まず、南青山・ブルーノート東京で、本名はブライアン・ジェイムズ・スレッジという、1984年シカゴ生まれ教会育ちのシンガーを見る。ドクター・ドレ、アンダーソン・パーク、コモン(2004年6月11日、2005年9月15日、2015年9月23日)らの近年のアルバムにフィーチャーされるとともに、2016年新作『イン・マイ・マインド』はモータウンから出し好評を得ているている御仁だ。ギター(1曲はベースを弾いた)とPC音出しのカルビン・フレイジャー、ドラムのデビッド・ハッドンを従える編成でパフォーマンスをした。

 おお、歌えるナとは、接してすぐに思う。アルバムで得ていた印象と異なり、ほとんどファルセットを用いないでことを進める。地声がデカそいというのはポイントで、そのためMCも映える。多くはプリセット音を流すのだが、何曲かは彼とギターとドラムという編成にてシンプルに迫る。ほう。ぼくはこっちのほうがグっと来たし、それがいけるというのは本物の証だろう。ただ、この簡素な行き方だと、彼の歌声のエコーのかかり方は過剰目ではないかと思った。

 途中、アル・グリーンの「ラヴ・アンド・ハッピネス」ともう1曲かなりな有名曲(こちらは非サザン・ソウル曲だったが、なんだったかは失念)を短めに続けざまにやったが、その際はリード・ヴォーカルも入っているトラックを流して、BJは合いの手を中心に入れる。それだと、少し学芸会ぽくなるか。あれれと思ったのは、ジーンズとパーカーという普段着の彼が椅子に座って歌っていたこと。演奏者の数も少ないし、座ることでサロンぽくショウを進めようとしたのかな。ギター奏者も座っていました。でも、BJは2回ほど少し立ち上がって歌う場面があって訴求力が増し、やはりシンガーは普通立って歌うべきだと感じた。本編最後はマーヴィン・ゲイの名を出し、アカペラで締めくくる。

▶過去の、コモン
http://43142.diarynote.jp/200406130120280000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20050915
http://43142.diarynote.jp/201509241127563839/

 そのあとは、六本木・ザ・クラップスというハコに行く。初。お、スペーシャワーが入っているビルの手前の外苑東通り沿いの建物の地下2階にあった。ステージはけっこう広く、フル・サイズのではないがちゃんとグランド・ピアノが置かれている。天井が高いわけではないが、音も悪くない感じ。そんなハコで持たれた、2016年にその名も『デュオ』(Jump World/superboy)というアルバムを出している歌も歌うピアニストとギタリストの実演に、第2部から触れた。なんでも、お二人は断続的に長い期間お手合わせしてきているそうで、同じ年でもあるのだとか。

 まず、中村善郎(2004年5月13日)が単独で、ギターを2曲弾き語り。そして、すぐにびっくり。ボサノヴァの弾き語りの日本の第一人者と認められる人だが、まさしくいい味を放っていて。今回、特に感心したのはその歌。それがクールな風と滋味を併せ持っていて、これはすごい。ブラインドで聞いたらブラジル人の達人だと思ってしまうのではないかとも思い、ぼくは頭を垂れた。へ〜え、大学を出て、2年間ブラジルに行ったという経歴を持つ人であるのか。身長もあり、その外見は大杉漣のようで、格好いいな。

 そのあと、交代で橋本一子(2001年5月3日、2006年10月25日、2009年11年19日、2010年9月14日、2012年9月5日、2013年2月22日)がステージに上がり、2曲分(?)フリーフォーム気味で、スペースを作るピアノと漂う歌をと披露する。ゆったりとしているのに、一方では鋭敏にあっち側の世界を覗こうとしてもいて、やはり独自の世界を持っている。

 そして、それ以降はブラジル曲を素材に、二人が悠々と重なる。ともに歌い、すべてポルトガル語で立派に歌う中村に対し、英語や日本語がある歌詞はそちらで歌ったり、はなもげらアンニュイ語も繰り出す橋本は変化球と言えるのか。だが、その交わりから、もう一つの妙味、世界が浮かび上がりもする。お二人はこの下旬に、名古屋より西をツアー。渋谷区の伝承ホールでも、6月に単独公演を行う。橋本は過去の曲を見直し、それらを今のスタンスで開くソロ・ピアノ表現を準備中という。

▶︎過去の、中村善郎
http://43142.diarynote.jp/200405101355540000/
▶︎過去の、橋本一子
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-5.htm
http://43142.diarynote.jp/200611020833520000/
http://43142.diarynote.jp/200911241550342013/
http://43142.diarynote.jp/201009231547465891/
http://43142.diarynote.jp/201209181238434594/
http://43142.diarynote.jp/201302281046506238/

<今日は、雨天>
 終日、けっこうな降り。コンビニに入る際、傘立てにいくつも傘が差し込んであり、こりゃぼくの持つ透明傘と区別がつかなくなるなと思い、わざと奥の方に傘を置く。なのに、店を出る際に一番手前にある傘を無造作に手にして、ハっとする……。トホホ、です。

 アルバム・デビュー40周年を迎えるシンガー/女優のヴァネッサ・ウィリアムス(2014年6月18日)のパフォーマンスを、南青山・ブルーノート東京で見る。ファースト・ショウ。

 おお、また少し胴回りが太くなったか。二の腕もけっこうぶよぶよ。その様を悪びれることなく笑顔で出している彼女を見ると、そんなにエクササイズとかする意思を持っていないんじゃないか。50半ばなんだしこんなものよ、と言っているような。

 そんなためもあり、ナチュラルなソウル度はアップ。前回はセレブ臭というかどこかMOR的な手触りも出していたが、今回のほうがソウルぽいと思えたもの。とともに、スタンダード「ストーミー・ウェザー」なんかを聞いても、美貌の七光り(ミス・アメリカ、初のアフリカ系ウィナー)ではなく、もともとちゃんと歌える人であることがよく分かる。MCも爽やか、くどくなく好印象を誘う。

 ドラマーのJ.T.ルイスをはじめ演奏者陣は前回と同様、彼らは譜面を置いてはいる(セット・リストを置いていたのかもしれないが)ものの、長年行動を共にしているようだな。もうチーム・ワーク抜群な感じが横溢(鍵盤やギター奏者のコーラスのつけ方もマル)し、それに触れるだけでもニコニコできちゃう。ファルセットを多用するバックグラウンド歌手だけ前回と違う人だが、彼はデュエットをやったり、スティーヴィー・ワンダーの「サマー・ソフト」をピンで歌ったりとけっこうフィーチャーされたが、いまいちな力量。ところが、ミュージカルぽい曲でデュエットしたときは芝居っ気たっぷりに歌い、それだと上等に感じる。そっちのほうで活動している人なのだろうか。

 アンコールは、前回もやったと思うが、アイズリーズ(2001月12月6日、2004年3月1日)の「ワーク・トゥ・ドゥ」。アガった。

▶︎過去の、ヴァネッサ・ウィリアムス
http://43142.diarynote.jp/201406191121201568/
▶︎過去の、ザ・アイズリー・ブラザース
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm
http://43142.diarynote.jp/200403011119270000/

<今日の、アフター>
 流れたソウル・バーで、バネッサ・ウィリアムズは薬のCMに出ていたという話になる。まったく、知らなかった。なぜか、その流れで、ステファニー・ミルズの話に発展。1980年代中期に、ミュージカル「ザ・ウィズ」の主演で来日した小柄すぎる彼女を新宿厚生年金会館見たことがると言ったら、羨ましがられた。話は戻るが、そのTV-CFには、総合もR&Bチャートも1位となった彼女の好バラード「セイヴ・ザ・ベスト・フォー・ラスト」(この晩も、本編最後に披露)が使われていたらしい。オレ、全然知らなかった。そういえば、5年前にウィリアムスは母親のヘレン・ウィリアムスと共著で、“A Famous Daughter, Her No-nonsense Mother, and How They Survived Pageants, Hollywood, Love, Loss (and Each Other)”と副題された「You Have No Idea」というペイパーバックを出している。ぼくの周りには読んだという人がいないなあ。もちろん、ぼくも読んでいませんが。なお、彼女はジャワ・ジャズ(2012年3月2日〜4日)出演帰り。次に見る、BJ・ザ・シカゴ・キッドも同様だ。
▶︎過去の、ジャワ・ジャズ
http://43142.diarynote.jp/201203062004221304/
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/
http://43142.diarynote.jp/201203062006429595/

 テキサス州出身トランペッター/フリューゲルホーン奏者であるロイ・ハーグローヴ(2003年2月18日、2003年9月21日、2004年12月2日、2007年9月10日、2008年9月16日、2009年6月24日、2011年2月22日、2012年3月23日、2014年2月19日、2016年1月27日、2017年3月2日)のワーキング・カルテット公演を南青山・ブルーノート東京(ファースト・ショウ)で見る。

 顔ぶれが二人変わった昨年の来日公演と同じ顔ぶれで、アルト・サックスのジャスティン・ロビンソン(2011年2月22日、2012年3月23日、2014年2月19日、2016年1月27日、2017年3月2日)、在NYピアニストの海野雅威(2017年3月2日)、ベースのアミーン・サリーム(2011年2月22日、2012年3月23日、2014年2月19日、2016年1月27日、2017年3月2日)、ドラムのクインシー・フィリップス(2017年3月2日)という面々。全員、スーツを着ており、ハーグローヴは帽子からスニーカーまで臙脂色基調でまとめている。それだけで、見せるものはある。

 過去の項で、ハーグローヴ・カルテットの来日公演は今のメインストリームのジャズの定点観測の出し物になりえると書いたことがあるはずだが、その思いは変わらず。もうリズム隊は今っぽい引っかかりも持ち、それに接するだけで身体が揺れてしまうし、テーマ部におけるトランペットとアルト・サックスの何気ない重なりにもイエィとなる。フィリップスはクリス・デイヴ(2009年4月13日、2009年12月19日 、2010年12月16日、2012年9月21日、2013年9月28日、2015年8月18日、2016年1月25日、2016年10月11日)でおなじみの“輪切りシンバル”を採用。それ、鋲打ちのシンバルみたいな音が出るんだな。

 今ショウの演奏時間は、85分ほど。ずっと人工透析を受けなけらばならない境遇にあるハーグローヴはやはり体力は落ちているのか、ソロを取る時間は短くなってきている。それを受けて、1曲の長さは少し短くなる傾向にあり、披露する曲は多くなっている。だが、臨機応変なうねりのようなものも持つその総体は、やはり彼の秀でたリーダーシップの取り方を教えるし、ジャズはいいと思わせる。これからも可能な限り、彼の演奏には接したいと思いました。マイケル・ジャクソンの「ロック・ウィズ・ユー」はなんかとってもグっときた。歌とダンスも少し。メンバーが徐々にステージを下がっていき、最後はピアノのソロ演奏になるのは、前回公演と同じだ。

▶過去の、ロイ・ハーグローヴ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-2.htm 18日、ディレクションズ・イン・ミュージック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-9.htm 21日
http://43142.diarynote.jp/200412111742300000/
http://43142.diarynote.jp/200709171108570000/
http://43142.diarynote.jp/200809171409066704/
http://43142.diarynote.jp/200906300951327850/
http://43142.diarynote.jp/201102240921561671/
http://43142.diarynote.jp/201203260806527228/
http://43142.diarynote.jp/201402201343247604/
http://43142.diarynote.jp/201601301016081732/
http://43142.diarynote.jp/201703081443314613/
▶︎過去の、海野雅威
http://43142.diarynote.jp/201703081443314613/
▶過去の、ジャスティン・ロビンソン
http://43142.diarynote.jp/201102240921561671/
http://43142.diarynote.jp/201203260806527228/
http://43142.diarynote.jp/201402201343247604/
http://43142.diarynote.jp/201601301016081732/
http://43142.diarynote.jp/201703081443314613/
▶過去の、アミーン・サリーム
http://43142.diarynote.jp/201102240921561671/
http://43142.diarynote.jp/201203260806527228/
http://43142.diarynote.jp/201402201343247604/
http://43142.diarynote.jp/201601301016081732/
http://43142.diarynote.jp/201703081443314613/
▶︎過去の、クインシー・フィリップス
http://43142.diarynote.jp/201703081443314613/
▶過去の、クリス・デイヴ
http://43142.diarynote.jp/200904150840164356/
http://43142.diarynote.jp/201001051625155901/
http://43142.diarynote.jp/201012171104366095/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120921
http://43142.diarynote.jp/?day=20130928
http://43142.diarynote.jp/201601260728484520/
http://43142.diarynote.jp/201610141747514263/

<今日の、電車内吊り広告>
 <住むなら埼玉県! 応援制度がたくさん! 住宅取得、最高50万円支給>というのが、あった。首都圏と言える埼玉でも、そんなに住人獲得の努力をしているのか。ま、東京都でも過疎の地があるしな。ともあれ、今日は相当に暖かい1日でした。
 パレスチナ自治区のガザを舞台とする、2015年パレスチナ/フランス/カタール映画の試写を渋谷・アップリンクで見る。カザで育った双子兄弟のターザン・ナサールとアラブ・ナサールが監督する初長編映画。6月下旬より公開される。

