ギタリストのマイケル・サイモンとキーボードやリズム音などを引き受ける沖啓介、25年前にNYで出会った米国人と日本人が、東京でしばらくぶりに会って組みはじめたインプロ・ユニットがイースト・ブロードウェイ。その単位に米国人と日本人の両親を持つ、チェリストのクリストファー・ギブソンが加わる。渋谷・Li-Po。

 多少は準備/お膳立てがあっての、三者の自由な対話。新鮮な心持ちのもと、楽しんでやっているのが判るのが、いいな。なるほど、ギターを聞けばデレク・ベイリーなどの“王道”をちゃんと通っているのが判るが、オーネット・コールマンのプライムタイムのギタリストのバーン・ニックスは知り合いだったと、前に話したときにマイケルは言っていたっけか。当人達はノイズという説明も加えているようだが、ちゃんとストーリーがある狼藉なので、ぼくには生理的に濁りのないものに聞こえる。だからこそ、エフェクター効果が低いアコースティック・ギターを手にした際に、なんか詩的な広がりを感じ、いいなと感じたのだと思う。

 目茶イケ面のギブソンはイエール大学の大学院生だそうで、クラシックはちゃんと通っているものの、即興ものをやっては間がないとか。だが、どこを弾けばどの音が出るか完璧に会得しており、感性がいいんだろう、かなり堂にいっている。なんかロフト・ジャズ界の敏腕チェロ奏者、アブドゥル・ワダッド(ワドゥードと読むのかもしれない。息子はラヒーム・デヴォーン。2007年6月17日)もさもありなんという音も、彼は出していたからな。

 あと、ほほうと頷き、書き留めておきたいなあと思ったのは、場のヴァイブ。客は女性が多いためもあり、とっても和やか。そして、初めてこの手の演奏に触れる人もいたようで、一切の先入観なしで音を受け止めますという、ニュートラルなノリがあったような。店自体ももともと明るい、開放的な感覚を持っている場所だし、それもプラスに働いているのかもしれない。フリー・インプロヴァイズド系が持つマニアックだったり、先鋭的なのが転じての刺っぽい空気感が皆無。こんな温かナチュラルな情緒が流れる中で、あっち側に行こうとする音に触れるというのもオツなもんではないか。

 そんな3人は、3月14日には西麻布・新世界で演奏。対バンは、田村夏樹+藤井郷子(2010年12月13日、他)と岡部洋一(2010年12月28日、他)のトリオだそう。

<昨日の暖房機>
 「なんか、エアコンの室外機の音が大きくて、夜つかうのに気がねしちゃうんですよ」。飲んでいて、そう発言の者あり。それを発端に話は進み、室外機を室内に置いたらどーなるかという話題に突入する。おそらく、室内に置いても、使えなくはないのではないか。夏にモワっとした熱風が室外機から排出されるように、暖房の冬場は逆に冷たい空気が出るかもしれないが、室内が温まればあったかくなるようになるだろうし、電気代節約にもなるんじゃねえのと、盛り上がる。で、今から行って、皆で移設してあげるよと、無謀な結論に落ち着く。学生の時に、エアコン設置のアルバイトしてましたという奴もいたし。「いや、電気ヒーター買いますから、買わせてください」と、当の発言者は泪目なり。飲んでる時は楽しく話が進んだのだが、文字に直すとあんまし面白くないな、、、。