場所は、赤坂・草月プラザ。地下にあるホールには公演が持たれるためたまに行っているが、その上部にあるほうには初めて行く。イサム・ノグチによる“天国”と名付けられた石庭が立体的に広がるなかなか大きな吹き抜け空間。へえ、こんなものが、丹下健三設計のこのガラス張りの建物にはあったのか。いけばなの草月流の総本山ゆえ、そこに生け花派生のオブジェもおかれ(ていたと思う)、そのなかでアイルランド/英国勢が、その空間を活かす形でパフォーマンスするという出し物。アヌーナやサム・リーらがこの秋にプロモーション来日した際に草月と関係ができ、今回こういう催しが企画されたという。来場者は場内の様々な場所に座る。場内では、シャンパンや白ワインが提供された。

 日本人だってへえと思うのだから、外国人だと余計にこの場にはいろんな感慨を覚えるだろうな。基本はアヌーナ(2007年12月15日、2009年12月12日、2011年12月7日、2011年12月10日)のパフォーマンスをベースとして、適所でオメンリー(1999年9月23日、2000年10月3日、2001年7月28日、2009年5月20日、2011年12月6日、2011年12月7日、2011年12月10日、2011年12月12日)やサム・リー(2013年6月20日、2014年9月22日)が出張る。もちろん、ノーPAの生声による。月並みになるが、場と音楽という項目について、いろいろと考えました。

▶過去の、アヌーナ
http://43142.diarynote.jp/200712161423560000/
http://43142.diarynote.jp/201001051620426983/
http://43142.diarynote.jp/201112171633334584/
http://43142.diarynote.jp/?day=20111210
▶過去の、オメンリー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/september1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-10.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-7.htm(フジ・ロック、ホット・ハウス・フラワーズ)
http://43142.diarynote.jp/?month=200905
http://43142.diarynote.jp/201112171632304826/
http://43142.diarynote.jp/201112171633334584/
http://43142.diarynote.jp/?day=20111210
http://43142.diarynote.jp/201112191500441741/
▶過去の、リー
http://43142.diarynote.jp/201306241438288191/
http://43142.diarynote.jp/201409261634155792/

 その後、一息おいて、丸の内・コットンクラブ。カナダ人シンガー/ピアニスト(2008年1月24日、2008年6月1日、2012年3月22日)に、縦ベーシストとドラマーがつく形での公演。過去見た所感を超えるものはなかったが、人間性の良さも伝わる、手触りの良いパフォーマンスを披露。ショウのオープナーとクローザーはスタンダードだった。ベーシストが立った演奏音を出していて、ぼくの好みと思う。彼は弓弾きをするときもあったが、そのときは少し音程が悪いとも思ったか。弓弾きって、こわいな。とともに、この前聞いたアトラスの小林真理子(2014年11月21日)のアルコ演奏はとても音程が正確だったんだなとふと記憶がフラッシュ・バック。

▶過去の、ビアリ
http://43142.diarynote.jp/?day=20080124(スザンヌ・ヴェガ)
http://43142.diarynote.jp/200806030205120000/
http://43142.diarynote.jp/201203260806009239/
▶過去の、小林
http://43142.diarynote.jp/201410251052527799/
http://43142.diarynote.jp/201411221353274586/

<今日の、発見>
 アタマのほう、終演後にアフター・パーティがあり。今回オメンリーは8歳だかの娘を連れて来ているが、ぜんぜん物怖じしない娘(それは後日、クアトロのショウでより露に)。ペマという名前で、それはチベットの名前とかオメンリーは言っていたっけ。なるほど、この娘のため、彼は早起きだったのね(http://43142.diarynote.jp/201112171632304826/ 参照)。アヌーナは今回過去とは一新する構成員のもと来日。この10月にリーダーのマイケル・マクグリンに話をきいたとき、よりデカい声を求めてアイルランド外に人材を求めたと言っていたが、先日のアイルランド大使公邸のパーティで何人かのメンバーと話したら、けっこうアイルランド人もいたのにはあれれ。メンバーのなか、一番デカいのはデキサス在住の米国人だ。この晩ちょい話したとても品行方正そうな男性シンガーはまだ19歳だそう。彼もアイルランド人だそうだが、今はロンドンに居住し、BBC他のために“プロフェッショナル・シンガー”(と、本人は強調)として活動しているという。うう、オレの19歳のころと言えば。。。。

トム・ベイリー

2014年12月1日 音楽
 1980年代に活躍したUKニュー・ウェイヴ・ポップのトンプソン・ツインズのフロント・マンの公演を、六本木・ビルボード東京(ファースト・ショウ)で見る。その全盛期は優男白人と女性と少し肌の濃い人の3人組で、ベイリーにはプロデューサー・クレジットもついていたりしたはずだ。1990年代初頭にグループは解散し、ベイリーはトンプソン・ツインズ表現を忘れ、また基本ニュージーランド拠点で、ダブやインド風味フュージョン(それらは総じて、ラリったとき吉と出るチル・アウト音楽と理解していいのだろうか。それは、開演前にステージに出て来たメネージャーの弁による)など作っていたそうだが、今年ハワード・ジョーンズ(2012年2月6日)の誘いで米国ツアーをやったことで、“こっち側”に戻ってきたようだ。来日は四半世紀ぶりと言っていたっけ?
 
 演目はずべて、トンプソン・トゥインズ曲か。新たに作り直しただろうトラック(オープナーには、途中でインド風がインサートされていた)とともに、かつての面影はゼロの悠々感を持つおっさんはヘッドセットをつけてサーヴィス満点に動きながら歌い、ときに鍵盤やギターやタンバリンも手にする。歌声は30分でヘロったが、四つ打ち調シンセ・ポップ曲はまだ色あせず。と、思えた。彼はけっこう背後に流す映像も用意していて、ちゃちいのもあったが、歌詞とかをうまく出すやつは何気に感心。

 プリセットの音を補完するノリで、女性3人のバック・バンド(キーボード2、ドラム)がつくのだが、それがいい。音的にではなく、見かけ的に。3人ともバック・コーラスを付ける風情も良いし、ポップ・ミュージックとしてもその設定は輝く。ぼくは、ドラマーのルックスにけっこうウキキでありました。とかなんとか、ポップ・ミュージックをポップ・ミュージックたらしめる鍵のようなものを彼はちゃんと知っているし(ポップ・ミュージックの世界から離れていたからこそ?)、ちゃんとプロとしてそれをまっとうしていた。

▶過去の、ジョーンズ
http://43142.diarynote.jp/201202091203275169/

<今日の、お祝い>
 ビルボードライブ東京の後、青山・プラッサオンゼに回る。中原仁さんの還暦パーティ。現在の日本におけるブラジル音楽愛好盛況を導いた、最たる人ですね。なんか、来ている人がみんな楽しそうだったのが、とても良かった。それも、<楽しむことを知っている、永遠のシティ・ボーイ>たる中原さんの人柄ゆえか。同じ沿線の若い知人が電車なくなるよと声をかけてくれなかったら、朝までコースになっちゃった? 

 ボサノヴァの神(とかいう形容は好きじゃないが、そう言ってもいいほどすごいよナ)的パフォーマーであるジョアン・ジルベルト(2003年9月12日)の娘さん(お母さんはシンガーのミウシャ)の公演は、南青山・ブルーノート東京(セカンド・ショウ)にて。今年出たソニーのジャズ・レーベルからリリースされた新作『トゥード』はマリオ・カルダードJr.やカシン(2001年5月18日、2006年6月27日、2007年7月25日)らが制作者についたボッサ・ビヨンド・ポップ作で、それをフォロウする実演と言っていいだろう。

 サポートは、キーボード、ギター/ベース(東京在住と紹介されたマサ・シミズで、かつて米国に住んでいたときからベベウのサポートをしていたよう。じっさい、彼はうまく他の伴奏陣と重なり合っていた)、バリトン・サックスやフルートやギター、ドラムという4人編成。なかなか巧みに、生の場で新作の音を開いていたのではないか。

 1966年生まれの当人はとっても明るく、屈託ないように見える。お客に笑顔で両手を広げてパフォーマンスしていたとも書けるか。そこらへん、偏屈であると言われる父親のことを考えると、拍子抜けしちゃうか。アルバムは基本寒色系のトーンでまとめられていたが、そうした振る舞いもあって、実演は淡いながらも暖色系の色が入っていた。彼女の歌はアルバムからも想像がつくように上手ではないが、ある種の風情を持つ。歌詞は、英語とポルトガル語の両方で歌う。新作でオリジナルに交えて取り上げていたニール・ヤングの「ハーヴェスト・ムーン」も披露し、ドラマーが巧みに扱うタブラ音も効いたそれはとくにいい感じ。実は彼女、ロック愛好家だったりして……。そんなにインスト部は長くなかったと思われるのに、90分を遥かにこえる時間をやっていたのはないか。

▶過去の、ジョアン・ジルベルト
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-9.htm
▶過去の、カシン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-5.htm
http://43142.diarynote.jp/200607041834300000/
http://43142.diarynote.jp/200708051738450000/

<今日の、含嗽>
 週末にして、月末。この週のあたまはかなり寒くて盛り下がったが、昨日今日はそれほど寒くない。この冬はエルニーニョ現象のため暖冬になるというニュースが報じられてもいるが、そうだといいナ。スキーに無中になっていたときは12月に入ると降雪状況にそわそわし、早くもっと寒くならないかと思ったりしていたんだよなー。……特に書きたいことも思いつかず、なんか無味乾燥なこと書いていると自覚しつつ、この一文を書いてマス。そういえば、今年はまだそれほど乾燥は感じていない。帰宅時のうがいはしっかりするようになってはいるものの。
 この晩のブルーノート東京の出し物は、都会派であることと音楽的好奇心や地に足をつけた態度を違和感なく交錯させられる日本人3人が出演するもの。歌とギターの高野寛(2006年6月27日、2007年8月11日)。歌の畠山美由紀(2007年3月11日、2009年3月31日、2009年4月4日、2012年7月16日、2014年8月27 日)、歌とギターのおおはた雄一(2007年3月11日、2009年4月4日、2009年11月1日、2011年4月24日、2011年5月21日、2012年7月16日、2013年2月19日、2013年4月13日)、出演者はこの3人だけ。素で重なる、という言い方もできるのか。畠山+高野+おおはた、おおはた一人、おおはた+高野、高野一人、畠山と高野とおおはた、とか、いろいろな組み合わせでショウはなされた。

 東京においてのこの3人の組み合わせは初めてのようだが、地方ではやったことがあるよう。というのはともかく、それぞれの音楽的な魅力や人間性を認め合っているのが伝わってきますね。演目はそれぞれのオリジナルが主に披露されたのか。畠山の新作『歌で逢いましょう』は昭和歌謡曲/演歌のカヴァーだが、そこからは自作のタイトル曲を披露。何気に、いい曲だと思う。今年、モレーノ・ヴェローゾ(2001年5月18日、2006年6月27日、2007年7月25日、2011年10月15日。彼は2008年夏にプラッサ・オンゼで録られたライヴ盤で自作やブラジル曲に加え、高野曲も取り上げている)の制作でブラジル録音をした高野はブラジルのスタジオでおおはたを知っているかと、問われたそう。近年今様ブラジル人アーティストとの絡みが多いジェシー・ハリス(2001年12月21日、2005年9月7日、2006年1月23日、2006年4月22日、2007年3月11日、2009年3月31日、2010年10月10日、2011年8月6日、2012年7月16日、2013年5月26日)を通して、おおはたの名が現地でも語られているようだ。かつておおはたと畠山はそれぞれにハリスとの共演アルバムをと作っている。というわけで、その三者の奥にはジェシー・ハリスがいる?

