ルックス。ミカリンバ
2014年10月17日 音楽 この晩にまず見たのは、ノルウェーの女性ヴォーカルと男性コントラバス奏者のデュオであるルックス(LUX)。で、最初のコントラバス音で一気に掴まれる。広尾・ノルウェー王国大使館アークティック・ホール。
クラシック教育をちゃんと受けているだろう男性ベーシスト(Hakon Thelin。ファースト・ネームのaの上に小さな○がつく)はいろんな弾き方のもと、いろんなフレイズや音色を細心に送り出す。お見事。そこに、深淵と形容したくなる歌い方をするシンガー(Unni Lovlid。ファミリー・ネームのoには斜め棒が入る)の伝統的歌唱が乗る。ノルウェー西海岸の伝統音楽が盛んな村で生まれた彼女は口承トラッドの実力者のようであり、ベース奏者のほうはきっちり現代音楽の世界にいる人のよう。そんな二人がどのような経緯で一緒にやるようになったかは知らないが、すでにアルバムを1枚だしてもいるようだ。
なんにせよ、両者の協調は意義あり! 大げさに言えば、技巧と発想を凝らしたベース・ソロに、独自の“北の抑揚”を持つヴォーカルにて主旋律が乗せられる。ちょい事実からは離れるが、ベースの自在な演奏を雄大な歌が伴奏しているとも、言いたくなる? ベース音は確実に現代性をはらみ、ヴォーカルは積み重ねられてきた普遍を抱える。確かに、両者の重なりは伝統と革新をすうっと繋いでしまっていると思う。しかし、ヘラヘラじゃない、ニコニコと微笑みながら懐深いメロディを悠々歌う彼女も相当な実力者であり、個性の持ち主と言える。楽曲はトラッドや旧い詩にメロディを付けたオリジナルであるよう。
それにしても、異なる要素が平行して進んで行く様は、ある意味ヒップホップ的とも思えた。調性の感覚の超越というか、異なる位置にある音が一緒になってしまう野放し混沌感覚は、今の時代のサンプラー/機材使用のダンス・フロア向け音楽が持つ美点と近似しているはずであるから。
その後は、南青山・ブルーノート東京(セカンド・ショウ)に行く。出演者は日本出身のマリンバ奏者であるミカ・ストルツマンの強者を擁するプロジェクト、ミカリンバ。
ミカ・ストルツマンの2枚のリーダー作をプロデュースしているスティーヴ・ガッド(ドラム。2004年1月27日、2010年12月1日、2012年11月26日、2013年9 月3日)、ガッドとは朋友関係にある(彼が1980年代下半期に組んでいたリーダー・グループのザ・ガッド・ギャングのメンバーでもありましたね)縦ベースのエディ・ゴメス、経験豊かなNYシーンのギタリストであるジョン・トロペイ(2004年1月27日、2007年10月9日)、ガッドの息子で今回はパーカッションを担当するデューク・ガッド、ミカの旦那さんでクラシック界の重鎮クラリネット奏者のリチャード・ストルツマンという面々が後に控える。
そして、スタンダードからガッド親子の曲など関連者たちの曲、はてはラベルのクラシック曲(「パヴァーヌ」。ジョー”おっちょこちょい”ウォルッシュ〜2011年3月5日〜が1975年ABC盤『ソー・ホワット』でカヴァーしたことがありましたね)まで、いろんな曲をマリンバ音を活かすアンサブルのもと披露。そこからは、普段から密な関係を持つ彼女たちの素の表情、歓びが浮き上がる。最後にやった曲は一番弾んだ曲で、なんと彼女は出身地である熊本弁と英語によるラップをお茶目に披露。その真っすぐかつ自由闊達な様に触れ、「ミカの情熱や志にほだされ、彼女のことを手助けしなきゃ男がすたると思った」というガッド侠気発言を思い出したりもしちゃう。後見人ガッドは嬉しそうに自分の曲でスキャットかましたり、息子と持ち楽器を交換する場面もあった。
▶過去の、ガッド
http://43142.diarynote.jp/200402051855170000/
http://43142.diarynote.jp/201012051903113851/
