レゲエというだけでなく、1980年代中期以降はインターナショナルなイケてる今様ビート創出の最たる名リズム・セクションであったスライ&ロビー(1999年12月6日、2003年7月25日、2009年3月7日、2011年11月4日)の公演は全7人という陣容にてなされた。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。

 まず、演奏陣が出て来て1曲。スライ&ロビーにくわえ、ギター奏者(控え目だが、オブリガードなど随所で渋い)とキーボード奏者がついたバンド・サウンドのもと、アルト・サックス奏者とトロンボーン奏者がいい感じで重なる。ほう、スカのインストの管音を今に持って来たようなその演奏は何気に誘われる。もう少しそのインスト表現を楽しみたい気持ちにもなったが、2曲目からヴェテラン・シンガーのジョニー・オズボーンが加わる。1960年後期から印象的な歌を聞かせてきている喉自慢さん(カナダに約10年間住むなどもしている、珍しいキャリアも持つ)ですね。かつていかにもラスタ風情のルックスを持っていた彼(1948年生まれ)は外見はおじいさんになったものの、歌声は強く張りがあり、衰え指数はゼロ。

 そして、以下は、MCもする彼を中心にショウは進められる。アレレと感じたのは、二人の管楽器奏者はあまり吹かず(サックス奏者の方は、パッドを叩く)に、控え目なコーラスを取ることが多かったこと。おお、贅沢というか、もったいないというか。が、繰り返すが、オズボーンの味は良好で、その指針は満足できる訴求力につながった。レゲエは歌ありき、スライ&ロビーの本質も歌のバッキングに在する、なんて思いも、ぼくの頭をかすめた? でありつつ、その一方で対極にあるようなダブを生み出すあたりがジャマイカの凄さ/怖さであるのだが。なお、今回はダブっぽいサウンド処理はほとんどなかった。 

▶過去の、スライ&ロビー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/december1999live.htm
http://43142.diarynote.jp/200903122225149470/
http://43142.diarynote.jp/?day=20111104

<今日の、ヘルメット>
 スライ・ダンバーはやはりヘルメット着用。スライ&ロビーには大昔(1990年ごろ?)一度だけインタヴューしたことがあるが(なんと、京王プラザホテルのシェークスピアの広くはない宿泊していた部屋で行った)、今するとしたら、ヘルメットをかぶってステージに出る理由を聞きたくなるな。今回、ダンバー以上にシェイクスピアが外見的に年をとったなという印象は受けたが、リズム音は醍醐味たっぷり。オズボーンはステージ横にやってきたマネージャーのような人に何かを言われ、次の曲で本編を終える。もしかして、それがなければもっとパフォーマンスを悠々続けたかもしれぬ。この晩のことは、毎日新聞の11月23日夕刊にも書きます。