ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm ONJQ
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▶過去の、江藤直子
http://43142.diarynote.jp/?day=20131127 大友良英あまちゃんバンド
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▶︎過去の、水谷浩章
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http://43142.diarynote.jp/200502232040290000/
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http://43142.diarynote.jp/200611020833520000/
▶過去の、渡辺亮
http://43142.diarynote.jp/?day=20120515
http://43142.diarynote.jp/201511191454294398/
▶過去の、マイア・バルー
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http://43142.diarynote.jp/201002280942269300/
http://43142.diarynote.jp/201007130731368326/
http://43142.diarynote.jp/201504041111279689/
▶過去の、マイア・バルー
http://43142.diarynote.jp/?day=20090726
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http://43142.diarynote.jp/201504041111279689/
▶︎過去の、中納良恵
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http://43142.diarynote.jp/200508060622480000/
http://43142.diarynote.jp/200508230542360000/
http://43142.diarynote.jp/200611190321510000/
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http://43142.diarynote.jp/200908181435528052/
http://43142.diarynote.jp/?day=20091101
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http://43142.diarynote.jp/?day=20131101

<今日の、ルーティン>
 その後流れた店(店主、広島県出身の好漢)で、日本シリーズの話になる。カープ、崖っぷちなのか。カープの日本シリーズ進出が決まったとき、実は広島にいて、昼間TV試合放映に群がる人々を見て同地のカープの存在の大きさを目の当たりにしたのだが、そのときはサンフレッチェも同様でありますようにとしか思わなかった。サッカー的なノリで、広島にやってきたファイターズの面々にいかに実力を出せないようにちょっかいを出すかというのを適当にしゃべったら感心され、お勘定をまけてくれた。その後に行ったお店は関東出身のくせにセレッソ大阪サポが店主を務める。こちらでは、とうぜん野球の話は出なかった。

オーウェル

2016年10月25日 音楽
 今、世界でトップ級にポップなメロディを提供しているフランスの珠玉のポップ・ユニット(2015年10月13日)が昨年に続いて来日した。代官山・晴れたら空に豆まいて。

 今回はシンガーでありソング・ライターであるジェホム・ディドロが単身来日し、日本人ミュージシャンたちがサポートする。両者の間にはちゃんと敬愛を基に置く“つながり”が見られて、接していて気持ちいい。アンコールは、仏有名曲の「オー・シャンゼリゼ」を歌う。お、テテ(2005年3月18日、2007年9月24日、2011年10月10日、2013年11月21日)とトリヨ(2013年11月21日)一緒の公演のアンコール以来、聞く。ベタだけど、ココロ温まる曲であるのは間違いない、

▶︎過去の、オーウェル
http://43142.diarynote.jp/201510180818151387/
▶︎過去の、テテ
http://43142.diarynote.jp/200503240455360000/
http://43142.diarynote.jp/200709261218590000/
http://43142.diarynote.jp/201110141216048509/
http://43142.diarynote.jp/?day=20131121
▶︎過去の、トリヨ
http://43142.diarynote.jp/?day=20131121

<今日の、いい人>
 http://43142.diarynote.jp/201602040957261258/ の欄外に書いたようなやりとりもある彼、一緒に来ていたガールフレンドと小さい長男をフレンドリーに紹介してくれる。ステージでは奥さんと紹介していたが、フランス人は籍を入れないカップルも多いからな。

 丸の内・コットンクラブ(入場時に同店の名前入りのピックを配っていた)で、1960年代にぶいぶい言わせたブリティッシュ・ビートのバンドを見る。エリック・クラプトン(2006年11月20日)、ジェフ・ベック(2009年2月6日、2015年9月27日)、ジミー・ペイジという3人の著名ギタリストが在籍したことでも知られるリジェンダリーなグループで、現在はドラマーのジム・マカーティを中心に活動している。現在オリジナル・メンバーは彼だけで、他の4人は全員アメリカ人。歌/ギター、ギター、ハーモニカ/パーカッション、ベースという布陣で、うちぼくが一番興味ひかれたのは、ギタリストのジョニー・A。ボストン出身で自らアーシー傾向にあるギター・インストのリーダー作も出している彼は、元J.ガイルズ・バンドの看板シンガーであるピーター・ウルフの1990年代の2作品をプロデュースしている人物であるから。まあ、それっぽい佇まいを出しつつ(アンプやマイクの拾い方には気をつかっていたよう)、わりとフツーだったのには少し拍子抜けしたが。

 1943年生まれのマッカーティは年齢より若く見え、かなり元気。リード・ヴォーカルをとった曲も1曲あったが、それも確かだった。披露した曲はUKのブループ・サウンズと言いたくなる曲調のものと、ブルース基調曲の2パターン。それ、大雑把に言ってしまうのなら。本編最後の曲は、レッド・ツッペリンのデビュー作にも収められていた同バンドの十八番サイケ・ブルース曲「幻惑されて」。これ、ジミー・ペイジがヤードバーズ時代に書いた(シスコ生まれのシンガー・ソングライターのジェイク・ホームズの同名曲をパクったという言い方のほうが適切か)。末期ヤードバーズのライヴにはロバート・プラントも関わり、それがレッド・ツッペリンに移行したという経緯がある。

▶過去の、エリック・クラプトン
http://43142.diarynote.jp/200611221236140000/
▶過去の、ジェフ・ベック
http://43142.diarynote.jp/200902080200527638/
http://43142.diarynote.jp/201510021129591335/

