メイシー・グレイ。ロイ・ハーグローヴ・クインテット
2011年2月22日 音楽 立ったキャラクターを持つ女性歌手の公演を六本木・ビルボード東京で、まず見る。ファースト・ショウ。ぼくが彼女を見るのはフジ・ロック出演時(2003年7月28日)以来だが、それ以降来日していないんだっけ? バンドはギター、キーボード、ベース、ドラムという編成で、ギターと鍵盤は非アフリカ系の奏者だ。このハコは演出で背後のカーテンを開閉するが、この日はシャウトするグレイのアップの横顔がのせられた、持ち込みだろうデカい幕が張られていた。
メイシーの雰囲気とは対比的な、愛想良く気安いキブンを振りまく女性バッキング歌手が1曲中央で歌ったあとに、メイシーは登場。ドレスを着て、彼女のトレードマークと言えるだろう羽がたくさんついたストゥールをまとっている。おお、さすがスター、その佇まいだけで、見る者を引き付け、何かを与える。で、歌いはじまると、バンド・サウンドや曲調がロックぽいところがあるナと感じる。とはいえ、その一方では、最初から伸縮性に富んだ曲運びも見せるわけで、ブレイクを臨機応変に入れたり、最初からJBの引用もしたり、ちょいドラム・ソロを入れたり。そういう行き方はR&B(ひいては、ジャズを根に持つ、とも言えるか)でしかありえない。
能面みたいというか、ニコリともせず、あまりアクションも取らず毅然と歌う様は昔から。それゆえ、愛想の良い補助シンガーとはかなりの対照をなす。メイシーはとっても喉に負担がかかりそうな歌い方を取る歌手だが、そんな擦れ気味の高音ヴォイスは多大な個性。で、それを聞きながら、彼女ってプリンス(2002年11月19日)が大好きでそうした歌い方になったんじゃないかとも思えてきて、仕方がなかった。先にロックぽいと書いたが、レゲエ・ビート曲やレゲエの部分採用もいくつか。それゆえ、なんの情報もなしに聞いたら、メイシーのことをUKの歌手なのかと思ってしまったかもしれない。
ショウが終わった後のステージ上(彼女の前にはピンク色のマイク・スタンドが置かれていた)には、ストゥールの羽がいくつも落ちていた。そして、そうした名残りの存在もショウの一部なのだと、思わせる? なことアないが、やはりスタイリッシュな歌手の、いい感じのショウであったのは間違いない。
その後は、南青山・ブルーノート東京で毎年来日している、人気ジャズ・トランぺッター(2009年6月24日)の自己クインテット公演を見る。アルト・サックスとの二管編成。比較的若手のアフリカ系奏者をそろえていて、一応彼らはスーツを着用し、みな坊主頭。ハーグローヴは赤いシャツに赤いポケットチーフで、黒の蝶ネクタイという出で立ち、なり。
結構、ジャズ有名奏者の曲をおいら達ならこう広げるみたいな感じで披露していったか。オリジナル比率は高くなかったはず。いろんな放蕩を経て、もう一度、まっすぐ過去の財産/ハード・バップ様式に対峙すべき、なんて心持ちに彼はなっているのかしら。あ、でもクインテット表現の場合はけっこういつもか。なんにせよ、バランス感覚にも長けた彼は、今回くだけた感じで2曲で歌を披露したりもする。コール&レスポンスの要求もあった。ま、それも過去のジャズにあった娯楽回路回帰と取れなくもなく、歌自体はあまり上手くはないが、変化も出て、うれしい。ぼくが知っている限り、ハーグローヴが歌ったのは、自己ビッグ・バンド公演(2008年9月16日)のときにちゃんとロバータ・ガンバリーニ(2009年4月22日、2010年3月1日)をゲスト・シンガーとして迎えているにも関わらず果敢に披露したのが最初。2010年2月にあったハーグローヴの来日公演は見ていないが、その際はどうだったのだろう?
