映画「J:ビヨンド・フラメンコ」。映画「静かなふたり」
2017年9月25日 音楽 京橋テアトル試写室で、続けて2本の映画を見る。2016年スペインと2017年フランスの映画、なり。
「J:ビヨンド・フラメンコ」は、スペイン人映画監督であるカルロス・サウラによるもの。大御所の彼はフラメンコを題材とした映画をいろいろ撮っていて、ぼくはかつて「フラメンコ・フラメンコ」(2012年1月16日)というドキュメンタリーを見たことがあるナ。
今回はアラゴン州(バルセロナのあるカタルーニャ州の左隣に位置する)に育まれてきた舞踏音楽であるホタ(Jota)を紹介しようとする映画で、カルロス・サウラは同州の出身であるという。いろんなパターンのパフォーマンスが出てくるが、なるほどフラメンコとは違うな。いろんな編成のもと音楽は繰り広げられるが弦楽器とカスタネットの音が基調となり、その弦楽器の調べの軽やかさもあり、アラゴンは海に面していないがホタ音楽はどこか地中海的であると思わせる味も持つ。歌が入る場合も多いが、それはフラメンコほど青筋を立てる感じはなく、比較で言うならホタの方が優美だ。踊りに関しては男女ペアで踊るものから大人数のまで色々、なかにはバレエを思い出させるものもあるが、うまく説明する知識も筆力も持ち合わせていないのでごめんなちゃいなのだが、ぼくの知らなかったスペインの伝統文化に触れているという思いはいろいろと得た。
“現代のホタ”と題された項目の出し物は、完全にジャズのピアノ・トリオが演奏するものだった。来日も重ねているフラメンコ・ギタリストのカニサレス(2013年12月18日、2015年9月26日)やガリシア地方のガイタ(バグ・パイプ)奏者のカルロス・ヌニェス(1999年12月19日、2001年10月9日、2003年12月12日、2003年12月20日、2013年10月13日)も登場し、ホタ様式に則った(多分)演奏をそれぞれ持ち味を出して披露している。
映像のマテリアルは基本、演奏とダンスのスタジオでの実演シーンのみ。それをナレーションとか能書きなしに並べられるわけで飽きそうなものだが、これがそのパフォーマンスの場の演出設定からカメラ・アングルまで周到に計算されいて、その”映画作法力”に途中からは注意がおおいに向く。次はどんな設定で見せるの?、と。 その連続。この監督がぼくがもっと身近に感じる音楽の映画を作ったら、どんなものが出来上がるのか。そんなことも少し夢想した。11月下旬から渋谷Bunkamuraの映画館で公開される。
▶︎過去の、映画「フラメンコ・フラメンコ」
http://43142.diarynote.jp/201201171011033219/
▶過去の、カニサレス
http://43142.diarynote.jp/201312191824334317/
http://43142.diarynote.jp/201509291629428595/
▶︎過去の、カルロス・ニュネス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/december1999live.htm 12月19日
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-10.htm 10月9日
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-12.htm 12月12日、12月20日
http://43142.diarynote.jp/201310150810408921/
もう一本は、フランス人女性監督エリーズ・シラールが脚本も書いた(そちらはもう一人の女性と共同で書いている)「静かなふたり」。なるほど、原題はまったく違うものだが、その日本題には納得してしまうな。とにかく、余白の多い、静的な映画。過剰な説明はほとんどなく(76分と時間は短い)、淡々とパリに住む老人と約40歳年下の27歳の女性のやりとりが示されている。
資料には<パリの古書店を舞台に繰り広げられる知的でロマンティックなラヴストーリー>という記載がなされているが、全然想像したものとは違った。ぼくは、そういうの往往にして苦手。それでもこの映画を見たのは、昨年パリに行ってなんとなくあの街に好印象を持っているからに他ならないが、これは果たしてラヴ・ストーリーなのか?