 その後は、六本木・ビルボードライブで才気走ったNYのロック・トリオであるブロンド・レッドヘッド(2002年1月27日)を見る。日本人女性のカズ・マキノとイタリア人男性双子のアメデオ(キター、歌)とシモーネ(ドラム)のパーチェ兄弟からなる。すげえな、20年以上変わらず同じメンバーでやっているというのは。

 そして、実演に触れ、才能を持つ人たちがじっくり腹をくくって(?)やっている表現はやはり傾聴に価すると痛感してしまった。かつての棘やひしゃげた感覚を取りばめていた頃と比べると、だいぶメロウになり(奥行きや風情は増した)、マキノはギターだけでなくキーボードを弾く曲も増えていたし、楽器を弾かずに歌に専念する場合もあった。どっちにしろ、視点とクリエイティヴィティを抱えた我が道を行く都市型ロックを作り出しているのは疑いがないわけで、うんうんと頷きながら実演に接する。照明はかなり暗く、MCも全然しないので、事前に知らないとマキノは日本人と分からないかもしれない。けっこうレギュラー・グリップで叩いていたシモーネ・パーチェはグルーヴを持つ人ではないが、かなり秀でた叩き口を持っていておおいに魅了された。

▶︎過去の、ブロンド・レッドヘッド
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-1.htm

<今日の、情報>
 上でちらりと触れているピーター・ウルフの6年ぶりの新作『A Cure for loneliness』がこの夏にコンコードから出た。枯れた訥々方向を基本追求した1作でやはり、ぼくは大きく頷く。共同プロデューサーはウルフの近作3枚を制作しているケニー・ホワイトで、スティーヴ・ウィンウッド(2003年7月27日)の作詞パートナーであるウィル・ジェニングスとのコンビで書いた自作曲が4曲入っていたりもする。また、J.ガイルズ・バンド時代の1980年曲「ラヴ・スティンクス」のブルーグラス味再演もあり。うーぬ、数年前にJ.ガイルズ・バンドのマジック・ディック(2013年11月22日)も来ているし、ウルフも久しぶりに来日しないものか。
▶︎過去の、スティーヴ・ウィンウッド
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-7.htm フジ・ロック
▶︎過去の、マジック・ディック
http://43142.diarynote.jp/201311230759577101/
 ピーター・バラカンがキュレイトする音楽フェスティヴァル、今年で3年目。やはり、いろんな人と会ったなあ。恵比寿・ガーデンホール。

 13時からのサニー・ランドレス(2003年5月25日、2012年5月27日)に合わせて、会場入りする。お、なんか昨年よりも混んでいるような……。で、客の年齢層の高さをすぐに感じ、これぞライヴ・マジックなんだよなあなぞとも感じる。今回、小さなお子さんづれもがこれまでよりいたかもしれない。ま、どっちしろ、音楽好きシニア層のくつろいだ文化祭という感じですね。→だからこそ、もう少し知り合いと座って話をできるスペースがあればと思うけど。

 ランドレスは、ベーシストとドラマーを擁するトリオにて。そのパフォーマンスに接して、すぐにククククとなってしまう。もうバカみたいなスライド奏法の名手。小指にはめたバーが魔法の杖のように見えた。なんちって。もうキレを伴う音程の正確さ、フレーズの豊富さはこりゃ他の追随を許さない。とともに、それはブルースの枠を遥かに超えるもので、前回来日時にも似たようなことを指摘しているが、その総体は米国のプログ・ロックなるものと言いたくなる。ランドレスの歌は弱いので、そういう行き方は正解。ちょっとでもスライド奏法をやろうとしたことがある人なら分かるだろうが、まさしくスペシャル・タレント。お金がとれるよなあ。
▶︎過去の、サニー・ランドレス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-5.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20120527

 小ホールに登場したジャック・ブロードベントはアーシー&剛毅な英国人シンガー/ギタリストでソロでの演奏。座ってやっていたので、その様は後方からはほぼ見えなかった。カヴァーも披露していて、リトル・フィート(2000年12月8日、2012年5月22日)の「ウィーリン」が始まったさいには歓声があがる。お客さんは、そういう愛好層が多いんだろうな。
▶過去の、リトル・フィート
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-12.htm
http://43142.diarynote.jp/201205301327209613/

 大ホールに登場したバンバンバザールは意気揚々。いろんな米国ルーツ・ミュージックを下敷きにするグッド・タイムな、手作り洒脱表現を悠々展開。彼らには粋な印象を持っていたが、MCは無粋と感じさせる邦楽のノリのそれでがっかり。オレ、本当ペラペラ喋るMCが苦手でしょうがない。でも、彼らが主催する酔狂(?)フェス<勝手にウッドストック>には一度行ってみたい。ライヴ・マジックの小ホールやラウンジに出るような人たちが、そこにはいろいろ集まると書けるかもしれない。

