人気R&B派アルト・サックス奏者(2000年3月21日、2003年7月18日、2010年12月1日、2012年3月3日、2013年9月3日)の公演は、リッキー・ピーターソン(2000年3月21日、2003年7月18日、2012年3月3日、2013年5月10日、2014年4月23日)、ニック・モロック(2012年3月3日)、リチャード・パターソン(エレクトリック・ベース)、ジーン・レイク(1999年5月25日、2000年3月21日、2002年6月18日、2003年7月18日、2009年3月18日、2012年2月10日、2012年3月3日)というおなじみの面々と行う。南青山・ブルーノート東京、セカンド・ショウ。

 というわけで、旧来のブラック・フュージョン志向をとるなかで、彼一流のひっかかりのあるソウルフルなブロウを披露しようとする内容。とはいえ、ボブ・ジェイムズ(2013年9月3日)との2013 年作『クァルテート・ヒューマン』(アメリカはオーケイ)、ボビー・ハッチャーソンとの2014年作『エンジョイ・ザ・ヴュー』(ブルーノート)と、ジャズ・インプロヴァイザーとしての真摯な姿を大きくだしたアルバムが続いたこととは関係がないとは思うが、吹き口が過去よりかジャズっぽいと思わせるところがあったような。とともに、サイド・マンのソロはそれほど長くなく(ニック・モロックって、この手のタイプでは好感が持てる奏者だと思った)、たっぷり吹いたという所感も得た。

▶過去の、サンボーン
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http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-7.htm
http://43142.diarynote.jp/201012051903113851/
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/
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▶過去の、ピーターソン
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http://43142.diarynote.jp/?day=20120303
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▶過去の、モロック
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▶過去の、レイク
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http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-3.htm サンボーン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-6.htm ンデゲオチェロ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-7.htm サンボーン
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▶過去の、ジェイムス
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<明日の、サンボーン>
 昼間にサンボーンの宿泊している部屋(スイートでした)にうかがい、まだ完パケていない(ミックスまで終了していない)2015年リリースの新作の音を数曲大音量で聞かせてもらうとともに、新作のことについていろいろと話を聞く。彼は丁寧に、色づけのヒントを得たピグミー族のフィールド・レコーディング音もきかせてくれたりして。。。新作プロデューサーは、なんとマーカス・ミラー(2001年6月14日、2003年8月19日、2005年8月21日、2006年9月3日、2007年12月13日、2009年9月15日、2010年9月3日、2013年9月3日)。かつて10作ぐらいでプロデュース関与していたが、今回15年ぶりに二人は協調することとなる。驚いたのは、けっこうサウンドはマーカス主導なのかと思ったら、サンボーンがデモ・テープを作り、それをミラーに送っていろいろ話し合うという手順を踏んでいること。選曲(オリジナル他に、ディアンジェロ曲やマイルズ・デイヴィスがやったエルメート・パスコアール〜2004年11月6日〜曲もあり)や、ロイ・アサフ(2014年9月7日)やジーン・ベイラー(2007年12月16日)らレコーディング参加者もサンボーンが決めている。
 ところで、サンボーンはニューヨーク州ウェストチェスターにあるハドソン・リヴァー沿いの豪華な日本風邸宅に引っ越したばかり。タブレットでその家を見せてもらったが、すげえええ。69歳、まだまだ働く意欲、満々デス。
 もう、2014年ベスト・アルバム選出の雑誌原稿依頼がくる。うー、今年も終わりに近づいていることをいやがおうでも認識しちゃうなあ……。
▶過去の、ミラー
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▶過去の、アサフ
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▶過去の、ベイラー
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▶過去の、パスコアール
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 先人の金言をインタヴュー中に、発言主旨の分りやすいたとえとして出す。そういうことをするミュージシャンは少なくないわけだが、ぼくの経験上一番引用される言葉は、デューク・エリントンの「音楽には二種類しかない。いい音楽と、悪い音楽だ」というもの。それは往々にして、音楽にジャンル分けは必要ない、音楽は一つといった気持ちを表明するときに、引っ張り出されますね。まあ、先見性や洗練や優美さ、メロディ性や間口の広さやダイナミクスなどをエリントンの音楽が余裕で持ち、音楽のマジックたるものをきっちり宿しているからこそ、皆さん引用したくなるのだと思うが…。

 なんて思わせぶりに書いたが、そんな米国ジャズ史きっての偉人の財産を引き継ぐビッグ・バンド(2005年4月13日、2009年11月18日、2010年11月24日、2012年10月17日)を見る。丸の内・コットンクラブ、セカンド・ショウ。

 会場内に入り、何気に気分がアガる。例によりステージ上にちゃんと風情ある譜面台がずらりと並んでおり、“うれしいハレの場”の雰囲気をだしていて。当然、構成員は皆正装。管楽器12人に、ベースとドラム。そして、例によって、やんちゃファンキーじいさんのトミー・ジェイムス(ピアノ)がリーダーを務める。彼一曲ごとにボケの入ったMCも和やかにするが、それがちゃんと面白い人間性の発露となるとともに芸にもなっていて、ぜんぜんイヤな感じがしないよなー。

 「A列車で行こう」で始まったショウは、音楽的なところから見せ方の部分まで、米国黒人芸能の正の側面を問答無用に浮かび上がらせる。曲は基本短めだが、有機的なアンサンブルとソロが効果的に噛み合う様には大きく頷いちゃう。とともに、今のビッグ・バンド表現は往々にしてアンサブルのパートとソロのパートが乖離しがちと思わずにはいられず。うぬ、ここには本当に娯楽性にもたけ、変わらなくていいものが山ほどあると思えた。なんか初めて見るわけでもないのに、いいナと思えるポイントがいろいろあって、なんかとっても楽しかったYO。←こんな末尾の表記は、なんかトミー・ジェイムスの語り口に影響された? 