過剰に歳をとっている感じがしない老人はもうすぐ時効を迎えるかつての左翼活動家で、今はカルチェ・ラタンで客のこない古本屋を営んでいる。トゥールから出て間もない女性はそこにバイトで働く、古風な女性。当初はタダで部屋を提供するという雇用条件だったがお金を週給で渡したり、アウディの上級車を乗っていたりして、他者との付き合いを持たない老人はお金を持っていそうだ。というのは、本筋からはどうでもいいことだが、かなり説明を排した形でこの二人の出会いと別れが描かれる。そこらじゅうに対比的な伏線、メタファーがさりげなく埋め込まれ、これは複数回見てもいろいろとそうかと思わせられる内容だと思う。また、反核運動の話題が会話に出てくるのはフランス映画らしい。
ものすごく大人の、いろんな余韻もありの映画。ほんの少ししか使われない(それは正解であると思う)たまに出てくる音楽は、映画音楽とポップ・ミュージックの両方で活動しているベルトラン・ブルガラ(2000年10月9日)が担当している。10月中旬から、新宿武蔵野館で公開。
▶︎過去の、ベルトラン・ブルガラ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-10.htm
<今日の、追懐>
1番目と2番目の試写の間に1時間あいたので、京橋周辺を探索。前から感じていたけど、この辺の再開発の様は著しい。なかなか目を見張る。へえ、の連続。銀座駅と東京駅の間にある都心地ではあるが、なんかくすんだオフィス街という印象があったが、今は華やか。それだからこそ、明治屋のリノヴェイションはされているだろうが旧い外観のビルも映える。そういえば、いろんな私的用事が重なってNY〜ワシントンD.C.〜(メンフィス)〜LAというエアー・チケットを1989年に手配してもらったのは、京橋にあった旅行社だった。あの頃、H.I.S.はなかったんだろうな。2週間ほどの旅。その時は、東京からストーンズを見にきていた知人とNYで合流し、シンシナチに飛んでシンシナチ・レッズのホーム球場で“スティール・ホイール・ツアー”中のストーンズ(2003年3月15日)を見たりもした。彼らは航空券やホテルは手配済みだったが、ぼくは成り行き。公演当日のラガーディア空港からの飛行機はスタンバイでやっと乗ったが、シンシナチ中心部にあるホテルは飛び込みですんなりいい部屋がとれた。コンサート前の市街地を探索していたら近くのホテルの前に少し人だかりができていて、会場に向かうストーンズのメンバーがヴァン(リムジンではなかった)に乗り込む姿を見ることができたのは、ほんといい思い出だ。チケットのダフ屋購入も問題なし。前座はリヴィング・カラー、なり。ホテルでは何気に高くなかったせいもあり、初ストーンズ体験を祝い、ドンペリをルーム・サーヴィスでとったりもしたな。
▶過去の、ザ・ローリング・ストーンズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm
▶過去の、リヴィング・カラーのメンバーたち
+ヴァーノン・リード
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-8.htm 8/13
http://43142.diarynote.jp/?day=20081216
http://43142.diarynote.jp/201510290732352521/
+ダグ・ウィンブッシュ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-4.htm ポーラ・コール・バンド
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-7.htm 27日 フジ・ロックのモス・デフ
+ウィル・カルホーン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-7.htm 27日 フジ・ロックのモス・デフ
http://43142.diarynote.jp/200808090220540000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160913
「J:ビヨンド・フラメンコ」は、スペイン人映画監督であるカルロス・サウラによるもの。大御所の彼はフラメンコを題材とした映画をいろいろ撮っていて、ぼくはかつて「フラメンコ・フラメンコ」(2012年1月16日)というドキュメンタリーを見たことがあるナ。
今回はアラゴン州(バルセロナのあるカタルーニャ州の左隣に位置する)に育まれてきた舞踏音楽であるホタ(Jota)を紹介しようとする映画で、カルロス・サウラは同州の出身であるという。いろんなパターンのパフォーマンスが出てくるが、なるほどフラメンコとは違うな。いろんな編成のもと音楽は繰り広げられるが弦楽器とカスタネットの音が基調となり、その弦楽器の調べの軽やかさもあり、アラゴンは海に面していないがホタ音楽はどこか地中海的であると思わせる味も持つ。歌が入る場合も多いが、それはフラメンコほど青筋を立てる感じはなく、比較で言うならホタの方が優美だ。踊りに関しては男女ペアで踊るものから大人数のまで色々、なかにはバレエを思い出させるものもあるが、うまく説明する知識も筆力も持ち合わせていないのでごめんなちゃいなのだが、ぼくの知らなかったスペインの伝統文化に触れているという思いはいろいろと得た。
“現代のホタ”と題された項目の出し物は、完全にジャズのピアノ・トリオが演奏するものだった。来日も重ねているフラメンコ・ギタリストのカニサレス(2013年12月18日、2015年9月26日)やガリシア地方のガイタ(バグ・パイプ)奏者のカルロス・ヌニェス(1999年12月19日、2001年10月9日、2003年12月12日、2003年12月20日、2013年10月13日)も登場し、ホタ様式に則った(多分)演奏をそれぞれ持ち味を出して披露している。
映像のマテリアルは基本、演奏とダンスのスタジオでの実演シーンのみ。それをナレーションとか能書きなしに並べられるわけで飽きそうなものだが、これがそのパフォーマンスの場の演出設定からカメラ・アングルまで周到に計算されいて、その”映画作法力”に途中からは注意がおおいに向く。次はどんな設定で見せるの?、と。 その連続。この監督がぼくがもっと身近に感じる音楽の映画を作ったら、どんなものが出来上がるのか。そんなことも少し夢想した。11月下旬から渋谷Bunkamuraの映画館で公開される。
▶︎過去の、映画「フラメンコ・フラメンコ」
http://43142.diarynote.jp/201201171011033219/
▶過去の、カニサレス
http://43142.diarynote.jp/201312191824334317/
http://43142.diarynote.jp/201509291629428595/
▶︎過去の、カルロス・ニュネス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/december1999live.htm 12月19日
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-10.htm 10月9日
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-12.htm 12月12日、12月20日
http://43142.diarynote.jp/201310150810408921/
もう一本は、フランス人女性監督エリーズ・シラールが脚本も書いた(そちらはもう一人の女性と共同で書いている)「静かなふたり」。なるほど、原題はまったく違うものだが、その日本題には納得してしまうな。とにかく、余白の多い、静的な映画。過剰な説明はほとんどなく(76分と時間は短い)、淡々とパリに住む老人と約40歳年下の27歳の女性のやりとりが示されている。
資料には<パリの古書店を舞台に繰り広げられる知的でロマンティックなラヴストーリー>という記載がなされているが、全然想像したものとは違った。ぼくは、そういうの往往にして苦手。それでもこの映画を見たのは、昨年パリに行ってなんとなくあの街に好印象を持っているからに他ならないが、これは果たしてラヴ・ストーリーなのか?
