リズ・ライト。”カナディアン・ブラスト2015 ”
2015年11月17日 音楽 彫りの深いしっとり低音ヴォイスが魅力のリズ・ライトのショウを、丸の内コットンクラブで見る。南部ジョージア州の牧師の娘でいろんなブラック・ミュージックに親しんで来た担い手であり、デイヴィッド・サンボーン、カーク・ウェイラム、ミシェル・ンデゲオチェロ、テリ・リン・キャリントン、ケンドリック・スコットらのアルバム客演もしている彼女だが、真正面からジャズ歌手とは言いにくい。だって、根にあるものがゴスペルやブルースで、生理的にオーガニック。一部のジャズ・ヴォーカルにあるような技量追求、こねくり回したところがないもの。だが、ジャズはその一部にしかすぎないブラック・ミュージックのディープさや悠然さや幅広さばっちり内に持っている彼女は、まさに秀でた米国人シンガーであると思う。
そんなライトの5作目『フリーダム&サレンダー』は上に書いたような彼女の美点が無理なく出た傑作。なのだが、プロデュースは、ぼくはあまりその手腕を評価しておらず(手堅いだけ、と思ってしまう)、<元嫁(ジョニ・ミッチェル)の七光りプロデューサー>なんて形容したりもするラリー・クライン。そこにあるハイ・サウンドの現代化のほか、聞き所はいっぱいで、ぼくはクラインの制作物のなかで一番良い出来ではないかと思っている。
オルガン、ギター、電気ベース、ドラムを従えてのパフォーマンス。とくに、一部ガース・ハドソン(2013年8月2日)の噴出性を思わせるオルガン奏者はいいなあ。しっかり地に着けた感じを出す良バンド・サウンドに乗って、確かな肉声を紡いでいくライト嬢はかっこういい。もうちっと派手な曲を歌ってもいいのではないかとは思ったが、滋味いろいろとあり。ときにタンバリンを叩きながら歌った彼女だが、その横には西アフリカの打楽器であるジャンベが置いてあった。最後まで見ることができなかったのだが、彼女がジャンベを叩くシーンもあったのだろうか? そういえば、彼女の歌にはその彼方にアフリカの存在を見透かせる部分がある。それもまた、リズ・ライトの大きな魅力だと思う。
▶過去の、リズ・ライト
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-9.htm
http://43142.diarynote.jp/201409171722239857/
▶過去の、ガース・ハドソン
http://43142.diarynote.jp/201308110826574632/
その後、青山一丁目・カナダ大使館のオスカー・ピーターソン・シアターで、カナダ人アーティストのショウケース<カナディアン・ブラスト>を見る。すでに女性が主役となる2組の出し物が終わっていて、男性の出し物を2組見た。
まず、見た目が若いピアノ・トリオのミリアド3を見る。パっと聞いて、すぐに想起するのは、今はなきスウェーデンの音響オルタナ・ピアノ・トリオのE.S.T.(2003年6月17日、2007年1月13日)。ただし、E.S.T.ように音響効果/エフェクターを噛ますことはなく、生音演奏のひねりだけで(その際に、ザ・バッド・プラス〜2003年8月1~2日、2004年5月13日、2005年8月29日、2008年2月20日、2011年3月9日、2013年11月20日、2014年10月31日〜を思い出させるもするか?)、今の凸凹を彼らは開いて行こうとしている。スタンダード「C・ジャム・ブルース」を遊び心たっぷりに披露したりと、過去のジャズの豊かさと繋がる意志を持とうとも、(ライヴでは)彼らはしていると思えた。
その次に出て来た、デクラン・オドノヴァンは同じピアノ、ウッド・ベース、ドラムという先の出演者と同じ編成(というか、ベーシストとドラマーはミリアド3のリズム隊を借りたよう)を持つが、ポップ・ロックをやる。ピアノを達者に弾きながらオドノヴァンは癖のある声で朗々と歌っていくのだが、どれもマイナー・キーの曲で少し退く。センチな曲が好きだねえ。これで歌がもう少し下手だったりすると、ランディ・ニューマンみたいな味も少し出てくると思うのだが……。って、聞き手ってて、我がままだね。そのくどい聞き味に触れながら、リオン・ラッセル(2005年11月24日)やトム・ウェイツはあたりが好きな人となのかとも、ふと思った。
▶過去の、E.S.T.