 ガザにある美容院が舞台。ほとんどはその中の人間模様(女性たちだけ)に終始し、家の前の通り(にいるのは男性たち)の模様が少し描かれる。その設定はセットでも撮影することができるなと思ったら、ガザの状況悪化でヨルダンのアンマン郊外で撮影されたという。

 女性たちの小世界(でてくる彼女たちが人間くさい、というか、身勝手なイヤな人々に描かれている)、そしてガラス窓を1枚隔てた道路では戦闘が始まり……。女性と男性、日常と非常時、小さい諍いと大きな諍い、そうしたいくつかの要素を対比的に置かれる映画は、生理的にヘヴィ。そして、だからこそ、働きかけるものもある。

 ときにラジオから流される歌(断片的に3曲ほどだっけ?)、そして、1箇所のギター音以外、音楽は用いられない。つまり、音楽のなしの場面が多い映画。かわりに5チャンネルで、ドローンの音や戦闘音は不穏に響く。

 その後は、新木場・スタジオコーストに向かう。出演者は、グラスゴーのインスト主体の5人組ロック・バンドのモグワイ(1999年11月22日、2001年4月26日、2004年10月4日、2006年11月11日、2015年3月9日、2016年5月30日)。ドラマーのマーティン・ブロックが療養中とのことで、スコットランドの女性二人組(ギター/歌とドラム)であるハニーブラッドのハニー・メイヤーズが同行した。

 頭のほう、メンバーの二人はキーボードを弾いたり、ヴォーカル・ナンバーを続けたり、いろいろと動いていると思わせるところあり。全般的に音はデカいのだが、そしたらギターが3人になったときはより轟音となり、ぐいぐい音が客席側に押し寄せ、おおっとなる。各楽器の重なりの効用、説得力あり。たとえば、ドラムの音を一つとっても、曲や場面で細くエフェクトが入れられていた。

 過去からつみあげてきたもの、そして疲弊することなくインプルーヴしていこうとする意欲満載。デイヴ・フリッドマンをプロデューサーにたてた昨年作『エヴリ・カントリーズ・サン』も良いし、ずっとテンションを維持しているのはすごい。実は条件のいいところで享受できたためかもしれないが、今まで見たなかで一番引き込まれた公演かもしれない。

▶過去の、モグワイ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/movember1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-4.htm
http://43142.diarynote.jp/200410071545330000/
http://43142.diarynote.jp/200611190244590000/
http://43142.diarynote.jp/201503100909524035/
http://43142.diarynote.jp/201606061721594962/

<今日の、思案?>
 結局、平昌の冬季オリンピックの模様は映像を見なかった。いや、新聞は目を通すので、おおまかな動向は知っていますよ。全然見なかったのは、我が家では地上波TV放映が映らず、光ファイバーのTVチャンネル・サーヴィスでもオリンピックはやっていないというのは大きいのかもしれない。http://43142.diarynote.jp/200808232144040000/ なんてことをかつて書いている人間ではあるものの、TVをつけてやっていたら、少しは見ていたと思う。全体主義をとっても嫌うが、ヘンクツ(それは好奇心を妨げることに繋がると思う)ではありたくないし。ともあれ、あと2年強で、東京オリンピックが始まってしまう。さて、どーしましょ。以下のことが、考えられるが……。
1)平常心、淡々と過ごす。暑くて、無理だろうけど。
2)せっかく横でやっているので、チケットが取れそうなやつを見に行き、部分的にオリンピック気分に浸る。
3)なんと、ボランティアをやる。
4)海外に逃げる。
5)悪い人になって、来日外国人を騙す。
6)死んじゃっているか、寝たきりの人になっていて、関係なし。

 昨年はエレクトロ・ソウル路線をとったホセ・ジェイムズ(2008年9月18日、2010年11月11日、2011年1月12日、2012年2月18日、2012年9月13日、2013年2月15日、2014年7月27日、2015年2月15日、2016年2月16日、2017年2月15日)の、今回の来日公演の顔ぶれは過去絡んだ人が4分の3いるが、なかなかに興味深い。トランペッターの黒田 卓也(2012年2月18日、2012年9月13日、2013年2月15日、2014年5月25日、2015年1月30日、2015年2月15日、2016年9月17日、2016年12月16日、2017年7月12日)、ピアノと電気ピアノの大林 武司(2014年5月25日、2015年9月5日、2016年2月16日、2016年9月4日、2016年12月16日)、ダブル・ベースのベン・ウィリアムズ(2009年5月18日、2009年9月3日、2010年5月30日、2012年3月3日、2012年5月28日、2013年4月1日、2013年5月21日、2015年1月22日、2015年12月12日、2016年7月3日、2016年9月1日、2016年12月11日、2017年12月7日)、ドラムのネイト・スミス (2012年5月28日、2015年8月5日、2016年2月16日)という面々が集められた。

 六本木・ビルボードライブ東京、ファースト・ショウ。この少しジャズ寄りの顔ぶれでどういうことをやるのかと思ったら、ジェイムズ自ら出しなおした2008年デビュー作『ザ・ドリーマー』(オリジナルはジャイルズ・ピーターソン〜1999年5月21日、2002年11月7日、2004年1月16日、2008年9月18日、2012年9月13日、2013年11月1日、2016年10月8日〜のブラウンズウッド発)の曲をその流儀でやるというもの。オリジナルを主体にラサーン・ローランド・カークやビル・リー曲なども取り上げたそのファースト作(10年後の再リリース盤には、彼が大好きなジョン・コルトレーン曲カヴァー群も新規入れられている)を改めて聞くと、ブレイク・ビーツ的なドラム演奏が採用されているものの、すべて縦ベースを用いてもいて、きっちり広がりあることをジャズの流儀に基づいてやっているじゃんと思わせられるが、その所感を鮮やかに味あわせるものであったと今回の実演は説明できるだろう。

 なお、ジェイムズの過去の項にも書いているが、彼は実演の方向性によってちゃんとスーツを着たり、カジュアルな格好で登場したりしてきたが、この晩はカジュアル路線なり。だけど、その様は今の彼のモードと関係ありか。実は、現在のジェイムズはアフロ調ヘア。なんか、大昔のリオ・ノセンテリ(2012年9月12日、2013年1月30日、2014年10月28日)みたいな。変わったねと言うと、彼はうれしそう。そして、その次作はビル・ウィザース曲集でかなりレコーディングは進んでおり、この9月にリリースされることになっているとか。楽屋で会った際にそこまで確かめなかったが、“ブラック・イズ・ビューティフル”時代のアイコン的な音楽をやっていたとも言えるウィザースの世界に入らんと、そういう風体にしている可能性はあると思う。しかし、昨年はウィザースの1973年名作『ライヴ・アット・カーネギー・ホール』をやるザ・ニュー・ステュー(2017年10月22日 )のような米国人グループも来日しているし、いまアメリカではウィザース見直し機運があるのだろうか。

 アンコールはコルトレーンの1960年曲「イクイノックス」に歌詞をつけたものを歌った。演奏者では、何気にネイト・スミスが肝になっていると思わせられたかも。なお、本日は黒田の誕生日。ケーキが出てきたり、歌を歌ったりはしなかったが、ジェイムズが控えめにお祝いの言葉を言った。

▶過去の、ホセ・ジェイムズ
http://43142.diarynote.jp/200809191051472579/
http://43142.diarynote.jp/201011140051119042/
http://43142.diarynote.jp/201101131336421886/
http://43142.diarynote.jp/201202200901013744/
http://43142.diarynote.jp/201209191239346073/
http://43142.diarynote.jp/201302181044151204/
http://43142.diarynote.jp/201408051020111821/
http://43142.diarynote.jp/201502170939564537/
http://43142.diarynote.jp/201602181207326029/
http://43142.diarynote.jp/201702201427067352/
▶過去の、黒田卓也
http://43142.diarynote.jp/201202200901013744/
http://43142.diarynote.jp/201209191239346073/
http://43142.diarynote.jp/201302181044151204/
http://43142.diarynote.jp/201405271755563079/
http://43142.diarynote.jp/201501310942048841/
http://43142.diarynote.jp/201502170939564537/
http://43142.diarynote.jp/201609201835285184/
http://43142.diarynote.jp/201612181010384754/
http://43142.diarynote.jp/201707130853185809/
▶過去の大林武司
http://43142.diarynote.jp/?day=20140525
http://43142.diarynote.jp/201509211331298145/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160216
http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
http://43142.diarynote.jp/201612181010384754/
▶過去の、ベン・ウィリアムズ
http://43142.diarynote.jp/200905191118258984/
http://43142.diarynote.jp/200909120646397236/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100530
http://43142.diarynote.jp/?day=20120303
http://43142.diarynote.jp/201205301445023004/
http://43142.diarynote.jp/201304031026406106/
http://43142.diarynote.jp/201305260927026044/
http://43142.diarynote.jp/201501230914317086/
http://43142.diarynote.jp/201607100827363436/
http://43142.diarynote.jp/?month=201609
http://43142.diarynote.jp/201612171245154424/
http://43142.diarynote.jp/201712081715389473/
▶過去の、ネイト・スミス
http://43142.diarynote.jp/201205301445023004/
http://43142.diarynote.jp/?day=20150805
http://43142.diarynote.jp/201602181207326029/
▶過去の、ジャイルズ・ピーターソン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live2.htm 1999年5月21日
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200401160000000000/
http://43142.diarynote.jp/200809191051472579/
http://43142.diarynote.jp/201209191239346073/
http://43142.diarynote.jp/201311021703148497/
http://43142.diarynote.jp/201610140945007657/
▶過去の、リオ・ノセンテリ
http://43142.diarynote.jp/201209191235365909/
http://43142.diarynote.jp/201301311053069360
http://43142.diarynote.jp/201410301514399746/
▶︎過去の、ザ・ニュー・ステュー
http://43142.diarynote.jp/201710240958114009/

<今日の、覚え書き>
 サポート陣は、在NYの日本人二人とアフリカ系アメリカ人が二人。そういえば、先に触れた『ザ・ドリーマー』でピアノ弾いていたのは、ジェイムズと同じニュー・スクール大学で学んだノリ・オチアイで、彼は今東京をベースにいろいろと活動している。やはりニュー・スクールで学んだ黒田卓也がジェイムズ表現に関与するのは次の2010作『ブラックマジック』からだ。話は飛ぶが、黒田卓也からぼくが連想するのは、アルト・サックス奏者の佐藤洋祐(2013年3月6日、2013年9月6日)。黒田がホセ・ジェイムズ・バンドで活躍しているとき、グレゴリー・ポーター(2013年3月6日、2013年9月6日)のバンドでばりばりブロウしていたのがやはりNYに住んでいる佐藤だった。ぼくのなかで、二人の勇姿はどこか重なる。佐藤は2015年に帰国し、現在は千葉に住んでいるという。
 ベン・ウィリアムズとホセ・ジェイムズが一緒になるのは今回が初めてになると思うが、彼はいろんな人と絡み、本当によく来日するなあ。英国人プロデューサーのトロイ・ミラーを担ぎベッカ・スティーヴンス(2015年1月29日、2017年7月21日)もゲスト入りしているヘイリー・ロレン(2012年2月13日)の新作『フロム・ザ・ワイルド・スカイ』にも彼は部分参加している。そんなウィリアムズの次の来日は5月下旬で、毎度の渡辺貞夫物件。そのときはケンドリック・スコット(2009年3月26日、2013年2月2日、2013年8月18日、2013年9月11日、2015年2月4日、2015年11月10日、2016年3月1日、2017年1月18日、2017年1月23日)とコンビを組む。しかし、楽屋で彼に話しかけたら、数年前に取材したぼくを覚えていて驚いた。「髪型、かえたんだね」ってすぐに言ってきて、多忙ななか記憶明晰すぎではないか。
▶︎過去の、佐藤洋祐/グレゴリー・ポーター
http://43142.diarynote.jp/201303070815313472/
http://43142.diarynote.jp/201309121810294280/
▶過去の、ヘイリー・ロレン
http://43142.diarynote.jp/?day=20120213
▶︎過去の、ベッカ・スティーヴンス・バンド
http://43142.diarynote.jp/201501301446383781/
http://43142.diarynote.jp/201707231016025846/
▶過去の、ケンドリック・スコット
http://43142.diarynote.jp/?day=20090326
http://43142.diarynote.jp/201302041827243806/
http://43142.diarynote.jp/201308191407221107/
http://43142.diarynote.jp/201309161510164697/
http://43142.diarynote.jp/201502051100298160/
http://43142.diarynote.jp/201511120022503788/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160301
http://43142.diarynote.jp/201701191854055570/
http://43142.diarynote.jp/201701240949045953/
 マンチェスター拠点のピアノ・トリオ(2017年9月2日)を南青山・ブルーノート東京で見る。ファースト・ショウ。3日間公演の最初のショウながら満場。客の反応も熱い。

 ベーシストの実直ぽいMCのもと、ショウは進む。中央に立つ音の大きめなダブル・ベース音が全体表現を引っ張っているところもあるが、全員同い年(30歳)である彼らはデモクラティックなバンドであることを強調。というか、ベーシストは非オリジナル・メンバーで、2枚目から入ったんだよね。