メイシー・グレイのバンドのドラマーはハンチング帽をかぶり、それを見ながら、やっぱハンチング=ダニー・ハサウェイと想起しちゃうナと思っていたが、ハーグローヴ・バンドのベース奏者もハンチングをかぶっていた。ながら、途中からは、それをウッド・ベースのネックの上端=糸巻きのところにお茶目にのせてずっと演奏。そういう、他愛ないことが、ぼくは好きだ。
<今週の絵>
画家のクラーク志織さんが、『7 人の音楽評論家の肖像展』という個展を先週末からやっている。場所は、神宮前のSaidera Paradiso bldg. 1F。来週月曜(土日はお休み)まで、昼間(~18:00)に開かれている。で、ぼくも7人のなかの一人なんだけど、一番描きやすかったのが高橋健太郎さんで、逆がぼくとか。ま、分かりにくいほうがいい。と、思う、オレ様なワタシであった。→
http://www.shioriclark.com/
メイシーの雰囲気とは対比的な、愛想良く気安いキブンを振りまく女性バッキング歌手が1曲中央で歌ったあとに、メイシーは登場。ドレスを着て、彼女のトレードマークと言えるだろう羽がたくさんついたストゥールをまとっている。おお、さすがスター、その佇まいだけで、見る者を引き付け、何かを与える。で、歌いはじまると、バンド・サウンドや曲調がロックぽいところがあるナと感じる。とはいえ、その一方では、最初から伸縮性に富んだ曲運びも見せるわけで、ブレイクを臨機応変に入れたり、最初からJBの引用もしたり、ちょいドラム・ソロを入れたり。そういう行き方はR&B(ひいては、ジャズを根に持つ、とも言えるか)でしかありえない。
能面みたいというか、ニコリともせず、あまりアクションも取らず毅然と歌う様は昔から。それゆえ、愛想の良い補助シンガーとはかなりの対照をなす。メイシーはとっても喉に負担がかかりそうな歌い方を取る歌手だが、そんな擦れ気味の高音ヴォイスは多大な個性。で、それを聞きながら、彼女ってプリンス(2002年11月19日)が大好きでそうした歌い方になったんじゃないかとも思えてきて、仕方がなかった。先にロックぽいと書いたが、レゲエ・ビート曲やレゲエの部分採用もいくつか。それゆえ、なんの情報もなしに聞いたら、メイシーのことをUKの歌手なのかと思ってしまったかもしれない。
ショウが終わった後のステージ上(彼女の前にはピンク色のマイク・スタンドが置かれていた)には、ストゥールの羽がいくつも落ちていた。そして、そうした名残りの存在もショウの一部なのだと、思わせる? なことアないが、やはりスタイリッシュな歌手の、いい感じのショウであったのは間違いない。
その後は、南青山・ブルーノート東京で毎年来日している、人気ジャズ・トランぺッター(2009年6月24日)の自己クインテット公演を見る。アルト・サックスとの二管編成。比較的若手のアフリカ系奏者をそろえていて、一応彼らはスーツを着用し、みな坊主頭。ハーグローヴは赤いシャツに赤いポケットチーフで、黒の蝶ネクタイという出で立ち、なり。
結構、ジャズ有名奏者の曲をおいら達ならこう広げるみたいな感じで披露していったか。オリジナル比率は高くなかったはず。いろんな放蕩を経て、もう一度、まっすぐ過去の財産/ハード・バップ様式に対峙すべき、なんて心持ちに彼はなっているのかしら。あ、でもクインテット表現の場合はけっこういつもか。なんにせよ、バランス感覚にも長けた彼は、今回くだけた感じで2曲で歌を披露したりもする。コール&レスポンスの要求もあった。ま、それも過去のジャズにあった娯楽回路回帰と取れなくもなく、歌自体はあまり上手くはないが、変化も出て、うれしい。ぼくが知っている限り、ハーグローヴが歌ったのは、自己ビッグ・バンド公演(2008年9月16日)のときにちゃんとロバータ・ガンバリーニ(2009年4月22日、2010年3月1日)をゲスト・シンガーとして迎えているにも関わらず果敢に披露したのが最初。2010年2月にあったハーグローヴの来日公演は見ていないが、その際はどうだったのだろう?
メイシー・グレイのバンドのドラマーはハンチング帽をかぶり、それを見ながら、やっぱハンチング=ダニー・ハサウェイと想起しちゃうナと思っていたが、ハーグローヴ・バンドのベース奏者もハンチングをかぶっていた。ながら、途中からは、それをウッド・ベースのネックの上端=糸巻きのところにお茶目にのせてずっと演奏。そういう、他愛ないことが、ぼくは好きだ。
<今週の絵>
画家のクラーク志織さんが、『7 人の音楽評論家の肖像展』という個展を先週末からやっている。場所は、神宮前のSaidera Paradiso bldg. 1F。来週月曜(土日はお休み)まで、昼間(~18:00)に開かれている。で、ぼくも7人のなかの一人なんだけど、一番描きやすかったのが高橋健太郎さんで、逆がぼくとか。ま、分かりにくいほうがいい。と、思う、オレ様なワタシであった。→
http://www.shioriclark.com/