▶過去の、高野
http://43142.diarynote.jp/200607041834300000/
http://43142.diarynote.jp/200708161531410000 GANGA ZUMBA
▶過去の、畠山
http://43142.diarynote.jp/200703130418360000/
http://43142.diarynote.jp/200904040640421651/
http://43142.diarynote.jp/200904120632543345/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120716
http://43142.diarynote.jp/201408301136411048/
▶過去の、おおはた
http://43142.diarynote.jp/?day=20070311
http://43142.diarynote.jp/200904120632543345/
http://43142.diarynote.jp/200911021429368036/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110424
http://43142.diarynote.jp/?day=20110521
http://43142.diarynote.jp/?day=20120716
http://43142.diarynote.jp/201302201720351212/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130413
▶過去の、モレーノ・ヴェローゾ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-5.htm
http://43142.diarynote.jp/200509130315380000/
http://43142.diarynote.jp/200607041834300000/
http://43142.diarynote.jp/200708051738450000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20111015
▶過去の、ハリス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-12.htm
http://43142.diarynote.jp/200509130315380000/
http://43142.diarynote.jp/200601271859050000/
http://43142.diarynote.jp/200604251252010000/
http://43142.diarynote.jp/200703130418360000/
http://43142.diarynote.jp/200904040640421651/
http://43142.diarynote.jp/201010111257003810/
http://43142.diarynote.jp/201108101632022013/
http://43142.diarynote.jp/201207180824136323/
http://43142.diarynote.jp/201305280925006733/

 その後は、六本木・ビルボードライブ東京に回り、アース・ウィンド&ファイア(2006年1月19日、2012年5月17 日)の全盛期を支えた左利きギタリスト(2008年3月21日、2011年9月15日、2012年9月12日、2012年12月28日)率いる、E.W.&F.曲を聞かせる大型バンドの公演を見る。本人に加え、男性ヴォーカル3人、管楽器4人、キーボード2人、ベース、ドラム、パーカッションという13人編成。出音は大きめ、全員で楽器音や肉声を出すとキーボードの音が聞こえにくくなったが、音質は善戦していたと思う。E.W.&F.曲の再現を求めるという、意地悪な書き方をすれば大志のないグループなのであるが、あの黄金の素材をこれだけまっとうにおし出せれば、それは上質きわまりないエンターテインメントになるし、もう鼓舞され、浮かれるしかない。

▶過去の、E.W.&.F.
http://43142.diarynote.jp/200601271855390000/
http://43142.diarynote.jp/201205301252113538/
▶過去の、マッケイ
http://43142.diarynote.jp/200804030045430000/
http://43142.diarynote.jp/201109171048385669/
http://43142.diarynote.jp/201209191235365909/
http://43142.diarynote.jp/201301051329276221/
 
<今日の、果物>
 最後に寄ったバーで、岐阜県産の富有柿をいただく。でけえ。ラッピングされていて、その様はハンバーガーみたい。付け合わせ的なものは食べたかもしれないが、今年はまだちゃんと柿をがぶりと食していないはず。遅ればせながら秋を感じました。紅葉はまだせっしておらず。え〜っん。

 カンボディア人女性シンガーが成人後に米国に渡り、米国人男性たちと組んだバンドがデング・フィーヴァー(2007年10月24日)だ。その味にせよ、見た目にせよ、インパクトは大。実は直近まで彼らが来日する事も知らず、バンド名もちゃんと覚えていなかったが、その写真を見たとたん、2007年にセビーリャのWOMEXで見たときの所感がもわもわと蘇ってきたのだから、これはなにかと個性的なバンドであるのは間違いない。

 2007年にぼくが見たときに得た所感は、小さなアジア女性が張りや艶やかさを持つ癖ある歌声を出し、それをロック・バンド編成のバンドがいなた〜くサポートするというもの。言葉はクメール語をもちい旋律の多くもカンボディア基準を持って来ているようであったが、ぼくはそんな彼女たちを見て、エチオピアン歌謡から得るような感興も得てしまったのだった。とにもかくにも、彼らが送る臭みや濃さはそうとうなものがあった。

 青山・月見ル君思フ。初来日で、日本公演はこの晩だけらしい。まさに、満場。ヴォーカル、ギター、ベース、管楽器(テナー・サックスを中心に、ポケット・トランペットやフルートも手にする。一部はエフェクターを通す)、キーボード、ドラムという編成(顔ぶれは、少し変わったのかな?)でパフォーマンスをはじめるが、いい感じ。かつて覚えた正の所感をまんま保っており、こりゃやっぱ好バンドだとすぐに痛感。女性歌手の歌声は誘うし、バンドはアメリカ拠点らしく、ちゃんとしてもいる。ぼくは一切情報を得ていなかったので、いまだちゃんと活動をしているという事実にも驚いた。彼女たちはLAをベースとしているようだが、楽に行くのが美徳でビジネスライクなLAでよくもバンドは続いているよなとも思っちゃう。

 ときに、日本のブループ・サウンズを思い出させる曲もあり、なんとなく英国ニュー・ウェイヴ期の2トーン勢の笑いの感覚と親和するような曲もあり。女性シンガーがちょいラップを繰り出したときもあり。英語曲もあり。キーボードによるオルガン音がより聞こえるときは、その音はケン・ヘンズレー/ユーライア・ヒープみたいとも思ったか。1970年あたまに相当な人気を集めたユーライ・ヒープも妙な臭みをたっぷり持つオールド・ウェイヴな英国ロック・バンドであった。

 グっと来させる、見所と質を持つパフォーマンス。見た目もけっこうアトラクティヴだし、デング・フィーヴァーが日本のワイド・ショウに出たら、それなりに話題を呼ぶのではないか。

▶過去の、デング・フィーヴァー
http://43142.diarynote.jp/200711080718230000/

<今月の、悲しみ>
 ずっと金髪にしていたが、ドクター・ストップならぬ美容師ストップがかかり、今月中旬にパツキンをやめた。黒毛の日本人がそれを維持するためには美容室に行くたびに2回の脱色(これが、髪の毛を傷ませる)と1回の色染めが必要となるのだが、今回脱色すると痛んだ髪の毛が切れてしまうかもと美容師から指摘されてしまった次第。確かにけっこうボロボロで、この夏の抜け毛量はハンパなかった。ずうっと金髪にしている人、髪質強いんだな〜。金髪は評判がよくて(待ち合わせしたときすぐに分る、とか)、本人も気にいっていたんだが、当分は黒基調のワタシなり。3年後ぐらいに、また期間限定でやってみようかにゃ。黒くなった髪を見ても無反応の人も少なくないが、構われたいぼくはなんかコメントを出してくれたほうがうれしい。とともに、ぼくも(よほど、失敗していると思ったとき以外は)他人にもするべきだと思った。

 丸の内・コットンクラブで、現ニューオーリンズ・ファンクのNo.1ドラマーであるスタントン・ムーア(2000年8月13日、2000年12月7日、2001年10月13日、2002年7月28日、2004年2月5日、2007年12月11日、2010年3月29日、2012年7月27日、2012年7月30日、2013年1月30日、2014年10月28日)のジャズ・ピアノ・トリオを見る。

 ギャラクティックを長年続けるかたわら、スター・ドラマーらしく数作のソロ作も出している彼だが、このトリオは彼がジャズ表現にのぞんだ2014年新作『カンヴァセイションズ』(ザ・ロイヤル・ポテト)と同じ顔ぶれによるもの。

 1956年生まれのデイヴィッド・トウカノウスキー(ピアノ)、1955 年生まれのジェイムズ・シングルトン(ベース)、1972年生まれのムーア(ドラム)の3人は、皆ネクタイ着用(下はジーンズだったり、派手なパンツだったり)。シングルトンとムーアは間違いなくニューオーリンズ生まれ。トカノウスキーの生誕地は不明だが、彼の1988年ラウンダー発『Steppin’ Out』はニューオーリンズ・ジャズ界の元締め的存在であるエリス・マルサリス(2012年9月8日)がライナーノーツを書いていたりもするので、ニューオーリンズで音楽教育を得ているのは間違いないと思われる。トウカノウスキーにせよシングルトンにせよ、ジャズ以外のレコーディングにも関わっていて、トカノウスキーはアーロン・ネヴィル(2004 年9月18日、2012年5月14日)やジョージ・ポーターJr.(2007年2月2日、2007年2月4日、2008年8月12日、2009年7月25日、2014年1月17日)やアーマ・トーマス(2011年12月1日)ら、シングルトンはジョニー・アダムス、シャーメイン・ネヴィル(2007年2月6日)、ザ・ホームズ・ブラザーズ(2004年9月18日)らニューオーリンズ/南部在住者の作品に入っている。

 モンク曲からオリジオナルまで。初っぱから立ったドラム演奏(ドラム・キットのセッティングは普段のファンクもの演奏時と少しかえていたかな?)をフィーチャーする部分を持ち、さすがはドラマーがリーダーの公演であると思わせるし、ムーアの叩き口ゆえにニューオーリンズのトリオであることを意識させる。そんなわけなので、少しまっとうではないピアノ・トリオであり、デコボコした表現が送り出されたと、説明できますね。ピアノ演奏はわりとフツーだが(ちょい性格悪そうな感じが出るのが少しイヤ)、ベースもまたときに暴れた指さばきを繰り出す。実は、そのシングルトンのリーダー・アルバムの数はスタントンのそれよりも多い。ハネた曲よりもしっとりした曲のほうが何気に妙味が出ているような気に、ぼくはなったかも。最後の曲はニューオーリンズのパレードをすぐに想起させるタンバリンの独奏から始まり、途中までは右手にタンバリンをスティック代わりに持って、ムーアはドラムを叩いた。

▶過去の、ムーア
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-8.htm ギャラクティック(バーク・フェス)
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-12.htm ギャラクティック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-10.htm ギャラクティック(朝霧ジャム)
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-7.htm  触れていないが、ギャラクティックで出演し、ジョージ・クリントンが飛び入り
http://43142.diarynote.jp/?day=20040205
http://43142.diarynote.jp/200712161021270000/
http://43142.diarynote.jp/201004080749482839/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120730
http://43142.diarynote.jp/201301311053069360/
http://43142.diarynote.jp/201410301514399746/
▶過去の、エリス・マルサリス
http://43142.diarynote.jp/201209191209186663/
▶過去の、アーロン
http://43142.diarynote.jp/200410121001170000/
http://43142.diarynote.jp/201205221056242128/
▶過去の、ポーター・Jr.
http://43142.diarynote.jp/200702090041480000/
http://43142.diarynote.jp/200702121118370000/
http://43142.diarynote.jp/200808140129280000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090725
http://43142.diarynote.jp/?day=20140117
▶過去の、トーマス
http://43142.diarynote.jp/201112091410372738/
▶過去の、シャーメイン・ネヴィル
http://43142.diarynote.jp/200702122331460000/
▶過去の、ザ・ホームズ・ブラザーズ
http://43142.diarynote.jp/200410121001170000/