 今回、彼らには毎日新聞記事用にインタヴューしたのだが、素朴な連中。ちなみに、好きなフットボールのチームは、ニック・ブラッカ(ベース)はリーズ、ロブ・ターナー(ドラム)はボルトン、クリス・アイリングワース(ピアノ)は興味なし、とのこと。ブラッカとターナーはマンチェスターのチームならシティを応援するとのこと。アイリングワースとターナーは同じマンチェスターの音楽学校でクラシックを学んでおり、ブラッカはラム(http://43142.diarynote.jp/200905271738046764/ の終盤参照のこと)で弾いていたベーシストに習っていたそう。

 そりゃインプロヴィゼイションの要素はあるものの、面々はイケてるソロを取ろうとするのではなく、三者の絡みの妙から響きや奥行きをつむぎだそうとしたり、ときにぱーんと昇天するハーモニーが湧く瞬間を得ようとするのが演奏指針の一義にあるように思えるとの問いかけに、彼らは同意した。譜面もイケるが、なるべく譜面は用いないようにしているそう。そんな彼らは旧来のジャズとは一線を画したいという意識(ちゃらいバンド名もその表われ)とジャズという軸の中に存在したいというアンビバレントな気持ちを持っているのが、面白かった。だから、ブルーノートからディールの話があったとき(ドン・ワズはノー・タッチ。それもあり、ブルーノートの2作はすべてマンチェ関連者/物件でまかなわれている)はマジうれしかったそうだし、好きな同社のアルバムを挙げてと言ったら、ジョー・ヘンダーソン作やホレス・シルヴァー作などを出した。間違っても、ギル・メレとかは言わなかった。そんな3人なので、電気的処理を楽器音に加えることはあっても、ピアノ、ダブル・ベース、ドラムという基本構成にはこだわっていきたいとのこと。そこには、同様のことをしていたE.S.T.(2003年6月17日、2007年1月13日)をに多大なインスピレーションを受けていることも関係あるようだが。

 なお、ショウの最中、ハーモニウムのような音がずっと流れている箇所があったが、それはピアノの響きを拾ってアイリングワースが作っているそう。かつては、そういう音はベーシストが出していたが、同じ装置をピアノに転用することで今は実演で出しているという。それから、ドラマーがスネアを真正面に配置し(キック・ドラムは少し左取りにセッティングしていた)、タムは右側に置いていた。たまたま案内された席がソイル&ピンプ・セッションズ(2005年7月29日、2007年5月6日、2009年6月12日、2011年1月30日、2011年6月23日、2012年3月3日。2012年9月9日)の社長の隣であったのだが、彼も面白いセッティングだなと感想をもらす。ソイルは近くレコーディングが終わり、6月に5人になっての初のアルバムが出るそう。ターナー自身にその変速のセッティングはあなたがクラシックを学んでいたことと関係はあるのかと問うと、「たぶん、繋がっている。だって、僕はドラマーというよりパーカッショニストという意識が大きいから」。

▶︎過去の、ゴーゴー・ペンギン
http://43142.diarynote.jp/201709101059289712/
▶過去の、E.S.T.
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm
http://43142.diarynote.jp/200701141431470000/
▶過去の、SOIL & “PIMP” SESSIONS
http://43142.diarynote.jp/200508042335560000/
http://43142.diarynote.jp/200705181805330000/
http://43142.diarynote.jp/200906160733018341/
http://43142.diarynote.jp/201102091715522875/
http://43142.diarynote.jp/201107020946473690/
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/
http://43142.diarynote.jp/201209191229057579/

<今日の、訃報>
 2018年2月18日に、フランスのジャズ・ヴァイオリン奏者のディディエ・ロックウッド(2016年4月10日)が心臓発作でおなくなりになった。前日にはライヴを行っていたという。この2月11日に62歳になったばかりで、彼には奥さんと3人の娘さんがいた。彼の死を伝える報によれば、若くしてステファン・グラッペリに認められ、プログ・ロック・グループのマグマに入ったこともあったらしい。2年前に偶然とはえ、彼の瞬発力にたけた演奏に触れることができて本当によかった。
▶︎過去の、ディディエ・ロックウッド
http://43142.diarynote.jp/201604190912403018/
 アップリンク渋谷で、ラッカとコバニという、ISIS(イスラム国)に支配された中東シリアの都市をそれぞれ舞台におくドキュメンタリー映画を二つ見る。ともに、アップリンクの配給で、順に4月と5月に公開される。

 2017年米国映画「ラッカは静かに虐殺されている」の原題は、「City of Ghosts」。ラッカとは、ISISが首都であることを宣言したシリア北部の都市の名称。その物騒な邦題は、ISISの暴挙を告発しようとする市民組織“RBSS (Raqqa is Being Slaughtered Silently)からきている。ISISはお金をかけた映像マテリアルを用いたプロパガンダをしてきたことで知られるが、逆に虐げられる側がスマートフォンで撮影した映像をもとにISISがラッカでしていることを草の根的に告発せんとするシリア人たちの活動(そのサイトは、http://www.raqqa-sl.com/en/)を追ったものだ。

 ISISに不都合なことをするRBSSのメンバーや関係者は殺害されたりもし、設立メンバーたちは国外に逃れることを余儀なくされ、現地の地下メンバーたちと連携し活動を維持していく姿もいろいろ描かれる。監督は1983年生まれ、NY在住のマシュー・ハイネマン。そして、なんと総指揮はジャニス・ジョプリンやJBのドキュメンタリー映画に関与してきているアレックス・ギブニー(2016年6月20日、2016年6月26日)だ。自分の知らないところに大変な場所があるという事実はちゃんと伝わるこの映画、アマゾンもお金をだしている。

▶︎過去の、アレックス・ギブニー
http://43142.diarynote.jp/201606231719464677/
http://43142.diarynote.jp/201606281735457440/

 一方、2016年オランダ映画「ラジオ・コバニ」はトルコとの国境に近い街であるコバニを舞台とするもの。監督は1975年イラクのクルディスタン自治区の生まれで、1998年からオランダに居住しているラベー・ドスキー。コバニに住む人たちと同じクルド人の血を引く彼はコバニに別の撮影のために向かうタクシー車中で自主ラジオ放送の「おはようコバニ」を聞いて、その開始者にして話し手であったディバロン・キコに一発で魅了され、彼女(そのころ、二十歳ぐらいか)を追うことにしたのだという。映像は2014年から3年間にわたり撮影されたという。

 最初の空撮写真で、ラッカと比較にならないほどコバニの街が戦闘で破壊されている事実を知らされる。そして、頭のほうはISISとそれに対する連合軍の交戦/空爆シーンや、2015年1月になった解放後の生々しい瓦礫下の死体処理の模様が続き、戦争はあまりに愚であることを思い知らされる。

 映画はディバロン・キコのモノローグなども使われ、彼女の存在を中央に置くとも言えるのだが、そのフレッシュで前向きな姿や放送の様を介して、再生に向かうコバニの、そして市井の人々の姿を伝えようとする映画となっている。キコは今、ラジオ放送をやめ、教師をしているそうだ。

 その後は渋谷・クラブクアトロで、米国在住者3人と日本人ベーシストのファンク・セッションを見る。2本の映画で少し社会派になった自分が、即ぎゅわんと快楽派になっちゃった。

 登場したのは、ギターの山岸潤史(1999年8月5日、2000年12月7日、2001年7月16日、2004年3月30日、2005年7月30日、2005年7月31日、2007年2月3日、2007年2月4日、2007年2月5日、2008年9月11日、2009年5月19日、2009年7月27日、2010年8月4日、2011年5月17日、2012年9月8日、2013年6月13日、2014年7月29日、2015年1月29日、2016年1月15日)、ベースのKen Ken(2015年5月24日)、女性ドラマーのニッキ・グラスピー(2006年9月4日、2012年7月30日、2015年7月27日)、山岸とニューオーリンズでパパ・グロウズ・ファンクを一緒にやっていたキーボードと歌のジョン・グロウ(2004年3月30日、2007年2月5日、2009年7月27日)なり。渋谷・クラブクアトロ。

もともとパパ・グロウズ・ファンクは米国ではジャム・バンド・サーキットにのっていた集団でもあるのだが、1曲たっぷり15分はありそうな力づくファンクを、次々とかまして行く。そして、インスト主体ながら、要所では変化をつけるようにグロウはヴォーカルもとる。

 やはり、その中央には山岸がいて、彼が中心となりファンク・セッションは流れて行く。山岸のソロでは、マイルス、ヘンドリックス、モンゴ・サンタマリアらの曲クォーテイションが自在になされる。ああそう言えば、ある曲のイントロでは彼が大昔京都で参画したソー・バッド・レヴューのキラー・ファンク・インスト「ソウル地下鉄」のリフも延々弾いた。イエイッ! ツェッペリンの「グッド・タイムズ、バッド・タイムズ」は曲としてちゃんとやったか。面々は当然ザ・ミーターズの「アフリカ」(その曲をカヴァーしたパッパーズ〜2002年7月28日、2002年11月2日、2007年6月5日〜は「アフリカ」から「ハリウッド」とリフレインを代えたが、山岸たちは今回その部分「ニューオーリンズ」と歌った)、「ヘイ・ポッキー・ウェイ」から、録音はされたものの未発表になっているという曲までやる。グラスピーはニューオーリンズ属性は入っていないもののスネアなどそれに準ずるマナーを見せたりもする。ツェッペリンはセカンド・ラインに近いビート感覚を持つ曲があったりもし、1976年作『プレゼンス』では“ニュー・オーリンズ”をもじったタイトルの「ロイヤル・オーリンズ」というファンク曲もやっている。

 怒涛の、ファンク・パーティ。ステージと客席が一体となる様は、すげえ。この盛況を受け、パパ・グロウズ・ファンク+で再結成なんてことはならないか。

▶過去の、山岸潤史
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/augustlive.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-7.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20040330
http://43142.diarynote.jp/200508060616450000/
http://43142.diarynote.jp/200508060622480000/
http://43142.diarynote.jp/200702112125550000/
http://43142.diarynote.jp/200702121118370000/
http://43142.diarynote.jp/200702122331070000/
http://43142.diarynote.jp/200809160030188727/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090519
http://43142.diarynote.jp/?day=20090727
http://43142.diarynote.jp/?day=20100804
http://43142.diarynote.jp/201105181052427410/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120908
http://43142.diarynote.jp/201306171646424744/
http://43142.diarynote.jp/201408051721103640/
http://43142.diarynote.jp/201501301446383781/
http://43142.diarynote.jp/201601190806343491/
▶︎過去の、Ken Ken
http://43142.diarynote.jp/201505260835591800/
▶︎過去の、ニッキ・グラスピー
http://43142.diarynote.jp/200609070212050000/
http://43142.diarynote.jp/201208091321435870/
http://43142.diarynote.jp/201508050852067247/
▶過去の、ジョン“パパ”グロウ
http://43142.diarynote.jp/200403300522210000/
http://43142.diarynote.jp/200702122331070000/
http://43142.diarynote.jp/200908071452433928/
▶︎過去の、ザ・ファンキー・ミーターズ
http://43142.diarynote.jp/?day=20090725
http://43142.diarynote.jp/201401181209502731/
http://43142.diarynote.jp/201505111009314451/
▶︎過去の、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-7.htm フジ・ロック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200706061354020000/

<今日の、会場>
 ぎょぎょ。クアトロは本当に満員。えええ、彼らこんなに人気があったの? 驚きました。若い人も少なくない。隣にいた綺麗なおねえさんに、「誰が好きで見にきているの?」と思わず尋ねてしまう。そしたら、「Ken Kenなんですけど、今日はファンクを聞きたくてきました」と模範的なお答え。キミは素敵だ。そしたら、会場にはルクセンブルグ人ピアニストのミシェル・ライス(2016年4月12日、2016年7月21日、2016年11月4日)もいる。ちょうど、彼のジャパン・カルテット(2016年7月21日)のアルバムのマスタリングできていて、グラスピーはバークリー音大時代の友達なのだという。彼女がバークリーに行っていたとは知らなかった。
▶︎過去の、ミシェル・ライス
http://43142.diarynote.jp/201604271333586112/
http://43142.diarynote.jp/201607221000152412/
http://43142.diarynote.jp/201611101506534154/
 J-waveの人気番組にして、日本のブラジル音楽愛好享受に最大級に貢献してきたと思われる「SAUDE! SAUDADE..」が主催する、毎年2月11日恒例のパーティ。開局当初からオン・エアされたという同番組はこの秋で30周年を迎えるそう。4つの出演者のうち頭の2つを見る。

 最初は、レシーフェのヘヴィ・ドライヴィンなビートであるマラカトゥ・ナサォを規範に置くBAQUEBA(2015年2月11日)。計13人で、フロアでことにあたる。けっこう肉声も入り、訴求力あり。サンバマシーンズ/カルナバケーションのドラマーである岡部量平も嬉しそうに叩いている。

 続いては女性だけのチームであるBanda Girassol(2015年2月11日、2017年2月11日 )、こちらはバイーアの サンバ・ヘギに根ざしたグループで華やか。大きなインスピレーションの一つだろうオロドゥンの曲もやっていた。二つのグループを聞いて、リズムの組み立てとしては、ぼくはマラカトゥの方が好みと思った。