 1960年代下半期ラテン・ソウルの逸人、ジョー・バターンも大ホールに登場。歌とキーボードの当人とコーラスの奥様を、10人強の日本人奏者たちがサポート。南条レオがベースを弾いていたので、彼がひきいるサルサ・バンドのセントラルの面々が中心だったのかな。晴れやかなショウで、浮き浮きできた。ラテンとR&Bが交錯し合う闊達なストリート感も持つ表現の誘いや広がりの感覚は今も色褪せず。というか、ソウル流れなのかお洒落なコード使いを感じさせるところもあり、クラブ・ミュージック期以降だからこそアピールする部分もあるか。彼は「ハイアー」と連呼をするときもあるのだが、なぜかスライ・ストーン(2008年8月31日、2008年9月2日、2010年1月20日)との親和性を感じさせるところに、彼の吹っ切れ具合や折衷性が現れていると言いたくなる。「お父さんはアフリカン・アメリカン、お母さんはフィリピ―ノ。そして、心はラティーノ。だけど、今日はジャパニーズ」というMCもうまいっ。
▶過去の、スライ・ストーン
http://43142.diarynote.jp/200809011923060000/
http://43142.diarynote.jp/200809071428140000/
http://43142.diarynote.jp/201001211346277187/

 今年は英語圏以外のアーティストが少ないような気がしたが、そうしたなかワールド系興味を集めたかもしれないのが、ノルウェーから来たアルヴァス(小ホール)。女性シンガーのサラ・マリエル・ガウプとウッド・ベース/歌のスタイナー・ラクネスからなるデュオだ。女性の方はサーミ族の血を引き、その民族音楽のヨイクの歌唱を露わにしたりもする。一方、ラクネスはかつてノルウェーの清新ジャズ・トリオとしてぼくが注目していたアーバン・コネクション(2003年11月17日、2004年11月16日)のベーシストだが、ここでの演奏にジャズっぽさはあまりなし。米国渋味表現を思わす骨太リフをずんずん弾き、こちらはアクの強い声で歌う。
 
 そんな両者が絡み合う表現はヨイクと渋味ロック流儀がマッシュ・アップしたものと説明できるか。けっこう重層的というか、構成の妙で先が読めないと思わせる部分もあり。ベース音にはエフェクターをかけたり、弓弾き音を淡くループさせるときもある。北の国の、傾向外の大人のおとぎ話的ポップスという所感を受けた。
▶︎過去の、アーバン・コネクション
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200411170828460000/

 トリで大ホールに出たのは、吾妻光良(2007年7月22日、2010年5月29日、2010年11月20日)&スウィンギン・バッパーズ。ははは、手慣れているな。もう、客席わきっぱなし。そろそろリタイアしているメンバーもいるはずだし、とっとと海外楽旅に出てください。
▶︎過去の、吾妻光良
http://43142.diarynote.jp/200707232253550000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100529
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<今日の、サーヴィス>
 途中、がっつり食事タイムを取る。都内でやるフェスはそれができるのでありがたい。別に美食家でもなんでもないが、ザワついた中で半端に食事をするのが少しイヤ。それについては、歳をとったのかなあと思う。今回フェスにはマスター・カードがスポンサーとして、新たについていた。そして、カード保有者が5,000円以上のカード使用履歴を提示すると、フリー・ドリンク/フリー・マッサージを享受できるというサーヴィスをしていた。マスターがメインで使っているカードではないが、月に2、3万は使っているよな。だけど、普段そんな記録持ち歩いているわけないじゃん。HPにもそんなことは告知されていなかったよな? 知人は携帯に取引履歴が入っていて、それを見せてサーヴィスを受けていた。今、皆んなそうなの? 側のモールで買い物をして、5000円分飲むということも一瞬考えたが、却下。後から考えると、そうしてもよかったかも……。
 渋谷・映画美学校試写室で、2015年スイス/キューバ映画の「ホライズン」(原題は、Horizontes)を見る。キューバと同国に一般文化として息づくバレエの関係を切り取ろうとしたドキュメンタリー映画で、1975年生まれのスイス人女性であるアイリーン・ホーファーが監督している。

 キューバにおいてバレエが盛んであるというのは、寡聞にして知らなかった。だが、同国の様々な教育水準の高さを伝えきく分には、そうであってもなんら不思議はない。映画は、3人のキューバに住む女性バレエ・ダンサーを題材に用いる。

 一人は、世界のバレエ界のトップにいたアリシア・アロンゾ(1921年、ハバナ生まれ。彼女は20歳になる頃から網膜剥離が進み、手術を繰り返すものの視力をかなり失ったが、踊り続けた)。金持ち軍人の娘で10代から米国や英国に出てバレエを学び、1948年に母国に帰国して以降は、バレエ学校も作り、キューバにおけるバレエ普及に務めた偉人。95歳になった今も、後進の指導に務めている。さらには、現在のキューバ・バレエ界のスターのヴィエングセイ・ヴァルデス(1976年、ハヴァナ生まれ。昨年も東京に踊りに来ている)と、14歳のバレエ学校の生徒であるアマンダ・デ・ヘスス・ペレス・ドゥアルデ。かような年齢違いの3人のダンサーを扱うことで映画はキューバにおけるバレエの位置、同国のバレエ界におけるアロンゾの大きさを語ろうとする。別に荒かったりするわけではないのだが、その構成/編集はぼくには分かりにくい部分もあった。

 アロンソは旧体制の恩恵を受けて国外に出てバレエの才能を開花させた人物であるが、帰国後はずっとキューバに拠点を置いたことが示すように革命支持者であったよう。映画では、アロンゾとフィデル・カストロとの仲良し交友を示す昔の写真が何葉も紹介される。カストロの覚えもめでたかったことは、キューバにおけるバレエ普及につながっただろう。カストロは野球好きでそのため同国で野球が盛んになったわけだが、もしサッカー好きだったら、中南米のサッカー地図はどうなっていただろうか。片腕のチェ・ゲバラはアルゼンチン生まれらしくサッカー好きとも伝えられるが、“革命家”はそちらの趣味をゴリ押しすることはなかった(、たぶん)。

