良かった。いろんな意味で、ちょっと驚きもした。渋谷・O-east。生理的にきらびやかで豪華、尺も長かったし、これはこのシーズンにふさわしい出し物であり、これで今年のライヴが打ち止めになるのも美しいゾとも思う。まだ、ライヴを見に行く予定は入っているものの。。。

 DJミュージック時代のMFSB(⇨サルソウル・オーケストラ)やバリー・ホワイトのラヴ・アンリミテッド・オーケストラなるものを求めていると書けそうな、DJ YOKUが仕切る大阪ベースの大所帯集団の結成20周年を祝うスペシャル・ライヴ。おお、弦や菅奏者がずらり。コーラスや打楽器奏者もいろいろ、40人ほどステージにいたんじゃないか。ドラマーは2人いて、うち1人は沼澤尚(1999年8月11日、2000年2月14日、2000年7月29日、2001年2月18日、2001年6月29日、2001年12月9日、2001年12月22日、2002年7月21日、2002年11月15日、2003年2月11日、2003年3月13日、2003年6月22日、 2004年1月16日、2004年1月30日、2004年2月21日、2005年2月15日、2005年4月11日、2005年7月30日、2005年9月14日、2005年10月30日、2006年4月17日、2006年5月30日、2006年8月11日、2006年8月24日、2006年12月28日、2007年1月26日,2007年6月3日、2008年1月30日、2008年1月31日、2010年1月12日、2011年10月8日、2012年10月10日、2013年1月6、2013年1月7日、2014年9月2日、2015年10月3日、2016年9月27日、2016年11月18日)。ドラマーは交互に叩く、という様式を取っていた。

 まず、大きく頷いたのは確かなアンサンブル音。頭の方は不揃いな部分もあるかと思えたが、すぐにその印象も消え、頷く。大阪でショウをやった後の東京公演だったようだが、どのぐらいリハをやっているのか。うわーすげえなと思えたのは、DJミュージックのように大所帯生演奏が延々とつなげられていること。1曲ごとに途切れると、仕切り直しができて、気持ちを新たにすることもでき演奏しやすいだろうが、ノンストップでずっと行くのは相当な鍛錬と技が必要とされよう。曲の構成や流れもちゃんと覚えなきゃいけないよな。途中、ヴァイオリン奏者がクラシック曲のソロを披露したのだが、門外漢ながら上手いと思えた。また、演奏や重なりがいいと思えたのは、音の良さもあったろう。こんなに人数がいたら絶対に埋もれそうなヴァイブラフォンの音も随時ちゃんと聞こえたのだから。マイクの置き方から、モニター音までいろいろと大変だったろうが、これは拍手だ。そして、それをちゃんとできていたという事実は、ア・ハンドレッド・バーズは(音質/音像が重要なファクターとなる)今を生きるオーケストラであるということも示唆していたろう。また、これまでの活動で培った経験もいろいろと活かされているだろう。

 4人のシンガーや1人のラッパーも、出たり入ったり。そして、途中には30分ぐらい歌手が入らない演奏陣だけのパートもあり。やはり、面白いことを、ちゃんと実演でやっている。弦のアレンジとかは誰がやっているのか。DJ感覚に沿ってザクッと弦音が差し込まれる箇所とか本当に格好いい。そうした生音群に重なるシンセサイザー音やDJ音も気持ちいい。過剰に即興性を持ってはいない(というか、即興性を軸に置くことを志向していない、と書いた方が適切だろう)が、ぼくは過去見たどのジャズのビッグ・バンドよりもドキドキできたか。筆が滑っているかもしれないが、ぼくは本当に高揚を覚えた。

 最後に、NYのハウス・ミュージック・ディーヴァであるバーバラ・タッカー(10年ほど前に、ポニーキャニオンが彼女のアルバムを出したような)が登場。うわー。鉄砲喉、歌える。大きなサウンドにぐい乗りし、その上にきっちり歌のエンパイアを築ける卓越したR&Bシンガーと言うしかないな。髪型、格好もちゃんと決めた彼女、これは無敵じゃないか。彼女が歌うときだけは、サウンドはメドレー調を取らなかったが、それは名シンガーに対する敬意と取れる。NYにもこんなオーケストラはいないわ、という彼女のMCもお世辞ではないだろう。