▶過去の、エリントン・オーケストラ
http://43142.diarynote.jp/200504151006160000/
http://43142.diarynote.jp/200911212112151307/
http://43142.diarynote.jp/201011250609539822/
http://43142.diarynote.jp/201210201219525855/

<今日の、自賛>
 10月はよくライヴに行ったナ、と改めて思う。こんなに行ったのはもしかして、このブログを書くようになって、一等賞? なんだかんだ仕事がつまっていたときもあって、一時はだいぶこのブログ原稿アップも遅延していたが。……この一ヶ月で書いた、ちゃちゃちゃのブログ原稿の量は35000字を余裕で超える。ほう、オレなんかすごいぢゃん。対価が支払われる普通の原稿以外に、これだけ書けば立派なものではないか。

 ぼくが洋楽を聞きだした頃から、この盲目のシンガー・ソングライターの名前は日本でも紹介されていた。が、コドモなロック趣味からは遠い位置にいるカンジなため、ちゃんと聞いたことはなかった。そして、そのまま現在にいたってしまったわけなのだが。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。

 冒頭約10分間、彼の経歴や偉業を伝える映像(出てくる文字説明は、英語とスペイン語)が流される。こういうのって、往々にしてかったるいと感じるはずだが、この晩は興味深くも、ありがてえ。そっか、1945年生まれかあ(もっとじじいだと思っていた)、プエルトリコ生まれかあ(南米属性が入っていることは認知していたが〜まあ、それは名前で判断がつく〜、細かいことは知らなかった)、子供のとき家族とNYに移住し、10代の頃から才覚を表わしたのかあ(モノクロの10代半ばのギター演奏がジャジーでうまい)、ザ・ドアーズの「ハートに火をつけて」の1968年カヴァーでグラミー賞を受けたのかあ(7度だか9度だか、受けているよう)。等々、いろいろ情報を仕入れられ、最低限の理解の土台ができて、期待がめちゃ高まる。

 そして、生ギター(一部では、面白い形の透明エレクトリック・ギターを弾いた)を弾きだした彼は笑っちゃうぐらいに達者。フィンガー・ピックングにしろ、ピックを持った演奏にしろ、パッション性豊かにぐいぐいとギターをならす。そして、声も朗々、よく出る。そのさわりだけで凄い才の持ち主であり、スターの座について当然の人なのだというのは合点が行くだろう。透明感とほのかな濁りの重なりが魅惑的な人であるとも感じた。バンドは、キーボード2、電気ベース、ドラム、打楽器という布陣で、彼らも皆うまい。

 彼は英語アルバムとスペイン語アルバムの両方を山ほど出している人だが、この晩の多くは英語で歌い、スペイン語曲も少し。それはともかく、やっぱしラテン・ルーツの弾みの感覚や哀愁が、随所に出てくるのはポイントだ。「ハートに火をつけて」はもちろんのこと、マイケル・ジャクソン「ビリー・ジーン」、サンタナ(2013年3月12日)のカヴァーでしられるティト・プエンテの「オエ・コモ・バ」、レイ・チャールズ「ホワット・アイ・セイ」らベタな有名曲カヴァーもやるが、それもフェリシアーノの滋養/広がりをきっちと聞き手に届ける。やはり、彼ならではのモードがあるし、それは魅力的に思える。やはり、たいした才能の持ち主というしかない。

 最後バンドが演奏をするなか、彼がステージから降りて、それで終了かと思う。が、もう一度フェリシアーノは手をひかれてゆっくりステージにあがり、もう1曲やった。それについて、ドラマーは少し驚いているフシが見受けられ、アンコールをやらないときもあるのではないか。ステージの行き来のやっかいさもあるし、それで当然とも思う。MCは陽性で、かなり日本が好きなことを表明もしていたが、機嫌は上々であったよう。

▶過去の、サンタナ
http://43142.diarynote.jp/201303211531189619/

<今日の、咳>
 なんかホセさん、風邪をひいているようでMCのさい、けっこう無頓着にゲホゲホ咳をしていた。歌声は問題なかったが、あと2日の公演は平気なのか。実はぼくも先週末、少し咳が出るなと思いながら飲んでいたら、翌日は熱っぽく、咳がごんごん出て、慌てたことがありました。だから、少し咳には敏感? もちろん医者にもいかず、薬ものまなかったが。これからも風邪をひいてもいいけど、自然治癒主義を保ち続けられるといいが。
 広尾・スイス大使館大使公邸で、今日本ツアー中というスイス人シンガー・ソングライターの実演を見る。生ギターを弾きながら歌う、その手のスタンダードにあるパフォーマンスを見せる。なかなかナイス・ガイっぽい23歳の青年だが、地声はけっこうデカく、堂々。フランス語圏の育ちのようだが、英語が達者。歌詞も英語を用いる。レナード・コーエンの「ハレルヤ」もやったな。普段はバンドとともにやっているよう(アルバムもいろいろ色づけがなされている)だが、客とのやりとり、盛り上げの様は巧み。ちゃんと声がでていることもあり、爽やかだけど、10歳ぐらいは年上の表現にも聞こえるか。今年3度目の来日とかで、けっこう日本語をMCに入れたりもしていました。

 その後は、南青山・ブルーノート東京(セカンド・ショウ)に行き、トリオ・アルマデオ・ロメロというベネズエラ・ボリバル人たちのトリオを見る。“トリビュート・トゥ・アルマデオ・ロメロ”というお題目が付けられた出し物、なり。アルマデオ・ロメロ(1928〜2007年)は同国の誇る広角型/革新派のバンド・リーダー/ピアニスト。彼は堂にいったラテンから洒脱なムード・ミュージック調のもの、オーケストラものからスモール・コンボによるものまで、いろんなことに手をそめ、米国にも進出していたよう。