 司会/場つなぎのちゃらい歌とギターはここのところの常で、村田匠(2010年12月27日、2011年2月11日、2011年5月8日、2012年6月8日、2012年10月27日、2013年2月11日、2013年8月24日、2014年5月3日、2014年6月15日、2016年2月11日、2016年5月22日、2016年12月1日、2017年2月11日)。DJは中原仁(2011年2月11日、2013年2月11日、2014年12月1日、2015年2月11日、2016年2月11日、2016年9月29日、2017年2月11日、2017年8月24日 )。毎年、クアトロに来るのはこの催しだけという人もけっこういるのかな。

▶過去の、BAQUEBA
http://43142.diarynote.jp/201502140823232703/
▶過去の、サンバマシーンズ/カルナバケーション関連
http://43142.diarynote.jp/201101061047294455/
http://43142.diarynote.jp/201102121002078478/
http://43142.diarynote.jp/201105140858559432/
http://43142.diarynote.jp/201206120854205300/
http://43142.diarynote.jp/201211151028209850/
http://43142.diarynote.jp/201302181123344904/
http://43142.diarynote.jp/201308281519499994/
http://43142.diarynote.jp/201405051105329639/
http://43142.diarynote.jp/201406161000365031/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160211
http://43142.diarynote.jp/201605240833401202/
▶過去の、Banda Girassol
http://43142.diarynote.jp/?day=20150211
http://43142.diarynote.jp/201702120725278375/
▶過去の、村田匠
http://43142.diarynote.jp/201101061047294455/
http://43142.diarynote.jp/201102121002078478/
http://43142.diarynote.jp/201105140858559432/
http://43142.diarynote.jp/201206120854205300/
http://43142.diarynote.jp/201211151028209850/
http://43142.diarynote.jp/201302181123344904/
http://43142.diarynote.jp/201308281519499994/
http://43142.diarynote.jp/201405051105329639/
http://43142.diarynote.jp/201406161000365031/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160211
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http://43142.diarynote.jp/?day=20161201 
http://43142.diarynote.jp/201702120725278375/
▶︎過去の、中原仁
http://43142.diarynote.jp/201102121002078478/
http://43142.diarynote.jp/201302181123344904/
http://43142.diarynote.jp/201412031621332692/
http://43142.diarynote.jp/201502140823232703/
http://43142.diarynote.jp/201602120856568973/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160929
http://43142.diarynote.jp/201702120725278375/
http://43142.diarynote.jp/?day=20170824

<今日の、いろいろ>
 昼下がりちょいと確認ごとで知人に電話をしたら、今北陸に遊びに来ていると、浮かれた声。ついでに、一緒に来ていたやはり知り合いたちに電話を回されたりして。しかし、あれだけ北陸の豪雪が報道されるなかそこ行くのは不安がなかったのか。そう尋ねると、新幹線は普通に動いているし、21世紀美術館に来ている今は日も差していると、あっけらかん。そうなのか。マジぼくは年々、寒さと雪に本当に弱くなっている。一時よりは少しマシとはいえ、消極モード全開です。もう、トホホ。とかいって、なぜかあけて3時ごろは、新宿ゴールデン街にいたんだけど。早く、春よ来い!

大西順子

2018年2月8日 音楽
 昨年秋に大西順子(1999年10月9日、2007年9月7日、2010年9月30日、2010年12月22日、2011年2月25日、2011年8月6日、2015年9月6日)は新しいドラマーを擁するピアノ・トリオ作『グラマラス・ライフ』とギタリストの馬場孝喜とのデュオを柱とするバラード作(BGMになりえる指針と、本人は説明している)『ヴェリー・スペシャル』を同時にリリースしていて、今回のライヴはその両方面を一緒に聞かせましょうというもの。そしたら、のべ7人によるショウだった。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。

 アタマの方は、ベースの井上陽介(2006年1月21日、2008年8月19日、2009年4月1日、2010年12月22日、2012年8月24日)とドラムの高橋信之介のトリオで3曲。何よりマックス・ローチの表現に貢献したことで知られる曲者ピアニストであるハサーン・イヴン・アリの「オールモースト・ライク・ミー」は大西の持ち味との親和性が高くほんとににっこりできる。レビュラー・グリップで叩く高橋はかなりオーソドックス、きっちりジャズの奏者だ(シンバル、かけたものをセッティングしていなかったか)。井上は何度も見ているはずだが、この日の演奏にはいい奏者だなとグっと来た。きっちりとアンサンブルを見据え構成されたフレイズを見事なジャズ感覚とともに繰り出していく様には耳を引かれた。昨年1月に出た彼のリーダー作『GOOD TIME AGAIN』(ポニーキャニオン)をちゃんと聞かなきゃ。

 その次に演奏したのは『ヴェリー・スペシャル』収録の狭間美帆がアレンジで関与したヴェルディによるクラシック曲で、トリオにバス・クラリネット奏者の佐藤芳恵 とクラリネットの森卓也が加わり、さら狭間(2014年7月10日、2015年10月15日、2016年10月28日、2017年9月3日、2017年10月27日)も指揮で加わる。しっとりしているけど、生理的には華やかな感じが広がった。

 その後の2曲は、大西と馬場のデュオ。うち、1曲はE.W.&F. (2006年1月19日、2012年5月17 日)の「アフター・ザ・ラヴ・ハズ・ゴーン」はレコーディング時に馬場がやらないかと提案した。そして、本編最後はそこにリズム隊がまた加わり、アンコールはさらにクラの二人が入って、和気藹々と演奏。しかし、大西と狭間は本当に仲が良さそうだなあ。トリオによるツアーは各所で持たれ、終わるのは7月であるという。

▶過去の、大西順子
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/octber1999live.htm
http://43142.diarynote.jp/200709131138020000/
http://43142.diarynote.jp/201010030952428017/
http://43142.diarynote.jp/201012241100592422/
http://43142.diarynote.jp/201102261254532443/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110806
http://43142.diarynote.jp/201509220833541918/
http://43142.diarynote.jp/201610311054183284/
▶︎過去の、井上陽介
http://43142.diarynote.jp/200601271857530000/ 三好“3吉”巧郎
http://43142.diarynote.jp/200808221745590000/ 塩谷哲
http://43142.diarynote.jp/200904061348147316/ ヒラリー・コール
http://43142.diarynote.jp/201012241100592422/ 大西
http://43142.diarynote.jp/201209181226141636/ 塩谷
▶過去の、狭間美帆
http://43142.diarynote.jp/201407111305232157/
http://43142.diarynote.jp/201510181000334516/
http://43142.diarynote.jp/201610311054183284/
http://43142.diarynote.jp/201709101639096076/
http://43142.diarynote.jp/201711020707155260/
▶過去の、E.W.&.F.
http://43142.diarynote.jp/200601271855390000/
http://43142.diarynote.jp/201205301252113538/

<今日の、案内>
 http://43142.diarynote.jp/201604271333586112/ の項で触れているルクセンブルグの国営“スクール・オブ・ロック”的大施設であるロッカルの項で触れているサムさんから連絡あり。彼はエレクトロ音楽の担い手でもあるのだが、彼の R y v a g eプロジェクトのマテリアルが以下から聞けます。映像は、彼が訪日した際に撮った物に手を加えたものだ。
www.ryvage.com
https://open.spotify.com/album/3svLJFCa1TiNvUDQAopZU3?si=GV87gyVpTmKMZ0Sr0uKmCw
https://www.youtube.com/watch?v=_2E_C5QCei0.

 吉祥寺シアターで、小池博史(2005年12月8日、2006年12月21日、2014年10月9日、2015年12月15日、2017年1月30日 )が仕切る「2030 世界漂流」を見る。マチネー公演。

 開演前に入ったが、客電は暗めで、すでに音楽が奏でられ、女性が二人舞っている。スモークがもくもくと炊かれ、視覚的な天井や床を自在に作るレザー光線が生きる。まず、過去公演と異なり効果機材がアップデイトされていると思った。その一方、ステージ美術はこれまでで一番簡素であったと言えるか。だが、少し年齢が若くなったと思われるパフォーマーたちは13人と多く、その動きや絡みをストレートに伝えんとするうえでそれはマイナスとならない。フランス人男性とインド人女性も加わっていた。

 プリセットの音楽も下敷きにしつつ、パーカッションとドラムとラップと歌の下町兄弟(2005年12月8日、2006年12月21日、2014年10月9日、2015年12月15日、2017年1月30日 )、アルト・サックスとギターと笛の太田豊(2017年1月30日 )、歌とトイ・ピアノと鳴り物の祭美和が終始生音を送り出す。変幻自在のパフォーマーの動きは音楽と密接に結びついており、また音楽が展開のきっかかけを与える場合も少なくなく、さぞやリハーサルの時から音楽担当陣は密につきあったことは想像に難くない。ゆえに、その完成形たる公演時は経費節約のため録音されたものを流してもいいように思えるが、そうしないところは要点だろう。やはり、相乗している部分は確固としてあり、人間の表現力の可能性を鋭意求める集団という実像は、臨機応変な生演奏の存在があってこそ強く打ち出されるから。

 12年後の2030年、日本は安穏な状況になく、ヤバさを逃れて難民となることを余儀なくされるのではないか。といったような、警鐘的視点から作られているようだが、ときに動的感覚を軸に置く役者たちが、空気がとまったような感じで虚空を見上げる複数の箇所が印象的でもあった。これ、来年は海外でも持たれるよう。

▶過去の、小池博史
http://43142.diarynote.jp/?day=20051208
http://43142.diarynote.jp/200612270253390000/
http://43142.diarynote.jp/201410160819402945/
http://43142.diarynote.jp/?day=20151215
http://43142.diarynote.jp/201701310904097357/
▶過去の、下町兄弟
http://43142.diarynote.jp/?day=20051208
http://43142.diarynote.jp/200612270253390000/
http://43142.diarynote.jp/201410160819402945/
http://43142.diarynote.jp/?day=20151215
http://43142.diarynote.jp/201701310904097357/

 その後、赤坂・カナダ大使館オスカー・ピーターソン・シアターで、<カナディアン・ブラスト>のデイ2に臨む。

+リディア・パーソード
 バリトン・ウクレレを弾きながら歌う。ウクレレはわりとギターの奏法に沿うもので、弾き語りを一人で披露。その楽器の持ち味から、訥々手作り感はより出る。うち1曲は、ジョニ・ミッチェルぽいと思ったか。歌唱については一部黒っぽい味を感じさせるところもある、大学のジャズ課程を出ているようだが、その表層にはジャズぽさは出ない。

+エンサイン・ブロデリック
 グラウンド・ピアノを弾きながら歌ったのだが、その甲高目な歌声に最初はいささか驚く。うわあすごいエコーをかけているなと思えたから。でも、それがどうやら地声のよう。そして、彼は淡々と歌を紡いでいくのだが、不思議な余韻やいろんな人の残像を覚えさせたりもする。52歳とのことでいろんな経験を通っているのは当然だし、それがこぼれ出ているところはある。この晩は基本静的な弾き語りを繰り広げていたが、たとえばその『Ranger』というアルバムはシック(2003年4月15日、2003年8月24日、2006年4月11日、2009年4月6日、2010年4月30日、2011年4月18日、2012年12月28日)一派が導いた1980年代のNYダンサブル・ポップ・サウンド傾向盤となっているし、『Feast of Panthers』(Six Shooter,2018 )はデイヴィッド・ボウイの『ヤング・フィラデルフィアン』路線と近年のジョン・ケイル(2001年11月4日、2016年8月7日、2017年10月7日)が重なったような聞き味を持つ。まあ、ボウイは好きそうだな。MCによれば、そんな彼は日本の文化や音楽にもはまってきているようで、わざわざサカモト(ショウの冒頭で「戦場のクリスマス」を弾いた)やタカハシやホソノの名前を出していた。なんでもステージ衣装は彼が買ってきた日本のデザイナーズ・ブランドのアイテムでまとめたそう。
▶︎過去の、シック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-4.htm 4月15日
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm Mt.フジ・ジャズ・フェスティヴァル
http://43142.diarynote.jp/200604141318090000/
http://43142.diarynote.jp/200904120633434116/
http://43142.diarynote.jp/201005011117591329/
http://43142.diarynote.jp/201104220822068448/
http://43142.diarynote.jp/201301051329276221/
▶︎過去の、ジョン・ケイル
http://43142.diarynote.jp/201608111100555412/
http://43142.diarynote.jp/201608111100555412/
http://43142.diarynote.jp/201710121659242506/