http://43142.diarynote.jp/201212101904379741/
http://43142.diarynote.jp/201312171510083393/
▶過去の、トロペイ
http://43142.diarynote.jp/200402051855170000/
http://43142.diarynote.jp/200710131957390000/
▶過去の、ウォルシュ
http://43142.diarynote.jp/201103091707591166/
<今日の、もやもや>
ノルウェー大使館は、9日前に行ったスイス大使館とは路地をへだてて、その斜め前にある。リベラルな印象も抱かせる両国だが、どちらも徴兵制度があるというのは共通。実は北欧ってスウェーデンはないが、ノルウェー(将来、女性にも課す方向にあるよう)もフィンランドもデンマークも徴兵制度をしいている。あの不可解な人がこのまま日本の長でいると徴兵制が復活しそうな勢いなので、ぼくの年齢だと対象外になるとは思うが、なんか徴兵制度の現状についての情報をわずかながら仕入れていたりする。でないと、ちゃんと反対もできないから。ブラジルも徴兵制度をとっているようだが建前で、志願制なよう。でも、志願しても徴兵されなかったりもするそうで、それは軍の出費を押さえるためという話もある。しかし、日本の現況を見ると、徴兵制度が導入されても、ズルして行かなさそうな奴や偉い位につけると思っている輩がそれにやんや賛成しているような気がするなあ。話はとぶが、1945 年生まれのスティーヴ・ガッドは地元ロチェスターにあるイーストマン音楽院を出たあと1970年ごろの3年間は一応軍隊に入り(ぎり、米国にも徴兵制度はありました)、ワシントンD.C.で楽隊活動をしたことがある。そのときの、アーミー・ビッグ・バンドでの「シシィ・ストラト」(ザ・ミーターズ)演奏の様はユーチューブで確認できますね。ところで、戦後に日本が驚異的な復興をとげたのは9条の導きにより徴兵制度がなく、若者労働力や学究のロスがなかったことは大きいのではないだろうか。
クラシック教育をちゃんと受けているだろう男性ベーシスト(Hakon Thelin。ファースト・ネームのaの上に小さな○がつく)はいろんな弾き方のもと、いろんなフレイズや音色を細心に送り出す。お見事。そこに、深淵と形容したくなる歌い方をするシンガー(Unni Lovlid。ファミリー・ネームのoには斜め棒が入る)の伝統的歌唱が乗る。ノルウェー西海岸の伝統音楽が盛んな村で生まれた彼女は口承トラッドの実力者のようであり、ベース奏者のほうはきっちり現代音楽の世界にいる人のよう。そんな二人がどのような経緯で一緒にやるようになったかは知らないが、すでにアルバムを1枚だしてもいるようだ。
なんにせよ、両者の協調は意義あり! 大げさに言えば、技巧と発想を凝らしたベース・ソロに、独自の“北の抑揚”を持つヴォーカルにて主旋律が乗せられる。ちょい事実からは離れるが、ベースの自在な演奏を雄大な歌が伴奏しているとも、言いたくなる? ベース音は確実に現代性をはらみ、ヴォーカルは積み重ねられてきた普遍を抱える。確かに、両者の重なりは伝統と革新をすうっと繋いでしまっていると思う。しかし、ヘラヘラじゃない、ニコニコと微笑みながら懐深いメロディを悠々歌う彼女も相当な実力者であり、個性の持ち主と言える。楽曲はトラッドや旧い詩にメロディを付けたオリジナルであるよう。
それにしても、異なる要素が平行して進んで行く様は、ある意味ヒップホップ的とも思えた。調性の感覚の超越というか、異なる位置にある音が一緒になってしまう野放し混沌感覚は、今の時代のサンプラー/機材使用のダンス・フロア向け音楽が持つ美点と近似しているはずであるから。
その後は、南青山・ブルーノート東京(セカンド・ショウ)に行く。出演者は日本出身のマリンバ奏者であるミカ・ストルツマンの強者を擁するプロジェクト、ミカリンバ。