 綺麗にスーツを身につけているペドリート・ロペス(ピアノ)、グスタボ・カルシー(フレテッドの6弦電気ベースとフレットレス4弦の電気ベース)、ミゲル・デ・ビンセンソ(ドラム)というトリオの面々は見た目、かなり上品。で、すいすいという感じで重なるわけだが、腕もちゃんと立つ。ロメロ曲を取り上げていたのだと思うが、その総体はかなりジャズ。へ〜え。ラテン的躍動や臭みは強くはないが、けっこうビートはボサっぽい。ロメロはブラジル音楽要素も取り入れた人であったようだ。しかし、現在ビョーク(2001年12月5日、2008年2月22日)がプロデュースを依頼していると伝えられるアルカのようなレフト・ウィングな作り手も輩出している同国、いろいろありそう。

 トリオ演奏に華をそえるように、カルメラ・ラミレスという綺麗に着飾った女性歌手が何度か出たり、入ったり。透明感のある彼女もときにジャジーな歌い方を見せた。また、1曲づつアルパ奏者の吉澤陽子(2011年6月25日)とシンガーの松田美緒(2005年7月11日、2010年4月19日、2010年10月16日、2012年6月13日、2014年2月9日、2014年6月16日)が加わる。松田とラミレスがかなり似た聞き味を持っていることに驚いた。

▶過去の、ビューク
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm
http://43142.diarynote.jp/200802230934310000/
▶過去の、吉澤
http://43142.diarynote.jp/201107081119414371/
▶過去の、松田
http://43142.diarynote.jp/200507161355250000/
http://43142.diarynote.jp/201004211621084144/
http://43142.diarynote.jp/201010191403189326/
http://43142.diarynote.jp/201206141343402196/
http://43142.diarynote.jp/?day=20140209
http://43142.diarynote.jp/?day=20140616

<今日の、大使館関連>
 ブルーノート東京の前には外交官ナンバーの自動車がずらりと停まっている。うわあ、10台ぐらいあった? それ、全部ベネズエラ・ボリバル大使館の所有なのか。それとも、大使館コネクションで、他の国の大使館関連者もきていたのか? 今まで見たことがない風景で、余計なこと考えちゃったよー。
 大使館と言えば、在日スイス大使館の文化・広報部長のミゲルさん(まだ、若いです)はかつてモントルー・ジャズ・フェスティヴァルにも関与していたこともあったそうだが、かなりなヴァイナル・マニアだ。渋谷のHMVに行って、子供を抱きながらエサ箱をあさっていたら、それを写真に撮られてしまい、GROOVE誌秋号の表紙になったそう。おお、あれは彼であったか。前に会ったとき、アナログ好きだったら、渋谷のJBS(驚異的にレコードが並んでいる、喫茶/バーです)に行くべきと推薦したら、さっそく行ってきたそう。そのJBSの主人もGROOVE誌の表紙に使われたことがあったらしく、カヴァー被写体同士のご対面となったよう。

 代官山・山羊に聞く? で、ノルウェーの女性シンガー・ソングライターを見る。日本大好きで、今回が4度目の滞日となるらしい。電気ピアノ音色のキーボードやピアノを弾きながら歌うヴァットネイに、コーラスやループ機材や鳴り物を担当するクリスティーヌ・ヴィルヘルムセンという女性がサポートでつく。

 生理的に愛らしいと言いたくなる鍵盤弾き語り基調ポップを披露する人で、おきゃんなようでマイナー・キーを多用しているのはポイント。それで、センチとか健気と感じさせる部分が出てくるかも。ある曲は冒頭が名ポップ曲「オン・ブロードウェイ」(ザ・ドリフターズやジョージ・ベンソンからニール・ヤングまでいろんな人が取り上げる)を咀嚼したような陽性で弾けた曲調を持つが、中間部でずずずと陰影の淵に舞い降りるものなあ。あと、随所にスタンダード的と感じさせる洒脱なコード使いをみせるのも、個性と思う。それは、豊かさやエヴァーグリーンさを導く。

 サポートのヴィルヘルムセン嬢は歌声をループさせたり、装飾音を的確につけたりとか、何かと涼しげな風情ながら、奮戦。ルックス共々、ぼくは彼女のほうが気になってしまった?

<今日の、映像>
 ドログバとメッシ(2007年10月28日)が出てくるトルコ航空の宣伝映像が楽しい。ドログバさん、役者ね。本田ほかのACミラン勢による東洋タイアのものより、格段に気が利いている。ふむ、トルコ航空かエミレーツ航空(つまり、イスタンブールかドゥバイでストップし、少し遊びたい)で、ブラジル行きてえ……。
▶過去の、メッシ
http://43142.diarynote.jp/200711080728570000/

アル・ジャロウ

2014年11月19日 音楽
 今回、当代きっての奔放シンガー(2003年3月13日、2012年3月2日)は松葉杖をついて、ステージにあがった。74歳ゆえ、歌声の輝きや音程の正確さは少し甘くなっているところもあるが、でも笑顔で多彩にがんがんせめていたな。キーボード/サックス、キーボード/フルート(元シーウィンドのラリ−・ウィリアムズ)、ベース、ドラム、パーカッションという編成のバンドはとても良好。5人中3人はごんごんコーラスも取り、その風情もとてもよろしい、ちゃんとした技術に裏打ちされた、音楽をやることの愉しみがあふれていたのが印象的。終盤、自然に場内スタンディング・オヴェイションと相成った。南青山・ブルーノート東京、セカンド・ショウ。

▶過去の、ジャロウ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm
http://43142.diarynote.jp/201203062004221304/