+エレン・ドーティ
 ジャズの心得を持つピアニストとドラマーを従えて、自作の曲を中央に立って歌う。その2018年作『Come Fall』(Alma)も同じ編成で録られていて、この日の編成は片肺のそれではないようだ。きっちり私の歌と歌詞を聞かせましょうとなると、そういう編成が導かれるのか。そして、大人の間や余韻を抱えた、落ち着いたアダルト・ポップ表現を悠然と展開。彼女も大学でジャズを学んでいるそうだが、アルバムのほうがしっとりとした感じで録られており、なるほどジャズ的な息遣いが少しあるとも思わせられた。
 なお、同行のドラマーはムーンチャイルド(2016年7月22日、2017年9月26日)で2度来日しているイーファ・エトロマ・ジュニア。ステージの横にいる彼をパっと見てもそんな事実は分かるはずもないが、昨日の<カナディアン・ブラスト>初日の際に、会場に来ていたドティさんに話しかけられ、横にいた彼を紹介されてその事実を知った。ムーンチャイルドのときの演奏よりもジャズ的な演奏を彼はしていたのは疑いがない。なんでも、トニー・ウィリアムズとクリス・デイヴ(2009年4月13日、2009年12月19日 、2010年12月16日、2012年9月21日、2013年9月28日、2015年8月18日、2016年1月25日、2016年10月11日)がお気に入りのドラマーとか。現在LAに住む彼が今回どうして一緒に来ているのと問えば、カルガリー同郷なんだとか。エトロマJr.は3度目の日本だが、ドティは初来日。だが、横浜に親戚がいて先週から日本に滞在しているという。彼女が一番好きな歌手は、ナット・キング・コールであるそう。その表現を聞いて、それを言い当てられる人はいないと思う。
▶︎過去の、イーファ・エトローマJr./ムーンチャイルド
http://43142.diarynote.jp/201607251308054775/
http://43142.diarynote.jp/201709271304386855/
▶過去の、クリス・デイヴ
http://43142.diarynote.jp/200904150840164356/
http://43142.diarynote.jp/201001051625155901/
http://43142.diarynote.jp/201012171104366095/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120921
http://43142.diarynote.jp/?day=20130928
http://43142.diarynote.jp/201601260728484520/
http://43142.diarynote.jp/201610141747514263/

+アン・ヴレンド
 キーボードを弾きながら歌う(曲によってはグランド・ピアノの前にも座った)ヴレンドを、やはり歌うベーシストとギタリスト、さらにドラマーがサポート。そのヴレンドはなかなか張りのある歌声の持ち主で、ベースとギターは金城という苗字の兄弟のようで、カナダと沖縄を行き来しているという。基本はいろんな要素を抱えたポップ・バンド表現を聞かせるが、金城ブラザーズを中心に昭和フォークの「神田川」も日本語でカヴァーした。

<今日の、社長>
 <カナディアン・ブラスト>開催に際し、同国のレコード会社やマネージメントの方々も商談のために来日していて、カナダ勢のライヴを観る前に大使館内でパーティがあり、真っ当なジャズ・レーベルであるジャスティン・タイムの社長のジェフ・ウェストもそこにいて話をする。モントリオールにオフィスを置く同社から送り出されているヘイリー・ロレン(2012年2月13日)やバーブラ・リカ(2015年9月5日)などの女性歌手モノは日本盤もリリースされているが、ワールド・サキソフォン・カルテット(2012年9月28日)他まじジャズものもいろいろジャスティン・タイムは出している。カナダ人ものは65パーセントで、残りは米国人録音ものだそう。マディ・ウォーターズやライトニン・ホプキンスらブルースものも出している彼(63歳って、言っていたっけっかな。来日は9度目とか)、聞けばロック・ファン(ECが一番好きだそう)でロックのメネイジメントから業界入りしたという。そのレーベル名はミュージカル発のスタンダード経由ではなく、ジャスティンという息子の名前に負った。すでに35年続いている同社のカタログは400枚ほどになる。ジムさんはとっても穏健な人だったが、その持続力はなかなかだな。

CANADIAN BLAST

2018年2月6日 音楽
 渋谷・duo MUSIC EXCHANGEで、カナダのインディ・アーティストが4組出る<カナディアン・ブラスト>という催しを見る。すでにカナダの担い手のショーケースとして東京で何度も行われていて、かつては<カナディアン・ロックンロール>という名前でも催されたこともあった。一般のお客も入れるこの晩には、4組の担い手が登場した。

*ブライト・ライチャス
 ウィニペグの5人組で、ヴォーカルは喉を潰しつつ高めの声で歌う。シンガー、ギター2、ベース、ドラム。ベーシスト(プリセット音は彼が扱っていたか)とギターの人血はキーボードも扱う。最初はメロディックなハード・ロック・バンドかと思ったら、要所でキーボード音が効き、ドラムはダンス調四つ打ちビートも曲によっては叩くなど、いろんな要素を織り込もうとしているのが良く分かる。ときに仕掛けに凝らんとするあたりは、世界的に多大な成功を収めている先達、ラッシュからの影響も認めることもできた。
*カンドル
 モントリオール在住らしい、2枚アルバムを出している女性シンガー・ソングライター。本人がギターを弾きながら歌い、ときにコーラスもつける男性ギタリストがサポート。見た目はわりと健やかといか病んでいないのだが、曲調はけっこうブルージーで、ゴシックという形容もあり。歌声は結構明るめで、その離れた要素の重なりが興味深い。曲も質はあった。
*ルカ・フォーガル
 これは、まっとうなシンガー・ソングライター。まず、ちょい擦れが入る歌声が魅力的。生ギター弾き語りとローズ音色のキーボードの弾き語りを披露したが、ぼくは後者のほうが好き。その鍵盤の押さえ方は少しゴスペルっぽいノリをもっていて、それを下敷きに歌う様は訴求力があった。会場にいた同業先輩も同意見。彼はポール・サイモンのエレピ音を思い浮かべたと言っていた。
*USS
 トロントを拠点とするとっぽい風情のポップ・エレクトロ二人組で、歌と生ギターくんと歌とDJの二人からなる。そこに、ドラマーも加わった3人でパフォーマンス。グループ名は、ユビキタス・シナジー・シーカーの略とか。ときに後うちビートを伴う親しみやすい楽曲をくだけたパーティ感覚(DJは三角倒立をしてスクラッチングをするなどもした)のもと送り出してくれる。屈託なく、あっけらかん。そのさばけた娯楽感覚は通常我々が持つカナディアン音楽のイメージをくつがえす部分があるかも。

<今日の、取材>
 昼間、<カナディアン・ブラスト>を企画している、トロントにオフィスを置くCIMA(Canadian Independent Music Association)の会長のスチュアート・ジョンストンと輸出マネージャーのトリーシャ・カーターにインタヴューする。ソトコト誌に記事が出ます。二人とも、落ち着いた大人だったな。ジョンストンは今の職場は8年目で、それ以前はエンタメ系ライターや政策提出の職などについてきており、すでに20年カナダ音楽の輸出促進業務を担っているというカーターはかつてポップ・ロック・バンドのマネージャーをやっていたこともあったとか。CIMAはすでに40年もの歴史を持ち、カナダの英語圏や英語で歌うインディ・アーティストを海外にプロモートしていて、<カナディアン・ブラスト>もその一環にある。その資金の多くは政府から出ているという。そして、各国の大使館とも密接に協調し、活動している。
 来日するアーティストを個別に援助するということは欧州の諸国もいろいろとやっているが、ひとつのパッケージとして大々的にやっているのは、今カナダだけかもしれない。例えば、CIMA は著名な米国のSXSWにも大々的に関連アーティストを送り出しているようだが、日本で継続的にこうした手間と予算のかかることを持っているのは、彼らの日本市場への評価、期待にほかならない。
 ああそうかと思ったのは、自国アーティストの育成のため、ラジオ放送の35パーセントはカナダ人アーティストの曲をかけなければならないという法律がだいぶ前からあるそう。隣接して米国のようなエンターテインメト大国があるとそれも致し方はないか。だが、ニール・ヤング(2001年7月28日)、ジョニ・ミッチェル、ザ・バンドやレナード・コーエンから、アーケイド・ファイア(2005年8月13日)、ジャスティン・ビーバーやドレイクまで、米国勢を凌駕するような担い手も順次同国は送り出しているわけで、3600万人という人口からみると才人輩出の度合いは非常に高いものであるのではないかとも思う。
 そして、米国と比するなら、ガツガツしていなくて、思慮にも富み、自然体であるのはカナダ人の美点だろう。ティーガン&サラ(2006年1月11日)をはじめ、仕事で米国に行っても住むのはカナダしかないというアーティストは多い。ニール・ヤングが世に出た頃と違い、ロックの米国中心主義は少し弱まっているし、交通網やインターネットの発達もまたその態度に利するだろう。また、インディーで自分のやりたいことをやる方が吉と考える独立独歩なカナダの担い手が多いからこそ、CIMAのような団体が機能するということもあるだろう。
 自然が豊かで、移民や同性愛にも優しいリベラルな国。そんなふうにぼくはカナダについてイメージするが、そういう部分が同国の音楽にいいほうに働いているところは絶対にあると思う。ぼくがカナダ人の音楽に魅力を感じるのはそういう部分ではないか。また、ジョンストンたちの話を聞いていて思ったのは、彼らはいい意味で合理的であるということ。それ、ドライなのではなく、楽に自分であるための賢人の振る舞いであると、ぼくは感じた。
 あと、ウィンター・スリープ(2008年2月25日)は今も活動しているという。わあ、うれしい!
▶過去の、ニール・ヤング 
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-7.htm フジ・ロック
▶︎過去の、アーケイド・ファイア
http://43142.diarynote.jp/200508152007550000/
▶︎ティーガン&サラ
http://43142.diarynote.jp/200601141744570000/
▶︎過去の、ウィンター・スリープ
http://43142.diarynote.jp/200802262046380000/
 ジャズ・トランペッターのキーヨン・ハロルド(2014年1月10日、2015年8月18日、2016年1月25日、2017年6月5日)の久しぶりに出したアルバム『ミュジシャン』(レガシー/ソニー)はスケールの大きな傑作だ。2017年リリース盤のなかでトップ級にできのいいジャズと繋がった総花型な内容をものにしていると思う。ピアノと電気ピアノのシェドリック・ミッチェル(2015年11月17日)、ギターのニア・フェルダー、ベースのバーニス・トラヴィス(2013年2月8日、2013年3月19日、2014年5月11日、2014年8月20日、2015年6月4日、2015年6月8日)、ドラムのチャールズ・ヘインズという陣容でことにあたる。多くはアルバム録音参加者だ。丸ノ内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。

 最初にハロルド以外の演奏陣が出てきて音を出しはじめ、そのなか千両役者登場という感じで、見栄を切るように本人が登場。少し、笑えた。パっと見た目はただのおっさん然としていて、もう少し格好に気を使って欲しかった。

 あたまの20分ぐらいは、復帰後の(つまり、輝きを失った)マイルス・デイヴィスと少し近いサウンドを開く。ただし、大きく異なるのは、ヘインズのドラミングの存在。これは、今のうねりを持つものであり、彼の演奏を核に表現総体が動いていく感じもある。ヘインズさん、そんなに知られる人ではないが、いいドラマー。また、ロバート・グラスパー(2007年10月3日、2009年4月13日、2009年12月19日2010年12月16日、2012年6月12日、2013年1月25日、2014年8月20日、2015年6月8日、2016年12月20日、2017年6月5日)・エキスペリメントの電気ベーシストであるバーニス・トラヴィスも過去見た中で一番グツグツした演奏を送り出し、大きく頷く。

 ピアノを中心に弾くシェドリック・ミッチェルは今のヒップホップ/R&B系録音セッションを中心にケニー・ギャレット(2001年6月14日、2003年8月19日、2015年4月10日)やロン・マイルズ(2005年6月9日)などジャズ・セッションに名前が見られる御仁だが、なるほどジャズも現代R&Bも無理なく享受できている世代であることを示す演奏を見せる。そして、それは他の奏者もまったくもってそうであるのだが。唯一の白人であるニア・フェルダーが一番フツーな演奏者に思えたが、ハロルドは気に入っているようだ。

 ハロルドは朝顔につけたピックアップで音を拾い、けっこうソロを披露する。やっぱり、ちゃんとソロを取れなきゃね。かと思えば、2曲においては歌も歌い(それほど上手ではない)、バンド表現の間口を広げようとする。終盤の2曲はトラヴィスがダブル・ベースを手にし(ヘインズも4ビートを普通に叩く)、その総体はよりジャズ色を増すが、アコースティック・ジャズ←→ソウル・ジャズの無理ない行き来は現在の働き盛りのジャズ系奏者の美点を指し示す。とともに、やはりジャズをちゃんと知っている奏者は何をやろうと強いと皮膚感覚で知らせるものだった。アンコールで、ザ・ビートルズの「シーズ・リーヴィング・ホーム」の結構変えたカヴァーも聞かせた。

▶過去の、キーヨン・ハロルド
http://43142.diarynote.jp/201401161534392423/
http://43142.diarynote.jp/201508200741137207/
http://43142.diarynote.jp/201601260728484520/
http://43142.diarynote.jp/201701051022179600/ 映画
▶︎過去の、シェドリック・ミッチェル
http://43142.diarynote.jp/201511181203116234/ リズ・ライト
▶︎過去の、ケニー・ギャレット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-6.htm マーカス・ミラー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm マーカス・ミラー
http://43142.diarynote.jp/201504131108504171/
▶︎過去の、ロン・マイルズ
http://43142.diarynote.jp/200506120644360000/
▶過去の、ロバート・グラスパー
http://43142.diarynote.jp/200710121727100000/
http://43142.diarynote.jp/200904150840164356/
http://43142.diarynote.jp/201001051625155901/
http://43142.diarynote.jp/201012171104366095/
http://43142.diarynote.jp/201206141342549869/
http://43142.diarynote.jp/201301270742196778/
http://43142.diarynote.jp/201408210931581467/
http://43142.diarynote.jp/201506070919133558/
http://43142.diarynote.jp/201506091124003170/
http://43142.diarynote.jp/201612211059578863/
http://43142.diarynote.jp/201706061756141899/
http://43142.diarynote.jp/201801042046591963/
▶過去の、バーニス・トラヴィス
http://43142.diarynote.jp/201302091341485664/
http://43142.diarynote.jp/201303221327416224/
http://43142.diarynote.jp/201405121521477969/
http://43142.diarynote.jp/201301270742196778/
http://43142.diarynote.jp/201506070919133558/
http://43142.diarynote.jp/201506091124003170/
http://43142.diarynote.jp/201706061756141899/

