昨日もそうだが、昼間は本当にいい天気。風がないせいもあり、夜もそれほど寒さを感じない。丸の内・コットンクラブ。セカンド・ショウ、見事な入り。出演者のアダムスは、ホテルのラウンジでピアノ弾き語りしているところをUK人気ポップ・デュオであるティアーズ・フォー・フィアーズのローランド・オーザバルに見いだされて90年にアルバム・デビューした、アフリカ系のMORぽい味も持つシンガー・ソングライター(62年、シアトル生まれ)だ。過去、何度か来日しているはずだが、ぼくは今回初めて見る。
ピアノを弾きながら歌う彼女を、ギター、電気ベース、ドラムがサポート。ドラムは黒人(旦那さんだそう)だが、ギターは白人で、ベースはラテン系。その風情を見ても、一般的なソウル系のサポート・バンドとは離れる風情を持ち、アダムスが抱える味を映し出すか。ピアノを弾きながら歌う彼女に寄り添うリズム音はそこそこ強靭。しっとりしたバラード系が得意な人という印象を持っていたので、それには意外な思いを得る。で、ほとんどの曲ではドラマーが横においたラップトップを用い、キーボード音やコーラス音などを同期させて出す。確かに、そのほうが曲表層の完成度は高まるのかもしれない。だが、ぼくはCDを聞きにではなく、生のパフォーマンスに触れにきているのダ……それは、行為者の“顔”を直接に受ける場であるライヴたる美点を消す方向にはつながらないか。ましてや、この日の彼女たちは十分に“あるがまま”なものだけで、受け手の耳をちゃんと引き付ける力を持っていたのだから。彼女の地声の朗々としていて、確かなこと。もう、それは事前の想像を遥かに超えるものであり、お金が取れるものだと思った。曲間でのアダムスのMCやちょっとした仕草はとってもおきゃんというかアメリカン的にサバけていて、へえ〜。同期音も交えたがっつり路線はそんな彼女の風情とは合うものかもしれないが。でも、一曲弾き語りでやったスロウは良かった。それから、フェイクをかましながらしっとり開いた「ニューヨーク・ステイト・オブ・マインド」(ビリー・ジョエル曲)や自身のヒット曲「ゲット・ヒア」(ブレンダ・ラッセル作で、いまや準ポップ・スタンダートとなっている?)もひたれました。
実は、奏者紹介を聞いてから、少し落ち着かなくなったりも。ベーシストは西海岸の有名スタジオ系奏者のジョン・ペーニャというのは弾き口で納得だが、端正な顔をした中年ギタリストはポール・ピーターソンと紹介されたのだ。なぬ、ベン・シドラン(2009年5月23日、他)との付き合いでも知られるビリー(ベース)、リッキー(キーボード、プロデュース)の弟か、もしや。知る人ぞ知る音楽兄弟の末弟である彼(基本、マルチ・プレイヤー)は80年代中期に十代にしてザ・タイムに一時加入した後、プリンスのペイズリー・パーク・レーベルからザ・ファミリーという化粧系バンドでデビューし、その後もセイント・ポールという名前で(それは、ピーターソン兄弟の生まれた都市名で、ミネアポリスの双子都市となる)アトランティックやMCAからリーダー作を出していた人。ザ・ファミリーの看板娘のスザンナ・メルヴォアン(ヴォーカル)の双子の姉妹はプリンスのザ・レヴォールーションのメンバーだったウェンディ&リサのウェンディですね。けっこう、バック・コーラスもし器用にギターも弾く優男おっさんは果たして、あのかつての美青年セイント・ポールなのか。そんなギモンが頭のなかで渦巻き、そわそわしちゃった。なんとなく、6割強の可能性でイエスであると、ぼくはふみました。
ピアノを弾きながら歌う彼女を、ギター、電気ベース、ドラムがサポート。ドラムは黒人(旦那さんだそう)だが、ギターは白人で、ベースはラテン系。その風情を見ても、一般的なソウル系のサポート・バンドとは離れる風情を持ち、アダムスが抱える味を映し出すか。ピアノを弾きながら歌う彼女に寄り添うリズム音はそこそこ強靭。しっとりしたバラード系が得意な人という印象を持っていたので、それには意外な思いを得る。で、ほとんどの曲ではドラマーが横においたラップトップを用い、キーボード音やコーラス音などを同期させて出す。確かに、そのほうが曲表層の完成度は高まるのかもしれない。だが、ぼくはCDを聞きにではなく、生のパフォーマンスに触れにきているのダ……それは、行為者の“顔”を直接に受ける場であるライヴたる美点を消す方向にはつながらないか。ましてや、この日の彼女たちは十分に“あるがまま”なものだけで、受け手の耳をちゃんと引き付ける力を持っていたのだから。彼女の地声の朗々としていて、確かなこと。もう、それは事前の想像を遥かに超えるものであり、お金が取れるものだと思った。曲間でのアダムスのMCやちょっとした仕草はとってもおきゃんというかアメリカン的にサバけていて、へえ〜。同期音も交えたがっつり路線はそんな彼女の風情とは合うものかもしれないが。でも、一曲弾き語りでやったスロウは良かった。それから、フェイクをかましながらしっとり開いた「ニューヨーク・ステイト・オブ・マインド」(ビリー・ジョエル曲)や自身のヒット曲「ゲット・ヒア」(ブレンダ・ラッセル作で、いまや準ポップ・スタンダートとなっている?)もひたれました。
実は、奏者紹介を聞いてから、少し落ち着かなくなったりも。ベーシストは西海岸の有名スタジオ系奏者のジョン・ペーニャというのは弾き口で納得だが、端正な顔をした中年ギタリストはポール・ピーターソンと紹介されたのだ。なぬ、ベン・シドラン(2009年5月23日、他)との付き合いでも知られるビリー(ベース)、リッキー(キーボード、プロデュース)の弟か、もしや。知る人ぞ知る音楽兄弟の末弟である彼(基本、マルチ・プレイヤー)は80年代中期に十代にしてザ・タイムに一時加入した後、プリンスのペイズリー・パーク・レーベルからザ・ファミリーという化粧系バンドでデビューし、その後もセイント・ポールという名前で(それは、ピーターソン兄弟の生まれた都市名で、ミネアポリスの双子都市となる)アトランティックやMCAからリーダー作を出していた人。ザ・ファミリーの看板娘のスザンナ・メルヴォアン(ヴォーカル)の双子の姉妹はプリンスのザ・レヴォールーションのメンバーだったウェンディ&リサのウェンディですね。けっこう、バック・コーラスもし器用にギターも弾く優男おっさんは果たして、あのかつての美青年セイント・ポールなのか。そんなギモンが頭のなかで渦巻き、そわそわしちゃった。なんとなく、6割強の可能性でイエスであると、ぼくはふみました。