豪州出身在米ベーシストのタル・ウィルケンド(2009年2月6日)のショウを、まず六本木・ビルボードライブ東京で見る。

 ジェフ・ベック(2009年2月6日)に大々的に起用されたのを皮切りに、ウェイン・クランツ(2010年2月19日)、トッド・ラングレン(2001年11月9日、2002年9月19日、2002年9月28日、2008年4月7日、2010年10月10日)、ジャクソン・ブラウン(2003年5月2日)、ライアン・アダムス(2015年8月11日)、ハービー・ハンコック(2000年3月14日、2001年12月27日、2003年8月23日、2005年8月21日、2012年3月3日、2014年9月7日、2015年9月6日)、メイシー・グレイ(2003年7月28日、2011年2月22日、2011年12月13日、2012年1月4日、2012年10月17日 、2013年7月22日)など、いろんな人たちからレコーディングに呼ばれた可憐&技巧派ベーシスト。ちょうどハタチだった2007年にはリーダー作『ランスフォーメイション』をリリース。そこにはウェイン・クランツ(2010年2月19日)、ジェフリー・キーザー(2005年1月18日、2006年9月17日、2015年7月9日)、キース・カーロック(2010年2月19日)、シーマス・ブレイク(2015年8月5日)といったジャズ側にいる錚々たる奏者が参加した、インストのストレートアヘッドなフュージョン盤だった。

 そんな彼女は2作目となるリーダー作の録音を終えていて、シンガー・ソングライターとしての姿を求めた来年発売のアルバムに今回のショウが準ずる内容となるのは事前情報として知っていた。そしたら、自ら”ワールド・プレミア”と言うショウはすべてヴォーカル曲によるもので驚く。ギター、キーボード/ギター、ドラマーがサポート、彼らはロック側にいる人たちだろうが、腕が立つ奏者だった。

 達者にベースを弾きながら歌うだけでく、3曲ではアコースティック・ギターを手に歌う。1曲はオープン・チューニングで、ギターをライヴで弾くのも初めてとか。とはいえ、ウィルケンフェルドはミドルティーンでベースを取る前はギターを弾いていた。彼女は5弦ベースにカポタストを付けて、アルペジオ風に弾きながら歌うということもし、それは途中までは独奏にて披露された。

 で、問題はその曲調。ジェフ・バックリーが大好きで彼の曲のカヴァーもやったのだが、ちょい変なコード使いのもと、とってもいろんな含みを持つ、内省的という指摘もできるだろう、かなり大人な手触りを持つ自作曲を開いて行く。たとえば、スティーヴ・ウィンウッド/ブラインド・フェイスの「キャント・ファインド・ウェイ・マイ・ホーム」的な質感とも繋がるという説明はどうだろう。→つまり、ブリティッシュ的な味を彼女は持つとも、指摘できるかもしれない。歌も含みやスペースを抱えたと言えるもので、その可愛らしい風体とは言い入れない。へえ〜、こんなアダルトなロック志向の人であるのかあと、ぼくは彼女のことを再認識した。

 本編最後は、“ラウンド、ラウンド、ラウンド…”とリフレインが歌われる曲で、タルはマラカス、ドラマーはパンデイロ、他の2人は生ギターを持って、歌いながら場内を回った。

▶過去の、タル・ウィルケンフェルド
http://43142.diarynote.jp/200902080200527638/
▶過去の、ジェフ・ベック
http://43142.diarynote.jp/200902080200527638/
▶過去の、ウェイン・クランツ
http://43142.diarynote.jp/201002211122268480/
▶過去の、トッド・ラングレン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/LIVE-2001-11.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm
http://43142.diarynote.jp/200804081929500000/
http://43142.diarynote.jp/201010111257003810/
▶過去の、ジャクソン・ブラウン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-5.htm 5.02
▶過去の、ライアン・アダムス
http://43142.diarynote.jp/200410071540230000/
▶過去の、ハービー・ハンコック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm
http://43142.diarynote.jp/200508230545510000/
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/
http://43142.diarynote.jp/?day=20150906
▶過去の、メイシー・グレイ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-7.htm
http://43142.diarynote.jp/201102240921561671/
http://43142.diarynote.jp/201201061434397260/
http://43142.diarynote.jp/201112201157058751/
http://43142.diarynote.jp/201210201219525855/
http://43142.diarynote.jp/201307230845338219/
▶過去の、ウェイン・クランツ
http://43142.diarynote.jp/201002211122268480/
▶過去の、ジェフリー・キーザー
http://43142.diarynote.jp/200501222324430000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20060917
http://43142.diarynote.jp/201507110856518338/
▶過去の、キース・カーロック
http://43142.diarynote.jp/201002211122268480/
▶過去の、シーマス・ブレイク
http://43142.diarynote.jp/201508091204162305/

 その後は丸の内・コットンクラブで、1990年代初頭以降NYに住むスイス人ドラマーのジョジョ・メイヤー(2012年6月25日)のトリオを見る。ずっと一緒にやっているそうなベーシストのジョン・デイヴィスと、変な髪型をしたキーボード奏者のジェイコブ・バーグソンがつく。

 クラブ・ミュージックの生演奏バンド、乱暴に言ってしまうなら。その際、メイヤーのデジタル人力ビートがおおいに武器になるのだが、ベーシストもすごいな。エフェクトをいろいろかけた音で、鍵盤ベースかららしいシンセ音までなんの問題もなく弾いちゃうという感じ。2人でやっても、いける? よく見ると、客席フロアの左側に小さ目のコンソールが置かれ人がいたのだが、その彼は音にエフェクトをかけるだけでなく、デパッドを用いて出音を加えていたようだ。本編が終了したとき、彼もステージに上がって他の3人とお辞儀をしていた。

 出音は小さくない。ドラムン・ベース調は1曲だけ。でも、それを聞くと、ジャズ・ドラミングのテンポを上げるとドラムン・ベースになるというのも、皮膚感覚で納得できるような。それはレギュラー・グリップで叩いていたが、今回はマッチド・グリップで叩くほうが多かった。

▶過去の、ジョジョ・メイヤー
http://43142.diarynote.jp/201207031323242844/

<今日の、共通点>
 二つの公演は、ともに男性客が多かった。それと、ウィルケンフェルドもメイヤーも、いい人そうだった。それにしても、ウィルケンフェルドのほうはギターが沢山おいてあった。ちゃんとギター係も同行していたが、彼女たちは一体何本のギターを持って来たのか。一方、ナーヴのほうは公演後、メイヤーのドラムの前に来て写真を撮る人が続出していました。