ルクセングルク人2人とレバノン人によるトリオを、青山・カイで見る。クラシックの世界でエスタブリッシュされつつテクノ方面にも出張るピアニストのフランチェスコ・トリスターノ・シュリメとヴァイブラフォン奏者のパスカル・シューマッハ(2014年3月11日)は学生時代からの付き合いで、そこに打楽器奏者のバシャール・カリフェが関わるという成り立ちのユニット。3、4年前ほどから、3人はいろいろとライヴ・パフォーマンスを欧州で持っているようだ。

 多くの曲は、トリスターノがリフ/反復音を延々と奏で、それに合わせるように2人が入る。ジャズ的なソロは、トリスターノに重ねるように反復的マレット裁きを繰り出すシューマッハが担い、トリスターノはほとんど取らない。だが、それでもシャープな変化〜動的感覚を、彼は持つ。シューマッハはヴァイブラフォンのほかにも木琴系の鍵盤打楽器(シロ・シンセかもしれぬ。ぼくのところからは楽器が見えなかった)を横において、それも叩いたりしていた。やはり、前に見たジェフ・ニーヴとのデュオとは感じも物腰もそれなりに違うな。

 ミニマル系ビート曲以外には、主にトリスターノがソロをとった甘美なゆったり曲とレゲエ調ビートを下敷きにするミディアムも披露。後打ち曲ではトリスターノは電波系シンセ音も出す。また、この曲ではほのかなダブ効果も噛まされる。彼は左横にもキーボードを置いていて、全体の7割強ほどではそれを左手で弾いてベース音を出Sしていた。なんにしても、クラシック調の指さばきはできるだけ出さない方向で彼は演奏していたのではと、クラシックをあまり知らないぼくには思えた。

▶過去の、パスカル・シューマッハ
http://43142.diarynote.jp/201403131302543532/

<今日の、格好と汗>
 黒系のシャツとジーンズ。3人とも、とてもカジュアルな格好をしていたな。トリスターノは汗を大量にかいてTシャツの色が変わっていた。それにしても、トリスターノと、ポンと書くと少し胸騒ぎを覚えてしまう。それは胸のすく不可解な領域を山ほど持つ、ジャズのクール派の代表ピアニストの米国人レニー・トリスターノ(1919年〜78年)のことを無意識に思い出すからだろう。なお、トリスターノのHPを見ると、彼のお気に入りだろう人たちを集めた70 分強のトラック群がポッドキャスィングされていて、そこには12世紀のトラッド、ケニー・ラーキン、ルーク・ヴァイバート、カール・クレイグ、ジョン・ケイジ、フィリップ・グラス、バッハなどいろんな曲が選ばれ、ミックステープ的に連ねられている。