 そして、南青山・ブルーノート東京へ。テナー・サックス奏者のボブ・ミンツァー(2009年3月23日、2012年6月21日、2014年1月15日)率いるビッグ・バンドの公演。構成員にはアルト・サックスのボブ・シェパード(2004年2月13日)やテナー・サックスのボブ・マラック(2008年3月17日、2009年5月23日、2013年8月8日)などを含むが、皆いい吹き手なんだろう、出音がでかいし、フィーチャーされるソロも頷かせる。ある曲におけるトランペッターの丹精なソロには唸ったな。面白いのはアフリカ系奏者が一人もいないこと。それは意識的な人選なのだと思う。

 長年ビッグ・バンド・ジャズ表現に関与してきているミンツァーが秀才だなと思えるのは、同表現の限界を知っていること。と、書くとネガティヴな意が出てくるかもしれないが、やっぱり米国エンターテインメント表現を支えてきたビッグ・バンド表現には踏まなければならない回路があり、それをちゃんと通ったうえで表現を展開しようとしていると思えた。彼はいろんなビッグ・バンド表現を精査したうえで、その長所を引き継ぐ現代大型表現を出している。秀才という書き方にははみださないという意味も含んでいるが、音のデカさに表れているように、これだけ臨場感豊かにビッグ・バンド音を開けるなら、いいではないか。

 また、クールな彼は、それゆえに、新しい広がりの素、触媒をちゃんと用意する。すくなくても、近年の日本公演においては。前回(2012年6月21日)はブラジル人ギタリスト/シンガーのシコ・ピニェイロやジャズ歌手のカート・エリング〜そういえば、八代亜紀(2012年11月9日、2014年3月13日)のライヴ盤も出ているNYバードランドでの2013年3月のジャズ公演を音楽面で面倒を見たのは彼なんだってね〜を同行させていたが、今回は男女二人づつという構成を持つコーラス・グループのニューヨーク・ヴォイセズ(教えているバークリー音楽大学での授業の都合でリーダーは来日ができず、男性の一人は代役であったよう)がゲスト。半分(強)ほどで、4人はステージに立ち、オケと無理なく重なったり、ア・カペラを披露した。「オールド・デヴィル・ムーン」とか聞いていてとてもリッチなショウであり、大人の“ハレの場”として相当なグレードを持つ出し物と思わされたか。アンコールでは、ミンツァーはピアニストと二人で出て来て、黒くならないブルース・コード曲を披露。パフォーマンス時間は90分をこえていたはず。

▶ボブ・ミンツァー
http://43142.diarynote.jp/200903260425159549/
http://43142.diarynote.jp/201207031311348277/
http://43142.diarynote.jp/201401171005571275/
▶過去の、シェパード
http://43142.diarynote.jp/200402171832080000/
▶過去の、マラック
http://43142.diarynote.jp/200803201208100000/
http://43142.diarynote.jp/200905250112267742/
http://43142.diarynote.jp/201308110828525647/
▶過去の、八代
http://43142.diarynote.jp/201211170926496101/
http://43142.diarynote.jp/201403151023031434/

<今日は、盛況>
 3連休の初日、天気もいいし、街行く人の表情も柔らかいような。両会場とも盛況、とくにブルーノート東京のほうは立ち見も出てのパンパンで、ビッグ・バンドものの人気を再認識。ニューヨーク・ヴォイセズはGRP と契約していたころ同旧店舗で1週間の帯公演をやったこともあったはずで、すこぶる豪華な出し物でもあるのは間違いないわけだが。その後にぼくの知人と知人がジョインし、1時間半の間にワインをスカっと3本開栓。

アトラス

2014年11月21日 音楽
 マリンバの山田あずさ(2013年5月19日、2014年6月13日、2014年6月15日、2014年10月19日)、ヴァイオリンの多治見智高、コントラバスの小林真理子(2014年10月19日)という3人からなるグループで、“木の楽器”のトリオと言うこともできるのか。グループ名は地図の出版社ではなく、メレディス・モンク(彼女、ペルー生まれだったりするんだよなあ)のオペラ曲タイトルから来ているそう。

 四谷三丁目・茶会記、2部制、生音(PAなし)による実演ナリ。リーダーは山田で、曲/アレンジは彼女が用意しているよう。基本、鍵盤打楽器であるマリンバの反復的色彩を持つ演奏に、大小の弦楽器音がいろんな回路のもと絡み、いろんな形のシェイプを描き、流れて行く。かっちり噛み合う部分とすうっと広がって行く部分を併せ持つのは、深くもありしなやかでもあるマリンバという楽器音の特性が導くものか。やはり、その楽器自体の佇まいとか複数のマレットを自在に扱うこととか、マリンバはいろいろと浮世離れしていて、興味深い。ヴァイオリンだけでなくコントラバスも多くの曲で弓弾きをし、そういう側面に着目するなら、持続楽器音の協調を柱にするという説明も可能であるか。

 オリジナル中心のようだが、アストラ・ピアソラの曲を取り上げたりも。また、山田と小林はげんざい渋さ知らズオーケスラ(2004年9月1日、2006年1月14日、2006年1月21日、2006年8月27日、2006年11月15日、2006年12月1日、2007年1月13日、2007年6月13日、2008年7月6日、2009年7月26日、2009年9月27日、2010年4月22日、2010年9月19日、2013年5月19日)の構成員でもあるが、その「犬姫のテーマ」をやったりもした。また、山田は1部と2部でそれぞれ1曲、マリンバの妙味を知らせんとするかのように、ソロ演奏のパートも持った。

 ヴァイオリンの多治見はかなり多彩で、ときに枠超えの意志を存分に持つ演奏を示すが、なんでも、キューバやオランダにヴァイオリンを習いに行っているそう。キューバの先生は香月さやか(2011年1月21日、2011年6月7日)と同じ人で、オランダではティム・クリップハウス(2013年3月3日)に教えを受けたという。

▶過去の、山田
http://43142.diarynote.jp/201305260923241736/
http://43142.diarynote.jp/201406160956273046/
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▶過去の、小林
http://43142.diarynote.jp/201410251052527799/
▶過去の、香月
http://43142.diarynote.jp/201101231224498510/
http://43142.diarynote.jp/201106202134077974/
▶過去の、クリップハウス
http://43142.diarynote.jp/201303070814435203/
▶過去の、渋さ
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<今日の、ハコ>
 初めて行く。ここに何度か来た人と行ったが、暗いなか一人ですらりと行くのは難儀かもしれない。お、靴を脱いであがるのね。その昔はオーディオ・ショップであったよう。少人数のファミリアな出し物にはけっこう適の会場ではないか。お酒も、500円だしね。終演後、近くの居酒屋で少し飲んだのだが、初めて行く店なのに、お店からのサーヴィスですと複数の小鉢、さらには少量ながら日本酒が出てきて驚く。お腹、いっぱいだよー。
 伝統楽器でボウで弦を弾くニッケルハルパ(パっと見、10弦ぐらいはありそうに思えるが…)、5弦のヴィオラ、12弦のアコースティック・ギター。おお、弦楽器の夕べ、だア。そんな編成のスウェーデンの3人組トラッド音楽グループの渋谷・デュオの公演は、結成を25周年を祝うもの。彼らはプロモーターに恵まれ、もう10回近く来日しているのではないか。

 ステージ上に出て来た長身(のように、客席からは思えた)の彼らはけっこう格好いい。とともに、かなり知的とも思わせるが、その弦楽器群の繊細にして、豊穣さや深淵さも抱える重なりは確かな日常と知性なくしては顕われえないものとも言いたくなるか。当然のことながら、その表現はトラッドというしかない伝承や素朴さの感覚も持つわけだが、他方ではやはりプログな感覚も持つわけで、我々の通り一遍のトラッド音楽観の書き換えを促すものでもあるなあと思った。

 1部を見て、移動。この後は、ゲストのフィンランドのJPP(2012年5月26日)も出てくるはず。なんと、豪華な。後ろ髪ひかれるが、次の連中には取材したりと関わりがあるし、好きなのでしょうがない。

▶過去の、JPP選抜隊
http://43142.diarynote.jp/201205301408287957/

 渋谷・クアトロ。ちょうど、フランスのがちんこデュオ・バンドのショウが始まる前に滑り込む。で、ジェイムズ・テイラー・カルテット(だったよな)のグルーヴィなオルガン演奏に導かれて出てきた彼らの1曲目はカーティス・メイフィールドの「ムーヴ・オン・アップ」。イエイ。二人である機動性、阿吽の呼吸、臨機応変さなどを存分にかかえ、発散と一握りの和みを持つ肉感ビート表現をぶち噛ます。ほんと、ちょっとした仕草をはじめ、酔狂にして貴重な回路を持っているよなー。

 彼らの表現は扇情系ロックの剛毅さとメロウ・ソウル感覚の興味深い掛け合わせと書くことができるが、前者のほうはレッド・ツェッペリン要素が何気に大とも思う。ツェッペリンはニューオーリンズ・ファンクの翻訳もやっていたわけで(彼らは1976年『プレゼンス』で、「ニュー・オーリンズ」から派生しただろう「ロイヤル・オーリアンズ」なんて曲もやっている)、ザ・インスペクター・クルーゾにもセカンド・ライン・ファンク応用をやってほしいと思う。と、メンバーに伝えようと思ったら、忘れちゃったよう。

▶過去の、ザ・インスペクター・クーゾ
http://43142.diarynote.jp/201005091451244918/
http://43142.diarynote.jp/201210061012387869/

<今日の、涙とか>
 ヴェーセンの演奏が始まって、んんん??? 上階のO-イーストから低音やキック・ドラム音がもれてくる。えええ??? O-イーストには日本人バンドが出演していたようだが、そんなにデカい音でやっているのか。デュオには何度も来ているし、アコースティック系の静か目のライヴにも接しているが、こういうことは初めて。これは、運が悪いとしかいいようがない。しかし、繊細かつ瀟洒きわまりないヴェーセン演奏の妙味を漏らさず受け取ろうと耳を傾けようとすると、上階からの音はなんとも具合が悪い。音楽に入り込めない。とともに、何よりヴェーセンの面々も演奏がやりづらくてしょうがないだろうと思わずにもいられず。生音ではなくPAを通していたので、もう少し出音を大きくしてもよかったかもしれない。
 そして、次のザ・インスペクター・クルーゾの演奏、音デケえ。こっちは、少し耳が死んだな。こちらの前座はモンスター大陸、このブルージィながちんこビート・ロック4人組は、先のピーター・バラカンの“ライブ・マジックにも出演。ライヴ会場限定発売CD『開放』、気に入ってマス。ちょい愛らしいポップネスがうまくまぶされてていて、それが吉ネ。

アル・ジャロウ

2014年11月19日 音楽
 今回、当代きっての奔放シンガー(2003年3月13日、2012年3月2日)は松葉杖をついて、ステージにあがった。74歳ゆえ、歌声の輝きや音程の正確さは少し甘くなっているところもあるが、でも笑顔で多彩にがんがんせめていたな。キーボード/サックス、キーボード/フルート(元シーウィンドのラリ−・ウィリアムズ)、ベース、ドラム、パーカッションという編成のバンドはとても良好。5人中3人はごんごんコーラスも取り、その風情もとてもよろしい、ちゃんとした技術に裏打ちされた、音楽をやることの愉しみがあふれていたのが印象的。終盤、自然に場内スタンディング・オヴェイションと相成った。南青山・ブルーノート東京、セカンド・ショウ。

▶過去の、ジャロウ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm
http://43142.diarynote.jp/201203062004221304/