<昨日の、R.I.P.>
 昨年も来日し勇姿を見せてくれたデニス・エドワーズ(2009年11月8日、2013年8月18日、2017年3月20日)が、1日にシカゴの病院で髄膜炎の合併症でお亡くなりになった。74歳、昨年5月に発症したという。若々しいルックスを持ち続けた魅惑のテンダー・ヴォイスの持ち主でした。
▶︎過去の、デニス・エドワーズ/ザ・テンプテーションズ・レヴュー
http://43142.diarynote.jp/200911101136006646/
http://43142.diarynote.jp/201308191407221107/
http://43142.diarynote.jp/201703211232135720/
 それから、1月に来日したばかりのオールラウンドなドラマーのリオン・ンドゥグ・チャンスラー(2018年1月5日)が、65歳でお亡くなりになったという報も届けられた。死因や亡くなった日時などは明らかにされていないが、MJ「ビリー・ジーン」のドラマーという形容はおおくの報道に共通している。「安らかに。僕に道を示してくてありがとう」とトゥイートしたのは、後進のジャスティン・ブラウン(2012年2月22日、2013年3月19日、2017年4月27日)だ。簡素なほうが思いはつたわるかも。
▶︎過去の、リオン・ンドゥグ・チャンスラー
http://43142.diarynote.jp/201801061716036258/
▶︎過去の、ジャスティン・ブラウン
http://43142.diarynote.jp/?day=20120222
http://43142.diarynote.jp/?day=20130319
http://43142.diarynote.jp/201704280745098662/
 英国人ソウル愛好の先にある形をそれぞれに表現する二人を続けざまに見る。フロントに立つ者、およびバンド構成員は皆白人で、アフリカ系やジャマイカ系の人はおらず。

 まず、六本木・ビルボードライブ東京で、アンディ・プラッツ率いるママズ・ガン(2010年1月29日、2011年8月3日)を見る。その新作『ゴールデン・デイズ』は彼ら最高傑作と言えるできを示していて、とってもメロウでメロディックで、サウンドもアナログに録られていて、これは出色のブルー・アイド・ソウル・アルバムだと思わされる。オープナーなんて、ホール&オーツ(2005年3月21日、2011年2月28日)の一世一代のフィリー・ソウル味活用名曲「シーズ・ゴーン」の」域に達しようかというものだもの。

 曲によってはエレクトリック・ギターを手にして歌うプラッツに加え、キーボード、ギター、ベース、ドラムという面々が演奏。皆んな仲が良さそうだな。新作からの曲だけでなく、旧アルバムの曲もやったが、秀でたソングライティングがまずありきの存在であることを再確認。彼、ジャニーズの担い手にも曲を提供していたりもするんだよね。

 前日にプラッツにはインタヴューしたが、とにかく誠実な人で、それはアジアの血が入り、父親の仕事の都合でいろいろな所に住んだことは関係ありそう。話の一つ一つがちゃんとしていることには、なかなか感心。今後はと聞くときっちりとヴィジョンを語るとともに、最後にとにかくやりつづけることと答える。なんか、ホロっときた。初期にいた格好いい豪州出身ベーシストは、現在ジャズのトリオをやっているそう。

 彼らアンコールの際は5人がステージ中央に並び、プラッツの弾くギターに合わせ、和気藹々と歌声を重ねる。そして、もう1曲は彼らが初来日公演の際にも披露したザ・ポインター・シスターズ/アラン・トゥーサン(2006年5月31日、2006年6月1日、2007年10月21日、2009年5月29日、2011年1月10日、2012年10月15日、2013年10月22日、2015年1月21日)の「イエス・ウィ・キャン」。出だしはワンダー(2005年11月3日、2010年8月8日、2012年3月5日)「迷信」調で、アレンジは大きくかえていた。

▶︎過去の、ママズ・ガン
http://43142.diarynote.jp/201001310218432625/
http://43142.diarynote.jp/201108101628235325/
▶過去の、ホール&オーツ/ジョン・オーツ
http://43142.diarynote.jp/200503240456350000/
http://43142.diarynote.jp/201103031015296753/
http://43142.diarynote.jp/201204091013123643/
▶過去の、アラン・トゥーサン
http://43142.diarynote.jp/200606071933120000/
http://43142.diarynote.jp/200606071936190000/
http://43142.diarynote.jp/200710221206190000/
http://43142.diarynote.jp/200906051614524790/
http://43142.diarynote.jp/201101111202336229/
http://43142.diarynote.jp/201210201217291727/
http://43142.diarynote.jp/201310241000242214/
http://43142.diarynote.jp/201501220923108418/
▶過去の、スティーヴィー・ワンダー
http://43142.diarynote.jp/200511130015240000/
http://43142.diarynote.jp/201008261618276388/
http://43142.diarynote.jp/201203062006429595/

 次は、南青山・ブルーノート東京。ほんのちょいタクシーに乗っている間に雨がみぞれに変わっていてびっくり。こちらは在英ソウルフル歌手のハンナ・ウィリアムズの出演。こちらのサポートはキーボード、ベース、ドラム、女性バックグラウンド・シンガー、トロンボーン、バリトン・サックスというもの。鍵盤奏者がギターにスイッチしたアンコール最後の曲以外はギターレスでことに当たった。

 ウィリアムスはなかなか太っていて赤毛に染めていて、気立てはよし。そして、剛毅に喉を絞る。ママズ・ガンと比べるとこちらはだいぶストレートなソウル愛好路線を取るわけだが、やはりUKぽさは出る。キーボードだけをバックに歌ったり、日本庭園のスピリュアリティを素材におく非ソウル調曲も披露し、それは作ったキーボードのジェイムズ・グラハムがリード・ヴォーカルをとった。

 演奏時間の長さが出演者のやる気の大きさの尺度になり得るとは思わないが、本日見た二つのショウは90分少し欠けと90分強。そして、両者とも日本でパフォーマンスできる喜びを前面に出していて少し驚くとともに、本当にいい気分になれた。いやあ、二組とも本当に真心にあふれていたな。

<今年の、異変>
 年が明けて氷点下の夜が続いたと思ったら、見事な降雪。夏の亜熱帯化なんか関係ねえと言わんとするかのように、この冬はなんか荒れている。まあ、東京だけでなく、世界各所から度を越した寒波のニュースは届けられているわけではあるが。自然には敵わないことを皆んな認知し、環境にやさしい暮らし方をみんな再度求めんとするべきではないかなあ。罰当たりなぼくだが、こういうとことはわりと優等生な考え方をする……。
 そんな冬なので(?)、1月下旬に生まれて初めてインフルエンザにかかってしまった。A型。前にもこの欄で書いたことがあるが、ぼくは雑な人間なので風邪をひいても気にしない。いや、気にはするが、冬に風邪をひいてしまうのは当然のこととも思え、薬も摂らないし、医者に行ったことも当然ない。だが、今回条件が重なり診てもらったら、アウトと言われた(まじに、顔見知りの医者はにやりとそう言った)。えーん。まったり1週間静養、それはこのブログの掲載にもあらわれている? 実は医者に健康診断の結果を聞きに行かなかったから分からなかっただけで、過去もかかったことがあったのかもしれぬ。だとしたら、それを認知せず普通に外出し、菌をまいていたのかも。ひえっ。神よ、許されよ。

 ぼくがトップ級に注視したいと思わせるジャズ・ピアニストのジェイソン・モラン(2007年1月16日、2007年1月17日、2008年4月6日、2013年1月6日、2015年1月20日、2015年1月21日、2017年4月11日)が、ベーシストのタラス・マティーン(2007年1月16日、2007年1月17日、2015年1月20日)とドラムのナシート・ウェイツ(2007年1月16日、2007年1月17日、2015年1月20日)からなるすでに15年強一緒にやっている不動のトリオでまたやってきた。南青山・ブルーノート東京。ファースト・ショウ。

 過去と輝かしい今がつながる、素晴らしいピアノ・トリオ表現。けっこうセットによって曲をごんごん変えるようだが、ぼくが見たこの日のファースト・ショウではセロニアス・モンクやモランが師事をしたジャッキー・バイアードの曲などもオリジナルとともに自在に開く。また、部分的にはステージ後方に、モランをスプ面から映す映像やグラフィック映像なども控えめに投影された。

  おもしろいなと改めて思ったのは、マティーンが相変わらずポルトガル製のフレットレスの電気ベースをいかにも縦ベース然と弾くことと、ウェイツが小さなジャズ仕様のドラム・セットのもとレギュラー/マッチド・グリップの併用で今でもあるビートを悠々と配給していること。古い偉人ジャズ・ピアニストの奏法を思うまま混ぜるモランのブリリアントな指さばき(一部、ポーンと和音を弾くとさあっと空気が代わると思わせられる箇所もあり)もそうだが、このトリオは旧い〜新しいの領域が他者と違う物差しや設計図をやっほーな感じで持っている! その様、本当に魅力的で、個性的だ。そして、1989年デビュー作以降すっとブルーノートに在籍してきたモランは現在イエスという自己レーベルを持ち作品リリースのペースをあげているわけだが、そんな彼が本当にいい状態にあるとも思わされた。

 文句を言うとすれば、今回はピアノ・ソロ公演がもたれなかったことと、超お洒落だったモランの格好がどんどんフツーになっていることなり。来週木曜毎日新聞夕刊にライヴ評が載ります。

▶過去の、ジェイソン・モラン
http://43142.diarynote.jp/200701201417260000/
http://43142.diarynote.jp/200701201418210000/
http://43142.diarynote.jp/200804081928430000/
http://43142.diarynote.jp/201301151731112021/
http://43142.diarynote.jp/201501210901575140/
http://43142.diarynote.jp/201501220923108418/
http://43142.diarynote.jp/201704131639031673/
▶︎過去の、タラス・マティーン
http://43142.diarynote.jp/200701201417260000/
http://43142.diarynote.jp/200701201418210000/
http://43142.diarynote.jp/201501210901575140/
▶︎過去の、ナシート・ウェイツ
http://43142.diarynote.jp/200701201417260000/
http://43142.diarynote.jp/200701201418210000/
http://43142.diarynote.jp/201501210901575140/

<昨日の、訃報>
 南アが輩出した偉大なトランぺッター(フリューゲルホーン奏者)であるヒュー・マセケラ(2005年7月20日)が、ヨハネスブルグでおなくなりになった。1939〜2018年、彼はこの10年ほど前立腺がんをわずらっていたという。彼がトランペットを手にした動機と反アパルトヘイトの意思は表裏一体のものだった。それゆえ、米国をはじめいろいろな所で活動した彼だが、亡命後に祖国に戻ることが許されたのは風向きが変わりネルソン・マンデラも釈放された1990年のことだった。「グレイジング・イン・ザ・グラス」という68年全米No.1ヒットも持つ彼だが、1965年以降米国ではチサというレーベルを持ち、ユニ/MCA、ブッダ、モータウン、ブルー・サムなどが配給や資金提供で助力。自身の諸作ほか、やはり米国で活動したソウェト出身シンガーのレッタ・ムブール、エレクトリック・ベーシストの走りでウェス・モンゴメリーの兄弟でもあったモンク・モンゴメリーらのアルバムもそこからリリース。また、全盛期たるブルー・サム時代のザ・クルセイダーズのアルバムもチサのロゴとともに当初送り出された。
▶︎過去の、ヒュー・マセケラ
http://43142.diarynote.jp/200507220552110000/
▶過去の、ザ・クルセイダーズ
http://43142.diarynote.jp/200503120546520000/

 日曜日の夕暮れ時から、駆け足で3つの公演をはしご。どれも半端でしか見れず、もっとコンサートを大切にみなきゃとムキっとなる人もいるかもしれない。はい、ごめんなさい。ともあれ、異なる音楽性を持つ3つの会場はどれも満員。ライヴ市場、なかなか繁栄しているじゃん、と思わずにはいられませんでした。

 まず、青山・CAYに行く。民謡クルセイダース(2017年9月15日、2017年10月21日)のP-vine盤のレコ発ライヴ。単独かと思ったら、前座に中南米要素をいろいろと取り入れた、どこか人を喰ったところも持つピート・ポップ・バンドのカセット・コンロスが出てきて、40分ぐらいは演奏。くつろでいるんだけど、どこか塩辛い手触りをもつのはポイントか。その後30分近く会場にいて知人と話したりしていたが、会場を後にする。残念ながら、主役を見ることはかないませんでした。

▶︎過去の、民謡クルセイダース
http://43142.diarynote.jp/201709160841239914/
http://43142.diarynote.jp/201710240957109863/
▶︎過去の、カセットコンロスのメンバーの3人
http://43142.diarynote.jp/201712181017269809/

 その後、渋谷にピューと行ってWWW とWWW X、同じビルの上下にある会場をはしごする。日本人とアメリカ人がそれぞれ出るものだが、イヴェンターはともにスマッシュだった。