<今日の、ウォーカーさん>
 夕方に、同行ベーシストのクリス・ウォーカー(2003年3月13日、2009年6月15日)にインタヴューする。理由は、アル・マクドゥエル(その前任者は、ジャマラディーン・タクーマね)の後釜として、1988年ごろから2年半ほど、オーネット・コールマン(2006年3月27日)のザ・プライムタイム・バンドにエレクトリック・ベーシストとして参加していた御仁であるから。かなりなナイス・ガイであったなー。彼が在籍時のアルバムは『ヴァージン・ヴューティ』(パスポート/エピック)。また1995年リリースの『トーン・タイアリング』(ヴァーヴ)や1996年『サウンド・ミュージアム』(ヴァーヴ)にも彼は歌でちょっと入っている。コールマン・バンド入りしたのは18歳で、なんと現在まだ46歳であるという。彼は綺麗キレイな歌い方をするR&Bシンガーとして、4枚リーダー作を出しているが、そっちのほうでも来日できたらという思いを持っている。ま、当然か。そんな彼は、チャカ・カーン(2003年10月10日、2008年6月5日、2012年1月10日、2014年9月6日、2014年9月10日)やフォープレイに楽曲を提供したりもしていますね。また、ウォーカーはテリ・リン・キャリトン(2004年9月7日、2005年8月21日、2008年12月1日、2009年6月15日、2010年9月4日、2014年9月16日)のブルーノート公演に同行したことがあるが、なんと彼女とパスワードという名前の新グループを結成したそう。内容は、ウェザー・リポートとジャズとR&Bが重なったようなものになるとか。
▶過去の、ウォーカー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm
http://43142.diarynote.jp/200906160735045241/
▶▶過去の、オーネット
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▶過去の、タクーマ
http://43142.diarynote.jp/201408051026553769/
▶過去の、カーン
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http://43142.diarynote.jp/201201131546344144/
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http://43142.diarynote.jp/201409111424501752/
▶過去の、キャリントン
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http://43142.diarynote.jp/?day=20100904
http://43142.diarynote.jp/201409171722239857/
 伝統楽器でボウで弦を弾くニッケルハルパ(パっと見、10弦ぐらいはありそうに思えるが…)、5弦のヴィオラ、12弦のアコースティック・ギター。おお、弦楽器の夕べ、だア。そんな編成のスウェーデンの3人組トラッド音楽グループの渋谷・デュオの公演は、結成を25周年を祝うもの。彼らはプロモーターに恵まれ、もう10回近く来日しているのではないか。

 ステージ上に出て来た長身(のように、客席からは思えた)の彼らはけっこう格好いい。とともに、かなり知的とも思わせるが、その弦楽器群の繊細にして、豊穣さや深淵さも抱える重なりは確かな日常と知性なくしては顕われえないものとも言いたくなるか。当然のことながら、その表現はトラッドというしかない伝承や素朴さの感覚も持つわけだが、他方ではやはりプログな感覚も持つわけで、我々の通り一遍のトラッド音楽観の書き換えを促すものでもあるなあと思った。

 1部を見て、移動。この後は、ゲストのフィンランドのJPP(2012年5月26日)も出てくるはず。なんと、豪華な。後ろ髪ひかれるが、次の連中には取材したりと関わりがあるし、好きなのでしょうがない。

▶過去の、JPP選抜隊
http://43142.diarynote.jp/201205301408287957/

 渋谷・クアトロ。ちょうど、フランスのがちんこデュオ・バンドのショウが始まる前に滑り込む。で、ジェイムズ・テイラー・カルテット(だったよな)のグルーヴィなオルガン演奏に導かれて出てきた彼らの1曲目はカーティス・メイフィールドの「ムーヴ・オン・アップ」。イエイ。二人である機動性、阿吽の呼吸、臨機応変さなどを存分にかかえ、発散と一握りの和みを持つ肉感ビート表現をぶち噛ます。ほんと、ちょっとした仕草をはじめ、酔狂にして貴重な回路を持っているよなー。

 彼らの表現は扇情系ロックの剛毅さとメロウ・ソウル感覚の興味深い掛け合わせと書くことができるが、前者のほうはレッド・ツェッペリン要素が何気に大とも思う。ツェッペリンはニューオーリンズ・ファンクの翻訳もやっていたわけで(彼らは1976年『プレゼンス』で、「ニュー・オーリンズ」から派生しただろう「ロイヤル・オーリアンズ」なんて曲もやっている)、ザ・インスペクター・クルーゾにもセカンド・ライン・ファンク応用をやってほしいと思う。と、メンバーに伝えようと思ったら、忘れちゃったよう。

▶過去の、ザ・インスペクター・クーゾ
http://43142.diarynote.jp/201005091451244918/
http://43142.diarynote.jp/201210061012387869/

<今日の、涙とか>
 ヴェーセンの演奏が始まって、んんん??? 上階のO-イーストから低音やキック・ドラム音がもれてくる。えええ??? O-イーストには日本人バンドが出演していたようだが、そんなにデカい音でやっているのか。デュオには何度も来ているし、アコースティック系の静か目のライヴにも接しているが、こういうことは初めて。これは、運が悪いとしかいいようがない。しかし、繊細かつ瀟洒きわまりないヴェーセン演奏の妙味を漏らさず受け取ろうと耳を傾けようとすると、上階からの音はなんとも具合が悪い。音楽に入り込めない。とともに、何よりヴェーセンの面々も演奏がやりづらくてしょうがないだろうと思わずにもいられず。生音ではなくPAを通していたので、もう少し出音を大きくしてもよかったかもしれない。
 そして、次のザ・インスペクター・クルーゾの演奏、音デケえ。こっちは、少し耳が死んだな。こちらの前座はモンスター大陸、このブルージィながちんこビート・ロック4人組は、先のピーター・バラカンの“ライブ・マジックにも出演。ライヴ会場限定発売CD『開放』、気に入ってマス。ちょい愛らしいポップネスがうまくまぶされてていて、それが吉ネ。

