アルト・サックスのスーン・キム、ギターのヴァーノン・リード(2000年8月13日、2008年12月16日)、ベースのアル・マクドゥウェル、ドラムのグラント・カルヴィン・ウェストン(2014年7月28日)というのがその布陣。“皆オーネット・コールマンが好きだった“という副題付けがなされていたが、いちおう今年亡くなったオーネット・コールマン(2006年3月27日)・トリビュート・バンドと言っていいのかな。かつてコーマンにNYで教えを乞うたというスーン・キムが発案し、現在は日本に住む彼と在米のアフリカ系奏者3人が重なるという設定のものを2セットにわたりたっぷり披露する。マクドウェルとウェストンは実際、コールマンのザ・プライムタイムのメンバーであった人たちですね。渋谷・クラブクアトロ。

 どうなるか事前にあまり想像できなかったのだが、ずっと立ちっぱなしでグヒヒヒと見ちゃったな。とにかく、米国勢3人の重なりが強力にして、秀逸。それ、“先進都市の民俗音楽”なんてノリもあったコールマンのエレクトリック・ファンク表現のもやもやを再提出している部分もあったか。それなりの仕掛けや決めを持ちながら流れて行く様は一発モノではなく、リハを持っているとも思わせた 。

 元リヴィング・カラーのヴァーノン・リードは老けた感じがなく、存在感あり。けっこう、彼がリーダーシップをとって流れて行くと感じさせるもし、その過剰なソロとあいまって、ほんといいギター奏者であると再認識。前で見ていた人によると、ウェストンも変化のサインを出すときがあったそうだが、2バス・ドラムで叩く彼のビートが昨年来日時より遥かにいいのには少し驚く。そのときのベーシストはジャマラディーン・タクーマ(2014年7月28日)。うーむ、そしたらタクーマがいけなかったと判断するしかないじゃないか。
 
 NY芸術高校を出てすぐに1980年代にコールマン・バンド入りをしたという輝かしい経歴を持つアル・マクドゥエルは今そんなに名前を見るわけではないが、臨機応変な余裕たっぷりの演奏を示してマル。やっぱ、コールマンの目に叶った人は実力あったのだなと思わずにはいられず。彼が1989年と1990年にグラマヴィジョンから出したリーダー作はフュージョンぽいところもあって、そんなに好きではなく、他者に勧めようとは思わないが。

 その3人にキムも加わるわけだが、3人だけの演奏のほうが良いのではないかと思ったのは確か。確かにキムはオーネット流れのフレーズを絞り出すのだが、残念ながら質感がコールマンのように“羽が生えた”ものではないので、なんか聞いていて疲れちゃう。とともに、物腰がファンキー じゃないのがまずい。代わりに、日本でもっともオーネットのフレイジングや諧謔を知っている泉邦宏(2006年7月3日、2011年7月10日、2012年4月21日)が加わったのならとも思う。ごめんなさい、キムさん。

 そしたら、セカンドの終盤には、梅津和時(2001年9月2日、2001年9月21日、2004年10月10日、2005年7月29日、2006年1月21日、2008年11月14日、2009年2月8日、2009年6月5日、2010年3月20日、2011年4月1日、2012年2月10日、2012年11月21日、2012年12月8日、2013年11月20日、2014年9月16日)が加わる。それは、オーネットの有名曲「テーマ・フロム・ア・シンフォニー」とパーラメントの「ギヴ・アップ・ザ・ファンク(ティアー・ザ・ルーフ・オフ・ザ・サッカー)」の改変曲。うひょひょ。もう梅津大王、自分の流儀〜非コールマン・マナーでブっとぶ。イエイ。とかなんとか、かなり満足度が高かった。

▶過去の、ヴァーノン・リード
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-8.htm 8/13
http://43142.diarynote.jp/?day=20081216
▶過去の、グラント・カルヴィン・ウェストン
http://43142.diarynote.jp/?day=20140728
▶過去の、オーネット・コールマン
http://43142.diarynote.jp/200603281335030000/
▶過去の、ジャマラディーン・タクーマ
http://43142.diarynote.jp/?day=20140728
▶過去の、泉邦宏
http://43142.diarynote.jp/?day=20060703
http://43142.diarynote.jp/201107111327576732/
http://43142.diarynote.jp/201204221307297965/
▶過去の、梅津和時
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-9.htm タラフ+コチャニ(2日)、エスマ(21日)
http://43142.diarynote.jp/200410162220330000/
http://43142.diarynote.jp/200508042335560000/
http://43142.diarynote.jp/200601271857530000/
http://43142.diarynote.jp/200902102121513506/
http://43142.diarynote.jp/201003221028556158/
http://43142.diarynote.jp/201104041101543361/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120210
http://43142.diarynote.jp/201211231437358985/
http://43142.diarynote.jp/?day=20121208
http://43142.diarynote.jp/201311230757159421/
http://43142.diarynote.jp/201409171722239857/

<今日の、懸念>
 なんかメイラーの反応が遅くなっているのと、マイ・ナンバー通知を受け取るか否か、ということ。小せえ、な。