豪華と言うか、逸材ずらり。ノルウェーのジャズに注目している人なら、これはこたえられない顔ぶれのカルテットだろう。実際、客はきっちりはいっていた。新宿・ピットイン。

 リーダーは、マヌ・カッチェ(2011年1月28日、2012年1月13日、2016年4月13日)のバンドに入っていたこともあり、一般的にはECMから数枚のアルバムを出しているマスカレロでその存在を知られることになった、テナー・サックス奏者のトーレ・ブルンボルグ(1960年生まれ。2011年1月28日、2011年9月3日、2012年1月13日)。“スロウ・スノウ”というのは、彼が今回の来日メンバーとまったく同じ顔ぶれで録った『スロウ・スノウ』(アクト、2015年)から来ている。

 同行者は、ギターのアイヴィン・オールセット(1961年生まれ。2001年9月28日、2003年6月28日、2008年11月13日、2010年9月5日)、コントラバスのスタイナー・ラクネス(1975年生まれ。2003年11月17日、2004年11月16日、2016年10月22日)。ドラムのペール・オッドヴァール・ ヨハンセン(1968年生まれ。2013年9月8日)という面々。

 オープナーとアンコール曲で、ブルンボルグはピアノも弾く。まあ、コードを軽く押さえる感じのものだが、広がりは出る。オールセットはPCやエフェクターなどをきっちり組み込んだキットをドカンと置いていて、いろんな音を出す。リズム隊は着実に(?)アコースティックだと思っていたら、ラクネスはアルコ弾きの際にエフェクターを用いてシンセサイザーみたいな音を出していた。そしてブルンボルグのテナー演奏は悠然。本人も影響を受けたと言っているが、やはりヤン・ガルバレク(2002年2月13日、2004年2月25日)を感じさせるところはある。

 曲はどれもブルンボルグのオリジナル曲であったはずだが、基本は北を想起させもするゆったりしたメロディをひたひたとなぞっていく(アルバムも基本そういう感じ)ような演奏が繰り広げられる。米国ジャズへの愛着や知識を、見事にノルウェー人ならではの表現としてきっちりも押し出していた。

▶過去の、マヌ・カチェ
http://43142.diarynote.jp/201102081259129769/
http://43142.diarynote.jp/201201141645353138/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160413
▶︎過去の、トゥーレ・ブルンボルグ
http://43142.diarynote.jp/201102081259129769/
http://43142.diarynote.jp/201109121452527893/ トルド・グスタフセン・アンサンブル
http://43142.diarynote.jp/201201141645353138/
▶︎過去の、アイヴィン・オールセット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-9.htm 2001年9月28日
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm 2003年6月28日
http://43142.diarynote.jp/200811141532429331/
http://43142.diarynote.jp/201009171511588216/
▶︎過去の、スタイナー・ラクネス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-11.htm アーバン・コネクション
http://43142.diarynote.jp/200411170828460000/ アーヴァン・コネクション
http://43142.diarynote.jp/?day=20161022 アルヴァス
http://43142.diarynote.jp/?day=20130908 ヘルゲ・リエン・トリオ
▶過去の、ヤン・ガルバレク 
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-2.htm
http://43142.diarynote.jp/200402251031510000/

<今日の、リーダー>
 ライヴの前に、ブルンボルグにインタヴューをする。録音メンバーと同じメンバーでよくぞ来日できた、よくもまあスケジュールがあったなとのこと。落ち着いたオトナで、マスカレロは転機となったバンドとか。ジャズランド主宰のブッゲ・ベッセルトフト(2001年5月27日、2002年5月8日、2008年9月21日、2010年1月24日、2012年4月29日、2016年10月4日)とは自らのリーダー作でピアノを弾いてもらうなど、昔から親しい。ベッセルトフトが昨年女性バンドを率いて来日したことを伝えると、あのドラマーは娘なんだよと彼は言う。わあ。後から調べたら、ファミリ−・ネームが全然違うけど(結婚しているのかな?)、近い人間が言うのだから間違いないよな。彼女は、確か金髪の綺麗な人だった。昨年、韓国のジャズ・フェスティヴァルにベッセルトフト・バンドと彼が入ったカチェ・バンドが1日違いで出演したこともあったそう。それから、彼は意外なところでマイケル・ブレッカー(2000年3月2日、2004年2月13日)も好きなんだそうだが、その好みの片鱗が珍しくわりと激し目にブロウする曲の際に、現れていた。ま、世代的にはやはり一度はハマるか。
▶︎過去の、ブッゲ・ベッセルトフト
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-5.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-5.htm
http://43142.diarynote.jp/200809231132339668/
http://43142.diarynote.jp/201001251710004302/
http://43142.diarynote.jp/201205080620235237/
http://43142.diarynote.jp/201610110957506440/
▶過去の、マイケル・ブレッカー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-3.htm
http://43142.diarynote.jp/200402171832080000/