<今日の、ウォーカーさん>
 夕方に、同行ベーシストのクリス・ウォーカー(2003年3月13日、2009年6月15日)にインタヴューする。理由は、アル・マクドゥエル(その前任者は、ジャマラディーン・タクーマね)の後釜として、1988年ごろから2年半ほど、オーネット・コールマン(2006年3月27日)のザ・プライムタイム・バンドにエレクトリック・ベーシストとして参加していた御仁であるから。かなりなナイス・ガイであったなー。彼が在籍時のアルバムは『ヴァージン・ヴューティ』(パスポート/エピック)。また1995年リリースの『トーン・タイアリング』(ヴァーヴ)や1996年『サウンド・ミュージアム』(ヴァーヴ)にも彼は歌でちょっと入っている。コールマン・バンド入りしたのは18歳で、なんと現在まだ46歳であるという。彼は綺麗キレイな歌い方をするR&Bシンガーとして、4枚リーダー作を出しているが、そっちのほうでも来日できたらという思いを持っている。ま、当然か。そんな彼は、チャカ・カーン(2003年10月10日、2008年6月5日、2012年1月10日、2014年9月6日、2014年9月10日)やフォープレイに楽曲を提供したりもしていますね。また、ウォーカーはテリ・リン・キャリトン(2004年9月7日、2005年8月21日、2008年12月1日、2009年6月15日、2010年9月4日、2014年9月16日)のブルーノート公演に同行したことがあるが、なんと彼女とパスワードという名前の新グループを結成したそう。内容は、ウェザー・リポートとジャズとR&Bが重なったようなものになるとか。
▶過去の、ウォーカー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm
http://43142.diarynote.jp/200906160735045241/
▶▶過去の、オーネット
http://43142.diarynote.jp/200603281335030000/
▶過去の、タクーマ
http://43142.diarynote.jp/201408051026553769/
▶過去の、カーン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-10.htm
http://43142.diarynote.jp/200806121525370000/
http://43142.diarynote.jp/201201131546344144/
http://43142.diarynote.jp/201409100929108025/
http://43142.diarynote.jp/201409111424501752/
▶過去の、キャリントン
http://43142.diarynote.jp/200409070203440000/
http://43142.diarynote.jp/200508230545510000/
http://43142.diarynote.jp/200812141259213603/
http://43142.diarynote.jp/200906160735045241/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100904
http://43142.diarynote.jp/201409171722239857/
 代官山・山羊に聞く? で、ノルウェーの女性シンガー・ソングライターを見る。日本大好きで、今回が4度目の滞日となるらしい。電気ピアノ音色のキーボードやピアノを弾きながら歌うヴァットネイに、コーラスやループ機材や鳴り物を担当するクリスティーヌ・ヴィルヘルムセンという女性がサポートでつく。

 生理的に愛らしいと言いたくなる鍵盤弾き語り基調ポップを披露する人で、おきゃんなようでマイナー・キーを多用しているのはポイント。それで、センチとか健気と感じさせる部分が出てくるかも。ある曲は冒頭が名ポップ曲「オン・ブロードウェイ」(ザ・ドリフターズやジョージ・ベンソンからニール・ヤングまでいろんな人が取り上げる)を咀嚼したような陽性で弾けた曲調を持つが、中間部でずずずと陰影の淵に舞い降りるものなあ。あと、随所にスタンダード的と感じさせる洒脱なコード使いをみせるのも、個性と思う。それは、豊かさやエヴァーグリーンさを導く。

 サポートのヴィルヘルムセン嬢は歌声をループさせたり、装飾音を的確につけたりとか、何かと涼しげな風情ながら、奮戦。ルックス共々、ぼくは彼女のほうが気になってしまった?

<今日の、映像>
 ドログバとメッシ(2007年10月28日)が出てくるトルコ航空の宣伝映像が楽しい。ドログバさん、役者ね。本田ほかのACミラン勢による東洋タイアのものより、格段に気が利いている。ふむ、トルコ航空かエミレーツ航空(つまり、イスタンブールかドゥバイでストップし、少し遊びたい)で、ブラジル行きてえ……。
▶過去の、メッシ
http://43142.diarynote.jp/200711080728570000/

 広尾・スイス大使館大使公邸で、今日本ツアー中というスイス人シンガー・ソングライターの実演を見る。生ギターを弾きながら歌う、その手のスタンダードにあるパフォーマンスを見せる。なかなかナイス・ガイっぽい23歳の青年だが、地声はけっこうデカく、堂々。フランス語圏の育ちのようだが、英語が達者。歌詞も英語を用いる。レナード・コーエンの「ハレルヤ」もやったな。普段はバンドとともにやっているよう(アルバムもいろいろ色づけがなされている)だが、客とのやりとり、盛り上げの様は巧み。ちゃんと声がでていることもあり、爽やかだけど、10歳ぐらいは年上の表現にも聞こえるか。今年3度目の来日とかで、けっこう日本語をMCに入れたりもしていました。

 その後は、南青山・ブルーノート東京(セカンド・ショウ)に行き、トリオ・アルマデオ・ロメロというベネズエラ・ボリバル人たちのトリオを見る。“トリビュート・トゥ・アルマデオ・ロメロ”というお題目が付けられた出し物、なり。アルマデオ・ロメロ(1928〜2007年)は同国の誇る広角型/革新派のバンド・リーダー/ピアニスト。彼は堂にいったラテンから洒脱なムード・ミュージック調のもの、オーケストラものからスモール・コンボによるものまで、いろんなことに手をそめ、米国にも進出していたよう。

 綺麗にスーツを身につけているペドリート・ロペス(ピアノ)、グスタボ・カルシー(フレテッドの6弦電気ベースとフレットレス4弦の電気ベース)、ミゲル・デ・ビンセンソ(ドラム)というトリオの面々は見た目、かなり上品。で、すいすいという感じで重なるわけだが、腕もちゃんと立つ。ロメロ曲を取り上げていたのだと思うが、その総体はかなりジャズ。へ〜え。ラテン的躍動や臭みは強くはないが、けっこうビートはボサっぽい。ロメロはブラジル音楽要素も取り入れた人であったようだ。しかし、現在ビョーク(2001年12月5日、2008年2月22日)がプロデュースを依頼していると伝えられるアルカのようなレフト・ウィングな作り手も輩出している同国、いろいろありそう。

 トリオ演奏に華をそえるように、カルメラ・ラミレスという綺麗に着飾った女性歌手が何度か出たり、入ったり。透明感のある彼女もときにジャジーな歌い方を見せた。また、1曲づつアルパ奏者の吉澤陽子(2011年6月25日)とシンガーの松田美緒(2005年7月11日、2010年4月19日、2010年10月16日、2012年6月13日、2014年2月9日、2014年6月16日)が加わる。松田とラミレスがかなり似た聞き味を持っていることに驚いた。

▶過去の、ビューク
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm
http://43142.diarynote.jp/200802230934310000/
▶過去の、吉澤
http://43142.diarynote.jp/201107081119414371/
▶過去の、松田
http://43142.diarynote.jp/200507161355250000/
http://43142.diarynote.jp/201004211621084144/
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http://43142.diarynote.jp/201206141343402196/
http://43142.diarynote.jp/?day=20140209
http://43142.diarynote.jp/?day=20140616

<今日の、大使館関連>
 ブルーノート東京の前には外交官ナンバーの自動車がずらりと停まっている。うわあ、10台ぐらいあった? それ、全部ベネズエラ・ボリバル大使館の所有なのか。それとも、大使館コネクションで、他の国の大使館関連者もきていたのか? 今まで見たことがない風景で、余計なこと考えちゃったよー。
 大使館と言えば、在日スイス大使館の文化・広報部長のミゲルさん(まだ、若いです)はかつてモントルー・ジャズ・フェスティヴァルにも関与していたこともあったそうだが、かなりなヴァイナル・マニアだ。渋谷のHMVに行って、子供を抱きながらエサ箱をあさっていたら、それを写真に撮られてしまい、GROOVE誌秋号の表紙になったそう。おお、あれは彼であったか。前に会ったとき、アナログ好きだったら、渋谷のJBS(驚異的にレコードが並んでいる、喫茶/バーです)に行くべきと推薦したら、さっそく行ってきたそう。そのJBSの主人もGROOVE誌の表紙に使われたことがあったらしく、カヴァー被写体同士のご対面となったよう。

 ぼくが洋楽を聞きだした頃から、この盲目のシンガー・ソングライターの名前は日本でも紹介されていた。が、コドモなロック趣味からは遠い位置にいるカンジなため、ちゃんと聞いたことはなかった。そして、そのまま現在にいたってしまったわけなのだが。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。

 冒頭約10分間、彼の経歴や偉業を伝える映像(出てくる文字説明は、英語とスペイン語)が流される。こういうのって、往々にしてかったるいと感じるはずだが、この晩は興味深くも、ありがてえ。そっか、1945年生まれかあ(もっとじじいだと思っていた)、プエルトリコ生まれかあ(南米属性が入っていることは認知していたが〜まあ、それは名前で判断がつく〜、細かいことは知らなかった)、子供のとき家族とNYに移住し、10代の頃から才覚を表わしたのかあ(モノクロの10代半ばのギター演奏がジャジーでうまい)、ザ・ドアーズの「ハートに火をつけて」の1968年カヴァーでグラミー賞を受けたのかあ(7度だか9度だか、受けているよう)。等々、いろいろ情報を仕入れられ、最低限の理解の土台ができて、期待がめちゃ高まる。

 そして、生ギター(一部では、面白い形の透明エレクトリック・ギターを弾いた)を弾きだした彼は笑っちゃうぐらいに達者。フィンガー・ピックングにしろ、ピックを持った演奏にしろ、パッション性豊かにぐいぐいとギターをならす。そして、声も朗々、よく出る。そのさわりだけで凄い才の持ち主であり、スターの座について当然の人なのだというのは合点が行くだろう。透明感とほのかな濁りの重なりが魅惑的な人であるとも感じた。バンドは、キーボード2、電気ベース、ドラム、打楽器という布陣で、彼らも皆うまい。

 彼は英語アルバムとスペイン語アルバムの両方を山ほど出している人だが、この晩の多くは英語で歌い、スペイン語曲も少し。それはともかく、やっぱしラテン・ルーツの弾みの感覚や哀愁が、随所に出てくるのはポイントだ。「ハートに火をつけて」はもちろんのこと、マイケル・ジャクソン「ビリー・ジーン」、サンタナ(2013年3月12日)のカヴァーでしられるティト・プエンテの「オエ・コモ・バ」、レイ・チャールズ「ホワット・アイ・セイ」らベタな有名曲カヴァーもやるが、それもフェリシアーノの滋養/広がりをきっちと聞き手に届ける。やはり、彼ならではのモードがあるし、それは魅力的に思える。やはり、たいした才能の持ち主というしかない。

 最後バンドが演奏をするなか、彼がステージから降りて、それで終了かと思う。が、もう一度フェリシアーノは手をひかれてゆっくりステージにあがり、もう1曲やった。それについて、ドラマーは少し驚いているフシが見受けられ、アンコールをやらないときもあるのではないか。ステージの行き来のやっかいさもあるし、それで当然とも思う。MCは陽性で、かなり日本が好きなことを表明もしていたが、機嫌は上々であったよう。