 とかなんとか、20年前に行ったハバナ(嫌米を取りつつ、確か観光客はドルしか使えなかった)の風景を覚醒させつつ、映画に散りばめられたパズルの断片を拾い上げ、いろんなことを思い浮かべてしまうな。今年、キューバと米国の国交が復活したわけだが、それはキューバの人々の生活、芸術/芸能の営みにはどういう変化をもたらすのか。この9月あたまにインタヴューした在ハバナのピアニストであるアロルド・ロペス・ヌッサ(2014年7月19日、2016年9月3日)は何も変わんないと言っていたけど……。映画は11月上旬から公開される。

▶︎過去の、アロルド・ロペス・ヌッサ・トリオ
http://43142.diarynote.jp/201407221705302936/
http://43142.diarynote.jp/201609201032322395/

<今日の、映画音楽>
 その音楽には疑問を感じてしまった。いわゆる効果音的な劇伴(一方、バレエを踊るシーンでは、ダンス伴奏たるクラシックが用いられる)でジュリアン・パイノとレディスラフ・アガベコフというスイス人クリエイターを使っているのは別に問題はない。だが、劇中やエンド・ロールで、スイス人女性シンガーのハイジ・ハッピーの英語による響きの感覚も持つ内省フォーキー曲を大々的に使っているのはどうしたことか。映画中ではスペイン語が使われ、すべて舞台はキューバであるのに、何故にまったく位相の異なる欧州英語曲(それ自体は悪くない)を意味ありげに持ってくる? なんか、音楽好きのぼくは居心地の悪さを覚えずにはいられなかった。

デ・ラ・ソウル

2016年10月17日 音楽
 デ・ラ・ソウル(2010年1月28日)の11年強ぶりのスタジオ新作『And The Anonymous Nobody…』はやっぱりいい感じだ。クラウド・ファウンディングにかけたら設定額の4倍が集まったという話題もうれしい、感覚しなやかポップ派ヒップホップの面目躍如盤。スタジオ録音/作業の放蕩の限りを尽くした結果の肉声と音の万華鏡には、笑みを浮かべてしまう。

 六本木・ビルボードライヴ東京、ファースト・ショウ。メンバー3人だけによるショウ。どんなふうになるのかと思ったら、前回来日公演を継ぐような、オールドスクールとも言える、肉体派路線で突っ走る。それは、見た目の体格や格好の方もまったくもってそう。確かにあの精緻かつ華やかな内容を3人で生の場で出すのは不可能なわけで、それをクールに認める本人たちもスタジオとライヴを完全に分けて考えているんだろう。そのあまりの落差には、逆に愛おしくもなってくるかな。

 面々、冒頭で客を強制的に立たせる。ハハハ。そして、2曲目だか終わったあたりでも、まだ立ってねえ奴がいる&手をステージにかざしていない奴がいると、ダメだし。ただし、それは陰険な感じではなく、少しお茶目な感じであった。そう、力こぶ路線で行くぶん、観客とのやりとりに力点を置いている感じは大いにあり。そして、サンプリング系ビートに乗る肉声の様々な感興はこれでもかと受け取れた。そして、それこそはヒップホップの基本の魅力であるとも、パフォーマンスは示していたろう。

<今日の、忘れ物>
 面々は、携帯電話の写真撮影用のライトをかざさせる場面もあり。そういえば、久しぶりに携帯電話を家に置いたまま、出かけてしまった。別に外でネットをひく趣味はないのでそんなに支障はないのだが、外出時は完全に時計として使っているので、時間を知りたいときに即それが分からないのはつらい。原稿の締め切りを含め、ぼくはかなり時間に正確なほうだと思うが、けっこう時刻は日々マメにチェックしているのかもしれぬ。

 ブルージィ&ジャジーな米国人シンガー・ソングライター(2009年4月13日、2009年9月5日)と洒脱なブラジル人シンガー・ソングライターの双頭名義公演を、六本木・ビルボードライブ東京で見る。初日のファースト・ショウ。

 一見???な組み合わせだが、両者の間を取り持ったのは、ソング・ライターとしてこの二人は合うんじゃないかと考えたジェシー・ハリス(2002年12 月21日、2005年9月7日、2006年1月23日、2006年4月22日、2007年3月11日、2009年3月31日、2010年10月10日、2011年8月6日、2012年7月16日、2013年5月26日、2016年4月27日、2016年9月8日)。なるほど、ハリスのブラジル録音作『サブ・ローザ』にはともに入っているし、ガルドーはアルデニのアルバムに関与している。ちなみにアルデニはリスボン在住で、ガルドーも欧州にいることが多いという。

 まずは、そういう密かなミュージシャン・サークルがあったわけだが、それを軸とするライヴに加わった奏者たちにも興味惹かれる。ベーシストはブラジリアン・ポップ音楽界No.1ベーシストのダヂ(2013年5月26日、2014年7月21日、2014年7月23日。彼もハリスと仲良し)だし、ピアノとキーボードはブラジル人巨匠ギタリスト/作曲家の息子であるフィリッペ・バーデン・パウエル。そして、さらには主任ギタリストとして、ここに加わった米国人のミッチェル・ロングはガルドー・バンドの一員だ。