▶︎過去の、バリー・ホワイト・ショウ&ザ・プレジャー・アンリミッテッド・オーケストラ
http://43142.diarynote.jp/201203062006429595/
▶︎過去の、沼澤尚
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/augustlive.htm wマルコス・スザーノ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-2.htm ナッシン・バット・ザ・ファンク
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-7.htm シアターブルック 7.29フジ・ロック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-2.htm スガシカオ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-6.htm ナッシン・バット・ザ・ファンク
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm wマルコス・スザーノ 12/9
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm シアターブルック+マルコス・スザーノ12/22
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-7.htm W.パウリーニョ・モスカ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm サンパウロ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-2.htm ナッシン・バット・ザ・ファンク
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm  バーナード・ファウラー、ブロンディ・チャップリン、リサ・フィッシャー、ダリル・ジョーンズ、奥田民生、小原礼
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm シアターブルック
http://43142.diarynote.jp/200401160000000000/ w.勝井、怒怒、佐藤
http://43142.diarynote.jp/200402051858240000/ サンパウロ
http://43142.diarynote.jp/200402211239510000/ アズ・ウィー・スピーク
http://43142.diarynote.jp/?day=20050215 wマルコス・スザーノ
http://43142.diarynote.jp/200504151004040000/ w勝井
http://43142.diarynote.jp/?day=20050730 ザ・ブルース・パワー
http://43142.diarynote.jp/200509161722260000/ 大貫妙子
http://43142.diarynote.jp/200511130013450000/ wマルコス・スザーノ
http://43142.diarynote.jp/?day=20060417 ビッグ・ホーンズ・ビー
http://43142.diarynote.jp/200606071931300000/ w.勝井
http://43142.diarynote.jp/?day=20060811 wマルコス・スザーノ
http://43142.diarynote.jp/200608271342350000/ wマルコス・スザーノ
http://43142.diarynote.jp/200612291257400000/ wマルコス・スザーノ
http://43142.diarynote.jp/?day=20070126 OKI DUB AINU BAND
http://43142.diarynote.jp/200706061351450000/ ナスノ、不破、他
http://43142.diarynote.jp/200802051634040000/ w.勝井
http://43142.diarynote.jp/200802051630130000/ TOYONO
http://43142.diarynote.jp/201001131101085950/ blues.the-butcher-590213
http://43142.diarynote.jp/201110091300039780/ ナッシン・バット・ザ・ファンク
http://43142.diarynote.jp/201210111837516874/ OKI DUB AINU BAND
http://43142.diarynote.jp/201301151731112021/ ナッシン・バット・ザ・ファンク
http://43142.diarynote.jp/201301151819527787/ w.マルコス・スザーノ
http://43142.diarynote.jp/?day=20140902 blues.the-butcher-590213
http://43142.diarynote.jp/201510051403147675/ シアターブルック
http://43142.diarynote.jp/?day=20160927 大貫妙子
http://43142.diarynote.jp/?day=20161118 OKI AINU DUB BAND

<今日の、所感>
 昼下がり、矢野顕子と上原ひろみのインタヴューに出かける。お二人、本当に仲がいいなあ。今年、最後の取材なり。原稿仕事は年内は粛粛とこなし(来年早々の締め切り物件も片付け)、明けてからははできるだけPCに向かわないでいたいと思っている。12日仕事始めとしたいが、無理かな? 今日の取材地は銀座だったが、いろんな外国人で溢れていた。また、師走感も流れる。
 さあ原稿を書くゾと道草せずに家に戻ると、ドアにビニール袋が掛けてある。隣りの家もそう。その中には、缶入りのお粥や真空パックのビスケットが入っている。マンションの管理組合が配布した、来年期限切れになる防災用食品のおすそ分けだった。少し災害のリアリティを感じる。夜のライヴの後に寄ったなじみのお店で、何度も行ったことがある食事にも力を入れていた飲み屋が25日深夜に火事になったことを、店主から聞かされる。ええっ。本当、火事にも気をつけなきゃ。
追記;矢野顕子のデビュー40周年のオールタイム・ベスト盤『矢野山脈』(ビクター)、もう聞いていてうれしくなっちゃってしょうがない。彼女のデビュー作『ジャパニーズ・ガール』は僕の邦楽アルバムのベスト3に入るんじゃないかなと思ってしまう大好き盤だが、あの頃から矢野は歌のスタイルやピアノの流儀は確立されていた。日本トラッドの奔放カヴァーの「丘を越えて」も入っているしね。その天衣無縫さも含め、最初から完成〜突き抜けた場所に立っていた彼女の40年間、美しく、壮絶でもある。