渋谷・アップリンクファクトリーで、ショーン・オ・クーローン監督による、2012年アイルランド映画「空中ランチ」を見る。
ところで、ドクター・ジョン(2000年5月24日、2002年3月23日、2005年9月20日、2012年2月15日、2013年10月1日)の名曲「ライト・プレイス、ロング・タイム」の歌詞の内容ってどんなものだったっけ? と、映画を見ながら思ってしまった。場所はあっているのに、タイミングはあっていない、あ〜人生ままならぬ、という感じの曲だったかな。
それは、ともあれ。映画「空中ランチ(原題、Men at Lunch)」は、絵はがきになったり、パロディの広告が作られたりするなど、1930年代のNYの状況を象徴するものとして米国では良く知られる、1932年9月に撮影された一葉の写真を題材にする。そのやはり「メン・アット・ランチ」と名付けられているようなモノクロ写真は、高層ビル建設ラッシュにわくマンハッタンの30ロックフェラー・プラザ(当時はRCAにより立てられ、今はゼネラル・エレクトリックが所有。三大ネットワークのNBC本社もそこに入る。75階、336メートル)の、建設現場天辺にいる作業員たちを撮ったもの。
建設途中にある250メートルの高さに渡された1本の梁の上で昼食をとる11人の作業員……。その労働者たちの昼食休憩時の様を抑えた写真が見る者の目を引くのは、超危険なビル工事現場の一番上の骨組に座る彼らが、普通に地べたに座っているかように振る舞っているところ。その足元どころか、360度すべてが宙に浮いているような状況に彼らはいて、背景にはセントラル・パークやハドソン川が写っている。映画は、撮影者も労働者たちの素性も不明なままであった、そんな写真のディテールを追っていく。
映画中で、あるカメラマンが、この写真はまさにこの場所(right place)でこの時(right time)であるからこその写真、ということをコメントする。その言い回しを借りるなら、本来いるべきでない所にいることを強いられているのに、ライト・タイムにいるかのように淡々と振る舞う11人の様が、言葉を超えた何かを見る者に与えるところが、この写真の肝。その労働者たちは、危険な仕事しか得ることができなかった、アメリカ人になるために新天地に渡って来たアイルランド人ら移民たち。不思議な諧謔も与えるこのモノクロ写真は、NYの歴史や移民たちの歴史も見る者に喚起させつつ、諦観とも重なる切なさにあふれている。なるほど、映画が生まれるのも宜なるかな。
<そして、翌日>
映画「空中ランチ」とも背景は繋がる、モンタナ州ビュートの銅炭鉱で働いたアイリッシュ米国人の祖先をテーマ据えたCD/映画「シャムロック・シティ」を作り(映画のほうはまだ未完成)、今月末に来日もするソーラス(2012年6月14日)について語る、四谷いーぐるでのイヴェントに出る。
▶過去の、ソーラス
http://43142.diarynote.jp/201206181341313130/
ところで、ドクター・ジョン(2000年5月24日、2002年3月23日、2005年9月20日、2012年2月15日、2013年10月1日)の名曲「ライト・プレイス、ロング・タイム」の歌詞の内容ってどんなものだったっけ? と、映画を見ながら思ってしまった。場所はあっているのに、タイミングはあっていない、あ〜人生ままならぬ、という感じの曲だったかな。
それは、ともあれ。映画「空中ランチ(原題、Men at Lunch)」は、絵はがきになったり、パロディの広告が作られたりするなど、1930年代のNYの状況を象徴するものとして米国では良く知られる、1932年9月に撮影された一葉の写真を題材にする。そのやはり「メン・アット・ランチ」と名付けられているようなモノクロ写真は、高層ビル建設ラッシュにわくマンハッタンの30ロックフェラー・プラザ(当時はRCAにより立てられ、今はゼネラル・エレクトリックが所有。三大ネットワークのNBC本社もそこに入る。75階、336メートル)の、建設現場天辺にいる作業員たちを撮ったもの。
建設途中にある250メートルの高さに渡された1本の梁の上で昼食をとる11人の作業員……。その労働者たちの昼食休憩時の様を抑えた写真が見る者の目を引くのは、超危険なビル工事現場の一番上の骨組に座る彼らが、普通に地べたに座っているかように振る舞っているところ。その足元どころか、360度すべてが宙に浮いているような状況に彼らはいて、背景にはセントラル・パークやハドソン川が写っている。映画は、撮影者も労働者たちの素性も不明なままであった、そんな写真のディテールを追っていく。
映画中で、あるカメラマンが、この写真はまさにこの場所(right place)でこの時(right time)であるからこその写真、ということをコメントする。その言い回しを借りるなら、本来いるべきでない所にいることを強いられているのに、ライト・タイムにいるかのように淡々と振る舞う11人の様が、言葉を超えた何かを見る者に与えるところが、この写真の肝。その労働者たちは、危険な仕事しか得ることができなかった、アメリカ人になるために新天地に渡って来たアイルランド人ら移民たち。不思議な諧謔も与えるこのモノクロ写真は、NYの歴史や移民たちの歴史も見る者に喚起させつつ、諦観とも重なる切なさにあふれている。なるほど、映画が生まれるのも宜なるかな。
<そして、翌日>
映画「空中ランチ」とも背景は繋がる、モンタナ州ビュートの銅炭鉱で働いたアイリッシュ米国人の祖先をテーマ据えたCD/映画「シャムロック・シティ」を作り(映画のほうはまだ未完成)、今月末に来日もするソーラス(2012年6月14日)について語る、四谷いーぐるでのイヴェントに出る。
▶過去の、ソーラス
http://43142.diarynote.jp/201206181341313130/