 そんな5人によるアコースティックなパフォーマンスは、実に肩の力が抜けたもの。6割の力(それは、後半ガルドーが声を大き目に声を出した場面があり、それで強弱の幅がありすぎるのを実感する)で繊細に歌声や楽器音を重ね合う様は墨絵のごとく。うーむ、名人芸だ。少し驚いたのは、ガルドーとアルデニがほぼデュエットという形で歌っていたこと。ガルドーは結構ポルトガル語もできると聞いたが、なるほどポル語で歌われる曲が多かったか。

 楽器音のぶつかりを極力避けようとするためか、ガルドーは一切ギターを持たず、アルデニもあまりギターを手にしなかった。ようは、主ギタリストは一部カヴァキーニョも手にしたロングが担う。その代わり、ガルドーやアルデニは膝や身体をパーカッションのように叩いたりもし、ほのかな打楽器的な音を出す。結構、そこらあたりのシンプルにして、間がある設定は偶然かもしれぬが、高いミュージシャン力あってこそのものだろう。

 溢れる哀愁。ながら、様々なものが自然に織り込まれた総体は時にどこかシャンソンぽかったり、ファドのような手触りを感じさせる時も。なるほど、これは現代都会生活者のフォーク・ミュージックなのだと、ぼくは思った。

▶︎過去の、メロディ・ガルドー
http://43142.diarynote.jp/200904150840164356/
http://43142.diarynote.jp/200909120648439512/
▶過去の、ダヂ
http://43142.diarynote.jp/201305280925006733/
http://43142.diarynote.jp/201407221737554384/
http://43142.diarynote.jp/201407261219061857/
▶過去の、ジェシー・ハリス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-12.htm
http://43142.diarynote.jp/200509130315380000/
http://43142.diarynote.jp/200601271859050000/
http://43142.diarynote.jp/200604251252010000/
http://43142.diarynote.jp/200703130418360000/
http://43142.diarynote.jp/200904040640421651/
http://43142.diarynote.jp/201010111257003810/
http://43142.diarynote.jp/201108101632022013/
http://43142.diarynote.jp/201207180824136323/
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http://43142.diarynote.jp/201605141103337291/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160908

<あららの、ブラジリアン・ウィーク>
 10月7日、10月8日、10月9日、10月12日、そして、本日。と、ブラジル人が出演する公演が、8日の間に5つも続いた。なんか、すごい。MCは皆さん、英語でしていましたね。

ザ・たこさん

2016年10月13日 音楽
 やったあ! やっと見れたあ。ぼく、大阪のファンク・バンドであるザ・タコさんの大ファン。少なくても、CDにおいては。ライヴも見たくて見たくてしょうがなかったんだけど、やっと見ることができた! 

 渋谷・クラブクアトロ。前座で、交流のある京都の4人組、騒音寺がパフォーマンス。いろものロックンロール・バンドね。その後、主役が出てくるまでの間にかかった、JBの下品な日本語カヴァーが最高で笑い転げる。どうやら、王様のヴァージョンのよう。すごいな。

 そして、ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムという編成のザ・たこさんのライヴが始まる。ブルース、ファンク、ゴスペル……といった米国黒人音楽要素をわしづかみにして、輝きまくった自分たちの表現として出す様には惚れ惚れ。ヴォーカルの安藤八主博はとっても声がデカく、キャラにも富む。3人の演奏陣も過不足なく良い。とともに、彼らは日本語の歌詞の乗せ方が最高。コレはすごい。まったくもって、音楽的偏差値の高いバンドであると思う。もう終始ドキドキし、ケラケラ。これだけ、立って見ているのがつらくないバンドも珍しいっ。

 後半にはオオサカズと名乗る菅2、鍵盤2、ギター1、打楽器奏者が加わり、厚みを加えた。

<今日の、喜び>
 ライヴ前に、ザ・たこさんの取材をやった。うれしいというしかないな。皆さん、素敵でした。ギターの山口しんじからは、彼が別にやっているTHE FAMILYTONEというバンドの『南部の掟』(GRAND TANIYON、2015)をいただく。ちょいチル・アウト傾向にある、アーシー表現と言えるか。曲によっては、ザ・ミーターズ要素も入る。彼らは、オーサカ=モノレールのシャウト・プロダクションの所属。この日は、6作目『カイロプラティック・ファンクNo.1』のレコ発を兼ねるものだが、彼らを出すオーサカ=モノレールも偉いっ。

 ビアンカ・ヂスモンチ(2014年6月29日)は、父親であるエグベルト・ジスモンチのことを頭に置かないほうが楽しめると思った。だって、まさに天賦の才を持つ父親のことを横におくと、それは物たりなく感じてしまうもの。それよりもまっさらな状態で、この美形ピアニスト/シンガーに触れたほうがいいだろう。ブラジル音楽やジャズにコネクションを持ちつつ、そこからどうワープするかという彼女の作法を、そのほうがストレスなしに享受できる。丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。

