<ジャズ系ジャズ・ヴォーカル>と<歌謡曲(雰囲気)系ジャズ・ヴォーカル>。ジャズ・ヴォーカルを乱暴に分けると、その二つをあげることができる。日本にはジャズ・ヴォーカルを生で聞かせる店が驚くほと各所にあるが、それらの大半は和みの雰囲気を重視する後者のほうの表現を提供する店ですね。ぼくは、ロックやR&Bも聞くので、ジャズ・ヴォーカルを聞くとするなら、意気に富んだ前者のタイプを基本欲するが、まあ人それぞれでしょう。

 九段・イタリア文化会館で、ボローニャ在住のジャズ歌手のキアラ・バンカルディのショウを見る。フランス在住のアフリカ系米国人の縦ベース奏者とピアニスト、そしてイタリア人トランペット奏者を伴ってのもの。で、彼女の場合は取り上げる歌も米国のスタンダード・ソングだし、雰囲気系ジャズ・ヴォーカルの人だと思っていた。彼女のセカンド作『アイ・ウォーク・ア・リトル・ファスター』はサイラス・チェスナット(2009年6月7日)らが伴奏をつけた米国ニュージャージー録音作だが、それもそういう方向で作られている。

 だが、その実演も基本はそうではあるのだが、メロディのライン取りに工夫をこらしたりスキャットをいろいろかますなど、彼女がジャズ系ジャズ・ヴォーカルを歌いたいという意思もいろいろ出していて、驚いた。伴奏陣も保守志向ながら、少し創意を出しているところあるよな。ぶっちゃけ少し背伸びしすぎでしょうとも感じてしまうし、その清楚系美貌は雰囲気系歌唱に合うものであるのだが、ジャズ・シンガーとしての向上心のありか、ジャズ・シンガーの純情を見せられて、イヤな気持ちにはならない。スタンダードに混じり、大好きなソングライターと言って、カエターノ・ヴェローゾ(2005年5月23日、2016年10月9日)の「コラソン・ヴァガボンド」も披露した。彼女は英語で歌いたいそうだが、それはもちろんポル語でした。

▶過去の、サイラス・チェスナット
http://43142.diarynote.jp/200906091637138003/
▶︎過去の、カエターノ・ヴェローゾ
http://43142.diarynote.jp/200506021846130000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20161009

 <今日の、散歩>
 イタリア文化会館近くにある靖国神社の中に、短時間ながら初めて足を踏み入れた。その悪いイメージに悪寒がこみ上げてきたということはないが、結構人工的な手触りを感じた。