小坂忠 with Friends

2015年11月19日 音楽
 会場は、代官山・晴れたら空に豆まいて。“フレンズ”の構成員は、ギターの鈴木茂(2013年8月11日、2010年11月21日、2015年10月25日)、ベースの小原礼(2003年3月13日、2004年5月9日、2013年8月11日)、キーボードのDr.kyOn(2013年8月11日)、ドラムの屋敷豪太(1999年7月31日、2006年4月2日)、アルト・サックス/フルートの小林香織。この前のピーター・バラカン(客席にいましたね)ズ・ライヴ・マジックに出たTIN-PAN (2015年10月25日)を見たさい、なんか鈴木茂がいい感じだったこともあって、ぼくは見に来たのだが、満場。ホールのように椅子を並べたこの会場は初めてのような。当然、客の年齢層は男女とも高めです。

 2部制。会場に遅れて入ると、小坂抜きの面々がステージ上にいて、いい感じのバンド・サウンドを出している。鈴木茂が前にでるの巻かな。ああ、彼のギターって、なんかジェリー・ガルシアを思い出させるところもあるのだな。ぼくは今、ブルース/ロック系列にある単音のギター・ソロが好きじゃなくなっているのだが、引っかかりのあるラインと心地よい濁りを持つ彼のソロ はOK(複音でも弾くしね)。歌も声が良く出ていた。

 1部の最後の2曲は、元ボニー・レイット(2007年4月6日)・バンブー・バンドの小原と元シンプリー・レッド(1999年7月31日)の屋敷がステージに残り、2人が組んでいるザ・ルネッサンスというポップ・ロック・ユニットの曲を二つやる。昨年『ルネッサンス・プルミエ』(徳間ジャパン)というアルバムを出しているそうで、リード・トラックはTV番組にも使われているそう。知りませんでした。小原はそのままベースを弾き、屋敷は電気ギターをカッティング。ギター音やドラム音が入ったトラックにあわせて、ノリが若いとも言える回春的ビート・ポップをそれぞれが1曲づつリード・ヴォーカルを取って披露した。 

 2部は小坂忠(2001年12月16日2013年8月11日、2015年10月25日)をフロントにおいての、日本語の、大人なゆったりファンク/ソウル表現が繰り広げられる。小坂の声も渋く味があるし、バンドの音もどっしりとした誘いがたっぷり。そういやあ、屋敷の生ドラムにこんなに直接的に接するのは初めてのはずだが、アメリカン・ロックとソウルを行き来するような様になったドラミングを聞かせていた。

 披露する楽曲は今年で40周年となる小坂の代表作『HORO』からの曲がさすがに多かった。その味のいい開陳に触れ、前にここで書いたことがあったが、ジム・オルーク(2000年3月25日、2001年2月21日、2006年4月18日、2006年10月22日、2007年4月20日、2008年8月24日、2010年4月15日、2010年11月17日、2011年1月8日、2013年4月21日、2013年5月24日、2014年10月11日、2015年4月9日)は同作を日本のNo.1アルバムと公言しているのも宜なるかと頷いたりも。そして、オルークは今後なんらかの形で小坂表現に関与はしないものかとも思ってしまう。オルークと鈴木のギター・アルバムでもいいけど。そういえば、鈴木だけ場内で物販をしており、マフラーやバックから来年の卓上カレンダーまで、そのアイテムの多さには少し驚く。

 アルトの小林はビクターから10枚を超えるフュージョン系のリーダー作を出している人物。“フレンズ”の中では異色の参加者と言えるだろうが、小坂はMCで、加わるのは初めてだが、女性が入るといいなあ嬉しい、みたいなことを言う。小坂と鈴木の間に位置し、2人の耄碌気味会話をニコニコと聞いている彼女は性格良さそうだった。意外なほどに活躍の場を与えられていた彼女(基本、デイヴィッド・サンボーン的なイメージで吹いていたと言えるか)、このさい新たな顧客開拓を狙って、次作はこのバンドで録音し、1〜2曲小坂がヴォーカルで入るという体裁で録音するのはどうか。

▶過去の、鈴木茂
http://43142.diarynote.jp/?day=20101121
http://43142.diarynote.jp/?day=20130811
http://43142.diarynote.jp/201510290731105395/
▶過去の、小原礼
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm 3月13日
http://43142.diarynote.jp/200405071410000000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130811
▶過去の、Dr.kyOn
http://43142.diarynote.jp/?day=20130811
▶過去の、屋敷豪太
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/julylive.htm 7月31日
http://43142.diarynote.jp/200604050124430000/
▶過去の、TIN-PAN
http://43142.diarynote.jp/201510290731105395/
▶過去の、ボニー・レイット
http://43142.diarynote.jp/200704112101130000/
http://43142.diarynote.jp/200806121400260000/
▶過去の、シンプリー・レッド
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/julylive.htm 7月31日
▶過去の、小坂忠
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20130811
http://43142.diarynote.jp/201510290731105395/
▶過去の、オルーク
http://www.myagent.ne.jp/%7Enewswave/live-2000-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm
http://43142.diarynote.jp/200604210538510000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20061022
http://43142.diarynote.jp/?day=20070420
http://43142.diarynote.jp/?day=20080824
http://43142.diarynote.jp/?day=20090531
http://43142.diarynote.jp/201004180836405961/
http://43142.diarynote.jp/201011181757468769/
http://43142.diarynote.jp/201101111201402329/
http://43142.diarynote.jp/201304230829016302/
http://43142.diarynote.jp/201305280923275394/
http://43142.diarynote.jp/201410210814495715/
http://43142.diarynote.jp/201504131107563912/

<今日の、想起>
 かなり軽めのちょい悪じじい的なMC口調の小坂はここ四半世紀は牧師をやっていて、ゴスペルも歌っているというのは有名な話だ。そんな彼の歌に触れながら、先月末のことを思い出す。ライヴの後になじみのバーに寄ったさい、今夏に居住していたNYから東京に戻ってきた写真家の野上眞宏さんと邂逅。立教大学で細野晴臣(2009年10月12日、2010年4月15日、2010年11月21日、2011年8月7日ち2012年8月12日、2012年9月5日、2013年1月29日、2013年8月7日、2013年8月11日、2015年10月25日)と学友だったという彼は当時からモノクロで周りの写真を撮っており、はっぴいえんど や小坂や細野がメンバーだったエイプリル・フール結成の場にも立ち会っていて、それらのドキュメント写真は一時レコード・コレクターズ誌で毎号紹介されていた。とともに、それらはP-VINEブックスから2冊組の「HAPPY SNAPSHOT DAIARY:Tokyo 1968-1973」としてまとめられた。現在、その写真集は絶版となっているようだが、同ソースの4000点ものマテリアルは写真アプリ『野上眞宏のSNAPSHOT DIARY』として昨年秋に世に出されている。で、そのアプリ写真を見せてもらいつつ、野上さんからいろいろな話をうかがったのだった。いつの間にか外見は紳士的になっているが、野上さんの写真のなかで、一番当時のおじさんたちが眉をしかめそうな風体(さすが、ミュージカル「ヘアー」出演者!?)をしているのが小坂忠なんだよな。