 まず、階下のWWWで2008年に京都で結成されたというインストゥルメンタル・バンドのJizue、その単独公演を見る。鍵盤、ギター、電気ベース、ドラムという編成で、口悪く言えば、きれいごとで固めたような口当たりのいいフュージョン調演奏を聞かせる。ここのとこ、こういう日本のインスト・バンドっていくつも出ていて、それなりに支持を集めていないか。鍵盤奏者は女性で、しぐさがどこか上原ひろみ(2004年11月25日、2005年7月31日、2006年9月3日、2009年9月4日、2010年12月3日、2011年9月3日、2011年9月9日、2011年12月11日、2012年7月25日、2012年12月9日、2014年9月6日、2014年9月7日、2016年9月4日、2016年9月15日、2016年11月16日、2017年5月7日、2017年9月28日)的。出音は音楽性とは似合わず、かなり大きい。が、各楽器音はよく聞こえた。曲によっては解散したPe’z(2005年5月2日、2005年7月29日、2005年9月21日、2006年5月29日、2006年8月9日、2006年10月24日、2007年4月14日、2009年10月29日、2012年4月22日、2015年12月19日)にいたトランペットのOhyama "B.M.W" Wataru(2009年7月27日、2011年11月22日)とテナー・サックスのKadota "JAW" Kousuke(2009年7月27日、2011年11月22日)が加わった。

▶過去の、上原ひろみ
http://43142.diarynote.jp/200411292356580000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20050731
http://43142.diarynote.jp/200609070211000000/
http://43142.diarynote.jp/200909120647256771/
http://43142.diarynote.jp/?day=20101203
http://43142.diarynote.jp/201109121452527893/
http://43142.diarynote.jp/201109151818437240/
http://43142.diarynote.jp/201112191449196187/
http://43142.diarynote.jp/201207310933428147/
http://43142.diarynote.jp/201212140959573710/
http://43142.diarynote.jp/201409100929108025/
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/
http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160915
http://43142.diarynote.jp/201611171021419374/
http://43142.diarynote.jp/201709291218574592/
▶過去の、PE’Z
http://43142.diarynote.jp/?day=20050502
http://43142.diarynote.jp/200508042335560000/
http://43142.diarynote.jp/200510030017510000/
http://43142.diarynote.jp/200605300511290000/
http://43142.diarynote.jp/200608111018540000/
http://43142.diarynote.jp/200610251745190000/
http://43142.diarynote.jp/200704151310510000/
http://43142.diarynote.jp/200910300859204528/
http://43142.diarynote.jp/201205080614265555/
http://43142.diarynote.jp/201601041733535125/
▶過去の、B.M.W./JAW
http://43142.diarynote.jp/200908071452433928/
http://43142.diarynote.jp/201111251251201578/

 一度外に出て、階段を4階ぶん登り、WWW Xへ。こちらは、NYの草食系ギター・バンドのザ・ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハート(2012年2月17日、2015年11月10日)が、日本人の前座のバンドの後に出てきて演奏している。所感は過去受けたものと大枠において変化はないが、長年の活動疲弊から来るくすみが見あたらないのは褒めていいだろう。そして、音楽性に見合うルックス〜それは、アイビー・リーガーのようと形容できようか。女性キーボード奏者はリサ・ローブ(2005年1月19日、2008年12月4日)のような眼鏡女子〜にはらしいなとうなずく。

▶︎過去の、ザ・ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハート
http://43142.diarynote.jp/201202200859586342/
http://43142.diarynote.jp/201511120022503788/
▶︎過去の、リサ・ローブ
http://43142.diarynote.jp/200501222326080000/
http://43142.diarynote.jp/200812150311286788/

<今日の、俯瞰風景>
 WWW X入り口に向かう外階段から横に広がる、かつてパルコがあった場所の工事現場がよく見える。かなり広い敷地であることと、ものすごく地下深く掘られているのが一瞥でき、驚いた。完成するのはだいぶ先だろうけど、どんなものができあがるのか。少し、ワクワクした。翌日は大雪にみまわれたが、おそらく工事は中止になったんだろうな。

 仏カリブ海外県マルティニークをルーツとする在仏ピアニスト、グレゴリー・プリオヴァ(2017年4月29日)のトリオ公演を見る。左利きダブル・ベース奏者のクリス・ジェニングス、ドラムのティロ・バーソロがサポート。いろいろ重なりの妙があり、これはワーキング・グループの演奏と思わされた。丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。

 英語でMCをするプリヴァは何気にセンチな、メロディアス曲を奏でる。それがどんどん三者のかみ合いでストーリーを綴っていくような発展を生み、ときにミニマル・ミュージックのようになる場合もある。ドラマーは左手スティック、右手はマレットで叩いたりもし、この表現の鍵を担っていた。ベーシストはジャズとしてはメロディアスな音選びをしていたと思う。そして、プリヴァは時々ハミングをするなど肉声を入れるのだが、ぼくは大マルをあげたい。それ、どうってことはないのだが、確実にうれしい誘いを加味していた。

▶︎過去の、グレゴリー・プリヴァ
http://43142.diarynote.jp/201704300807298823/

 次は、態度100%ジャズ〜それゆえ、ジャズ以外の要素もそこにはいろいろと入る〜のシンガーである蜂谷真紀(2008年8月24日、2009年1月8日、2010年9月11日、2014年7月22日、2014年9月25日、2015年5月20日、2015年6月15日、2016年11月2日)のワーキング・クインテットを見る。新宿・ピットイン。

 いろんな歌唱を繰り出す蜂谷(ファースト・セットとセカンド・セット、それぞれピアノを弾きながら歌う曲も一つづつあり)に加え、トランペットの松島啓之(2014年9月25日、2015年5月20日)と類家心平(2011年5月5日、2014年6月13日、2014年9月25日、2014年12月28日、2015年5月20日、2017年6月21日、2017年9月2日)、縦ベースの須川崇志(2010年3月14日、2011年7月25日、2016年6月27日、2017年6月21日)、ドラムの本田珠也(2000年5月9日、2002年9月22日、2003年6月10日、2004年10月13日、2007年12月4日、2011年5月5日、2012年7月16日、2013年7月27日、2015年5月20日)という面々による。ベーシストが何かと本田とコンビを組む須川に代わっていたが、それにより攻める質感(そして、それと表裏一体のメロウさも)がより出ていたかもしれない。

 豊かな表情を持つオリジナル(「女王」と紹介された曲はアラブ風だった)とともに、CCR、ミンガス、オーネット(2006年3月27日)、ビリー・ストレイホーンらの曲をその変則編成のもと自在にやる。ちゃんと歌詞付きの曲をやる場合もある(一つは、須川とのデュオにて披露)が、多くは器楽的な歌唱法のもとリアル・ジャズなバンドを引っ張る。2本のトランペットの演奏と見事に渡りあったりもするそれは胸がすき、鼓舞もされちゃう。それ、贅沢にして知的な冒険感覚の享受であると感じる。そして、それに触れながら、この妙なグループ名は、ジャズとは何ぞや、今にいることを良しとしない私のジャズ表現とは? と、問いかけをする蜂谷の所信表明であるようにも思われた。

 彼女たちは、このまま20日大阪(ロイヤルホース)、21日名古屋(ラヴリー)とツアー。有機的に変化していくはずで、もし追っかけできたら至福のジャズ体験が出来るのではないか。それと、CCR の「スージー・Q」のカヴァーに触れて、1970年代あたまのヨーコ・オノ(2009年1月21日))みたいなのをアップデイトさせたぶっとび現代ジャズ・ロック・ユニットを彼女はやらないかと、少し思った。その時代、オーネット・コールマンと絡んだアルバムもありましたね。

▶過去の、蜂谷真紀
http://43142.diarynote.jp/200808260821260000/
http://43142.diarynote.jp/200901091437341082/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100911
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http://43142.diarynote.jp/201410310931316189/
http://43142.diarynote.jp/201505211022511238/
http://43142.diarynote.jp/?day=20161102
http://43142.diarynote.jp/201707111737453393/
▶過去の、松島啓之
http://43142.diarynote.jp/201409261635554506/
http://43142.diarynote.jp/201505211022511238/
▶過去の、類家心平
http://43142.diarynote.jp/?day=20110505
http://43142.diarynote.jp/201406160956273046/
http://43142.diarynote.jp/201409261635554506/
http://43142.diarynote.jp/201412301043067796/
http://43142.diarynote.jp/201505211022511238/
http://43142.diarynote.jp/201609201648546159/
http://43142.diarynote.jp/201610100849458472/
http://43142.diarynote.jp/201709101059289712/
http://43142.diarynote.jp/201709101059289712/
▶︎過去の、須川崇志
http://43142.diarynote.jp/201003191715113498/
http://43142.diarynote.jp/201107310727152406/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160627
http://43142.diarynote.jp/201706220952582448/
▶過去の、本田珠也
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-5.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm 菊地雅章
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm 菊地雅章
http://43142.diarynote.jp/200410162306570000/
http://43142.diarynote.jp/200712151621260000/
http://43142.diarynote.jp/201105101010399933/
http://43142.diarynote.jp/201207180824136323/
http://43142.diarynote.jp/201307291053021427/
http://43142.diarynote.jp/201505211022511238/
▶︎過去の、CCRを率いたジョン・フォガティ
http://43142.diarynote.jp/201008251413325933/
▶︎過去の、オーネット・コールマン
http://43142.diarynote.jp/200603281335030000/
▶︎過去の、オノ・ヨーコ
http://43142.diarynote.jp/200901221504141906/
http://43142.diarynote.jp/201105282358273180/ ショーンの言及

<昨日の、取材>
 http://43142.diarynote.jp/201801081118162617/  の最後のほうで本田の新作『ICTUS』 に触れているが、タイミング良く彼への取材の話がきて、楽しくインタヴューした。イントキシケイト誌用。転機を聞くと、いくつかあると言いつつ、彼は3つの事項をあげた。一つは20歳でジャズ・ドラマーになると決めたとき(それまで、ほとんど人前で叩いたことはなかった。お手本は、エルヴィン・ジョーンズ。それはツェッペリンのジョン・ボーナムと質感が近くて入りやすかったからだそう)、またプーさん(1999年11月3日(2002年9月22日、2003年6月10日、2004年11月3日、2012年6月24日、2012年6月25日、2012年10月26日、2015年7月8日、2016年6月11日)や貞夫さん(2002年12月14日、2003年5月6日、2004年12月17日、2005年12月18日、2006年8月8日、2006年9月3日、2006年10月4日、2007年12月16日、2008年12月14日、2009年7月22日、2009年9月3日、2011年7月4日、2012年6月29日、2012年12月15日、2013年4月1日、2013年7月27日、2013年9月29日、2014年7月8日、2014年10月5日、2014年12月14日、2015年12月12日、2016年7月3日、2016年12月11日、2017年10月8日、2017年12月16日)と一緒にやる機会を得て、演奏家としての自我が生まれ、ただがむしゃらに叩くのではなく、自分の言葉で演奏することを求めるようになったこと。そして、ジャズ・ピアニストである父親の本田竹廣がなくなったとき(2006年)。それにより、これから自分はどう進んでいくべきかという問いかけから、ずっと4ビートを叩いていくのもなんだかなああとなり、それは好きではなかったフリー・ジャズの世界に飛び込むことにつながった。それで得たことが、現在の糧になっているそうだ。なお、彼のICTUSトリオ名義の新作『ICTUS』はプーさんから得た薫陶をの山のように出したアルバムだ。
 発売レコード会社のオフィスでそれをやった帰りにJRの山手線に乗ったのだが、新橋駅ホームからはSLがおかれた駅前広場を見渡せる。機関車に電飾がほどこされていて、なんかその様は往年の米国音楽TV番組「ソウル・トレイン」のオープニングに出てくるそれみたいと思い、ぼくはなんか感激。そんなこと感じるのは、ぼくだけ?
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▶過去の、渡辺貞夫
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 音楽的にも思慮の部分でもなにかと深いと感じさせるシアトル拠点のロック・バンド(2012年1月20日)をゼップ・ダインバーシティお台場で見る。わー、彼らを見るのは6年ぶりとなるのか。なんか、ボケボケの身としては3年ぶりぐらいの感覚だよー。前回来日公演以降、彼らはバンドの活動を休止し、いろいろと個人活動に向かっていた。そして初夏にノンサッチから新作『クラック-アップ』をリリースし、いろんな所を回り、彼らはまた日本にやってきた。

 計6人(だったよな?)で、生理的に雄大な、賢人のフォーク・ロックを送り出す。それなりにエレクトリックな楽器も用いているのに、こんだけふんわりフォーキーな感覚を出すのは興味深い。とともに、それは文化〜草食系という所感も導くか。うち、一人は、2種類の管楽器、鍵盤、ギター、パーカッションなどをいろいろ持ち換えたが、フルート以外はあまり聞こえなかった。コーラスは少しザ・ビーチ・ボーイズ(2014年3月28日)みたい。

 いろいろな偉人達の表現を知ったうえで、悠々と展開される大人のロック表現。途中でフロントに立つロビン・ペックノールオは、生ギター弾き語りもした。その簡素な設定で歌声に触れると、歌がうまいなと素直に思わせられる。そのトーンは静的ではあるものの、一方では毅然とした態度の強さがあると思わせた。そして、以降どんどんスケール感が増大し、場が盛り上がっていく様には頷く。日本好きの彼らは、かつてEC (2006年11月20日) もカヴァーしていたYMOの「ビハインド・ザ・マスク」も披露。彼ら、昨日が坂本龍一(2011年8月7日、2012年3月21日、2012年8月12日、2013年8月11日)の誕生日であることも知っていたよう。ぼくは知りませんでした。

