音楽の世界/癖あるミュージシャンとの付き合いもいろいろ持つ山本政志監督の新作「スリー・ポイント」試写を、渋谷・アップリック・ファクトリーで見る。そのタイトルは、異なる場所で撮られた異なる様式を持つ、3つの塊を組み合わせていることから来るようだ。一つは京都で撮影したもので、京都で活動するヒップホップの担い手たちの一コマをその音楽性やキャラクターを活かしつつ、ヤヴァくもいい感じでフィクション化して描いたもの。それと、映画中で交錯するように出てくる沖縄編は沖縄の4カ所で出会った、人間臭い人達と(監督と)のやりとりを収めたドキュメンタリー。やっぱ、別な環境があるよな。そして、後半の半分ぐらいを締めているのが、ちゃんと脚本があり役者を立てて撮った通常の映画(って、変な書き方だけど)。居場所のない男女の現代的風景を描く、とでもなるか。

 力ワザというか、見事に定石外し。フィールド・ワーク音と卓録とちゃんとスタジオ・ミュージシャンを雇って録ったものを、勢いで1枚のコンピ盤にしちゃったような映画、とも言えるか。ちょい東京編は他の二つから少し乖離しちゃっているが、行き当たりばったりな先にある、勘や趣味の良さ、なんか引かれる手触りがあるのは確か。とともに、それは、メインストリームの外を自分の足できっちり歩いてきた者ならではの視点ありきな、現代形而上のカットアップとなっているはず。それから、音楽の使い方はやはりセンスがいい。5月7日から京都シネマ、中旬から渋谷・ユーロスペース他で公開される。

<今日の工事>
 道路を挟んだ建物の解体が始っており、うるさい。8時から、きっちり作業しているもんなあ。ザクザクザク、ガタガタガタ、ガーガーガアっ。とか、工事音を書き留めたら、往年の南部ソウルのかけ声/擬音を書き留めているようなキブン? 一瞬だけサイバーソウルマンの気分になりました。と、それは嘘だけど。