なるほどなあ、ECMはいいなあと、うれしいため息。新宿・ピットイン。

 ルネ・グラモフォンやECMからリーダー作を出していて、英国人のイアン・バラミーと共にフードというやはりECMからアルバムが出ているグループも組んでいる、ノルウェー人敏腕ドラマーのトーマス・ストレーネンが今度新たに組んだ、タイム・イズ・ア・ブラインド・ガイドというバンドの実演を見る。ちょい変則編成で、ストレーネンに加え、キット・ダウンズ(ピアノ)、ルーシー・レイトン(チェロ)、ホーコン・オーセ(ヴァイオリン)、コナー・チャップリン(ベース)という編成。“Jazz Artせんかわ”出演を皮切りに8公演組まれ、この晩が日本公演の最終日となるよう。

 ザ・タイム・イズ・ア・ブラインド・ガイドはこの6月にスタジオ入りし、レコーディング。それはECMから、10月2日に発売。同社は鷹揚に録音ブツを寝せる場合もあり、これはかなりの早業と言える。

 この新バンドはストレーネンの作曲の才を活かすという触れ込みであったので、しかも弦楽器3本とピアノという編成でもあるので、高邁な音楽観のもとかなりスコアでコントロールされた弦音+ピアノ音のもと、ドラムの自在の叩き口をフィーチャーするのかと思った。そしたら、違った。もっと自然体というか緩い行き方のなか、個人の裁量の発揮も許されて進む総サウンドは、フツーにジャズ的。考え過ぎでしたね。だが、そこには現代ジャズとして出るべき技やイマジネイションがあり、ECMという門を通ることを念頭に置いた、温度の推移、色彩の濃淡、音の尻尾の見目麗しい流れといったものがあるわけで。。。。。

 サポートの奏者は皆20代か。とくに、ヴァイオリニストは個性あり。もしかして、これまで見たヴァイオリン奏者のなかで一番ぼくの耳に残る個性の持ち主ではないかと思った。ファーストとセカンドの終盤は、彼らを招聘した巻上公一(2004年11月6日、2013年8月11日)もゲストに加わる。テルミンとヴォイス、ほんのちょっと口琴。太い信頼関係のもと、いい感じで重なる。彼、ほぼ完璧にテルミンの音をコントロールしていた。

▶過去の、巻上公一
http://43142.diarynote.jp/201308130851402454/

<今日の、正解>
 原稿を書くのに煮詰まるということはまずないのだが、ずらずらと書いて行くとモードというものがあり、時期が重なる原稿の言葉尻や言い回しがどうしても似てきてしまうことがある。人間のキャパなんて、ちっぽけなモノよのお。そういうときはシャワーを浴びたり、ちょい散歩をしたるすると、新鮮な心持ちになり、クリシェに陥らない原稿が書きやすくなる。ほんのちょっとの変化は黄金を生む。今の時期はとっても適だが、もう少し寒くなると、そういう気分転換はしにくくなるなあ。ヤだなあ。ともあれ、今日はシャワーを浴びて大正解。編集者から極上の反応を受けると、バカはとてもうれしい。それは、来月売りのbsr誌の原稿なり。