過剰に歳をとっている感じがしない老人はもうすぐ時効を迎えるかつての左翼活動家で、今はカルチェ・ラタンで客のこない古本屋を営んでいる。トゥールから出て間もない女性はそこにバイトで働く、古風な女性。当初はタダで部屋を提供するという雇用条件だったがお金を週給で渡したり、アウディの上級車を乗っていたりして、他者との付き合いを持たない老人はお金を持っていそうだ。というのは、本筋からはどうでもいいことだが、かなり説明を排した形でこの二人の出会いと別れが描かれる。そこらじゅうに対比的な伏線、メタファーがさりげなく埋め込まれ、これは複数回見てもいろいろとそうかと思わせられる内容だと思う。また、反核運動の話題が会話に出てくるのはフランス映画らしい。
ものすごく大人の、いろんな余韻もありの映画。ほんの少ししか使われない(それは正解であると思う)たまに出てくる音楽は、映画音楽とポップ・ミュージックの両方で活動しているベルトラン・ブルガラ(2000年10月9日)が担当している。10月中旬から、新宿武蔵野館で公開。
▶︎過去の、ベルトラン・ブルガラ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-10.htm
<今日の、追懐>
1番目と2番目の試写の間に1時間あいたので、京橋周辺を探索。前から感じていたけど、この辺の再開発の様は著しい。なかなか目を見張る。へえ、の連続。銀座駅と東京駅の間にある都心地ではあるが、なんかくすんだオフィス街という印象があったが、今は華やか。それだからこそ、明治屋のリノヴェイションはされているだろうが旧い外観のビルも映える。そういえば、いろんな私的用事が重なってNY〜ワシントンD.C.〜(メンフィス)〜LAというエアー・チケットを1989年に手配してもらったのは、京橋にあった旅行社だった。あの頃、H.I.S.はなかったんだろうな。2週間ほどの旅。その時は、東京からストーンズを見にきていた知人とNYで合流し、シンシナチに飛んでシンシナチ・レッズのホーム球場で“スティール・ホイール・ツアー”中のストーンズ(2003年3月15日)を見たりもした。彼らは航空券やホテルは手配済みだったが、ぼくは成り行き。公演当日のラガーディア空港からの飛行機はスタンバイでやっと乗ったが、シンシナチ中心部にあるホテルは飛び込みですんなりいい部屋がとれた。コンサート前の市街地を探索していたら近くのホテルの前に少し人だかりができていて、会場に向かうストーンズのメンバーがヴァン(リムジンではなかった)に乗り込む姿を見ることができたのは、ほんといい思い出だ。チケットのダフ屋購入も問題なし。前座はリヴィング・カラー、なり。ホテルでは何気に高くなかったせいもあり、初ストーンズ体験を祝い、ドンペリをルーム・サーヴィスでとったりもしたな。
▶過去の、ザ・ローリング・ストーンズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm
▶過去の、リヴィング・カラーのメンバーたち
+ヴァーノン・リード
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-8.htm 8/13
http://43142.diarynote.jp/?day=20081216
http://43142.diarynote.jp/201510290732352521/
+ダグ・ウィンブッシュ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-4.htm ポーラ・コール・バンド
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-7.htm 27日 フジ・ロックのモス・デフ
+ウィル・カルホーン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-7.htm 27日 フジ・ロックのモス・デフ
http://43142.diarynote.jp/200808090220540000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160913