ミカ・ストルツマンの2枚のリーダー作をプロデュースしているスティーヴ・ガッド(ドラム。2004年1月27日、2010年12月1日、2012年11月26日、2013年9 月3日)、ガッドとは朋友関係にある(彼が1980年代下半期に組んでいたリーダー・グループのザ・ガッド・ギャングのメンバーでもありましたね)縦ベースのエディ・ゴメス、経験豊かなNYシーンのギタリストであるジョン・トロペイ(2004年1月27日、2007年10月9日)、ガッドの息子で今回はパーカッションを担当するデューク・ガッド、ミカの旦那さんでクラシック界の重鎮クラリネット奏者のリチャード・ストルツマンという面々が後に控える。
そして、スタンダードからガッド親子の曲など関連者たちの曲、はてはラベルのクラシック曲(「パヴァーヌ」。ジョー”おっちょこちょい”ウォルッシュ〜2011年3月5日〜が1975年ABC盤『ソー・ホワット』でカヴァーしたことがありましたね)まで、いろんな曲をマリンバ音を活かすアンサブルのもと披露。そこからは、普段から密な関係を持つ彼女たちの素の表情、歓びが浮き上がる。最後にやった曲は一番弾んだ曲で、なんと彼女は出身地である熊本弁と英語によるラップをお茶目に披露。その真っすぐかつ自由闊達な様に触れ、「ミカの情熱や志にほだされ、彼女のことを手助けしなきゃ男がすたると思った」というガッド侠気発言を思い出したりもしちゃう。後見人ガッドは嬉しそうに自分の曲でスキャットかましたり、息子と持ち楽器を交換する場面もあった。
▶過去の、ガッド
http://43142.diarynote.jp/200402051855170000/
http://43142.diarynote.jp/201012051903113851/
http://43142.diarynote.jp/201212101904379741/
http://43142.diarynote.jp/201312171510083393/
▶過去の、トロペイ
http://43142.diarynote.jp/200402051855170000/
http://43142.diarynote.jp/200710131957390000/
▶過去の、ウォルシュ
http://43142.diarynote.jp/201103091707591166/
<今日の、もやもや>
ノルウェー大使館は、9日前に行ったスイス大使館とは路地をへだてて、その斜め前にある。リベラルな印象も抱かせる両国だが、どちらも徴兵制度があるというのは共通。実は北欧ってスウェーデンはないが、ノルウェー(将来、女性にも課す方向にあるよう)もフィンランドもデンマークも徴兵制度をしいている。あの不可解な人がこのまま日本の長でいると徴兵制が復活しそうな勢いなので、ぼくの年齢だと対象外になるとは思うが、なんか徴兵制度の現状についての情報をわずかながら仕入れていたりする。でないと、ちゃんと反対もできないから。ブラジルも徴兵制度をとっているようだが建前で、志願制なよう。でも、志願しても徴兵されなかったりもするそうで、それは軍の出費を押さえるためという話もある。しかし、日本の現況を見ると、徴兵制度が導入されても、ズルして行かなさそうな奴や偉い位につけると思っている輩がそれにやんや賛成しているような気がするなあ。話はとぶが、1945 年生まれのスティーヴ・ガッドは地元ロチェスターにあるイーストマン音楽院を出たあと1970年ごろの3年間は一応軍隊に入り(ぎり、米国にも徴兵制度はありました)、ワシントンD.C.で楽隊活動をしたことがある。そのときの、アーミー・ビッグ・バンドでの「シシィ・ストラト」(ザ・ミーターズ)演奏の様はユーチューブで確認できますね。ところで、戦後に日本が驚異的な復興をとげたのは9条の導きにより徴兵制度がなく、若者労働力や学究のロスがなかったことは大きいのではないだろうか。