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm
http://43142.diarynote.jp/200701141431470000/
▶過去の、ザ・バッド・プラス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm
http://43142.diarynote.jp/200405101355540000/
http://43142.diarynote.jp/200509011126570000/
http://43142.diarynote.jp/200802212249200000/
http://43142.diarynote.jp/201103171347055826/
http://43142.diarynote.jp/201311230757159421/
http://43142.diarynote.jp/201411101736494912/
▶過去の、リオン・ラッセル
http://43142.diarynote.jp/200511281322500000/
<今日の、出演者>
今日見たミリアド3は、本日の午前中に日本に着いたという。チェコから来たそうで、金曜日にはパリでライヴをしていて、あのテロがあったコンサート会場に近いヴェニューでギグを持っていた。ちなみに、パリのテロにあった公演会場に出演していた米国のロック・バンドというのは、彼ら↓ですね。
▶過去の、イーグルス・オブ・デス・メタル
http://43142.diarynote.jp/200703151157160000/
そんなライトの5作目『フリーダム&サレンダー』は上に書いたような彼女の美点が無理なく出た傑作。なのだが、プロデュースは、ぼくはあまりその手腕を評価しておらず(手堅いだけ、と思ってしまう)、<元嫁(ジョニ・ミッチェル)の七光りプロデューサー>なんて形容したりもするラリー・クライン。そこにあるハイ・サウンドの現代化のほか、聞き所はいっぱいで、ぼくはクラインの制作物のなかで一番良い出来ではないかと思っている。
オルガン、ギター、電気ベース、ドラムを従えてのパフォーマンス。とくに、一部ガース・ハドソン(2013年8月2日)の噴出性を思わせるオルガン奏者はいいなあ。しっかり地に着けた感じを出す良バンド・サウンドに乗って、確かな肉声を紡いでいくライト嬢はかっこういい。もうちっと派手な曲を歌ってもいいのではないかとは思ったが、滋味いろいろとあり。ときにタンバリンを叩きながら歌った彼女だが、その横には西アフリカの打楽器であるジャンベが置いてあった。最後まで見ることができなかったのだが、彼女がジャンベを叩くシーンもあったのだろうか? そういえば、彼女の歌にはその彼方にアフリカの存在を見透かせる部分がある。それもまた、リズ・ライトの大きな魅力だと思う。
▶過去の、リズ・ライト
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-9.htm
http://43142.diarynote.jp/201409171722239857/
▶過去の、ガース・ハドソン
http://43142.diarynote.jp/201308110826574632/
その後、青山一丁目・カナダ大使館のオスカー・ピーターソン・シアターで、カナダ人アーティストのショウケース<カナディアン・ブラスト>を見る。すでに女性が主役となる2組の出し物が終わっていて、男性の出し物を2組見た。
まず、見た目が若いピアノ・トリオのミリアド3を見る。パっと聞いて、すぐに想起するのは、今はなきスウェーデンの音響オルタナ・ピアノ・トリオのE.S.T.(2003年6月17日、2007年1月13日)。ただし、E.S.T.ように音響効果/エフェクターを噛ますことはなく、生音演奏のひねりだけで(その際に、ザ・バッド・プラス〜2003年8月1~2日、2004年5月13日、2005年8月29日、2008年2月20日、2011年3月9日、2013年11月20日、2014年10月31日〜を思い出させるもするか?)、今の凸凹を彼らは開いて行こうとしている。スタンダード「C・ジャム・ブルース」を遊び心たっぷりに披露したりと、過去のジャズの豊かさと繋がる意志を持とうとも、(ライヴでは)彼らはしていると思えた。
その次に出て来た、デクラン・オドノヴァンは同じピアノ、ウッド・ベース、ドラムという先の出演者と同じ編成(というか、ベーシストとドラマーはミリアド3のリズム隊を借りたよう)を持つが、ポップ・ロックをやる。ピアノを達者に弾きながらオドノヴァンは癖のある声で朗々と歌っていくのだが、どれもマイナー・キーの曲で少し退く。センチな曲が好きだねえ。これで歌がもう少し下手だったりすると、ランディ・ニューマンみたいな味も少し出てくると思うのだが……。って、聞き手ってて、我がままだね。そのくどい聞き味に触れながら、リオン・ラッセル(2005年11月24日)やトム・ウェイツはあたりが好きな人となのかとも、ふと思った。
▶過去の、E.S.T.
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm
http://43142.diarynote.jp/200701141431470000/
▶過去の、ザ・バッド・プラス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm
http://43142.diarynote.jp/200405101355540000/
http://43142.diarynote.jp/200509011126570000/
http://43142.diarynote.jp/200802212249200000/
http://43142.diarynote.jp/201103171347055826/
http://43142.diarynote.jp/201311230757159421/
http://43142.diarynote.jp/201411101736494912/
▶過去の、リオン・ラッセル
http://43142.diarynote.jp/200511281322500000/
<今日の、出演者>
今日見たミリアド3は、本日の午前中に日本に着いたという。チェコから来たそうで、金曜日にはパリでライヴをしていて、あのテロがあったコンサート会場に近いヴェニューでギグを持っていた。ちなみに、パリのテロにあった公演会場に出演していた米国のロック・バンドというのは、彼ら↓ですね。
▶過去の、イーグルス・オブ・デス・メタル
http://43142.diarynote.jp/200703151157160000/