 前回感じた楽曲のデイヴ・グルーシン(2015年11月4日)ぽさはアンコール曲以外はなし。でも、マラカトゥ要素を入れたらしい曲では立ってトライアングルを持って奏でたり、ソロでパフォーマンスしたり(ジョビンの「ラメント」。自身、クレイジー・アレンジで、と紹介していた)と、表現の出し方はいろいろと広がった。低音の歌声の持ち主でときにスキャットも嚙ますが音程は、全般的に甘い。中央に位置する電気ベーシストも結構スキャットを嚙ますが、前回よりは頻度は減ったか? 彼のスキャットは真っ当だが、なんかヨガり声っぽく感じられてしまい、ぼくには気色悪い。年齢が一回り上の旦那であるドラマーは、今回の演奏のほうがずっと興味深かった。やっぱり随所にブラジル的因子が感じられるものであったよなあ。

▶︎過去の、ビアンカ・ヂスモンチ
http://43142.diarynote.jp/201407030943343160/
▶過去の、エグベルト・ジスモンチ
http://43142.diarynote.jp/200807041128510000/
http://43142.diarynote.jp/201303290753133066/
▶︎過去の、デイヴ・グルーシン
http://43142.diarynote.jp/201511060854338289/

 次は渋谷の7th.Floorに行き、ポーランドのシンガー・ソングライターのマルツェリナのライヴを見る。生ギターを弾く二人の男性を従えてのショウ。男性陣はバスドラを踏んだり、足に鳴り物をつけていたりし、マルツェリナもピアニカを吹くときもあった。

 英語でMCした彼女は、曲も基本英語で歌う。で、これが普通に質を持ち、普通に米英のロックに触れて育ってきたことがわかる。また、ヴォーカルが印象的な声質のもと訴求力を持つもので、これが普通にアメリカに住む女性で、強いマネイジメントと契約を交わせたなら、キャラも快活だし、それなりの人気が出そうと思った。カントリーぽいのをやるわと言って披露した曲は、ブルージーな曲だった。

 その後、近くのファンキー・ヤキトリ・バーの もりげん に寄ったら、なんとライヴをやっている。ぼくが入ったときは終盤だったが、元ヒューマン・ソウルのシンガーのJay公山のショウ。自らキーボードを弾いて歌ったり、カラオケを流して歌ったり。横にはコーラスをつける若者がいて、そちらはファルセット主体。聞けば、24歳の彼は息子さんなのだとか。なんかいい図ではあったな。

<今日の、RIP>
 二人のミュージシャンの死を聞く。享年、47 歳と60歳。ともに一度だけ、インタヴューしたことがある方々で、印象が良いんだよなあ。
 ブンブンサテライツ(2002年11月16日、2005年2月6日、2008年8月10日)の川島道行さんはバルセロナから戻った翌日午後の早い時間の取材というしびれるシチュエーションだった。知人のハンサムな旦那さんに似ていて、なんか既知感をたんまり持ってしまったっけ。それから、バリトン・サックスをメインとするリードやドラム/打楽器を見目麗しく扱っていた宮本大路さん(2011年2月10日、2011年3月28日、2011年8月6日 、2012年6月30日、2013年2月22日、2014年9月7日、2015年1月9日)。この5月には「職質楽師 夢追い日記」(杉原書店)という自著をお出しになった。

▶︎過去の、ブンブンサテライツ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200502101615560000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20080810
▶過去の、宮本大路
http://43142.diarynote.jp/201102121001091213/ 守谷純子オーケストラ
http://43142.diarynote.jp/201104041100266528/ ブルーノート東京オールスター・ビッグ・バンド・
http://43142.diarynote.jp/201108101632022013/ ノー・ネーム・ホーセズ
http://43142.diarynote.jp/201207031354181031/ 三宅純
http://43142.diarynote.jp/201302281046506238/ 守谷純子オーケストラ
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/ ノー・ネーム・ホーセズ
http://43142.diarynote.jp/201501131019359012/ ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラ

 少し前にクリス・デイヴ(2009年4月13日、2009年12月19日 、2010年12月16日、2012年9月21日、2013年9月28日、2015年8月18日、2016年1月25日)の調べ物をしていて、この現代ドラミングの匠がD.C.の名門黒人大学であるハワード大学出と記しているものがあって驚いた。見た目は、只の兄ちゃんだものなあ。その後、彼はNYに出るわけだが、彼がR&Bバンドのミント・コンディション(2006年6月25日、2008年7月26日、2009年7月10日)のメンバーであったことも記されていた。なるほど、かつてデイヴが参画したロバート・グラスパー(2007年10月3日、2009年4月13日、2009年12月19日、2010年12月16日、2012年6月12日、2013年1月25日、2014年8月20日、2015年6月8日)のエキペリエンスの2010年暮れの来日公演にはミント・コンディションのシンガーのストークリーが参加したのにも合点がいった。

 今年2度目の、自己バンド公演。でも、今回も構成員は変えていて、これはチェックしておこうと思わせる。前回公演からザ・ドラムヘッズに関わったキーボードのボビー・スパークス(2007年12月13日、2012年12月5日、2016年1月25日)、ベースのニック・マナック(2013年9月28日、2016年1月25日)と打楽器のフランク・モカ(2016年1月25日)は留任。そして、新たにグループに加わったのが、テナー・サックスのケビー・ウィリアムスとヴォーカル(!)のジャーメイン・ホームズ。おお、シンガーがデイヴのライヴ表現に関与するのは初めてだ。ウィリアムズはアーバン系のレコーディングに関わるとともに、テデスキ・トラックス・バンド(2014年2月11日、2016年4月1日)に結成時から参加しホーン・アレンジなんかもやっている奏者だ。その今年の来日公演の項で、カマシ・ワシントン(2014年5月28日、2015年10月31日)よりソロが独創的かも書いた身としては我が意を得たり、だな。