アトラス

2014年11月21日 音楽
 マリンバの山田あずさ(2013年5月19日、2014年6月13日、2014年6月15日、2014年10月19日)、ヴァイオリンの多治見智高、コントラバスの小林真理子(2014年10月19日)という3人からなるグループで、“木の楽器”のトリオと言うこともできるのか。グループ名は地図の出版社ではなく、メレディス・モンク(彼女、ペルー生まれだったりするんだよなあ)のオペラ曲タイトルから来ているそう。

 四谷三丁目・茶会記、2部制、生音(PAなし)による実演ナリ。リーダーは山田で、曲/アレンジは彼女が用意しているよう。基本、鍵盤打楽器であるマリンバの反復的色彩を持つ演奏に、大小の弦楽器音がいろんな回路のもと絡み、いろんな形のシェイプを描き、流れて行く。かっちり噛み合う部分とすうっと広がって行く部分を併せ持つのは、深くもありしなやかでもあるマリンバという楽器音の特性が導くものか。やはり、その楽器自体の佇まいとか複数のマレットを自在に扱うこととか、マリンバはいろいろと浮世離れしていて、興味深い。ヴァイオリンだけでなくコントラバスも多くの曲で弓弾きをし、そういう側面に着目するなら、持続楽器音の協調を柱にするという説明も可能であるか。

 オリジナル中心のようだが、アストラ・ピアソラの曲を取り上げたりも。また、山田と小林はげんざい渋さ知らズオーケスラ(2004年9月1日、2006年1月14日、2006年1月21日、2006年8月27日、2006年11月15日、2006年12月1日、2007年1月13日、2007年6月13日、2008年7月6日、2009年7月26日、2009年9月27日、2010年4月22日、2010年9月19日、2013年5月19日)の構成員でもあるが、その「犬姫のテーマ」をやったりもした。また、山田は1部と2部でそれぞれ1曲、マリンバの妙味を知らせんとするかのように、ソロ演奏のパートも持った。

 ヴァイオリンの多治見はかなり多彩で、ときに枠超えの意志を存分に持つ演奏を示すが、なんでも、キューバやオランダにヴァイオリンを習いに行っているそう。キューバの先生は香月さやか(2011年1月21日、2011年6月7日)と同じ人で、オランダではティム・クリップハウス(2013年3月3日)に教えを受けたという。

▶過去の、山田
http://43142.diarynote.jp/201305260923241736/
http://43142.diarynote.jp/201406160956273046/
http://43142.diarynote.jp/201406161000365031/
http://43142.diarynote.jp/201407261220126653/
http://43142.diarynote.jp/201410251052527799/
▶過去の、小林
http://43142.diarynote.jp/201410251052527799/
▶過去の、香月
http://43142.diarynote.jp/201101231224498510/
http://43142.diarynote.jp/201106202134077974/
▶過去の、クリップハウス
http://43142.diarynote.jp/201303070814435203/
▶過去の、渋さ
http://43142.diarynote.jp/200409010713470000/
http://43142.diarynote.jp/200601161256540000/
http://43142.diarynote.jp/200601271857530000/
http://43142.diarynote.jp/200609031311580000/
http://43142.diarynote.jp/200611190320370000/
http://43142.diarynote.jp/200612060135390000/
http://43142.diarynote.jp/200701141431470000/
http://43142.diarynote.jp/200706162321180000/
http://43142.diarynote.jp/200807081247190000/
http://43142.diarynote.jp/200908180046187200/
http://43142.diarynote.jp/200910071809361076/
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http://43142.diarynote.jp/201305260923241736/

<今日の、ハコ>
 初めて行く。ここに何度か来た人と行ったが、暗いなか一人ですらりと行くのは難儀かもしれない。お、靴を脱いであがるのね。その昔はオーディオ・ショップであったよう。少人数のファミリアな出し物にはけっこう適の会場ではないか。お酒も、500円だしね。終演後、近くの居酒屋で少し飲んだのだが、初めて行く店なのに、お店からのサーヴィスですと複数の小鉢、さらには少量ながら日本酒が出てきて驚く。お腹、いっぱいだよー。
 丸の内・コットンクラブで、現ニューオーリンズ・ファンクのNo.1ドラマーであるスタントン・ムーア(2000年8月13日、2000年12月7日、2001年10月13日、2002年7月28日、2004年2月5日、2007年12月11日、2010年3月29日、2012年7月27日、2012年7月30日、2013年1月30日、2014年10月28日)のジャズ・ピアノ・トリオを見る。

 ギャラクティックを長年続けるかたわら、スター・ドラマーらしく数作のソロ作も出している彼だが、このトリオは彼がジャズ表現にのぞんだ2014年新作『カンヴァセイションズ』(ザ・ロイヤル・ポテト)と同じ顔ぶれによるもの。

 1956年生まれのデイヴィッド・トウカノウスキー(ピアノ)、1955 年生まれのジェイムズ・シングルトン(ベース)、1972年生まれのムーア(ドラム)の3人は、皆ネクタイ着用(下はジーンズだったり、派手なパンツだったり)。シングルトンとムーアは間違いなくニューオーリンズ生まれ。トカノウスキーの生誕地は不明だが、彼の1988年ラウンダー発『Steppin’ Out』はニューオーリンズ・ジャズ界の元締め的存在であるエリス・マルサリス(2012年9月8日)がライナーノーツを書いていたりもするので、ニューオーリンズで音楽教育を得ているのは間違いないと思われる。トウカノウスキーにせよシングルトンにせよ、ジャズ以外のレコーディングにも関わっていて、トカノウスキーはアーロン・ネヴィル(2004 年9月18日、2012年5月14日)やジョージ・ポーターJr.(2007年2月2日、2007年2月4日、2008年8月12日、2009年7月25日、2014年1月17日)やアーマ・トーマス(2011年12月1日)ら、シングルトンはジョニー・アダムス、シャーメイン・ネヴィル(2007年2月6日)、ザ・ホームズ・ブラザーズ(2004年9月18日)らニューオーリンズ/南部在住者の作品に入っている。

