NYの仲良し3人が一緒になった公演。渋谷・クラブクアトロ。

 まず、出てきたのはジェシー・ハリス(2002年12月21日、2005年9月7
日、2006年1月23日、2006年4月22日)。トリオ編成にて、ベースはと
きにザ・バンドのリック・ダンコみたいなフレイジングをきかせる前回同行
しているベーシスト。ドラムはリトル・ウィリーズの人。彼はすでに新作『
フィール』(ヴェロアからのリリースとなる。その社長のジェフ・クラズノ
ー:2000年8月16日:とは奥さんを通して、ハリスはけっこう長い付き合い
を持つという)を完成させていて、10曲中半数はその新作からのもの。本人
曰く「ムーディだった前作よりも、パーカッション奏者なども入って、明る
い感じかな」。途中1曲、彼のプロデュースでアルバムを作った(今回の来
日時に行ったとか。彼、一人でバッキング音を作ったらしい)畠山美由紀が
コーラスをつける。最後の曲にはリチャード・ジュリアン(2006年7月23
日)が加わり、次の曲から(ハリスはひっこみ)ジュリアンのセットになる。
 
 同じリスム隊を用いてのジュリアンのパフォーマンスに触れると、各々の
個性が浮き彫りになるなあ。ジュリアンはちょいアーシーとうか、ルーツっ
ぽいノリを滲ませる曲の味がいい。最後の曲になると、サーシャ・ダブソン
(2006年4月22日)が登場し、そのまま彼女のセットに突入。そして、彼
女の近作のプロデューサーのジェシーも出てくる。ダブソンの同居人/彼氏
であるジュリアンはバック・コーラスもつけるが、ハリスは生ギターかバン
ジョーを弾くのみで歌わない。ジュリアンはノラ・ジョーンズ(2002年5月
30日、2002年9月14日)とリトル・ウィリーズを組んでいて、ハリスはも
ちろんジョーンズのブレイクの立役者で、その二人は仲良くジョーンズの新
作レコーディングに参加している。ちなみに、ダブソンのNYリヴィング・
ルームでのギグをジュリアンやハリスがバッキングすることはあっっても、
この晩のように順繰りに3人が前に立つという形式のギグはやってないそう
。この晩にハリスが最初に出たのは、それがおさまりがいいと思えたからと
か。そのハリスはイーサン・コーエンの新作映画の音楽作りをしたり(そこ
に、役者としても出ているという。ノラ・ジョーンズみたいですねとツっこ
みを入れると、いやあ彼女は大スターだから…と答える)、フランス人や
アルゼンチン人シンガーのアルバムのプロデュースも完了済みとか。おお、
働いてるナ。

 男性陣は皆、メガネをかけ髭を伸ばしている。そして、控えめな感じで物
腰が柔和。見事に、感じが重なっている。それはステレオタイプなアメリカ
人像からはかなり離れるものだが、ある種洗練されたニューヨーカー像を感
じさせるものだったかも。それを、ハリスに伝えると、意外なくらい照れた
反応を見せた。それから、3人のセっトそれぞれに1曲か2曲でおおはた雄
一がワイゼンボーンで無理なく加わる。そういやあ、ダブソンはその前歴を
生かして、リズム・セクションだけをバックに1曲もろジャズのりで歌い、
スキャトを聞かせたりも。