▶過去の、サンタナ
http://43142.diarynote.jp/201303211531189619/

<今日の、咳>
 なんかホセさん、風邪をひいているようでMCのさい、けっこう無頓着にゲホゲホ咳をしていた。歌声は問題なかったが、あと2日の公演は平気なのか。実はぼくも先週末、少し咳が出るなと思いながら飲んでいたら、翌日は熱っぽく、咳がごんごん出て、慌てたことがありました。だから、少し咳には敏感? もちろん医者にもいかず、薬ものまなかったが。これからも風邪をひいてもいいけど、自然治癒主義を保ち続けられるといいが。
 先人の金言をインタヴュー中に、発言主旨の分りやすいたとえとして出す。そういうことをするミュージシャンは少なくないわけだが、ぼくの経験上一番引用される言葉は、デューク・エリントンの「音楽には二種類しかない。いい音楽と、悪い音楽だ」というもの。それは往々にして、音楽にジャンル分けは必要ない、音楽は一つといった気持ちを表明するときに、引っ張り出されますね。まあ、先見性や洗練や優美さ、メロディ性や間口の広さやダイナミクスなどをエリントンの音楽が余裕で持ち、音楽のマジックたるものをきっちり宿しているからこそ、皆さん引用したくなるのだと思うが…。

 なんて思わせぶりに書いたが、そんな米国ジャズ史きっての偉人の財産を引き継ぐビッグ・バンド(2005年4月13日、2009年11月18日、2010年11月24日、2012年10月17日)を見る。丸の内・コットンクラブ、セカンド・ショウ。

 会場内に入り、何気に気分がアガる。例によりステージ上にちゃんと風情ある譜面台がずらりと並んでおり、“うれしいハレの場”の雰囲気をだしていて。当然、構成員は皆正装。管楽器12人に、ベースとドラム。そして、例によって、やんちゃファンキーじいさんのトミー・ジェイムス(ピアノ)がリーダーを務める。彼一曲ごとにボケの入ったMCも和やかにするが、それがちゃんと面白い人間性の発露となるとともに芸にもなっていて、ぜんぜんイヤな感じがしないよなー。

 「A列車で行こう」で始まったショウは、音楽的なところから見せ方の部分まで、米国黒人芸能の正の側面を問答無用に浮かび上がらせる。曲は基本短めだが、有機的なアンサンブルとソロが効果的に噛み合う様には大きく頷いちゃう。とともに、今のビッグ・バンド表現は往々にしてアンサブルのパートとソロのパートが乖離しがちと思わずにはいられず。うぬ、ここには本当に娯楽性にもたけ、変わらなくていいものが山ほどあると思えた。なんか初めて見るわけでもないのに、いいナと思えるポイントがいろいろあって、なんかとっても楽しかったYO。←こんな末尾の表記は、なんかトミー・ジェイムスの語り口に影響された? 

▶過去の、エリントン・オーケストラ
http://43142.diarynote.jp/200504151006160000/
http://43142.diarynote.jp/200911212112151307/
http://43142.diarynote.jp/201011250609539822/
http://43142.diarynote.jp/201210201219525855/

<今日の、自賛>
 10月はよくライヴに行ったナ、と改めて思う。こんなに行ったのはもしかして、このブログを書くようになって、一等賞? なんだかんだ仕事がつまっていたときもあって、一時はだいぶこのブログ原稿アップも遅延していたが。……この一ヶ月で書いた、ちゃちゃちゃのブログ原稿の量は35000字を余裕で超える。ほう、オレなんかすごいぢゃん。対価が支払われる普通の原稿以外に、これだけ書けば立派なものではないか。

 人気R&B派アルト・サックス奏者(2000年3月21日、2003年7月18日、2010年12月1日、2012年3月3日、2013年9月3日)の公演は、リッキー・ピーターソン(2000年3月21日、2003年7月18日、2012年3月3日、2013年5月10日、2014年4月23日)、ニック・モロック(2012年3月3日)、リチャード・パターソン(エレクトリック・ベース)、ジーン・レイク(1999年5月25日、2000年3月21日、2002年6月18日、2003年7月18日、2009年3月18日、2012年2月10日、2012年3月3日)というおなじみの面々と行う。南青山・ブルーノート東京、セカンド・ショウ。

 というわけで、旧来のブラック・フュージョン志向をとるなかで、彼一流のひっかかりのあるソウルフルなブロウを披露しようとする内容。とはいえ、ボブ・ジェイムズ(2013年9月3日)との2013 年作『クァルテート・ヒューマン』(アメリカはオーケイ)、ボビー・ハッチャーソンとの2014年作『エンジョイ・ザ・ヴュー』(ブルーノート)と、ジャズ・インプロヴァイザーとしての真摯な姿を大きくだしたアルバムが続いたこととは関係がないとは思うが、吹き口が過去よりかジャズっぽいと思わせるところがあったような。とともに、サイド・マンのソロはそれほど長くなく(ニック・モロックって、この手のタイプでは好感が持てる奏者だと思った)、たっぷり吹いたという所感も得た。

▶過去の、サンボーン
http://www.myagent.ne.jp/%7Enewswave/live-2000-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-7.htm
http://43142.diarynote.jp/201012051903113851/
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130903
▶過去の、ピーターソン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-7.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20120303
http://43142.diarynote.jp/201305131335092387/
http://43142.diarynote.jp/201404260900117482/
▶過去の、モロック
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/
▶過去の、レイク
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live2.htm サンボーン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-3.htm サンボーン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-6.htm ンデゲオチェロ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-7.htm サンボーン
http://43142.diarynote.jp/200903191858068821/
http://43142.diarynote.jp/201202120849174102/
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/
▶過去の、ジェイムス
http://43142.diarynote.jp/201309051241384602/

<明日の、サンボーン>
 昼間にサンボーンの宿泊している部屋(スイートでした)にうかがい、まだ完パケていない(ミックスまで終了していない)2015年リリースの新作の音を数曲大音量で聞かせてもらうとともに、新作のことについていろいろと話を聞く。彼は丁寧に、色づけのヒントを得たピグミー族のフィールド・レコーディング音もきかせてくれたりして。。。新作プロデューサーは、なんとマーカス・ミラー(2001年6月14日、2003年8月19日、2005年8月21日、2006年9月3日、2007年12月13日、2009年9月15日、2010年9月3日、2013年9月3日)。かつて10作ぐらいでプロデュース関与していたが、今回15年ぶりに二人は協調することとなる。驚いたのは、けっこうサウンドはマーカス主導なのかと思ったら、サンボーンがデモ・テープを作り、それをミラーに送っていろいろ話し合うという手順を踏んでいること。選曲(オリジナル他に、ディアンジェロ曲やマイルズ・デイヴィスがやったエルメート・パスコアール〜2004年11月6日〜曲もあり)や、ロイ・アサフ(2014年9月7日)やジーン・ベイラー(2007年12月16日)らレコーディング参加者もサンボーンが決めている。
 ところで、サンボーンはニューヨーク州ウェストチェスターにあるハドソン・リヴァー沿いの豪華な日本風邸宅に引っ越したばかり。タブレットでその家を見せてもらったが、すげえええ。69歳、まだまだ働く意欲、満々デス。
 もう、2014年ベスト・アルバム選出の雑誌原稿依頼がくる。うー、今年も終わりに近づいていることをいやがおうでも認識しちゃうなあ……。
▶過去の、ミラー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-6.htm 
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm
http://43142.diarynote.jp/200508230545510000/
http://43142.diarynote.jp/200609070211000000/
http://43142.diarynote.jp/200712161023010000/
http://43142.diarynote.jp/200909181206531984/
http://43142.diarynote.jp/201009111624281899/
http://43142.diarynote.jp/201309051241384602/
▶過去の、アサフ
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/
▶過去の、ベイラー
http://43142.diarynote.jp/200712171350530000/
▶過去の、パスコアール
http://43142.diarynote.jp/200411071407550000/

 まず、南青山・ブルーノート東京。ショーン・レノン(2009年1月21日)がここではベースを弾くシャーロット・ケンプ・ミュール(彼女も2009年1月21日のとき、同行していたっけ?)と組んでいる少しレトロなサイケ・ポップ・ロック・バンドを見る。その二人に加え、ギタリスト(かなり上手。1曲わりとリフがはっきりした曲でのレノンとのギター音の重なりは相当カッコよかった)、キーボード奏者、ドラマー、打楽器奏者。

 おおおと即思ったのは、レノンの風体。髭を目一杯伸ばし、無造作に伸びた髪もとっても長い。1960年代後期の父親をこれは思い出させるなあ。ステージ背景にはサイケ気味映像がずっと流される。

 で、レノンの考える、サイケ傾向を通った臭みや浮遊感のようなものを露にしていく。けっこう、宙ぶらりんというか、行きそうで行かない〜それは、ミステリアスな所感も引き出すか〜、どこかシアトリカルでもある曲が多い。彼のキメラ・ミュージック発の『ミッドナイト・サン』からのものが大半であったのかな。で、ときに「ビコーズ」とか「カム・トゥゲザー」とかザ・ビートルズ時代のジョン・レノン曲の欠片を味合わせる部分があるのも、隠れたポイントと言えるだろう。

▶過去の、ショーン・レノン
http://43142.diarynote.jp/200901221504141906/
http://43142.diarynote.jp/201105282358273180/ インタヴュー抜粋

 その後は、米国の<美は変調にあり>を地で行くジャズ・ピアノ・トリオのザ・バッド・プラス(2003年8月1〜2日、2004年5月13日、2005年8月29日、2008年2月20日、2011年3月9日、2013年11月20日)を丸の内・コットンクラブで見る。セカンド・ショウ。

 中西部のはみ出しジャズ・マンたち2000年に結成、ソニーからアルバムを出すとことで一躍ブライクした彼らは、その後ユニヴァーサル、E1からアルバムをリリースしてきたが、再びソニー/オーケイと契約し、すでに今年2枚のアルバム(ストラヴィンスキーの「春の祭典」のカヴァー・アルバム『The Rite of Spring』)と全オリジナルの通常作『Inevitable Western』)を発表している。そして、4ヶ月に渡る米国や欧州のツアーの合間に、1年ぶりにまたぽっこり来日公演を行った。そんな彼らは、この夏の米ダウンビート誌の批評家投票の<ジャズ・グループ>部門で2位になっている。

 疲弊した感じはなく、好調。2曲目に演奏した「キープス・ザ・バッグス・オフ・ユア・グラス・アンド・ザ・ビアーズ・オフ・ユア・アス」(彼らの通算2作目/ソニー発1作目『ジーズ・アー・ザ・ヴィスタス』収録)はセロニアス・モンクぽいところも持つブルージィ曲でグっと来る。この曲はドラマーのキングの作だが、新作『Inevitable Western』でも彼が作った曲が1番がイケているような。テーマ部で巧みに手拍子が取り入れられた「エピストラリー・エコーズ」も彼の曲であるし、なんだかんだキングは働いているなあ。近2作ソニー盤のジャケット・カヴァーも、彼が作っていたりする。実はかつての「キープス・ザ・バッグス・オフ・ユア・グラス・アンド・ザ・ビアーズ・オフ・ユア・アス」と今日の生演奏を比べると大幅に異なっていると感じさせるのはキングのドラミング。かつてはもっとイビツでとっちらかった種をばらまいていた。それはそれでザ・バッド・プラスの大きな要点となっていたのだが、表面上はもう少し抑えたドラミングを取ることで、三者のインタープレイの美点やオトナな諧謔はより見えやすくなっている。曲によっては、リズム・フィギュアが騙し絵的に自在に交錯したりもし、それにはしびれた。

