小池博史の作・演出・構成による舞台。場所は、三軒茶屋・世田谷パプリ
ックシアター。これ、区営なの? とっても、立派なホール。タイトルに
あるように、コロムビア生まれの大作家ガルシア・マルケスの『100年の孤
独』を下敷きにするもの。そりゃマルケスの名前は知っていても読書嫌いの
ぼくは彼の本を読んだことがないし、演劇関係にもほとんど興味を持ったこ
とがない。

 そんなワタシがわざわざ見にいったのは、舎弟の下町兄弟(BANANA
ICE。工藤ちゃん。今回の共演者のなかでは、玄さんと呼ばれているらし
い)がラッパーとして出演するから。けっこう乱暴な経緯で出ることになっ
ちゃったらしいし、ちっちゃなのに出るのかと思っていたら、これがとって
も大がかりな、エスタブリッシュされたノリを持つもので(ものものしい助
成や協力がついてて、わざわざブラジルや香港からも役者を呼んでいる)、
わわわという感じではありますね。

映像、各種ステージ美術などもいろいろ多角的に駆使してのパフォーマン
ス。踊りやいろんな動きを多用し、ときに歌も用いる。非常に複合的であり
、多方面から接する者にいろいろ語りかけたり触発したりする、プロの出し
物。2部構成(それぞれ、1時間ちょいのものが二つ)で、1部は日本人、
2部は外国人が音楽を担当。それも、納得できるものでした。

 で、そんななか、工藤ちゃんはちょい役ではなく、かなり重要な出演者と
して出ててびっくり。日本人出演者のなかで一番セリフが多いし、彼が出る
ことで話が展開されるという部分もあし、狂言回し的なラッパー役以外も、
村人役や郵便屋さん役で出てきたり。もう、大活躍。おそらく、彼の能力の
高さに作り手側が感服し、どんどん出番が増えていったと想像するが、役者
デビューした工藤ちゃん、まじ素晴らしすぎる。しかし、普通の演劇ファン
のお客さんは、台詞まわしにやたら力のある面白い役者がいるもんだと興味
をそそられたのではないか。終演後、飲み屋に工藤を呼び出し、友人みんな
でもって役者に転向しろと乱暴なことを言う。

 新たなフィールドを得た工藤ちゃんに乾杯。刺激を受けたし、本当にうれ
しかった。