 フリート・フォクシーズについてアメリカーナという形容をする人がいるが、ぼくはまったくそうは思わない。だって、彼らの音楽にはノスタルジックなところ〜失われたものに対する郷愁が実はないし、過去US表現の残像をひねりとともに浮き上がらせる感覚がない。フォクシーズは過去には明るいものの、今と向き合い、今の事象を歌おうとしていると、今回の公演で改めて確認できた。

▶︎過去の、フリート・フォクシーズ
http://43142.diarynote.jp/201201271242599633/
▶︎過去の、ザ・ビーチ・ボーイズ 
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▶過去の、エリック・クラプトン
http://43142.diarynote.jp/200611221236140000/
▶過去の、坂本龍一
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http://43142.diarynote.jp/?day=20120812
http://43142.diarynote.jp/?day=20130811

<今日の、ありがたい記憶>
 ホナウジーニことホナウド・デ・アシス・モレイラの引退報道がされた。37歳、まあいい年頃か。しかし、彼とリオネル・メッシのFCバルセロナにおける主役交代の端緒(2007年10月28日)を見ている身としては、いろいろ思うところはある。ま、一度でも彼をちゃんと現場で見ることが出来たのは良かった。サッカー選手と違い、音楽家はよく来日するのでなにかと見ることが出来る機会があり(なにより、現役で活動できる出来る期間も長いしね)、ありがたいなともふと思った? それで、今月にある高齢の名ピアニストを見に行くことに決めました。ところで、15日にザ・クランベリーズのドロレス・オリオーダンがロンドンで亡くなったことが報じられた。彼女達をクアトロで見たような気がするが。彼女達がいなかったら、ぼくはフェイ・ウォンに興味を持つこともなかったかもしれない。
▶︎過去の、ホナウジーニョ
http://43142.diarynote.jp/200711080728570000/

 いやあ、カート・ローゼンウィンケル(2009年3月1日、2010年3月12日、2013年11月20日、2014年3月4日、2016年6月27日、2017年4月15日)好き勝手やってるなー。昨年公演がブラジル歌モノ憧憬音楽追求バンドであったのから一転、昨年夏にあちらではツアーをやっている変則トリオで今回やってきた。エフェクターを駆使するギター2本とドラム(サンプラーやパッドも使う)がけっこう自由に重なっていくという……。3人の出会いは相当前で、フィラデルフィアのレーベル“1K”から2014年に配信リリースされているバンディット65名義の『Bandit 65』は2009年に録音されたものだ。丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。

 フィラデルフィアを拠点に置いてきたギターのティム・モンザーとウィスコンシン州生まれでバークリー音大を経て1990年代半ばからNYで活動しているドラムのギンタス・ヤヌソニ(リトアニア系という)は、今様視点を持つなかなかの実力者。アラフォーかな。ともに、現代ソウルやクラブ/ヒップホップ系作品に助演していたりもするが、ジャズを通ったインプロヴァイザーとしての資質もきっちり持つのは明らか。三者対等な関係のもと個を出しつつ舞う様は、一見の価値あり。モンザーの手元や機器扱いが背中越しでまったく見えない席で見ていたのはちょい残念ではあった。本編3曲、アンコールはブルース曲をやったが、セットごとにけっこう違ったことをやっていたのだろうか。

▶過去の、カート・ローゼンウィンケル
http://43142.diarynote.jp/200903031751323247/
http://43142.diarynote.jp/201003131221091991/
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<今日の、ほどほど>
 まあ晴天なので日のさす日中はいいのだが、日が暮れると寒い。ここのところは、最低気温が氷点下になっているようだ。昨年暮れから感じているが、今シーズンの冬は例年より寒さを感じる。なんか、夜の遊びは消極的になるよなあ。実はいまのところ、明けてのライヴは例年より行っているものの。。。

 渋谷・映画美学校で、2017年ハンガリー映画「心と体と」の試写を見る(4月中旬から公開)。監督と脚本はいろいろな映画を撮っているという、1955年ブダペスト生まれの女性監督のイルディコー・エニェディ。東欧の国には行ったことがなく彼の地のもろもろの一端にでも触れることができたならと軽い気持ちで出かけたら、ぜんぜん当てが外れる内容だった。だが、興味深く見ることができた。

 大まかに言えば、肉体的と精神的な障害をそれぞれに持つ中年男性と20代女性のちょっとほつれたラヴ・ストーリー。場は両者が働く精肉処理工場と、家のなかと、少しのお店のなか。そして、夢のシーンとなる、鹿のいる冬の雑木林。なので、ブダペストの街並みやブダペストの風俗などはまったく描かれていない(ご飯はまずそうだは、思った)。パっと見るぶんには欧州のどの街とも取られる設定/シューティングのもと、一筋縄では行かない男女の気持ちのやりとりが描かれている。でも、だからこそどこの現代都市にもあてはまるような、普遍的な人間風景を描くことに成功しているとぼくには思えた。淡々とし、含みや細やかさがあり、エニェディさんはお上手であると感じた。血の扱いはぼくには直接的すぎるが、良い映画なのではないでしょうか。言葉は、ハンガリー語。音楽はあまり入らない映画だが、女性主人公の心境変化の場面で重要小道具として使われるフォーキー曲は英語によるものだった。

 その後は、六本木・ビルボードライブ東京で、人気ロック・バンドのキッスのシンガー/ギタリストであるポール・スタンレーのソウル・プロジェクト“ソウル・ステーション”を見る。当初、2015年9月にチャリティ目的でLAのザ・ロキシーで持たれたもので、演目はすべて著名ソウル曲。彼は一切ギターを持たず、ヴォーカルに専念する。加えて、コーラス3(女性2、男性1。彼女らのみ、アフリカ系かラテン系)、ギター、鍵盤2、管楽器3(バリ、テナー、ペット)、ベース、ドラム、パーカッション。ドラマーは、キッスのエリック・シンガーだった。

 奇抜なメイクや衣装なしのスタンレーは生理的にまっすぐ、すべてファルセットで歌う。ソウル・ステーションはファミリーであることを伝え、丁寧に誰々とやっているとか、親身に構成員のことを一人づつ彼は紹介する。いやあ、いい奴そうなのは端々から伝わってきて、かなりびっくり。彼は3人のシンガーたちにも1曲づつリード・ヴォーカル曲を与えたが、その際のコーラスに回った際の所作もほほえましい。ロックをやる以前はソウルを聞いていたという話にも納得させられますね。

 披露されたのは、テンプス(2009年11月8日、2013年8月18日、2017年3月20日)曲2、ザ・デルフォニックス、アル・グリーン、スモーキー・ロビンソン2、フォー・トップス、マーサ&ザ・ヴァンデラス、スティーヴィー・ワンダー(2005年11月3日、2010年8月8日、2012年3月5日)、スタイリスティックス(2015年12月27日)、スピナーズ、ファイヴ・ステアステップス、ザ・アイズリー・ブラザーズ(2001月12月6日、2004年3月1日)、なり。モータウン、フィリーものを主に、テンダー目の曲が数多く披露された。

 大好きなソウル曲をうれしそうに歌うパフォーマンスとともに印象に残ったのは、彼のMC。とってもゆっくりと噛み砕くように話し、時おり重要ワードは日本語で言う。これは日本人に伝わりやすいワ。こんなに日本人のことを思いやるステージMCをする人は初めてかも知れぬ。だてに何度も日本公演をやっているわけでもないなと思わせるとともに、その人間性の高さのようなものに、ぼくは頭をたれた。しかし、素のスタンレーは若々しく快活で、なかなか格好良かった。

 彼は1曲ごとに曲を説明するのだが、原曲のリード・シンガーや作曲者のことにも丁寧に触れる。そして、両手でハート・マークを作ったりしてソウル・ミュージックが真心の音楽であることも伝えもするわけで、非ソウル・ファンにもスタンレーの気持ちはよく伝わったはず。なぜ、我々はラジオから流れてきたポップ・ミュージックに一喜一憂し、それに合わせ口ずさみ、そのことを幸せな記憶として心の中に宿し続けるのか。歌にしろ演奏にしろ、純ソウルの担い手と比すと、不十分なところはある。だが、その答えを、スタンレーはありったけの音楽愛とともに出していた。

▶︎過去の、ザ・テンプテーションズ・レヴュー
http://43142.diarynote.jp/200911101136006646/
http://43142.diarynote.jp/201308191407221107/
http://43142.diarynote.jp/201703211232135720/
▶過去の、スティーヴィー・ワンダー
http://43142.diarynote.jp/200511130015240000/
http://43142.diarynote.jp/201008261618276388/
http://43142.diarynote.jp/201203062006429595/
▶︎過去の、スタイリスティックス
http://43142.diarynote.jp/201601041735456365/
▶︎過去の、ザ・アイズリー・ブラザース
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm
http://43142.diarynote.jp/200403011119270000/

<今日の、発想>
 普段はハード・ロックやパワー・ロックという類いのことをしている人でも、インタヴューしてみると、ソウル/ファンク好きであることを喜々として出す人は少なくない。たとえば、ディープ・パープル(2005年8月13日、2006年5月21日)にいたこともあるグレン・フューズ、リッチー・コッツェン、エクストリームのヌーノ・ベッテンコート(彼はポルトガル系でポルトガル語も解し、ブラジル音楽にも興味を持っていると言っていた)、ミスター・ビッグのポール・ギルバート(2016年9月26日)などはそうで印象に残っているな。彼ら、歌心を持っている? キッスに妙な歌謡性を昔かんじていたが、それには少しスタンレーのソウル好きが影響しているのかもしれない。ちなみに、キッスが世に出た頃、ブルースやファンクは好きだったが、まだ一般ソウルは好みじゃありませんでした。
▶過去の、ディープ・パープル
http://43142.diarynote.jp/200508152007550000/
http://43142.diarynote.jp/200605231801250000/
▶︎過去の、ポール・ギルバート
http://43142.diarynote.jp/201609271248503637/
 LA のポップ・ロック・バンド、フォスター・ザ・ピープル(2012年8月18日)を新木場・スタジオコーストで見る。新木場駅に降りたら海風が寒くてたまらんというのはともかく、都内で一番大きなスタンディング会場であると思われるスタジオコーストが埋まっていて、なんかうれしかった。

 フロント・マンのマーク・フォスターの歌の質感もあり彼らにはわりと文化系というイメージを持っていた。だが、濃いというか、きっちり要点をいろいろと抱えるパフォーマンスをしていて、出したアルバムは3作ながらアリーナ級のバンドになるような人気を集めるのも当然と思えたか。

 サポート奏者2人を含む6人で、演奏する。ツイン・ドラムで事にあたることが少なくない事実に表れているように、100分のショウはある種の強度を持ち、メリハリに富む。ヴォーカルだけでなく、ときにギターや鍵盤も弾きながら歌うマーク・フォスターの所作もなにげに肉体派という所感を与えるもので、押し出しが強い。実はステージ美術や構成に凝らないそれは今時のデカいホールでやる人気バンドとしては珍しいとも言えそうだが、彼らは音楽実演の魅力のみで観客を引きつけていたと言える。

 ちょうど中盤あたりで、米国パンク・アイコンのラモーンズの「ブリッツクリーグ・バップ」をやる一方、新作で顕著に取り入れたクラブ/エレクトロニカ要素もバンド演奏という枠を損なわずに随所で折り込む。そうした幅の広い行き方から浮かび上がるのは、しなやかなロック感覚であり、娯楽性の高いロックを送り出しているという彼らのひどくまっとうな矜持のようなもの。こういうバンドがちゃんと大きな支持を集めていることに、どこか安堵を覚える自分がいた。毎日新聞に、公演評が出ます。

▶︎過去の、フォスター・ザ・ピープル
http://43142.diarynote.jp/201209121313137885/

<今日の、思い出>
 ホテル箱根ホテル小涌園が、今日閉館したという。温泉愛好家でもないし、いわゆる温泉複合施設みたいな所にもとんと興味がないが、前に一度だけ行ったことがある。新卒で入った出版社を3年半でやめたとき、懇意にしていたレコード会社2社の方が、おつかれさま宴会ツアーを組んでくれたのだ。年の近い編集部の同僚も一緒に呼んでくれて、そこに一泊した。あそこにはいろいろ入浴施設もあったはずだが、とんとそれを活用した記憶はないなあ。飲み食い、だけだったんだろうか。主宰してくれた敏腕A&RだったYさんはその後華麗に転職したものの、事故死してしまったとだいぶ後から知った。まあオレ本当にあのころ会社員として仕事をがんばっていたと思うが、若造のためにわざわざそれなりに大げさなのを企画していただき、本当に光栄だった。そういうのも含め、今に連なる財産なんだろうな。
 ところで、サザン・ソウルのどすこい名歌手であるデニス・ラサール(2004年12月20日)が、1月8日にテネシー州ジャクソンで78歳で世に召した。心臓病を患い、一方で転落事故をおこしてしまい右足も切断。家族に囲まれ、病院でお亡くなりになったという。
▶︎過去の、デニス・ラサール
http://43142.diarynote.jp/200412212106260000/

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