 なお、彼らはかつて<史上最轟音のジャズ・トリオ>みたいな言い方をされたが、先に書いたようにキングが少し落ち着いた演奏をするようになったこともあり、その呼び名は返上だろう。また、彼らは悪意とともにポップ曲を解体するヴァージョンをアルバムに入れることでティピカルな存在になっていたが、そっちのほうへの注目が過剰なような気がして、彼らは近年はそちらも基本封印しているという。

▶過去の、ザ・バッド・プラス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm
http://43142.diarynote.jp/200405101355540000/
http://43142.diarynote.jp/200509011126570000/
http://43142.diarynote.jp/200802212249200000/
http://43142.diarynote.jp/201103171347055826/
http://43142.diarynote.jp/201311230757159421/

<今日の、MC>
 今晩見た二組ともに、ハピー・ハロウィーンと、ステージから言う。レノンは先の尖った長い帽子とマントを付けていたが、それはハロウィーンとは関係ないか。アーティスト写真にも、そういうのがあるし。例により、ザ・バッド・プラスは一番年長のリード・アンダーソンがMCを担当するが、なんか今回は日本語を交えて“ソニー、(また契約してくれて)ありがとう”みたいな歌も、イーサン・アイヴァーソンの伴奏のもと情けなく歌った。新しい2作品、日本盤は出ていないのだけど。今回、彼らには久しぶりにインタヴューもしたが、各人のリーダー作の話になったときに、デイヴィッド・キングがアンダーソンに「君は出すとしたら、ヴォーカル・アルバムだよな」とツっこみを入れる。今、ショウでアンダーソンはけっこうMCやりながら歌ったりしているらしい。ザ・バッド・プラスは時々ジョシュア・レッドマン(2003年1月16日、2009年4月21日、2010年9月5日、2012年5月31日、2014年5月15日)と一緒にショウをやっているが、次作はレッドマンとの共演盤になるそう。発売はレッドマンが契約するノンサッチ発となる。
 ともあれ、近年ジャズに見切りをつけたかのように新譜制作を辞めていた米国ソニーがオーケイの名を復活させて昨年から大々的にジャズ・アーティストを抱えているのは喜ばしいかぎり。今、それを舵取りしているのはユニヴァーサル・ミュージックやE1のジャズのプロダクツに関わっていたウルフ・ミュラーやチャック・ミッチェルのようだが、現在ソニー/オーケイにはジョン・メデスキ(1999年8月5日、2000年8月13日、2001年2月15日、2002年9月7日、2004年1月24日、2004年9月5日、2004年9月19日、2007年5月10日、2008年12月16日、2012年3月2日)、ビル・フリゼール(2000年7月21日、2006年5月14日、2009年5月8日、2011年1月30日)、ブランフォード・マルサリス(2001年10月24日、2010年3月8日、2010年10月21日)他が続々集められている。もともと、オーケイは1910年代後期に活動を始めたレイス・ミュージックのレーベルで、1920年代にコロムビアに吸収された。再興されるのは今回2度目で、ソニー社員A&Rのマイケル・キャプランのダイレクションで1994年に新時代のブルージィ・レーベルとして大車輪したことがあった。そのときの中核アーティストはG・ラヴ&ザ・スペシャル・ソース(2000年1月25日、2004年11月17日、2005年5月25日、2005年6月2日、2006年10月23日、2008年10月9日、2011年11月4日、2014年10月13日)でしたね。
 それから、菊地雅章(1999年11月3日(2002年9月22日、2003年6月10日、2004年11月3日、2012年6月24日、2012年6月25日、2012年10月26日)シンパのアイヴァーソンに、プーさんのアルバムのなかで何が好きと問うたら、ライヴは沢山見ているけど、アルバムはそんなに聞いていないと返事。そして、好きなアルバムとして彼が言及したのは、菊地も入っているポール・モーシャンの『On Broadway,Vol.4 or the Paradox of Continuity』(Winter & Winter,2006年)。え、これはないんではないの? それ、クリス・ポッター(2012年5月28日、2013年5月21日)が入り、ぼくが生で聞いて音程不安定でびっくりしたレベッカ・マーティン(2009年3月1日)も歌っている。でも、プーさんのことを、“ハーモニー・ジニアス”とアイヴァーソンは言っていました。
▶過去の、ザ・バッド・プラス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm
http://43142.diarynote.jp/200405101355540000/
http://43142.diarynote.jp/200509011126570000/
http://43142.diarynote.jp/200802212249200000/
http://43142.diarynote.jp/201103171347055826/
http://43142.diarynote.jp/201311230757159421/
▶過去の、レッドマン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-1.htm
http://43142.diarynote.jp/200904221307055009/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100905
http://43142.diarynote.jp/201206011834355756/
http://43142.diarynote.jp/201405171309186867/
▶過去の、メデスキ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/augustlive.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-8.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-2.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm
http://43142.diarynote.jp/200401240000000000/
http://43142.diarynote.jp/200409050916440000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20040919
http://43142.diarynote.jp/200705181809270000/
http://43142.diarynote.jp/200812281442184528/
http://43142.diarynote.jp/201203062004221304/
▶過去の、フリゼール
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-7.htm
http://43142.diarynote.jp/200605160543260000/
http://43142.diarynote.jp/200905101005501321/
http://43142.diarynote.jp/201102091715522875/
▶過去の、ブランフォード・マルサリス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-10.htm
http://43142.diarynote.jp/201003101340038868/
http://43142.diarynote.jp/201010221631583852/
▶過去の、G・ラヴ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-1.htm
http://43142.diarynote.jp/200411191620390000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20050525
http://43142.diarynote.jp/200506021851060000/
http://43142.diarynote.jp/200610251744090000/
http://43142.diarynote.jp/200810111558573845/
http://43142.diarynote.jp/?day=20111104
http://43142.diarynote.jp/201410210816075554/
▶過去の、ポッター
http://43142.diarynote.jp/201205301445023004/
http://43142.diarynote.jp/201305260927026044/
▶過去の、マーティン
http://www.allmusic.com/album/inevitable-western-mw0002702271

 真実のヴォイス・インプロヴァイザー(2008年8月24日、2009年1月8日、2010年9月11日、2014年7月22日、2014年9月25日)が、来日が偶然重なった(のかな?)欧州人の知己2組とがっつり、リッチな出し物。新宿・ピットイン。彼女は各ユニットともに、それぞれ各所でギグをやったよう。

 まずは、ユーロ(内訳はスイス人2人、ドイツ人1人のよう)・クラリネット・トリオのポルタ・キウーザと重なるの巻。リーダー格の普段はレバノンのベイルートに居住しているらしいパエド・コンカが書いた45分の曲を悠然と4人で奏でる。ヴォーカルのパートも含め、全部譜面になっている(!)らしいが、この微妙な変化が連なる一部始終をなんと説明していいものか。クリネット音は音質も微妙に変えるが、それも譜面での指示か、それとも個人の裁量に委ねられているのか。その繊細にしてどこか素っ頓狂な部分も持つクラリネット音群はなんか雅楽の笙の音をもっと幽玄にしたようなというか、禅という言葉を用いたくなる手触りも持つ。そして、それらは見事に即興を孕む感覚をも持つわけで、そこに涼しい顔して重なる蜂谷もすごい。その様に触れると、根っこにある蓄積が多大と思わされる。いやはや。

 休憩を挟んで、次の約40分は、フランス人チェロ奏者のユーグ・ヴァンサンと蜂谷のデュオ。二人は共演作『メビウスの鳥』(Airplane)を出したばかり。で、こっちはイケイケの丁々発止。二人ともエフェクトをかけて対峙するが、音色はいじってもサンプリングの類いは用いず、実際に出す声と楽器音のみで勝負する。それにしても、ヴァンサンの種々様々な腕の立つ演奏には笑っちゃう。高尚な感じからエフェクト全開の“チェロ・ヘンドリックス”と言いたくなる狼藉演奏まで、自然な動きで技と発想を繰り出す。コード弾きもするし、はてはギターのように横に抱えて演奏しちゃう。イエイっ。終盤は蜂谷が弾くピアノとチェロのデュオ演奏となったが、その際はとても美しいサウンド・スケイプを描いた。

 そして、3つ目は、以上の5人による、一発ものセッション。ポルタ・キウーザ(イタリア語で、密室という意味のよう)の音だしで始まったため、大人っぽい手触りのもと、五者の創意は交錯した。もう1曲、やってほしかったなー。

 全3曲が、演じられた一夜。皆豊かにして、澄んでいる。実際はどうか知らぬが、音楽上ではとても健全高潔で、耳や生理の洗濯ができたとも思えた。この後、蜂谷は渡欧。今日の二組と、それぞれの楽旅を持つそうだ。

▶過去の、蜂谷
http://43142.diarynote.jp/200808260821260000/
http://43142.diarynote.jp/200901091437341082/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100911
http://43142.diarynote.jp/201407231341189225/
http://43142.diarynote.jp/201409261635554506/

<今日の、BGM>
 前に、この老舗ジャズ・クラブにはちゃんとDJセットが設置されているのを記したことがあったが、それを用いアナログ・レコードで場内音楽を出している事実に、この日初めて気付く。マイルス・デイヴィスの『ブルー・ヘイズ』(プレスティッジ、1954年)やソニー・クラーク・トリオの同名作(タイム、1960年)がライヴ前や休憩時にかかる。おお、両方ともそれなりに有名盤で、すんげえ久しぶりに耳にする。そりゃ悪いわけはないが、ずいぶん生真面目な選盤をするのだなと思ったら、2番目の休憩とギグ終了後にスピンされたのは、カーティス・メイフィールドの『ゼアズ・ノー・プレイス・ライク・アメリカ・トゥデイ』(カートム、1975年)。ま、こちらもシカゴ派巨匠の著名盤ではありますね。一瞬ゆるい“シカゴ縛り”でかけているのかと思ったが、クラークはニューヨーカーだった。ともあれ、そのファルセットを聞きながら、やっぱりプリンスのそれって、メイフィールドから来ているところも大だよなあと思う。
 わー、今度のジューサ(2005年11月4日、2011年10月3日、2012年6月27日、2013年7月16日)も面白い。素晴らしい。丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。

 ドラマーが女性。そのジィシー・ガルシアちゃん(と、なんか ちゃん を付けたくなる)が、リーラ・ジェイムズ(2010年6月28日)を小さく、若くした感じで可愛い。目を引く。けっこう叩き口は軽くなく、カウベル使いなどはキューバ人であることを差し出すか。彼女は一部パッドも扱う。なんにせよ、その佇まいにふれ、女性奏者好きのプリンス(2002年11月19日)が彼女を起用しても全然驚かないと強く思わせる。最初はガルシアとギター弾き語りのジューサとのデュオ。そして、そこに過去3度のジューサ公演に同行しているアルゼンチン人ベーシストのキケ・フェラーリ(2011年10月3日、2012年6月27日、2013年7月16日)が阿吽の呼吸で加わる。本編最後の曲だけ、彼はウッド・ベースを弾いた。

 ガットとスティール弦のアコースティック・ギターを弾くジューサだが、本当に達者。なんで、当初はベーシストとして世に出たのか。今回、グランド・ピアノをまっとうに弾きながら歌う曲もあった! それ、スペイン語だったが、曲調はスタンダードぽかったな。一方、喉のほうは、今回万全ではなかったようで、少し枯れ、濁っていた。それは、本人も認知するところのよう。喉をなるべく使わない方がいいはずなのに、彼女はアンコールにもこたえ、90分パフォーマンスする。才能と人間味を山ほど持つ人の、心をこめた“生”のパフォーマンスにはほんと頭を垂れる。あ、ガルシアと二人でやったアンコールでは、ジューサはエレクトリック・ベースをぶりぶり弾いた。そして、それも聞く者をノックした。