 モンク曲からオリジオナルまで。初っぱから立ったドラム演奏(ドラム・キットのセッティングは普段のファンクもの演奏時と少しかえていたかな?)をフィーチャーする部分を持ち、さすがはドラマーがリーダーの公演であると思わせるし、ムーアの叩き口ゆえにニューオーリンズのトリオであることを意識させる。そんなわけなので、少しまっとうではないピアノ・トリオであり、デコボコした表現が送り出されたと、説明できますね。ピアノ演奏はわりとフツーだが(ちょい性格悪そうな感じが出るのが少しイヤ)、ベースもまたときに暴れた指さばきを繰り出す。実は、そのシングルトンのリーダー・アルバムの数はスタントンのそれよりも多い。ハネた曲よりもしっとりした曲のほうが何気に妙味が出ているような気に、ぼくはなったかも。最後の曲はニューオーリンズのパレードをすぐに想起させるタンバリンの独奏から始まり、途中までは右手にタンバリンをスティック代わりに持って、ムーアはドラムを叩いた。

▶過去の、ムーア
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-8.htm ギャラクティック(バーク・フェス)
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-12.htm ギャラクティック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-10.htm ギャラクティック(朝霧ジャム)
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-7.htm  触れていないが、ギャラクティックで出演し、ジョージ・クリントンが飛び入り
http://43142.diarynote.jp/?day=20040205
http://43142.diarynote.jp/200712161021270000/
http://43142.diarynote.jp/201004080749482839/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120730
http://43142.diarynote.jp/201301311053069360/
http://43142.diarynote.jp/201410301514399746/
▶過去の、エリス・マルサリス
http://43142.diarynote.jp/201209191209186663/
▶過去の、アーロン
http://43142.diarynote.jp/200410121001170000/
http://43142.diarynote.jp/201205221056242128/
▶過去の、ポーター・Jr.
http://43142.diarynote.jp/200702090041480000/
http://43142.diarynote.jp/200702121118370000/
http://43142.diarynote.jp/200808140129280000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090725
http://43142.diarynote.jp/?day=20140117
▶過去の、トーマス
http://43142.diarynote.jp/201112091410372738/
▶過去の、シャーメイン・ネヴィル
http://43142.diarynote.jp/200702122331460000/
▶過去の、ザ・ホームズ・ブラザーズ
http://43142.diarynote.jp/200410121001170000/

 そして、南青山・ブルーノート東京へ。テナー・サックス奏者のボブ・ミンツァー(2009年3月23日、2012年6月21日、2014年1月15日)率いるビッグ・バンドの公演。構成員にはアルト・サックスのボブ・シェパード(2004年2月13日)やテナー・サックスのボブ・マラック(2008年3月17日、2009年5月23日、2013年8月8日)などを含むが、皆いい吹き手なんだろう、出音がでかいし、フィーチャーされるソロも頷かせる。ある曲におけるトランペッターの丹精なソロには唸ったな。面白いのはアフリカ系奏者が一人もいないこと。それは意識的な人選なのだと思う。

 長年ビッグ・バンド・ジャズ表現に関与してきているミンツァーが秀才だなと思えるのは、同表現の限界を知っていること。と、書くとネガティヴな意が出てくるかもしれないが、やっぱり米国エンターテインメント表現を支えてきたビッグ・バンド表現には踏まなければならない回路があり、それをちゃんと通ったうえで表現を展開しようとしていると思えた。彼はいろんなビッグ・バンド表現を精査したうえで、その長所を引き継ぐ現代大型表現を出している。秀才という書き方にははみださないという意味も含んでいるが、音のデカさに表れているように、これだけ臨場感豊かにビッグ・バンド音を開けるなら、いいではないか。

 また、クールな彼は、それゆえに、新しい広がりの素、触媒をちゃんと用意する。すくなくても、近年の日本公演においては。前回(2012年6月21日)はブラジル人ギタリスト/シンガーのシコ・ピニェイロやジャズ歌手のカート・エリング〜そういえば、八代亜紀(2012年11月9日、2014年3月13日)のライヴ盤も出ているNYバードランドでの2013年3月のジャズ公演を音楽面で面倒を見たのは彼なんだってね〜を同行させていたが、今回は男女二人づつという構成を持つコーラス・グループのニューヨーク・ヴォイセズ(教えているバークリー音楽大学での授業の都合でリーダーは来日ができず、男性の一人は代役であったよう)がゲスト。半分(強)ほどで、4人はステージに立ち、オケと無理なく重なったり、ア・カペラを披露した。「オールド・デヴィル・ムーン」とか聞いていてとてもリッチなショウであり、大人の“ハレの場”として相当なグレードを持つ出し物と思わされたか。アンコールでは、ミンツァーはピアニストと二人で出て来て、黒くならないブルース・コード曲を披露。パフォーマンス時間は90分をこえていたはず。

▶ボブ・ミンツァー
http://43142.diarynote.jp/200903260425159549/
http://43142.diarynote.jp/201207031311348277/
http://43142.diarynote.jp/201401171005571275/
▶過去の、シェパード
http://43142.diarynote.jp/200402171832080000/
▶過去の、マラック
http://43142.diarynote.jp/200803201208100000/
http://43142.diarynote.jp/200905250112267742/
http://43142.diarynote.jp/201308110828525647/
▶過去の、八代
http://43142.diarynote.jp/201211170926496101/
http://43142.diarynote.jp/201403151023031434/

<今日は、盛況>
 3連休の初日、天気もいいし、街行く人の表情も柔らかいような。両会場とも盛況、とくにブルーノート東京のほうは立ち見も出てのパンパンで、ビッグ・バンドものの人気を再認識。ニューヨーク・ヴォイセズはGRP と契約していたころ同旧店舗で1週間の帯公演をやったこともあったはずで、すこぶる豪華な出し物でもあるのは間違いないわけだが。その後にぼくの知人と知人がジョインし、1時間半の間にワインをスカっと3本開栓。

