リチャード・ボナ。ジョン・アバークロンビー・オルガン・トリオ
2010年2月5日 音楽 ぼくがボナを東京で見る(2000年12月6日、2002年1月9日、2002年9月14日、2002年12月14日、2004年12月15日、2006年2月16日、2008年10 月19日)のは、8回目となるのか。六本木・ビルボードライブ東京、ファースト・ショウ。
今回の来日公演同行奏者(皆、軽々という感じで演奏する)は、キーボード、ギター、ドラム、トランペット、トロンボーン。毎度、奏者の(散っている)出身地を紹介するボナだが、ぼくが見た会はしなかったな。二人の管楽器奏者を擁するのは初めてのことで、その二人はセクション音を加えるだけでなく、曲によってはそれぞれソロ・パートを与えられる。ということに表れているように、今回のパフォーマンスは多少ジャズ/フュージョンのフォーマットを強めたと言えるのか。やはり、彼にはフュージョン系愛好者がまず多いと思われ、それは歓迎されたはず。だが、その一方で彼の豊かにしてしなやかなヴォーカルは全開、恒例のジャコ・パストリアス偏愛表明のウェザー・リポート曲カヴァー披露を除いては、すべてしっかりと歌う。歌とベースの噛み合いが、気持ちいい。そして、巧者のドラマーとの噛み合いも同様に。ボナとドラマーのデュオ演奏だけでも、間違いなく聞き手をぐぐいと引き込むはず。そして、アンコールは前回来日時に見せたような、機材を用いての一人多重ヴォーカル表現。才と気持ちが有機的に絡まる様は何度ふれても、すごいなと思わせられますね。
つづいて、丸の内・コットンクラブで、ずっとECMレーベルとの関わりを持っている在NYのヴェテラン・ギタリストであるジョン・アバークロンビーのギグを見る。オルガン奏者(アバンクロンビーの同編成アルバムで弾いているダン・ウォールではなく、スティープル・チェイスやクリス・クロスからリーダー作を出しているゲイリー・ヴェルサーチ)とアバークロンビーとは何かと仲良しなドラマーのアダム・ナスバウム(80年代はジョン・スコフィールドや故ギル・エヴァンスに気に入られましたね)を率いてのものだったが、接していてため息が出たな。
みんな腹6.9分目という感じの力が抜けた演奏をするのだが、ジャズの言葉にならない妙味/凄さと個の技量/音楽観をちゃんと伝えるパフォーマンスを披露。60年代半ばという年齢よりも老けて見えるかも知れないクロンビーさん、綻び感覚やはみ出し感覚を抱えつつ滑らかな部分も持つソロ演奏時はもちろんいい感じだが、オルガン・ソロのバッキングのときの押さえ方も面白すぎ。その間(ま)の取り方とハーモニー感覚に頭をたれる。唯一40代でやたら鼻の高いヴァセイシの演奏も触れられてよかったという妙味を持つ。もう、それは完全に黒人オルガン・ジャズ奏法の文脈から離れて、チロチロ青白い光を照射するような手触りを持っていて。1曲では、プログ(レッシヴ)・ロックの愛好者がとってもニッコリしそうな感覚を持つ演奏を、彼は聞かせた。
演奏曲はスタンダードや自作などいろいろ。1曲、オーネット・コールマン曲(「ラウンド・トリップ」と言っていたか)を演奏したが、そのときはアバンクロンビーの弾き味に少しジェイムズ・ブラッド・ウルマーを思い出す。それ、順当かな。だって、コールマンのハーモロディクス理論の筆頭免許皆伝ギタリストがウルマーだったわけだから。そして、アバーンクロンビーがコールマン曲をちゃんと理解した演奏をするならウルマーと近付くのは当然ではないか。ああ、コールマン〜ウルマー周辺の音に燃えまくった大学生時代がなつかしい。そして、その流れを括り紹介しようとして4社から90年代上半期に出した『フリー・ファンク』というコンピレーションも……。
今回の来日公演同行奏者(皆、軽々という感じで演奏する)は、キーボード、ギター、ドラム、トランペット、トロンボーン。毎度、奏者の(散っている)出身地を紹介するボナだが、ぼくが見た会はしなかったな。二人の管楽器奏者を擁するのは初めてのことで、その二人はセクション音を加えるだけでなく、曲によってはそれぞれソロ・パートを与えられる。ということに表れているように、今回のパフォーマンスは多少ジャズ/フュージョンのフォーマットを強めたと言えるのか。やはり、彼にはフュージョン系愛好者がまず多いと思われ、それは歓迎されたはず。だが、その一方で彼の豊かにしてしなやかなヴォーカルは全開、恒例のジャコ・パストリアス偏愛表明のウェザー・リポート曲カヴァー披露を除いては、すべてしっかりと歌う。歌とベースの噛み合いが、気持ちいい。そして、巧者のドラマーとの噛み合いも同様に。ボナとドラマーのデュオ演奏だけでも、間違いなく聞き手をぐぐいと引き込むはず。そして、アンコールは前回来日時に見せたような、機材を用いての一人多重ヴォーカル表現。才と気持ちが有機的に絡まる様は何度ふれても、すごいなと思わせられますね。
つづいて、丸の内・コットンクラブで、ずっとECMレーベルとの関わりを持っている在NYのヴェテラン・ギタリストであるジョン・アバークロンビーのギグを見る。オルガン奏者(アバンクロンビーの同編成アルバムで弾いているダン・ウォールではなく、スティープル・チェイスやクリス・クロスからリーダー作を出しているゲイリー・ヴェルサーチ)とアバークロンビーとは何かと仲良しなドラマーのアダム・ナスバウム(80年代はジョン・スコフィールドや故ギル・エヴァンスに気に入られましたね)を率いてのものだったが、接していてため息が出たな。
みんな腹6.9分目という感じの力が抜けた演奏をするのだが、ジャズの言葉にならない妙味/凄さと個の技量/音楽観をちゃんと伝えるパフォーマンスを披露。60年代半ばという年齢よりも老けて見えるかも知れないクロンビーさん、綻び感覚やはみ出し感覚を抱えつつ滑らかな部分も持つソロ演奏時はもちろんいい感じだが、オルガン・ソロのバッキングのときの押さえ方も面白すぎ。その間(ま)の取り方とハーモニー感覚に頭をたれる。唯一40代でやたら鼻の高いヴァセイシの演奏も触れられてよかったという妙味を持つ。もう、それは完全に黒人オルガン・ジャズ奏法の文脈から離れて、チロチロ青白い光を照射するような手触りを持っていて。1曲では、プログ(レッシヴ)・ロックの愛好者がとってもニッコリしそうな感覚を持つ演奏を、彼は聞かせた。
演奏曲はスタンダードや自作などいろいろ。1曲、オーネット・コールマン曲(「ラウンド・トリップ」と言っていたか)を演奏したが、そのときはアバンクロンビーの弾き味に少しジェイムズ・ブラッド・ウルマーを思い出す。それ、順当かな。だって、コールマンのハーモロディクス理論の筆頭免許皆伝ギタリストがウルマーだったわけだから。そして、アバーンクロンビーがコールマン曲をちゃんと理解した演奏をするならウルマーと近付くのは当然ではないか。ああ、コールマン〜ウルマー周辺の音に燃えまくった大学生時代がなつかしい。そして、その流れを括り紹介しようとして4社から90年代上半期に出した『フリー・ファンク』というコンピレーションも……。