 結論から言うと、ぼくはこれまでのデイヴのソロ公演のなか一番楽しめた。それは今までで一番サウンド変化に富むと共に、デイヴのドラミングのリーダーシップの取り方の妙を直裁に感じることができたから。ドラミングでサウンドの流れのサインを鮮やかに出しまくる様を、こんなに明快に受けたのは初めて。チャーリー・パーカー、マイルス・デイヴィス、ジミ・ヘンドリックス、フェラ・クティなどの有名曲断片をつなげるという方策は過去のあり方を継ぐものであるが、かなり目鼻立ちが立っていて新鮮。かつ、随所でシンガーがR&B調の歌を入れるのも親しみやすさやサウンドのとっつきやすさをもたらす。それから、ホームズのサックス演奏はやはり耳を引っ張る。彼、なんと3つのマイクを立て、それを使い分けて違う音をPAから出すということをしていた。

▶過去の、クリス・デイヴ
http://43142.diarynote.jp/200904150840164356/
http://43142.diarynote.jp/201001051625155901/
http://43142.diarynote.jp/201012171104366095/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120921
http://43142.diarynote.jp/?day=20130928
http://43142.diarynote.jp/201601260728484520/
▶過去の、ロバート・グラスパー
http://43142.diarynote.jp/200710121727100000/
http://43142.diarynote.jp/200904150840164356/
http://43142.diarynote.jp/201001051625155901/
http://43142.diarynote.jp/201012171104366095/
http://43142.diarynote.jp/201206141342549869/
http://43142.diarynote.jp/201301270742196778/
http://43142.diarynote.jp/201408210931581467/
http://43142.diarynote.jp/201506070919133558/
http://43142.diarynote.jp/201506091124003170/
▶︎過去の、ミント・コンディション
http://43142.diarynote.jp/200606270004200000/
http://43142.diarynote.jp/200807281305320000/
http://43142.diarynote.jp/200907131202486925/
▶過去の、ボビー・スパークス
http://43142.diarynote.jp/?day=20071213
http://43142.diarynote.jp/?day=20121205
http://43142.diarynote.jp/201601260728484520/
▶過去の、ニック・マナック
http://43142.diarynote.jp/?day=20130928
http://43142.diarynote.jp/201601260728484520/
▶︎過去の、フランク・モカ
http://43142.diarynote.jp/201601260728484520/
▶過去の、テデスキ・トラックス・バンド
http://43142.diarynote.jp/201402121439433317/
http://43142.diarynote.jp/201604020743314542/
▶︎過去の、カマシ・ワシントン
http://43142.diarynote.jp/?day=20140528
http://43142.diarynote.jp/201511040742444324/

 その後は、丸の内・コットンクラブに。渡辺貞夫(2002年12月14日、2003年5月6日、2004年12月17日、2005年12月18日、2006年8月8日、2006年9月3日、2006年10月4日、2007年12月16日、2008年12月14日、2009年7月22日、2009年9月3日、2011年7月4日、2012年6月29日、2012年12月15日、2013年4月1日、2013年7月27日、2013年9月29日、2014年7月8日、2014年10月5日、2014年12月14日、2015年12月12日、2016年7月3日)とリチャード・ボナ(2000年12月6日、2002年1月9日、2002年9月19日、2002年12月14日、2004年12月15日、2006年2月16日、2008年10月19日、2010年2月5日、2010年6月6日、2011年1月25日、2012年5月14日、2012年12月15日、2013年12月2日、2015年1月9日、2015年1月11日、2016年7月31日)の双頭名義ライヴを見る。

 サイド・マンの米国人イサム・マクレガー(ピアノ、キーボード)とキューバ生まれで2歳から米国で育ったドラマーのルドィング・アフォンソはボナが連れてきて、長年日本に住んでいるセネガル人パーカッション奏者のンジャセ・ニャンは渡辺の側近奏者だ。歳の差や文化の差異を超えて信頼しあう、二人の関係が軸。弾力とある種のポップネスを持つ演奏や歌がおおらかに飛び出す。それから、驚いたのは、渡辺貞夫がソプラニーノを吹いた曲が2つあったこと。ここ10年ほどはアルト・サックスに専念していたはずだが、これは年末にデイヴ・グルーシン(2015年11月4日)を呼んで持つ『ハウズ・エヴリシング』再現ライヴに備えてのものと見た。

▶過去の、渡辺貞夫
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-5.htm
http://43142.diarynote.jp/20041221210502000
http://43142.diarynote.jp/200512231955480000/
http://43142.diarynote.jp/200608091255180000/
http://43142.diarynote.jp/200609070211000000/
http://43142.diarynote.jp/200610080946310000/
http://43142.diarynote.jp/200712171350530000/
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http://43142.diarynote.jp/200907310048137248/
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http://43142.diarynote.jp/201412281017371613/
http://43142.diarynote.jp/201512151504068292/
http://43142.diarynote.jp/201607100827363436/
▶過去の、リチャード・ボナ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-1.htm
http://43142.diarynote.jp/200412212102130000/
http://43142.diarynote.jp/200602171950040000/
http://43142.diarynote.jp/200810211839169096/
http://43142.diarynote.jp/201002072246423695/
http://43142.diarynote.jp/201006071818281946/
http://43142.diarynote.jp/201102081256565179/
http://43142.diarynote.jp/201205221056242128/
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http://43142.diarynote.jp/201312171132096072/
http://43142.diarynote.jp/201501131019359012/
http://43142.diarynote.jp/201501131648401181/
http://43142.diarynote.jp/201608020805158759/
▶︎過去の、デイヴ・グルーシン
http://43142.diarynote.jp/201511060854338289/