▶過去の、ジューサ
http://43142.diarynote.jp/200511130412510000/
http://43142.diarynote.jp/201110091257135964/
http://43142.diarynote.jp/201207031324148473/
http://43142.diarynote.jp/201307210746577102/
▶過去の、ジェイムズ
http://43142.diarynote.jp/201007061026239509/
▶過去のプリンス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 
▶過去の、フェラーリ
http://43142.diarynote.jp/201110091257135964/
http://43142.diarynote.jp/201207031324148473/
http://43142.diarynote.jp/201307210746577102/
▶前回の、ザ・ミーターズ・エキスペリエンス
http://43142.diarynote.jp/201301311053069360/

 続いて、ザ・ミーターズ+P-ファンク+JBズという図式も少しは持つ、ファンク大御所奏者が集ったグループのライヴを、六本木・ビルボードライブ東京で見る。

 前回公演(2013年1月30日)から、脇役キーボード奏者とパーカッション奏者が外れ、名のある奏者が残ったと書けるか。進行役もするギターのリオ・ノセンテリ(2012年9月12日、2013年1月30日)、キーボードのバーニー・ウォレル(2007年8月7日、2011年8月12日、2012年7月27日、2013年1月30日)、トロンボーンのフレッド・ウィズリー(1999年10月25日、2007年2月2日、2007年2月4日、2007年4月18日、2007年9月13日)2008年4月1日)、ベースのビル・ディケンズ(2013年1月30日)、ドラマーのスタントン・ムーア(2000年8月13日、2000年12月7日、2001年10月13日、2002年7月28日、2004年2月5日、2007年12月11日、2010年3月29日、2012年7月27日、2012年7月30日、2013年1月30日)という面々。

 やる曲はけっこう前回と重なるが、今回は、ノセンテリが前に出るザ・ミーターズ曲、ウォーレルがリーダーシップをとるP-ファンク系、エリスが引っ張ったザ・JBズ調という流れで、大雑把ぎみに80分。ノセンテリはよりロックっぽい演奏を聞かせるとともにどこかジャジーと思わせるコード弾きもをし、ウォーレルはハモンドとアナログ・シンセサイザーを弾くだけでなく結構陽気に歌い、ウェズリーはうれしそうに盛り上げ役として振る舞い(もう少しトロンボーン・ソロをとってほしかった)、ギャラクティック(2000年8月13日、2000年12月7日、2001年10月13日、2002年7月28日、2004年2月5日、2007年12月11日、2010年3月29日)のムーアはときに小さなタンバリンを持ちハイハットを叩く。すると、どこかカーニヴァル臭が顕われる。ムーアは来月に自らがリーダーのピアノ・トリオでまた来日する。

▶過去の、ザ・ミーターズ・エキスペリエンス
http://43142.diarynote.jp/201301311053069360/
▶過去の、ノセンテリ
http://43142.diarynote.jp/201209191235365909/
http://43142.diarynote.jp/201301311053069360/
▶過去の、ウォレル
http://43142.diarynote.jp/200708051740450000/
http://43142.diarynote.jp/201206011834355756/
http://43142.diarynote.jp/201208091303253665/
http://43142.diarynote.jp/201301311053069360/
▶過去の、ウェズリー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/octber1999live.htm
http://43142.diarynote.jp/200702090041480000/
http://43142.diarynote.jp/200702121118370000/
http://43142.diarynote.jp/200704251224130000/
http://43142.diarynote.jp/200709171112310000/
http://43142.diarynote.jp/200804030050390000/ 
▶過去の、ムーア
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-8.htm ギャラクティック(バーク・フェス)
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-12.htm ギャラクティック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-10.htm ギャラクティック(朝霧ジャム)
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-7.htm  触れていないが、ギャラクティックで出演し、ジョージ・クリントンが飛び入り
http://43142.diarynote.jp/?day=20040205
http://43142.diarynote.jp/200712161021270000/
http://43142.diarynote.jp/201004080749482839/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120730
http://43142.diarynote.jp/201301311053069360/

<今日の、疑問>
 今、メインで使っているマック・ブック・プロは今年の4月に購入したものだが、ようやく分ったことが一つ。送付資料がエクセルで送られてきてそれを開いたままにしておくと。極端に反応が鈍くなる。。。。ワードも一気に遅くなり、イライラして原稿が書けない! エクセルはめったに開かないけど、これでいいの? 皆もそうなの?

アート・リンゼイ

2014年10月26日 音楽
 あれれ。毎度のごとくチューニングしていない12弦ギターを打楽器的に音程無視で刻むだけなんだけど、なんかメロディ性というか、曲種に沿う音を出す度合いは増していたのではないか。←実はそれは彼の音楽が持つパンクな部分を取り去る方向にもあるのだが、一方では確かな成熟を感じさせたりもする。歌も長年ヘタウマを地で行くものであったが、いい意味で根無し草的風情を持ちつつ、堂々と書くとちょい違うだろうが、歌心はより増しているように感じた。

 そんな彼は、やれたジーンズ姿に、それに合わない白色の靴。1985年だかのアンビシャス・ラヴァーズでの初来日のとき(そのときの宿泊していたのは、渋谷の東急インだった。なんか、明治通沿いの歩道橋の下にとめてあった屋体の前で写真を撮ったのを思い出した)から数度、彼にはインタヴューしているが、もっとお洒落だったような。まあ、小さいこと(?)にこだわらず、カリオカらしいと言えなくもないけど。南青山・ブルーノート東京、セカンド・ショウ。

 父が牧師で、彼が任地したブラジルで育つ。とはいえ米国国籍ゆえ当時はまだあった徴兵のくじ引きに引っかかってしまい、それを逃れるためにNYの大学に入学。1953年生まれの彼にとって、ハイティーンのときの米国の徴兵はくじ引きによってなされており(と、リンゼイは言う)、大学進学者は徴兵が免除されたわけですね。徴兵にあたっていなかったら、大学に入るためにNYに行っていないので、ミュージシャンになっていなかったんじゃないかとも、彼はかつて言っていた。ともあれ、NYに行き、お上りさん同様の彼は同地のアンダーグラウンド若者文化の様に圧倒魅了され、“素人100%”の感覚一発ギターを武器に同シーンに身を投じ、1970年代後期のNYのニュー・ウェイヴ(ノー・ウェイヴ)・シーンで注目を集めるわけだ。DNAやザ・ラウンジ・リザーズを経て、1984年にソロ作(彼の名とアンビシャス・ラヴァーズというグループ名が併記されていた)に『エンヴィ』(エディションズ・EG。当時の日本盤ディレクターは現日本のユニバーサル・ミュージックの会長だァ)を発表。そして、以後、NYの胸騒ぎ感や飛躍の奥にブラジルの記憶/素敵を差し込んだハイブリット表現をいろいろとリリースするとともに、プロデューサーとしてもカエターノ・ヴェローゾ(2005年5月23日)からデイヴィッド・バーン(2009年1月27日)まで様々な人たちと絡んでいる。まあ、リンゼイはブラジル育ちの種はDNA時代から出していたと、言っていたこともあるが。10年ぐらい前だったか、彼はブラジルに戻り、サルヴァドール(結婚〜離婚を)を経て、現在はリオに居住している。

 3年ぶりとなるリンゼイ(1999年12月18日、2002年9月9日、2004年11月21日、2011年6月8日)の来日公演は、アメリカ人とブラジル人と日本人の混合バンドにてなされる。今年はこれに準じる顔ぶれでいろんな場所でやっているようで、そこにマーク・リーボウ(2001年1月19日、2008年8月3日、2008年12月14日、2009年12月13日、2010年12月12日、2011年8月4日、2014年7月28日)が加わった映像もネットで認めることができますね。

 ベースのメルヴィン・ギブス(1999年12月18日、2002年9月9日、2004年11月21日)はロナルド・シャノン・ジャクソン(2013年10月21日の本編外を参照。http://43142.diarynote.jp/201310210730403296/)のザ・デコーディング・ソサエティやディーファンク(デファンクト)やジャン・ポール・ブレリー・バンドを経て、1990年代は人気オルタナ・ロック・バンドのロリンズ・バンドのメンバーとして活躍。リンゼイとは1980年代からの付き合いであり、側近奏者としてリンゼイ作への参加も多数。そんな彼はその近い関係からサルヴァードール参りもしていて、そのカーニヴァルにも笑顔で加わっているという話もあった。そういえば、(シンガーである嫁のD.K.ダイソンとのMGやアイ&アイというグループ作を除けば)初リーダー作となる『Ancients Speak』(Livewired、2009年)はリンゼイのプロデュース作だが、そこにはサルヴァドールのブロコ・アフロの“コルテージョ・アフロ”が参加してもいた。

 今回同行のマリヴァウド・パイムはバイーアきっての打楽器奏者/チーム・リーダーであるとか。彼そんなに派手に演奏するわけではないが、彼の回りにはずらりと10個ぐらいパーカッション(スルド)が並べられていた(マイクも1個づつ立てられていた)。見えなかったが、カホーンを扱うときもあったか。鍵盤のポール・ウィルソンはNYにいる人だろう。そして、ドラマーは海外ではヴィジェイ・アイヤー(2014年6月17日、2014年6月19日、2014年6月20日)とマイク・ラッドの2013年双頭作で叩いていたカッサ・オヴァラルが叩くことが多かったようだが、予定していたドラマーが駄目になったのか、日本は現地調達にて。前日は千住宗臣(2007年4月20日、2009年10月31日、2010年9月11日、2011年5月22日、2012年3月21日、2013年1月10日、2014年7月8日)が加わり、この晩は山木秀夫(2008年8月19日、2012年8月24日、2012年9月8日)が叩いた。当日に1曲づつ一緒にやったようだが、その適応力はすごいな。また、後半に入ると小山田圭吾(2009年1月21日、2009年10月31日、2011年8月7日、2012年8月12日、2013年8月7日、2013年8月11日、2014年3月31日)が出てきて、サイド・ギターを担当する。より表現に骨格を与える楽器が増えたことで、表現総体のポップ度が少しあがったような。

 彼については1970年代後期から胸を焦がした存在であり、ずっと注視し続けている存在ゆえ、かなり厳しい目で接してしまい、この晩のパフォーマンスはまあまあかなとぼくは感じた。まわりは、皆絶賛であったけど。米国冒険流儀とブラジル味の行き来の回路に慣れてしまい、ぼくはクリシェと思えるところがある? もっと過剰にポップか、もっと切れ切れアヴァンギャルドなものを、ぼくは望んでいた? いや、ドキドキできる瞬間、甘酸っぱくなる瞬間はいろいろあったし、今後も来日したときは見に行くはずだが。

 間違いなく言える事は、先端だったり、横のほうにあるポップ/ビート・ミュージックのあり方において、アート・リンゼイ的態度/視点は途方もなく貴重であるということ。リンゼイが登場して以降、彼の真似をする人は(ぼくの知る限り)いない。でも、当然と言えば当然か。彼のギター奏法をマルセル・デシャンの便器に例えたのは故 生田朗さんだったが、デュシャンの後に便器を展示したらそりゃ顰蹙だよな。それにしても、ステォーヴィー・ワンダー(2005年11月3日、2010年8月8日、2012年3月5日)は目が見えるという話はでてきても、アート・リンゼイは実はギターが弾けるという話が出てこないのが、なんかすごい。