 カンボディア人女性シンガーが成人後に米国に渡り、米国人男性たちと組んだバンドがデング・フィーヴァー(2007年10月24日)だ。その味にせよ、見た目にせよ、インパクトは大。実は直近まで彼らが来日する事も知らず、バンド名もちゃんと覚えていなかったが、その写真を見たとたん、2007年にセビーリャのWOMEXで見たときの所感がもわもわと蘇ってきたのだから、これはなにかと個性的なバンドであるのは間違いない。

 2007年にぼくが見たときに得た所感は、小さなアジア女性が張りや艶やかさを持つ癖ある歌声を出し、それをロック・バンド編成のバンドがいなた〜くサポートするというもの。言葉はクメール語をもちい旋律の多くもカンボディア基準を持って来ているようであったが、ぼくはそんな彼女たちを見て、エチオピアン歌謡から得るような感興も得てしまったのだった。とにもかくにも、彼らが送る臭みや濃さはそうとうなものがあった。

 青山・月見ル君思フ。初来日で、日本公演はこの晩だけらしい。まさに、満場。ヴォーカル、ギター、ベース、管楽器(テナー・サックスを中心に、ポケット・トランペットやフルートも手にする。一部はエフェクターを通す)、キーボード、ドラムという編成(顔ぶれは、少し変わったのかな?)でパフォーマンスをはじめるが、いい感じ。かつて覚えた正の所感をまんま保っており、こりゃやっぱ好バンドだとすぐに痛感。女性歌手の歌声は誘うし、バンドはアメリカ拠点らしく、ちゃんとしてもいる。ぼくは一切情報を得ていなかったので、いまだちゃんと活動をしているという事実にも驚いた。彼女たちはLAをベースとしているようだが、楽に行くのが美徳でビジネスライクなLAでよくもバンドは続いているよなとも思っちゃう。

 ときに、日本のブループ・サウンズを思い出させる曲もあり、なんとなく英国ニュー・ウェイヴ期の2トーン勢の笑いの感覚と親和するような曲もあり。女性シンガーがちょいラップを繰り出したときもあり。英語曲もあり。キーボードによるオルガン音がより聞こえるときは、その音はケン・ヘンズレー/ユーライア・ヒープみたいとも思ったか。1970年あたまに相当な人気を集めたユーライ・ヒープも妙な臭みをたっぷり持つオールド・ウェイヴな英国ロック・バンドであった。

 グっと来させる、見所と質を持つパフォーマンス。見た目もけっこうアトラクティヴだし、デング・フィーヴァーが日本のワイド・ショウに出たら、それなりに話題を呼ぶのではないか。

▶過去の、デング・フィーヴァー
http://43142.diarynote.jp/200711080718230000/

<今月の、悲しみ>
 ずっと金髪にしていたが、ドクター・ストップならぬ美容師ストップがかかり、今月中旬にパツキンをやめた。黒毛の日本人がそれを維持するためには美容室に行くたびに2回の脱色(これが、髪の毛を傷ませる)と1回の色染めが必要となるのだが、今回脱色すると痛んだ髪の毛が切れてしまうかもと美容師から指摘されてしまった次第。確かにけっこうボロボロで、この夏の抜け毛量はハンパなかった。ずうっと金髪にしている人、髪質強いんだな〜。金髪は評判がよくて(待ち合わせしたときすぐに分る、とか)、本人も気にいっていたんだが、当分は黒基調のワタシなり。3年後ぐらいに、また期間限定でやってみようかにゃ。黒くなった髪を見ても無反応の人も少なくないが、構われたいぼくはなんかコメントを出してくれたほうがうれしい。とともに、ぼくも(よほど、失敗していると思ったとき以外は)他人にもするべきだと思った。

 この晩のブルーノート東京の出し物は、都会派であることと音楽的好奇心や地に足をつけた態度を違和感なく交錯させられる日本人3人が出演するもの。歌とギターの高野寛(2006年6月27日、2007年8月11日)。歌の畠山美由紀(2007年3月11日、2009年3月31日、2009年4月4日、2012年7月16日、2014年8月27 日)、歌とギターのおおはた雄一(2007年3月11日、2009年4月4日、2009年11月1日、2011年4月24日、2011年5月21日、2012年7月16日、2013年2月19日、2013年4月13日)、出演者はこの3人だけ。素で重なる、という言い方もできるのか。畠山+高野+おおはた、おおはた一人、おおはた+高野、高野一人、畠山と高野とおおはた、とか、いろいろな組み合わせでショウはなされた。

 東京においてのこの3人の組み合わせは初めてのようだが、地方ではやったことがあるよう。というのはともかく、それぞれの音楽的な魅力や人間性を認め合っているのが伝わってきますね。演目はそれぞれのオリジナルが主に披露されたのか。畠山の新作『歌で逢いましょう』は昭和歌謡曲/演歌のカヴァーだが、そこからは自作のタイトル曲を披露。何気に、いい曲だと思う。今年、モレーノ・ヴェローゾ(2001年5月18日、2006年6月27日、2007年7月25日、2011年10月15日。彼は2008年夏にプラッサ・オンゼで録られたライヴ盤で自作やブラジル曲に加え、高野曲も取り上げている)の制作でブラジル録音をした高野はブラジルのスタジオでおおはたを知っているかと、問われたそう。近年今様ブラジル人アーティストとの絡みが多いジェシー・ハリス(2001年12月21日、2005年9月7日、2006年1月23日、2006年4月22日、2007年3月11日、2009年3月31日、2010年10月10日、2011年8月6日、2012年7月16日、2013年5月26日)を通して、おおはたの名が現地でも語られているようだ。かつておおはたと畠山はそれぞれにハリスとの共演アルバムをと作っている。というわけで、その三者の奥にはジェシー・ハリスがいる?