<今日の、気温>
 急に寒くなった。移動のさい、震えまくり。
 恵比寿・ガーデンホール。2番目の出演者の、八代亜紀(2012年11月9日、2014年3月13日)から見る。

  クリヤ・マコト( 2010年2月17日、2010年4月15日、2013年7月12日、2015年7月23日)。アルト・サックスの本田雅人(2011年3月28日、2015年7月23日)、トランペットの中村恵介(2015年7月23日)。ウッド・ベースの塩田哲嗣(2015年9月20日)、ドラムの松山修(2010年3月26日)という面々が、八代亜紀をサポート。彼女の持ち歌なども含め、クリヤは新たにアレンジし直したのかな。サウンドは前のブルーノート東京公演よりも、ジャズぽい。そこに、八代節がヌメッとのる様は一興。じっさい客受けもよく、外国人も興味深く見れたのではないか。

▶︎過去の、八代亜紀
http://43142.diarynote.jp/201211170926496101/
http://43142.diarynote.jp/201403151023031434/
▶過去の、クリヤマコト
http://43142.diarynote.jp/201002191112552825/
http://43142.diarynote.jp/201004180836405961/
http://43142.diarynote.jp/201307160734103127/
http://43142.diarynote.jp/201507251003319800/
▶過去の、本田雅人
http://43142.diarynote.jp/?day=20110328
http://43142.diarynote.jp/201507251003319800/
▶︎過去の、中村恵介
http://43142.diarynote.jp/201507251003319800/
▶︎過去の、塩田哲嗣
http://43142.diarynote.jp/201509231114291174/
▶︎過去の、松山修
http://43142.diarynote.jp/201003280551094942/

 そして、その後はまさに真打ちの出し物、なり。まず、テレーザ・クリスチーナが出てきて、生ギター奏者のカルリーニョス・セッチ・コルダスをバックに、堂々凛として歌う。現代サンバ界に彼女ありという存在だが(って、そんなにくわしいわけではないが)、歌い方のマナー、歌を超えた感情表出がとにかく豊か。そんな彼女の情に富む歌唱に触れて、ここにブラジルの美空ひばりがいるとぼくは唐突に思ってしまったもの。フレキシブリティに富み、いろんな設定のアルバムを出している彼女、新作はサンバ表現のV.I.P.であるカルトーラ・トリビューション盤だが、カルトーラ曲もめっぽう味わい深い。

 そんなクリスティーナの30分ばかしのパフォーマンスが終わると、切れ目なしにカエターノ・ヴェローゾ(2005年5月23日)がステージに出てくる。そして、ギター弾き狩りを悠々と繰りひろげる。メロウと言うしかない歌声もよく出ているし、やはりちょっとした仕草がチャーミング。74歳だが衰えていると感じるところは皆無で、ブラジルというコアとつながった現代ポップ・ミュージックの最たる至宝の一挙一動に引き込まれる。まあ、座ってパフォーマンスしていたので、下半身はあまり見えなかったが、本当夢のような時間を享受。さすが熱心なファンが来ているようで、曲が始まると拍手やどよめきなどが起こる。また、カエターノの求めに従って、シング・アロングとなる曲もあり。場内が、普通じゃない音楽空間になっていたのは間違いない。アンコールではクリスチーナたちも出てきて、和気藹々と共演。ヴェローゾは90分ほどステージ上にいて、言葉をこえた素敵を開示。うーん、もうこんな人はこの後、出てくることか。

▶︎過去の、カエターノ・ヴェローゾ
http://43142.diarynote.jp/200506021846130000/

<今日の、会場>
 カエターノ人気で、この日のチケットは売り切れ。当日券発売もなしということで、場内はどんだけ混むんだかと戦々恐々。そしたら、なにげにギチギチという感じではなく、主催者側の良識を感じた。ま、根本的なことを言えば、スタンディングで提供される催しながら、基本出演者はスタンディング向きではないのではあるが。でも、着席スタイルだと端の席に座っていない限り、容易に飲み物を買いには行けなくなるわけで……。お酒については、プラコップではなくちゃんとグラスでサーヴしているのは、値段は少し高めだが、うれしかった。ただし、ヴェローゾの最中に買おうとしたさいは赤ワインはすでに売れ切れ。代わりに購入した白ワインは注ぎ置きしたもので、温ぬる。それには、大バツを。
 ところで、約1ヶ月前にスイス大使館でこの音楽フェスに向けてのパーティがあったのだが、新任のスイス大使は、このフェスのことを語るのに、その創始者のクロード・ノブの名前も織り込まれるディープ・パープルの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」の歌詞を引用。彼、ぼくと同じような世代なのかな。その際、大使公邸にしつらえられたDJセットはトーレンスのターン・テーブルをはじめハイエンド・オーディオで組まれていて、笑った。それで回す須永辰緒は、敏感すぎると言っていた。司会をしていたのは、ブライアン・バートン・ルイス。ものすごく久しぶりに言葉をかわす。

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