▶過去の、リンゼイ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/december1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm
http://43142.diarynote.jp/200411231722390000/
http://43142.diarynote.jp/201106141341111340/
▶過去の、ヴェローゾ
http://43142.diarynote.jp/200506021846130000/
▶過去の、バーン
http://43142.diarynote.jp/200901281359552953/
▶過去の、リーボウ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-1.htm
http://43142.diarynote.jp/200808090220110000/
http://43142.diarynote.jp/200812281440093394/
http://43142.diarynote.jp/201001051622194305/
http://43142.diarynote.jp/201012131714372906/
http://43142.diarynote.jp/201108101630438805/
http://43142.diarynote.jp/201408051026553769/
▶過去の、ギブス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/december1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm
http://43142.diarynote.jp/200411231722390000/
▶過去の、アイヤー
http://43142.diarynote.jp/201406180853065508/
http://43142.diarynote.jp/201406201008164250/
http://43142.diarynote.jp/201406210910441716/
▶過去の、千住
http://43142.diarynote.jp/200704251225580000/
http://43142.diarynote.jp/200911010931589797/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100911
http://43142.diarynote.jp/201105230926029205/
http://43142.diarynote.jp/201203260805006088/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130110
http://43142.diarynote.jp/201407091243129270/
▶過去の、山木秀夫
http://43142.diarynote.jp/200808221745590000/
http://43142.diarynote.jp/201209181226141636/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120908 ベン・E・キング
▶過去の、小山田
http://43142.diarynote.jp/?day=20090121
http://43142.diarynote.jp/200911010931589797/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110807
http://43142.diarynote.jp/?day=20120812
http://43142.diarynote.jp/?day=20130807
http://43142.diarynote.jp/201308130851402454/
http://43142.diarynote.jp/201404031700136483/
▶過去の、ワンダー
http://43142.diarynote.jp/200511130015240000/
http://43142.diarynote.jp/201008261618276388/
http://43142.diarynote.jp/201203062006429595/

<今日の、えええっ>
 朋友たるメルヴィン・ギブスは、ステージでリンゼイのことを“アート・リンジー”と紹介していた。どひゃー、そう言うのが本当なの?

 先の2014年9月23日昼〜http://43142.diarynote.jp/201409261635077130/〜でのこと。会場入りすると、どうもお、と挨拶される。ちゃんとクリエイティヴな会社員活動をしている、Y君じゃないか。おお、ひさしぶりだあ。すごいなあ、こういうのまでちゃんとアンテナを張り、ライヴを見にくるなんてと伝えると、彼はうれしそうに、こう返して来た。ピーター・バラカンさんの(ラジオ)番組で彼らのことが紹介されて、それが良かったので来てみました。それと似たようなやりとりをしたことが前にも複数あって、ピーター・バラカンの影響力の確かさ、大きさを痛感してしまうわけですね。そして、今回のライヴ・マジックは彼のそうした心あるいい音楽紹介活動が積み重なってこそのものでもあるだろう。

 ピーター・バラカンがキュレートする、2日間にわたるライヴ・イヴェントの初日。出演者がステージに出る前に、彼は順次客の前に登場して簡単に出演者の紹介をする。彼の話によれば、この日は完全にチケットが売り切れたそう。確かに、混んでいた。場所は、恵比寿・ガーデンホール(とガーデン・ルーム)。かつてはよく来ていたが、あまり洋楽系公演がもたれなくなり、ぼくが来るのは2007年3月のノラ・ジョーンズ公演以来。スタンディングのメイン会場に加え、階下の着席会場、また飲食スペースにもDJ用途やギター弾き語り用途の小ステージが設けられる。

 この日の出演者は、BLACK WAX(2014年9月16日)、ブルース・バンドのMONSTER大陸、米国大御所ドブロ奏者率いるドラマー付きバンドのジェリー・ダグラス・バンド、スタンリー・スミス(2002年10月20日)、元センチメンタル・シティ・ロマンスの告井延隆、若い女性のブルースの担い手であるRei、細野晴臣(2009年10月12日、2010年4月15日、2010年11月21日、2011年8月7日、2012年8月12日、2012年9月5日、2013年1月29日、2013年8月7日、2013年8月11日)、ジョン・クリアリー(2007年4月6日、2008年10月15日、2009年9月5日、2013年5月20日、2013年10月14日)&ザ・アブソルート・モンスター・ジェントルメン。ルーツィ、アーシー、自然体とかいった言葉で括れる人たちが集められていると、言えるだろうか。ほのぼの土着路線を見せた細野のとき、久保田麻琴(2004年5月7日、2009年10月12日、2010年12月4日、2013年2月5日、2013年9月20日、2014年9月16日)が1曲加わり、ハリー&マックとなった。

 着席ステージでは、往年の洋楽TV番組<バラカン・ビート>の再現プログラムも組まれる。ちょい覗こうと思ったら、人があふれていて、見るのを断念。まあ、外で暫くぶりに会う知り合いと話すのも楽しいしね。鬼のように働き、鬼のように遊んでいた時期で、TVを見る時間などなく、ぼくは一度も<バラカン・ビート>を見た事がなかった。だが、同番組に思い入れを持つ人、少なくないんだろうな。というか、お客の多くは彼のラジオ番組はもちろんのこと、同TV番組を見ていた人たちでもあるのか。物販も好セールスを上げたようだが、この日のオーディエンスは、実のところ音楽ソフトに一番お金を落とす層ではないのか。

▶過去の、BLACK WAX
http://43142.diarynote.jp/201409171722239857/
▶過去の、スミス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-10.htm
▶過去の、細野
http://43142.diarynote.jp/200910141731349364/
http://43142.diarynote.jp/201004180836405961/
http://43142.diarynote.jp/201011250550109951/
http://43142.diarynote.jp/201208201258419318/
http://43142.diarynote.jp/201209181238434594/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130129
http://43142.diarynote.jp/?day=20130807
http://43142.diarynote.jp/201108101635051749/
http://43142.diarynote.jp/201308130851402454/
▶過去の、久保田
http://43142.diarynote.jp/200405071410000000/
http://43142.diarynote.jp/200910141731349364/
http://43142.diarynote.jp/?day=20101204
http://43142.diarynote.jp/201302091324078636/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130920
http://43142.diarynote.jp/201409171722239857/
▶過去の、クリアリー
http://43142.diarynote.jp/?day=20070406
http://43142.diarynote.jp/200810170628196746/
http://43142.diarynote.jp/200909120648439512/
http://43142.diarynote.jp/201305260926059486/
http://43142.diarynote.jp/201310150811404538/

<今日の、そうか>
 土曜の恵比寿界隈、ハロウィーン仕様の若者の姿が散見される。いったい、来週31日(金)の盛り場はどーなるんだろ? それにあまり触れたくないという思いと、昨年のように図らずも、その盛り上がりに触れてみたいという思いと。。。間違いなく言えるのは、ぼくが学生だったら、きっと張り切りきるだろうということ。って、去年も似た事を書いたよな。

リバティ・シップ

2014年10月24日 音楽
 エサ・ピエティラ(テナー・サックス)、アキ・リッサネン(ピアノ、エフェクト)、アンッティ・ロジェネン(ベース)、オラヴィ・ロウヒヴォリ(ドラムス)からなる、ノルウェーのクインテットを見る。渋谷・elephant studio。

 自力とセンスに秀でた演奏は問答無用のクリエイティヴティありで、ノルウェーのジャズ水準はすごいと、改めて唸らされる。リーダーはテナー・サックス奏者だが、他の奏者もとても立派。そのアドヴァンテージを前提におく、長い尺がとられる曲の動きにまず大きく頷く。譜面もおいてないし、基本は即興の連なりだろうが、どのぐらい決め事はあるのか。とにかく、聞いていて興味深くてしょうがない。曖昧な書き方になるが、その流れに添え木的な違和感覚がなく、有機的にて、ドラマティックで、自然。そして、それは純ジャズ(フリー・ジャズ)要素とジャズ・ビヨンド要素を自在につないでいたりもする。それゆえ、彼らは、先日見たラビット(10月22日)とも無理なく一緒に出来るはず。1部の途中で、菊地雅章(1999年11月3日(2002年9月22日、2003年6月10日、2004年11月3日、2012年6月24日、2012年6月25日、2012年10月26日)の「サークル/ライン」の一節のリフとかなり似るベースのフレイズが続くときもあった。ドキドキした。

 4人は、皆いろんな奏法を曲趣とともに見せる。テナー奏者は効果音的なタンギングの使い方も吉。ピアノ(この日は、ノード・エレクトロをピアノ音で使用)奏者はパッドで控え目ながら効果的に電気音干渉も行ったが、彼の鍵盤ソロがほぼパップ的手法を排する(絶対、繰り出そうと思えば出来るはず)散文的なもので印象的。コントラバス奏者も電気音的な効果を兼ねる弓引き音を用いたり、いろいろボディを叩いたり。そして、ドラマーも多様な叩き方(ブラシ、マレット、素手も、スティックとともに用いる。また、弓でシンバルをこすったり)でグループ表現を活性化させる。それらの総体は、ジャズなんだけどジャズ越えの音をきっちりモノにする、というもの。いや、各人の様、見物でした。

 接していて、ウィブティー(2002年5月8日)とアトミック(2005年4月12日、2008年12月7日)の間を行く、という感想ももったか。2部では日本人ペインター、日本人テナー・サックス奏者が1曲づつ加わる。ちゃんと渡り合った後者はかなり実力者だった。

▶過去の、ラビット
http://43142.diarynote.jp/201410251055118180/
▶過去の、菊地
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/movember1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20041103
http://43142.diarynote.jp/201207031322126509/
http://43142.diarynote.jp/201207031323242844/
http://43142.diarynote.jp/201210271744294415/
▶過去の、ウィブティ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-5.htm
▶過去の、アトミック
http://43142.diarynote.jp/200504151005000000/
http://43142.diarynote.jp/200812150312308154/

<今日の、発想>
 今回のパフォーマンスで電気音をだしていたのはピアニストのリッサネンのみ。事前のパーソネルを見ると他のメンバーも電気音に関与しそうであったがそれはなし。先に触れているようにリッサネンはここではピアノではなくピアノ音色の電気キーボードを弾いたが、それはピアノを置けない会場だったからだろう。数日前にやった彼らの新宿・ピットインでの公演は当然グランド・ピアノを用いたと思われる。また、その際、他のメンバーはもう少し電気音出しに関与したのだろうか。なんにせよ、面々の達者にして臨機応変な演奏に触れていると、当然柱となる<リバティ・ハウス表現回路>というのはあるだろうが、与えられた環境やブツ(楽器)で俺たちはどうにでも行けるし、個性や技量をちゃんと発揮できると、彼らが胸を張っているとしか思えなかった。
 そして、そんな4人を見ていて、さらに思ったことが一つ。しなやかなスタンスをとる奏者で、自分の楽器や機材を持たず、出向いた先々であてがわれたもので悠々と、その一期一会を楽しむように演奏する人はいないか。楽器や設定やPAが違えば、自ずと同じ曲をやっても様相は変わるはずで、新たな変化の種を山ほど加わる。なれない楽器でも、ダメな音響でも、なだめたり、工夫したりして、楽器をモノにし、音楽を奏でる。それ、魅力的ではないか。そういう逆境から生まれる、神経質ではない鷹揚な音楽って、ぼくは好きだなあ。

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