▶過去の、高野
http://43142.diarynote.jp/200607041834300000/
http://43142.diarynote.jp/200708161531410000 GANGA ZUMBA
▶過去の、畠山
http://43142.diarynote.jp/200703130418360000/
http://43142.diarynote.jp/200904040640421651/
http://43142.diarynote.jp/200904120632543345/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120716
http://43142.diarynote.jp/201408301136411048/
▶過去の、おおはた
http://43142.diarynote.jp/?day=20070311
http://43142.diarynote.jp/200904120632543345/
http://43142.diarynote.jp/200911021429368036/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110424
http://43142.diarynote.jp/?day=20110521
http://43142.diarynote.jp/?day=20120716
http://43142.diarynote.jp/201302201720351212/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130413
▶過去の、モレーノ・ヴェローゾ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-5.htm
http://43142.diarynote.jp/200509130315380000/
http://43142.diarynote.jp/200607041834300000/
http://43142.diarynote.jp/200708051738450000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20111015
▶過去の、ハリス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-12.htm
http://43142.diarynote.jp/200509130315380000/
http://43142.diarynote.jp/200601271859050000/
http://43142.diarynote.jp/200604251252010000/
http://43142.diarynote.jp/200703130418360000/
http://43142.diarynote.jp/200904040640421651/
http://43142.diarynote.jp/201010111257003810/
http://43142.diarynote.jp/201108101632022013/
http://43142.diarynote.jp/201207180824136323/
http://43142.diarynote.jp/201305280925006733/

 その後は、六本木・ビルボードライブ東京に回り、アース・ウィンド&ファイア(2006年1月19日、2012年5月17 日)の全盛期を支えた左利きギタリスト(2008年3月21日、2011年9月15日、2012年9月12日、2012年12月28日)率いる、E.W.&F.曲を聞かせる大型バンドの公演を見る。本人に加え、男性ヴォーカル3人、管楽器4人、キーボード2人、ベース、ドラム、パーカッションという13人編成。出音は大きめ、全員で楽器音や肉声を出すとキーボードの音が聞こえにくくなったが、音質は善戦していたと思う。E.W.&F.曲の再現を求めるという、意地悪な書き方をすれば大志のないグループなのであるが、あの黄金の素材をこれだけまっとうにおし出せれば、それは上質きわまりないエンターテインメントになるし、もう鼓舞され、浮かれるしかない。

▶過去の、E.W.&.F.
http://43142.diarynote.jp/200601271855390000/
http://43142.diarynote.jp/201205301252113538/
▶過去の、マッケイ
http://43142.diarynote.jp/200804030045430000/
http://43142.diarynote.jp/201109171048385669/
http://43142.diarynote.jp/201209191235365909/
http://43142.diarynote.jp/201301051329276221/
 
<今日の、果物>
 最後に寄ったバーで、岐阜県産の富有柿をいただく。でけえ。ラッピングされていて、その様はハンバーガーみたい。付け合わせ的なものは食べたかもしれないが、今年はまだちゃんと柿をがぶりと食していないはず。遅ればせながら秋を感じました。紅葉はまだせっしておらず。え〜っん。

 ボサノヴァの神(とかいう形容は好きじゃないが、そう言ってもいいほどすごいよナ)的パフォーマーであるジョアン・ジルベルト(2003年9月12日)の娘さん(お母さんはシンガーのミウシャ)の公演は、南青山・ブルーノート東京(セカンド・ショウ)にて。今年出たソニーのジャズ・レーベルからリリースされた新作『トゥード』はマリオ・カルダードJr.やカシン(2001年5月18日、2006年6月27日、2007年7月25日)らが制作者についたボッサ・ビヨンド・ポップ作で、それをフォロウする実演と言っていいだろう。

 サポートは、キーボード、ギター/ベース(東京在住と紹介されたマサ・シミズで、かつて米国に住んでいたときからベベウのサポートをしていたよう。じっさい、彼はうまく他の伴奏陣と重なり合っていた)、バリトン・サックスやフルートやギター、ドラムという4人編成。なかなか巧みに、生の場で新作の音を開いていたのではないか。

 1966年生まれの当人はとっても明るく、屈託ないように見える。お客に笑顔で両手を広げてパフォーマンスしていたとも書けるか。そこらへん、偏屈であると言われる父親のことを考えると、拍子抜けしちゃうか。アルバムは基本寒色系のトーンでまとめられていたが、そうした振る舞いもあって、実演は淡いながらも暖色系の色が入っていた。彼女の歌はアルバムからも想像がつくように上手ではないが、ある種の風情を持つ。歌詞は、英語とポルトガル語の両方で歌う。新作でオリジナルに交えて取り上げていたニール・ヤングの「ハーヴェスト・ムーン」も披露し、ドラマーが巧みに扱うタブラ音も効いたそれはとくにいい感じ。実は彼女、ロック愛好家だったりして……。そんなにインスト部は長くなかったと思われるのに、90分を遥かにこえる時間をやっていたのはないか。

▶過去の、ジョアン・ジルベルト
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-9.htm
▶過去の、カシン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-5.htm
http://43142.diarynote.jp/200607041834300000/
http://43142.diarynote.jp/200708051738450000/

<今日の、含嗽>
 週末にして、月末。この週のあたまはかなり寒くて盛り下がったが、昨日今日はそれほど寒くない。この冬はエルニーニョ現象のため暖冬になるというニュースが報じられてもいるが、そうだといいナ。スキーに無中になっていたときは12月に入ると降雪状況にそわそわし、早くもっと寒くならないかと思ったりしていたんだよなー。……特に書きたいことも思いつかず、なんか無味乾燥なこと書いていると自覚しつつ、この一文を書いてマス。そういえば、今年はまだそれほど乾燥は感じていない。帰宅時のうがいはしっかりするようになってはいるものの。