3週間前の!!!公演の前座で出ていた日本人4人組インスト・バンド、LITEが主催するイヴェント。その10月15日の項でLITEの実演を見ているのに書き留めていないのは、いまいちバンドの真価を捉えきれなかったのと、今っぽい切れや響きは持つものの、ぼくが苦手に感じるプログ(レッシヴ)・ロック臭をほのかに持っていたから。が、そんなぼくの所感はどうでもいい、彼らはちゃんと居場所を持ちながら演奏活動をし、他の担い手との連携を深め、メンバーはパラボリカという海外アーティスト作品を出すインディを運営している。うぬ、見事に胸を張った独立独歩な活動ぶり。そして、これは同レーベル関与の海外アーティストを迎えての太っ腹イヴェントだ(昨年もやっているよう)。内訳はLITEに加え、元ミニット・メンのマイク・ワット、元ダイナーソーJr./セバドーのルー・バーロウ、アイルランドのインスト・トリオであるアデビシ・シャンク、という全4組。すげえ、な。実はずうっと10月から参加アーティストを替えたりもしつつ各都市を回っていて、マイク・ワットなんかはもう20日間も滞日しているらしい。そういえば、朝霧ジャムに出演したテラ・メロス(10月11日)もこのパリボリカ・ツアーの初旬〜中旬に全部参加したようだ。

 渋谷・クラブクアトロ。6時半開始なのは知ってはいたが、所用で7時ちょいにしか行けなかった。会場入りすると、主催バンドのLITEが演奏していて、すでに終盤。うぬ、また彼らについての印象を固めることができず。

 2番目はアデビシ・シャンク。若い痩身のあんちゃんたちで、ギター、ベース(赤いマスクをかぶる。MCでけっこう真っ当な発音の日本語の単語を言ったりも)、ドラムという編成。なのだが、これはいい。これは、凄い。ライトニング・ボルト(2009 年11月15日)もびっくり。一部でマス(マティック)・ロックなんても言われる、意外性に満ちた発想/構成を持つハード・コア・ビヨンド表現を、イケてる技量のもと見事に開く。ギタリストとベーシストは激しく動き、それもうれしい。音と意欲のスプラッシュが場内に飛び散りまくり。もうコレは、間違いなく、ミレニアム以降にしか現れなえない表現であろうとも痛感させ、ぼくは心のなかでおおいに拍手。とともに、こんなイケてる連中を知ることが出来たんだもの、これだけで、今日クアトロに来た甲斐があったと頷く。……が、後の名をなしている米国の二人も相当に良かったんだよなー。

 続いては、ルー・バーロウ。マイク・ワットのバンドのギタリストとドラマーを借りてのパフォーマンスで、バーロウも基本ギターを持って歌い、ベースレスでのギグ。でも、別に問題無し。確かな歌心と、うれしい機微と、積もった経験が重なった、ときにほんわかした部分も持つロック表現を聞かせる。分別はあるが、とてもロックな風を持つ。やっぱ、いいよね。終盤2曲はダイナソーJr.のときの持ち楽器であったベースを持って歌う。それはそれで、やはりハマるな。

 そして、最後にマイク・ワットが、最新の彼のバンドであるザ・ミッシングメンとともに登場する。ベースを弾きながら歌うワット、ギターはザ・レッド・クレヨラのトム・ワトソン(なんか、白髪風情が格好いい。とともに、バーロウのサポートのときとは一変、跳びまくりのギター音を送り出す)、ドラムのラウル・モラレスという布陣。で、その新作がそうであったように、ノンストップ気味でごんごん曲を連発していく。その曲は変な綻びを抱えた一筋縄ではいかないものだが、3人はなんなく絡み、疾走して行く。そのおいしい意外性のあり方は、どこかかキャプテン・ビーフハートを思い出させる? いやあ、大人の覇気と意思を持つ癖ありロックの、相当レヴェルの高い形の具現。さす米国西海岸のハード・コア・シーンの重鎮!

 ちゃんと、演奏時間をチェックしなかったが、みんなそこそこの時間パフォーマンスをしたはず。バンドとバンドの間にはDJなどを入れず、フツーに間をあける。ロック公演としてはこの晩の出し物、ぼくの2010年に見た実演のベスト3に入るはず。それをオーガナイズしたLITEは素晴らしいな。